クボタとアスベスト&メモリー

2005-07-02 20:39:59 | 市民A
クボタの製品に「カラーベスト」という屋根建材(瓦)がある。製品発売後40年が経つ。最近では無石綿製品に切替となっているが、長期にわたり、石材の繊維である石綿(アスベスト)を原料として使っていた。今回社員78人が死亡されたとされる尼崎の神崎工場では、水道管の部材が作られていたとされるが、建材も作られていたとの報道もでてきた。

そして、現在ではカラーベストというクボタが商標を持つ建材は屋根材にしか使われていないが、以前は住宅の外壁材にもつかわれていた。ようするに火事になりにくい不燃材としてだ。なぜ、そんなことを知っているかというと、以前住んでいた実家の外壁材が、カラーベストだからだ。まさか、カラーベスト材の家に住んでいても発ガン率が高いということにはならないだろうとは思うのだが、心配は、その加工を行っていた工務店の従業員の方だろう。石綿入りの建材は、非常に堅いので、特殊な刃のついた電気ノコギリで切っていたのだが、猛烈に建材の粉を巻き上げていた。その時代にクボタ建材を多く扱った工務店の方は、精密検診を行った方がいい。発症まで30から40年がかかるのだから・・

ここからは。個人的な問題なのだが、家の外壁がカラーベストだったことは、思いもかけない方向に進んだのだ。後に就職のために会社訪問をしている途中で、ふと寄ってしまった久保田鉄工東京事務所で人事担当者とカラーベストの話で盛り上がってしまい、すぐに就職内定してしまったのだ。もちろん本命企業も、次点希望企業も別の会社なのだが、とりあえず自分から内定辞退する人はあまりいない。

そして、あわただしく、大阪の久保田鉄工(当時の社名)本社に呼ばれ、新幹線で向う。もちろん、新幹線の中からの電話で、他の企業の人事課長に、「きょうは行けない」ということを言葉巧みに交渉する。(当時は、何しろ初対面でのイメージは良かった。「切れのある若者」イメージがすなおに評価される時代だった。残念ながら、今は「切れのいいオジサン」は受けが悪い。日本社会が変に老成してしまい、ネタミ、ヨコドリ、オネダリといった感情が混じり合う。)

そして、大阪といっても「なんば」だった。大阪球場の裏。清潔感と対極的な町だ。そして、近隣の平屋建てバラック風の食堂には、畳くらい大きな白地看板に二文字「め・し」と黒ペンキで書かれている。さらに、威厳のある黒っぽく頑丈なビルの上階の役員会議室にずらっと並んだ役員との面接もかっこよく終わるのだが、直前に調べた情報によると、大部分の役員は京大、阪大出身者。まあそんなものだ。翌日のお昼頃には、体よくお断りの電話を入れておいた。万が一、入社していて神崎工場に配置されていたら、今ごろ具合が悪かったかもしれない。徒然なるままにブログなど書いていられるのも、「めし」看板のおかげだったのだろうか。