コテコテ論序説(上田賢一著)

2010-12-07 00:00:23 | 市民A
大阪論である。

kotekoteキタとミナミの差を対比分析しているのだが、どちらかというとミナミの発展の歴史のような部分に作者の力が入っている。

実は大阪部外者から見ると、大阪の街っていかにもわかりづらい。その半面、1日でも大阪にいると影響される部分も多く、東京でエスカレーターに乗るとどちらをあけるべきか、わからなくなる。

また、名古屋でも広島でも、JRや私鉄の車内で聞く言葉は標準語のように聞こえる。だから地元弁と標準語を使い分けるのが日本の常識だが、大阪人はいつもどこでも大阪弁をしゃべる。

最近、大塩平八郎の乱の研究でもしようかと思っているのだが、まず大阪人は歴史に興味がないかのように、大塩研究とかやらないらしい。物の本では大阪の1/3が焼けたとか言われるが、どうもはっきりしない。

で、本書を読んでわかったのだが、江戸時代の大阪って小さな面積だったそうだ。ミナミのあたりはまだネギ畑とか刑務所、処刑場のような場所だったらしい。

また、鉄道にしても梅田を中心としたJRや阪急といったオモテの顔もあれば、南海というミナミに発生した路線もある。なぜ、南海電車の線路が曲りくねっているか、とか本書には、とても面白いネタが満載されていて、なかなか楽しい一冊なのだが、やや気になるのが本のタイトルである。

コテコテ論序説。序説というからには、本書の続き10冊分を出版する予定でもあるのだろうか。