樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

桜切るバカ、梅切るバカ

2006年07月04日 | 樹木
自宅から車で10分くらいの所に「桃山御陵」(明治天皇・皇后のお墓)があります。秀吉の居城・桃山城があったあたりです。
先日、久しぶりに訪れたら、写真のような痛ましい樹がありました。いくら何でも幹から剪定するとは・・・。
樹皮を見るとクスノキです。広大な敷地ですから枝がじゃまになることはありません。また、クスノキは樟脳(防虫剤)の原料になるくらいですから、虫害を受けたとも考えられません。どういう理由でこんな酷い剪定をしたのでしょう? 

         

と、よそんちの剪定を云々する資格は、私にはありません。実は、うちでも強剪定をしたのです(幹までは切ってませんが・・・)。
道路に面してアラカシを3本植えていますが、毎年秋になるとたくさんのドングリが道に落ちます。そこは小学生の通学路になっていて、子供たちが面白がってドングリを蹴散らしたり、踏み潰すので道路が汚れます。見かねた妻が植木屋さんに頼んで剪定してもらったのです。

その後、ある樹木医の本を読んでいたら、「強剪定はするべきでない」と書いてありました。一般的な園芸書には「樹を若返らすために強剪定する」とか、「ひこばえ(株元から芽生える細い枝)は切る」などと書いてあります
しかし、その樹木医は「ひこばえは、光合成の不足を補うために樹がわざわざ出すものだから切るな」と言うのです。また、「剪定後に大きな葉を出すのは、葉が少なくて光合成できないために急遽大きな葉を作るのであって、それは樹の悲鳴だ」とも言います。

      

強剪定されたうちのアラカシも、この春バカでかい葉を出しました。写真の上が普通の大きさで13cm、下の葉は20cmもあります。これも樹の悲鳴です。

園芸の世界には、「桜切るバカ、梅切らぬバカ」という言葉があります。桜は剪定してはいけない、梅は剪定すべき、という意味です。しかし、桜であろうが梅であろうが、生身の樹に言わせれば切る人間は全てバカでしょう。
自然物を利用する限り解決できないかも知れませんが、樹を愛する者としては、庭の樹を剪定すべきか否か悩みます。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする