三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

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「「セシウム180倍のクロソイにNO…汚染水を日本の陸地に保管せよ」=韓国」

2023年06月10日 | 
「The Hankyoreh」 2023-06-09 07:21
■「セシウム180倍のクロソイにNO…汚染水を日本の陸地に保管せよ」=韓国

【写真】福島原発汚染水の海洋投棄に反対する国際連盟団体の関係者らが、汚染されたクロソイが描かれたプラカードを掲げている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 福島原発汚染水の海洋放出に対する市民社会団体の懸念の声が高まり続けている。
 8日午前、ソウル鍾路区(チョンノグ)の日本大使館前を訪れた市民社会団体はそれぞれ記者会見を開き、日本政府の原発汚染水の海洋放出を糾弾し、「汚染水の海洋投棄を阻止するためのソウル行動」の発足を宣言した。彼らは口を揃えて「日本政府は福島原発汚染水を自国の陸地に保管せよ」と叫んだ。
 まず記者会見を開いた環境、農漁民、労働、市民社会などの団体が参加した「日本の放射性物質汚染水の海洋投棄を阻止するための共同行動」は8日、国際海洋のデーを迎え、共同行動を起こした。同共同行動には93の韓国の市民団体と76の日本の市民団体、その他27カ国の72団体および国際団体7団体が名を連ねたうえ、31カ国から208人の個人も参加し、汚染水の海洋投棄に対して反対する意思を伝えたと明らかにした。彼らは日本政府に福島原発の汚染水を陸地で保管処理するよう求めた。
 さらに「日本の放射性物質汚染水の海洋投棄を阻止するためのソウル行動」が記者会見を開いた。同団体は国際海洋デーを迎え、ソウル環境連合、ソウル民衆行動などソウル地域の20余りの市民社会団体で発足された。彼らは「日本政府は7月以後、福島原発の放射性物質汚染水の海洋投棄を予告している」とし「日本政府は福島原発の汚染水を陸地に保管する代案などが存在するにもかかわらず、海洋投棄を強行しようとしている」と糾弾した。また、「放射性物質汚染水の海洋放出は絶対だめだ」などと書かれたプラカードをポスターに貼り付けるパフォーマンスをした後、日本大使館に抗議書簡を渡そうと試みたが、警察によって制止された。
 一方、福島第一原子力発電所の港湾で獲れたクロソイから放射性物質のセシウムが食品基準値の180倍も検出されたという日本メディアの報道以降、海洋水産部は7日、これに関連して「福島産水産物の国内輸入はない」と明らかにした。
 問題のクロソイは大きさ30.5センチ、重さ384グラムで、原発1~4号機の沿岸で防波堤に囲まれたところでとれた。
 同日の現場を写真で振り返る。

【写真】「日本の放射性物質汚染水の海洋投棄を阻止するためのソウル行動」の発足記者会見で、参加者たちが原発汚染水の海洋放を糾弾するパフォーマンスを行っている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社
【写真】「日本の放射性物質汚染水の海洋投棄を阻止するためのソウル行動」の発足記者会見後、参加者たちが、日本大使館に抗議書簡を渡そうとしたが、警察によって制止されている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社
【写真】福島原発汚染水海洋投棄に反対する国際連盟団体の関係者らが、日本大使館前で原発汚染水の海洋投棄を糾弾する記者会見を開き、スローガンを叫んでいる=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社
【写真】8日午前、ソウル鍾路区の日本大使館前で「日本の放射性物質汚染水の海洋投棄を阻止するためのソウル行動」の関係者らが記者会見を開き、日本政府の福島原発汚染水の海洋投棄を阻止する「ソウル行動」発足を宣言している=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

シン・ソヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-08 20:46


「中央日報日本語版」 2023.06.06 07:08
■日本「海底トンネルに海水注入開始」…汚染水放流準備が大詰め
 日本が今年の夏の福島第一原発汚染水放流を控えて放流準備に拍車を加えている。
 地元民放である福島テレビは5日、東京電力を引用して陸側と海側の両方から海底トンネル内に海水を入れる作業が始められたと伝えた。
 東京電力関係者はこの放送でトンネルの大きさを説明しながら海水を満たすのに「単純計算で20時間くらい(かかる)」と明らかにした。変数が発生しない限り、早ければ6日にも海水を満たす作業が完了するものとみられる。
 日本は発電所から海まで掘った約1キロの海底トンネルを通じて汚染水を放出する予定だ。海水を満たす手続きに着手したということは放流が迫っているという意味でもある。
 東京電力は掘削作業を完了したのに続き、最近トンネル内部に残っていた各種重機などを撤去して原子力規制委員会(NRA)による検査を受けてきたが、これも前日に終了した。
 同メディアは「海底トンネルの工事は2023年6月末までに完了する見通し」としながら「これにより設備面での準備は整うことになる」と報じた。
 これに先立ち、日本政府は汚染水放流時期を今年夏ごろと予告して強行意志を曲げないでいる。先週には国際原子力機関(IAEA)調査団の包括的検証手続きも完了した。
 IAEAは日本が汚染水を放流する前に最終報告書を公開する予定だという。
 一方、先月21日に福島汚染水放流関連の現場点検のために日本に出国した韓国政府の福島視察団は、31日、「視察過程で東京電力から汚染水の多核種除去設備(ALPS)の入・出口の濃度ローデータ(未加工データ)を要求して確保した」と明らかにした。


「The Hankyoreh」 2023-06-06 06:59
■日本の原発汚染水海洋放出、最終段階に突入…海底トンネル完成、海水の注入開始
 福島第一原発汚染水の海洋放出のため、海底トンネルに海水を入れる作業が始まった。福島第一原発汚染水を海に放出するための準備作業が大詰めを迎えている。
 福島テレビなど福島地域のマスコミは5日、同日午後に福島第一原発から海まで続いた海底トンネルの掘削作業が完了し、海水の注入作業が始まったと報じた。福島第一原発の隣接海岸から長さ1キロメートルの海底トンネルを作る作業は、汚染水を海に放出するための核心工事。海底トンネルを通じて海岸から若干離れたところで汚染水を放出すれば、放射性物質のトリチウムの希釈が容易になり、水産物汚染に対する懸念から漁業関係者が受ける被害も減らせるというのが日本政府の考えだ。
 トンネル内部を海水で満たし、トンネルと海を連結すれば、汚染水の放出準備はかなり完了することになる。福島第一原発の運営会社である東京電力は今月末までに海底トンネル工事を完了する予定だ。国際原子力機関(IAEA)は最近、福島第一原発汚染水の海洋放出に関する最後の現地調査を終え、今月中に最終報告書を発表するものとみられる。今年春か夏に汚染水の海洋放出を始めたい意向を示してきた日本が、IAEAの最終報告書発表後、汚染水の放出を強行する可能性がある。
チョ・ギウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-06 00:24


