新横浜駅が高層化?

2005-07-13 20:17:09 | マーケティング
神奈川新聞が提供しているブログである「カナロコ」を見ていたら、気になる記事があり、調べていくと、いろいろおもしろそうなおまけの話があった。

記事の抜粋は、

JR東海は8日、「JR東海新横浜駅ビル」新設と同駅改良工事の起工式を行った。総事業費約400億円で、地上19階地下4階の複合ビルを新築する。
横浜市もバスターミナルや乗り換えコンコースなど駅周辺を一体的に再整備する。いずれも2008年完成予定。 駅ビルは、オフィス部分7フロア、ホテル部分9フロア(客室数約二百室)、飲食店などが入る商業施設9フロアからなり、地下には約470台収容の駐車場も設ける。
また、共同事業者の横浜市は約90億円を投入し、駅ビル二階部分の改札外コンコースを「交通広場」として整備。


私の自宅から、そう遠くもない新横浜駅だが、あまり発展しているとはいえない。新幹線開業当初から無理やり作った駅だったこともあり、東京大手町から慌ててやってくる不倫カップル用の怪しいホテルが立ち並ぶだけの惨めな駅だった。しかし、バブル期にはNEC、富士通を中心にIT大手のサテライト企業が続々と移転してきて、オフィスビルが立ち並んだ。新幹線の交通費の方が、都心のビル家賃に比べれば安いものなので、東京駅から僅か20分のところにあるというメリットが活かされたのである。不倫カップルと発想は同じだ。

さらに、西武系がやってきて、高層のプリンスホテルとスケートリンクとボウリング場がオープン。さらに横浜アリーナが完成し、最後のとどめがワールドカップの決勝スタジアムだ。ところが、実際には、その後、IT企業はほとんど新横浜から撤退。要するに、東京駅から新幹線というスタイル以外は不便なのだ。駅が立派だと人が集まるというのは、本来、誤解だ。

では、誤解の遠因なのだが、「JR東海」というのが、問題なのだ。名古屋駅で成功したからだろう。高島屋が入居して大当たりになった(ように見える)。しかし、それは名古屋駅にはもともと人が集まるからで、新横浜では「?」ではないだろうか。絶対に失敗だろう。株は「売り」だ。横浜にも東京にも高層ビルは嫌というほどたくさんある。

では、なぜ新横浜に、名古屋の鉄道会社であるJR東海がビルを建てるのだろうか、というのが次の問題である。

実は、JR東海の営業テリトリーは、名古屋圏と静岡圏を中心とした在来線。そして東海道新幹線の全線なのである。そして新横浜は新幹線駅なのである。つまりJR東海の駅には、管轄エリア内の駅と、エリア外の新幹線の駅とがある。といっても管轄エリア外は8駅なのである。東京、品川、新横浜、小田原、熱海、米原、京都、新大阪。そして、この中で東京、品川、小田原、熱海はJR東日本と二人駅長、米原、京都、新大阪はJR西日本と二人駅長という状態なのだが、新横浜駅だけはJR東海の一人駅長になっているのだ。つまり神奈川県内なのに名古屋人のやり放題なのだ。

まるで、冷戦下の西ベルリンのような存在だ。

そして、「カナロコ」を読んでいると、もっともなコメントが読者から寄せられていた。それは「新横浜駅を廃止して、横浜駅に新幹線を迂回させよう」という意見だ。そして、それは確かに超名案である。そして実現はかろうじて可能だろう。さらに、そうなれば、なんでも「日本一」が大好きな横浜市民が喜びそうな記録ができる。つまり横浜駅は、「日本一駅長の多い駅」の単独トップになるはずだからだ。今は、5駅長である(JR東日本、相鉄、東急、京急、市営地下鉄)。JR東海の駅が併設されれば6人目の駅長になる。対抗は、新宿駅。(東京メトロ、JR東日本、京王、小田急、都営地下鉄)の5駅長だろう。

そして新横浜駅のかわりに、名古屋人には横浜ベイスターズを渡してあげることにしよう。


ところで、カナロコを運営している神奈川新聞社は関内駅近くにビルを建てている。古い体質の地方新聞社なのだが、すこし以前の日曜日に、やぼ用で将棋欄担当記者と一緒に休日のオフィスに入る機会があった。すると、ある階の入り口に近い場所で女性が3-4人でかたまって仕事をしていた。聞いてみると「カナロコ」担当らしいが、他の部署からは、まったく孤立しているように思えたのだ。なにしろ、休日の新聞社の中では、この4人のほかには誰も働いている人間はいないのだから。