三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

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ウェスティングハウスの抗議、尹大統領訪問間近…韓国政府のチェコ原発問題解決策は

2024年09月07日 | 
「The Hankyoreh」 2024-09-06 07:56
■ウェスティングハウスの抗議、尹大統領訪問間近…韓国政府のチェコ原発問題解決策は
 知的財産権を主張するウェスティングハウスと「設備供給で協力の余地」

【写真】チェコの新規原発の予定場所のドコバニ原発団地=韓国水力原子力提供//ハンギョレ新聞社

 韓国政府は、チェコへの原発輸出の障害物として浮上した米ウェスティングハウスとの知的財産権での対立を解決するために、アラブ首長国連邦(UAE)のバラカ原発を受注した際と同様に、ウェスティングハウスと「設備供給などで協力する余地」があると明らかにした。今月の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領のチェコ訪問を控えて、一部の部品や設備をウェスティングハウスから購入する方式で対立を解決する案を公式に提示したということだ。
 5日、最大野党「共に民主党」のシン・ヨンデ議員が産業通商資源部(産業部)から得た答弁書によると、「ウェスティングハウス対応過程および法的紛争に関する現況資料等」に対する要請に、産業部は「現在の韓国電力・韓国水力原子力とウェスティングハウス間の知的財産権については立場の違いがあるが、アラブ首長国連邦(UAE)のバラカ原発の事例のように、設備供給などで協力する余地もある」と明らかにした。韓国水力原子力(韓水原)は7月、チェコのドコバニ地域に1000メガワット級の新規大型原発2基を建設する事業の優先交渉対象者に選ばれた。しかし、来年3月の本契約締結を控え、源泉技術を保有するウェスティングハウスが「知的財産権侵害」だとして、既存の米国の地裁に続き、最近になりチェコの反独占規制機関にも法的対応と陳情を提起し、対立が深まっている状態だ。尹大統領は今月中に4大グループのオーナーらとともにチェコを訪問する予定だ。
 この渦中に政府が対立を解決する案として、韓水原がウェスティングハウスから「設備の供給を受ける案」に言及したのだ。これに先立ち2009年、バラカ原発の輸出の際に主契約者だった韓国電力は、知的財産権侵害を問題にしたウェスティングハウスと、原子炉冷却材ポンプやタービンなどの主要な部品を供給する方式で合意に至ったことがある。原発業界では、バラカ原発プロジェクトの予算規模の186億ドル(約2兆7000億円)のうち20億ドル(約2900億円)前後の機材・資材費用がウェスティングハウスに支払われたと予想している。
 韓国がチェコに輸出する原発のモデルである「APR-1000」の知的財産権について、韓国とウェスティングハウスの意見は対立している。ウェスティングハウスは、自社技術を基盤としているためAPR-1000の知的財産権は自社にあると主張するが、韓水原は当原発の設計の重要コード、冷却材ポンプ、原発計測制御システムなどの3大核心技術をすべて国産化したとして、輸出には問題ないとする立場だ。ただし、ウェスティングハウスの知的財産権の主張について、韓水原と政府側は「問題が生じないよう交渉する」と述べるにとどめた。
 同日、国会答弁書について産業部は「両国の企業が法的紛争の代わりに様々な分野での協力を通じて、相互にウィン・ウィンとなる余地もあるという原則的な回答だった」としたうえで、「チェコの原発の細部の設備供給案は、韓水原とチェコの発注側との間の最終契約が行われた後に決める事案であり、現時点では決まっていない」と付け加えて立場を明らかにした。
 一方、チェコの反独占規制機関は、ウェスティングハウスが先月27日にAPR-1000の知的財産権が自社にあるとして提起した陳情について3日(現地時間)、公式の行政手続(調査)に着手したことを明らかにした。
オク・キウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-09-05 14:55


「中央日報日本語版」 2024.08.21 11:15
■中国原発100基超える、11基の建設を承認…相当数が黄海沿岸
 中国が過去最大となる11基の新規原発建設計画を承認し、「原発崛起」を加速化している。国営中国中央テレビによると、中国国務院常務委員会は19日に李強首相主宰で開いた会議で、新規原発11基を作る合計5件のプロジェクトを承認した。
 中国経済メディアの第一財経によると、中国3大国営原発企業がプロジェクトを進める。中国核工業グループ(CNNC)による江蘇省徐圩の1基、中国広東原発グループ(CGNPG)による広東省陸豊の1基、山東省招遠の1基、浙江省三澳の2基、国家電力投資グループ(CPI)による広西チワン族自治区白竜の1基が主要プロジェクトだ。
 合計11基の原発建設には最小2200億元(約4兆4872億円)以上が投入され、完工まで約5年かかる見通しという現地報道も出てきた。
 ブルームバーグは「今回の新規原発建設承認は年間最大規模。中国が炭素排出量を減らすために原子力発電にさらに依存して起きたこと」と伝えた。その上で「中国が2030年までにフランスと米国を抜いて世界で最も多くの原発を保有することになるだろう」と付け加えた。
 中国核エネルギー産業協会(CNEA)によると、中国では現在56基の原発が稼動中だ。米国の93基に続きフランスの56基と並ぶ世界2位の原発稼動国だ。中国では昨年まで合計38基の新規原発が建設承認を受けたり建設中だ。今回の新規原発建設計画まで合わせれば中国では合計100基を超える原発が建設されることになる。
 日本経済新聞によると、中国は2011年に日本の福島第1原発事故が発生してからしばらく新規原発を推進していなかったが、2019年から建設を再開した。2019~2021年に年間4~5基の新規原発建設を許可し、2022年と昨年にはそれぞれ10基を許可した。中国中信証券は報告書を通じ中国が今後3~5年間に毎年約10基の新規原発を承認するものと予想した。現在原発設備容量が全電力生産で占める割合は5%水準だが、2035年までに10%まで高める目標だ。
 中国当局は原発建設の意志を公開的に強調している。中国共産党中央委員会と国務院は最近発表した「経済社会発展の包括的なグリーン転換加速化に関する意見」という文書で、「沿海原発などクリーンエネルギー基地建設を加速化しなければならない」と明らかにした。
 第一財経は「中国が公式文書で原発建設に『加速化』という単語を明確に使ったのは福島原発事故後初めて」と指摘した。その上で複数の中国原発関係者の話として「今後数年間で中国は原子力発電の黄金時代を迎えるだろう。原子力発電は無炭素クリーンエネルギーであり、安定した電力供給を保障できる特性上、(中国が推進する)全面グリーン転換に代えられない役割を担うだろう」と付け加えた。
 一部では中国の原発崛起が韓国に及ぼす影響に対し懸念する。既存の原発だけでなく新規原発の相当数が黄海沿岸に建設されているためだ。


「東亞日報」 August. 21, 2024 10:05
■中国「原発11基を追加建設」、2030年に最大保有国
 中国は今年、5つの新規原発プロジェクトを承認し、計11基の原発を追加で建設することにした。最近、中国はグリーンエネルギーへの転換を名分に原発建設に拍車をかけており、2030年には世界最大の原発保有国になるという見通しが出ている。
 20日、国営新華社通信によると、李强首相は前日、国務院常務委員会を開き、「江蘇徐偉第1段階」など5つの原発プロジェクトを承認した。今回の決定を受け、中国は少なくとも2200億人民元(約41兆ウォン)をかけて、原発11基を追加で建設する予定だ。これは最近、中国が承認した新規原発の中で最も多い数値だ。
 中国は先月31日、「経済・社会発展の加速化と全面的なグリーン転換に関する意見」を通じて、2030年までに太陽光・風力・原子力など非化石エネルギーの消費の割合を約25%までに増やすと発表している。原発の場合、現在56基が稼動中であり、これを通じて中国全体の電気需要の5%を賄っている。中国はすでに原発38基を承認したか、追加建設しているが、今後も毎年10基程度を追加承認するというのが地元メディアの分析だ。ブルームバーグ通信は、「中国は2030年までに、フランスと米国を抜いて世界で最も多くの原発を保有することになるだろう」と見込んだ。
 中国は2011年、日本の福島原発事故以降、新規原発の建設を中断したが、2019年に再開した。2019年に6基、2022年と2023年は10基など、新規承認の規模を増やしている。中国が原発建設を増やすのは、低炭素エネルギー政策の目標達成だけでなく、エネルギー安保の側面も考慮したものだという分析が出ている。「ウクライナ戦争」と「ガザ地区戦争」等の影響でエネルギー価格が大幅に上がったうえ、人工知能(AI)のブームで半導体電力需要が継続的に大きく増えるほかはないためだ。
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「福島汚染水放流1年…洪準杓大邱市長「野党、怪談政治で扇動」」

2024年08月25日 | 
「中央日報日本語版」 2024.08.25 11:07
■福島汚染水放流1年…洪準杓大邱市長「野党、怪談政治で扇動」
 大邱市(テグシ)の洪準杓(ホン・ジュンピョ)市長は、日本政府が福島原発汚染水を放流して1年となった24日、韓国野党に向け「どうしてもそういう政治をしなければならないのか」と批判した。
 洪市長はこの日自身のフェイスブックに、「福島核汚染水怪談扇動も1年になったがいまはその汚染水が5年、10年後にくると扇動する。怪談政治で国民を扇動し国の混乱を招いて何を狙うのか。どうしてもそういう政治をしなければならないのか」と書いた。
 彼は「狂牛病怪談で国を混乱に追いやりながら責任を取る政治家は1人もなかった。米国産牛肉を食べるなら青酸カリを飲むと言った芸能人は改名してまだ堂々と活動している」とも指摘した。
 続けて「THAAD怪談で黄色い髪のかつらをかぶってわが身を燃やし、さらには星州(ソンジュ)マクワウリもTHAADマクワウリなので食べられないと扇動した人たちはみんなどこに行ったのか」と反問した。
 韓国大統領室も野党圏に向け批判を出した。
 大統領室のチョン・へジョン報道官は23日の会見を通じ「何の科学的根拠もないあきれる怪談がフェイクの扇動と明らかになったのに、『怪談の根源地』である野党は国民への謝罪すらもなく無責任な姿を見せている。国民の恐怖感増加と国論分裂によって浪費された社会的費用は金額で換算することすらできず、怪談の被害は漁民、水産業従事者、そして国民にそのまま返ってきた」と強調した。
 続けて「狂牛病とTHAADに続き福島まで、国民を分裂させる怪談扇動をもう止めると約束し、いまからでも国民の前で謝るよう望む」と促した。
 これに対し野党「共に民主党」のカン・ユジョン院内報道官は「大統領室はいったい何を根拠に日本が放流した福島核汚染水が安全だと主張するのか。日本政府が渡した広報性資料のほかに主張を裏付ける資料があるのか」と反論した。


「The Hankyoreh」 2024-08-24 09:25
■汚染水放出1年、日本ではなく野党に「謝罪」要求した韓国大統領室
 大統領室が、日本の福島原発汚染水の海洋投棄当時に韓国政府の生ぬるい対処を批判した野党に対して国民への謝罪を要求した。放出から1年が経過したが、何の問題も発生しなかったため、「懸念と批判は怪談であり偽りの扇動だったことを認め、国民の前で謝罪しなければならない」という主張だ。専門家らは、大統領室の認識こそ「無知と非科学的な確信に満ちている」と批判した。野党は「放出された汚染水が韓国の海に到着するのは、どれだけ早くても4~5年後のことだが、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は5年後や10年後に時間旅行にでも行ってきたのか」と指摘した。
 大統領室のチョン・へジョン報道官はこの日、龍山(ヨンサン)の大統領室で会見を開き、「24日は野党が福島原発の『怪談』を放出して1年になる日」だとし、「(韓国政府は)過去1年間、国内の海域や公海などから試料を採取し、4万9600件あまりの検査を行った結果、安全基準から外れた事例は1件もなかった」と述べた。汚染水放出の無害さが1年間の各種検査で立証されたという主張だ。さらに、「野党のあきれた怪談扇動がなければ使わなくて済んだはずの予算1兆6000億ウォン(約1700億円)が、この過程に投入された」として、「野党が国民の分裂ではなく、民生のための政治をしたならば、社会的弱者のために使うことのできた血税」だと強調した。試料採取や海洋放射能監視の強化、漁業者の被害の支援費用などに使われた予算を「使わなくてもよかった費用」だと切り捨てたのだ。
 野党は「居直り」だと反発した。最大野党「共に民主党」のチョ・スンネ首席報道担当はこの日の書面会見で、「いったい何を根拠に、国民と野党の懸念を怪談だと貶めるのか。日本政府は今年2月からは放射能の資料も提供しておらず、日本の環境省の資料から、放出地点のトリチウム濃度が10倍に上昇したという事実が明らかになったが、韓国政府は最初から手をこまねいていた」と指摘した。さらに、「最終報告に何の責任も負わないと宣言した国際原子力機関(IAEA)の報告書の1つだけを信じて同意した汚染水放出は、少なくとも30年間続く」として、「尹錫悦政権は(日本政府が犯した)犯罪の共犯であり幇助犯」だと述べた。
 環境団体や専門家らも同様に大統領室の態度をいっせいに批判した。緑色連合は22日の声明で「中国と香港が汚染水投棄を懸念して自国の立場を代弁している反面、韓国政府は『1年間安全基準から外れた事例は1件もなかった』と問題を単純化している」とし、「放射線に『安全な基準』というものはなく、管理用に過ぎない『基準』を超えなかったという理由で、低線量放射線や放射線累積のリスクなどを排除している」と指摘した。政府が全国民を対象にした長期の追跡調査のための健康影響調査を行わないでいることについても「責任放棄」だと批判した。
 原発問題を研究してきた日本の松山大学の張貞旭(チャン・ジョンウク)名誉教授は「長期的被害を調べなければならないのに、韓国政府は『1年間何の問題もなかった』として汚染水に関する懸念を怪談だといって切り捨てている。チェルノブイリ原発爆発当時にも即死した人は多くなかった」と指摘した。さらに「いま重要なのは、輸入水産物に対してストロンチウム89・90を測定した結果を必ず添付するよう日本政府に要求すること」だと述べた。ストロンチウムは体内に入ると骨に蓄積されやすく、骨髄がんと白血病の原因になりうる。
 環境運動連合はこの日、汚染水海洋投棄から1年を機に実施した国民世論調査で、回答者の65%が日本産水産物の輸入全面禁止に賛成し、汚染水海洋投棄に反対するという回答も76%に達したと明らかにした。調査は世論調査業者「リサーチビュー」が15日から19日までの4日間、全国の満18歳以上の成人男女1000人を対象に実施した。
チャン・ナレ記者、ユン・ヨンジョン記者、コ・ハンソル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-08-23 23:57