「The Hankyoreh」 2023-06-05 20:03
■「汚染水が安全なら、なぜ日本に置かないのか」…「直撃弾」飛ばしたフィジー長官
 日本防衛相とともにしたアジア安全保障会議の公開発言 
 「島国は地球環境問題が安全保障と直結」

【写真】3日(現地時間)、シンガポールで開催された第20回アジア安全保障会議(シャングリラ対話)中に開かれた「海洋の安全保障秩序」に関するセクションに、ティコンドゥアンドゥア内務長官(右)と浜田防衛相が出席した/ロイター・連合ニュース

 「日本が(福島第1原発の)汚染水が安全だと言うなら、なぜ日本の中に置かないのか。フィジーは海洋放流を非常に心配している」。
 フィジー内務長官のティコンドゥアンドゥア氏が、日本の浜田靖一防衛相とともに出席した国際会議で、福島第1原発に保管している放射性物質汚染水の海洋放流を公式に批判したという。
 5日付の朝日新聞によると、3日(現地時間)シンガポールで開催された第20回アジア安全保障会議(シャングリラ対話)中に開かれた「海洋の安全保障秩序」関連セクションに、フィジーのティコンドゥアンドゥア長官と浜田防衛相が出席した。ティコンドゥアンドゥア長官はこの日「気候変化にともなう海面上昇などに露出した島国は、地球環境問題が安保と直結している」と訴えた。
 討論の中である参加者が浜田防衛相に福島汚染水の海洋放流について質問を投げかけた。浜田防衛相は「国際原子力機関(IAEA)が確認し、様々な国の科学者にも評価を受けながら安全性を確認し、理解を受ける中で放流していく」と説明した。
浜田靖一防衛相が3日(現地時間)、シンガポールで開催された第20回アジア安全保障会議(シャングリラ対話)中に開かれた「海洋の安全保障秩序」関連セクションで発言している。フィジーの内務長官(右端)が演説を聞いている/ロイター・連合ニュース
 浜田防衛相の話が終わると、近くにいたティコンドゥアンドゥア長官は「日本が汚染水は安全だと言うなら、なぜ日本に置かないのか」と批判した。続いて「もし海に放流すれば、いつか(汚染水が)南側に流れてくる。非常に心配している」と強調した。フィジーの内務長官が浜田防衛相の面前で汚染水の放流をめぐる日本の矛盾を直撃したわけだ。
 フィジーは太平洋の島国18カ国が作った太平洋島嶼国フォーラム(PIF)の加盟国だ。太平洋の島国は、核物理学・海洋学・生物学など各分野の国際専門家で構成された独立的諮問団を構成し、1年間検証した末に福島原発汚染水の安全性が不確実だとし「放流延期」を求めている。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-05 18:50


「The Hankyoreh」 2023-06-05 08:38
■韓国の沿岸漁業者団体が汚染水放出を批判した教授を告発

【写真】福島第一原子力発電所にある汚染水貯蔵タンク。日本は原発事故で発生した貯蔵中の汚染水133万トンを30年かけて海に放出する計画だ/聯合ニュース

 韓国の漁業者が、福島第一原発の汚染水放出に批判的な意見を表明してきたソウル大学原子核工学科のソ・ギュンニョル名誉教授を告発した。
 忠清南道の泰安(テアン)警察署の4日の説明を総合すると、韓国沿岸漁業人中央連合会は2日、ソ教授を業務妨害容疑で処罰するよう求める告発状を提出した。
 警察の関係者は「漁業者団体は告発状で、ソ教授が放送などに出演して事実ではない内容を語るなど、漁民の業務を妨害したと主張している」と説明した。
 ソ教授はこれまで放送などに出演して「水深200~500メートルの水は中国の方へ行き、中国の東シナ海と南シナ海の方へと進んでから台湾海峡を通って済州道近海を進み、東海(トンヘ)に流入するのに5~7カ月かかる」と主張してきた。また「きれいな水であれば、私なら捨てないと思う。工業用水、農業用水として使う。安全ではないということを反証している」などと発言した。
 韓国沿岸漁業人中央連合会は、ソ教授の発言のせいで漁民が被害を受けていると主張している。同連合会のキム・デソン会長はハンギョレの電話取材に対し、「(ソ教授は)科学的根拠なしにいいかげんな発言をしている。被害はまるごと漁民がこうむる。現在、南海(ナムへ)に住んでいるが、(福島第一原発事故から)12年たったのに汚染水の影響を受けた魚は釣ったことがない。科学的根拠があれば漁民が損害を受けても発表すべきだが、今はそのようなものはない」と主張した。
 キム会長はまた「ソ教授は地下に浸透した汚染水をカタクチイワシが食べ、カタクチイワシは大きな魚に食べられてがんを誘発するというが、理解できない。魚に関心のない人はそのままやり過ごしても、我々にとっては生計だ。命だ。科学的根拠なしに言ってはならない。ソ教授は国際原子力機(IAEA)も信じられないと言っているが、国際機関を信じられなかったら我々国民は何を信じるべきなのか。荒唐無稽だ。あんな話をされたら消費が落ち込んでしまう。我々は破綻・消滅の道を歩まなければならない」と訴えた。
パク・スヒョク、アン・テホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-04 19:42


「中央日報日本語版」2023.06.01 17:10
■日本の汚染水5カ月後に韓国周辺海域に? 韓国海洋水産部、教授の主張に反論
 韓国海洋水産部が最近日本の福島汚染水放流と関連してソウル大学原子力核工学科のソ・ギュンリョル名誉教授が提起した疑惑に対し積極的な釈明に出た。政府が特定教授の主張にひとつずつ反論するのは異例だ。
 海洋水産部が1日に発表した「国民の健康と安全を守れるよう努力します」という題名の報道説明資料によると、ソ名誉教授は最近ある放送に出演し「水深200~500メートルの水は中国側に行き、中国、東シナ海と南シナ海側に行って台湾海峡を通じ済州島(チェジュド)近海に行き東海(日本名・日本海)に流入するのに5~7カ月かかる」と主張した。
 だが海洋水産部は最近発表した韓国原子力研究院と韓国海洋科学技術院で発表したシミュレーション結果を引用し「放出された汚染水のうち三重水素は4~5年後から韓国周辺海域に流入し10年後に1立方メートル当たり0.001ベクレル前後に到達することが明らかになった。この濃度は韓国海域の三重水素平均濃度(1立方メートル当たり172ベクレル)の10万分の1水準」と反論した。海水が流入する時期もはるかに遅く、それにともなう影響もわずかだという趣旨だ。

