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三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

「被害者がどこにもいない強制動員『第三者弁済案』、誰がみてもおかしい」

2024年05月31日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「The Hankyoreh」 2024-05-30 10:47
「被害者がどこにもいない強制動員『第三者弁済案』、誰がみてもおかしい」
■[インタビュー]山本直好|「日本製鉄元徴用工裁判を支援する会」事務局長

【写真】民族問題研究所が主催した「強制動員被害者運動記録写真展」が開かれている植民地歴史博物館で、山本直好さんが韓国人被害者とともに闘ってきた過去の日々を振り返っている=ホン・ソクチェ記者//ハンギョレ新聞社

 「『第三者弁済』というアイディアで韓日友好を『演出』することはできるかもしれません。しかし、この案のどこにも被害者はいません」。
 25日、ソウル市龍山区(ヨンサング)の植民地歴史博物館で会った「日本製鉄元徴用工裁判を支援する会」の山本直好事務局長(59)は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が韓国最高裁(大法院)の強制動員被害者賠償判決に対する問題解決策として強引に推進した「第三者弁済案」について、「誰がみてもおかしな方法」だと批判した。この案では、日本の加害企業ではなく、韓国の日帝強制動員被害者支援財団が賠償金を肩代わりする。
 山本事務局長は、民族問題研究所が植民地歴史博物館で「日帝強制占領下の強制動員被害真相究明などに関する特別法」制定20年を記念して開催している「強制動員被害者運動記録写真展」(5月24日~7月21日)に出席するため、ソウルを訪れた。山本事務局長が所属する「日本製鉄元徴用工裁判を支援する会」は、日本製鉄に強制動員された韓国人被害者の損害賠償訴訟を支援するため、1995年に結成された日本の市民団体だ。山本事務局長は、太平洋戦争のA級戦犯が合祀されている靖国神社に無断で合祀された韓国人の名前を取り下げさせるための運動、そして、日本政府を相手取り、韓日国交正常化交渉に関する外交文書の情報公開を要求する活動にも参加している。
 大学時代に差別を受けた人たちの歴史を学んで平和運動に参加した山本事務局長と朝鮮半島の縁は、公務員生活をしていた1993年ごろに始まった。「在日朝鮮人被爆者たちが、戦争中までは日本人として扱われ、戦争が終わったとたん何の治療も受けられなくなり排除されたという事実を知りました。(日本の)植民地支配の残酷さに怒りを感じ、そのときから本格的に活動を始めました」。
 そのようにして始めた支援活動は、30年以上にわたり続いている。山本事務局長は、日本製鉄釜石製鉄所の強制動員被害者の遺族であるイ・サングさんが「山本さんは長いあいだ韓国人被害者を助けながら一度も揺らいだことがない」と話したことが最も記憶に残っているという。「私がしていることは、被害者と遺族の苦痛に比べれば取るに足らない、とても小さなことにすぎないかもしれませんが、このように活動を評価して私の気持ちを分かってくれたことが、本当にうれしかった」
 山本事務局長はこの日、「強制動員問題解決と過去清算のための共同行動」の矢野秀喜事務局長、「韓国の原爆被害者を救援する市民の会」の市場淳子会長、「不二越訴訟支援北陸連絡会」の中川美由紀さん、「日本製鉄元徴用工裁判を支援する会」の中田光信さんらと一緒に参加した。いずれも、韓国人強制動員や被爆被害者とともに闘い、被害者の尊厳と人権回復のための長い歴史をともに過ごしてきた人たちだ。
 山本事務局長が支援活動を続けてきた間、日本と韓国で続いた強制動員損害賠償裁判は浮き沈みを繰り返した。強制動員被害者が1997年に大阪地裁に新日本製鉄(現:日本製鉄)を相手取り損害賠償訴訟を起こしたが、2003年に最高裁で敗訴が確定した。韓国で日本製鉄による強制動員被害者が2005年にふたたび訴訟を起こし、2008年にソウル中央地裁でも原告敗訴の判決が下された。2012年に韓国最高裁がこの判決を破棄して差し戻した。そして2018年、最高裁は日本製鉄が被害者にそれぞれ1億ウォンを支払うよう命じる歴史的な確定判決を出した。しかし日本政府は、この判決が韓日請求権協定に反するとして、輸出規制等を通じて韓国政府に圧力をかけた。昨年、尹錫悦政権が第三者弁済案を解決策として進めたが、真の解決策にはなっておらず、山本事務局長の至難の活動は今も続いている。
ホン・ソクチェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-05-28 19:01


「中央日報日本語版」 2024.05.27 08:50
■「徴用被害第三者弁済に120億ウォンさらに必要、韓日企業が出なくては」

【写真】日帝強制動員被害者支援財団の沈揆先理事長が23日にソウルの財団理事長室で中央日報とインタビューする姿。パク・ヒョンジュ記者

 「昨年末から強制徴用被害に対する賠償確定判決を受けた追加勝訴者と接触してみると90%以上が第三者弁済に対する受け入れの意思を明らかにしました。したがって彼らに判決金と遅延利子を支給するには約120億ウォン(約13億7732万円)がさらに必要になるが財源が大きく不足した状況です」。
 日帝強制動員被害者支援財団の沈揆先(シム・ギュソン)理事長は23日、財団理事長室で行った中央日報とのインタビューで、「第三者弁済が別れ道に入ったようで心配だ。解決策の成功に向け韓日企業の参加が本当に切実な状況」としながらこのように話した。2022年10月に就任した沈理事長がメディアのインタビューに応じたのは今回が初めてだ。

◇3億ウォン残っているが…「120億ウォンはさらに必要」
 財団は尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が昨年3月に決断した強制徴用第三者弁済解決策を実際に履行する役割を担っている。財団が判決を通じて確定した賠償金と遅延利子を被害者に代わりに支給する方式だ。2018年10~11月に判決が確定した被害者15人のうち第三者弁済案を受け入れた11人が財団から判決金を受け取った。
 昨年12月と今年1月に同じ趣旨の訴訟9件で被害者52人が追加で勝訴判決を確定した。韓国政府は第三者弁済解決策を発表しながら「現在係争中である強制徴用関連の他の訴訟でも原告が勝訴すれば同じ方式で判決金と遅延利子を支給する」と明らかにした。
 沈理事長は「政府の約束は必ず守らなければならない。財源を拡充して判決金受領を望む原告の方々に一日も早く判決金を支給するのが最大の懸案」と話した。また「確保した連絡先を通じて多くの勝訴者と接触した結果、90%以上が第三者弁済を受け入れた。彼らのために最小120億ウォン前後がさらに必要な状況」と説明した。
 財団を通じた判決金受領を受諾した被害者はほとんどが「長期にわたる闘争をもう終えたい」という反応を見せたという。一部勝訴者の場合、判決金と遅延利子の早急な受領に向け行政安全部と外交部に嘆願を提起したりもした。「家族みんなが受領を希望する」として財団に方法と手続きを具体的に問い合わせてきたケースも何件もあった。
 ところが財源が不足しており第三者弁済を通じて彼らに向けた司法の正義を実現するのが遅れている。時間が過ぎるほど遅延利子が加算されるのはもちろんだ。ポスコなどが財団に寄付した約41億1400万ウォンのうち約38億ウォンを被害者11人に支給したほか受領を拒否した被害者4人に向けた供託金として支出した。現在余った金額は約3億ウォンにすぎない。
 財源はすべて寄付金で調達するという原則だ。韓国と日本の企業の自発的参加以外にはこれといった代案はない。1965年の韓日請求権協定の恩恵を受けた韓国企業が積極的に出なければならないという指摘が出る理由だ。専門家らは韓日を行き来しながら活発に経済活動をする両国企業の自発的な参加の必要性も提起する。
 また、第三者弁済という迂迴的解決策が出てきた背景が、裁判で敗訴した被告戦犯企業が判決にともなう賠償を拒否したためということを考慮すれば、日本側の参加がないことに対し韓国側の不満は大きくなるほかない。

◇「日本企業参加してこそ韓国国民の支持得られる」
 沈理事長も「日本は日本で事情があるとはいうが、日本企業が参加してこそはじめて第三者弁済が韓国国民から支持を受けられる」と強調した。「大法院(最高裁)判決の趣旨は結局日本企業が賠償しろということなので、韓国国民として日本企業の参加を要求するのは当然のこと」としながらだ。彼は「財団に直接寄与することが負担になるならば韓国経済人協会と日本経団連が作った未来パートナーシップ基金にもう少し積極的に寄与したら良いだろう」とも話した。
 両団体は韓国政府の第三者弁済解決策発表直後に両国関係の未来志向的発展に向けた基金を創設し、それぞれ10億ウォンと1億円を拠出した。使い道は未来人材交流などに限定されており、直接被害者に支給されることはない。
 これと関連して、読売新聞が25日に伝えたところによると、経団連は会員企業から目標額の2倍の2億円以上の寄付金を出したと前日に発表した。経団連は寄付金を出した企業の情報は明らかにしなかった。ただ同紙は「賠償義務が確定した日本の被告企業は、現時点で参加していないとみられる」と伝えた。
 沈理事長は「今回の経団連の追加寄与で40億ウォンほどが未来パートナーシップ基金に集まることになった形でこれもまた意味がある」としながらも「今後両国からより多くの寄与がなされなければならない」と話した。

◇「第三者弁済は両国和解の一等功臣」
 沈理事長は第三者弁済に対し「『不可能な最善』より『可能な次善』を選択した韓国の決断。両国が長い間の不和と反目を乗り越えて和解できるようにした一等功臣」と評価した。
 一部被害者の受領拒否、裁判所の供託棄却、財源不足などにより第三者弁済案の履行が難しくなったという指摘も出ているが、彼の考えは違った。沈理事長は「第三者弁済を受け入れた被害者が拒否した被害者よりもはるかに多く、日本の被告企業が判決を履行しない限り第三者弁済は被害者の権利を満たすことができる唯一の方法のため簡単にあきらめてはならない」と強調した。また「法律の問題ならばわからないが財源問題でこの解決策を止めることはできないため両国企業の自発的な寄与を切に望む」と話した。
 裁判所の供託棄却に対しては「供託は新しい選択ではなく第三者弁済の過程だった。弁済の完結に向けては供託をするほかなく、結果を謙虚に待ちたい」と話した。韓国政府は裁判所の供託不受理を不服として異議を申し立てたが、棄却されたため現在抗告を進めている。
 米中間の戦略競争とウクライナ戦争などにより不安定な国際情勢で両国の協力の必要性がますます大きくなる中で第三者弁済解決策の履行を通じた徴用問題解決の重要性はさらに拡大している。
 沈理事長は「北朝鮮の核ミサイル高度化、米中覇権競争、供給網関連国の利己主義など世界的な問題が頻発する中で、韓日が協力すれば対外発言力と影響力を拡大できる」と話した。その上で「何より国民が肌で感じることができるアクションプランが必要だ」と話した。
 一方、1945年の解放直後に釜山(プサン)港に向かう途中の日本近海で沈没した浮島丸の乗船者名簿を日本政府が保管していた事実が最近明らかにしたことと関連して沈理事長は「関連真相究明に韓日が力を合わせて努力するならば強制徴用問題と関連した韓国人の反日感情を和らげるのにも助けになるだろう」と話した。また「財団内にも浮島丸乗船者名簿と関連した別途の特別作業班を構成する予定」と話した。彼は強制徴用被害と関連した学術研究なども財団の主要事業のひとつだと紹介した。
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「「捕鯨やめろ!」…動物権活動家たちが在韓日本大使館前で抗議」

2024年05月30日 | 国民国家日本の侵略犯罪
2024-05-30 01:48
■[フォト]「捕鯨やめろ!」…動物権活動家たちが在韓日本大使館前で抗議

【写真】韓国動物保護連合の活動家が29日午後、ソウル鍾路区の在韓日本大使館前で、日本政府に捕鯨の中止を求めている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 動物権運動をおこなっている市民団体「韓国動物保護連合」が、日本政府に捕鯨の中止を求めた。
 韓国動物保護連合の活動家は29日午後、ソウル鍾路区(チョンノグ)の在韓日本大使館前で記者会見をおこなった。日本の水産庁は10日に、すでに捕鯨対象としている3種のクジラ(ミンククジラ、ニタリクジラ、カツオクジラ)の他に、さらにナガスクジラを商業的捕鯨の対象とすることを認めると発表。21日には大型捕鯨船「関鯨丸」が進水式を行い、その後、初出港している。活動家たちはこれらに懸念を表明した。ナガスクジラはシロナガスクジラに次いで大きな哺乳類で、国際自然保護連合(IUCN)によってレッドリストの危急種(VU)に分類されている。国際捕鯨委員会(IWC)は商業捕鯨を禁止しているが、日本は2019年にIWCを脱退。その後、捕鯨を続けている。
 活動家たちは、「水面上のクジラの呼吸は植物性プランクトンの主要な餌で、植物性プランクトンは熱帯雨林よりもはるかに多くの二酸化炭素を吸収する」とし、「日本はすべての捕鯨を直ちに中止し、国の生命尊重の責任を果たすよう強く求める」と述べた。
 この日の記者会見には、米国の急進的な動物権団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)」の活動家だと名乗る2人の在米同胞観光客がそばを通りかかり、合流した。

