ア-58 麦焼酎 ちょんがりぶし

2017-12-22 00:00:27 | あじ
先週紹介した「ソ-93 清酒 初桜」についで、「ア-58 麦焼酎 ちょんがりぶし」。これも能登半島のほぼ先端にある珠洲市の酒造所の製品。

chongaribushi


日本発酵化成株式会社という製造所名が書かれている。場所は、珠洲市野々江町ア部58番地。略してア-58。よくわからないが、各町毎にア、イ、ウとあるのか、珠洲市全体でア、イ、ウとなっていて、重複的に町名が付くのだろうか。行けばわかるのだろう(行かなくてもわかるが)。

会社の名前に「能登」とか「珠洲」とかではなく「日本」となっているなら巨大化学会社なのかと思えるが、どうもこの地区だけの会社で、数種類(10種以下)の醸造を行っているようだ。確かに日本列島は東西南北に長いし、本州は太平洋側に凸になっているので、領土の中間位置は能登のあたりかもしれない。

そして、麦焼酎のイメージがまったく変わる一品だった。

普通、芋焼酎や米焼酎は味が濃厚で少し癖があり、麦焼酎や蕎麦焼酎はあっさりとして臭みがなく飲みやすいとされている。特に芋焼酎でも20年前の薩摩白波は翌日の仕事に差しつかえるようなとんでもない強烈な味だった。一方、麦焼酎は「いいちこ」、蕎麦焼酎は「雲海」という飲みやすい味が日本人の共通認識になっていたような気がする。

ところが、・・・

「ちょんがりぶし」は、それらの「マイルド」とか「スタイリッシュ」とかいう単語とはまったく無縁の世界だった。飲みやすいことをまったく意識していないわけだ。言い換えれば焼酎業界の貴乃花ということだろうか。なれ合い感なしだ。

この焼酎を飲んで、「麦」と答えられる人はどれだけいるだろうか。数%ではないだろうか。個人的意見だが20年前の薩摩白波よりも植物が発酵した時の味や香りが漂う。

ちびちびと毎日、杯を重ねているが、なかなか味に慣れない。能登産の大麦を使っているそうだが、石川県では大麦は二条麦ではなく六条麦を収穫しているそうだ。

江戸時代、加賀百万国の支藩であった能登藩は門外不出の加賀料理の食材の宝庫だったそうで、映画「武士の献立」では、加賀藩の「包丁サムライ」こと西田敏行とその倅の嫁である上戸彩が能登の食材を求めて山海を放浪するのだが、この麦焼酎は能登の面目躍如ということだろうか。

直近のニュースでは、奥能登名産の大シイタケ「のとてまり」6個で17万円でことしの初値が付いたと報じられた。フランス人シェフのお買い上げだそうだ。

なお、「ちょんがりぶし」とは能登の盆踊り唄であり、加賀では「じょんがらぶし」、富山では「ちょんがれぶし」と言うそうだ。いずれも地域独特の地唄であり、うまく歌えないと「幕府の隠密」であると断定されたのだろう。