◇「バラスト水交換、実効性ない」vs「以前から使っていた方式」
 船舶のバラスト水交換と関連した攻防も続いた。バラスト水は船舶のバランスを取るためタンクに注入・排出する海水で、これまで原発汚染水がバラスト水を通じて国内海域に流入しかねないという懸念が提起されていた。これに対し韓国政府は福島近隣2県で注入されたバラスト水は管轄水域外で交換し入港するように措置している。
 ソ名誉教授は公海上でのバラスト水交換は船舶がバランスを失いかねずとても難しいと指摘した。また、バラスト水を交換しても排出したバラスト水が再び船舶内に注入されるため実効性がないと明らかにした。
 だが海洋水産部は「バラスト水交換はタンク別に順番に交換したり注入と排出を同時に行うなど船舶の安定性に影響を与えない方法で航海中でも十分に可能で、すでに使われてき方式。ほとんどの船舶は注入口と排出口の位置が違うため排出したバラスト水が注入されるのではない」と反論した。

◇「水産物は自由に行き来する」vs「韓国沿岸に来る可能性低い」
 ソ名誉教授は水産物が海流と関係なく日本と韓国を思いのままに行き来するのでしっかりとした検査が大変だとも指摘した。これに対し海洋水産部は「水産専門家の意見によると国内で漁獲される魚類の分布、回遊ルート、操業位置、海流移動などを考慮すると、福島周辺海域の魚類が韓国沿岸まで移動する可能性は極めて低い」と明らかにした。続けて「日本の原発事故を機に生産段階の水産物の放射能検査品目と件数を拡大し、遠洋産・近海産・養殖水産物すべてに検査を実施している。2011年3月から現在まで実施した約2万9000件の検査で放射能の基準値を超過した事例はなかった」と付け加えた。
 海洋水産部関係者は「確認されていない事実に基づいた主張で漁業関係者だけでなく水産業界への被害が懸念される点を考慮して一方的な主張を流布しないよう求めたい」と強調した。


「中央日報日本語版」 2023.06.01 09:09
■「疑問を解消できない視察」 汚染水視察団の発表を韓国環境団体が批判

【写真】福島県富岡駅にある放射能線量計。ここは福島第1原発から10キロ離れている。イ・ヨンヒ特派員

 福島第1原発の汚染水処理施設を点検して帰国した韓国政府視察団の結果発表に対し、環境団体が31日、「懸念したように日本政府を立てるような視察だった」と批判した。
 日本放射性汚染水海洋投棄阻止共同行動(以下、共同行動)はこの日午後2時、ソウル市中区(チュング)で記者会見を開き、「視察団派遣を決定した時から懸念されたように、日本政府の立てるような視察だったことが明らかになった」と主張した。
 共同行動は▼視察団が試料採取と検証もできずに帰国し、東京電力が提示した標本の代表性問題に対する疑問を解消できなかった▼廃炉(原子炉永久閉鎖)過程が進行されない状態で30年以上続く汚染水発生問題の対策への評価がない▼トリチウムの生物学的濃縮と海洋生態系に及ぼす影響を十分に扱っていない点などを問題に挙げた。

◆「海洋投機が他の代案と比べてよいという根拠を知るべき」
 この日、記者会見に参加した専門家らは「視察団が日本の汚染水処理設計自体に問題がある可能性を検討した内容が発表になかった」と指摘した。海洋放出が他の処理方式と比較してこの問題を解決するうえでよいという根拠を視察団が確認、把握することができなかったというのが最も重要な問題ということだ。
 ソウル大の白道明(ペク・ドミョン)教授(元ソウル大保健大学院長)は「原子力業界である措置を取る時は『正当化の原則』(措置を取って得る社会構成員の利益が害よりも大きくなければいけないという原則)に基づかなければいけない」とし「日本の汚染水海洋投棄(放出)が正当化の原則に基づくものかについて視察団が点検したのか疑問」と述べた。
 原子力の安定と未来(民間原子力団体)のイ・ジョンユン代表は「福島原発事故が発生した2011年から海洋投棄を決定するまでの過程をみると、最初から海洋投棄を念頭に置いて汚染水処理計画を設計して進めてきたことが分かる」と主張した。

◆「トリチウム体内被ばく時は有害という反論も」
 トリチウムの有害性もさらに深く問いただすべきという指摘もあった。白教授は「トリチウムの場合、外部被ばくが危険でないと知られているが、有機結合を通じて体内に蓄積された水産物を摂取するなど体内被ばく時に人体に悪い影響を及ぼすという反論が引き続き提起されている」と説明した。
 イ代表も「一般原発から放出するトリチウムとALPS(多核種除去設備)を経た福島汚染水は違う」とし「汚染水にはトリチウムの他にもプルトニウムなど多核種が含まれていて、ALPSはこれを減らすだけで完全に除去することはできない」と話した。

◆「視察団がすべき質問と検証はこれ」
 視察団が海洋放射能レベルを評価する際、表層海水調査に限定するのではなく、海底堆積物、魚類の放射能数値に基づいて福島汚染水海洋放出安全性問題を判断すべきという指摘も出てきた。単純に表層海水の放射能を根拠に人体に及ぼす影響を検討してはいけないということだ。
 白教授は「韓国原子力安全技術院(KINS)の海洋環境放射能調査の結果をみると、東海岸の海底堆積物からセシウム137の濃度が(福島原発事故が発生した)2011年に急激にピークになった後、減少している」とし「この数値が意味することについて質問を投じるべきだ」と述べた。


「The Hankyoreh」 2023-06-01 07:40
■韓国の環境団体「汚染水視察団を解体し、海洋法裁判所に日本を提訴すべき」
 「汚染水投棄阻止共同行動」主催の懇談会 
 「トリチウム濃度、微々たるものでも発がん物質」

【写真】市民団体と環境団体が集まった「日本の放射性汚染水の海洋投機阻止共同行動」が5月31日、ソウル中区のフランシスコ教育会館で記者懇談会を開き、政府が派遣した福島原発汚染水視察団は日本政府の汚染水海洋投棄の手助け役だと批判した=ナム・ジョンヨン記者//ハンギョレ新聞社

