ライターの脳みそ

最近のマイブームはダム巡りと橋のユニークな親柱探し。ダムは目的地に過ぎず、ドライヴしたいだけ…。

悲願成就!…鴻ノ巣ダム

2022-01-05 06:55:34 | 福島(ダム/堰堤)
どーも、ワシです。今回は福島県相馬郡新地町駒ケ嶺(そうまぐんしんちまちこまがみね)にある地蔵川水系の鴻ノ巣(こうのす)ダムを訪れます。場所は常磐自動車道の新地インターチェンジのすぐ東側。

まずはダム下から見た様子をご覧ください。左岸側に洪水吐があるのがわかりますね。



ダム横へ行ってみましょう。一旦広い道へ戻り、日本で唯一馬を祀るという子眉嶺(こびみね)神社近くの道をダム方面へ向かって登っていきます。余談ですが、この神社のサイトを見てビックリ。ここの神主はアニメヲタクですか!全くもって神社感がないなあ(苦笑)

坂を登り切るとちょっとしたスペースがあります。そこには「鴻ノ巣ダム案内図」が。まあ読めますが、そろそろ修繕する時期なのかも。



近くには「鴻ノ巣ダム」と記されたプレートが嵌め込まれたモニュメント。この形はダムの形状を表しているんでしょうね。



その別の面には「定礎」と記されたプレート。1973年10月とあります。



また別の面には工事概要が記されたもの。ダムの諸元が書かれています。



この隣には「悲願成就」と題された石碑。それによれば、この地域は耕地が狭小かつ不整形で農道も少なく用水路も整備されていなかったため、日照りの年は旱魃、雨量の多い年は水害に悩まされていた。それが原因で江戸時代より昭和の時代まで生活水準が上がらないことにつながっていたようです。

戦後食料問題の解決が深刻になってきたため、まずは灌漑用水の確保が重要との結論に達する。そこで水不足を解決するため駒ケ嶺地区は1966年から相馬市と協議し梅木沢ダム建設委員会を立ち上げる。そして調査の結果、このダムだけでは貯水量が足りないことが判明。不足分は宮城県の阿武隈川水系の雉子尾川(きじおがわ)から分水してもらおうということで宮城県側の水利組合と折衝する。

ところが同組合は利権の関係で難色を示したため梅木沢ダムの建設は中止となる。そこで再度駒ケ嶺地区を調査したところ「鴻ノ巣ため池」に白羽の矢が立つ。こうして「鴻ノ巣ダム」は1972年に福島県の県営灌漑排水事業として工事に着工し、1978年11月に完工。その後ダム建設以外の様々な問題を解決しながら1983年3月をもって全工事の完成をみたそうな。(参考



近くには「水神」と刻まれた石碑もあります。石碑の横にある白いものはなんでしょうね。



では、ダム上を歩いてみることにします。先ほども書いたように左岸側には越流式の洪水吐があり、増水時になると水はここから溢れ出て、



この水路を通ってあちらへ流れてゆきます。



洪水吐の水路の隣にあるこの建物は「鴻ノ巣ダム操作室」。





そこからダム上を見るとこんな感じ。



ダム上、中央付近から見た貯水湖の様子。



一方、下流側はこんな感じ。



どこまでがダム上なのかわからないまま歩いてきました。振り返ってみたらこんな景色でした。



一般の見学者からすれば、ここはよくある貯水池のように見えるかもしれません。しかし地元の人々からするとここはまさに長年の「悲願」が「成就」した、命を繋ぐための施設なのでしょうね。あの石碑を見て、ちょっと感動しました。
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