黒豚と野菜のフライ

2010-12-24 00:00:51 | たび
鹿児島にちょっとの間、行っていた。

鹿児島県は現在、農業と畜産が盛んであるが、鹿児島市に限れば、大きな産業は、「観光」だそうだ。

そして、観光の中心は、幕末の薩摩藩関連。さらにフォーカスすれば、西郷隆盛ということになるようだ。その絶対的な観光の柱に、たとえば「篤姫」とか、「竜馬の新婚旅行」とか、その頃の時代の副主人公たちのエピソードが加わり、ネタは尽きない。

だが、本当にそれでいいのか、というのは鹿児島部外者から見て、ちょっと言いたくなることもある。つまり、今は21世紀であるということ。もちろん、近代日本の出発点の多くの疎石が、薩摩であり長州であるのは確かだが、もっとクールに考えてみたいなと思ったのだ。

そんなことで、「歴史」と「観光」を切り離して考えてみようかと考えたわけだ。

そして、「歴史」と並ぶ大きな観光要素が「あじ」。日本最南端の新幹線停車駅である鹿児島中央駅のそばで、さっそく昼食を取るのだが、まずは肉食。

とんかつ屋で黒豚を食べようと思っていたら、珍しいものが。



野菜フライ。

野菜とフライを結びつけたのがコペルニクス的転回。

黒豚のロースかつも、東京付近では、決して食べられない豚固有の甘みを保ち、かつ、均一な肉質が口を楽しませてくれるわけだが、野菜をフライにすると、今度は野菜のうまみと肉よりもやや柔らかい食感が残るわけだ。

ブロッコリーや、ズッキーニが油に合うようである。さらに薩摩汁。独特な生姜味なのだろうか、自信はないが。



そして、外を歩き始めると、外には桜島の眺望である。ナポリ通りから維新ふるさと館に渡る橋の上から見ると、桜島の容姿が雄大なのだが、その後、もっと雄大な姿を見るわけで、ここで早くも驚いてはいけなかったのだ。

それで、このあたりの加治屋町とか高麗町というのが薩摩藩の下級武士の住宅だったそうで、西郷や大久保はじめ維新有名人の多くが、この狭いエリアの出身である。両者とも下から二番目の御小姓与という身分だったそうで、江戸の勝海舟も下級武士だったことを考えても、江戸時代の構造は国の外部からも内部からも変革の時を迎えていたということなのだろうか。

維新ふるさと館は、案の定、井伊直弼を邪悪な鬼のように表現していた。映画「桜田門外ノ変」と同じだ。一方的に過ぎると思うが、全国どこでもご当地物はそんなものだ。

(鹿児島シリーズ、ときどき続く)