渡辺竜王就位式

2009-01-31 00:00:42 | しょうぎ
今週、都内のホテルで開かれた渡辺竜王の就位パーティに招待された(というより無理やり?)。



今回の竜王戦七番勝負は、挑戦者の羽生名人の3連勝の後、渡辺竜王が4連勝して逆転防衛。●●●○○○○は、将棋界では始めてということ。

しかも、連続5期(5年)の竜王ということで、「永世竜王の称号を手にした」ということになっている。しかし、永世竜王の称号を名乗るのは、引退後ということになるそうだが、まだ20代の渡辺明竜王が引退するときに、「竜王戦」が存在すると考えるのは、やや現実的ではないのではないかとも思える。それなら、すぐに引退してしまえばいいのだろうが、うっかり1年以内に引退すると、5期目を全うしていないということになり、権利喪失。もう一つの可能性は、1年以内に竜王戦がなくなってしまうこと。この場合も5期目を全うしていないことになる。

どうして、めでたいお祝いの席でそんな不吉なことを考えたかと言うと、気のせいかもしれないが、パーティでのスピーチの多くに、主催者の読売新聞へ対しての、「永続的開催を希望」というような陳情メッセージのように聞こえる部分があったこと。

将棋連盟の米長会長も、渡辺竜王も、そして来賓の梅田望夫氏も、「ずっと続いてほしいなあ」という意味のことを揃って口にしていたし、読売代表の滝鼻社長は、「いつまでも続けていきたい」とはしゃべらなかったような気がする。

先日、王座戦の就位式に行った時は、日経の社長が「羽生さんが王座でいる限り、私も社長を続けられるような気がする」という主旨のジョークを言われていたのとは、少しニュアンスが異なるような気がした。

後日、耳にしたのだが、将棋連盟は、この就位式と同日、渡邊恒雄読売グループ会長に、アマ八段免状を贈与したそうだ。それも現状維持対策の一環だろうが、どうせなら、読売になじみのある「十段」にすればよかったのではないだろうか。あるいは自社文化部の記者より上の段でなければならないということだったのだろうか。


渡辺竜王のスピーチでは、「最初の3戦は調子悪かったが、その後、調子が上がって連勝できた」。いう意味のことを淡々と語り、いたってあっさり。



梅田望夫氏は、今回の竜王戦のサイトに対して、世界中から7600万ものアクセスがあったことについて、「ネットの時代とはいえ世界に例がないほどのイベントだった」、というようなことと、渡辺明竜王が自分のブログの中で、対局後直ちに勝因・敗因などを公開することを褒め称えすぎたことに気付いて、壇上の主催者席の滝鼻社長に「今後も渡辺竜王のことを応援してもらえると信じています」ということにしてしまった。

もちろん、梅田氏のスピーチ中、滝鼻社長の顔はこわばったままだったように思えたのだが、新聞経営もうまくいかないものだ。それでも、あらかじめ決められた優勝賞金3200万円に加え、5期連続のお祝金が上乗せとなったそうであるが、上乗額については明らかにならなかった。

想像するに、上乗せの趣旨が「勤続5年表彰」なのか、「退職功労金」なのかということの違いではないだろうか。会社員などでは、勤続5年表彰なんか金一封5万円くらいだろうし、定年退職なら、在籍年数×月給くらいかな。(中央官庁からの天下りならノンキャリさんでも、在籍年数×1000万円強だったように覚えている。公務員の天下りの「わたり」が問題化しているが、わたろうが一箇所に長くいようが、どちらでも退職金の総額には差がないと思う)

だから、上乗せお祝金が、少額だった場合は勤続表彰ということで、竜王戦もずっと続くだろうし、思わぬ高額だった場合は、竜王戦の会社都合退職金みたいなものだろうか。

乾杯の挨拶は、最終第七戦の舞台となった、山形県天童市の「滝の湯」の女将。最初から七戦目があるとは思っていなかったそうで、「宿の宣伝」のつもりで引き受けたものの、実際に七戦まで行われることになって、天童中がひっくり返ったそうだ。

多くの人は、0勝3敗になった時に、「第7戦はないだろう」と思ったはずだが、この女将は最初から七戦目がないだろうと思っていたそうだ。どちらが勝つと思っていたのだろうか。日頃の宿泊予約も「どうせ来ない客がいるだろう」と重複受注していることだろう。

先日の日経の王座戦パーティの時は、あっという間に食事がなくなってしまったが、さすが世界最大部数の新聞社である。会場に設置された寿司の出店には、次々に新鮮なマグロが補充され続けたのである(会場のホテルが建て直しのため、まもなく休業に入るから?)。

会場には、大勢の男性棋士にまじり、石橋女流王位の姿も見られ、地味っぽいネクタイの男性と、何かを話しているようだった。





さて、1月17日出題詰将棋の解答。

▲1六馬 △同玉 ▲3四角(途中図) △2七玉 ▲3八金 △3六玉 ▲3七金 △3五玉 ▲3六金 △3四玉 ▲3五金 △3三玉 ▲3四金 △3二玉 ▲3三金 △3一玉 ▲3二金まで17手詰

4手目で△1五玉は▲2四銀不成 △同玉 ▲2五金以下15手で詰む。この変化の場合、玉方の4一歩は4二歩に配置した方がよさそうである。

初手に馬を捨てて生角に置き換えるのが、常識的には考えにくい手。題意に気付けば簡単だが、目が慣れるまで、最初はとまどったかもしれない。

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今週の問題は、以前、同じような図を公開したように思えるが、少し改造。「軽薄(軽快)な手筋か重厚な手筋か」。

わかった、と思われた方はコメント欄に、最終手と手数と酷評をいただければ、正誤判断。