たかが・・・されどプロ野球! 小林至著

2005-07-09 20:25:03 | 書評
f1932906.jpg著者の小林至氏は、元千葉ロッテマリーンズ。というよりも東大卒3人目のプロ野球選手という方が有名だ。東大といえば、今のところ(残念ながら)、日本最高峰の学府といわれる(総理大臣を輩出しなくなってから久しい)が、野球では東京六大学という参入障壁のあるリーグに所属している。六大学の中では常に5位か6位なのだが、国立大学同士のオープン戦などでは、桁違いに強いそうだ。要するに、強いところにしばかれていると、それだけで強くなっていくということだ。

さて、プロ野球は2004年後半には、近鉄球団経営破綻にはじまり、1リーグ制、10チーム化への動き、新規参入者の当落。さらに次なる経営危機球団。などが次々と発生。結果として、ストライキ、楽天参入、ソフトバンクのダイエー球団買収、セパ交流戦が開始された。チーム数は12のまま。そして2リーグ制維持。しかし、新人選手への複数球団の裏金問題など根の深い問題も噴出した。

そしてそれらの根本問題は2005年に引き継がれたのだが、交流戦の効果はパリーグ球団への若干の貢献はあるにしろ、テレビ視聴率は巨人戦でも10%程度で低迷。さらに巨人の成績が落ちていけば、1桁台は確実だろう。また、西武球団の収支が改善されているわけもなく、まず来年は球団売却は堅いところだろう(もちろん買い手がいればだが)。

さらに運悪く2006年は夏にサッカーワールドカップだ。もちろん時差があり放送時間はずれるものの、「サッカーより野球の方を観たい」というのは相当の変わり者だろう。2006年は、まちがいなくプロ野球は破綻の危機に陥る。ある意味、Jリーグの人気チームの多い関東地区はすでに野球は死んでしまったのかもしれない。現在の若年層をとれば、学校の時に少なくても相当時間サッカーの経験はあるのだが、野球を経験する機会はほとんどなくなっている。経験のあるスポーツほど、見ていて楽しいはずだから、野球派は苦しい。


そして本著は、プロ野球の経営データを多用し、一見、常識的な意見を突き破るような提言の本だ。そして、巻末にナベツネ氏との対談もある。

小林氏がいうには、アメリカのMLB自体、収入プール制やサラリーキャップ制を導入したため、人気球団の収入で不人気球団が生き延びることになり、何もしない貧乏チームの方が収益が黒字になることになってしまい、問題点の山積みになったと書く。共産主義方式か。そして、公金(税金)を引き出すため、心にもないチャリティなど繰り広げている、と指摘している。金を出さない町からは出て行くと脅かすわけだ。事実、エキスポズはモントリオールから逃げ出し、ワシントンナショナルズとなった。

さらに著者はプロ野球労組をばっさりと斬る。つまり、本来2軍選手のような立場の弱い選手を保護する目的ならともかく、一流選手が自分の収入が最大になるように行動しているだけだったと糾弾する。そして、球団数減少に反対したのは、失業者が出るだけという理由だろうと推測。

むしろ、彼は野球界に自動的に新規参入が可能な1軍、2軍、3軍・・・というようなサッカーリーグのようなシステムにすべきと主張する。そうなると自動的に1リーグ制しかあり得ない。

また、選手の移籍を一定期間禁止(FAルール)している状態や、ドラフト制度自体も「憲法上の職業選択の自由に違反している」として撤廃すべきだとする。いつでも選手が逃げ出す可能性があるなら、高い契約金を払うことはないだろうということだ。さらに、もうからないチームはまず経営努力をすべきであり、できなければ退出すべきということだ。

そして彼とナベツネの会談を読むと、世間でいうナベツネ像とは少し違うように感じる。この本によれば、ナベツネは比較的単純な資本主義者であり、FA、ドラフトには反対。ライブドアの参入にも反対したといわれるが、ナベツネ曰く、「私自身は反対していない。周囲がそうやって動いたのだろう」ということらしいが真偽不明だ。

ナベツネは、堀内監督のことも徹底的にこき下ろす。監督が「補強は必要ない」と言ったことを信じたのがいけなかった。小久保もローズも私(ナベツネ)が連れてきたのだから、もっと補強しておけばよかったということらしい。それなら、堀内を交代させればいいのだろうけど、今年はもうあきらめたようだ。

