社長は代わるのに、古い車を売るトヨタにガッカリした人

2009-01-21 00:00:29 | 企業抗争
トヨタの社長が代わったのか、元に戻ったというのか、よくわからないが、創業者一族は大概は大株主になっているため、いつだって政権奪還を狙っているわけで、今回のトヨタの社長交代は2001年のフォード家によるジャック・ナッソー追放劇を思い出させる。

58a2bb30.jpgもっとも、トヨタの経営陣について、「優秀とか無能とか」という議論は聞いたことがないので、なんともいえないが、有名な「カイゼン」活動の結果、現在の膨大な役員数になったのだろうし、社長の選択については何らかの合理的理由が発表されるのだろう。

さて、世界でもっともたくさん売れているハイブリッド車であるプリウスがフルモデルチェンジである。すでに北米自動車ショーで公開され、5月に発売される。従来の1500CCを一回り大きくして1800CCにしながらも、燃費は改善しているそうだ。

一方、対抗するホンダも、インサイトをフルモデルチェンジ。トヨタに先行して2月上旬から発売開始。価格は200万円を少し切るくらいといわれるが、どうも、新インサイトは現プリウスと「かなり似ている」と言われているようだ。新プリウスの方は、北米市場を意識しているのか、特にリアヴューは男性的でフロントデザインも力強い感じだが、「エコ」という概念とズレている可能性も感じないでもない。「現プリウス」や「新インサイト」は中性的と感じている。

そして、200万円を切るとされる新インサイトに対し、新プリウスは250万円超(現在のプリウスは220万円超)と言われていた。

そこで、トヨタは奇策を放つことになる。1月19日の日経朝刊から。

トヨタ、「プリウス」新旧モデル併売 現行型、200万円程度に

トヨタ自動車は5月に全面改良するハイブリッド車「プリウス」について、新型と現行モデル車を併売する。新型プリウスはエンジンを大型化することなどから、現行より価格が高くなる見通し。2月にはホンダがハイブリッド車「インサイト」を200万円を切る価格で発売する予定で、トヨタは現行モデルを200万円前後で販売して対抗する。トヨタが同一車種の新旧モデルを併売するのは初めて。

新型プリウスはエンジン排気量を1500ccから1800ccに拡大し、燃費性能も約1割改善。ガソリン1リットル当たりの走行距離は36―40キロメートルに達する見通し。機能向上に伴い販売価格は200万円台半ばまで上昇するとみられる。現行モデルを取り扱う「トヨタ」店と「トヨペット」店に加え、量販車種を扱う「カローラ」店と「ネッツ」店でも販売する。[1月19日/日本経済新聞 朝刊]

奇策なのは、モデルチェンジしたクルマとモデルチェンジ前のクルマを併売すること。どういう問題が起きるのかよくわからないが、色々あるだろう。新プリウスが5月発売とまだ先なのだから、旧型車の在庫整理ということでもないはずだ。案外、新プリウスに自信がないのかもしれない。トヨタが先行していたはずのエコカー市場も、ハイブリッドの次のプラグイン技術では各社横並びの気配である。

モデルチェンジが裏目に出る可能性も感じるわけだ。

58a2bb30.jpgそして、実は、この記事が発表された19日に先立つ3日前、16日に会食した大手商社マン(実は2年契約社員)氏から、現プリウスを購入した話を聞いたばかりだった。たぶん1月10日からの3連休に買ったのだろう。

その契約商社マンの方は、代々、あるトヨタディーラーから、中古車を購入していたそうだ。今、乗っているのはブルーバード・シルフィ。なぜか日産車である。9年落ちで、車検前に買い換えようということ。そして、メーカーなどこだわらないで、また中古車を買いに行ったそうだ。彼は、東京から四国の実家まで年に数回、家族で車で往復しているので、燃費はかなりの重要項目になっている。とはいえ、あまり小さなクルマだと遠路はきつい。

そして、思ってもいなかった、セールストークがあったそうだ。

もうすぐモデルチェンジなので、現プリウスを1割引します。

ということだった。元々、プリウスは2、3万円しか値引きしないといわれていたのに。しかも4ヶ月待ちと言われていた納車待ち期間も2ヶ月弱に短縮され、3月には納車できるということ。しかも9年落ちシルフィが20万円で下取りとか。

その結果、約250万円の中級車種を25万円引きで購入されたそうで、かなり嬉しそうであった。型落ち寸前とはいえ、一応、納車時点では新車だし。(高いものを安く買って自慢するというのは、大阪人の特徴だが、彼も大阪人である)

そして、3日たって、彼も日経で、この記事を読むだろうが、果たして25万円の値引きで満足できただろうか。ディーラーに対し、さらに追加値引きをねじ込んでいるのではないかと想像するのだが、ちょっと怖くて聞くことができないのだ。