【写真】韓国動物保護連合の活動家が29日午後、ソウル鍾路区の在韓日本大使館前で、日本の水産庁が10日にナガスクジラを捕鯨対象とすることを認めると発表したことを批判し、捕鯨の中止を求めている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社
【写真】韓国動物保護連合の活動家らが29日午後、ソウル鍾路区の在韓日本大使館前で、日本政府に捕鯨の中止を求めている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社
【写真】韓国動物保護連合の活動家らが29日午後、ソウル鍾路区の在韓日本大使館前で、捕鯨の中止を求めている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

キム・ジョンヒョ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1142561.html
韓国語原文入力:2024-05-29 15:30
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「薄れゆく歴史 海南省の最後の「慰安婦」5人」

2024年05月29日 | 日本軍隊性奴隷
 「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年8月15日
■薄れゆく歴史 海南省の最後の「慰安婦」5人
◆1軒の瓦葺きの家で、日本政府を提訴した中国大陸最後の「慰安婦」生存者・黄有良さんは人生の最期を迎えた。屈辱を受け、世の激しい変化を経験した黄さんは、8月12日に海南省陵水リー族自治県英州鎮乙堆村の自宅で亡くなった。享年90歳。中国「慰安婦」問題研究センターの統計によると、現在登録されている中国大陸の「慰安婦」生存者はわずか14人である。うち4人が海南省に暮らしている。日本による中国侵略戦争中、20万人の中国人女性が日本軍の性奴隷となった。
 黄有良さんは謝罪と正義という長年の望みを叶えることができなかった。
 1軒の瓦葺きの家で、日本政府を提訴した中国大陸最後の「慰安婦」生存者・黄有良さんは人生の最期を迎えた。屈辱を受け、世の激しい変化を経験した黄さんは、8月12日に海南省陵水リー族自治県英州鎮乙堆村の自宅で亡くなった。享年90歳。

◆黄有良さんの家から50キロほど離れた場所にもう1人の被害者がいる。本号鎮宿風村に住む92歳の卓天妹さんは状況があまり良くなく、病気で寝たきりである。
 12日前の夕方、カメラを持った記者が訪れると卓天妹さんは起き上がって何か話そうとしたが、喉に痰が絡み、リー族の言葉をわずかに話した後に力がなくなり再びベッドに横たわった。息子の嫁の陳玉瓊さんによると、数日前は喘息がひどかったという。
 当時、卓天妹さんも悲惨な体験をした。4年間にわたり、卓天妹さんは「慰安婦」にさせられただけでなく、日本軍のために水汲み、洗濯、炊事も行った。暴行、暴力、労働、飢餓の繰り返しで、卓天妹さんの体はボロボロになった。日本が敗戦してようやく家に帰ることができたという。その時、両親はすでに亡くなっていた。
 【写真】92歳の卓天妹さん 

◆91歳の李美金さんと92歳の王志鳳さんは澄邁県中興鎮土龍村で暮らしている。メディアの取材と「慰安婦」に関する調査により、彼女たちが「慰安婦」だったことが近年になり村民に知れ渡った。
 1940年、王志鳳さんは澄邁県山口村の自宅で日本軍に連行され、付近の大雲墟拠点に拘禁された。1年後、李美金さんが澄邁県茅圓村で捕まり、臨高県にある日本軍の加来空港に拘禁された。
 日本軍が降伏して長時間経っても2人は当時の経験を語ることなく結婚し、土龍村に嫁いだ。
 秘密を守るため、王志鳳さんは4回引越しをし、夫も王志鳳さんの過去の苦しみを知らないままこの世を去った。王志鳳さんは今でも悪い夢を見、ここ数年は睡眠の質も悪くなっている。
 万寧市大茂鎮進坑村で暮らす91歳の陳連村さんは割と健康である。家事はできるが、1人で外出しなくなり、暗くなる前に自分の部屋に戻る。息子は、母親がテレビに映る日本人を怖がるため、テレビを陳連村さんの寝室から別の部屋に移した。
当時、最初に海南省で「慰安婦」調査を実施した符和積さんはもう68歳になっている。符さんは、日本に行き提訴した「慰安婦」生存者の陳亜扁さんが今年5月に亡くなったことを知らない。符さんは「まだ健在な方もいるが、年齢的に記憶が曖昧になっている。これは忘れてはいけない記憶である」と話した。
 【写真】91歳の李美金さん

◆【写真】92歳の王志鳳さん
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「無罪判決後、涙を流す「スパイの濡れ衣」被害者の娘」

2024年05月28日 | 韓国で
「中央日報日本語版」 2024.05.24 11:52
■【写真】無罪判決後、涙を流す「スパイの濡れ衣」被害者の娘

【写真】「無罪判決後、涙を流すスパイ濡れ衣」の被害者、故チェ・チャンイルさんの娘、チェ・ジジャ(ナカガワ・トモコ)さん。 

 朴正煕(パク・チョンヒ)政権当時、在日韓国人スパイ捏造事件の被害者であるチェ・チャンイルさんの娘、チェ・ジジャさんが23日午後、ソウル瑞草区(ソチョグ)瑞草洞のソウル高等裁判所で開かれた判決公判で無罪を言い渡された後、記者会見で涙を流している。 


「中央日報日本語版」 2024.05.24 11:28
■「スパイの濡れ衣」在日韓国人に50年ぶり無罪宣告…娘は父の代わりに涙=韓国
 朴正煕(パク・チョンヒ)政権当時、スパイの濡れ衣を着せられ、獄中生活を強いられた在日韓国人2世に50年ぶりに無罪判決が下された。
 23日、法曹界によると、ソウル高裁刑事第13部(ペク・ガンジン部長判事、キム・ソンヒ部長判事、イ・インス部長判事)は、国家保安法・反共法違反の疑いで1、2審で有罪を言い渡された故チェ・チャンイルさんに再審で無罪を言い渡した。
 裁判所は有罪の根拠となったチェさんの捜査機関での供述と法廷での供述ともに「不法拘禁」によるものだったと判断し、証拠として認めなかった。
 裁判所は「公訴事実の中でチェさんが北朝鮮の指令を受けるために脱出したという点は証拠が足りない」とし「国家機密の漏洩に対してはその対象になった情報が国家機密だと認めるには不十分だ」と説明した。
 裁判所は「チェさんが国家暴力により犠牲になった事件と評価される」とし、「スパイとして起訴され、刑が確定する過程で重大な人権侵害があった」と認めた。
 同時に「基本権保障の最後の砦になるべき司法府がその任務を疎かにした」として「本来の役割を果たせなかった大韓民国司法府の一員として深い謝罪の言葉を申し上げる」と述べた。同日の判決後、故チェ・チャンイルさんの娘チェ・ジジャさんは記者会見を開き、涙を流した。
 在日韓国人2世であるチェさんは1973年に韓国に入国し、陸軍保安司令部にスパイとして名指されて連行された。
 過酷な行為の末にチェ被告は「北朝鮮から指令を受けた」などと供述し、1974年に裁判所は懲役15年を言い渡した。光復節特使として釈放されるまで、チェさんは6年間獄中生活を強いられた。1998年、脳腫瘍で死亡した。
 チェさん死亡後、事件を知ったチェさんの娘は2020年に裁判所に再審を請求し、ソウル高裁は昨年再審を決めた。


「The Hankyoreh」 2024-05-24 06:56
■50年間「スパイの濡れ衣」に裁判所が謝罪…娘は父親のため法廷に立った=韓国
 検察、50年前に法廷陳述を証拠に懲役7年を求刑 
 裁判所、「証拠能力は認められない」として無罪言い渡す

【写真】在日韓国人スパイ捏造事件の被害者崔昌一さんの娘、智子さんが無罪判決後に開かれた記者会見で涙ぐんでいる=チャン・ヒョヌン記者//ハンギョレ新聞社

 「彼は約50年前、祖国に来て夢を広げようとした在日コリアンの青年でした。彼がスパイとして起訴され、刑が確定する過程で重大な人権侵害がありました。基本権を保障する最後の砦となるべき司法府は、その任務を疎かにしました。本来の役割を果たせなかった大韓民国司法部の一員として、深くお詫び申し上げます。宣告します。被告人は無罪」。
 23日午後、故崔昌一(チェ・チャンイル)さんの再審事件の宣告期日が開かれたソウル高等裁判所312号。裁判所の判決が終わると、傍聴席からは拍手が沸き起こった。生涯スパイの濡れ衣を着せられて生きてきた在日コリアンの故崔昌一さんが、50年ぶりに無実の罪を晴らした瞬間だ。検察は崔さんがおよそ50年前に法廷で行った陳述を証拠に懲役7年を求刑したが、裁判所は「証拠能力を認めることはできない」として、無罪を言い渡すとともに、崔さんが受けた国家暴力について謝罪した。
 ソウル高等裁判所刑事13部(ペク・カンジン裁判長)は同日、国家保安法、反共法違反の疑いが持たれている崔さんの再審で、49年前の判決を覆して無罪を言い渡した。崔さんは1941年、日本で在日コリアン2世として生まれ、東京大学を卒業した後、韓国に渡り、ソウル大学で講師として働いていた。しかし、国家は崔さんがスパイ活動をするために韓国に入国したとして不法拘禁し、スパイ活動の供述を引き出した。1974年、裁判所はチェさんに懲役15年を言い渡し、崔さんは光復節特赦で仮釈放されるまで6年間にわたり収監された。その後、日本に帰った崔さんは1990年代後半、病気でこの世を去った。
 同日、法廷には再審を申請した崔さんの娘、中川智子(韓国名崔智子)さんが立った。2017年になって偶然父親の過去を知った後、娘の智子(チェ・ジジャ)さんは2020年1月、父親の名誉回復のために再審を請求した。昨年11月になって再審請求が認容されたが、検察は最後まで崔さんの「有罪」を主張した。崔さんが捜査機関に不法監禁されて行った自白が本人の意思ではなかったとしても、法廷に出て行った自白は証拠として認めなければならないとして、懲役7年を求刑した。
 しかし、裁判所は検察の主張を受け入れなかった。裁判所は「法廷での陳述も捜査機関での不法拘禁により任意性なしに行われた陳述がそのまま続いたもので、そのような事情が解消されたという点に対する検事の証明がないと判断される」とし、「被告人のすべての公訴事実について証拠が不足している」とみた。特に裁判所は無罪判決の主文を読む前に「この事件は南北分断がもたらした理念対立の中で、一人の知識人であり誠実な大韓民国の国民、そして家長だった崔昌一さんが国家暴力によって犠牲になった事件」だとしたうえで、「今日の判決が故崔昌一先生と家族に少しでも慰めと癒しの意味を持つことを願う」と崔昌一さんと家族に謝罪した。

【写真】生前の崔昌一さん(左)が娘と一緒に撮った写真=崔智子さん提供//ハンギョレ新聞社

 智子さんの願い通り、父親は無罪を言い渡されたが、家族の傷まで癒えるかどうかは不透明だ。智子さんの母親と兄は「韓国政府に殺されるかもしれない」とし、智子さんの再審請求に反対してきた。智子さんはハンギョレとのインタビューで「父親はソウル大学の講師になったばかりの時に逮捕された。そのまま仕事を続けていたら、立派な研究者になって韓国で活躍したかもしれないのに、拘禁されたことでその夢が壊れてしまった」とし、「一生父親が友人に会うことも見たことがなく、母親と兄は日本に引っ越してからも『アカの家族』と呼ばれ差別を受けた」と語った。
 智子さんにとっても韓国は依然として「何の罪もない民間人を政治に利用した恐ろしく酷い国」だ。日本で働く平凡な高校教師である智子さんが韓国政府に再審を請求して結果を待つ4年間、何度も諦めるべきかを悩んだという。崔昌一さんのように在日コリアンに対するスパイ捏造事件の被害を受けたが、まだ容疑を晴らしていない人も多い。崔さんを代理したチェ・ジョンギュ弁護士(法務法人ウォンゴク)は「強要による捜査機関での供述だけでなく、これによって影響を受けたはずの法廷供述の証拠能力も否定したという点で意味のある判決」だとし、「国家暴力被害を受けた他の在日コリアンスパイ捏造事件をはじめとする人権侵害事件も、早く解決されなければならない」と語った。
チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-05-23 20:52


