牛と闘う

2009-01-12 00:00:20 | 市民A
そろそろ政変がおきそうなのに、いつまでも正月モードのエントリを書いている。きょうは、飾り物の「牛」について。

2b79baa2.jpg何回か前の丑年の時に、ある人物からもらった置物がある。12年毎に箱から出して、娑婆の空気を吸わせてやっていたのだが、どういうことか、今年は惨めな色に変色していた。緑である。つまり緑青(ろくしょう)が発生していた。金色の牛の表面に緑の膜ができている。

一応、カビではないかと、布でこすってみたが、ほこりが取れるだけである。緑青は銅製品に発生するものと相場が決まっていて、箱の中に入っていた注意書きには、「銅製品」とは書かれていないものの「緑青が発生しないようによく乾拭きを続けてください」と記されている。干支の置物にそれは無理な話だ。

そして、とりあえず、正月の間は青銅器のような風合いのままとしたものの、このまま箱に収めれば、12年後には処置不能になっていることは想像に難くない。緑青対策を考えることにした。こういう場合にネット検索は便利で、緑青を落とす方法を各種探してみた。

1.高圧洗浄
  公園などの銅像に対して有効で、高圧の水をかけて緑青を飛ばす方法。仕上げはワックスをかける。

2.ステンレスたわし
  いわゆる金属タワシででこする方法で、鍋などには有効らしい。すぐに緑青が再発生するのが弱点。

3.研磨剤
  「ピカール」というのがあるらしい。基本はタワシ方式だろう。

4.アンモニア
  アンモニアをかけるらしい。きわめて強烈な匂いがするらしい。表面の銅を少し溶かすそうで、廃液は有害である。

5.酢で拭く
  酢を含んだ布でこするといい、という説が多数あった。たぶん、塩酸とか硫酸では強烈過ぎるので酢酸をつかうということだろう。

6.酢と塩を等量混ぜる
  酢だけではなく塩を混ぜるといいということ。塩の役目はよくわからない。まさか塩酸をつくるわけじゃないだろう。

そして、最後に、真鍮の緑青落としには「醤油を溶かした水につける」という、さらに奇妙な方法を一応頭の片隅においておく。

そして、この置物を貰った人に、とりあえず素材を聞いてみたところ、「銅で、もともとは新しい十円玉のような赤茶色だった」とのこと。私の目の前には十円玉ではなく、サビた5円玉のようにしか見えない牛がいる。

そして、とりあえず基本方針は、前述の6の方法。つまり「酢と塩を等量まぜて、布でこする」ことにする。というか、他の方法はちょっと・・。そして、新しい十円玉色になったら、自動車用の液体ワックスでコーティングすることにした。そして「PLAN」のあとすぐに「DO」に取りかかる。

しかし、・・

なぜか、普通の酢と普通の塩がなかったわけだ。「お米で作った純なお酢(ミツカン)」と「伯方の塩」。塩はイタリア製もあったがこちらは色がついているので論外。リンゴ酢も論外。まあ、「純な酢」と「伯方」で代用。最初のケチ。

そして、・・

酢と塩を等量まぜると、塩が酢を吸い込んで、ベトベトの塩で表面をこすっているだけ。少し緑が薄くなったような気がするが、定額給付金みたいに抜本的解決には程遠い。

そのうち、頭の片隅に、ある疑問が浮かんできた。

「銅」ではなく「真鍮」では??

2b79baa2.jpgどう考えても、十円玉の色にはならないように思え、五円玉の色にしか見えない。真鍮であれば、亜鉛と銅の合金。銃弾の薬莢に使われる素材である。しかし、詳しく調べようにも手は塩だらけである。

ふと、「真鍮にできた緑青は醤油を薄めた水に浸ければいい」とあったのを思い出す。もうヤケクソである。丸大豆醤油を水で割って中に丑を沈める。どうも、肉塊をタレに浸け、ローストするような図になる。

しょうゆと酢と塩の匂いで頭がクラクラし、涙が出てくる(悲しいわけじゃなく、変な気体で目に沁みるだけ)。

そして1時間後、引き揚げると、なんだが僅かに茶色に変色した部分がある。

やはり、銅だったのか??

洗剤で洗ってみたものの、もともと金色と緑色の二色刷りだったものが、金、緑、茶の三色刷りと、まったく中途半端になってしまった。

2b79baa2.jpgでは、一体、素材は何か、ということで、体積を重さを量って、密度を計算することにする。密度は、アルキメデス方式で水と置換して重さを量ってみた。密度=物体の重さ÷同容積の水の重さ、である。

答えは、「1.8」。超、軽い。1円玉の素材であるアルミだって、2を超えている。

考えられる可能性は、唯一、中が空洞であるということ。つまり、素材が何かを調べることはできないままなのである。