大統領の説得術(岡部朗一著)

2009-01-09 00:00:42 | 書評
931d6704.jpg1994年の書であるので、少し古い。書棚の整理をして捨てる前に一読。1月20日にオバマ氏が大統領が就任するにあたり、就任スピーチをより楽しむための予習のようなもの。1994年は大統領でいえばクリントンの第一期。その後、大統領に就任したのがブッシュⅡだが、彼のスピーチは、あまり面白くないので書かれていなくてもかまわないだろう。クリントンの持病である女性問題の釈明会見も、残念ながら、この後だ。

本著では、大統領のスピーチを

1.大統領候補者受諾演説

2.大統領候補のテレビディベート

3.大統領の就任スピーチ

4.大統領のアポロギア

5.大統領の戦争スピーチ

6.大統領の告別スピーチ

と、時系列順に6種類にわけて、その特徴をまとめている。

このうち、まだ大統領になっていない、1.2.の段階では、相手党や相手候補者の無能ぶりと自分の有能ぶりを対比させることが必要で、「相手の党の政策の結果、こんなに悪い状況になった、それに比べて、私は・・・」というような展開が多い。目の前に相手がいるテレビ討論の場合は、「ヒット&アウェイ」が基本で、深追いすると、「執拗な人間性」と捉えられるので注意が必要らしい。

そして20日に予定されているのが、3.の就任スピーチ。

その段階では、もう相手候補はいない。

まず、定番テーマが、「アメリカの統一」。つまり、大統領選挙で有権者が二つに割れた後だからだ。”アメリカは一つだ!”式である。

次に、「超時間制」。あまりに短い米国史の復習を行って、きょうは、その中の重要な場面であることを謳う。ワシントンとかリンカーン、ルーズヴェルト、ケネディなどの名前が登場し、彼らの後継者であることが強調される。

「市井の人々との同一性」もよくあるパターンで、「我々」とか「人々」ということばが乱発される。

「変革」と「再生」もよく登場する。本気でいっていない証拠として、本来、革新を意味する変革(change)と、復古主義を意味する再生(renewal)は反対コトバに近いのだが、「変革と再生」のように並べられることがあるようだ。

「自由」「民主主義」の国、アメリカというフレーズも多い。(アメリカが一応民主主義なのは、あんたのおかげじゃないよって言いたい人も多いだろう)

そして「神」が登場。「ゴッド・ブレス・USA」ということ。考えてみれば、怖い話だ。「神に祈ろう!」

つまり、これらの定型化した発言は、大統領就任スピーチの中では、まったく「儀式」と化しているのだろうから、それ以外の部分こそ、オバマ大統領の本音とみるべきなのだろう(もし、あれば)。

ところで、「オ・バ・マ」の発音だが、テレビ局各社でずいぶん違うことに気づいた。NHKはオ・バ・マと平板に読んでいるようだ。テレビ東京では「オッバマー」と発音していた。
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