「聯合ニュース」 2024.05.23 17:20
■「北のスパイ」として服役の在日男性 50年ぶり無罪判決=韓国高裁
【ソウル聯合ニュース】韓国の朴正熙(パク・チョンヒ)政権時代にスパイ活動の罪を着せられた在日韓国人に、50年ぶりに無罪判決が言い渡された。ソウル高裁は23日、国家保安法・反共法違反の罪で一審・二審で有罪判決を受けた故崔昌一(チェ・チャンイル)さんに対し、再審で無罪を言い渡した。
 裁判所は、有罪の根拠となった崔さんの捜査機関と法廷での供述をいずれも不法拘束によるものと判断し、証拠として認めなかった。
 また、公訴事実の中で崔さんが北朝鮮の指令を受けるために韓国入りしたという点について証拠が不足しているとしたほか、国家機密を漏えいした罪についても対象となった情報を国家機密と認めるには足りないと説明した。
 裁判官は、崔さんが国家暴力の犠牲になった事件であり、重大な人権侵害があったと認めた上で、「本来の役割を果たせなかった韓国司法府の一員として深く謝罪する」と述べた。 
 在日韓国人2世の崔さんは1973年に韓国を訪れたが、陸軍保安司令部にスパイの疑いをかけられて連行され、拷問の末に「北から指令を受けた」などと供述。裁判所は74年に懲役15年を言い渡し、崔さんは特別赦免(恩赦)を受けて釈放されるまで6年間獄中生活を送った。
 崔さんの死後に事件を知った遺族が20年に裁判所に再審請求を行い、ソウル高裁は昨年再審を認めた。 


「中央日報日本語版」2022.08.24 11:40
■韓国裁判所、「拷問でスパイの濡れ衣」在日韓国人遺族に22億ウォンの刑事補償判決
 故国を訪問中にスパイの疑いを受けて獄中生活を送った後、40年後の再審で無罪を宣告された在日韓国人事業家の故ソン・ユヒョン氏(1929~2014)の遺族が22億ウォン(約2億2500万円)余りの刑事補償金を受ける。
 24日、法曹界によると、ソウル高裁刑事7部(イ・ギュホン、チョ・グァングク、イ・ジヨン部長判事〕は、政府がソン氏の遺族に拘禁および費用に対する補償として22億7300万ウォン余りを支給するよう決定した。
 油類関連部品を韓国に普及する販売会社を設立・運営していたソン氏は1981年4月25日午前10時頃、国家安全企画部(安企部、現・国家情報院)の捜査官らによって法に則った令状もなく連行された。
 逮捕後、外部との連絡が遮断されたまま違法に拘禁されたソン氏は46日間、安企部の捜査官に拷問され、容疑を認める供述書を書いた。ソン氏は同年6月9日、「日本を拠点とした迂回浸透スパイ」とされ、拘束された。

大阪在日朝鮮人総連合会(朝鮮総連)商工会幹部を務め、1964年に日本に秘密裏に派遣された北朝鮮の工作員に誘い込まれ、スパイ行為を行ったという疑いだ。
 ソン氏は裁判で「安企部の拷問に勝てず、虚偽の陳述をした」とし、潔白を主張したが、1981年11月に裁判所は死刑と没収を宣告し、最高裁まで行った末、刑が確定した。
 その後、懲役刑に減刑されたソン氏は1998年3月に仮釈放されて日本に帰った後、2014年に他界した。ソン氏の死後、遺族が再審を請求した。
 ソウル高裁刑事12-1部〔チェ・ボンヒ、チン・ヒョンミン、キム・ヒョンジン部長判事(当時)〕は昨年10月、ソン氏が安企部に違法に逮捕・拘禁された状態で過酷な行為と懐柔により虚偽の陳述をしたと認め、ソン容疑者の無罪を宣告した。
 検察は上告したが、最高裁も「法理と記録に鑑み、原審の判断に証拠能力に関する法理を誤解した誤りはない」とし、今年1月に無罪を確定した。
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「韓中日共同声明 「韓国人拉致被害」の明記かなわず」

2024年05月27日 | 北部朝鮮
「聯合ニュース」 2024.05.27 18:38
■韓中日共同声明 「韓国人拉致被害」の明記かなわず
【ソウル聯合ニュース】韓中日首脳会談で採択された共同宣言に、北朝鮮による韓国人拉致被害者問題を盛り込もうとした韓国政府の試みは空振りに終わった。

【写真】ソウルの青瓦台(旧大統領府)迎賓館で3カ国首脳会談の共同記者会見を行う韓国の尹錫悦大統領(中央)、中国の李強首相(右)、日本の岸田文雄首相(大統領室提供)=(聯合ニュース)

 韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と中国の李強首相、日本の岸田文雄首相は27日、ソウルで3カ国首脳会談を開いた後に発表した共同宣言で、「われわれは域内の平和と安定、朝鮮半島の非核化、拉致問題に対するそれぞれの立場を改めて強調した」と記した。
 韓中日はこれらの問題について共通の立場を引き出すことができず、各国が重要視する事項を羅列したものと受け止められる。中国は「域内の平和と安定」、韓国は「朝鮮半島の非核化」、日本は「拉致問題」について強調したもようだ。
 拉致被害者問題に対するこのような表現は、前回の首脳会談と比べてむしろ後退したといえる。
 2019年12月に開かれた前回の首脳会談の成果文書には「中国と韓国の首脳は、日本と北朝鮮との間の拉致問題が対話を通じて可能な限り早期に解決されることを希望する」との内容が盛り込まれ、18年の首脳会談の共同宣言にも同様の文言が記載された。
 これに比べると、今回は単純に「拉致問題」とのみ言及され、北朝鮮による拉致問題という点も明文化されなかった。韓国政府は日本人拉致問題の解決に加えて韓国人拉致被害も明記することを模索したが、実現しなかっただけでなくこれまでと比べ内容も薄められた。
 「韓米日」対「中ロ朝」という新冷戦構図の中で米国と対立する中国が、安全保障問題において意図的に北朝鮮に肩入れしたためと分析される。
 これに対し、韓国人拉致被害者の家族と北朝鮮の人権問題に取り組む韓国団体は落胆の色を隠せなかった。また、尹大統領が岸田首相のように拉致問題解決に向けた意志を込めたバッジを着用しなかったことについても失望感を示した。


「中央日報日本語版」 2024.05.26 11:43
 「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領、金正恩(キム・ジョンウン)委員長、この老人の願いは他にありません。ただ息子の顔だけでも一度見て死ねれば心残りはないです。どうか助けてください」。
 1978年8月10日、全羅南道(チョンラナムド)の紅島(ホンド)に避暑に訪れ友達のイ・ミョンウさん(当時17歳)とともに北朝鮮に拉致されたホン・ゴンピョさん(当時17歳)の母キム・スンレさん(91)は息子を懐かしがる気持ちを込め尹錫悦大統領と金正恩国務委員長に手紙を書いた。
 韓国統一部が24日に明らかにしたところによると、キムさんの孫はキムさんが書いた手紙を全羅北道群山(クンサン)の仙遊島(ソンユド)海水浴場で開かれた「3輪のワスレナグサ送還祈願碑」の除幕式で統一部に伝達した。
 3輪のワスレナグサ送還祈願碑は1977年から1978年にかけ北朝鮮に拉致された高校生5人の送還祈願と問題解決に向けた思いを込めて統一部が設置した。
 キムさんは「90歳を超えた老婆の体で生きられる日がどれだけ残っているのかわからない毎日を送っている。いまこの年齢で何を望むのか」と話した。
 続けて「残された願いは40年以上毎日思い出す息子の顔を一度見て死ぬことしかない。いまにでもドアを開けて『お母さん』と帰ってくると思っていた息子が40年をはるかに超えても一度も顔を見られないのだから、この恨めしさをだれがわかるだろうか」と訴えた。
 キムさんは「40年以上前に夫は息子を探すとして全羅道の島をすべて探し回り、気を病んで事業もだめになり、失った息子の心配ばかりしながら結局死去した」と打ち明けた。
 その上で「このむごい運命に息子の顔を見る日があるだろうかと息だけしながら生きている」として息子との対面を成功させてほしいと要請した。
 1977年8月12日に紅島で北朝鮮に拉致されたチェ・スンミンさん(当時17歳)の兄チェ・スンドさん(68)はこの日記者らと会い、「父と母は息子がエビ漁船に捕まって働いていると思って紅島周辺の島を訪ね歩いて病気で死んだ。最後に(弟の)顔を一度見て死んだ父と母の魂にも伝えたい」と涙声で話した。


「聯合ニュース」 2024.05.24 18:36
■韓国人拉致被害者の母が米人権特使に訴え 「死ぬ前に息子の顔見たい」
【仙遊島聯合ニュース】韓国南西部・全羅北道の仙遊島で24日、1977年から78年にかけて同島と全羅南道の紅島で北朝鮮に拉致された当時高校生だった5人の帰還を祈願する碑の除幕式が開かれた。被害者イ・ミンギョさんの母、キム・テオクさんは来韓中の米国のターナー北朝鮮人権問題担当特使に対し、死ぬ前に息子と面会だけでもできるよう金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)に伝えてほしいと訴えた。

【写真】イ・ミンギョさんの母、キム・テオクさんの手を握るターナー氏(右)=24日、群山(聯合ニュース)

 92歳のキムさんは車椅子に乗って除幕式に参加した。
 1977~78年に仙遊島と紅島で北朝鮮に拉致された高校生は金英男(キム・ヨンナム)さんやイ・ミンギョさん、チ・スンミンさん、イ・ミョンウさん、ホン・ゴンピョさんの5人。仙遊島で拉致されたのは金英男さんだ。碑は紅島にも設置され、27日に除幕式が行われる。
 金英男さんは北朝鮮で日本人拉致被害者の横田めぐみさんと結婚したことが確認されて母親と再会を果たしたが、残りの4人については生死も明らかになっていない。
 仙遊島で開かれた除幕式には、イ・ミョンウさんの家族を除き、4人の被害者の家族12人が参加した。家族らは生死の確認と再会だけでも実現しなければならないと口をそろえた。
 市民団体「戦後拉北被害家族連合会」の崔成龍(チェ・ソンリョン)理事長は、生死の確認が取れていない4人のうち、イ・ミンギョさんとホン・ゴンピョさんの母親は存命中であるため、非公開であっても対面する機会を作ってほしいと北朝鮮当局に呼びかけた。
 また崔さんはホン・ゴンピョさんの母親が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と金正恩氏に書いた手紙を公開した。手紙には死ぬ前に一度でも息子の顔だけでも見ることができれば思い残すことはないなどと綴られていた。
 同日の行事には拉致被害者家族のほか、金暎浩(キム・ヨンホ)統一部長官、李信和(イ・シンファ)北朝鮮人権国際協力大使らも出席した。
 金暎浩長官は除幕式で、「北は今からでも韓国の高校生5人全員を家族のもとに送り、拉致被害者問題の解決に前向きに応じるよう改めて強く求める」と述べた。また記者団に対し、高校生5人の拉致事件を知らない人が増えており、被害者や家族の苦しみを記憶していくための努力をしていくと説明した。
 ターナー氏は「拉致被害者の家族が次第に高齢化し、行動を急がなければならない」とし、11月に予定された国連の北朝鮮に対する普遍的・定期的レビュー(UPR)など国際社会と協力し問題解決に向け努力すると述べた。

【写真】北朝鮮に拉致された5人の帰還を祈願する碑の除幕式=24日、群山(聯合ニュース)


「聯合ニュース」 2024.05.24 06:01
■韓国政府 韓中日首脳声明に「韓国人拉致問題解決」の明示模索
【ソウル聯合ニュース】韓国政府が韓中日首脳会談(27日、ソウル)で採択される共同声明に北朝鮮による韓国人拉致被害者、拘束者、韓国軍捕虜の問題解決を目指すとの内容を盛り込む案を模索している。複数の政府筋が24日までに明らかにした。

【写真】2005年、横田めぐみさんの父、滋さんと(右)と対面した韓国の拉致被害者家族(資料写真)=(聯合ニュース)

 3カ国首脳会談の開催は2019年12月以来、約4年半ぶりとなる。政府筋は「2018年と19年の韓中日首脳会談後の共同声明に日本人拉致問題の解決が含まれた」とし、「今回も日本が拉致問題を盛り込もうとする可能性が高いため、韓国人拉致被害者についても同じ部分で言及すればよい」と説明した。
 19年12月に中国・成都で開かれた第8回韓中日首脳会談では、「次の10年に向けた3カ国協力に関するビジョン」が採択され、「中国と韓国の首脳は、日本と北朝鮮との間の拉致問題が対話を通じて可能な限り早期に解決されることを希望する」との内容が盛り込まれた。
 18年5月に東京で開かれた第7回会談では「韓中日サミット共同宣言」が発表され、「韓国と中国の首脳は日本と北朝鮮との間の拉致問題が対話を通じて可能な限り早期に解決されることを希望する」との文言が入った。
 北朝鮮問題に関連する市民団体の関係者などからは、韓国政府に強い意思があれば、韓国人拉致被害者問題の解決を韓中日首脳会談の共同声明に盛り込むことに大きな問題はないだろうとの見方が出ている。
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坡州に住む外国人移住民「稼いだら去る異邦人ではない」…韓国の社会問題にも積極参加

