「待った!」の構造

2017-12-16 00:00:34 | しょうぎ
「待った!」というのは将棋で指した手を取り消して別の手を指しなおすことで、反則であり負けになる。相撲の「待った!」は何度やってもいいことになっているし大横綱になると、負けた後、待った!したと主張することができる。将棋では、実際には悪い手に気付いていても「待った!」をすれば負けなので、とりあえず諦めるしかない。諦めずに駒を取り上げて別の手を指して負けにされ、その後タレントになった棋士もいるが、日頃から指した後、駒をトントンする癖があったのが直接原因だろう(藤井君も駒トントンをひふみんから感染されているように見える)。

実際に出現しないので、研究するのは難しいが自分のことから言うと、待った!したくなるのは、「指した瞬間」であることが多い。またセーフではあるが、指したあと駒から指を離す前なら着手終了になっていないので別の手を指してもいいのだが、これも待ったもどきと言える。何手か進んだ時に、少し前の手が悪手だったことがわかることがあるが、これは読みが浅かっただけで待ったとは関係ない。

そもそも長考して決定した手を指そうと思った瞬間に、もっと良さそうに見える手に気付き、ノータイムでその手に変更して失敗したりする。

先週書いたのだが1983年にリベット氏が有名な実験を行っていて、意志のあとに脳に電位差が起きてその後、行為が実行されるのではなく、大脳に行為実行の準備電位が最初に起きてから0.35秒後に、意志が決定され0.2秒後に実行される、あるいは意志が取り消され実行されない。ということで、最初に脳の電位差を発生させるのは意識下ではなく無意識下であるという学説があるわけだ。

将棋で言えば、30分考えるというのは意識下であるのだが、その時も無意識下で、別の手の候補が浮かんでいて、実際に駒を動かす瞬間まで脳の中に二種類の手があるということだろう(直感と精読といってもいい)。

つまり、人間の脳の構造上、どうしても防げない現象のようにも思える。


ところで、「待った」というコトバだが、これも変な感じがする。待ったするのは自分であるのだから「待ったはいけない」と自分に怒るようなものだ。

もしかしたら、相手に対して、「次の手を指すのは待ってくれ、「待った」して別の手を指すから」と要請する目的なのだろうか。待ったする上、相手に次の手を指さないように命令するとは将軍様のような態度だ。やはり語源もよくわからない。


さて、12月2日出題作の解答。

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角の三段活用である。行ったものが戻ってくるというのが妙な味だろうか。

動く将棋盤は、こちら


今週の問題。

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最初の方が難しいかもしれない。詰みそうで詰まない筋が多い。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ、正誤判定いたします。



ソ-93 清酒 初桜

2017-12-15 00:00:38 | あじ
寄付金交換会の結果、頂いた清酒が『初桜』という清酒。石川県珠洲(すず)市である。

昨年は宗玄酒造という地元の大手のメーカーの『宗玄』をいただいたのだが、今年は交換率が規制されたせいもあり、家族四人で経営されている桜田酒造さんの『初桜』をはじめ3本をいただく。創業が1914年。創業103年である。能登半島の本当に先の先にある酒蔵である。

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地酒だけあって、サラサラではなく、やや粘度を感じる舌ざわりであり、甘口かと思わせ辛口のようでもあり辛口のようで甘口のようにも思える、実に特徴を感じる。なんとなく甘口と辛口の間の部分を抜き取って別の銘柄にしているのではないかと考えてみた(以前、勤めていた石油会社では、そういうことはよくあるので)。純米酒に『大慶』という銘柄があるが。(中国が北朝鮮に無償供与している原油の銘柄は大慶原油というのだが、関係ないはずだ)

ところで、ラベルを読んでいると、この桜田酒造の住所がおもしろい。

石川県珠洲市蛸島町ソ部93番地。

まず、最後の「ソ部93番地」。ソ連みたいな表記だが、略して「ソ-93」となるようだ。地図を見ると、周囲には「ソ-」だけではなく、「ナ-」とか読み取れる。明治以降現代にいたるまでに、(集落)を地名ではなくアイウかイロハかわからないが記号化していたのだろうか。初めてみた。

次に、町名の「蛸島」。今回引退する女流棋士の蛸島彰子(71)さんのことを思い出す(私も以前教えてもらったことがあり、相入玉の引分けになったことがある)。よく考えると、昨年に珠洲市の銘酒を知ったのは地元出身の女流棋士である井道二段の推薦があったからなのだが、蛸島五段もなんらかの縁があるのだろうか。