 先月31日、福島原発汚染水の韓国専門家視察団が行なった発表と関連し、韓国の環境団体が日本政府の汚染水投棄を手助けするものだと批判した。
 市民団体と環境団体が集まった「日本の放射性汚染水の海洋投機阻止共同行動」は31日、ソウル中区のフランシスコ教育会館で記者懇談会を開き、福島原発汚染水専門家視察団を解体し、日本の汚染水海投棄の件を国際海洋法裁判所(ITLOS)に提訴するよう政府に求めた。
 加湿器殺菌剤やアスベスト(石綿)など安全保健について研究してきたソウル大学のペク・ドミョン名誉教授(保健学)は、同日の懇談会に出席し、「視察団は主要設備が設計通りに建てられたのか見てきたというが、設計自体については質問しなかった」と指摘した。ペク教授は、日本政府が海洋放出の基準値を設定するにあたり、一年間の露出を想定した点や、原発汚染水の貯蔵タンクで19個の核種だけを測定した点などについて(専門家視察団が)質問しなかったとし、「そもそも日本の仮定と設計が(健康被害について)最大限の注意を払っていない」と批判した。
 日本が排出する原発汚染水のトリチウム濃度は微々たるもので安全だという一部の主張に対し、ペク教授は「トリチウムは放出エネルギーが少なく、健康影響が大きくないと知られているが、依然として遺伝毒性と生殖毒性のある発がん物質だ。体を構成している成分と結合すれば、より大きな生物学的効果が現れる可能性もあるという反論が提起されている」と説明した。
 原子力安全分野を専門とする「原子力の安全と未来」のイ・ジョンユン代表は、日本は福島原発事故以降どれだけ多くの放射性物質が海と地下水に流れたのかについて情報を発表していないとし、「海と地下水の流入総量を提示し、これを分析・評価して、今後の生態環境にどのような変化をもたらすのかを考えなければならない」と指摘した。特に「最も重要なのは、コリウム(炉心溶融物)が建物の床を突き破って地中に染み込み、地下水と交流しているという点」だとし、「日本はこれに関する解決策を示す取り組みをおろそかにしている」と指摘した。コリウムは使用済み核燃料が溶けて流れ落ちた物質で、専門家たちはこれを福島第一原発で生成される放射能の主な源泉だと指摘する。これについて、イ代表は「日本は公海上に汚染水を捨てる破廉恥な行為をやめ、この問題を独自に解決しようとせず国際社会に協力を求めるべきだ」と主張した。
 福島原発汚染水視察団が日本側から受け取った多核種除去設備(ALPS)のデータはあまり意味がないという主張も提起された。環境運動連合のアン・ジェフン活動処長は、この日ハンギョレとの電話インタビューで、「東京電力ですでに遂行された、サンプル数の少ないデータ」だとし、「ALPSで本当に核種の除去がうまく行われるのかどうかを共同実験し、何回行って濃度がこれだけ減ったということが示されなければ、信頼性を得られなくなるだろう」と指摘した。ソウル大学のソ・ギュンリョル原子核工学科名誉教授も「安全施設の異常点検をするために(視察団を)派遣したわけではない」とし、「ALPSの性能を見るためには、そこでろ過される不純物、セシウム、ストロチウムなどがきちんとろ過されているかを確認する必要があるが、それができなかった」と指摘した。
ナム・ジョンヨン、キ・ミンド記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-31 17:29


「The Hankyoreh」 2023-06-01 07:02
■[7問7答]40年間海に捨て続ける汚染水、人類にどんな危険をもたらすのか
 福島第一原発汚染水の海への放出7問7答 
 「放出賛成」のIAEAが検証独占 
 日本は放射性物質の測定も縮小

【写真】福島第一原発の敷地内の汚染水保管タンク=東京電力提供//ハンギョレ新聞社

 国際原子力機関(IAEA)の調査団は先月29日から今月2日まで、福島第一原発の汚染水の海への放出についての包括的検証に向けた最終調査を日本において行う。23~24日に福島第一原発現地を点検した韓国視察団も、31日に視察結果を説明する記者会見を予定している。日本政府が2021年4月に汚染水の海洋放出を公式決定してから2年あまり。国際的な安全性検証が最終段階へと向かっているわけだ。今年の夏ごろに現実化するとみられる福島第一原発の汚染水の海洋放出は、人類にどのような影響を及ぼすのだろうか。主な争点を7つに分けて検討する。

(1)汚染水はなぜ発生するのか
 最も根本的な問いだ。2011年3月の東日本大震災で巨大な津波が発生し、福島第一原発を襲った。そのため冷却装置が機能しなくなり、1~3号機の3つの原子炉の核燃料棒が溶け落ちる炉心溶融(メルトダウン)が発生した。溶けた核燃料は周囲の構造物を溶かして塊(デブリ)となり、原子炉の底に残っている。人が近づけば1時間以内に死んでしまうほどの高線量の放射線が漏れ出ている。
 計880トンにのぼるデブリからは今も膨大な熱が発生しているため、冷却水で冷やさなければならない。その水が触れることで、人体に致命的な影響を与える各種の放射性物質を含んだ汚染水になる。
 問題は、周辺の地下水や雨水までもが原発に流入し、日々大量の汚染水が生み出されているということ。東電は地下水をくみ上げたり、1~4号機の周りに凍土壁(地面を凍らせて作った壁)を構築したりして、汚染水を減らすために死力を尽くしたが、成功していない。汚染水の増加量は今も1日当たり90~140トン。この汚染水を貯蔵するため、原発の敷地内には1073基の水タンクが設置されている。18日現在、貯蔵されている汚染水の量は133万トン。タンク容量の97%がすでに使用されている。

(2)なぜ海に放出?
 その理由は大きく分けて3つ。1つ目、汚染水を保管するタンクの不足。ただし変数がある。日本政府は2021年4月に海への放出を決めた際に、今年の夏ごろにタンクがいっぱいになるとの予想を示した。しかし降水量の減少と、汚染水低減政策などが一部効果を上げたことで、すべてのタンクが満杯になる時期は来年2~6月となっている。
 2つ目、廃炉(原発解体)に向けた作業スペースの確保。廃炉の最重要課題は1~3号機の底に溶け落ちているデブリの処理だ。日本政府はデブリを取り出し、汚染水タンクのある場所に保管施設を作る計画だ。人の命を奪うほどの高線量の放射線が漏れ出ているため、人の代わりにロボットが入っていって作業しなければならない。しかし、ロボットの開発は遅れている。昨年はまず2号機でデブリ除去作業を開始する計画だったものの、日程の遅れで作業開始は早くても今年下半期になる見通しだ。1、3号機は処理の時期や方法すら決まっていない。今のように急ぐ理由は存在しない。
 3つ目、コスト。日本政府は2016年に、海洋放出▽大気放出▽地下埋設などの複数の汚染水処理方法を検討した。海に放出すれば34億円(約321億ウォン)程度で済むが、大気放出には349億円(約3300億ウォン)、埋設には2431億円(約2兆3000億ウォン)かかる。福島の漁業関係者が強く反対したため、大気放出案も最後まで検討された。毎日新聞は「政府内では放射性物質を含む気体が東京まで達したらどうするのかという不安が高まったため、海洋放出でまとまった」と報じている。海への放出が「唯一の代案」ではないことは日本政府が最もよく知っている。