ここからは、私見だが、やはり8球団くらいにしなければならないだろう。少なくても米国の30チーム平均よりレベルを上げることを考えるべきだろう。その8チームの下にまた8チーム。さらにその下にと、身の丈にあった経営をするようになれば、再生するのではないだろうか。それにアジアのチームとの交流戦も必要。しかし、そうはいっても、今年もまた、後半になると球場外での試合は大荒れになるのだろう。理想は遠い。

ところで、小林至氏の経歴だが、今は江戸川大学経営学部助教授となっている。MBA持ちだ。専門は何なのかよくわからないが、学生を相手に講義するよりも、今や少子化で苦しむ大学そのものの経営問題を担当したほうがいいかもしれない。

捻挫の後日譚

2005-07-09 20:22:30 | 市民A
75cb7054.jpgちょうど2日前の夜、都内を千鳥足で歩いていて、右足を穴に落としてしまった。ニューヨークではあちこちに1メートル級の穴があいているらしいが、逆にそれなら落ちないだろう。3センチほどの穴で右足をくじいてしまった。そして、高校の時から、捻挫癖のある場所はひとたまりもなく「ぐぎって」しまった。そして数時間後に激痛がくる。その時にあわてて書いたブログは、なさけないので翌朝、脹れ上がった醜い足の画像とともに、削除してしまったのだが、せっかく頂いたお見舞い?のコメントも削除してしまったと思っていたら、かすかに残っていた。エントリそのものが永久に消えたのに、コメントだけが残るのも奇妙だが、エントリの方は、酔っ払いが「痛い!痛い!」と書いただけなので読むべきユーモアもないので・・。

こぢろうさんからのコメント(0時4分)
あら、捻挫?、打撲?ですか。
どうかお大事に。失礼ですが爪のかたちが可愛いですね。


さなえさんからのコメント(6時50分)
「歩けなければ、奥さんのところには帰れないわね」と目の据わった怖い女をようやくのことで振り切ったが、足の小指あたりに痛打を受けていた。とか、・・・

いずれにせよ、お大事に。


たいへん親切なおコトバだ・・やはり、捻挫というのは、痛み損か・・
将来、「痛みそのもの」もメールで送れるようになったら、このお二人に送信できるように、「激痛」をホルダーにファイルしておく。ファイル名は、geki_tsu.itm。

で、最初に書いたのだが、高校の時に、柔道で相手を投げたあと自分の足の上に落としてしまったことに始まり、サッカー場で何度も足払いを食らったり、バスケットで前から足を踏まれた状態で後ろから体当たりされたりとそのつど、ダメージは積み重なり、ついに右足には奇妙な軟骨の突起がいくつもできてしまっている。骨格の作りが丈夫ではないのに、瞬間的な力が強いためか、自爆型骨折は何回かしている。

直すためには、一度バラバラにして、足にチタンやセラミックの部品を組み直さなければならないが、失敗確率が何十%かあるので、やめている。今から直してもワールドカップには間に合わないだろうから。(もし、ケガがなければ今頃は川渕三郎のような武闘派になった可能性も1%はあっただろう)

それで、その後も数年に一度は、こういう失敗をしているのだが、だいたい48時間は冷やすだけで、その後は傷みが消えるのを待ち、後は徐々にということ。歩く速さも、通常の1/3。

そして、思うのは、健康のありがたさ、ではない。ハンディキャップドパーソンの方々にとっての生活の不便さなのだ。まず、地下鉄の下り階段が危険だ。銀座線虎ノ門駅には渋谷行きホームにはエレベーターがないから急な階段を手すりに頼って下りなければならないが、通常よりずっと動きは遅いので、突き落とされそうになる。そして、シルバーシートの前に立っても、誰もこちらの状況がわからないので席を代わってくれる人はいない。そして、気が小さいので席があいても座りにくい。駅で臨時ハンディキャップカードでも発行してくれるとうれしいのだが・・・

さらに、こういう時に、運悪く事件に巻き込まれたりすると最悪だろう。ロンドンのニュースを見ながら考えている。

それにしても、よく足を見ると、見栄えが最悪になったものだ・・