そして、調べると、「蛸島」という苗字は、全国で約110世帯あって、約600人の方がいらっしゃるようだ。しかし、北海道と青森にそれぞれ40世帯ずつがあって、その他の県には数世帯ずつ分散しているようだ。北海道には青森から移転したのだろうと予測がつくのだが、石川県には数世帯ということのようだ。

さらに、蛸島学童殺人事件というのがあって1965年に学童が誘拐、殺人された事件があり、町の全員(2500人)のアリバイが調べられ、少年Aを逮捕したが、アリバイが判明して冤罪確定。さらに別の少年を逮捕するも、これも冤罪。結局、未解決事件になる。もっと調べてみたいが地元の人たちは忘れてしまいたいのだろうから、ここまでにする。

張り手王に沈められるのは

2017-12-14 00:00:31 | スポーツ
貴ノ岩問題とは別なのだが、横綱白鵬の相撲の取り方にいくつかの「?」が付いている。

まず、「かちあげ」。肘の周りに厚さ1センチを超えるような大型サポーターを巻いて、相手の顔の当たりを狙って下から上にアッパーを食らわす。本来の相撲的な技は、体当たり、頭突き、突っ張りといったところだから、相撲の範囲を出ているかもしれない。ケガを保護するためのサポーターではなく、かちあげした時に傷めないようにあらかじめサポーターをするというのはどういうことなのだろう。一方、一部ではエルボーではないかという人もいるが、ひじ打ちはそもそも禁止されていない。拳でのパンチは禁止されている。

次に「張り手」。相手の出足を止めるのに気勢をそぐかのように顔に平手打ちをするのだが、相撲のプロの頂点なのに恥ずかしくないのだろうか。もっと振りかぶって一発で仕留めるというようなものでもなく(それはそれで問題だが)、格下力士が張り手のお返しをしにくいことを知って使うのだからパワハラなのだろう。ルール上は両手で同時に耳の付近を張るのは禁止になっているが、物理的に両手打ちは無理だろう。さらに顔の前に手を伸ばすという奇手も使う。かつて輪島という怪しい横綱が使っていた衝撃緩和策だ。それくらいはいいだろうか。

さらに、俵の外に出た相手に、「ダメ押し」。負けた相手は力を抜くので、大ケガの元だし、他のスポーツだったら「レイトタックル」となり退場処分で2試合出場禁止とかなる。


ここで、18世紀の終わりから19世紀の初めに活躍した雷電為右衛門のこと。生涯254勝10敗2分14預かり5無勝負41休。無勝負とか預かりとか多い。無勝負とは現代の「同体取り直し」。預かりとは取組終了後、何らかの横やりが入り審議が行われ、結果としてうやむやになること。おそらくその全部が雷電の勝なのだろう。史上最強力士で、身長197センチ体重172キロと言われる(体重を計ったのだろうか)。

先に書いておくが、当時の勝敗表は現存するが、伝承されている事項とは矛盾することが多い。根も葉もないことは伝承されないだろうが完全な真実はわからない。

やたらに強かったので、講談や落語の世界でいわれているが、いくつかの技を禁止されていた。「張り手」「鯖折り」「かんぬき」「鉄砲(突っ張り)」。ある程度は真実なのではないだろうか。この預かりとなっているのが怪しい。老横綱(大関)小野川との一戦は雷電が勝ったが、諸般の都合で「預かり」とされたとされている。これを伝え聞いた小野川の母は名誉を傷つけられたと怒りの自害をした。


さらに大横綱の白鵬と貴乃花の板挟みになっている八角理事長だが、この八角という力士名が雷電に関する講談や浪曲に登場している。雷電は強すぎるので、はじめから西関脇としてデビューしている。その場所の初日(あるいは三日目)にあたったのが八角であった。

そして勝負は一瞬で終わる。雷電の張り手一発で八角は血反吐を吐き、土俵に沈む。そしてその日が彼の命日になった。と言われる。そしてさらに話は続き、八角の敵を討つため大岩という力士があらわれ対戦するのだが、雷電は大岩に両まわしを取らせた上、その上から両腕を締めあげ骨折させてしまったとなっている。

