なんでも鑑定団、ついに世界レベルのお宝発見!

2010-12-21 00:00:38 | 美術館・博物館・工芸品
kantei12010年12月14日は、満17年になるテレビ東京の長寿番組「なんでも鑑定団」にとって、記念すべき日になった。驚愕の骨董。驚愕の鑑定額。

鑑定依頼人は囲碁棋士の尾崎宏氏。8年前に退役したということで、別途日本棋院のHPで調べると、二段の先生だった。お兄さんも棋士で、こちらは七段。だから、棋士として大活躍した、というでもないのだろう。

そして、この話は1964年に飛ぶ。当時、知人の紹介で尾崎氏はニューヨークへ渡り、国連などで教えていたらしい。そこで親しかったある女性から、尾崎氏の新品のカメラ(キャノン)を所望され、代わりに金属製の壺を渡されたそうだ。カメラは今の感覚だと80万円ほどのもので、かなり思い切ったわけだ。


kantei4そして、月日が流れ、尾崎先生が独自で研究すると、壺はかなりのものではないかと思うようになり、テレビ出品ということになった。

本人評価額は200万円ということだが、誰も信じないわけ。そこで、からくさ鑑定士とも呼ばれる中島誠之助氏が、慎重に鑑定を始めたわけだ。

実は、この日、高額物件が登場という噂は知っていて、さらに、番組の最後に、この青銅の壺が登場したのだから、これが高額物件なのはわかっていたのだが、そうなれば、この形は3000年以上前の殷の初期の時代のデザインと同じではないだろうか。しかし、そんな世界の宝みたいなものがニューヨークでカメラと交換されるなんて、考えにくい。



そして、緊張のオープンプライスは?

kantei2200,000,000である。2億円。

あまりの興奮にレギュラー出演者も声が上ずり、何か意味不明なことをしゃべる。やっと中島氏が講評することになり、「殷初期の作」と私の見立てと同じことをしゃべる。「この番組が始まって、満17年。はじめて世界的なお宝とめぐりあえました」ということがそうだ。


kantei3興奮した、尾崎さんは、「寄付する」といったのだが、たちまち出演者にいさめられ、「売って得た代金で、小さな囲碁会館を建てて、普及に使う」ということになったようだ。

だが思うに、サザビーとかのオークションに持ち込めば、鑑定額のさらに10倍の値が付く可能性すら考えてしまう。

ところで、1964年の頃の中国だが、なぜお宝がアメリカにあったのか。

これは私の推測だが、当時の中国の社会的混乱ぶりからして、心ある中国のコレクターがあえて、海外(アメリカ)に世界的文化遺産を逃避させた、ということではないのだろうか。