2024年05月26日 | 韓国で
「The Hankyoreh」 2024-05-25 13:39
■坡州に住む外国人移住民「稼いだら去る異邦人ではない」…韓国の社会問題にも積極参加
 [ハンギョレ創刊企画]韓国の中のグローバル化、移住民 
 京畿道坡州市の地域活動家

【写真】ミモトゥ代表(左から3人目)をはじめ、坡州のミャンマーコミュニティーのメンバーが3月1日、朝鮮半島の平和のための非武装地帯(DMZ)巡礼大長程宣布式に参加している=坡州移住労働者センター「シャロームの家」提供//ハンギョレ新聞社

 今月12日、京畿道坡州市金村洞(パジュシ・クムチョンドン)にある坡州移住労働者センター「シャロームの家」は、週末を迎え、訪ねてきた移住民たちでにぎわっていた。それぞれ自身の国の言葉であいさつを交わしている彼らは、3階の学習室で行われる韓国語の授業を受けるためにセンターにやって来た受講生たちだった。
 坡州シャロームの家も普通の移住民センターと同じように韓国語、ミャンマー語、シンハラ語、クメール語などの様々な国の言語が絶えず飛び交う。しかし、特別な点がある。各国のコミュニティーが自ら動いているのだ。この日も午後3時からミャンマーのコミュニティーの会議があったが、ミャンマーの移住労働者たちが思ったより集まったため、彼らはより広い会議スペースを探すのに急いで動いた。ミャンマーコミュニティーのミモトゥ代表(46)は「2022年12月に3人が始めた会は、もう30人の規模にまで膨らんだ」と話した。
 坡州のミャンマーコミュニティーは、結婚移住女性としてやって来たミモトゥ代表を除けば、主に非専門就業(E-9)ビザで韓国に来た20~30代の男性労働者からなる。普通、移住労働者のセンターでの活動は労働相談と韓国語教育がすべてだが、坡州のミャンマーコミュニティーは異なる。この日も主に、軍部のクーデターで苦しんでいるミャンマー人をどのように支援するかについての議論が交わされた。自分たちが韓国と地域社会でどのような役割を果たせるかという議論も欠かさない。地域、民主主義、コミュニケーション、平和など、このコミュニティーがテーブルに載せるテーマには境界がない。

【写真】坡州のミャンマーコミュニティーの代表を務めるミモトゥさん(中央)とミャンマー移住労働者たちが12日、京畿道坡州市金村洞の坡州移住労働者センターシャロームの家で言葉を交わしている=イ・ジュンヒ記者//ハンギョレ新聞社

 討論だけではない。行動にも積極的だ。昨年4月には梨泰院(イテウォン)惨事追悼ウォーキングに参加した。今年3月には、朝鮮半島の平和のための非武装地帯(DMZ)巡礼大長程に参加した。ミモトゥ代表は坡州のミャンマーコミュニティーについて「単に稼いだら帰ってしまう異邦人ではなく、同等な地域社会の住民としてミャンマーと韓国の苦しみを分かち合い、共存を考えている」と説明した。
 ミャンマーの政治的状況を韓国に伝えたり、韓国でミャンマー人を支援したりといった活動も欠かさない。今年2月には坡州市民と共に500万ウォンの募金を集め、タイにあるミャンマー難民キャンプを訪問した。24日には難民キャンプ訪問報告会を行い、今後の活動も具体化する計画だ。ミモトゥさんは「韓国にも過去に似たような苦しみ(軍部クーデター)があったため、この問題を伝えれば互いをもっと理解できるようになると思う」と話した。
 梨泰院からミャンマーに至るまで、彼らにとって違いはない。坡州シャロームの家のイム・ギョンラン事務局長は、「他の地域でもどうすればこのような活動が可能になるかについて関心を持つ人が多い。このような経験が重なっていけば、移住民と共存する方法が学べるはず」だと語った。坡州シャロームの家で活動する聖公会のキム・ヒョンホ神父は、「コミュニティーの中で共存の文化を作り、そのコミュニティーが地域社会とコミュニケーションを取り、地域社会はそれを受け入れる文化を作ろうということ」と話した。

【写真】坡州のミャンマーコミュニティーのメンバーたちが12日、京畿道坡州市金村洞の坡州移住労働者センターシャロームの家で会議の準備をしている=イ・ジュンヒ記者//ハンギョレ新聞社

 ミモトゥ代表はミャンマーで旅行マネージャーとして働いていた。平凡な会社員だったし、社会問題にかかわった経験もない。彼女が変わったのは、2009年に韓国にやって来てから。彼女は「初めて韓国に来た時には、自分が活動家になるなんて思いもしなかった」と話した。ただ漠然と「韓国でミャンマーのために何かしたい」という思いを抱いて暮らしている程度だった。そんな中、2021年にシャロームの家から連絡が来て、通訳を始めた。「私たちのセンターは移住民が主体になる場」(イム事務局長)という哲学を持つシャロームの家で、眠っていた彼女の情熱は目覚めた。そして2022年、坡州でミャンマーのためのろうそくを手にした。「集まったら話をするようになって、一緒に動いた。ろうそくがミャンマーコミュニティーにまでつながった」のだ。
 彼女は、自らが歩んだ成長の過程をミャンマー移住労働者たちも共に歩んでゆけるよう願っている。ミモトゥさんは、「(移住労働者には)こういった活動をしたり韓国人とコミュニケーションしたりしながら、この中で何かを学んでいってほしい。私も韓国人とミャンマー人とをつなぐ役割を続けたい」と話した。
 坡州シャロームの家にはミャンマーの他にもスリランカ、カンボジア、タイなどのコミュニティーがある。ミャンマーコミュニティーはむしろ新しい方だ。他のコミュニティーもミャンマーコミュニティーのように移住労働者中心で始まったが、月日の流れとともに構成員の性格に変化が生じた。イム事務局長は、「スリランカコミュニティーは、かつてはひとりで暮らしている移住労働者がほとんどだったが、最近は家族を作って韓国に定着する人が増えている」と話した。積極的に地域社会とのコミュニケーションに努めてきたおかげだ。

【写真】京畿道坡州市金村洞の金村虹の小さな図書館で蔵書委員として活動する結婚移住女性たちが9日、図書館でポーズを取っている。左からチョン・イルさん、カン・ガヘさん、司書のキム・ウニョンさん、ニカミユリエさん、イイヅカサヤカさん=イ・ジュンヒ記者//ハンギョレ新聞社

 今では、自分たちのコミュニティーにとどまらず坡州の地域社会に馴染んでいる移住民を探すのは難しいことではない。金村洞にある「金村虹の小さな図書館」のように、移住労働者センターが公共図書館と連携する事業にかかわる人々が代表な例だ。この図書館は移住民特化図書館として運営されているが、結婚移住女性などの11人の移住民が蔵書委員として活動する。その過程で図書館は坡州市家族センター、シャロームの家などとも協力する。ミャンマーコミュニティーのミモトゥ代表も、ここで蔵書委員として活動していた。同図書館の司書のキム・ウニョンさん(ヌティナム財団)は、「ネットワークが動くことで蔵書委員が地域の中枢となっていると感じる」と話した。
 日本出身のニカミユリエさん(37)も図書館の蔵書委員だ。交河洞(キョハドン)の協同組合書店「チョムオ書房」の組合員でもある。彼女は最近、坡州の地域合唱団「パノラマ」の団員として、2人の娘とともにセウォル号追悼合唱に参加した。ニカミさんは「初めて韓国に来た時には異邦人だという視線も向けられたが、コミュニティー活動の中で自分は坡州の人間なんだということを感じることができた」と話した。地域図書館という公共の領域が人生のもう一つの機会になったケースもある。台湾から来たチョン・イルさん(44)は、図書館活動の経験から司書資格まで取得し、正式に司書となった。チョン・イルさんは「韓国人であれ移住民であれ、夢を持っているという共通点がある。その部分を互いに共感すれば仲良く暮らしていけるはず」と話した。蔵書委員として活動する日本出身のイイヅカサヤカさん(45)は最近、童話の出版も準備している。イイヅカさんは「本を通じて韓国人とつながりつつ、韓国人とコミュニケーションする喜びをとても感じている。人と人が完全な絆を感じられるように、本を書いたり、多くの聴衆の前で朗読したりするストーリーテラーになりたい」と語った。
 初めて坡州にやって来た時には漠然としていた「共に暮らしたい」というそれぞれの思いは、すでに日常の中で現実のものになりつつある。台湾から来たカン・ガヘさん(36)は、「もともと人は自分の知らないものを恐れたり拒否したりするもの。でも、異邦人に対するそのような感情は、嫌だというよりは一種の恐怖」だと述べた。カンさんは「韓国は移住民に各自を紹介できる優しい隙間を作ってほしい」と付け加えた。「多文化図書館」と聞いて「最初は外国人だけが来るところだと思った」という人も、いつのまにか移住民と共に本と人生について語り合うようになった金村虹の小さな図書館がそうだったように。
イ・ジュンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-05-22 20:57


「The Hankyoreh」 2024-03-22 11:33
■[コラム]韓国の移住民、歓待にとどまらず連帯すべき
 イ・ジュンヒ|全国部記者

【写真】移住労働者たちが自分たちの境遇を象徴する鎖を使ってパフォーマンスを繰り広げている=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 昨年4月、移住民政策を取材するために、私はフランスのパリへ行った。シャルル・ド・ゴール空港で飛行機を降りて地下鉄に乗った。移住民の多いパリ北部では、白人の乗客を探すのが難しかった。ホテルのあるパリ中心部はそれとは異なっていた。街にいる人の大半は白人だった。黒人を見かけるのは一定の場所に限られていた。エッフェル塔前の露天商、ホテルの清掃員、博物館の警備員。まるで黒人のする仕事が定められているように思えた。一種の「人種化した階級」だった。
 フランスは移住民の包容に積極的だった。しかし、不平等も根深かった。特に移住民に対する尊重は、安い労働力を利用して利潤を創出しなければならない資本主義の論理の前では、あっけなく崩れ去った。移住民というアイデンティティーは配慮の対象となりうるが、労働者としての彼らの賃金が低い理由は彼らの努力や能力不足、さらには怠惰のような「人種的特性」にたやすく置き換えられた。彼らを低賃金雇用へと追いやる構造は隠蔽されていた。
 韓国はどうか。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、人口の壁と地域消滅問題の解決策として移民政策を持ち出した。その一環として、今年の非専門就業(E-9)ビザの発給規模を過去最大の16万5千人へと拡大した。ソウルを含む4地域では、下半期から彼らはホテルや食堂の厨房でも働けるようになる。ソウル市は外国人家事手伝いのモデル事業も開始する。
 政策の基調は明確だ。韓国人が敬遠する仕事に外国人を投入するというものだ。同時に、彼らを低賃金雇用に縛りつけておくために、監視と処罰は強化した。法務部は昨年、未登録移住民に対する大々的な取り締まりを行い、3万8千人あまりを摘発した。移住労働者の自由を抑圧しているとの批判を浴びている雇用許可制はそのまま維持した。
 あちこちで悪影響が現れた。慶尚北道慶州市(キョンジュシ)のある工場では昨年11月、取り締まりの過程で法務部の男性職員が女性移住労働者を「ヘッドロック」で制圧して連行していく映像が公開され、社会の怒りを買った。京畿道烏山市(オサンシ)にある韓信大学は同月27日に、語学堂に通っていた22人のウズベキスタン人留学生を「不法滞在者になりうる」との理由で、外部の警備業者を動員し、携帯電話まで押収して強制的に出国させていたことが後になって明るみに出て、衝撃を与えた。