そうなれば、張り手王と八角親方の対戦など、結果は知れているのではあるが、実際には雷電のデビュー場所の初日は「鈴鹿山」、三日目は「出水山」と対戦している。むしろ二日目に当たった「時鐘」は三日目以降休場。その後の場所も多くは休場を余儀なくされ番付から姿を消している。

また、八角とか大岩という力士も当時の番付には見当たらないようだ。

「くじけるな」は違うなあ・・

2017-12-13 00:00:04 | 市民A
最近、自宅近くの県立高校の校門に掲示されているポスターが気になった。

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「少年非行の防止」という大テーマに対し、「悪の手に 乗るな、染まるな、くじけるな」ということなのだが、「悪の手」というのは端的に言って「犯罪者」ということだろう。「乗るな」は「仲間になるな」ということだろう。「染まるな」は「親しくするな」ということであろう。ここまではわかる。

犯罪者の仲間になるな、親しくするな。

そして「くじけるな」とは意味がわからない。「犯罪行為をして逮捕されてもくじけるな」ということだろうか。「犯罪行為に失敗してもくじけるな」ということだろうか。「犯罪者に対してもくじけることなく戦おう」ということだろうか。


そしてポスターの左下には、神奈川県警察と書かれている。言ってはなんだが、座間の9人殺人でも神奈川県内の失踪者の捜査でも解決できずに、警視庁が最初に尻尾を掴んだ。思えばオウム真理教事件の時もその後の事件に繋がっていく坂本弁護士一家殺人事件が解決できなかった。

東名危険運転致死傷罪は、証拠がたくさんあってやっとたどり着いたが、川崎トンネル内殺人事件の犯人とされる人物は別件の服役刑期終了直前に奇妙な自首を行った。自首した男は重篤な病気持ちなので刑務所にさらにいたいのではないかと疑いを持っている。まもなく自首から2ヶ月なのだがいまだ送検されていないようだ(鑑定留置中)。事件当初から疑われていたが証拠がなく逮捕できなかったのだが、証拠がないのは今も同様だろう。怪しい自供に乗せられて檻の中に入れても、治療費、入院費が国費持ちで、長々と裁判を行い、最後に一転否認で無罪獲得を狙っていることを恐れているのだろうか。

魚影の群れ(1983年 映画)

2017-12-12 00:00:32 | 映画・演劇・Video
『魚影の群れ』は1973年に吉村昭が書いた小説『海の鼠(映画公開と同時に「魚影の群れ」と改題)』を原作とし、小説の舞台となった青森県出身の相米慎二監督により1983年に映画公開された。

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今でこそ、誰もが知る日本最高品質のマグロの水揚げ港である青森県の大間漁港を舞台に濃密な関係の家族関係やマグロと人間の見分けがつかないほどのめりこんだ漁民の思いが描かれている。

主たる登場人物は、老漁師(緒形拳)、その娘(夏目雅子)、娘婿(佐藤浩市)の三人でその他の登場人物の数は少ない(十朱幸代、三遊亭円楽など)。

吉村昭の小説は余りにも大量であり、毎年数冊は読んでいるのだが、とうてい制覇できるとは思えないのだが、悲しい話を比較的、淡々と記載する傾向を感じているのだが、本作の映画の中では、悲しい話は淡々とではあるが、最終的に不吉な結末に向かっているような予感が漂っていて、観ていて徐々に心が重く沈んでいく。そしてその通りになる。

そして、書いておくべきが本映画に関係する人たちのその後の運命。多くの方は急ぐように鬼籍に入っていく。

 夏目雅子  1985年 27歳
 相米慎二  2001年 53歳
 吉村昭   2006年 79歳
 緒形拳   2008年 71歳
 三遊亭圓楽 2009年 76歳

なお、映画の中で一人だけ亡くなった佐藤浩市はその後、芸を重ね、不肖の父である三國連太郎の域に近づいているようだ。三國連太郎は「釣りバカ日誌シリーズ」の準主役であるが、父の真似をして息子がマグロ釣りの映画に出演したのかと思ったが、「釣りバカ」より前に「魚影の群れ」が公開されていた。三國連太郎(2013年 90歳)。

祟り?

