深い遠望があるはずのスカイマークのA-380戦略か

2010-12-01 00:00:22 | 企業抗争
11月12日にスカイマークが発表したA-380の6機購入と欧米航空路への進出計画は、国内の航空関係者を驚かせたようだ。

全日空社長の談によれば、A-380の「8」の字が違っているのではないかと、何度も発表文を見直したそうだ。

その後の報道では、394席と結構余裕のある使い方で、シートの3割がビジネスクラス以上にするということ。目的地は、ロンドン、フランクフルト、ニューヨークということだそうだ。将来的にはさらに9機の購入まで視野に入れているとのこと。

A-380は、1機280億円ということなので、海外への初進出ということで、第一次投資分でも2000億円程度ということで、株価も急落した。


また、11月中旬には、カンタスエアで就航中のA-380が、シンガポールでエンジントラブルに陥り、緊急着陸。ロールスロイス社製のエンジンへの信頼度も急落した。


しかし、エンジントラブルについては、問題が解決し、11月27日にはシドニー発ロンドン行きにCEO自らが搭乗し飛行再開。実は、トラブルが起きた割に逆にライバルB-787よりも逆説的ではあるものの信頼感が高くなったということらしい。

というのも、エンジンはロールスロイスだけでなくGE・P&W合弁会社のものを選べることに加え、やはり4発設計というのがいいようだ。ライバルのB-787はB-777(トリプルセブン)の後継ということで2発設計である。例のハドソン川に奇跡の着陸をするはめになったのも、二つしかないエンジンの全部が止まったからで、4発機だったら、そうはならなかった。燃費的にはエンジン数が少ない方が効果的だが、それをどう考えるかだ。(それにB-787はいまだにテスト飛行中に火を噴いたり火事になったりと先の展望がないわけだ)

それで、元に戻って、経済性の話なのだが、大きく二つの理由なのだろう。積極的理由と消極的理由。

前向き理由としては、スカイマークの創業時からの大株主である「HIS社」の戦略とも関係があるのだろう。HISの顧客数からいえば、スカイマークの空席など簡単に埋めることができるだろう。グループ内自製論理である。また、格安チケットを売りまくるだけではなく、ツアー設計の核ができるはずだ。

消極的な理由だが、たぶん、HISはJALのダウンサイジング型再生に伴い、今後の航空運賃の上昇を見ているのではないだろうか。ビジネスのベースモデルを揺さぶられないようにという予防的な意味があるのではないだろうか。

もっとも、まったく異なる予言をする人もいて、「どうせ、JALは行き詰って二次破綻になるだろうから、その時にセカンドフラッグの座に座る準備だろう」ということだそうだ。

個人的にはスカイマークもいいのだが、「墜落時の補償額が大手より格安のため、発着ゲートの前に保険販売の自販機が並んでいる」という噂というか物理的事実が、単なる目の錯覚であれば、と思うわけである。