「中央日報日本語版」 2024.08.24 09:25
■韓国政界、福島放出1年迎え衝突…「怪談扇動を謝罪すべき」「日本と共犯」

【写真】大統領室のチョン・へジョン報道官は23日、ソウル竜山(ヨンサン)大統領室庁舎で、福島汚染水放出から1年を迎えた中、共に民主党に謝罪を要求するブリーフィングを行った。 大統領室写真記者団

 福島汚染水放出開始から1年を迎え、韓国の政界が衝突した。東京電力は昨年8月24日から福島第1原発の汚染水を希釈して放出している。
 韓国大統領室のチョン・へジョン報道官は23日のブリーフィングで「24日は野党が福島怪談を放出して1年となる日」とし「いかなる科学的根拠もないあきれるような怪談が嘘の扇動と明らかになったが、怪談の根源地である野党は国民に謝罪もせず無責任な態度を見せている」と述べた。
 チョン報道官は「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は怪談を乗り越える道は客観的、科学的な検証だけだと信じた」とし「海洋放射能調査地点を92カ所から243カ所に拡大し、輸入申告されたすべての水産物に対する生産地証明書を確認してきた」と明らかにした。続いて「1年間、国内海域や公海などで試料を採取して約4万9600件の検査を進めた結果、安全基準に合わない事例は1件もなかった」と強調した。
 また「『核廃棄物』『第2の太平洋戦争』のような野党のあきれるような怪談扇動がなかったとすれば必要ない予算1兆6000億ウォン(約1730億円)がこの過程で投入された」とし「野党が科学的根拠を信頼して国民分裂でなく民生のための政治をしれいれば、社会的弱者のために投じることができた血税」と主張した。
 チョン報道官は「野党は反省どころか今でも刺激的な発言をし、依然としてあきれる怪談扇動に没頭している」とし「わが政府の検査結果にあえて背を向け、『安全性を立証する根拠を提示すべき』というオウム論評ばかりを繰り返している」と指摘した。そして「反省の開始は率直な謝罪と再発防止約束」とし「BSE(牛海綿状脳症)・THAAD(高高度防衛ミサイル)に続いて福島まで、国民を分裂させる怪談扇動はもうやめると約束して、今からでも国民の前で謝罪することを望む」と強調した。
 国民の力の裵俊英(ペ・ジュンヨン)院内首席副代表もこの日、院内本会議で「汚染水放出はわが国民の誰も望まない残念なことだった」としながらも「しかし民主党の恥知らずな扇動政治はさらに遺憾だ。いま一年が過ぎて実体が表れた」と話した。続いて「民主党は怪談で苦痛を受け、損害を受けた国民に謝罪するべきだ」と要求した。
 与党のこうした攻勢に対し、共に民主党は強く反発した。
 趙承来(チョ・スンレ)首席報道官はこの日、書面ブリーフィングで「放出された汚染水が我々の海に到着するのは早くて4、5年後から10年後のこと」とし「尹錫悦政権はその間、5年後、10年後に時間旅行にでも行って来たのか」と反問した。また「大統領室はいったい何を根拠に日本が放出した福島核汚染水が安全だと主張するのか。日本政府が渡した広報性資料のほかに主張を裏付ける資料があるのか」とし「いったい何を根拠に国民と野党の憂慮を怪談や嘘の扇動と罵倒するのか」と主張した。
 趙報道官は「日本政府は今年2月以降、放射能資料も提供しておらず、むしろ日本環境部の資料で放出地点のトリチウム濃度が10倍に高まったという事実が表れた」とし「被害予想国家として放出状況をより徹底的に監視するべきだった韓国政府は最初から手放しにしていた。トリチウムと放射能を移していく食物連鎖も追跡せず、国民の健康に及ぼす影響に対する長期間の追跡調査もなかった」と指摘した。
 趙報道官は「国民の健康と安全を担保する措置は何もせずに安全だという広報ばかりに熱を上げた政府が、広報費1兆6000億ウォンを野党に転嫁するのはあきれる」とし「日本政府は全世界の人類に費用が安いという理由で犯罪を犯し、尹錫悦政権はこの犯罪の共犯であり幇助犯」と強調した。そして「尹錫悦政権は決して(責任から)自由でないことを厳重に警告する」とした。


「The Hankyoreh」 2024-08-24 08:25
■【社説】汚染水放出1年、「怪談」主張する大統領室は日本の代弁者か

【写真】大統領室のチョン・ヘジョン報道官が23日、ソウル龍山の大統領室庁舎で、懸案についてブリーフィングしている/聯合ニュース

 日本の福島第一原発からの放射能汚染水の海洋放出から丸1年を翌日に控えた23日、大統領室は「何の科学的根拠もない荒唐無稽な怪談が偽りの扇動であることが明らかになっているにもかかわらず、怪談の根源地である野党は国民に対して謝罪すらしない」と野党を非難した。膨大な量の放射能汚染水を隣国の国民の懸念を無視して海に流している肝心の日本については、一言もなかった。一体どこの国の大統領室なのか。
 福島第一原発の汚染水は放出直前までに134万トンがたまっており、さらに毎日100トンあまりが生成されている。日本はこのうち5万4600トンをこの1年間に放出した。今後も毎年数万トンが、少なくとも30年以上にわたって放出される。汚染水にはセシウム137などの人体に致命的な影響を及ぼす放射性物質が微量ではあるが含まれており、トリチウム(三重水素)はいわゆる多核種除去設備(ALPS)でもろ過されないため海水で希釈して放出される。このような大量で長期にわたる汚染水の放出は人類が一度も経験したことのないものであり、長期的に生態系と人間の健康にどのような影響を及ぼすかは誰も予断できない。たった1年たっただけで「ほら、何事もないじゃないか」とでも言わんばかりだ。これが国民の安全を最優先に考えるべき大統領の言うことなのか。
 日本は自国内で汚染水を保管・処理できる様々な方策があったにもかかわらず、金も手もかかるというだけの理由で海への大量投棄をはじめた。正常な政府なら、当然にも自国が引き受けるべき危険を外部に押し付けた日本の態度に断固反対すべきだった。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は逆に「汚染水のせいで韓国の海が汚染されるという根拠のない扇動」などと言い、先頭に立って日本を擁護してきた。今も日本の責任には言及すらせず、むしろ懸念を示す国民を追い詰めている。日本政府にとって尹大統領はどれほどありがたいことか。
 大統領室は「この1年間、国内海域、公海などで試料を採取し、4万9600件あまりの検査をおこなった結果、安全基準を外れた例はただの1件もない」とし、「使わなくて済んだはずの予算1兆6000億ウォンが投入された」と述べた。しかし、汚染水が太平洋を回って韓国の海域に流入するまでには4~10年かかる、というのが政府のシミュレーションの結果だった。このように性急に判断を下すべきではない。莫大な予算を使うことになったのは懸念している国民のせいなのか、日本の放出のせいなのか。なぜ日本には何も言えず、国民のせいにばかりするのか。
 「日本の環境省の資料によると、放出地点近くの魚類のトリチウム濃度は放出2カ月後に10倍になっている」(ペク・トミョン元ソウル大学保健大学院長)と指摘されてもいる。日本政府は今年2月以降、放射能に関する資料も提供していない。尹錫悦政権には、せめて一度は日本ではなく国民を代弁してもらいたい。
(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-08-23 18:03


「聯合ニュース」 2024.08.23 14:37
■汚染水海洋放出から1年 野党の「怪談」は偽り=韓国大統領室
【ソウル聯合ニュース】韓国大統領室は23日、日本が東京電力福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出を開始してから1年を迎えたが科学的な問題はなかったと強調し、最大野党「共に民主党」をはじめとする野党が主張した科学的根拠のない「怪談」は偽りだったことが明らかになったと批判した。

【写真】会見を行う大統領室のチョン・ヘジョン報道官=23日、ソウル(聯合ニュース)

 大統領室のチョン・ヘジョン報道官はこの日の記者会見で「科学的根拠のない荒唐無稽な怪談が偽りの扇動であることが明らかになったにもかかわらず、怪談の出どころである野党は国民に謝罪すらせず無責任な行動を見せている」と指摘した。
 また、政府は海水に含まれる放射性物質の調査地点を92か所から243か所に拡大し、輸入申告された全ての水産物について生産地証明書を確認したと説明。この1年間に国内の海域や公海などで試料を採取し、約4万9600件の検査を行ったが、安全基準を上回ったことはなかったと強調した。
 さらに、調査に投入された予算1兆6000億ウォン(約1740億円)は野党が科学的根拠を信頼していれば社会的弱者のために使うことができた血税だとして、謝罪と再発防止を求めた。
 一方、大型スーパー3社の水産物の売上高は例年の水準を上回り、日本産水産物の輸入も昨年より増えるなど水産物の消費が増加したと説明し、政府は今後も国民の安全を最優先に科学的根拠に基づいた徹底的な検証を行うと約束した。
 大統領室の関係者は「科学的かつ客観的な根拠と検証を通じて対応すれば、今後も不必要な費用や行政力の無駄遣いが減るのではないかと考えてこのような会見を行った」と説明した。


「The Hankyoreh」 2024-08-23 13:34
■福島原発の核燃料デブリ取り出し…着手できず作業中止
 取り出し装置の設置に不具合発見

【写真】日本の福島第一原発の爆発事故から20日余りが経った2011年3月30日、ドローンで撮影した福島原発の様子/EPA・聯合ニュース

 2011年3月に東日本大震災で爆発事故があった福島第一原発で、溶けた核燃料の残骸を取り出す作業が13年半で初めて試みられる予定だったが、装置設置の問題で中止された。「核燃料の残骸取り出し」は、24日で1年を迎える汚染水の海洋放出を終了させるための前提条件である福島第一原発の廃炉のためにも最も重要な作業だ。
 東京電力は22日午前、福島第一原発2号機の原子炉で溶けた核燃料の残骸(デブリ)を試験的に取り出す作業を始めようとしたが、取り出し装置に不具合が発見され、直ちに中止したと発表した。この日作業は再開せず、その後の日程は決まっていない。
 人が近づくと1時間以内に死亡しうる高線量の放射線が出る核燃料デブリの取り出しは、福島第一原発の廃炉過程で最も重要で最も難しい作業だ。東京電力はこの日の事故後、13年半ぶりに2号機の原子炉を覆う格納庫の内部に通じる直径60センチの配管の中にパイプ状の装置を入れて、約3グラムの核燃料デブリを取り出す計画だった。このため、東京電力は長さ約22メートルの伸縮型のパイプ装置を新たに開発し、パイプの先に爪形の装置も取り付けた。デブリからは人が近づくと1時間以内に死ぬほどの高線量の放射線が漏れるため、遠隔で操作する装置を新たに開発しなければならなかった。NHKは「5本ある押し込みパイプの順番が間違っていることに作業員が気づき、午前9時前に作業を中断した」と伝えた。