2017-12-11 00:00:14 | 市民A
富岡八幡宮の凶行(宮司暗殺)だが、何となく引退横綱の祟りではないかと感じてしまう。境内の『横綱力士の碑』には代々の横綱と、史上最高力士と言われる大関雷電為右衛門の銘板が並んでいる。大相撲はこの富岡八幡への奉納という形で始まったとされ、横綱昇進の際には土俵入りが献じられる。(ただし、鶴竜は昇進時にデング熱が流行した事情があり、感染防止のため土俵入りを行っていない)

引退横綱は優勝回数も9回と中途半端、帰化申請も中途半端、割り切れない気持ちなのだろうが、いかに理由があったとしても犯罪行為はいけない。宮司の暗殺と同じだ。

祟りと言えば、富岡八幡宮が200年にわたって抱えている大きな祟りがある。事件は文化4年(1807年)8月19日に起きた。当日は富岡八幡宮の例大祭の日で、多くの江戸市民が集まり、神社に行くため、隅田川の下流にかかる永代橋(えいたいばし)に大勢が押し寄せた。木造の橋はその重みに耐えかね、一挙に崩壊し、そのまま川に流されてしまったそうだ。死者は1400人と言われている。多くの事故の場合と同じように奇跡的に助かった人の話が残っていて、道中でスリに財布をすられて祭り見物を諦めた結果、助かった上、奉行所から自分の遺体を引き取るように通知がきて、行ってみると故人の懐から見つかった財布の中に自分が書いていた住所と名前の紙が見つかったという話とか。

狂歌師、大田南畝は「永代とかけたる橋は落ちにけり きょうは祭礼あすは葬礼」と狂歌の極みを詠んでいる。

永代橋は、関東大地震でも火災から逃げ落ちた無数の東京市民とともに川に落ちたが、犠牲者の数は特定されていない。(もちろん、この事故は富岡八幡とは無関係。)


永代橋、日馬富士、暗殺。本来なら、御祓いをするのが神社の役目であるのだが、御祓いを受けなければならないような気がする。

しかし、全国には宮司の後継者がいない事態に追い込まれている神社もあるし、また有名神社ではその激務のため血筋上の後継者が宮司を断る例もあるようだ。富岡八幡宮でも一介の神官として神の道を追求するのであれば争いも起きなかったのだろうが、なにか別の道を追求したかったのだろうか。

旧江戸川乱歩邸

2017-12-10 00:00:52 | 美術館・博物館・工芸品
池袋の立教大学の敷地内に旧江戸川乱歩邸がある。日本におけるミステリーの父である。

乱歩は早稲田大学出身でありながら、立教大学に接する場所に住んでいたのだが、合理的な説明を読んだことはないので、たぶん偶然なのだろうか。

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ともあれ、立教大学は結局、乱歩研究の拠点になっている。

現代的に言えば一等地であるが、当時はそうではないだろう。かなり静かすぎる環境だったのだろう。よく浅草や銀座に江戸川乱歩ご愛用の食堂というのがあるが、この巨大書庫付きの家の他に住宅があったのだろうか。生涯40回以上の引越しをしたというのだが、書庫の中の書物や雑誌をそのつど運んだとは思えない。

晩年には多くの仕事があったようで、家が一軒だと編集者の督促から逃げるのが難しかったのだろうか。

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乱歩の作品は多岐を極めるが、探偵もの、怪奇、エロ、少年少女向けどちらかというと怖い。私も大量に出版されている乱歩の文庫本を片端に読んでいたことがあったが、ストーリーの展開が早いのが特徴だろうか。

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ところで、彼の作り出した様々なキャラクターだが、有名なのは明智小五郎、小林少年、怪人二十面相あたりだろうか。

詳しく調べると、明智小五郎探偵だが、1924年に「D坂の殺人事件」に初登場し、雑誌「少年」に1年間(1962年1~12月)連載された『超人二コラ(黄金の怪獣)』で活躍した後、行方がわからないようだ。

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誰か探し出して、もう一回働かせてくれないものだろうか。

なお、乱歩の没後(1965年)、52年が経過し、少しずつ青空文庫に収録されているようだ。TPPで米国が不参加のため著作権が75年に延長されなかった効果だ。三省堂書店では、青空文庫をプレゼント用に製本するサービスを提供(有料)している。主に、宮沢賢治関係が多いらしいが、嫌な交際相手にお別れのしるしとしてバラバラ物に真っ赤な表紙を付けて送ってみたらどうだろう。結果は知らないが。