【写真】法務部の職員が昨年11月7日、慶尚北道慶州市のある工場で未登録移住民の取り締まり中に女性移住労働者の首を絞めている=動画をキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 政府の強圧的な移住民政策をめぐっては、批判が相次いでいる。人手の足りない農漁村はもちろん、首都圏の企業からも不満が出ている。移住民のおかげで消滅を免れている地域も状況は同じだ。状況が状況だけに、最近は政治傾向を問わず移住民に対する規制を緩和すべきだとの声があがっている。違いを認め、共存を模索しようとの声も高まっている。
 同意しつつも、依然として疑問は残る。国、民族、人種のような皮を剥けば、その中には搾取を通じてのみ維持が可能な体制の問題が存在するのではないかと感じるからだ。内国人と外国人を分ける前に「人間が敬遠する労働」であるなら、まず労働現場を変えるべきだと考えるからだ。未来の韓国を想像してみよう。アジア各国からやって来た人々が低賃金雇用を埋めたその地で、移住民の第2世代が自身の親の受けてきた搾取を批判して立ち上がったとしたら? 低賃金労働を強制し、職場を離脱すれば違法のレッテルを貼って処罰する韓国の移住民政策を「現代版奴隷制」だとして批判したとしたら? 私たちはそれを移住民の問題と考えるべきか、それとも階級問題と考えるべきか。単なる移住民に対する歓待が、世代を重ねて積もっていくその怒りを防げるだろうか。
 歴史学者エリック・ウィリアムズはその著書『資本主義と奴隷制』で、人種差別のせいで黒人奴隷制が生まれたのではなく、黒人奴隷制が人種差別を産んだのだと主張する。西欧の産業化の動力は超過利潤を通じた資本の蓄積を可能にした黒人奴隷制であり、その過程を正当化する論理として人種差別が誕生した、との指摘だ。ウィリアムズは同書の中でこのように語る。「時代の政治理念と道徳観念は、それらが経済発展と結ぶ非常に緊密な関係の中で検討しなければならない」。移住民に対する歓待にとどまらず、共に搾取の構造を乗り越えていく連帯を考えるべき理由はここにある。
イ・ジュンヒ|全国部記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-03-19 19:05


「The Hankyoreh」 2024-01-03 11:39
■留学生規制を緩和するという韓国法務部、実状は潜在的犯罪者扱い
 [留学生18万時代の陰]

【写真】13日午後、京畿道烏山市陽山洞の韓信大学京畿キャンパス内のチャンゴン館前で「韓信大学留学生強制出国糾弾時局祈祷会」が開かれた。参加学生が「恥ずかしい」と表示された携帯電話を手にしている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 韓信大学による留学生強制出国問題を機として、外国人留学生の管理を担当する法務部に対する批判も高まっている。法務部の規制一辺倒の政策が今回の事態を招いたというのだ。一部からは、法務部が今回の事件を契機として留学生と大学に対する取り締まりをさらに強化する可能性がある、との憂慮の声があがっている。
 法務部は、今月12日のハンギョレの報道で韓信大学のウズベキスタン留学生強制出国事件が世に知られた後も、特に立場を表明していない。19日のハンギョレの追加報道で、法務部が当初、財政能力を証明できなかった留学生に規定を破って入国査証(ビザ)を発給していたことが明らかになった際に、「大学側の要請で条件付きで発給したものであり、残高証明の要求は大学の(条件)履行の可否を点検する当然の手続き」だと述べのがすべてだ。
 しかし、今回の事態に根本的な原因を提供したのは法務部だとの意見も強い。130の移住民人権団体は21日におこなった記者会見で「法務部は在留管理のすべての責任を大学側に転嫁し、留学生の強制出国を誘発した第一義的な原因提供者」、「法務部が特定の国の出身者を潜在的な犯罪者と見なす差別的な指針によって留学生を管理している中、大学が外国人留学生を金儲けの対象と考えるのは当然の現象」と指摘している。
 法務部は留学生に対する規制の緩和を約束しながら、政策実行には消極的だとの批判もある。法務部は8月24日の大統領主宰の規制革新戦略会議で、国内の学位課程の留学生の低い就職率(16%)を高めるために、卒業後の就業を3年間にわたって全面的に容認することを内容とする「外国人人材活用などの雇用キラー規制廃止方策」を発表した。事務・専門職に限られていた就業制限を解除するというのだ。しかし、発表から4カ月たっても留学生政策には何の変化もない。法務部の関係者は20日、ハンギョレに「まだ細部事項は決まっていない」と語った。
 その間、取り締まりは日増しに強まっている。済州漢拏大学のキム・ドギュン教授は、「留学生支援策は発表しておきながら実行していないのに、出入国官署は取り締まりにばかり重点を置いているものだから、とうとう大学が留学生を拉致して強制出国させるというあきれた事態が起きた」と述べた。首都圏のある大学で国際交流業務を担当する教職員は「韓国は世界の主要国へと成長し、社会も開放的なものへと変化したが、法務部だけが数十年前の防衛的思考に閉じ込もっている。根本的な問題は解決せず、取り締まりばかりを強化するやり方で今回の事態に対応するのではないかと心配だ」と話した。
イ・ジュンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/capital/1121668.html
韓国語原文入力:2023-12-25 05:00


「The Hankyoreh」 2023-05-04 07:56
■礼拝堂まで急襲…韓国法務部の「移住労働者取締り」で人権侵害続出

【写真】移住労働者が鎖で自分たちの境遇を象徴するパフォーマンスを行っている=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 農業や製造業、建設業など非専門職種への就業を希望する外国人に発給される非専門就業ビザ(E-9)で2013年に韓国に入国したネパール人のTさん(44)は4月8日、忠清南道牙山(アサン)のある工場で滞在期間(最大4年10カ月)を越えて働き続けたことで、韓国政府の不法滞在取り締まりに摘発された。取り締まりの過程で肩を脱臼したが、Tさんは直ちに大田(テジョン)出入国管理事務所の保護室に収容された。Tさんが一晩中泣きながら痛みを訴えると、当局は翌日になってようやく彼を病院に連れて行った。医療スタッフは手術が必要だと言ったが、Tさんは翌日、強制出国させられた。Tさんの診療費(104万ウォン)は、一緒に摘発された他のネパール人に請求された。ネパールに帰ったTさんは最近「行き過ぎた取り締まりで負傷したこと、治療費を他のネパール人に負担させたこと、治療が終わっていない人を急いで出国させて人権を侵害した状況を調査してほしい」として、国家人権委員会に陳情を出した。Tさんは出入国管理事務所における人権侵害の再発防止策を講じるよう求めた。人権委は事実関係の確認のための手続きを進めている。
 韓国政府が不法滞在移住民に対する取り締まりを強化したことで、人権侵害の事例も続出している。政府は外国人登録証のない未登録移住民だけではなく、合法滞在者でも規定に反する労働に従事ずる移住民も全員「不法滞在外国人」とみなし、摘発と追放を進めている。
 3月25日には仁川(インチョン)のあるクラブでタイの有名歌手が公演をしていたところ、仁川出入国・外国人庁がタイとラオス国籍の不法滞在移住民83人を一度に逮捕した。他国の文化公演を台無しにし、外交問題に飛び火する恐れがあるという懸念の声もあがっている。同月12日には警察が大邱(テグ)で礼拝を行っている教会を急襲し、フィリピン国籍の不法滞在移住民9人を逮捕して、宗教の自由を侵害したと批判された。
 政府の大々的な取り締まりで負傷者が続出し、人権侵害という批判が高まっているが、法務部は不法滞在に対する常時取り締まり体系を通じて厳正な法秩序を確立したと広報している。法務部は3日、報道資料を出し「今年1月から4月まで1万2833人を送り出し、1万2163人を自主出国させて、不法滞在移住民2万5千人を減らした」と明らかにした。ハン・ドンフン法務部長官は「柔軟な出入国移民管理政策の前提となるのは、厳正かつ予測可能な滞在秩序であり、これからも不法滞在に対する取り締まりなど厳正な滞在秩序の確立に努める」と述べた。
 しかし、法務部のこのような取り締まりは反人権的であるだけでなく、現実とかけ離れているという指摘もある。韓国国民が敬遠する農業分野では不法滞在移住民の労働力がなければ農作業がほとんど不可能であるためだ。韓国農村経済研究院のオム・ジニョン研究委員が農家402カ所を調査・分析した資料「農業部門における未登録外国人勤労者雇用の実態と課題」によると、外国人労働者を雇用する農家の91%が不法滞在移住民を雇用していた。
 取り締まりが強化されれば不法滞在移住民がさらに身を潜め、危険な労働・居住環境に置かれる可能性もある。3月4日には京畿道抱川市(ポチョンシ)のある豚農場で、不法滞在状態だった60代のタイ人が死亡後に遺体が遺棄された状態で発見されており、2月23日には全羅北道高敞(コチャン)でタイ国籍の不法滞在移住民の夫婦が暖房費を節約しようと薪を使い窒息死する事故もあった。
 移住労組のウダヤ・ライ委員長はハンギョレの取材に対し「政府の無差別な取り締まりだけでは未登録移住民数を減らすことができず、様々な人権侵害を量産するだけだ。農漁業と産業現場でも問題を起こし経済に打撃を与える」とし、「コロナ禍では移住労働者の人手不足を訴え、急いで未登録移住民を連れて来ておいて、今度は追い出そうとする韓国政府はあまりにも偽善的だ」と批判した。

イ・ジェホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-03 20:48
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「釜山と日本の市民団体「朝鮮学校差別やめよ」」

2024年05月25日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「The Hankyoreh」 2024-05-24 00:13
■釜山と日本の市民団体「朝鮮学校差別やめよ」

【写真】23日、釜山東区草梁洞の鄭撥将軍像近くで、釜山の市民団体と日本の市民団体が、日本政府に朝鮮学校差別をやめるよう求める記者会見をおこなった=朝鮮学校と共にする市民の会「春」提供//ハンギョレ新聞社

 釜山(プサン)の市民団体と日本の市民団体が、日本政府に対して朝鮮学校差別をやめるよう求めた。
 朝鮮学校と共にする市民の会「春」など17の市民団体と北九州の民族文化・民族教育連絡会などの日本の3つの市民団体は23日、釜山東区草梁洞(トング・チョリャンドン)の鄭撥(チョン・バル)将軍像近くで「釜山-九州同胞交流20周年」記者会見を行い、「日本政府は朝鮮学校に対する差別を直ちにやめ、教育平等権を保障せよ」と述べた。
 これらの団体は、「1945年8月の解放直後、故郷に帰れず日本に残った朝鮮人たちは、民族教育のために朝鮮学校を建て、今まで守ってきた。子どもたちが教育を受ける権利は何人も否定してはならないという普遍的人権を守るために、今まで闘ってきた。そのため、2010年から行われている日本政府の朝鮮学校に対する差別と嫌悪犯罪に対して、怒りを禁じえない」と述べた。
 そして「朝鮮学校などに対する差別と嫌悪は今も行われている。日本政府には依然としてこの問題を解決する考えがなく、反省の気配すらない。韓国政府もこの問題を無視している。両国の市民団体は、日本政府の差別と弾圧がやむ日まで、固く手を取り合って連帯していく」と付け加えた。
 朝鮮学校は、日本に残った朝鮮人たちが子どもたちに朝鮮の言葉、文字、歴史を教えるために建てた学校だ。幼稚園から小中高、大学まであり、現在の学校数は60校あまり。日本政府は2010年4月から教育の機会均等を掲げ、高校の授業料を国が負担する高校無償化政策を開始。しかし当時、北朝鮮の日本人拉致問題が浮上し、朝鮮学校に対する適用のみが保留された。安倍晋三内閣発足後の2013年には朝鮮学校を無償化対象から完全に排除し、小中高の朝鮮学校に対する補助金支給も断った。

キム・ヨンドン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-05-23 14:36
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「愚かな米国の大学生たち」

2024年05月24日 | 国家・社会
「The Hankyoreh」 2024-05-24 00:14
■[特派員コラム]愚かな米国の大学生たち
 イ・ボニョン|ワシントン特派員