【写真】福島第一原発から溶け出した核燃料デブリを取り出すための装置。この装置は三菱重工業が開発し5月に公開された/AP・聯合ニュース

 東京電力は、順調に作業が進められたとしても核燃料の試験搬出だけで少なくとも1週間から2週間はかかると予想した。今回、原子炉からデブリを取り出すことに成功すれば、茨城県にある日本原子力研究開発機構に移され、核燃料の残骸の性質や状態など半年ほど詳しい分析が行われる予定だ。
 福島第一原発の1~3号機の原子炉の床に残っている核燃料デブリは計880トンに達する。2011年3月の東日本大震災の際、巨大な津波が発生して福島原発を襲い、冷却装置が麻痺し、1~3号機の原子炉の核燃料棒が溶け落ちる炉心溶融(メルトダウン)が発生した。溶けた核燃料は周辺の構造物を溶かして塊(デブリ)になったまま原子炉の底に残っている。
 原子炉から核燃料供給装置を取り出して除去する作業は、世界で前例がない。旧ソ連時代の1986年に起きたチェルノブイリ原発事故の場合、核燃料が溶けて大量の残骸が残っていたが、取り出さずにコンクリートで構造物を覆う方式を選択した。
 このような理由から、核燃料デブリを取り出す作業は遅れている。2号機は当初2021年に始める予定だったが、3年も遅れた。しかも1、3号機は内部調査もまともに行われず、処理時期はもちろんどのようにデブリを取り出すべきかの方法すら決まっていない状態だ。デブリの取り出しが遅れれば、日本政府の2041~2051年の原発廃炉計画も遅れるのは避けられない。NHKは「福島第一原発では、核燃料デブリが原子炉の外まで広がっているほか、デブリの総量はチェルノブイリ原発やスリーマイル島原発の5倍から7倍近くに上るとみられ、取り出しの難しさが指摘されている」と指摘した。
 汚染水は毎日約90トンほど新たに出ているため、廃炉が完了しなければ放出がいつ終わるか分からない状況だ。福島原発汚染水の1回目の放出は昨年8月24日に始まり、これまで約5万5千トンの汚染水が海に流れた状態。今月7日から8回目の放出が始まった。
東京/キム・ソヨン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
韓国語原文入力:2024-08-22 20:52


「The Hankyoreh」 2024-08-23 06:54
■核汚染水投棄から1年「中国・太平洋諸国とともに日本を提訴すべき」
 22日、「汚染水の海洋投棄を阻止するための共同行動」の国会討論会

【写真】22日午後、ソウル汝矣島の国会本庁階段前で「日本の放射性物質汚染水の海洋投棄を阻止するための共同行動」のメンバーたちと国会議員らが日本の放射性物質汚染水の海洋投棄から1年を迎え記者会見を行っている=共同行動提供//ハンギョレ新聞社

 日本政府が福島原子力発電所(原発)の放射性物質汚染水の海洋投棄を始めて1年になる24日を控え、「周辺国と協力して国際提訴をするなど対応すべき」という声があがった。核汚染水の海洋投棄は朝鮮半島だけの問題ではないため、太平洋島しょ国などと協力して問題を提起しなければならないという主張だ。
 22日、韓国国内の市民・環境団体で構成された「日本の放射性物質汚染水の海洋投棄を阻止するための共同行動」(共同行動)と「民主社会のための弁護士の会」(民弁)などは22日午前、ソウル汝矣島(ヨイド)の国会議員会館で討論会を開き、日本の核汚染水投棄に対する法律的争点と今後の課題について話し合った。
 討論者を務めたキム・ヨンヒ弁護士(脱核法律家の会「ひまわり」)は「投入された物質とその影響間の因果関係を証明する決定的証拠がなくても、廃棄物投棄による環境保護のために適切な事前措置を講じなければならない」というロンドン条約の「事前主義原則」をに触れ、「福島原発汚染水に対しても適用されるべきだ」と強調した。
 さらに、「日本の核汚染水の放出問題は、韓国だけの問題ではなく、地球に住むすべての人たちの問題だ」とし、「韓国政府単独で国際海洋法裁判所に提訴すれば、韓国の直接的な被害を立証しなければならないが、中国政府や太平洋島しょ国の一部の国と共同で提訴すれば、『公海上の海洋汚染』に対する問題提起ができる」と説明した。日本の核汚染水の海洋投棄が、地球に住むすべて人々の海洋環境を損ねるためだという説明だ。キム弁護士は「現政権で難しくても、政権が変わればこれも考えられる方法になる。事前に準備をしなければならない」と付け加えた。

【写真】昨年8月24日、日本の福島県大熊にある福島第一原子力発電所で空中撮影した写真。放射性物質が含まれた水の入ったタンクが並んでいる/EPA・聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権はこの問題について解決の意志がないため、野党が乗り出して国民保護に向けた立法に努力を傾けなければならないという声もあがった。同じく討論者を務めた「共同行動」のクォン・ジョンタク共同運営委員長は「新たに国会が始まっただけに、中国、香港、ロシアのように日本産水産物の輸入を全面禁止する措置をしたり、学校給食に放射性物質汚染の可能性のある食材を使用できないようにするなど、関連法案を作る野党の努力が切に求められる。法制定前でも、地方自治体レベルで条例を作るなどの方法で、速やかに進めてほしい」と語った。
 核汚染水による被害問題は、十分な時間をかけて長期間にわたり確認すべきとの指摘もあった。韓国と日本の原発問題を長い間研究してきた日本の松山大学の張貞旭(チャン・ジョンウク)名誉教授は「汚染水投棄問題は長期的被害を調べなければならないのに、韓国政府は『1年間何の問題もなかった』とし、汚染水に関する懸念を怪談だといって切り捨てている」とし、「この事案の原因をちゃんと理解していない。チェルノブイリ原発爆発当時にも即死した人は多くなかった」と指摘した。
 さらに張教授は「いま重要なのは、輸入水産物に対してストロンチウム89・90を測定した結果を必ず添付するよう日本政府に要求すること」だとし、「これまでは測定に一週間かかるとか、水産物の鮮度に影響を及ぼすという口実で日本政府が避けてきたが、最近は短い期間(2~3日)で測定できる方法が見つかったという報道が日本国内で出た」と語った。ストロンチウムはカルシウムと似た性質で、体内に入ると骨に簡単に蓄積され、骨髄がんと白血病の原因になりうる。
 チュ・ジェジュン共同運営委員長は「昨年10月には(核汚染水浄化設備の)ALPSの配管を清掃していた労働者が事故に遭っており、12月には2号機の廃炉作業をしていた作業者が被ばくするなど、核汚染水の放出以降、日本では事故が相次いでいる。日本のマスコミも『安全ではない」と問題提起をしているにもかかわらず、韓国政府は『安全だ』と主張し、日本政府がやるべきことを代わりにやっている」と批判した。
 一方、国務調整室は21日に資料を出し「昨年8月24日から今年8月19日まで4万9633件の放射能検査を実施した結果、韓国の海域と水産物、船舶のバラスト水のいずれも安全基準から外れた事例はなかった」と発表した。日本の東京電力はこれまで5万5000トンの汚染水を海に流しており、7日から8回目の放出を行っている。
ユン・ヨンジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-08-22 18:39


「The Hankyoreh」 2024-08-22 18:17
■【現場】「汚染水その後の30年」を嘆く福島の漁業者、その海には避暑客らが
 福島第一原発の汚染水海洋放出から1年…25日まで8回目の放出

【写真】18日、福島県南相馬市では、市が運営する北泉海水浴場で避暑客が遅い避暑を楽しんでいる=ホン・ソクチェ記者//ハンギョレ新聞社

 「日本政府と東京電力はこの1年間、処理水(汚染水)の放出で今は人々の体に異常がないと言うが、10年、20年、30年後にどんな影響があるのか誰も断言できない」
 18日、福島県の漁村の新地町で会った漁師の小野春雄さん(72)は、日本政府が昨年8月24日に始めた福島第一原発の汚染水放出についてこのように嘆いた。父親と祖父が漁師で、自身も15歳から海で仕事を始めた。3人の息子も家業を引き継いだ。孫たちも福島県に住んでいる。しかし、2011年の福島第一原発の放射性物質漏れ事故で、小野さんの人生は大きな変化を迎えた。
 事故後、福島の漁業は大打撃を受け、中断された。日本政府は2020年にすべての魚種に対する出荷制限を解除し、福島沿岸の漁業者たちも期待に胸を膨らませたが、昨年には汚染水放出という事態に見舞われた。日本政府は放射能汚染水を多核種除去設備(ALPS)を通して、水と似た性質を持つ「トリチウム」を除く放射性物質を基準値以下に除去した後、海水で薄めて海に流すため被害はないとし、福島の漁業者の反対を押し切って汚染水の放出を強行した。
 日本では、福島産の水産物を買わないのは、デマによる被害を意味する「風評被害」と主張されている。しかし、小野さんは「汚染水を数十年間(海に)放出するのに、トリチウムなどによる海の被害を本当に予測できるのか」と語った。
 「これ以上海を汚すな!市民会議」の活動家、片岡輝美さんはハンギョレとの電話インタビューで、「子どもたちにこの近くで獲れたどの魚を食べさせたらいいのか、心配は尽きない」と話した。また、「漁業者の中には、自分たちが怒れば怒るほど水産物が売れなくなるという矛盾した状況で、声をあげづらいという人も多いようだ」と語った。

【図】福島第一原発の汚染水放出の現況//ハンギョレ新聞社

 元東京海洋大学教授の濱田武士さん(水産学)ら専門家8人は、著書『どうするALPS処理水?科学と社会の両面からの提言』で、現地の漁業者たちは処理水の放出を認める場合は「海を売った」、反対する場合は「国益を損ねる」と批判されるとし、(日本政府が)政治的責任を漁業者に転嫁していると批判した。
 一方、新地町から南に25キロメートル離れた福島県南相馬市では、市の運営する北泉海水浴場で避暑客が海水浴を楽しんでいた。わずか25キロメートルの距離の福島第一原発では7日から「8回目の汚染水放出」が行われているが、避暑客は海水浴に余念がなかった。ここを訪れたある避暑客は「水質が良くて2人の子どもと泳いできた。放射線は全くない」と日本政府の発表を完全に信頼しているようだった。
 東京電力は昨年8月24日以降、すでに7回にわたり汚染水の放出を行った。1回の放出に約17日かかり、一日約460立方メートルずつ、計7800立方メートルの汚染水が排出される。これまで計5万4734立方メートルの汚染水が海に流れた。7日に再び8回目の放出が始まり、25日に終了する予定だ。
 汚染水は2011年の東日本大震災の福島第一原発爆発事故後、原発に雨水などが流れ込み、放射性物質と接触したことで発生している。東京電力は事故後、汚染水を水タンクに保管してきたが、福島第一原発の廃炉作業のため、これ以上水タンクを増やすことはできないとし、2021年4月に汚染水の海洋放出を決めた。東京電力は19日現在、タンクに保管されている汚染水は131万立方メートルで、タンクの収容限界の96%を占めていると発表した。
 日本政府はALPSでトリチウムを除く放射性物質のほとんどを基準値以下に除去するため、汚染水ではなく「処理水」だと主張する。放出前に汚染水を海水に混ぜて薄めた後、福島沿岸へと続く1キロメートルの海底トンネルを通じて流している。

【写真】昨年8月24日、福島県の福島第一原発で、海水で薄めた放射性物質汚染水が海底トンネルに流れていく様子を関係者たちが見ている。日本は同日午後1時3分頃から福島原発敷地内の水タンクに保管されていた汚染水を福島沖合へと続く海底トンネルを通じて放出し始めた=福島/共同通信・聯合ニュース

 日本政府は汚染水が海の環境と人体に及ぼす悪影響が極めて微々たるものだと主張している。安全性を示すとしてALPSで濾過されたいわゆる「処理水」の中でヒラメなどを育て、これをソーシャルメディアのX(旧ツイッター)などで3~4日おきに公開している。
 東京電力はこの1年間の汚染水の排出過程で出たトリチウムの総排出量は8兆6千億ベクレル(2023年4.5兆ベクレル、2024年8月現在4.1兆ベクレル)になるとみている。韓国の古里(コリ)原発から出るトリチウム(1年に49兆ベクレル)より低い数値だと主張する。日本は汚染水の放出前からこのような論理を掲げているが、事故で水素爆発が起きた福島第一原発と正常稼動中の他の原発をトリチウムの排出量だけで比較するのは無理があるという批判が多い。
 少なくとも数十年間続く福島原発の汚染水の放出が、いつ終わるのかも分からない。日本は2051年までに福島原発を廃炉することを目標に掲げ、廃炉が完了すれば、これ以上汚染水も発生しないと期待している。
 だが、日本は廃炉のために最も重要な作業である「燃料デブリ」(核燃料が溶けて周辺構造物と絡まった塊)の取り出しにはまだ手をつけられずにいる。福島原発1~3号機の原子炉の床に残っている計880トンに達する燃料デブリは、人が近づくと1時間以内に死ぬほどの高線量の放射線を放出する。そのため、人の代わりにロボットが入って作業をしなければならないが、ロボットアームの性能に立て続けに問題が生じている。
 東京電力は22日、パイプを遠隔操作する方式で試験的に3グラム以下の燃料デブリを取り出すことにした。事故後13年も経ってから始まったこの試みが成功したとしても、880トンにもなる燃料デブリをいつ全部取り出せるかは不明だ。燃料デブリを除去できなければ、1日80トン程の放射性物質汚染水が発生し続ける。
 日本は国際原子力機関(IAEA)を前面に立てて国際世論戦を繰り広げているが、直接影響を受ける周辺国の多くは納得していない。中国は先月30日にも呉江浩駐日大使を通じて「日本が汚染水の海洋放出を一方的に進め、核汚染の危険を全世界に拡散させている」とし、「中国はこれに断固反対する」という立場を示した。
 ロシアも、日本政府は日本産水産物の安全性を立証する情報を開示すべきだと主張する。中国は昨年8月24日に日本が汚染水の海洋排出を始めたことを受け、日本産水産物の輸入禁止措置を取り、ロシアも昨年10月、同じ措置を取った。