羽生永世七冠の記録をみて

2017-12-09 00:00:04 | しょうぎ
羽生永世七冠の記録を見ていて気付いたのだが、苦手な相手をそのうち完膚なきまで叩いていることに気付く。

例えば、負け越していた渡辺元竜王には最近10局で9勝1敗と勝ちまくって通算40勝35敗にしている。善戦していた深浦九段にも途中で10連勝して大差をつけている。3連敗した広瀬八段にも14勝6敗。現在は佐藤天彦名人に5連敗して負け越しているのが気になるが、過去の例からいうとどうなのだろう。相撲では、白鵬が負けた相手や強敵に対して策を巡らせるのが得意で今回も二人の強敵を土俵外に追い出したが、将棋の場合は昨年大騒ぎがあったが、誰も追い出されなかった。

ここで、七冠が「悔しかった時」を探ってみたのだが、順位戦で苦労している。C2もC1も1年目は8勝2敗で、頭はね。どちらも翌年10連勝で昇級。B2は1年目も2年目も8勝2敗だが、幸運にも2年間で昇級。B1は驚異の11勝1敗でAは7勝2敗で同率の谷川九段との決戦に勝ち名人挑戦、そして獲得。

もう一つ悔しかったのは永世名人の座に先に森内九段に座られてしまったことだろうか。誰しも意外に思ったはずだ。

あと一つ挙げれば、木村八段に一手トン死を食らったことだろうか。それ以降、相手棋士が羽生マジックに疑いを持ちはじめ、粘るようになり、簡単に勝てなくなったような気がする。

次の目標記録は一つはタイトル100期(現在99期)。もう一つはあと42勝となった史上最高勝数(大山康晴:1433勝)だろうか。仮にペースを落としても2年だろうか。タイトルを全て失っても棋士を続ければ楽勝なのだが、某横綱や元大関のように記録のために棋士を続けるとは思いにくいので、想像がつかない。

もっとも谷川永世名人は加藤一二三氏のようになりたいと表明したらしいので、その意味がタレントになりたいのか棋士を続けたいのか判然としないが、棋士を続けるのなら現在の1280勝をどこまで伸ばすのか、これも想像がつかないが1400~1500勝ではないだろうか。


さて、11月25日出題作の解答。

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2九に打った金が5段目までうなぎ上りになる。

動く将棋盤はこちら


今週の問題。

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手数は一桁である。出題後、待った!したくなるほど簡単。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ、正誤判定いたします。

リベットの実験の周辺

2017-12-08 00:00:48 | 市民A
「リベットの実験」といっても、鉄杭の強度検査の不正を暴こうという話ではない。アメリカの神経学者のベンジャミン・リベット(1916-2007)氏が1983年に発表した、科学史に残る「自由意志の存在に疑義がある」ことを実験したことである。

もともと、私は将棋の有段者であるが、人間とAIの頭脳の差について色々調べているうちにこの重要な実験があることがわかった。

実験方法について様々な疑問がでているのだが、数値的な誤差の話であって基本的な核論ではないので、結論から書いてみる。

実験は、被験者に好きなタイミングで手を動かすことを指示して、その意志と、脳の動きと手の動きの時間の関係を確認するというもので、普通に、機械操作のように考えれば、

1.手を動かそうと決断する
2.脳が反応して電位が変化する
3.手が動く

と思われるが、それが違うわけだ

1. 脳が反応して電位が変化する
2. 手を動かそうと決断する
3. 手が動く

これが、仮に野球選手の顔にボールを投げると考える前に手が出る、というのと異なるのは、被験者に対して、「好きな時に手を動かして」ということなのだ。だから、文字通り好きな時を選んで、さあ手を動かそうということになって手が動くということになるはずが、ならないわけだ。

時間的に言うと、手を動かそうと思う約0.35秒前に電位に変化があらわれるそうだ。そして、動かそうという意思を持ってから0.2秒後に手が動く。合計0.55秒。この実験は再現実験で、さらに精緻化して、実際に手を動かす0.2秒前までなら手を動かさない決断がとれるということ。つまり、単純に考えると無意識のうちに脳が手を動かすことを決め、その決断を意識した瞬間に「やめた」と思えば手は動かないが、思わなければ手が動くということになる。