(3)IAEAによる検証は信頼できるのか
 汚染水の安全性についての検証を独占するのはIAEAだ。客観的な検証能力に疑問を呈する声は絶えない。1957年に設立されたIAEAは、原発の平和的利用を強調する。そして基本的に「原発拡大」を重視する。原発の危険性を全世界に知らしめた福島第一原発事故の円満な決着は、日本とIAEAの共通の目標だ。
 原発大国である日本はIAEAへの影響力も強い。IAEAの正規予算の分担率(2021年)を見ると、日本は8.32%で、米国(25.25%)、中国(11.15%)に次いで第3位。4つの連絡・地域事務所のひとつは東京にある。現職のラファエル・グロッシ事務局長の前にIAEAを率いたのは、日本人の天野之弥(1947~2019)だった。彼は2009年から2019年に亡くなるまで事務局長を務めた。
 汚染水の海洋放出はIAEAと協議して決定されたものだ。日本政府が放出を決めると韓国、中国、台湾、ロシアは強く反発したが、グロッシ事務局長は真っ先に「歓迎する」との立場を示した。海洋放出決定にかかわった主体が検証を担っている格好だ。彼らは試料採取などを独占し、他国による独自の追加検証を徹底して防いでいる。このような閉鎖性も不信を募らせる大きな原因となっている。

【写真】福島第一原発の汚染水の海洋放出に反対する農漁民団体の決起集会が2月、済州道庁前で行われた。集会を終えた参加者たちが日本総領事館までデモ行進している=イ・ジョンヨン先任記者//ハンギョレ新聞社

(4)二度のうそ、信頼が地に落ちた東電
 経済産業省と東京電力は、汚染水は安全であると主張してきた。しかし日本国内でも信じられないという声は大きい。二度のうそで信頼が地に落ちたからだ。2018年8月、原発敷地内のタンクに保管中の汚染水の約70%にセシウム、ストロンチウム、ヨウ素などの人体に致命的な影響を及ぼす放射性物質が法的基準値以上含まれていることが、日本のメディアによって暴露された。一部のタンクからは基準値の2万倍を超えるストロンチウム90などが検出された。トリチウム(三重水素)を除くすべての放射性核種をろ過できる「万能の装置」と宣伝されている多核種除去設備(ALPS・アルプス)の不良などが原因だった。東電はそれまで、ALPSで浄化した「処理水」は放射性物質が除去され、トリチウムだけが残ると宣伝していたが、真っ赤なうそだったのだ。今は、ALPSで2回すれば放射性物質が基準値未満に低下すると主張している。この言葉をそのまま信じるには、すでに不信が高まり過ぎている。
 日本政府は漁業者との約束も破った。東京電力は2015年8月に社長名義で、汚染水処理について福島県漁業協同組合連合会と「関係者(漁業者)の理解なしには、いかなる処分も行わない」と文書で合意した。日本政府と漁業者を一つにまとめる「信頼の象徴」のようなものだが、日本政府はこれを無視して海への放出を決定してしまった。

(5)ALPSの性能は信頼できるのか
 100%信頼することは難しい。ALPSで浄化した汚染水の70%には、依然として人体に致命的な影響を及ぼす放射性物質が基準値以上含まれていることが確認されているからだ。
 さらに一歩進んで、汚染水の安全性をこの1年間、独自に検証してきた太平洋の18の島国からなる「太平洋諸島フォーラム(PIF)」の専門家パネルは、ALPSの性能をきちんと検証するには資料が非常に不十分だと主張する。米国ミドルベリー国際大学院のフェレンツ・ダルノキベレス教授(核物理学)は1月、韓国国会の討論会で「日本がフォーラムに提供したデータは不完全で一貫性もなく偏向しているため、何らかの決定を下すには不適切だ」と批判した。また同氏は、東京電力は汚染水に含まれる64の放射性物質のうち、セシウム137など9つだけに焦点を当てており、残りはほとんど測定していないと付け加えた。
 このような事情は5月21~26日に訪日した韓国視察団も同じだ。ユ・グクヒ視察団長(原子力安全委員長)は24日、記者団に対し、「ALPSの処理前後の64の核種の濃度に関する原資料も受け取ったため、これから分析する」と述べた。言い換えれば、ALPSの性能を点検するのに最も必要な資料を放出が行われる直前に確保したということだ。このような状況では、韓国政府がきちんとした独自の評価の結果を国民に示せるはずはない。

(6)トリチウムは安全か
 ALPSが完全に作動したとしても、トリチウムはろ過できない。トリチウムの安全性については、意見が大きく分かれる。日本政府は、他国の原発もトリチウムを含む水を海に放出しているが、健康被害は報告されていないと主張する。しかしトリチウムは水産物から人体に取り込まれ、有機結合型トリチウムに変化すれば、内部被ばくの危険性を高めることが知られている。
 生物学者たちは、トリチウムが引き起こす生物学的な遺伝子損傷の程度は、代表的な放射性物質であるセシウムの2倍以上だと憂慮する。日本は、放出が始まれば年間22兆ベクレル(Bq=放射性物質の1秒当たりの崩壊回数の単位)のトリチウムを海に排出する予定だ。これは2011年の福島第一原発事故前の年間2.2兆ベクレルの10倍だ。

【写真】専門家からなる韓国視察団が今月23~24日、福島第一原発を訪問し、汚染水の海洋放出の安全性点検を実施した=東京電力提供//ハンギョレ新聞社

(7)汚染水は危険だとの主張は「怪談」なのか
 韓国の与党と原子力の専門家たちは、汚染水は危険だという主張に「怪談」というレッテルを貼って攻撃する。このような論理だと、放射性物質の「潜在的リスク」を認めた世界貿易機関(WTO)の判断も怪談だということになる。
 韓国は2019年4月、福島産の水産物の輸入禁止について日本が起こしたWTO紛争解決訴訟で、一審での敗訴を覆し「逆転勝訴」をおさめた。日本政府は世界最高の科学者たちを動員して「科学的数値」を示した。福島産の水産物をサンプル調査するとセシウムなどは基準値以下で、他国と似たような水準だと主張した。独自調査だけでなく、放射能に関連する国際機関の客観的資料を証拠として提示し、圧迫した。
 韓国政府はこれに抗して、福島第一原発事故が発生した日本の特別な環境は、このような事故が発生していない他の国にはない「潜在的リスク」だと主張した。WTOは韓国に軍配を上げた。彼らは「食品の放射能検査の数値ばかりを問題にするのは誤りだ。汚染に影響を与えうる日本の特別な環境的状況なども考慮すべきだ」と判定した。SPS(衛生植物検疫措置の適用に関する協定)紛争で訴えられた国が勝ったのは、これが初めてだった。放射性物質についての初の判断でもあった。
 WTOは、過去の様々な紛争解決手続きでは環境や健康よりも貿易関係を重視してきた。そのようなWTOでさえ福島第一原発事故による放射性物質の潜在的リスクを認めたのだ。原発爆発事故で発生した130万トン以上の放射性物質汚染水を30~40年かけて海に放出しようとしている国は、日本が世界で唯一だ。それによって発生しうる様々な危険性を日本政府に対して指摘し、十分な情報公開を求め、それが聞き入れられなければ反対意見を述べることは、国民の健康と安全に責任を負うべき国の当然の責務だ。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-31 05:00