【写真】日本の福島原発から50キロメートルほど離れた漁村の新地町で、並んでいる漁船の隣で住民が釣りをしている=ホン・ソクチェ記者//ハンギョレ新聞社

 日本の汚染水管理のミスも批判を呼んでいる。9日、福島原発2号機内部の使用済み核燃料プールから放射性物質を含む汚染水25トンが流れた。東京電力は、汚染水が排水口を通じて建物の地下に流れ込んだものと推定されるとし、外部への流出はなかったと発表したが、管理の甘さに対する批判は免れない。
 今年2月には福島沿岸に放出されている汚染水浄化装置から5.5トンが漏れる事故があった。閉まっているはずのバルブが誤って開き、配管に残った汚染水と洗浄用水が混ざって排気口から流れ出たという。昨年10月にも配管を掃除していた職員2人が汚染水を浴びて治療を受けたことがある。
 2011年の福島原発事故の責任を問うため、事故当時の東京電力の経営陣を告訴した「福島原発告訴団」の原告団長、武藤類子さんは、ハンギョレに「東京電力は汚染水の放出後、海の放射性物質は大きく増えていないと主張するが、放出によってどんな影響が発生するかは誰も分からない」とし、「APLSの処理過程で汚染水が漏れたことまであるのに、汚染水の放出を直ちに中止してほしい」と語った。
 「これ以上海を汚すな!市民会議」など、日本の市民団体は汚染水の放出開始から1年となる今月24日、汚染水放出中止に向けた国際連帯行事「グローバル行動2024」を開くことにした。
福島/ホン・ソクチェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-08-2109:24


「The Hankyoreh」 2024-08-15 07:48
■福島第一原発の汚染水25トンが水漏れ…位置も原因も不明
 2月の5.5トン流出に続き、またもや発生 
 東京電力「原因把握中」

【写真】福島第一原発敷地のタンクに保管中の放射性物質汚染水/聯合ニュース

 福島第一原発2号機の建屋内の使用済み核燃料を冷却するプールの水位を確認する施設から、放射性物質を含む汚染水25トンが漏れ出した事実が後になって分かった。
 14日付のNHKの報道によると、9日、福島第一原発2号機の原子炉建屋5階にある使用済み核燃料冷却プールの水位を確認するタンクで、水位が異常に低くなったことを職員が発見し調査する過程で、水漏れが確認された。漏れ出した汚染水の量は約25トンと推定される。
 東京電力は、汚染水が排水口を通じて建屋の地下に流れた込んだものとみられ、外部への流出はなかったと述べた。核燃料の冷却にも問題はないと説明した。東京電力は今週、調査用ロボットを使って水漏れが起きた正確な場所と原因を把握する予定だ。
 福島第一原発内の相次ぐ事故で不安が高まっている。今年2月には福島の海に放出中の汚染水の浄化装置から5.5トンが漏れ出す事故があった。閉っていなければならないバルブが誤って開き、配管に残った汚染水と洗浄用水が混ざって排水口から流れたという。昨年10月にも配管を掃除していた職員2人が汚染水を浴びて治療を受けている。

東京/キム・ソヨン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力: 2024-08-14 10:47
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「韓国の原爆被害者団体「受け継がれる被爆被害に背を向ける政府…韓米合同演習に反対」」

2024年08月22日 | 
「The Hankyoreh」 2024-08-21 08:22
韓国の原爆被害者団体「受け継がれる被爆被害に背を向ける政府…韓米合同演習に反対」

【写真】韓国の原爆被害者団体が韓米連合軍事演習「乙支フリーダムシールド」に反対し記者会見を行っている=チェ・サンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 韓国の原爆弾被害者団体が19~29日に開かれる韓米合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダムシールド(自由の盾)」に反対を表明した。朝鮮半島の緊張状態を高め、核戦争の口実を提供する恐れがあるという懸念からだ。
 市民団体「慶南キョレハナ(民族は一つ)」は20日、慶南道庁プレスセンターで、「この地に核兵器と日本(自衛隊)は絶対に入らせてはならない」というタイトルの記者会見を開いた。同会見に原子爆弾被害者たちも出席し、「乙支フリーダムシールド」の中断を求めた。
 韓国原爆被害者子孫会のイ・テジェ会長は「日本と米国政府は原爆被害者に対する謝罪・補償と共生に向けて努力しなければならない。また、韓国政府は『韓国人原爆被害者支援のための特別法』を改正し、被爆後遺症を引き継いで苦しんでいる原爆被害者の子孫を慰め、支援すべきだ」とし、「韓国に原爆被害者がいるという事実さえ知らない人も多い。韓国政府がこの問題に無関心なのは非常に残念だ」と語った。
 原爆被害者の憩いの場である「陜川(ハプチョン)平和の家」のイ・ナムジェ院長は「被爆後遺症は現在、直接被爆者の曾孫にまで現れている。遺伝体の変形で後遺症が引き継がれるからだ。精神疾患や皮膚疾患、がんなどが多く、乳児死亡率も高い」とし、「地球上に二度と核戦争が起きてはならない。われわれのような核戦争の被害者が再び生まれてはならない」と話した。
 韓国原爆2世患友会の会員ムン・ジョンジュさんは「広島で被爆した父は両目を失明した。それから10年後に生まれた私の兄は、生まれた時から目が見えないなど障害を持っている。また、私と妹も幼い時からあらゆる病気に苦しんでいる」とし、「私たちの家庭を破壊した日本と米国政府の謝罪を必ず受けなければならない。なのに、むしろ米国と日本の軍隊を引き入れようとする韓国政府を理解できない」と語った。
 1945年8月6日に広島、8月9日に長崎で原爆が投下された時、合わせて約28万人が被爆したが、当時韓国人も約7万人が被爆し、4万人が命を失った。解放後、生存者3万人のうち2万3千人が帰国したが、命を取り留めた人も様々な後遺症に苦しんだ。
 その上、解放後に生まれた彼らの子孫たちは原爆にさらされなかったにもかかわらず、親から被爆後遺症を受け継ぎ、苦しんでいる。しかし、被爆後遺症の継承が立証されていないという理由で「韓国人原爆被害者支援のための特別法」は直接被爆者だけを被害者として認めている。
チェ・サンウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-08-20 16:45


「The Hankyoreh」 2024-08-20 06:31
■【独自】韓国国防長官候補、4年前にも「核なしに未来はない」…独自の核武装論
 「核武装、あらゆる手段は開かれている」発言で波紋 
 NPT加盟国の独自の核武装は不可能であるうえに 
 尹政権の「韓米同盟基盤」基調とも反する

【写真】韓国国防部長官候補のキム・ヨンヒョン氏が16日午前、ソウル龍山区の陸軍会館に設けられた人事聴聞会の準備事務室に出勤し、取材陣の質問に答えている/聯合ニュース

 韓国の国防部長官候補のキム・ヨンヒョン氏が、4年前のあるセミナーで「核武装なしにわれわれの生存と未来はない」と主張したことが確認された。韓国は核兵器不拡散条約(NPT)加盟国であるため独自の核武装は不可能だが、そのような状況を無視した主張だ。そればかりか、韓米同盟を基盤にした拡大抑止という尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の基調にも反するという指摘が出ている。
 ハンギョレが18日に祖国革新党のチョ・グク議員室を通じて確保した、2020年6月の「6・25戦争(朝鮮戦争)70年 回顧と反省」と題する政策セミナーの映像によると、キム候補は「日本は核武装に取り組むだろう。北朝鮮と日本まで核武装をすれば(韓国は)周辺国から核で包囲される」とし、このように述べた。明確な根拠もなく「日本の核武装」を断定し、独自の核武装論を展開したのだ。キム候補は16日の出勤途中の取材でも、独自の核武装の可能性に関する記者団の質問に対し「すべての手段と方法は開かれている」と答え、こうした考えが依然として変わっていないことを示した。当時のセミナーは、シン・ウォンシク国防部長官兼大統領室国家安保室長が与党「国民の力」の議員だったときに主催したもの。
 キム候補はセミナーで、独自の核武装が国際的な経済制裁につながるという指摘に対して、「米国は同じ理念の国が核武装する場合は経済制裁を非常に軽くしたり、あるいは全くしていない」とし、英国やフランス、インド、パキスタン、イスラエルがそのような事例だと説明した。しかし、英国とフランスはNPTが作られる前に核を開発したため、参考すべき事例ではない。またインド、パキスタン、イスラエルは実質的な核保有国であるがNPTに加盟しておらず、韓国とは事情が異なる。キム候補はこのような背景を切り離し、まるで韓国独自の核武装が可能であるかのように事実関係を歪曲したのだ。
 キム候補は2021年1月6日付の中央日報のコラムでも「最悪の状況に備えた戦術核の再配置や自衛権的な核武装という切り札を念頭に置く必要がある」とし、同様の主張を展開した。韓国経済の2020年2月5日のコラムでは、「NPTの第10条1項には『国家の利益を危うくしていると認める場合には(条約から)脱退する権利を有する』と明記されている」と述べた。
 これに対してチョ・グク議員は「韓国が独自の核武装を主張するだけでも、北東アジアでの安全保障上の不安は全く新しい次元の問題となる」とし、「日本や台湾の核武装を触発させ、中国・ロシア・北朝鮮との核競争で安全保障の不安が高まるだけだ。このような無能で危険な人物は、国防長官としてふさわしくない」と述べた。

シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1154211.html
韓国語原文入力:2024-08-19 07:53
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「ザポロジエ原発火災を巡って非難応酬…「ウクライナの核テロ」「ロシアの自作劇」」

2024年08月14日 | 
「中央日報日本語版」 2024.08.13 06:54
■ザポロジエ原発火災を巡って非難応酬…「ウクライナの核テロ」「ロシアの自作劇」

【写真】ウクライナ軍人[ウクライナ国防総省のSNS キャプチャー]

 ロシア本土を急襲したウクライナ軍がクルスク原発に向かって進撃している中で、ロシアが占領中のウクライナ・ザポロジエ原発で火災が発生した。
 11日(現地時間)、ロイター通信などはザポロジエ原発で火災が発生し、冷却塔の一つが損傷したと伝えた。ロシア当局者は火災による原発の安全への影響はなかったと明らかにした。今回の火災で放射能の漏出はなかった。ザポロジエ原発6基は戦争勃発直後の2022年9月に稼働が中断している。
 両国は互いに相手のことを強く非難をしている。ロシア国営原発企業ロスアトムは声明を通じて「11日午後8時20分と32分ごろ、ザポリージャ(ザポロジエ)原発の2個の冷却塔のうちの一つがウクライナの攻撃型ドローンの直撃を受けて火災が発生した」とし、今回の火災をウクライナの「核テロ」と主張した。
 反面、ウクライナのゼレンスキー大統領はロシア軍がザポロジエ原発に火を付けたとして「ロシアは必要な場合、ザポロジエ原発を破壊してウクライナに核の災害をもたらすことができるという事実を暗示してウクライナを圧迫しようとしている」と非難した。
 特に今回の火災は、ウクライナがロシア本土で6日間にわたり地上戦を継続する中で発生した。ロシア国防省はこの日、「国境からそれぞれ25キロメートル、30キロメートル離れたトルピノとオブシュチ・コロデズでウクライナ軍機動隊の突破の試みを遮断した」と明らかにした。事実上、ウクライナ軍がロシア本土内の最大30キロ地点まで進入した事実を認めたのだ。
 ウクライナ軍もクルスク州の複数の町を占領したと主張している。国境から約3キロ離れた町グエボでではウクライナ軍が官公庁からロシア国旗を除去する写真が公開された。ガーディアンなど外信はウクライナ軍が大規模原発のあるクルスク州のクルチャトフに向け進軍中だと伝えた。現在戦闘が起きているオブシュチ・コロデズからクルチャトフ原発までは50キロメートル以内だ。
 BBCによると、ウクライナ軍の侵攻から敗退中のロシア軍はクルチャトフ原発近くに新たな防衛ラインを構築している。国際原子力機関(IAEA)は両国に対して「最大の自制力を発揮すべき」と促した。
 ロシア側の民間人被害も相次いでいる。クルスク州のアレクセイ・スミルノフ知事代行は12人が亡くなって121人がけがをしたと明らかにした。スミルノフ氏は現在まで12万1000人が避難したと付け加えた。
 ロシアのプーチン大統領は12日、「ロシア領土から敵を追い出すのが国防省の主な任務」と話したとBBCが伝えた。報道によると、プーチン大統領はこの日会議を招集してこのように話した。また「ウクライナの奇襲攻撃は交渉でもう少し有利な立場を確保しようとするためのもの」と付け加えた。BBCは、スミルノフ氏がこの日「ウクライナはロシア領土内の12キロまで進入し、28個の町が敵の統制に置かれるなど状況が厳しい」と明らかにしたと伝えた。
 こうした中、一部の専門家はウクライナ軍が善戦を続けるのは容易ではないと展望した。英国王立防衛安全保障研究所のマイケル・クラーク特別研究員は10日、英紙タイムズの寄稿文で「今回の作戦は仁川(インチョン)上陸作戦と肩を並べるほど危険な作戦だが、仁川上陸作戦とは違って戦争の局面を反転させることはできないだろう」と見通した。