もう一つ、切り口が違うのだが有名な仮説があって、人間の知覚と現実の時間差であるが、たとえば殴られて痛いと感じるには時間差があって、0.5秒程度かかるのだが、その時間差を脳は補正して同時に感じたように調整するらしいということ。

もちろん、にわかには信じられず、鏡の前で動いてみて、目から入る情報と実感している体の状況では神経の長さも異なり、タイミング差が出そうだが、そんな話は聞いたことがない。

いずれにしても、コンピューターやAIといった世界より人間の意識はかなり複雑な仕組みになっていることがわかってきたようだ。

昆布〆の珍味

2017-12-07 00:00:36 | あじ
富山県の名物である昆布〆を高松屋の平目と白海老でいただくことになった。

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パックには、『伝承逸品 昆布〆 うまいのか・・・高いのか』と謎のコトバが書かれている。二枚の昆布の間に、平目や白海老がサンドイッチになっていて、魚介の肉に昆布のエキスが浸み込むようになっている。平目と白海老と言えば、味は淡白ながら上品とされる2トップだ。

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今まで食べた昆布〆の中では最も高額なのだろうと、貰い物ながら推定できる(合わせて5000円位)。

時々、格別美味しいものを食べるというのが、食に対する興味が尽きないようにするコツなのだろうか。

追記:昆布と魚介の組み合わせと言えば「合わせ系のラーメンのスープ」ということになる。ブイヤベースにコンソメ入れても旨くないのに、不思議だ。

スローターハウス5(1972年 映画)

2017-12-06 00:00:58 | 映画・演劇・Video
カート・ヴォネガット・Jrの小説(1968年)を映画化。さまざまな評を読むと、わかりにくいという声が多いが、実際には小説の方が映像がなく文字なので、もっとわかりにくい。

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彼の小説はほとんど読んでいるので、特にわかりにくいとは思わないが、ドイツ軍の捕虜としてドレスデンで強制労働させられているときに、第二次大戦でもっとも大量の爆弾がこの旧都に無差別に降り注ぎ、10万人以上詳細不明という犠牲者を出している。

その爆撃の恐怖と、焼き尽くされた都市の廃墟や無数のご遺体の記憶が、彼の精神を破壊してしまうわけだ。

その破壊された脳に基づいてストーリーが展開されるため、時間の流れが乱れたり、別の惑星の上に行ったり、自分の未来を予測したり、そういうことになる。

実際、夢の中の世界と思えばそれなりに理解できるのではないかと思うわけだ。

ところで米英二か国によるドレスデン爆撃だが、1945年2月13、14日の二日間にわたって行われた。古都であり爆撃されないと市民が集まってきたため、被害が拡大し死者の全貌もつかめていない。この爆撃の後、3月10日に東京大空襲があった。米軍は京都を爆撃対象からはずしていたのだが、目的は原爆投下であったのだが、ドレスデン爆撃に対する世界的批判があったため、投下予定地を変えたともいわれる。

「医学生」(南木佳人著 小説)

2017-12-05 00:00:12 | 書評
先日、「ダイヤモンドダスト」を読んだので、さらにもう一作南木文学を追求してみた。本作も作家の実体験を素材にしていて、実際のモデルはいないそうだが、新興の秋田大学医学部に何らかの事情を抱えながら入学した4人の若者(でもない人も含まれるが)の医者になるまでのエピソードを描いている。

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野球の投手で言えば、「ダイヤモンドダスト」は勢いのある短編集なので、9回裏に登板するリリーフピッチャーのような鋭さがあるが、本作は先発ピッチャーが、様々な変化球を駆使して9回を投げ切るというような小説の技を見せている。

もちろん、本人がそう感じていたのだろうが、出身校を三流大学と決めつけているのだが、私の出身学校もそう威張れるレベルではなかったが、まあそれ以上でも以下でもない程度には卒業校として愛着の欠片程度は持っているのだが、小説家というのはそんな甘い考え方ではいけないということなのだろうか。

なお、まったく個人的話だが、作家より2才年上の人で秋田大学の鉱山学部を卒業した人を知っていた。いかにも秋田出身の朴訥な感じだったが静岡県出身だった。この小説に書かれた学生たちのように、なんらかのネガティブな事情があったのだろう。いつもネガティブなことを言っていた。

