樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

皮膚で聴く音

2006年12月08日 | 樹木
中央公論社から新しい自然環境マガジン「リクウ」が創刊されました。
こういう系統のマスメディアには警戒心があるのですが、「特集:森に抱かれて生きる」とか、執筆陣のC.W.ニコルさんや稲本正さん、撮影の姉崎一馬さんや今森光彦さんなどの名前に誘惑されて買ってしまいました。

         

冒頭に編集長の巻頭言があります。レトリックの効いたなかなか洒脱な文章です。「いたずらに消費することが美徳であった社会に対し、われわれはここでもう一度立ち止まり、歩みをスローにしたほうがいい」、なるほど。
ところが、その後「でも、エコはやはり愉しくなければなりません。お洒落でかっこよくなければなりません。人間の欲望を抑え込むようなエコではそれ自体が持続不可能であります」と続きます。???やっぱり、か。このあたりが、この手のマスメディアの限界でしょう。
「愉しい」のはさておき、エコがお洒落でかっこよくある必要はまったくないと私は思います。欲望をある程度抑え込まないとエコは実現できないとも考えています。
そういう限界はあるにしても、読み応えのあるコンテンツもありました。その中で「へ~!」と思った記事をご紹介します。
芸能山城組の主宰者であり『音と文明』の著者でもある大橋力さんと、環境考古学を研究する安田喜憲さんの対談です。誰でも山や森を歩いていると気持ちがいいと感じますが、それは耳では聴こえない高周波の音を皮膚で聴いているからだそうです。

      
      (こんな森には高周波音があふれているらしい)

都会の音と熱帯ジャングルの音を被験者に聴かせると、後者では脳のα波や血液中の免疫成分が増え、逆にアドレナリンは減ったそうです。
大橋さんは、森の高周波音は昆虫が出しているのではないかと推測しています。すでにご存知の方もあるでしょうが、私には初耳の面白い話でした。
コメント (6)
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