期限付き乗車券融通男?、4コマに登場か?

2005-07-31 19:33:02 | 書評
8851c02a.jpg沖縄の海の水を北海道に捨てに行く男 キン・シオタニ

まず、この本を読んだのは勘違いから始まる。環境破壊行為の本を探していたのだが、題名からいって、沖縄の海の水を海生微生物ごと北海道に放出して環境破壊する行為への「警告の書」かと思ったわけ。特に、タンカーなどで、空船航海中のバランスをとるためにタンクに張る海水の放出規制は、すでに世界各国で実施されているが、なぜか日本では和歌山県だけのようで、そういうイメージが残っていて、この本を読んだら、まったく違った。

東京都吉祥寺の路上で自作の絵葉書を売るという、超はじっこ文明型生活を送る36歳の男性が、ケチケチ旅行をする旅日記なのだが、集英社という大新聞社がついていながら、そんなに面白くない(あっ、批判的だ)。いい年して、あまりに人生や、社会に対する責任感が欠如していて、気持ち悪いなあというところで、読んでいて自己没入できない。そして、一々、旅館や食事が「高いの安いの」とヒガミッポイ書き方をしているが、貧乏なのは自分のせいという自覚がない。

九州まで行って、自分の不注意で周遊券を無くしてしまい、しょうがなく沖縄から石垣島へ行き、さらに竹富島の牛車に感動してしまうが、あの島は「全部観光地」なのだ。喜ぶ人はいても心から感心するかな?

そして、困ったことに、周遊券や、青春18キップという、期限付き乗り放題券の有効期間が短くなると、残存期間が長いが使われなくなりそうな人たちにキップの譲渡や交換をお願いしたりして、セービングにつとめているが、ちょっとした犯罪擬似行為の紹介だ。「期限付き乗車券の個人間融通」というのは法律に抵触しそうだ。あるいは、購入者以外による乗車券の使用は「詐欺」かなあ?。あるいは臨時所得として確定申告の義務ありか?さらに、本に書く行為は、同種犯罪行為の「教唆」だろう。さらに集英社は作者と「共犯関係」か。全部ひっくるめて「共謀罪」適用だ。

そして彼は、沖縄でペットボトルに詰めた水をなぜか、稚内まで捨てに行くという、よく解らない目的で北海道に向かうのだが、途中、根室で保険のセールスの女性外交員から、こういうことばを投げかけられる。「そんな浮浪者みたいなことして、全国まわって、あたしが親だったら悲しいわ」まったく同感。親でなくても悲しい。さらに、「保険のおばちゃん」という差別用語を使っているが、自分と同じ歩合制の収入体系であることを忘れている。かたや保険を販売し、かたや絵葉書を販売している。無意識下の差別精神の表出だ。

最近、読んでいる経済学の読み物からの概念を援用すると、人間には「社会に富を追加する人」と「社会の富を減らす人」がいるということになる。もともと生きるという行為は、消費行為なのだから、それより多くの財を社会に残さないと、「マイナス人間」ということになる。マイナス人間ばかり多くなると、世界は退化・没落に向かう。彼は、まさに典型タイプのような気がしてならない。

そして、本の終わりに自分のURLが記載されていた。開いて読んでみると、なんとこの本は7月10日に初版になっている。さらにライブドアのトップページ右下に登場した4コマ漫画のlivedoor デイリー4コマに登場するそうだ。作者は約30人らしく、交代で登場するのだが、7月30日は彼の出番。なんということ。「プラス型」を目指すのだろうか。しかし、支払いの遅いライブドアからの原稿料が到着したら、また浪費型の旅に出るのだろうか?原稿料は現金ではなく、ライブドアポイントで払えばいいかもしれない。

ところで、若干の心配があるのだが、もしかして、沖縄の水の入ったペットボトルを稚内で放水したあと、空容器はどうしたのだろうか?本には何も記載されていない。水どころかペットボトルまで海に捨てたのではないだろうか。「国定公園法違反」および、「海洋汚染防止法」違反容疑で・・。ただし、残念ことに、共犯者はいないだろう。単独犯。共謀罪の適用は難しい。