【写真】今月4日、米国ミシガン大学の卒業式で、ある卒業生がパレスチナの旗を広げている=アナーバー/AP・聯合ニュース

 米国には中央情報局(CIA)の「歴史3点セット」がある。その3つとは1953年にイラン、1954年にグアテマラ、1973年にチリで民主的に選出された政権を転覆させるクーデターを操って成功させたこと。米国の対外政策の代表的な汚点であり、それこそ教科書的な事例だ。
 外交・安保官僚や専門家たちの講演では、名門大学の学生たちがこれらについて質問をしばしば投げかける。自由と民主主義の守護者だという米国のこのような行動をどう説明するのか、というわけだ。私はそのような場面に少し冷笑する気持ちを抱いてもいた。「今は正義感に満ちあふれているだろうが、あなたたちの中から、今日の経験を糧として将来あの演壇の上に立って巧みに回答する人がいずれ出てくるだろう」と思ったからだ。
 ガザ地区での虐殺に反対するデモを見て、そのような考えは改めた。まず、学生たちの抵抗は、不正義を暴き出したり、正したりするのにわずかながら貢献するということに、改めて気付いたからだ。全国的な抵抗だから米国政府が動揺している。
 もう一つの気付きは、彼らを非難する既成世代、特にジョー・バイデン大統領を見て得た。すなわち、若かりし頃に正義感にあふれていた人は誰もが老いても正義感あふれる人であると断言することは難しいが、若い時に日和見主義的だった人は日和見主義的であり続けるだろうということだ。バイデンはシラキュース大学のロースクールに通っていた時、ベトナム戦争に反対して総長室を占拠した学生たちについて、友人たちと「あの愚か者どもを見てみろよ」と陰口をたたいたと自叙伝に書いている。テント座り込みの学生たちを世間知らず扱いする今のバイデンは、かつてもそうだったのだ。
 11月の大統領選挙で再び対決するバイデンとドナルド・トランプは、若い頃はスポーツが得意だったというが、健康問題を理由としてベトナム戦争の徴集を免れたという共通点がある。同世代の米国人たちがジャングルで倒れていっている時に無関心だった者たちに、パレスチナ人の死への「共感」を求めるのは無理なのかもしれない。バイデンは、米国が提供した重さ1トン近い大型爆弾が多くの民間人を殺しているにもかかわらず、戦争勃発後から7カ月もたってようやく、その爆弾の供給を保留した。米軍が橋や軍事施設の破壊用と規定したこのような爆弾は、ガザ地区の民間人居住地をコンクリートの粉へと変えた。トランプはさらにひとく、政治的に窮地に追い込まれたバイデンがこの爆弾の供給を保留したことに対し、「バイデンはイスラエルを捨てた」と述べた。2016年に民主党候補としてトランプと対決したヒラリー・クリントンまでもが、デモ隊の学生たちは「中東の歴史を知らない」と述べて、「非難する大人」の隊列に加わった。
 もし、このような人々ではなく、やはり大統領候補だったジョン・ケリー気候変動問題大統領特使のような人物が今回の危機を扱う位置にいたとしたら、どうなっていただろうか。2004年の民主党の大統領候補で、バラク・オバマ政権でヒラリーの後を受けて国務長官を務めた彼は、ベトナム戦争で海軍中尉として軍務につき、勲章をいくつも受け取っている。しかし退役後は参戦軍人の反戦運動を率いた。1971年の議会公聴会では、政治指導者たちの欲望と無責任が米軍を良民を虐殺する怪物にしたという有名な演説をおこなった。今は変わってしまったのか、それとも自分とは関係ないせいか、彼のことはあまり聞かない。
 結論は、誰もが正義感にあふれていればなおよいが、それが若い時だけであったとしても、その社会と人類にとっては幸いだということだ。愚か者、浅はか、無知と言われたり不利益を甘んじて受け入れたりしながら殺すなと叫ぶ学生たちの方が、彼らを非難する老かいな者たちよりはるかにましな人間である。

イ・ボニョン|ワシントン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-05-23 19:17


「中央日報日本語版」 2024.05.14 11:03
■ガザ戦争に沈黙するスターはアンフォロー…米国で「デジタル断頭台」運動
 戦争で苦しんでいるガザ地区の痛みに沈黙する有名人をソーシャルメディア(SNS)で遮断する運動が米国で行われている。いわゆる「デジタル断頭台(digital guillotine)運動」だ。テイラー・スウィフト、ジャスティン・ビーバー、キム・カーダシアン家族などがターゲットになっている。
 デジタル断頭台運動は6日、米国ニューヨークで開かれた「メットガラ」に参加した有名モデルのヘイリー・カリルが投稿したSNS映像に対する反発がきっかけとなった。華やかなドレスを着て登場したカリルは「ケーキを食べればいいじゃない」と話した。これはフランス革命の時、マリー・アントワネット王妃が言ったとされる言葉だ。
 メット・ガラファッションショーが開かれる会場の外では、ガザ地区戦争の終息を促すデモが行われていたため、カリルのこのような発言は大衆の怒りを買った。
 カリルの発言に侮辱感を感じたTikTokクリエイターは「困っている人を助けるために資源を使わないすべての有名人とインフルエンサーを遮断する時だ。彼らに与えた我々の関心や『いいね』、コメントとお金を取り戻す時だ」と訴え、「デジタル断頭台」運動を提案し、呼応を受けることになった。
 カリルは謝罪文を投稿した。自分はファッションショーの参加者ではなく芸能ニュースの司会者として参加したのであり、ガザ戦争に対する十分な情報がなくて論評しなかったという釈明だったが、大衆の怒りは収まらなかった。
 ポップスターのセレーナ・ゴメスやジャスティン・ビーバー、女優ゼンデイヤなど有名なスターたちが相次いで「殺生簿」に名を連ねた。
 効果は即効性だった。リストに含まれた有名人たちは、1日平均数万人から数十万人ずつフォロワーが減ったことが分かった。
 パレスチナを支持し、戦争に反対する曲やラップを作って掲示する有名人も続々と出ている。
 この他にも、米国では大学街で卒業式が行われないほど、戦争に対する反戦デモが激しくなっている。


「The Hankyoreh」 2024-05-13 09:11
■[フォト]韓国の大学生、米国大使館前で反戦を叫ぶ

【写真】大学生平和行動のメンバーが10日午前、ソウル鍾路区の米国大使館前で、「全世界の大学街の反戦デモに連帯する緊急大学生平和行動」記者会見をおこなっている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 「韓国の大学生は連帯する。この地に反戦と平和を!」
 「世界中の大学街の反戦デモに対する暴力と鎮圧をやめろ!」

 大学生たちが10日午前、ソウル鍾路区(チョンノグ)の米国大使館前に集まった。平和ナビネットワーク、ソウル女子大学ムソウィプル(サイの角)、梨花女子大学学生マイノリティー人権委員会、韓国外国語大学生活図書館、淑明女子大学淑明アムネスティ、高麗大学生マイノリティー人権委員会などの14の学生団体からなる「大学生平和行動」のメンバーはこの日、イスラエルによるパレスチナのガザ地区での民間人虐殺の中止を要求するとともに、米国政府によるイスラエル支援および反戦デモ鎮圧を糾弾した。
 記者会見の開始前、彼らはパレスチナ国旗の色のテントが描かれた横断幕に連帯のメッセージを記した。学生たちの掲げたプラカードと横断幕は、光化門(クァンファムン)広場を歩く外国人観光客の視線を釘付けにした。「民間人虐殺支援をやめろ(STOP FUNDING GENOCIDE)」、「キャンパス取り締まりを中止せよ(STOP CRACKDOWN ON CAMPUS)」など、英語で記されたメッセージを携帯電話で写真に収める人々が目についた。大学生たちは、風にはためく米国大使館の星条旗を背景に反戦スローガンを叫んだ。
 東国大学歴史サークル「サダリ(はしご)」で活動するパク・チュンソンさんは、「私たちがいま記者会見しているこの瞬間にも、戦争に苦しむ女性、子どもたち、弱者がいるはず。世界の警察を自任する米国はこのような戦争を止めるどころか支援し、ほう助している」と述べた。進歩大学生ネット・ソウル女子大学支会のパク・セヒ支会長は、「米国ニューヨークのコロンビア大学からはじまった大学の反戦デモに、警察は強硬対応している」とし、「戦争の虐殺暴力を糾弾する大学生たちの口を、もうひとつの暴力で塞ごうとしている」と批判した。
 彼らは3カ国語に翻訳された声明で、「日本軍性奴隷制問題、日帝強制動員問題、朝鮮戦争での無差別民間人虐殺、ベトナム戦争そして5・18民主化運動に至るまで、私たちの近現代史には戦争と虐殺による痛みが残っている」、「韓国の大学生たちは米国の大学生たちと連帯し、世界に広がる反戦デモを支持し、戦争犯罪なき世を作ろうとしている一国の大学生として連帯する」と表明した。

【写真】参加者たちが記者会見前に、大学反戦デモのテントの絵に連帯メッセージを書いている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社
【写真】パレスチナ国旗の色のテントが描かれた横断幕に韓国語、英語、日本語、中国語などで反戦メッセージが記されている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社
大学生平和行動のメンバーが「全世界の大学街の反戦デモに連帯する緊急大学生平和行動」記者会見をおこなっている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社
【写真】通りがかりの観光客が記者会見を写真に収めている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社
【写真】学生たちがプラカードを高く掲げてスローガンを叫んでいる=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社
【写真】記者会見に参加した学生たちのカバンとプラカードが地面に置かれている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

キム・ヨンウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1140067.html
韓国語原文入力:2024-05-10 16:55


「The Hankyoreh」 2024-05-09 08:23
■[フォト]「ガザ虐殺やめろ」韓国の大学でも「グローバル反戦デモ」の波
 
【写真】ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」の学生が8日午後、ソウル冠岳区新林洞のソウル大学で、パレスチナのガザ地区でのイスラエルによる「人種虐殺」に反対し、米国の大学生たちが学内でおこなっているデモに連帯して座り込みをしている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 春の学園祭が真っ最中の大学キャンパスで、パレスチナのガザ地区で起きているイスラエルによる「人種虐殺」に反対するデモが行われた。
 ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」の学生たちは、8日午前10時から午後6時まで、ソウル冠岳区新林洞(クァナック・シルリムドン)のソウル大学冠岳キャンパスで、パレスチナへの連帯を示し座り込みと集会をおこなった。米国の大学生たちがはじめたキャンパス占拠闘争が米国にとどまらず全世界へと広がる中、韓国の大学生たちも連帯を開始したのだ。彼らは「イスラエルがおこなってきた人種虐殺と76年間のパレスチナ占領はもう終わらせなければならないという声を伝えるため、学生たちのこの巨大な運動に参加することを決めた」と述べた。
 学生たちは「ソウル大学当局に対し、パレスチナ抑圧に寄与しているイスラエルの諸機関(テルアビブ大学、ヘブライ大学)との交流を中止すること、ガザ地区で起きている人種虐殺の即時中止」を要求し、イスラエルのラファ侵攻を糾弾した。

【写真】ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」の学生が8日午後、ソウル冠岳区新林洞のソウル大学で、パレスチナのガザ地区でのイスラエルによる「人種虐殺」に反対し、米国の大学生たちが学内でおこなっているデモに連帯して座り込みをしている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社
【写真】ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」の学生が8日午後、ソウル大学の校内で、パレスチナのガザ地区でのイスラエルによる「人種虐殺」に反対し、米国の大学生たちが学内でおこなっているデモに連帯する集会でスローガンを叫んでいる=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社
【写真】ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」の学生たちが8日午後、ソウル大学の校内で、パレスチナのガザ地区で起きているイスラエルによる「人種虐殺」に反対する集会をおこなっている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社
【写真】ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」の学生たちが8日午後、ソウル大学の校内で、パレスチナのガザ地区で起きているイスラエルによる「人種虐殺」に反対する集会をおこなっている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社
【写真】ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」の学生たちが8日の座り込み中に、連帯の意を込めて記した付箋を貼っている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

キム・ジョンヒョ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-05-08 15:49


「The Hankyoreh」 2024-05-09 08:14
■世界の大学に広がるパレスチナ連帯デモ…韓国でも号砲

【写真】ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」はガザ戦争に反対するために8日午前10時から午後6時まで座り込みデモをおこなった=コ・ギョンジュ記者//ハンギョレ新聞社

 「フリー、フリー、パレスタイン(パレスチナを解放せよ)!」、「ストップ、ストップ、ジェノサイド(虐殺やめろ)!」。
 8日午後12時30分ごろ、春の学園祭真っ最中のソウル大学の学内に、パレスチナ連帯の声が響き渡った。韓国、スウェーデンなど多くの国から集まった20人あまりの学生は、肩に色とりどりのパレスチナの伝統的スカーフ「ケフィエ」を巻いてスローガンを叫んだ。
 米国の一部の大学ではじまったガザ地区戦争反対デモが全米の大学と欧州に広がる中、韓国の大学でもパレスチナ支持デモがはじまった。ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」はこの日午前10時から午後6時まで、学内で座り込みを行うことをもってデモの開始とした。延世大学の学生たちも同日午後4時から、学生会館から新村(シンチョン)駅までデモ行進を行う。
 ソウル大学のデモを主催したスバクは声明で、「ガザ地区で繰り広げている人種虐殺を直ちに中止せよ。イスラエルのラファ侵攻を強く糾弾する。ソウル大学当局には、パレスチナ人抑圧に寄与しているイスラエルの諸機関(テルアビブ大学、ヘブライ大学)との学術交流を中止することを要求する」と述べた。テルアビブ大学とヘブライ大学はイスラエル軍の部隊を支援していることが知られている。
 彼らは、「大学生としての責任感」がデモ参加の理由だと語った。彼らは「パク・ジョンチョル烈士(民主化運動の学生運動家。拘束中に拷問死した)をはじめとする私たちの先輩の大学生たちは、自身の問題だけでなく社会正義のために闘争してきたという伝統がある」とし、「その伝統の上で、パレスチナ問題がパレスチナ人だけの問題ではなく、世界の自由と平和を願うすべての人々の問題だと考えて(連帯デモを行う)」と語った。彼らは学内のパク・ジョンチョル烈士の胸像にもケフィエを巻いた。
 デモに参加したソウル大学の在学生イ・シホンさんは「(米国などの)全世界の大学生が反戦デモを主導していく姿を見て、共に闘わなければならないという気がした。今日を契機として他大学にもこのような動きが拡大してくれれば」と話した。
 異なる意見を持つ学生との対立が拡大する可能性もある。先月15日にはイスラエル国籍のソウル大学音楽学部の教授が、学内に貼ってあったパレスチナ支持ポスターにスプレーを吹き付け、送検されている。
コ・ギョンジュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-05-08 15:46


