ライターの脳みそ

最近のマイブームはダム巡りと橋のユニークな親柱探し。ダムは目的地に過ぎず、ドライヴしたいだけ…。

メール化したオフィスの弊害

2005-11-21 14:03:27 | 脳みその日常
先日、とあるホールで担当者のFさんと話をする。最初は当日の演奏のことを聞かれたのでその話をしていたが、ひょんなことから最近の若い人たちのことに話題が及ぶ。仕事を早く覚えてもらいたいのだが、なかなかうまくいかないらしい。

バブルの頃のように新人のための研修がきちんとしていれば何も問題はない。その研修で業務の基本は叩き込まれるからだ。ところが潤沢な企業は別にして、現在ではほとんどの企業でマトモな新人研修などは行なわれていない。となると、新人は入社してすぐに現場で仕事を覚えていくことになる。

もともと仕事ができる奴というのは、研修などなくてもすぐに仕事を覚え、即戦力としてバリバリやってゆく。そういう奴は放っておいても大丈夫だ。しかしそんなのはごく少数。多くの新人は誰かが面倒を見てやらなければならない。とはいうものの、それほど仕事はどこもヒマじゃない。

「困ったもんですよ」
「まあ、仕事なんて先輩の様子を盗み見して覚えたもんですよね?」
「ええ、少なくとも私はそうしましたね」
「最近の新人にはそういうことをする奴はいないんですか?」
「いないというより、できない環境になりつつあるんです」

話によると、こうだ。たとえば電話の応対などは先輩のやり方を見ていれば覚えられたものだった。ところが、最近では顧客とのやり取りがほとんどメールで行なわれるようになったため、オフィスで電話をする機会もかなり減ったのだとか。そうなると、応対を聞いて覚えるというワザは使えない。

また、文書のやり取りがメールで行なわれると、基本的な書式やビジネス用の文言なども盗み見ることができない。静かに仕事ができるのはいいが、ちゃんと目を光らせていないとトンデモナイ文書ができあがる可能性もあるらしい。

ここへ入社してくるのは、お勉強的な意味では相当優秀な人ばかりだそうだ。語学はできるし、頭の回転も速いらしい。だが仕事となると話は別。どんなに優秀でもフレキシブルな対応ができなければ現場では「使えない」のだ。どんなトラブルが発生してもすぐに解決できる応用力がないと、何の意味もない。

「頭が固いんですかねえ」
「うーん、人間的にはマジメなんでしょうけど、それが却ってマイナスに…」

そんな話をしながら、ふとFさんが随分と老けたことに気づく。そうか、時間は確実に過ぎているんだな。そもそも互いにこんな話をするとは思ってもみなかったし。
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