「中央日報日本語版」 2024.08.12 16:39
■ロシアが占領するザポロジエ原発で火災…ウクライナはロシア領内に30キロ進軍
 ウクライナとロシアの戦争が原発の安全性問題に広がっている。ロシア本土を急襲したウクライナがロシアのクルスク原発に向かって進撃中の中、ロシアが占領するウクライナのザポロジエ原発では火災が発生した。国際原子力機関(IAEA)は両国に核施設を危険に陥れかねない軍事行動を最大限自制するよう促した。

◇欧州最大の原発団地ザポロジエに火の手
 ロイター通信とBBC、キーウ・インディペンデントなどは11日、ロシアが占領する欧州最大の原発団地であるウクライナのザポロジエ原発で火災が発生し、冷却塔のうち1基が損傷したと伝えた。ただ冷却塔で起きた火災は原発安全に影響を及ぼしておらず爆発などの可能性はないという。
 今回の火災で放射能漏れはなかった。ザポロジエ原発6基はウクライナ戦争勃発直後の2022年9月に冷温停止状態に転換され稼動が中断された。
 両国は火災の責任は相手方にあるとしている。ロシア国営原発企業ロスアトムは声明を通じ「11日午後8時20分と32分ごろザポロジエ原発の2基の冷却塔のうち1基がウクライナの攻撃型ドローンに直撃され内部で火災が発生した」とし、今回の火災原因はウクライナが犯した「核テロ」と主張した。
 これに対しウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア軍がザポロジエ原発に火を付けたとし、「ロシアは必要な場合、ザポロジエ原発を破壊しウクライナに大規模核災害を与えられるという事実を暗示してウクライナを圧迫しようとするもの」と非難した。ザポロジエ原発があるエネルホダル近くのウクライナ当局者はロシア軍が冷却塔の中でバイク用タイヤを燃やして火災を起こしたと主張した。
 今回の火災はウクライナがロシア領内に進入し6日にわたり地上戦を継続する中で発生した。ロシア国防省はこの日、「国境からそれぞれ25キロメートル、30キロメートル離れたトルピノとオブシュチ・コロデズでウクライナ軍機動隊の突破の試みを遮断した」と明らかにした。事実上ウクライナ軍がロシア領内に最大30キロメートル地点まで進入した事実を認めたのだ。
 ウクライナ軍もクルスクの複数の村を占領したと主張している。ロシア領内に約3キロメートル入ったグエボではウクライナ軍が官公庁からロシア国旗を除去する様子が写真で公開された。スウェルドリコボとポロズの官公庁も占領したという。
 ガーディアンなど外信はウクライナ軍が大規模原発のあるクルスク州のクルチャトフに向け進軍中だと伝えた。現在戦闘が起きているオブシュチ・コロデズからクルチャトフ原発までは50キロメートル以内だ。
 BBCによると、ウクライナ軍の侵攻から敗退中のロシア軍はクルチャトフ原発近くに新たな防衛ラインを構築するなど原発防衛に万全を期している。国際原子力機関(IAEA)はクルチャトフ原発周辺で戦闘が拡大しているとしながら両国に「最大の自制力を発揮すべき」と促した。
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「韓国市民団体「広島・長崎への原爆投下は国際法違反…米国の責任を問う」」

2024年06月05日 | 
「The Hankyoreh」 2024-06-05 08:35
■韓国市民団体「広島・長崎への原爆投下は国際法違反…米国の責任を問う」
 [インタビュー]原爆国際民衆法廷を準備するイ・ギヨルさん、オ・ヘランさん 

【写真】7~8日に広島で開かれる「米国の核兵器投下の責任を問う原爆国際民衆法廷・第2回国際討論会」を準備する韓国原爆被害者協会のイ・ギヨル監査(左)と「平和と統一をひらく人たち」のオ・ヘラン執行委員長(右)//ハンギョレ新聞社

 「私たち被爆者が本当に望むことは、米国が1945年に広島・長崎に核を投下したことを謝罪し、それを出発点に全世界の核が鉄くずになる日を迎えることです」(韓国原爆被害者協会のイ・ギヨル監査)。
 「米国の原爆投下が1945年の当時の国際法でも違法だということを『原爆国際民衆法廷』で明らかにすることが、原爆をなくす過程で重要なきっかけになると思います」(「平和と統一をひらく人たち」のオ・ヘラン執行委員長)
 先月29日、ソウル市西大門区忠正路(ソデムング・チュンジョンノ)3街にある平和運動市民団体「平和と統一をひらく人たち」本部で会ったイ・ギヨルさんとオ・ヘランさんの誓いだ。二人は7~8日、広島で開かれる「米国の核兵器投下の責任を問う原爆国際民衆法廷・第2回国際討論会」にともに参加する。今回の国際討論会は、2026年にニューヨークで開かれる原爆国際民衆法廷へと向かう重要な一歩だ。韓国、日本、米国、スイス、オーストラリア、ニュージーランドなどの学者が参加する今回の国際討論会では、広島・長崎への原爆投下の違法性を精密に調べる予定だからだ。その後の2年間で補完点を点検した後、ニューヨークで米国の違法性を最終的に宣告する予定だ。
 イさんは原爆国際民衆法廷に米国を告訴した原告であり、オさんは韓国原爆被害者協会から裁判進行の依頼を受けた「平和と統一をひらく人たち」を代表し、民衆法廷の準備を総括している。

 米国の核兵器投下の違法性を問う
 2026年の「原爆国際民衆法廷」に先立ち 
 7~8日に広島で国際討論会参加
 一家7人が被爆したイ・ギヨル監査
 民衆法廷に米国を告訴した原告
「核の違法性の国際認識が高まれば」 

民衆法廷の準備を総括するオ・ヘラン執行委員長
「有罪判決後、民事訴訟提起を計画」
 イさんが原爆国際民衆法廷に米国を告訴するのは、約7万~10万人に達する「朝鮮人被爆者の恨(ハン)」を代弁した行動だ。被害者はほとんどが徴用などによって広島と長崎に連れていかれた人たちだ。このうち現時点で生存している人はわずか1800人ほど。生存者もほとんどが生涯を通じて被爆の後遺症に苦しめられた。
 「1945年3月、広島で5人きょうだいの末っ子として生まれました。鉄道労働者として広島に行った父をはじめ、母を含む一家7人が同年8月6日に全員被爆しました」
 イさんの家族は解放(日本の敗戦)後、11月に釜山(プサン)に帰国したが、待っていたのは貧困と被爆の後遺症との長い戦いだった。
 「両親は後遺症でたいへん苦労しました。特に母は毒薬に使われる植物のヤマゴボウなどを使った民間治療法で治療しました。ところでそれは間違っていて、1970年代半ばに68歳の年齢で亡くなりました」。
 当時日本は1957年に「原子爆弾被爆者の医療等に関する法律」を制定し、日本人被爆者の治療は支援したが、日本在住者に限定しており、韓国に戻った被爆者は除外された。
 「私も4歳の時から、夜にふとんに横になると、鼻腔が痛くて眠れませんでした。マスクを使ってやっと眠りにつくことができました。その後も、お尻を毎日消毒する必要があるほど皮膚病がひどく、鼻と首に出たこぶの除去などのために手術を7回もしなければなりませんでした」
 韓国の被爆者たちは、韓国政府の無関心のなか、このような苦痛を乗り越えるため苦しみながら闘い抜いた。日本政府などを相手取り28回も訴訟を起こし、25回勝訴した。そのような困難な過程を経て、被爆の後遺症の治療において日本人との差別をなくした。
 しかし、さらに大きな問題は米国だった。原爆投下の当事者である米国はその間、なんの謝罪もせず、誰も処罰を受けなかった。これに対し、1967年に「韓国原爆被害者協会」を設立した被爆者たちは、米国大使館の前で謝罪を求めるデモを行ったりもした。しかし、陣営対立の時期に米国に矢を向けることは敏感な問題だった。「米国が広島・長崎に原爆を投下したおかげで解放が早まった」という一部の世論も障害になった。
 このような状況で、韓国原爆被害者協会のシム・ジンテ陜川(ハプチョン)支部長(81)が2015年5月に国連で行なった核兵器不拡散条約(NPT)検討会議での演説は、重要なきっかけになった。当時シムさんは「いまや被爆者が立ち上がり、二度と核兵器を使えないようにする運動を行わなければならない」として、「まず最初に米国に自己責任を認めさせるようにする」と明らかにした。
 その演説が原爆国際民衆法廷の出発点となった。シム・ジンテさんは現在、イさんとともに民衆法廷の原告として参加している。その後は、韓国原爆被害者協会が民衆法廷の進行を「平和と統一をひらく人たち」に依頼してきた。
 「平和と統一をひらく人たち」は民衆法廷は「容易ではない闘い」だと考える。まず、米国の国内法には原爆投下を処罰する規定がない。国際法で闘うべきだが、NPTの設立などの核関連の国際法にも米国の影響力が強い。同盟国である米国の過ちを問うという点で、韓国の保守陣営の反発も強まる可能性がある。オ・ヘランさんは「『平和と統一をひらく人たち』内で、『困難かもしれないが、それでもお年を召した被爆者の方々がやるというのであれば、私たちが支えないわけにはいかない』となり、『やろう』という結論に至った」と述べた。

【写真】第2回国際討論会のポスター=「平和と統一をひらく人たち」提供//ハンギョレ新聞社

 原爆国際民衆法廷では、この問題を「人道法」などに基づいて解決していく計画だ。昨年6月7日、慶尚南道陜川で開かれた第1回国際討論会では「広島・長崎への原爆投下が戦時に適用される国際人道法の『基本原則』である区別の原則(民間人への攻撃の禁止)、不必要な苦痛の禁止、そして『法律に具体的に明示されなくても、国家は公共の良心の要求により民間人保護などの既存の人道的慣習に拘束される』というマルテンス条項などに反する違法」だとする結論を引き出した。今年はこれをもう少し精緻化し、1945年以降の国際人道法の発展などを考察し、「現在時点での原爆使用はさらに大きな犯罪」だという点を明確にする計画だ。
 「2026年にニューヨーク民衆法廷で有罪判決を受けてからなんらかのきっかけが来れば、米国を相手に民事訴訟を提起する計画です。しかし、国際法律家たちはその訴訟には約30年は要すると言います。長い闘いになると思います」(オ・ヘランさん)
 「民衆法廷を通じて米国の謝罪を勝ち取り、核使用の違法性に対する国際的認識が高まり、最終的には北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権も核使用をあきらめると宣言する日が来ることを望みます」(イ・ギヨルさん)
 道のりは遠いが、その道の走り遂げるという二人の意志は決して弱くなかった。

文・写真:キム・ボグン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-06-03 19:16
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韓国、原発4基追加建設案…無炭素70%に拡大

2024年06月01日 | 
「韓国経済新聞/中央日報日本語版」 2024.06.01 10:35
■韓国、原発4基追加建設案…無炭素70%に拡大
 韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が文在寅(ムン・ジェイン)前政権の「脱原発」政策を破棄する方向に進む中、原発4基を新たに建設する青写真が出てきた。また新再生可能エネルギー(新エネルギー+再生可能エネルギー)も拡大するという。
 電力需給基本計画総括委員会は31日、第11次電力需給基本計画(以下、電基本)草案を発表した。電基本は電気事業法に基づき安定した中長期電力需給のために政府が2年ごとに樹立する行政計画。この日、大学教授など専門家で構成された諮問機構が草案を出し、今後、産業通商資源部が関係部処協議で修正案を用意する予定だ。その後、公聴会などを経て最終案を確定する。
 今回の電基本草案には2038年までに原発4基を建設する案が盛り込まれた。大型原発3基、小型モジュール原発(SMR)1基だ。2015年の第7次電基本に原発2基(新ハンウル3・4号機)建設計画が反映されて以来9年ぶりに新規原発建設の可能性が高まった。SMRは原発より安全性などが高いため次世代原発と評価される。SMR導入計画が電基本に含まれたのは今回が初めて。
 原発の新規建設案が出たのは、急増する電力需要に現在の発電設備では対応できないという判断のためだ。電基本では2038年の最大電力需要が129.3GWと、昨年の最大値98.3GWより30%以上増えると見込んでいる。竜仁(ヨンイン)半導体国家産業団地が建設され、人工知能(AI)拡散でデータセンター数が増えるという予想に基づいた判断だ。
 複数の発電源のうち原発を選択したのは、世界的な炭素削減の流れの中、環境にやさしく値段が安いうえ電力供給が安定的だからだ。委員会は太陽光・風力など新再生可能エネルギーも2038年までに115.5GWに拡大する計画だ。第10次電基本最終案の99.8GWより拡大した。2030年基準で太陽光は44.8GWから53.8GWに、風力は16.4GWから18.3GWに増える。
 これを受け、昨年40%に達しなかった無炭素エネルギー比率は2030年に52.9%、2038年には70.2%に高まる見通しだ。ソウル大エネルギーシステム工学部のホ・ウンニョン教授は「特定エネルギー源を無理に排除するのではなく、原発と新再生可能エネルギーを共に増やすというのは、経済主体の予測可能性を害しないという点で望ましい」と述べた。


