ユニクロはどこにいくの?

2005-07-03 20:38:49 | MBAの意見
ac164f65.jpgユニクロの社名は、「ファーストリテーリング」。昨年来、9,000円台だった株価は直線的に下降を続け、6,000円を割り、5700円になっている。無借金経営のこの会社に何が起きているのか?既存店舗の売上げは低下を続け、店舗拡大で増収になっているが、新店舗の売上げの多くは既存店舗の売上げ減を伴い、店舗コスト増は減益という結果をもたらす。ソニーだって、株価は下げ止まったのだがユニクロはどうなるのか?

ユニクロの経営方針はわかりにくい。まず経営者がどちらなのか?オーナーである柳井正CEOなのか?玉塚元一COOなのか?ずっと以前の1997年の頃は柳井氏中心だったように思うが、その後、ブレーキとなり、業績を持ち直した昨年初めまでは玉塚COOが中心で多品種戦略だったと思うが,昨年9月の「世界品質宣言」は柳井氏主導のような気がする。そしてそのあと、沈没をはじめたのではないか。いったい世界品質は何だったのだろうか。

そして、ユニクロ再起の期待の大型店舗、「ユニクロプラス」が東京でオープンした。「イトーヨーカ堂武蔵境店」が正式な店名。7月1日オープン初日の夜、覗きに行く。(本来はオープン前日には株主招待でもしてほしいところだ。割引券なんかいらないけど)実は、だいぶだいぶ前にこの町に住んでいたから、「なんで、こんなところに大型店つくるのだろう」とほんとに思ってしまう。にぎやかな町ではない。中央線の三鷹の一つ先。店舗は駅の南口にあるが、線路の立体交差道路がなく、閉まりやすい踏切が商圏範囲を限定している。そして、店舗名に「イトーヨーカ堂」の名が入るところが苦しい。外観をみてもここにユニクロがあるとはわかりにくい。

ユニクロプラスは昨年10月に心斎橋に1号店。今年4月にくずはモールに2号店。そしてこの武蔵境に3号店。この後、つくば、春日井、天神、そして秋に銀座店が開店予定。資料を読んだりHPで見る限り、500坪以上の売場面積で商品数を増やすということだが、500坪以上が「世界の常識」といわれても、「だからどうなのか?」という気持ちにもなる。大きくて失敗したのは「カルフール・ジャパン」ではないか。

店舗は3階なので、エスカレーターで二つ上がると1フロア全部がユニクロプラスなのだが、それほど広いというわけでもない。既存郊外店でも同じくらいの広さのところはありそうだ。ゆったりと商品を配置していて、KIDSとWIMENSが充実。MENSは付けたし。そしてユニクロプラスのオリジナル商品はまだ多くはないし、高級品と言うことでもない。だからよくわからない。そして、見ているとWIMENSのユニクロプラス商品とMENSのユニクロプラスではデザイナーが違うように思える。この辺が方向性が見えない原因なのだろうか。WIMENSのデザインは結構渋い。ロンドン系ではないかな。一方、MENSのポロなどは、「昔のユニクロ」を思い出す原色系だ。中国・米国向けだ。

そして他の商品はサイズやカラーを手を抜かずこまめに全種類を用意するはずだが、そういうようには感じない。やはり欠品は多そうだ。正確に言うと欠品補充や商品のたたみ直しとかするための店舗スタッフ数が不足している。そして、どこのユニクロでも悩みの種のレジ前の行列。

ユニクロプラスを出店すれば、確かに売上げは増えるだろうが、やはり売場面積あたりの収益性は落ちるはずだ。そして普通のユニクロの商品も扱っているのだから、近隣のユニクロの売上げは激減するだろう。そして、独立店でない武蔵境店は、どうもイトーヨーカ堂の衣料品売場のような感じになっている。

ただ、ユニクロプラスとは関係ないが、今年はTシャツが豊富であることは救いだ。玉塚主義の遺産か。


ここで、経営的な話を書けば、もう柳井氏は降りた方がいいだろう。観念論が強すぎる。あるいは、強烈な書き方をすれば玉塚氏はユニクロから独立して新たな店舗展開をしたほうがいいだろう。柳井氏の会社で勤めるには、もう義理はないだろう。会社をやめることで激落が予想されるユニクロ株の評価損は、個人的には直ぐに回収できるだろう。

そして、株主総会のこと。いつも山口県の工場で総会を開いているのだが、都会に出てきて株主の声を聞いて欲しいと思う。東京まで来たくないなら福岡でもいい。とにかく、株主をコケにしすぎている。

最後に付け加えれば、余った資金で、あれこれ海外のブランドを買い占めているが、ほとんど当たらないから、やめた方がいいということだ。丸ビルのセオリーはテナント料倒れは間違いないだろう。5月、6月とフランスやイタリアのブランドの買収を発表。ブランドをカネで買ってもうまくいかない。柳井CEOは西武の堤清二氏と同様に、上場していることを悔やんでいるだろうが、もはや後にはひけないのだ。時価総額は約6,000億円。柳井家は40%近くを持っているが、その資産価値は株価が高いからであってこそのものなのだ。