海の幸、山の幸か

2010-12-30 00:00:49 | あじ
鹿児島に行ったと言うと、年輩の方は、「薩摩揚げばかり食べさせられた」と過去の経験を思い出して、辟易のコトバが出てくることがある。確かに、薩摩揚げは薩摩の食材で、そういうこともあったかもしれない。ただ、薩摩揚げは、私の好物の一つなので、実際に、薩摩揚げばかり食べたとしても文句を言うことはないのだが、実際に自分で料理屋で食べるとなると、わざわざ薩摩揚げを注文したりはしない。胃袋の大きさにも巾着袋の大きさにも限りがあるわけで、優先度は下になる。

それで、お昼に黒豚かつと野菜フライを食べたにも関わらず、肉類から攻めることになる。

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薩摩地鶏の串焼きと、黒豚の串焼き。撮影するまでに、早くも本数が減ってしまう。

この焼鳥や焼き豚が絶妙なのだ。堅さが妥当で、一口噛めばすぐに肉汁がうっすらと口の中に拡がり、二口噛めば堅いながら肉の繊維がサクッと噛み切れる堅さで、自然と噛みしめはじめる動意となるが、これが旨いわけだ。そして、10回ほど噛めば口の中で肉はバラバラになる。

実際に、自分の飲み屋専用名刺入れの半分は、焼鳥屋かステーキ屋というほど、東京方面では焼鳥屋ファンなのだが、掛け値なしに、薩摩地鶏を鹿児島で焼くと、もう無敵になる。東京方面の焼鳥屋には、もう行けない感じだ。焼き豚しかりだ。

そして、きびなごを串刺しにして、焼き物に仕立てたものを口にしたが、これも一級品。どうも鹿児島にはB級グルメって存在しないようだ。

ただ、確か焼酎のお湯割りの飲み方は、鉄製の薬缶に焼酎と水を入れてから火にかけ、熱湯のようにしてから飲むと覚えていたが、東京方式だった。焼酎常温とポットのお湯が別々に登場。この鉄製の薬缶をどこかで入手しようと思っていたのだが、帰りの飛行機までの余裕時間が10分しかなく、捜索不能だった。

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そして次に、さつまおでん。これが、こってり味だ。東京でも大阪でもおでんをここまで濃厚に作るだろうか。すべての具材は煮詰められ、ゆでたまごの白身の中まで、汁が煮込まれている。この中に薩摩揚げが入っているが、薩摩揚げの具となる魚の肉は、最初に蒸され、次に揚げられ、最後に煮込まれたわけだ。同じ食われるにしても、3度も熱い目にあう。

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そして、刺身の盛り合わせは、何の魚かうろ覚えなので割愛し、「あらかぶ」の煮物をつつく。「あらかぶ」は福岡で食べたことがあったので2度目。考えれば、鹿児島は、農業と畜産業では全国のトップクラスだが、日本の端にあるという地理的関係で三方を海に囲まれている。西にも東にも南にも海は大きく広がっている。漁獲量の多さより、魚の種類の多様性が売りなのかもしれない。

こうして、一か月の間に、青森に行ったり鹿児島に行ったりして、好き勝手に財布をはたきながら、つくづくスウェーデンやモンゴルに生まれずに、日本で生まれたことを、海の神様や山の神様に感謝するのである。