「中央日報日本語版」 2023.05.29 07:32
■韓国野党「福島汚染水は放射能テロ」…頭をもたげる不安マーケティング

【写真】2008年6月10日、ソウル・世宗路プレスセンター前で開かれた米国産牛肉輸入反対集会の様子。[中央フォト]

 「福島汚染水投棄は放射能テロだ!」
 28日、ソウル永登浦区(ヨンドンポク)の国会前に、韓国野党「共に民主党」が掲げた横断幕だ。反対側には汚染水反対署名運動の横断幕もあった。「福島放射能水産物輸入5000万人に反対する!」というプラカードもソウル各地で目にすることができる。
 民主党が日本の福島原発汚染水に党力を総動員している。28日現在、民主党主導の署名運動には10万人以上が参加した。来月3日には釜山(プサン)で場外集会を開く。国会レベルの福島汚染水放流反対決議案の採択も行う。汚染水視察団を対象に懸案質疑も推進中だ。
 言葉はもっと荒々しい。民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は26日、ソウル光化門(クァンファムン)広場で開かれた署名運動出陣式で「福島原発の核物質汚染水は危険だから、安全ではないから、人体に有害だから、混ぜて海に捨てようということだ」と主張した。李代表は15日の党最高委員会でも「一緒に使っている井戸に毒劇物を入れておいて『安全だ』と主張する」とした。浄化処理された汚染水を毒劇物に遠回しに例えたのだ。民主党党員の中には「汚染水が安全なら飲んでみろ」というような発言も少なくない。鄭清来(チョン・チョンレ)最高委員は25日、フェイスブックに「大統領府から『福島印の汚染ミネラルウォーター』を注文して飲め」と書き込んだ。
 しかし、民主党の一方的な福島汚染水反対の動きが「第2のBSE(牛海綿状脳症、いわゆる狂牛病)事態を狙った扇動」という指摘も少なくない。国民の命に直結する重大な問題に精密にアプローチするのではなく、非科学的で刺激的なスローガンに頼っているからだ。2008年、李明博(イ・ミョンバク)政権が韓米自由貿易協定(FTA)交渉過程で米国産牛肉輸入の議論が浮上すると、進歩派陣営は「牛を利用して作る化粧品・生理用ナプキンなどを使っても狂牛病に感染する」「韓国人の95%が狂牛病に脆弱な遺伝子を持っている」など、怪談レベルの論理を連発した。MBC(文化放送)の調査報道番組『PD手帳』が主導した。光化門広場では「脳みそに穴が開く」と言ってろうそくデモが毎日行われた。しかし、BSEの懸念は非科学的な陰謀論にすぎず、15年経った現在、BSE事態は悪質な扇動だったという評価が支配的だ。「ザ・モア」のユン・テゴン政治分析室長は「科学的に懸念を表明することと、反日扇動・恐怖煽動は違う」と話した。
 民主党内部でも批判が上がっている。民主研究院副院長出身で新成長経済研究所のチェ・ビョンチョン所長(50)は22日、フェイスブックに「韓国、日本の水産物は安心して食べてもいい」という済州(チェジュ)大学のチョン・ソクグン教授の寄稿文を共有した。そのうえで、「(民主党の主張は)私のような人間にもあまり説得力がない」とし「民主党が汚染水の深刻さだけを強調すれば、水産業従事者の生計を脅かし、むしろ逆風が吹くだろう」と書いた。586運動圏出身のさしみ店社長であるハム・ウンギョン氏も15日、フェイスブックに「科学的に問題になることがない福島汚染水放流問題をめぐり、フェイクニュースを生産して扇動する詐欺師や巫俗行動を直ちに中断せよ」と主張した。
 福島汚染水を政治争点化するために民主党が死物狂いで行動しているのは最近の党状況とも無関係ではないという分析だ。「現金封筒バラマキ」疑惑や「金南局(キム・ナムグク)コイン」問題などの局面から脱却しようとする狙いというものだ。先に尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府の強制徴用第3者弁済案に反発して掲げた反日攻勢を続けようとする側面もある。時代精神研究所のオム・ギョンヨン所長は「民主党が政府・与党の上昇に不安を感じ、福島汚染水を一番の弱点と判断した」とし「短期的には支持層に訴求力があるが、中長期的には反日感情だけに頼るのは20~30代の離反につながる可能性がある」と述べた。
 国際原子力機関(IAEA)が来月福島原子力発電所汚染水に対する海洋排出計画をモニタリングした報告書を発行する計画だが、韓国政府は独自に検証に取り組むべきだというのが民主党の主張だ。党対策委員長である魏聖坤(ウィ・ソンゴン)議員は28日、電話取材に対して「IAEAは2015年から日本政府の汚染水排出の立場に同意した」とし「そのため、現在のモニタリング過程も客観的だと評価するのは難しい」と述べた。韓国独自の検証が事実上不可能であるにもかかわらず「汚染水は危険なので、無条件に信用できない」という立場を貫くという意味だ。建国大学国家情報学科のチャン・ソンホ教授は、「葛藤を調整すべき政治圏がむしろ関与して問題をより複雑化させる場合が多い」とし「福島の汚染水処理はイデオロギーや政治ではなく、科学の領域だ」と述べた。
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「日本、原発の寿命「60年以上」に…「福島の惨事を忘れたのか」」

2023年06月08日 | 
「The Hankyoreh」 2023-06-02 12:46
■日本、原発の寿命「60年以上」に…「福島の惨事を忘れたのか」
 「GX脱炭素電源法」成立

【写真】日本の福島第一原発の爆発事故が起きて20日余りたった2011年3月30日、ドローンで撮影した福島原発の様子。核燃料棒が溶ける炉心溶融(メルトダウン)が起きた3号機(左)の残骸が見える。右側の4号機の建屋も水素爆発によって大きく破壊された/EPA・聯合ニュース