「聯合ニュース」 2024.05.31 11:00
■2038年までに新原発3基稼動 35年からSMR本格運用=韓国計画
【ソウル聯合ニュース】韓国政府は31日、2024~38年の電力需給の見通しと発電源拡充計画などを盛り込んだ「第11次電力需給基本計画」の実務案を発表した。同計画によると、政府は新設する原発3基を2038年までに稼動させ、35年からは次世代型原発「小型モジュール炉(SMR)」の本格的な運用を始める。電力需給基本計画に原発の新設計画が盛り込まれたのは、新ハヌル原発3、4号機の建設が盛り込まれた2015年以来。

【写真】南東部の慶尚北道蔚珍郡にある新ハヌル原発3、4号機の建設予定地(韓国水力原子力提供)=(聯合ニュース)

 現在、韓国では26基の原発が稼働中で、第10次計画までに含まれた4基の新設が完了すれば2038年には計30基になる。
 すでに確定している30基のほか、政府は38年までに追加で必要な10.6ギガワット(GW)のうち4.4GWを原発3基を新設することで賄う方針だ。
 大型原発の場合、用地確保から完工までに約13年11カ月かかるとみられ、すぐに取り掛かっても稼働は37年以降になる。
 今回の電力需給基本計画には初めてSMRが主要発電設備として反映された。政府は35~36年に必要な2.2GWの3分の1程度の0.7GWをSMRで賄う計画だ。
 米国やロシアなど原発設計技術を保有した国はSMRモデルを持っているか開発を進めており、韓国もSMRの研究開発を加速させている。
 電力需給基本計画は環境への影響評価や公聴会、国会常任委員会への報告などを経て、今年に最終的に決定する。
 ただ、大型原発とSMRの稼働までは課題が山積する。新規原発の建設は用地を選定する際の住民の反発から放射性廃棄物の処理まで社会的な合意が必要となる。国会への報告で「脱原発」を支持する野党の反対も政府が乗り越えなければならない課題となる。


「韓国経済新聞/中央日報日本語版」 2024.05.25 12:44
■韓国原発、欧州橋頭堡を確保しろ…30兆ウォンのチェコ原発受注戦に総力

【写真】斗山グループは13日(現地時間)、チェコ・プラハのジョフィン宮殿で「斗山パートナーシップデー」を開催し、チェコ原発を受注した場合の現地企業との協力を強調した。特に原発の核心部品タービンはチェコの国民企業、斗山シュコダパワーで生産する計画だ。 [写真 斗山エナビリティ]

 3月、韓国とチェコ原発建設事業をめぐり競合するフランスのマクロン大統領が突然チェコを訪問した。事業者選定を控えて大統領が自らセールスに入ったのだ。これが伝えられると、韓国水力原子力(韓水原)を筆頭とする韓国の原発輸出チーム「チームコリア」も慌ただしくなった。チームコリアの一員、斗山(ドゥサン)グループの朴廷原(パク・ジョンウォン)会長も動き出した。朴会長はチェコに向けて出国し、13日(現地時間)、プラハのジョフィン宮殿で「斗山パートナーシップデー」を進行した。
 チェコ政府の関係者と現地企業およそ100社が参加した席で、朴会長は韓国が受注すれば原発の核心部品タービンを155年の伝統を誇るチェコの国民企業、斗山シュコダパワーで生産すると約束した。同社のタービン関連の現地協力会社は約30社にのぼる。原発建設を韓国に任せれば開発の利益がチェコの企業・国民に生じるという点を強調したのだ。
 27日には別のチームコリアの一員、大宇建設のペク・ジョンワン社長がチェコを訪問し、受注営業戦のバトンを受け継ぐ。ペク社長は現地で「韓国・チェコ原発建設フォーラム」を主管し、現地建設会社などを相手に韓国原発の安全・優秀性を伝える予定だ。ペク社長も現地で建設機資材を調達するなどチェコ企業との協力を約束する計画だ。
 チェコの「ドコバニ原発建設工事」優先交渉対象者選定が約1カ月後に迫り、民間企業を中心に受注総力戦が行われている。2009年のアラブ首長国連邦(UAE)バラカ原発輸出以来15年ぶりとなる韓国型原発の輸出挑戦だ。この事業はチェコのドコバニ・テムルリン地域に原発計4基を新しく建設するもので、国内原発業界が推定する事業費は30兆ウォン(約3兆4400億円)だ。後続事業などを考慮すると、実際の事業規模はこれよりはるかに大きいと業界は見込んでいる。
 技術力と経済性の面では韓国が上回るという評価だ。現地メディアは特に価格面で韓国がフランスを圧倒すると伝えた。しかしフランスは安保同盟や金融支援などで韓国より有利だ。チームコリアが終盤まで総力戦をするのもそのためだ。
 チョン・ドンウク中央大エネルギーシステム工学部教授は「原発の安全性は似た水準であり、受注の可能性は半々」とし「チェコ原発の受注に成功すれば韓国型原発の欧州進出の橋頭堡になるだろう」と述べた。原発業界のある関係者は「原発の輸出は事実上、国家と国家の契約であるため、国家的レベルで接近してこそ受注の可能性を高めることができる」と強調した。

◆韓国原発、価格・納期で競争力…「大統領の外交支援が必要」
 チェコは当初、首都プラハ南部ドコバニに1200MW(メガワット)以下の原発1基を追加で建設することにし、韓水原、フランス電力(EDF)、米ウェスチングハウスから入札を受けた。しかし経済性を考慮すると1基より4基が有利だと判断し、チェコは昨年2月、ドコバニ2基、テムリン2基の計4基の原発を追加で建設することに計画を修正した後、今年4月に再度入札を受けた。
 この過程でウェスチングハウスが法的拘束力のある入札書を提示できず排除され、チェコ原発の受注戦は韓水原とフランス電力の対決に圧縮された。4月末に修正入札をした韓水原は韓国型原子炉「APR1400」を基盤にチェコ側の要求で容量を低めた「APR1000」の供給を提案した。APR1000は昨年3月、欧州事業者協会から「設計認証(EUR Certificate)」を取得し、原発設計の安全性と経済性に対する客観的な立証を受けた。
 
◆「事業費、韓国30兆ウォン、フランス70兆ウォン」
 7月ごろの事業者選定を控え、現地では韓国が原発受注で有利という評価が出ている。何よりも価格競争でフランスを大きく上回るからだ。チェコメディア「経済ジャーナル(Ekonomicky Denik)」は16日(現地時間)、情報筋を引用し「韓水原がダンピングに近い価格で拒否できない提案をした」とし、韓国が受注する可能性が高いという見方を示した。国内原発業界では総事業費として30兆ウォン台を提示したが、フランスは70兆ウォン台を提示したという話も出ている。
 実際、韓国型原発の「価格性能比」は世界最高水準だ。世界原子力協会(WNA)によると、2021年基準で韓国型原発の建設単価は1kWあたり3571ドルと、フランス(7931ドル)の半分にもならない。慶煕大のチョン・ボムジン原子力工学科教授は「韓国型原発は原子炉・タービンのような主要機器や部品のサプライチェーンが安定化されていて、建設現場管理能力が非常に優れている」とし「さらに国内外で多数の原発を建設して建設効率性まで高め、単価を低めることができた」と説明した。
 韓国のもう一つの強みはいわゆる「オン・タイム・オン・バジェット(決められた予算で予定通り竣工)」だ。フランスは世界2位の原発稼働国(56基)だが、納期遵守競争力は客観的に韓国が優れている。韓国はアラブ首長国連邦(UAE)バラカ原発を日程に合わせて建設したのに対し、フランスがフィンランドに建設したオルキルオト3号機は予定より14年遅く竣工した。フランス電力が建設中の英国ヒンクリーポイントC原発も竣工時点が当初の2023年から2028年に延びた。安徳根(アン・ドクグン)産業通商資源部長官は最近、記者らに対し「フランスは事業費が増え、工事期間が延びるが、我々はUAEで期間内に終わらせた経験がある」とし、チェコ原発の受注に自信を表した。
 とはいえ油断はできない。フランスは欧州の盟主として欧州原発市場を守るためにチェコ原発の受注に国力をオールインしている。3月には欧州連合(EU)内の原発拡大陣営12カ国と共同声明を出して「近隣原発同盟」を強調したが、チェコもここに参加した。マクロン大統領もチェコを訪問して受注戦を支援した。フランスはチェコから近いうえ陸路で移動でき、政治的な面では韓国より有利という評価だ。特にチェコは数十兆ウォン台の開発事業のためEUから資金を調達しなければならないが、この部分でもフランスが力を発揮することができる。
 こうした地理的・政治的論理は原発受注において少なからず影響を及ぼす。2022年のポーランド1段階原発受注で韓国が米国に劣勢だったのもこうした背景のためだ。ポーランドはロシアがウクライナのザポロジエ原発を攻撃するのを見て、原発パートナーに米国を選択した。経済性の面では韓国が圧倒していたが、韓国は潜在的なロシア攻撃を防げないと判断したのだ。当時、ポーランドのモラウィエツキ首相はX(旧ツイッター)で「ハリス米副大統領、グランホルム米エネルギー長官とも対話した」とし「ポーランドと米国の強力な同盟は我々の計画の成功を保証する」とコメントした。政治的な判断が事業者選定に決定的な影響を及ぼしたのだ。
 このように原発の輸出は技術や経済性よりも両国政府間の取引という例が多いため、国内の民間企業も緊張している。斗山エネビリティのイ・スンジェ常務は「13日、チェコ現地で33のメディアと懇談会を開いたが、韓国が有利と見るメディアが少なくなかった」とし「しかし結果は予測しがたく、最後まで受注に総力を尽くす」と述べた。政府としてもチェコ原発の受注は国内原発生態系の復元のために重要だ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は2030年までに原発10基を輸出する計画だが、チェコ原発が今後の状況の分岐点となる見通しだ。
 このため昨年9月に韓悳洙(ハン・ドクス)首相が、先月には安徳根長官がチェコを訪問した。UAEバラカ原発の受注も最後まで国家レベルで総力を尽くした影響が大きかった。2009年12月、当時の李明博(イ・ミョンバク)大統領は原発輸出をめぐる談判のためUAEを訪問した。当時、仏有力日刊紙フィガロは「韓国は韓国電力の建物に戦時状況室(war room)を設置し、李大統領が自ら受注戦を指揮した」と報道した。チョン・ボムジン教授は「チェコ原発の受注に関連し、韓水原や民間企業、産業部ができることはすべてしたと考える」とし「韓国が勝負どころで勝機をつかめるよう大統領の外交的支援が必要な時」と話した。
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「中国はなぜ海に浮かぶ原発を作ろうとするのか」

2024年05月04日 | 
「The Hankyoreh」 2024-05-04 09:30
■中国はなぜ海に浮かぶ原発を作ろうとするのか
 米国のインド太平洋軍司令官「軍事的統制を強化する意図」 
 海洋汚染などの環境的な問題点も指摘

【写真】「海上原子力発電所」アカデミック・ロモノソフがロシアのサンクトペテルブルク港の造船所から出港している/AP・聯合ニュース

 中国が南シナ海の紛争地域の海に浮かべる海上原子力発電所の建設を推進し、物議を醸している。米軍当局者は、中国が実際に海上原発を作るには数年以上かかる見通しだとしながらも、実際に完成した場合、環境汚染と軍事安全保障の二つの側面で危険要因になるものだとして懸念を示した。 中国は南シナ海海域の軍事施設に電力を供給するために、海上に浮かべて発電する原子炉を2010年から研究・開発している。ワシントン・ポストが2日(現地時間)、米軍当局者の話を引用して報じた。退任を控えている米軍のジョン・アキリーノ・インド太平洋司令官はワシントン・ポストに「中国の海上原発の構想は、地域のすべての国にとって潜在的な影響を及ぼす」とし、「中国メディアは、中国政府がこれらの海上原発を利用し、南シナ海に対する軍事的統制を強化する意図だとはっきりと報じている」と述べた。このような懸念は米国務省でも共有されている。匿名の国務省当局者は「中国の海上原発の設置が近づくほど、彼らはより早くそれを米国の安全保障の利益のみならず地域の安定を害することに使うだろう」と述べた。
 このような状況は、中国が台湾、日本、フィリピン近海を含む南シナ海でますます軍事力を誇示し、軍事的な緊張が高まるなかで起きている。最近、フィリピンの西側の海では、中国の海岸警備隊が、セカンド・トーマス礁付近のフィリピン軍派遣隊への補給を始めたフィリピンの艦艇を阻止するなど、直接の衝突を辞さずにいる。
 中国も海上原発の軍事的な意味を隠さずにいる。中国の官営メディア「環球時報」は2016年、「政府が南シナ海に原子炉20基を設置し、商業的開発や石油探査、海水淡水化などを支援する計画」だと報じつつ、軍事利用の可能性に期待感を示した。環球時報は「海上原発が設置されれば、南シナ海の島と環礁は、本質的に原子力推進航空母艦となる」として、「これらは、遠くから来る米国の空母艦隊よりも軍事的にさらに有利だ」と報じた。
 このような動きは、地政学的な対立要素とみなされるだけでなく、放射能汚染などの環境的側面から懸念する見方も相次いでいる。新米国安全保障センター(CNAS)のトーマス・シュガート研究員は「中国の海上原発の設置は、中国が南シナ海に建設した人工島に対する支配をよりいっそう強化するもの」だと指摘した。
 さらに、海上の原発は、陸上の原発に比べ多種多様な事故の危険が高く、環境的にも強い台風や津波のような自然災害に脆弱であり、海中から敵対勢力がひそかに攻撃してきた場合、防ぐことが難しいという点などが問題として提起されている。陸上の原発の原子炉は、通常は150センチメートルを超える厚さの鉄筋コンクリートの構造物で保護されているが、海上の原子炉にこのような重い保護構造物を設置するのは難しいという短所もある。「憂慮する科学者同盟」(UCS)のエドウィン・ライマン氏は「海上原子炉は、陸上に作る原子炉のように頑丈で強固にすることはできない」として、「事故が起きた場合、海洋汚染がすぐに広範囲に広がることが避けられない」と述べた。
 一方、一部の専門家らは過度な懸念だと述べた。戦略国際問題研究所(CSIS)のグレゴリー・ポーリング氏は「10年間いやというほど聞いたが、今もなお原子炉は造られていない」として、「海上に原発を作るという構想は、太陽光発電や風力発電、ディーゼル発電より現実性に劣る」と述べた。ポーリング氏は「中国が行うことには、実際以上に私たちの警戒心を呼び起こすものが多い」と付け加えた。
 現時点で海上原発を運用する国はロシアだけだ。ロシアは2019年12月、アカデミック・ロモノソフという名称の海上原発を稼動させた。無動力のバージ船に複層構造の発電所を設置した構造で、加圧水型の軽水炉2基と蒸気タービン2機が組み込まれているという。
パク・ピョンス先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/asiapacific/1139223.html韓国語原文入力:2024-05-03 23:46
訳M.S