「The Hankyoreh」 2024-05-09 00:52
■[コラム]A級戦犯とネタニヤフ
 人類全体を絶滅の危機へと追い込みうる戦争と、その中で発生する集団虐殺のような戦争犯罪を防ぐには、どうすればよいのだろうか。第1次世界大戦という途方もない悲劇を経験しつつも、再び大きな戦争の惨禍にさらされた人類は、真剣に悩みはじめた。
 第2次世界大戦という巨大な危機を克服した人類は、侵略戦争をはじめるという判断を下した「戦争指導者」や、その戦争で残虐行為を事とした「戦争犯罪者」のような「個人」を処罰すべきだとの結論に達した。「国家」や「集団」はもちろん、「個人」にも応分の代価を支払わせることが重要だった。そこで米国、英国、フランス、ソ連の連合国4カ国は1945年8月8日、国際軍事裁判所憲章に合意する。同憲章は第6条で、平和に対する罪▽通常の戦争犯罪▽人道に対する罪という3つの戦争犯罪を規定した。とりわけ平和に対する罪という名のついたa項は、侵略戦争を計画、準備、開始、遂行した戦争指導者を処罰するために作られたものだ。靖国神社を参拝する日本の主な政治家を「A級戦犯が合祀されている神社の参拝は、先の侵略戦争を肯定するもの」だと批判する際に出てくる「A級戦犯」という用語は、まさにこの条項に由来するものだ。
 だが、その後も戦争と戦争犯罪は絶えなかった。特に冷戦直後の1990年代初めにはじまったユーゴ内戦とルワンダ内戦で発生した集団虐殺は、人類に大きな衝撃を残した。結局、国際社会は1998年7月に「国際刑事裁判所(ICC)に関するローマ規程」(2002年7月発効)によって常設の刑事裁判所を作ることを決める。124カ国が加盟するICCでは、集団殺害犯罪(6条)、人道に対する犯罪(7条)、戦争犯罪(8条)などを起こした個人を処罰することができる。
 昨年10月のハマスの先制攻撃ではじまったガザ戦争は、すでに7カ月続いている。パレスチナ側の死者はイスラエル(約1200人)の30倍の3万5千人にのぼる。見るに見かねた国際司法裁判所(ICJ)は調査を開始しており、イスラエルのネタニヤフ首相らに対する逮捕状の発行を準備しているという。にもかかわらず「大破局」は防げていないようにみえる。期待を集めたイスラエルとハマスとのカイロ休戦会談が成果を出せなかったことから、ネタニヤフは5日、すべての責任をハマスに押し付ける声明を発表し、7日には最悪の「集団虐殺」を招きうるラファ侵攻を開始した。歴史はネタニヤフを何者として記憶するのだろうか。
キル・ユンヒョン論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-05-08 16:00


「AFP」 2024年5月8日 11:04 発信地:アムステルダム/オランダ 
■欧州の大学でも反イスラエルデモ拡大

【写真】スイス・ローザンヌ大学で開かれた親パレスチナ学生らの集会(2024年5月6日撮影)。(c)Fabrice COFFRINI / AFP
【写真】仏パリ政治学院の入り口に貼られたポスターを撤去する警備員(2024年5月7日撮影)。(c)Dimitar DILKOFF / AFP 
【写真】仏パリ政治学院の入り口に立つ警備員(2024年5月7日撮影)。(c)Dimitar DILKOFF / AFP 

【5月8日 AFP】イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)への報復攻撃を続ける中、オランダやドイツ、フランスなど欧州各国の大学では、イスラエルの研究機関との協力関係を停止するよう求める抗議活動が拡大している。
 オランダでは、6日夜にアムステルダム大学(University of Amsterdam)で警察が抗議行動の参加者を警棒で制圧したり、敷地内に設営されたテントを壊したりしている様子が映っている動画が拡散。ただ、7日夜には数百人がデモを再開した。警察は6日以来、169人を逮捕したとしている。
 独ライプチヒ大学(University of Leipzig)では、50~60人のデモ参加者が講義棟を占拠。大学によるとドアを内側からバリケードでふさぎ、敷地内にテントを設営している。
 大学は7日午後に警察を呼ぶとともに、一部の参加者を刑事告訴した。警察によれば、親イスラエル派約40人もカウンターデモを実施している。
 先週から反イスラエルデモが続いている仏エリート養成機関、パリ政治学院(Sciences Po)では、メインホールに立てこもった学生約20人を排除するため治安部隊が動員された。
 スイスでも、ローザンヌ大学(University of Lausanne)など3大学で反イスラエルデモが行われた。


「The Hankyoreh」 2024-05-07 11:46
■6歳のヒンドの最後の瞬間…ガザの「死の数字」は今日も増え続けている
 [ハンギョレS]ソ・ジェジョンの一つの半島、一つの世界 
 イスラエルによる虐殺3万4535人 
 
 ICJ、イスラエルに「虐殺防止命令」 
 その3日後、脱出しようとした車が攻撃を受け 
 救助を求めた6歳の子どもまで殺害 
 出動した赤新月社の隊員も遺体で発見

【写真】米ニューヨークのコロンビア大学の学生たちが先月30日(現地時間)、学内のハミルトンホールを占拠した後、ガザで虐殺された少女の名前から「ヒンドのホール」と命名するという横断幕を掲げた/AP・聯合ニュース

 ヒンド・ラジャブ。この名前だけは覚えていてほしい。3万4535人を覚えきれないのであれば。
 この世で送った年数はたったの6年だった。ガザ市で暮らした6年、一日一日は決して楽なものではなかっただろう。それでも、愛情を注いでくれる両親と親戚がいて、楽しく一緒に遊んだいとこたちがいた。その日、叔父といとこたちと一緒に車に乗ったのが過ちだったのか。
 イスラエルが行っているパレスチナ人の集団虐殺は遠い国のことだ。自分とは関係ない、と思うかもしれない。それでも、ほんの一瞬でもヒンド・ラジャブのことを考えてほしい。彼女が最期を迎えたのが起亜の自動車の中だったから、というだけではない。
 もう3カ月前に起きたことだが、忘れないでほしい。今年1月29日、ヒンドは叔父の家族と一緒に車に乗ってガザ市から脱出を試みた。そうしようとした。だが、永遠にガザ市を離れることはできなくなった。イスラエル軍の銃弾を恐れて逃げようとした。だが、その銃弾のために永遠に逃げられなくなった。

◆叔父、叔母、従姉も死に…
 永遠に逃げられなくなったのはヒンド・ラジャブだけではない。素朴ながらも幸せな暮らしを築いていた住まいが崩され、学校が破壊され、病院が壊された。3700万トンを超える建物の残骸の下にも、逃げられなかったヒンドたちがいることを忘れないでほしい。生き残った人々が道具もなく素手でいくら片付けても、コンクリートの塊は重く積み重なっていて、焦れながら穴をかき分けてみても、1万人以上がその下におしつぶされている。
 ヒンドは最後まで生きていた生存者だった。叔父と叔母が先に殺された。従姉も死んだ。すでに遺体となった彼らが乗っていた車は動くことができなかった。まだ息の残っていた15歳のラヤンが、外国にいる親戚に電話をかけた。
「お母さんとお父さんは死んじゃった。姉さんも死んだ。私とヒンドだけ生きてる」
「心配しないで。怖がらないで。すぐに救急車を送るから。その場にそのままいて」
 親戚はすぐにガザ市の赤新月社に連絡した。救助を要請した。ラヤンの電話番号を教え、連絡してくれればラヤンが出ると伝えた。だがイスラエルの戦車はその自動車をそのままにしておかなかった。ラヤンが恐怖におびえた声で電話している間に銃撃した。鈍い銃撃音とラヤンの叫び声が受話器に響いた。電話は切れた。
 南アフリカ共和国は昨年12月、国際司法裁判所(ICJ)にイスラエルを集団殺害の疑いで提訴した。集団殺害罪の防止と処罰に関する条約に違反し「パレスチナ人を抹殺しようとする意図を持って集団殺害を行った」ということだ。第2次世界大戦当時、ナチス・ドイツが行ったユダヤ人集団殺害のような民族浄化などの犯罪の再発を防ぐために結ばれた条約(ジェノサイド条約)だ。その条約にイスラエルが違反したという南アフリカの提訴に、コロンビア、ニカラグア、トルコが賛同した。ICJはこの訴訟を通じてすでに1月26日、集団虐殺防止、ガザ地区の住民の人道的状況の改善など、暫定措置をイスラエルに命じた。その日、ヒンド・ラジャブはまだ生きていたことを思い出してほしい。
 その3日後、叔父と叔母、いとこたちがみな殺害された中、それでもヒンド・ラジャブは生きていた。赤新月社のスタッフが再び電話した時、電話に出たのはヒンドだった。戦車が来ている、助けてほしいと訴えた。そして電話が切れた。ところが、再び電話がつながった。ヒンドは生きていた。切れてはつながり、弱々しくなり、また声が聞こえた。「もう暗くなってきてる。真っ暗で怖い」。

◆イスラエル軍が進入した地域には集団墓地
 通話が続いていた3時間、赤新月社は必死に努力した。イスラエル軍の侵攻後、作戦地域には救急車を送るのが不可能な状況だった。しかし、奇跡的に許可を受けた。ヒンドの車があるガソリンスタンドにスタッフ2人が急派された。ところが、ヒンドに近づいていったユスフ・アル・ゼイノとアフマド・アル・マドフーンは、何かおかしいと訴えた。自分たちの救急車をイスラエル軍がレーザーで照準している。そして銃声、爆発音。連絡は途絶えた。ヒンドの声ももう聞こえなくなった。
 イスラエル軍が攻撃を開始して200日、ジャーナリスト137人、医療スタッフ356人、国連の救援機関スタッフ178人が殺害された。4月末までにパレスチナ人7万7704人が負傷し、3万4535人が虐殺された。そのうち70%が女性と子どもだった。このすべての数字が意味をなさないならば、ヒンド・ラジャブだけでも考えてほしい。
 イスラエル軍が退却してやっと親戚は戻ることができた。連絡が途絶えてから12日目、その時になってようやくヒンド・ラジャブの遺体は収拾された。起亜の車は蜂の巣になっていた。すぐ隣に救急車があった。ユスフとアフマドの遺体もそこにあった。完全に破壊された救急車の近くには、ミサイルの破片も散らばっていた。M830A1、米国製の戦車破壊ミサイルだった。その後、米国はイスラエルへの260億ドルの支援を決定した。パレスチナにも10億ドルの人道支援を割り当てた。
 イスラエル軍が進入し去っていった場所では、集団墓地が発見されている。ナセル病院の敷地で遺体400体余りが埋められた集団墓地が発見された。アル・シファ病院の敷地でも集団墓地が発見された。
 アントニオ・グテーレス国連事務総長も、集団墓地に対する国際調査を求めた。手が縛られていたり、裸にされた状態で、あるいは病院のガウンを着た状態で、治療用の医療チューブが挿入された状態で埋められた遺体の名前はわからなくても、ヒンド・ラジャブは覚えていてほしい。
 今、ラファには140万人の避難民が集まっている。イスラエル軍の虐殺と破壊を逃れて家を捨ててきた人々が集まった最後の避難所だ。避難民は最後の避難所で飢え死にするか、病気で死ぬかの選択を迫られている。イスラエルはここも攻撃すると公言している。ヒンド・ラジャブはガザ市を抜け出すために最後の力を尽くしたが、彼女に安全な避難所はあったのだろうか。
 ハマスのイスラエル攻撃で1200人が殺害された。136人がまだ人質に取られている。このうち何人が生きているかは確認されていない。彼らの命のためにも、ヒンド・ラジャブを覚えていてほしい。コロンビア大学の学生たちが占拠したハミルトンホールを「ヒンドのホール」と命名したことも覚えていてほしい。

ソ・ジェジョン|日本国際基督教大学 政治・国際関係学科教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
韓国語原文入力:2024-05-04 18:45 
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「「少女像を守って」…日本軍「慰安婦」被害者が駐韓ドイツ大使館に書簡」