 日本の国会で、現行最長60年までと認められていた原子力発電所の寿命をそれ以上に延長可能にする法案が可決された。事実上、原発の寿命に関して規制がなかった2011年の福島第一原発事故以前に戻ったという批判の声が上がっている。
 31日の参議院本会議で、原発の60年以上の稼動を可能にする内容が盛り込まれた「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」が成立。法案は電気事業法、核燃料物質および原子炉の規制に関する法律など5つの法案の改正案を一本に束ねたもの。自民党・公明党など与党と保守野党である日本維新の会、国民民主党が賛成し、残りの野党である立憲民主党、共産党、社民党、れいわ新選組は反対した。
 今回の法改正の要は原発の寿命の延長だ。最長寿命の「60年」を計算する際、安全審査などによる原発停止期間を計算から外す方式だ。例えば、再稼働審査などで10年間原発が停止していた場合、最大70年間原発を稼動できる。ただし、原発が稼動してから30年たった場合、10年に1回ずつ機器と設備状況を審査する規定を新たに設けた。この審査を通過できなければ原発の寿命は延長できない。
 原発の運転期間を決める機関も、原子力規制委員会から経済産業省に変わる。原発の寿命の「除外期間」の具体的な基準も経済産業省が設けることにした。東京新聞は1日付で「老朽原発の運転延長認可を巡り、規制当局の原子力規制委員会が原発推進官庁の経済産業省に権限を譲り渡した事実こそが、電力会社を保護する流れが強まったことを象徴する」と報じた。朝日新聞も「電力会社の過失や責任で審査や工事が滞った期間も含まれる可能性がある」と批判した。
 日本は2011年3月の東日本大震災による福島第一原発爆発事故から1年後の2012年、安全規制強化のため原発の最長運転期間を60年に制限する規定を作った。原発の運転期間は原則的に40年とし、原子力規制委の許可を受ければ20年延長して最大60年まで稼動可能にしたが、今回の改正で60年の制限規定は形骸化された。
 日本の原発寿命延長の決定には、世界的な脱炭素の動きも背景として作用した。日本政府は「エネルギー基本計画」に基づき、エネルギー生産全体で原発が占める割合を現在の約6%から2030年には20~22%まで引き上げる計画だ。現在、日本国内の原子炉は計33基で、このうち10基が再稼働中。残りの23基はいずれも11年以上稼動が止まっている。資源エネルギー庁は、「2030年の原発比率20%」を実現するためには25~28基の原発を稼動させなければならないと説明している。日本政府は、原発再稼働に時間がかかるため原発の寿命を延長させることが必要だと判断している。さらに、保守的な安倍晋三政権の時も試みられなかった原発の新設、増設も推進する予定だ。日本の原発政策の大転換といえる。
 東京新聞は「福島事故の反省と教訓どこへ」との見出しの記事で「(日本の原発政策が)事故前の官民一体で原発を推進してきた構図に逆戻りしかねない」と指摘し、「原発依存は一時的にはエネルギー価格高騰の抑制策にはなるのかもしれないが、核のごみの最終処分は解決の見通しはなく、膨大なコストと事故リスクを国民がこれからも背負うことになる」と批判した。

東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
韓国語原文入力:2023-06-02 02:32
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「「海に向けた核攻撃」…韓日市民団体、東京で原発汚染水海洋放出に反対する連帯集会」

2023年05月29日 | 
「The Hankyoreh」 2023-05-18 07:11
■「海に向けた核攻撃」…韓日市民団体、東京で原発汚染水海洋放出に反対する連帯集会
 「5・16共同行動」集会

【写真】16日、東京一帯で開かれた福島汚染水海洋投機反対「5・16共同行動」集会の参加者たちが街頭を行進している//ハンギョレ新聞社

 「福島県民の7割はもちろん、すぐ隣の宮城県民も反対しています。(原発)汚染水を海洋放出するという日本政府の決定によって地域社会が破壊されています」。
 「放射性汚染水の放出はアジア各国に対する暴力であり侵略です」。
 19日から広島で開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)を控え、16日、東京の街では一日中福島原発汚染水の海洋投棄を中止せよという叫びが鳴り響いた。「これ以上海を汚すな!市民会議」と「さよなら原発1000万人アクション」実行委員会が主催した同日の「5・16共同行動」集会は午前10時に始まり夕方まで続いた。
 韓国の市民社会環境団体の連帯体「脱核市民行動」所属の「緑色連合」、「市民放射能監視センター」、韓国YWCA連合会の活動家たちは汚染水の海洋投棄に反対する韓国の声を伝え日本の市民と連帯するため、東京の集会に参加した。
 午前、東京電力前の集会では福島住民を含め100人以上の市民が集まった。参加者たちは「今後30年間、大量の放射性物質を海に流すつもりなのか。東電は考え直すべきだ」と訴えた。韓国YWCA連合会の活動家、ユ・エステルさんは「韓国市民社会の声、特に女性たちの連帯の声を伝えるために来た」とし、「海洋生態系と海と共に生きる人々、私たちよりもさらに長く海と共に生きていく子どもたちのために行動を共にする」と語った。
 日本の市民は同日の集会で「海を汚すな」、「未来を守れ」と声を高めた。原発汚染水問題は福島原発事故が現在進行中であることを示す代表的な問題だ。参加者たちは東京電力本社前で事前集会を行ってから、国会周辺で集会を続けた。

【写真】16日、東京で開かれた「5・16共同行動」集会に参加した韓国の参加団が福島汚染水海洋投棄に反対するプラカードを広げている//ハンギョレ新聞社

 国会前で開かれた2次集会で、ある水俣病(メチル水銀中毒によって生じる日本の公害病の一つ)の被害者は、健康と安全問題について決して軽く考えてはならないとし、幼いころの苦しい被害事実について証言した。彼は「環境にどのような影響を及ぼすか分からないため、絶対に汚染水を海に捨ててはならない」と語った。
 環境運動連合の活動家、チェ・ギョンスクさんも演壇に上がった。チェさんは「汚染水の海洋投棄に反対する市民がこれほど多く、特に福島住民も明確に反対しているのに、日本政府はこのすべての意見を無視して海洋投棄を進めている。明らかな国家暴力だと思う」と主張した。また「これに対する反対意見を明確にせず、視察団の派遣という形だけの措置で日本政府に海洋放出の名目作りを手助けしようとする韓国政府もやはり国家暴力の共犯」だと批判した。さらに「今回のG7サミットで韓日両首脳は汚染水の海洋投棄の代わりに陸上での長期保管に合意し、老朽化した原子力発電所の寿命延長を諦めるべきだ。それが未来のために必要なことだ」と主張した。
 宗教団体「日本山妙法寺」の宗教者は、同集会に参加した理由を尋ねる質問に、普段あまり声をあげない方だが意を決して集会に参加したとし、「(汚染水の海洋投棄は)アジア各国に対する暴力であり、戦争や侵略同様のもの。韓国社会との連帯を通じて共に協力し対応していかなければならない。今日がその始まりだ」と語った。