 米国のインド太平洋軍司令官「軍事的統制を強化する意図」 
 海洋汚染などの環境的な問題点も指摘

【写真】「海上原子力発電所」アカデミック・ロモノソフがロシアのサンクトペテルブルク港の造船所から出港している/AP・聯合ニュース

 中国が南シナ海の紛争地域の海に浮かべる海上原子力発電所の建設を推進し、物議を醸している。米軍当局者は、中国が実際に海上原発を作るには数年以上かかる見通しだとしながらも、実際に完成した場合、環境汚染と軍事安全保障の二つの側面で危険要因になるものだとして懸念を示した。
 中国は南シナ海海域の軍事施設に電力を供給するために、海上に浮かべて発電する原子炉を2010年から研究・開発している。ワシントン・ポストが2日(現地時間)、米軍当局者の話を引用して報じた。退任を控えている米軍のジョン・アキリーノ・インド太平洋司令官はワシントン・ポストに「中国の海上原発の構想は、地域のすべての国にとって潜在的な影響を及ぼす」とし、「中国メディアは、中国政府がこれらの海上原発を利用し、南シナ海に対する軍事的統制を強化する意図だとはっきりと報じている」と述べた。このような懸念は米国務省でも共有されている。匿名の国務省当局者は「中国の海上原発の設置が近づくほど、彼らはより早くそれを米国の安全保障の利益のみならず地域の安定を害することに使うだろう」と述べた。
 このような状況は、中国が台湾、日本、フィリピン近海を含む南シナ海でますます軍事力を誇示し、軍事的な緊張が高まるなかで起きている。最近、フィリピンの西側の海では、中国の海岸警備隊が、セカンド・トーマス礁付近のフィリピン軍派遣隊への補給を始めたフィリピンの艦艇を阻止するなど、直接の衝突を辞さずにいる。
 中国も海上原発の軍事的な意味を隠さずにいる。中国の官営メディア「環球時報」は2016年、「政府が南シナ海に原子炉20基を設置し、商業的開発や石油探査、海水淡水化などを支援する計画」だと報じつつ、軍事利用の可能性に期待感を示した。環球時報は「海上原発が設置されれば、南シナ海の島と環礁は、本質的に原子力推進航空母艦となる」として、「これらは、遠くから来る米国の空母艦隊よりも軍事的にさらに有利だ」と報じた。
 このような動きは、地政学的な対立要素とみなされるだけでなく、放射能汚染などの環境的側面から懸念する見方も相次いでいる。新米国安全保障センター(CNAS)のトーマス・シュガート研究員は「中国の海上原発の設置は、中国が南シナ海に建設した人工島に対する支配をよりいっそう強化するもの」だと指摘した。
 さらに、海上の原発は、陸上の原発に比べ多種多様な事故の危険が高く、環境的にも強い台風や津波のような自然災害に脆弱であり、海中から敵対勢力がひそかに攻撃してきた場合、防ぐことが難しいという点などが問題として提起されている。陸上の原発の原子炉は、通常は150センチメートルを超える厚さの鉄筋コンクリートの構造物で保護されているが、海上の原子炉にこのような重い保護構造物を設置するのは難しいという短所もある。「憂慮する科学者同盟」(UCS)のエドウィン・ライマン氏は「海上原子炉は、陸上に作る原子炉のように頑丈で強固にすることはできない」として、「事故が起きた場合、海洋汚染がすぐに広範囲に広がることが避けられない」と述べた。
 一方、一部の専門家らは過度な懸念だと述べた。戦略国際問題研究所(CSIS)のグレゴリー・ポーリング氏は「10年間いやというほど聞いたが、今もなお原子炉は造られていない」として、「海上に原発を作るという構想は、太陽光発電や風力発電、ディーゼル発電より現実性に劣る」と述べた。ポーリング氏は「中国が行うことには、実際以上に私たちの警戒心を呼び起こすものが多い」と付け加えた。
 現時点で海上原発を運用する国はロシアだけだ。ロシアは2019年12月、アカデミック・ロモノソフという名称の海上原発を稼動させた。無動力のバージ船に複層構造の発電所を設置した構造で、加圧水型の軽水炉2基と蒸気タービン2機が組み込まれているという。

パク・ピョンス先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-05-03 23:46
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「日本、汚染水放出を初めて中断…「震度5弱」地震の影響」

2024年03月16日 | 
「The Hankyoreh」 2024-03-16 09:21
■日本、汚染水放出を初めて中断…「震度5弱」地震の影響
 処理指針上の「異常状況」に該当 
 「外部への影響はなく、当日中に再開予定」

【写真】福島第一原発の敷地タンクに保管中の放射性物質汚染水/聯合ニュース

 東京電力は、福島県で15日に「震度5弱」の地震が発生したことを受け、福島第一原発に保管中の汚染水の海洋放出を中断した。汚染水の放出が中断されたのは今回が初めて。
 東京電力は、福島県でこの日午前0時14分頃に震度5弱の地震が発生すると、指針に従い汚染水の海洋放出を午前0時33分頃に手動で停止させたと明らかにした。東京電力は、福島第一原発などがある近隣の4つの町で、地震による震度5弱以上の揺れが観測された場合、放出を中止することに事前に定めていた。東京電力は「地震にともなうモニタリング数値の上昇や放射能の外部影響などの異常は確認されなかった」と説明した。
 福島第一原発では、先月28日から4回目の汚染水放出が実施されている。今回の放出は1~3回目のときと同様に、約7800トンの汚染水を今月17日まで原発近海に流す予定だ。福島原発汚染水の1回目の放出は昨年8月24日に始まった。東京電力の関係者は地元放送局の福島テレビに「放出設備に異常がないことを確認した。当日中に放出を再開する予定」だと述べた。
 一方、韓国政府も同日、東京電力の汚染水放出中断の事実を明らかにした。国務調整室のパク・クヨン第1次長は、政府ソウル庁舎で開かれた会見で、「日本での地震は汚染水の放出を中断しなければならない『異常状況』に該当し、日本側は放出を中断し、ただちに韓国側にも関連の事実を通知した」として、「最近、福島近海で地震が続いて発生しているため、韓国政府も状況に注目している。今後、韓国の専門家を福島の現地に派遣し、現場の状況をより綿密に確認する計画」だと述べた。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1132456.html
韓国語原文入力:2024-03-15 16:09


「The Hankyoreh」 2024-03-14 07:48
■「汚染水」問題、韓国政府が沈黙守る中、中国政府は日本に損害賠償制度の創設を要求
 日本は拒否…中日の水産物輸入をめぐる対立が長期化 
 何も要求しない尹政府とは異なる姿勢

 中国政府が福島第一原発の汚染水の海洋放出と関連し、今後漁業者などの経済的被害が発生することに備えるため、損害賠償制度の創設を日本側に要求しているという。汚染水の放出が少なくとも30年以上続く予定であるにもかかわらず被害に対して何の要求もしない尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権とは対照的な姿だ。
 共同通信は13日、中国と日本の消息筋の話として、中国政府が日本の汚染水放出に対して独自のモニタリング(監視)体制の構築と共に、損害賠償制度などを要求したと報道した。同通信によると、中国政府高官が外交ルートを通じて日本側に数回にわたりこのような旨を伝えたという。
 中国が損害賠償制度の創設を要求したのは、日本が自国内ですでに同様の制度を実行しているためだ。日本政府は汚染水の放出によって発生する漁業者などの被害に対し、800億円の基金と損害賠償を二本柱にして支援に乗り出している。昨年末基準で、風評被害などの損害賠償請求事例は130件に達した。
 しかし、日本政府は「処理水(汚染水)の安全性に問題はない」とし、中国側の要求を拒否したという。ある外交筋は同通信に「(中国が)高い要求を示すことで、結果的に中国に有利な合意を得たいとの思惑がある」と語った。中国が要求した独自の監視体制も、国際原子力機関(IAEA)を通じて行われているとして、否定的な反応を示した。
 中日政府は汚染水をめぐり協議を行っているが、重要な争点では隔たりが大きく、接点を見出すことは容易ではないものとみられる。同通信は「中国が要求を撤回する動きはない」とし、「(中国の)日本産水産物輸入停止措置の撤廃は依然見通せない状況」だと強調した。中国政府は昨年8月、日本が汚染水の海洋放出を開始したことを受け、日本産水産物の全面的な輸入停止を決めた。
 一方、IAEAのラファエル・グロッシー事務局長は12日、汚染水の放出後初めて日本を訪問し、林芳正官房長官と会談した。 林長官は「日本は、引き続き科学的根拠に基づき高い透明性をもって、ALPS処理水の安全性を国内外に丁寧に説明していく」と述べた。 グロッシー事務局長は13日、福島第一原発の視察に続き、14日には上川陽子外相と会談を行う。読売新聞は、上川外相がグロッシー事務局長と会談し、IAEAに約29億円相当の支援を行う方針を伝えると報じた。同紙は「海洋監視の能力構築支援には、処理水放出に対する島嶼(とうしょ)国の不安払拭につなげる狙いがある」と強調した。
東京/キム・ソヨン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1132093.html
韓国語原文入力:2024-03-13 21:14


「共同通信」 2024年03月12日 21時17分
■中国、原発処理水の賠償創設要求 日本拒否「安全問題なし」
 東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を巡り、中国が将来の経済的な被害の発生に備え、日本に損害賠償制度の創設を水面下で要求していることが分かった。日本は、処理水の安全性に問題はないとして拒否した。複数の日中関係筋が12日明らかにした。両政府は処理水に関する外交当局間協議を続けているが、中国が要求を撤回する動きはない。日本産水産物の輸入停止措置の撤廃は依然見通せない状況だ。
 中国は日本との対話、独自の監視体制構築と共に、賠償制度を「三大メカニズム」と位置付け重視している。政府高官が昨年、複数回にわたり外交ルートを通じて日本に伝えた。日本側は、賠償制度は科学的根拠に基づいていないとして反発。「高い要求を示すことで、結果的に中国に有利な合意を得たいとの思惑がある」(外交筋)との見方も出ている。
 処理水を巡る日中協議では、海洋放出のモニタリング(監視)の在り方が焦点となっている。日本は国際原子力機関(IAEA)を通じた監視が前提としているが、中国は独自の「長期にわたり有効な国際的監視体制」を求めている。
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「韓電「UAEバラカ原発4号機の原子炉が稼働…本格運営段階」

2024年03月03日 | 
「中央日報日本語版」 2024.03.02 09:01
■韓電「UAEバラカ原発4号機の原子炉が稼働…本格運営段階」

【写真】バラカ原発4号機 [写真 韓国電力]

韓国が初めて海外に輸出した原発、アラブ首長国連邦(UAE)バラカ原発4号機の原子力出力が100%に到達した。
 バラカ原発は韓国電力(韓電)が最初に輸出した韓国型原発の1400メガワット(MW)級APR1400炉型。アラブ地域初の商業用原発で最大クリーン電力源に挙げられる。
 韓電とUAE原子力公社(ENEC)の投資で設立されたUAE原発運営会社によると、UAEバラカ原発4号機はこの日、昨年12月に燃料装填を完了してから3カ月後に初臨界に達した。
 臨界は原子炉内で核分裂連鎖反応が一定に維持されることを意味する。初臨界到達は原子炉が初めて安全に運営を始めたことを意味する。
 UAE原発運営会社は昨年11月、UAE原子力規制機関(FANR)から4号機の運営許可を取得したのに続き、12月に燃料装填を終えた。その後、韓電をはじめとするチームコリアの支援で1-3号機に続いて4号機も電力生産準備を完了し、原発の本格運営段階に入った。
 4号機の臨界到達で計5600メガワットにのぼるバラカ原発全体1-4号機の商業運転が始まる可能性が高まった。バラカ原発1号機は2021年4月、2号機は2022年3月、3号機は昨年2月にそれぞれ商業運転に入った。バラカ原発は今後、原子炉の出力を段階別に高めながら性能試験を経て今年中に商業運転を開始する予定だ。
 韓電はバラカ原発がグローバル原子力サプライチェーン拡大に寄与すると同時に、国内原発産業界が沈滞期の中でも持続的に成長できる基盤を用意したと評価した。
 金東喆(キム・ドンチョル)韓電社長は「グローバルエネルギー産業界では炭素中立達成のために原発の重要性が浮き彫りになっている。バラカ原発事業は最高の模範事例として残るだろう」とし「4号機の残余試運転工程と商業運転の成功に最善を尽くす」と述べた。また「UAE原発事業を成功させて事業推進力が認められ、追加の海外原発輸出につながるよう積極的に努力する」と話した。
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「福島原発汚染水7800トン、海へ…4回目の放出始まる」