2024年05月23日 | 日本軍隊性奴隷
「The Hankyoreh」 2024-05-23 07:03
■「少女像を守って」…日本軍「慰安婦」被害者が駐韓ドイツ大使館に書簡
 ベルリン市長の「撤去」示唆発言に 
 世界の市民団体の共同書簡も手渡す

【写真】正義記憶連帯(正義連)が22日、ソウル中区の駐韓ドイツ大使館前で、ベルリン市長の少女像撤去示唆発言を糾弾する記者会見をおこなっている=キム・ガユン記者//ハンギョレ新聞社

 「最後に切にお願いします。少女像を守ってください」。
 日本軍「慰安婦」被害生存者であり女性人権活動家のイ・ヨンスさんは22日、マイクを握って駐韓ドイツ大使館前に立った。イさんは「各国に建てられた韓国の少女像はその国を守っており、戦争のない世界の平和を象徴している。今ベルリンに建てられた少女像を絶対に撤去してはいけない」と声を強めた。
 正義記憶連帯(正義連)はこの日、ソウル中区(チュング)の駐韓ドイツ大使館前で、「ドイツ・ベルリン市長の少女像撤去示唆発言糾弾共同記者会見」をおこなった。正義連は、趣旨に賛同する1861人の市民、韓国をはじめドイツ、日本、米国、ノルウェーなどの全世界の173団体が名を連ねた公開書簡や、イさんの手紙などを大使館に直に手渡した。

【写真】日本軍「慰安婦」被害生存者のイ・ヨンスさんが22日、駐韓ドイツ大使館に渡した手紙=正義連提供//ハンギョレ新聞社

 正義連の説明によると、ベルリンのカイ・ヴェグナー市長は今月16日(現地時間)、日本の上川陽子外相との会談で、ベルリンの少女像問題の解決策を提案したという。同市長は「女性に対する暴力に反対する記念物には賛成するが、一方的な表現があってはならない」と述べつつ、「管轄の区役所、連邦政府など、すべての関係当時者と対話しており、駐ドイツ日本大使もこの議論に参加させる」と約束したという。
 正義連は公開書簡で、「第2次世界大戦でナチスドイツが犯した歴史的過ちを清算するために努力してきたドイツが、戦争の代価として朝鮮半島のように分断の痛みを経験したベルリンの市長が、どうしてそのようなことが言えるのか」として、強い遺憾の意を表した。
 これらの団体は、「ベルリン市長の発言は、これまでの日本政府の執ような少女像設置に対する妨害および撤去工作と無関係ではない」とも指摘した。そして「少女像は世界各地で今も発生している戦時性暴力に警鐘を鳴らす普遍的な女性の人権の象徴」だとし、「歴史の真実に背を向け、自らの過ちを隠そうとしている日本政府の側に立ち、ベルリン市長とドイツ連邦政府が一緒になって少女像を撤去すれば、これまでに国際社会で築いてきた信頼をすべて失うことになるだろう」と強調した。
 ベルリンの少女像建設を主導するなど、現地で活動を展開しているドイツのコリア協議会のハン・ジョンファ代表は正義連を通じて、「日本政府に狡猾(こうかつ)なロビー活動をやめるよう要請すること」、「平和の少女像が超国家的な女性の人権の象徴であることをドイツの政治家と官僚に伝えること」をドイツ外務省に求めた。
キム・ガユン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-05-22 17:29


「聯合ニュース」 2024.05.22 16:46
■ベルリンの少女像 「撤去、あってはならない」=韓国人慰安婦被害者
【ソウル聯合ニュース】ドイツの首都ベルリンのウェグナー市長が同市内に設置された旧日本軍の慰安婦被害者を象徴する「平和の少女像」を巡る対立の解決を図る方針を示したことについて、慰安婦被害者の李容洙(イ・ヨンス)さん(95)は22日、在韓ドイツ大使館前での記者会見で、「少女像の撤去は決してあってはならない」と訴えた。

【写真】抗議書簡を伝達するため、ソウルのドイツ大使館に向かう李容洙さん(中央)=22日、ソウル(聯合ニュース)

 李さんは「各国に建てられた少女像は戦争のない世界の平和を象徴する」とし、「少女像を守ってくれることを願う」と語った。
 会見は慰安婦被害者を支援する市民団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)」などの主催で行われた。同団体はウェグナー市長が16日に日本の上川陽子外相と会談した際、少女像を巡り「変化を起こすのが重要だ」と述べたことは像の撤去を示唆した発言だと主張。「少女像は日本軍の性奴隷制のような悲劇が再発しないことを望むドイツ市民の心を集めて建てられた」とし、「ベルリン市が少女像を撤去する場合、第2次世界大戦の加害国であるドイツが過ちを認め、被害者に賠償したこれまでの努力が色あせる」と訴えた。
 会見後は約170の市民団体と約1860人の市民が署名した書簡を大使館側に伝達した。書簡には「ベルリン市長とドイツ政府が日本の肩を持ち、少女像を撤去すればドイツは国際社会で築いた信頼を失う」などの内容が盛り込まれた。

【写真】ベルリン市ミッテ区に設置されている少女像(資料写真)=(聯合ニュース)


「The Hankyoreh」 2024-05-20 06:47
■日本外相に会ったベルリン市長、「平和の少女像」の撤去を示唆
 「変化を作ることが重要だ」と発言したことが分かり 
 在独市民団体「日本政府の圧力に屈服」と反発

【写真】2021年2月19日(現地時間)、ドイツ「右翼に反対するおばあさんたち」のあるメンバーがベルリンのミッテ区にある平和の少女像の前で、極右暴力に抗議し、犠牲者を追悼する演説をする姿=ベルリン/ハン・ジュヨン通信員//ハンギョレ新聞社

 ドイツのベルリン市長が日本の外相との会談で、「変化を作ることが重要だ」とし、ベルリン平和の少女像(以下少女像)をめぐる対立を解決する意向を明らかにしたことが遅れて明らかになった。在独市民団体は、「撤去を示唆する発言だ」として反発した。
 ベルリン市は16日(現地時間)、報道資料を発表し、東京を訪問したカイ・ベーグナー市長が上川陽子外相と会談し、「われわれが変化を作ることが重要だ」と発言したことを明らかにした。ベルリン市は報道資料で「議論になっているベルリンの少女像の問題に関する解決策を提案した」と書いた。ベーグナー市長はベルリンと東京の友好都市提携30周年を迎え、日本を訪れた。
 ベーグナー市長は会談で、女性に対する暴力に反対するモニュメントには賛成するが、一方的な表現があってはならないとし、管轄区庁や連邦政府などすべての関係者と対話しており、駐ドイツ日本大使もこの議論に参加させる方針を示したと、ベルリン市は伝えた。
 在独市民団体の「コリア協議会」は18日、ベーグナー市長が「変化」に触れたのは、事実上撤去を意味するとみて、「ベルリン市が日本政府の圧力に屈服している」と反発した。コリア協議会は声明文で、「ベーグナー市長が自身の発言とは異なり、少女像を建立した私たちとは対話していない。対話を提案されれば、喜んで応じる」と述べた。同団体は「平和の少女像に対する決定権限は全面的に区庁にある」とし、「会議が開かれればミッテ区とベルリン市に日本政府が加えた圧力についても問題を提起する」意向を示した。少女像が「一方的表現」という主張については、「平和の少女像はすでに紛争地域の性暴力に反対する普遍的なモニュメント」だとし、ベーグナー市長にコリア協議会が運営する戦時性暴力博物館を訪問し多様な観点と教育活動を直接見るよう提案した。コリア協議会は来月19日、「紛争における性暴力根絶のための国際デー」を迎え、市民社会団体を平和の少女像に招き徹夜討論を開くと発表した。
 日本政府はこれまで、世界各地の少女像が韓国の一方的な立場を込めているとして、撤去を求めてきた。ベルリンの少女像は設置直後の2020年10月、管轄のミッテ区役所が撤去を命令したが、コリア協議会の仮処分申立てで保留された。2022年4月、岸田文雄首相は日本を訪問したオラフ・ショルツ首相に直接「引き続き設置されていることは極めて残念」だとし、撤去を要求した。ドイツでは昨年3月、中部ヘッセン州のカッセル州立大学自治会の主導で設置された平和の少女像が奇襲撤去され、学生たちと市民団体の反発を買った。
キム・ミナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力: 2024-05-19 18:29


2024-05-13 08:57
■韓国最高裁「『慰安婦』講義中に学生にセクハラ発言した大学教授の懲戒は妥当」

【写真】「慰安婦は売春ではない」学生の反発に…「気になるなら一度やってみるか?」発言
講義中に日本軍慰安婦のことを「売春の一種」と発言して名誉毀損で起訴されたリ
ュ・ソクチュン元延世大学教授が今年1月24日午前、ソウル麻浦区のソウル西部地裁での一審判決公判に出廷している/聯合ニュース

 講義中に日本軍「慰安婦」のことを性売買女性にたとえたうえ、学生にセクハラ発言をおこなったリュ・ソクチュン元延世大学社会学科教授に対する懲戒は妥当だとする判決が、最高裁で確定した。
 最高裁3部(主審:ノ・ジョンヒ最高裁判事)は、リュ元教授が教員訴請審査委員会の決定の取り消しを求めて起こしていた訴訟で、原審の原告敗訴判決を9日に審理不続行棄却とすることで確定したと12日に明らかにした。審理不続行棄却とは、上告対象ではないと判断される事件をそれ以上審理せずに棄却すること。
 リュ元教授は延世大学に教授として在職中だった2019年9月、発展社会学の講義中に日本軍「慰安婦」のことを売春行為の従事者になぞらえる発言をおこなった。これに対してある学生が「日本軍が仕事を紹介すると言ってだまして被害者たちを連れて行ったという証言がある」との趣旨の反論を行うと、リュ元教授は学生に「気になるなら一度やってみますか?」と発言して物議を醸した。
 事件後、延世大学学生会は「学生に性売買を勧めるもので、人格の冒とくでありセクシャルハラスメントだ。リュ氏を授業から全面排除せよ」とする声明を発表し、教員懲戒委員会は翌年7月にリュ教授に停職1カ月の処分を下した。リュ教授は1カ月後に定年退職した。
 リュ元教授は訴訟の過程で、自身の講義での発言について「『気になるなら学生が自ら(日本軍『慰安婦』の)研究をしてみるか』という意味であって、売春をしてみろという趣旨ではなかった」と抗弁したが、一審二審ともにこれを認めず、リュ元教授の発言をセクハラと判断した。懲戒の手続きや重さも問題がないと原審は判断している。
 リュ元教授は自身のユーチューブチャンネルの紹介にも「気になるなら(チャンネル登録、いいね)一度やってみますか?」と記している。
 リュ元教授は「慰安婦は売春の一種」という発言で起訴されてもいるが、一審で無罪判決を受けている。検察はこれを不服として控訴し、現在は二審が行われている。

【写真】リュ・ソクチュン元教授のユーチューブチャンネルより//ハンギョレ新聞社

オ・ヨンソ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-05-12 11:03
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「徴用訴訟 韓国地裁が川崎重工に原告1人への賠償命じる=遺族7人の請求は棄却」

2024年05月22日 | 韓国で
「聯合ニュース」 2024.05.22 13:59
■徴用訴訟 韓国地裁が川崎重工に原告1人への賠償命じる=遺族7人の請求は棄却
【光州聯合ニュース】韓国人の徴用被害者の遺族8人が日本の川崎重工業に損害賠償を求めた訴訟で、光州地裁は22日、原告のうち1人に約1538万ウォン(約176万円)を賠償するよう川崎重工業に命じた。残り7人については請求を棄却した。

【写真】韓国の地裁が川崎重工業に対し、一部の原告への賠償を命じた=(聯合ニュース)

 賠償請求が認められた被害者の故キム・サンギさんについて、川崎重工業側はキムさんの生前の陳述書以外に被害を認める証拠がないと主張した。原告側の弁護人は慰労金の支払い決定などが書かれた公的な記録で被害事実を立証できると反論した。
 地裁は弁護人の主張を認め、徴用被害の事実と、故人となったキムさんへの慰労金支給を認定した。
 韓国南部の全羅南道・順天在住だったキムさんは1945年2月に突然徴用された。兵庫県にあった川崎車両の工場で約半年にわたり、空襲にさらされながら労働を強いられた。光復(植民地支配からの解放)後にどうにか帰国したが、給与は受け取ることができなかった。
 一方で地裁は、遅れて訴訟に参加した7人の原告には相続分を認定しなかった。
 この訴訟は2020年1月に起こされたが、新型コロナウイルスの影響で長らく進展がなく、昨年弁論が始まった。
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