ゲーミング・マーケットって・・

2005-07-19 20:01:10 | MBAの意見
0d88fc0e.jpg帰宅して、郵送されてきた雑誌や郵便、メール便に目を通していると、新潮社の雑誌「フォーサイト」が届いていた。そして、特集が「カジノビジネスが世界を変える・アジア、日本を席巻するラスベガスモデル」なので、びっくりしてしまった。なにしろ、中国に強い証券会社のセミナーで「マカオ・サクセス社」の会社説明会に行っていたからだ。変な話だが、記者(大学教授)が取材したものよりも、「カネのことしか頭にない金持ちと貧乏人の60人の集団」が、当事者に厳しい質問を浴びせかけて聞く方が、リアリティがあるようだ。

まず、なぜ、マカオ?ということだが、中国政府がギャンブルを公認しているのは、マカオだけなのである。もちろん、マージャンとかその他、国内で賭け事が行われているのは確かなのだが、大規模な公認カジノはここだけ。逆にいうとポルトガルから中国に変換された1999年以前には、中国にはカジノは存在しなかったわけだ。

そして、今やその規模(5,288百万ドル/年)はラスベガス(5,300百万ドル)とほぼ同規模である。マカオ・サクセス社の副社長の話では、飛行機で2時間以内の人口が10億人。3時間以内の人口が20億人の巨大市場で、どんどん流入が進んでいくとのことである。そして、「ギャンブル」と言ってはいけないそうだ。「ゲーミング・マーケット」と言わなければならない。

このマカオのカジノだが、以前はホー一族が独占していたのだが、政府が商権を3分割したそうだ。そして、その分割された利権の先に世界各地から資本が群がっているというのが現状だそうだ。この「マカオ・サクセス社」というのは、現地資本なのだが、株式上場していて、株式市場で調達した資金で、あちこちの投資案件に参加しているとのこと。その中の最大の目玉が、2007年完成の「PONTE16」と呼ばれる、VIP層を狙った、総合ゲーミングホテルの建設だそうだ。

実は、マカオは細い海峡一つ隔てて、中国の珠海(ズーハイ)市と隣接している。現在はトンネルは1本だけなのだが、この「PONTE16」から珠海まで地下遊歩道ができるそうだ。また、現在は香港旅行のついでに来る人がほとんどで、滞在は平均1.5泊だそうだ。これを総合エンターテインメント施設を作ることにより4泊位に延ばし、ドルを吸い上げようということだ。

そして、ここで役に立つのが、例の「Google Earth」。なぜか「macau」で検索すると、アメリカ中部の町に着陸する。調べていてわかったが、Googleは中国には遠慮していて、現地読みでなければ検索できないようになっている。hongkongも駄目だ。やっとの思いで、建設予定地を探し出し、衛星写真を見ると、住宅が立ち並んでいる。いかになんでも、立退料が高そうだ。結局、説明会の目的も「資金問題」ではないかとの可能性が頭をよぎるが、断定はできない。まあ、株に投資して儲けるよりも、いきなりテーブルに座ってカードを手にしたほうがいいかもしれない。

フォーサイト誌では、マカオにラスベガス資本が一気に流入するようなことが書かれているが、マカオとラスベガスの最大の違いは、人気ゲームの種類が違うことだそうだ。ラスベガスはスロットマシーンが最大の売り上げをあげているそうだが、マカオではテーブルゲームの方がずっと人気が高いそうだ。

説明会の話は以上だが、後背にある珠海市だが、ちょっと前に集団買春事件があったところだ。西日本の会社の約300人の男に対し、現地女性500人が派遣されたという事件だが、これだけ組織的にホテルに送り込むような国は、世界中のどこにもないだろう。まあ、買う方も問題だし、放任する方もどうなっているのだろう(男一人あたり女性1.7人というのも気になるが・・)。その他にも、タクシードライバーが10人以上殺され、タクシーが奪われ転売された事件(犯人たちは銃殺)とか一説には中国最悪の犯罪都市だ。その珠海とマカオを結ぶ新しい地下遊歩道とは、本当は何の目的なのかよくわからない。ちょっと一人じゃ歩けないだろう。


さて、一方で冷静な意見もある。証券会社の方の話だが、中国の株式市場(深セン、上海、香港)は以前、投機的なギャンブル市場だったのだが、マカオ返還に伴って、「ギャンブラー」は、株式ではなく本物のカジノに行ってしまったので、市場が正常化した、という珍説だ。

となれば、東京にもゲーミング施設は必要なのだろうか。現都知事はお台場に誘致したいらしいのだが、もっといい場所を私は知っている。それは兜町にある建物だ。大型ビルでもある。かつては大勢の労働者が立ちっぱなしで仕事をしていたのに、ITのおかげで現在は誰もいなくなった空間。そう、東京証券所そのものなのである。