2024年02月29日 | 
「The Hankyoreh」 2023-12-30 07:22 
■福島原発汚染水7800トン、海へ…4回目の放出始まる
 来月16日まで

【写真】福島第一原発敷地タンクに保管中の放射性物質汚染水/聯合ニュース

 日本の東京電力が福島第一原発の放射性物質汚染水の4回目の海洋放出を始めた。
 東京電力は28日午前11時11分頃、気象状況など問題がないとし、汚染水を海に放出したと発表した。今回の放出は1~3回目と同様、17日間で約7800トンを原発の沖合に流す予定だ。福島原発汚染水の1回目の放出は昨年8月24日に始まり、3回目の放出は昨年11月20日に終了した。
 東京電力は3回にわたる放出を通じて汚染水約2万3351トンを処理し、今回の4回目まで合わせると計3万1200トンになる。
 東京電力は今年4月から来年3月まで7回にわたって5万4600トンの汚染水を放出する計画だ。1回当たりの放出量は現在のように7800トンだ。東京電力は「これまで処理水の放出による問題は確認されていない」と説明した。
 国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は来月12~14日に来日し、福島第一原発を視察する。汚染水を海に放出してから半年を迎え、現地の状況を確認する予定だ。
東京/キム・ソヨン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-02-28 19:47


「The Hankyoreh」 2024-02-28 07:24
■「処理水ではなく汚染水」所信発言で逆風…日本企業の会長が辞任
 日本の食品流通会社「オイシックス」の創業者 
 市民の会を設立した環境・生協運動第1世代

【写真】有機農食材などの宅配サービスを行う大手食品流通会社の「オイシックス・ラ・大地」は、ホームページにて声明を出し、藤田和芳会長が辞任の意思を明らかにし、22日付で会長職の辞任を決めたと、最近発表した。写真は、オイシックスの藤田和芳前会長=読売新聞よりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 日本が28日から福島第一原子力発電所の汚染水の4回目の放出を始める中、日本の大手食品流通会社「オイシックス・ラ・大地」(以下オイシックス)の会長であり創業者が、原発汚染水を日本政府が表現する「処理水」と表現しなかったとの理由で批判を受け、自ら辞任した。
 オイシックスは最近、ホームページに声明を出し、藤田和芳会長が辞任の意思を明らかにし、22日付で会長職の辞任を決めたと発表した。オイシックスは有機農食材などを宅配サービスする日本の大手食品流通会社だ。
 藤田前会長の辞任の発端となったのは、「放射能汚染水」発言だった。これに先立ち、藤田前会長は10日、X(旧ツイッター)への投稿で、「本当は『放射能汚染水』なのに、(日本の)マスコミはその水を『処理水』と呼んでいる」と書いた。12日にもXに「東京電力は、福島原発の放射能汚染水を海に流し始めた。今ある汚染水を海に流し終えるまでは、さらに20年かかるという」という文を投稿した。この投稿は現在削除されている。

【写真】有機農食材などの宅配サービスを展開する大手食品流通会社オイシックスは最近、ホームページに声明を出し、藤田和芳会長が辞任の意思を明らかにし、22日付で会長職の辞任を決めたと発表した=オイシックスのホームページより//ハンギョレ新聞社

 藤田前会長は1975年に「大地を守る市民の会」を設立した環境運動と生協運動の第1世代。投稿が波紋を広げたことを受け、藤田前会長は13日、Xに「『汚染水』という表現は風評被害を拡大する恐れがあるため、『処理水』に訂正する」と釈明したが、日本国内の反発は収まらなかった。
 日本のネットユーザーは「恐怖を煽る」、 「デマに加担するのは恥ずかしいことだ」などの反応を示した。一方、一部の日本のネットユーザーは「汚染水は汚染水だ」、「処理したというが、依然として放射性物質に汚染された水だ」、「処理水という曖昧な表現で汚染されていないように人々に誤解を与える方がさらに問題だ」など、藤田前会長の発言に同調する姿を見せた。

【写真】日本の福島第一原子力発電所の敷地に保管されている汚染水タンクの様子/AP・聯合ニュース

 これについて、オイシックスは「当社会長の藤田和芳が、2024年2月12日にXにて投稿した不適切な発言により、不必要な風評被害を引き起こす可能性があったことを受け、懲戒委員会が開催された」とし、「審議の結果、本年度末(2024年3月末)で停職処分となったが、その結果を受け、藤田本人が責任の重さを自身で判断し、辞任の申し出があった」と説明した。オイシックスは「本件により、多くのみなさまに多大なるご迷惑とお心配をおかけしてしまったことに対して、藤田への監督責任を明確にするために、当社社長取締役社長、高島宏平社長については、本年度末までの役員報酬の10%を自主返納の申し出があった」と付け加えた。
 一方、日本の東京電力は福島第一原発の汚染水の4回目の海洋放出を28日から開始する。東京電力は1~3回目の放出同様、今回も17日間、汚染水約7800トンを福島第一原周辺海域に流す計画だ。
 チョ・ユニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-02-27 14:29


「The Hankyoreh」 2024-02-21 13:00
■日本の原子力専門家 「汚染水放出を止め、独立的な監査機構作るべき」
 福島第一原発の放射能汚染水放出から6カ月 
 長崎大学の鈴木達治郎教授インタビュー

【写真】長崎大学核兵器廃絶研究センターの鈴木達治郎教授=長崎/キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社

 「日本政府はひとまず放出を中断し、利害関係者が信頼できる『独立的な監査機構』を作らなければならない」。
 日本の福島第一原発の放射能汚染水の海洋放出から今月24日で丸6カ月になる。福島第一原発の運営会社である東京電力はこの6カ月で汚染水2万3400トンを海に注ぎ込んでおり、このような汚染水放出は今後少なくとも30年は続く予定だ。
 今月14日、長崎大学でハンギョレのインタビューに応じた日本の原子力専門家で、長崎大学核兵器廃棄研究センター所属の鈴木達治郎教授は、昨年8月24日から始まった福島第一原発の汚染水の海洋放出について「これは単純に科学・技術的問題ではないという点を認識しなければならない」とし、「過程に対する信頼がなければ、東電がデータを根拠にいくら説明しても信じられなくなる」と強調した。また「原発事故で溶けた核燃料に触れた汚染水を多核種除去設備(ALPS)で浄化し、海洋に長期間放出することは、これまで前例のないことだ」とし、長期的影響に懸念を示した。
 鈴木教授は2010年から2014年まで内閣府原子力委員会委員長代理を務めた、日本を代表する原子力の専門家だ。2011年の福島第一原発の放射性物質流出事故後の収拾過程にも参加した。
 教授は汚染水の放出開始から1カ月後の昨年9月、米国の著名な学術誌「原子力科学者会報」(Bulletin of the Atomic Scientists)に「なぜ日本は福島原発廃水の海洋放出を止めなければならないのか(Why Japan should stop its Fukushima nuclear wastewater ocean release)」という題で寄稿するなど、この問題を国際社会に公論化した。

◆-今月24日には福島第一原発の汚染水の海洋放出が始まってから6カ月になる。これまで約2万3400トンの汚染水が放出された。日本政府と東京電力、国際原子力機関(IAEA)は、安全に問題がないと主張する。
 「まず明らかにすべきことは、今海洋に放出される処理水は他の原発から放出されているトリチウム水とは異なる点だ。基準値未満ではあるがセシウム、ストロンチウム、ヨウ素など放射性核種を含んでいる。正常稼動する他の原子力発電所から出るトリチウム水では他の核種が含まれることはまれだ。このような処理水が30~40年間放出される場合、海洋環境と生物体にどのような影響を与えるかは不確実だという意見がある。ハワイ大学ケワロ海洋研究所のロバート・リッチモンド所長はナショナルジオグラフィックに『汚染水の海洋放出は国境を越えて世代を越えた事件だ。これが太平洋を取り返しのつかないほど破壊するとは思わないが、だからといって心配する必要がないという意味ではな』と述べた。私が海洋学者ではないので詳しくは分からないが、この意見に共感する」。

◆-日本を代表する原子力の専門家が、著名な米国の専門誌に「日本は放射能汚染水の放出を止めなければならない」という文を寄稿したので驚いた。
 「6カ月が経った今も、ALPS処理水の放出をめぐり、賛成と反対に焦点を合わせた論争が日本内外で続いている。日本政府と東電はトリチウム水だから大丈夫だと主張するが、いろいろな疑問を持っている。最近ようやく西村経済産業相も国会で認めたように(2023年9月)、原発事故で溶けた核燃料に触れた汚染水を多核種除去設備(ALPS)で浄化し、海洋に長期間放出することは、これまで前例のないことだ。この問題を巡り賛否を跳び越え、どうすれば『科学が信頼を得られるか』について討論し、新しい解決法を用意する機会にしたかった」。

◆-汚染水の安全性を議論する際に信頼の問題もあるようだ。例えば不信を解消するために韓国など多くの国が直接汚染水の試料採取を要求しているが、東電は拒否している。
 「日本政府や東京電力が今回の放出が単純に科学・技術的な問題ではないという点を認識しなければならない。放出に反対するからといって、科学的知識が足りないと考えてはならない。核物理学者アルビン・ワインバーグ(Alvin Weinberg)の用語を借りれば、処理水の放出は『科学で質問できるが、科学だけでは答えられない問題』を意味する典型的な『トランスサイエンス』(科学を超越する)の事例だ。データが全てではないということだ。それが出てくる過程に対する信頼がなければ、東電がデータを根拠にいくら説明しても信じられなくなる。試料採取を拒否する理由はわからないが、拒否するのであれば、その理由をきちんと説明すべきであり、単なる拒否は透明性を落とす行為とみられ、不信が大きくならざるを得ない」。

【写真】福島第一原発の敷地内のタンクに保管されている放射性物質汚染水/聯合ニュース

◆-汚染水の安全性に直接影響を与えるALPSの性能も議論を呼んでいる。
 「2018年8月、福島第一原発のタンクに保管中の汚染水の約70%で、セシウム・ストロンチウム・ヨウ素などの放射性物質が基準値以上含まれているということが日本メディアによって暴露され衝撃を受けた。それまでALPSで1次浄化してトリチウムを除いた大部分の核種は検出限界値未満という説明をしてきたためだ。『汚染水』のリスクを低減し、ALPSの性能を確認するために、まずは『汚染水(処理途上水)』をきれいにする作業が優先されると考える。30~40年を浄化しなければならないが、ALPSの性能は心配だ」。

◆-信頼を回復するためには何が必要か。
 「日本政府がひとまず放出を中断し、利害関係者が信頼できる『独立的な監査機構』を作らなければならない。同機構は、福島第一原発の廃炉問題を点検する中で、処理水の放出も同時に扱わなければならない。海洋放出の理由の一つが廃炉のための作業空間の確保だ。現在、廃炉(特にデブリ取りだし)の時期や実現可能性も分からない状況で『なぜ今放出しなければならないのか』という説明が不十分だ。処理方式を決める過程も疑問だ。複数の対策の中で海洋放出を選択した理由が明確ではない。それぞれの方策による安全性だけでなく、地域や周辺国への影響、環境問題などを比較したものはない。このような部分まで監督機構で包括的に扱わなければならない。国会を中心に多様な分野の専門家たちが参加する機構を作った方が良さそうだ。処理水の放出に対する信頼を高めるためには、『科学的論理』を越えなければならない」。

◆-日本政府は「独立的な監督機構」より国際原子力機関(IAEA)に力を入れるようだ。
 「IAEAの総合報告書が役に立つだろうが、今後30~40年間続く海洋放出全体計画を検討したわけではない。日本政府が要請した範囲内で、東京電力が提供した一部の試料だけを検証した。実際、IAEAのラファエル・グロッシー事務総長は報告書の序文で『今回の検討が(日本政府の)政策に対する勧告や支持ではない』と明らかにした。また、今回の報告書にはIAEA一般安全指針(GSG-8)に明示された『その行動で個人と社会に予想される利益がその行動による害悪より大きくなければならない』という原則をまともに検証しなかった。IAEAの報告書もその点を認めている。短期的な安全性だけではなく、長期的・包括的な評価ができる監査機構がやはり必要だ」。

長崎/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
韓国語原文入力:2024-02-21 09:33
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