もう一人、今でも親しい人で、だいたい作家と同じような年ごろの方で、10年遅れで山形大学医学部へ入学して苦節、山形県で開業医となった先生を知っている。某有名私大理工学部→某有名国立大学工学部→某有名国立大学教育学部と東京六大学を転々として卒業後、就職。2年後に退職し1年間の受験勉強で山形大学医学部に入り「自分探しの旅」を終了。ただし、小説は書かない。

まあ。5回も退職金をもらった人間が書く話ではないのだが。

「世界の中心で、愛を叫ぶ(2004年 映画)」

2017-12-04 00:00:20 | 映画・演劇・Video
時間をかけてベストセラーになった恋愛小説(2001年)が漫画になり、この映画になり、テレビドラマになり、舞台劇になり、韓国でパクリ映画化され、中国でもパクリ映画化されたのだが、「丹念に作られたストーリー」なのだろう。

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17歳の高校同級生の恋愛が「信頼」を基に少しずつ時間をかけて築かれていくという現実的でない設定は、古典ギリシア劇やシェークスピア劇では悲劇の序章を意味していて、勘のいい観客は、幸せの絶頂の時にふいに出てくる「白血病」という軽いジョークが、その後の大暗転を予感させるし、女性校長先生の死が、重要な登場人物である写真館の老写真師の骨泥棒につながるし、それは映画の結末にもつながっていくわけだ。

映画の中のストーリーに何気なく登場するパーツが、後の展開で生きてくる小技が随所にあるわけだ。

そして、時代的には17年前と現代が台風29号によって、突然にリンクする仕掛けになっていて、後半は濃密な心理描写が連なっていく。

17年前のシーンは長澤まさみの出世作であり、後半の現代のシーンでは柴崎コウが活躍するはずだが、少し負けている感じだ(それはシナリオの問題なのだが)。本来、「セカチュー」がベストセラーになったのは柴崎コウの貢献もあるのだが、年齢的に17歳の方を演じるのには無理があったのだろう。

同年にテレビで放映されたドラマの方は綾瀬はるかが登場したのだが、つい最近、「セカチューで自分の女優としてのイメージができた」と述べたそうだ。心理面を演じるのに難しいところがある役なのだろうと思う。

一方、「セカチュー」の世界観を否定的に評価する人たちも一定数いるようだ。「ストーリーに新規性がない」とか「結論が違うのではないか」など。また、表現的には「ロメオとジュリエットと似ている」、「ノルウェーの森と似ている(私もそう思う)」と感じるところはあるが、人類の普遍性からいうと、ある程度、筋立てが似てくるのは、理解するべきだろうと思う。

犬印

2017-12-04 00:00:14 | マーケティング
犬年にちなんだものが、あまり思い当たらないので、極私的話題だが、愛用のバッグについて。製作が「犬印鞄店」。浅草の本社ビルでは二階の直販所では、ミシンでバッグを縫っている脇で購入できる。犬印といえば妊婦の腹帯で有名だが、鞄店とは何の関係もないそうだ。

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帆布製のバッグで、雨の日でも鞄の表面が濡れるだけなのだが、実際にはジッパーを開けたままにしていて、中まで濡れたことがあるが、自己責任だ。

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大小二つの鞄を使っているのだが、中サイズがあると使いやすいかも。大サイズの鞄は旅行の時には便利だが、電車の座席に座って鞄を横向きにして膝に乗せると、膝からはみ出してしまい、隣の方の膝を借りなければならない。小さい方はA4版の資料がギリギリなので、クリアファイルに入っていると、ファイルを捨てなければ鞄に入らない。

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最近、黒犬印というブランドを増やしたようだが、ロゴを点検すると、通常の犬印ロゴを白黒逆にしただけのようにも見える。

あえて言うと、丈夫過ぎて、将来、古びても捨てるべき時期を逸するかもしれないと予感する。

未来へ(都特別支援学校アートプロジェクト展)

2017-12-03 00:00:26 | 美術館・博物館・工芸品
青山の伊藤忠青山アートスクエアで開催中の「未来へ~心ゆさぶる色・形~」。

特別支援学校では、特に芸術教育を推進しているそうだ。都内の69校から813点の応募があり、50作が表彰されるそうだ。

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主に高校生の年齢の方が多いようで、いずれの入選作も、製作者しか表現できない自分だけの世界観を持っている。常人は絵画の常識にはまってしまい表現力がそこなわれているということなのだろうか。