盤と駒、土地と上物

2010-12-12 00:00:17 | しょうぎ
shanchi少し前になってしまったが、広州アジア大会で新種目になった象棋(シャンチー)の日本代表、所司和晴将棋七段の記事が朝日新聞にあった。健闘空しくスイス式7ラウンドトーナメント方式で、1勝4敗2分けで17位ということ。

記事でかなり気になったのが、以下の部分。

18年前、中国の世界チャンピオンとの交流をきっかけに象棋を始めた。以来、中国へ出向くたびに何十冊もの技術書を買い込み、勉強を続けた。・・・

という部分。

以前聞いた話では、「買い込んだものの、ホコリがアレルギーをひきおこすので、開いていない」とのこと。いくつかの断片知識をつなぎ合わせた想像力豊かな記者の作文だろう。


以前から、色々な物を収集するのが好きな先生だが、最近はシャンチーの盤を集め始めたらしい。象棋駒については以前もいくつか立派なものをいただいた記憶があるが、いずれも盤は駒に付属の紙製。いかにもアンバランスであるが、なかなか1万円程度以上の盤は手に入らなかったそうだ。1万円どころか、千円以下の盤しか売られていなかったとのこと。

しかし、ほんの最近になって中国のデパートにも少し立派な盤が並ぶようになったということだそうだ。

この、駒と盤の関係だが、日本でも足の付いていない板状の平盤は駒よりも少し安いのだろうが、それでも木製の2寸、3寸盤となれば立派なものである。黄楊の彫駒に紙の盤を使う人はいないだろう。

では、なぜ中国では、そういう駒と盤の関係がアンバランスになっているかについて、ぐりぐりと考えてみたのだが、現在の中国の政治体制、経済体制の影響ではないのだろうか。

土地の私的所有権のない国。

つまり、共産主義国家であり、土地の所有権は国にあり、使用権が個人にある(時々、使用権も否定されて、五輪競技施設建設のために追い出されたりする)。だからマンションのような上物不動産には人気があるが、地面への興味はゼロということ。

土地と上物の関係が、まさに盤と駒の関係に、見合っているのではないだろうか。

それで、中国人は国外である熱海のリゾート地やアメリカの高級住宅地に高額投資を行い、日本人は中国のデパートでシャンチー盤に少額投資をするようになった、と考えれば、たぶん、少し暗い気持なってしまうのかもしれない。


さて、11月27日出題作の解答。



▲3三角成 △同桂 ▲2一角成 △同玉 ▲3三王 △2五と ▲2三香 △1二玉 ▲2二香成 △1三玉 ▲2三成香 △1四玉 ▲2六桂 △同と ▲2四成香まで15手詰。

例によって、攻撃側の王が動く構想である。まあ、軽いと言えないわけでもない。

動く将棋盤は、こちら

今週の問題。まあ、手筋を組み合わせたサービス問題。



わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と手数を記していただければ、正誤判断。