ライターの脳みそ

最近のマイブームはダム巡りと橋のユニークな親柱探し。ダムは目的地に過ぎず、ドライヴしたいだけ…。

二つの顔をもつ?…大倉ダム

2022-10-30 06:53:56 | 宮城(ダム/堰堤)
どーも、ワシです。今回は宮城県仙台市青葉区大倉岩下にある名取川水系の大倉ダムを訪れます。アクセスは国道48号「熊ヶ根」表示のT字路を入り、そのまま県道263号を道なりに進んで行くと到着します。

上のリンク先の説明に書いてありますが、大倉ダム築造のきっかけは昭和22年(1947年)のカスリン台風、昭和23年(1948年)のアイオン台風、昭和25年(1950年)8月に起きた増水により大洪水が発生したことにありました。また同時期、仙台市、塩竈市(しおがまし)の人口増加に伴って上水道用水の需要が高まり、さらに発展途上にあった仙塩工業地帯への工業用水の補給が必要となるなど水資源の総合開発を求める声が上がってきました。

そうした理由から旧建設省直轄事業として大倉川を堰き止めてダムを築造することが決定され、昭和33年(1958年)に工事が開始され、昭和36年(1961年)に洪水調節、灌漑、上水道、工業用水、発電を目的とした多目的ダムが完成。ダム管理は翌年から宮城県が行なっています。さらに平成23年8月1日には当該ダムの愛称が「仙台環境開発 大倉ダム」に決まったそうな。


ま、そんなこんなで右岸のダム横に到着しました。おー、アーチ式かな?


ダム上は、こんな感じ。緩やかなアーチを描いていますね。


右岸の道を貯水側に行ったところから見ると、こんな感じ。


その道沿いには水利使用標識があります。これは発電を目的とした標識ですね。


右岸沿いの道をさらに進むと「宮城県大倉ダム管理事務所」があります。



では県道263号でもあるダム上を進んでみましょう。もちろん車両通行可ですが、道幅が狭いため歩いて進みます。

ダム上、中央には待避所を兼ねたスペースがあり、そこには「仙台環境開発 大倉ダム」の看板がデーンと置かれています。

「仙台環境開発」というのは会社名で、同社がスポンサーとなってダムの維持管理を行なうのだそうです。そうした意味を込めて同社と宮城県の間でこのダムの愛称を「仙台環境開発 大倉ダム」とするネーミングライツ(命名権)契約が締結されたそうな。こうしたダムに対するネーミングライツの導入は全国で初めてのことらしい。ふーん。その意義についてよくわかりませんが、まあ、そういうもんなんでしょうねえ。


その近くには大倉ダムの案内板があります。それをなんとなく読んでいたら…

あれれ、確かにアーチ式ダムなんですが、その形は一般的なアーチ式ダムとは違うんですね。二つのアーチが繋がっていて、その形はまるでお尻のよう(笑)

こちらの概要はリンク先の説明よりも詳細に記されています。上の築造経緯を正確に記すと、昭和25年(1950年)8月に襲来したヘレン台風による大豪雨を受けて、同年より宮城県がダム調査に着手。同31年(1956年)から建設省の直轄事業となり、同33年(1958年)4月から建設工事に着手。同37年(1962年)3月にダムが完成した後、ダムは宮城県が管理することになったようです。


ダム上、中央から左岸側を眺めると、ダムがもうひとつあるように見えますね。


ダム上、中央から見た貯水側の景色。


一方、下流側はこんな感じ。


ダム上、中央から左岸へ行く途中には左岸農業用水取水塔があるんですが、その壁にも水利使用標識が。この目的はもちろん農業用水の確保です。


左岸に来ました。そこから見たダムの様子。これだけでも立派なダムに見えますよね。

ちなみにそこに見える非常用洪水吐を下から見ると、こんな感じです。


ダム築造の背景には悲惨な出来事があったわけですが、さすがは旧建設省だけあってそうした事実をきちんと案内板で説明しています。見学者からすると詳細な記述は本当にありがたい情報であり、「いい仕事」をしているなと感心させられますね。
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