【写真】「脱核市民行動参加団」の韓国YWCA連合会の活動家、ユ・エステルさんが16日午前、東京電力前の集会で発言している//ハンギョレ新聞社

 国会議員会館前で開かれた3回目の集会では、汚染水をはじめ福島原発事故による様々な被害状況に対する証言が続いた。
 最近、福島原発汚染水問題を話し合うために韓国の済州(チェジュ)、麗水(ヨス)などを訪問したと紹介した日本の環境団体「原子力資料情報室」の伴英幸代表は「日本政府は汚染水を解決するための4つの代案を持っていた。なぜ他の代案を選ばなかったのか」と指摘した。ある日本の政治家は「(原発再稼働のために日本政府が)汚染水問題を解決したと宣言するために、汚染水の海洋放出を強行していると思う」と主張した。
 集会に参加したある日本の政治家は、現在の日本の国会の状況について「数年前には原発を減らすと言っていたが、今はその反対に向かっている」とし、全原発の再稼働を目指す日本政府を批判した。さらに「福島原発一号機の原子炉の床が崩壊していることが新たに明らかになっている」とし、「今も続く福島原発事故の被害を防ぐために、汚染水だけでなく(福島原発も)チェルノブイリのようにコンクリートで封鎖する必要がある」と述べた。
 ある市民は福島原発事故の除染で出た除染土を再利用する実証施設を新宿公園内に建設しようとする計画を聞いて参加したと言い、「東京だけでなく、いかなるところでも除染土の再利用の実証を行ってはならない」と話した。また、「福島住民の苦しみを我々の問題として受け止めなければならないことを改めて痛感した」と強調した。

◆主催側は4つの事項が盛り込まれた要請書を国会と政府側に渡した。
 第一に、「(福島の漁業)関係者の理解なしに如何なる処分(海洋放出)もしない」とした日本政府が約束を履行すること、第二に、国会と政府は東京電力が汚染水の中に含まれている放射性核種の種類や濃度、総量などの情報を公開するよう働きかけ、放射線影響評価を見直すこと、第三に、日本政府は汚染水の海洋投棄ではなく大型タンクの長期保管やモルタル固体化などの代案を検討するなど、汚染水に対する根本的な対策を確立し、国会はこれを監視すること、第四に、汚染水の海洋投棄に対する全国的な公聴会と説明会を開くことなどが要請書に盛り込まれた。

【写真】16日、東京の国会前集会で環境運動連合の活動家、チェ・ギョンスクさんが発言している//ハンギョレ新聞社

 集会は夕方、日比谷公園野外音楽堂で終わったが、終了直前には参加者が500人以上に増えた。本集会では野党国会議員と日本の市民団体の活動家たちの発言が続いた。 「これ以上海を汚すな!市民会議」の織田千代共同代表は「原発事故以後、福島住民たちは放射能に脅かされながら暮らしてきた。私たちは事故前に享受していた日常生活をすべて失った。汚染水の海洋放出は福島住民にさらなる放射線被害を与えるだろう」と語った。
 福島県小名浜地域の漁業協同組合の柳井孝之さんは、「日本政府と東電に対する不信感がむしろ市民の不安を募らせている。海洋放出が進むと、漁業を諦める人がさらに増えるかもしれない」とし、日本政府と東京電力の責任ある姿勢を求めた。

◆「Don't Nuke the Pacific(太平洋を核で苦しめるな)」。
 同日の集会参加者のプラカードにはこう書かれていた。世界は海につながっている。放射能汚染水を海に捨てるのは世界市民にかかわることだ。世界で唯一原爆を落とされた過去を持つ日本は、いま世界の海に向かって静かに、ゆっくりと核攻撃を加えていることになる。汚染水の海洋放出を決めた日本政府、これを傍観して黙認し、視察団の訪問という名ばかりの措置を進めている韓国政府、そして無責任な両国の政治家に立ち向かう韓国と日本、世界市民の連帯が必要な理由だ。
 東京/文・写真「5・16共同行動」脱核市民行動への韓国人参加者 ビョン・インヒ、オ・ハラ、ユ・エステル、チェ・ギョンスク(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-17 20:38


「The Hankyoreh」 2023-05-18 09:19
■韓国の漁業者「汚染水放出に反対するなと韓国政府が圧力…市長も同調」
 統営市の漁業者イ・ギミョンさん、ラジオのインタビューで 
 「漁業者は借金や政府の補助金に従属」

【写真】慶尚南道統営市の永運港で3月31日に開かれた「第12回水産人の日」記念式で、尹錫悦大統領があいさつしている=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 11日に統営市(トンヨンシ)のチョン・ヨンギ市長が福島第一原発の汚染水の放出について「対策は持っているがうるさく騒ぐ理由はない」と述べたことについて、同市のある漁業者が「(漁業者を萎縮させることを狙った)意図的な発言だ」と批判した。
 17日、慶尚南道統営市で30年にわたりカキ養殖業を営んでいるイ・ギミョンさんは、文化放送(MBC)のラジオ番組「キム・ジョンベの視線集中」でのインタビューで、「統営市は全国の海洋水産の最重要地だと自負する町」だとし、「市長ともあろう人が、第一線で汚染水放出反対の先頭に立つことはできなくても、このような妄言を口にするとはどういうことか」と語った。
 イさんは、チョン市長の発言は「意図的」なものだと考えている。イさんは「政府は反対の立場を表明するなと漁業者に圧力をかける立場だ。漁業者たちはためらっており、萎縮している」とし、「実は4月11日にも原発汚染水反対決起大会をしようとして李舜臣(イ・スンシン)公園で計画されていたが、政府と水協組合から圧力をかけられて結局できなかった」と話した。
 イさんは「慶尚南道の関係者も、日本の原発汚染水は米国などの先進国においてさえ科学的実験が中止され、汚染水が沈殿すれば生態系には特に影響ないだろうという趣旨のことを言った」とし、「漁業者は借金や政府の補助金に従属している。これでは漁業者は萎縮せざるを得ない」と語った。チョン市長の発言もこのような圧力の一種だというのだ。
 汚染水の放出は「漁業者は死ねという話」だというのが統営の漁業者たちの考えだ。イさんは、韓国の福島第一原発汚染水視察団が汚染水試料を特に採取しないとされていることについても怒りをあらわにした。イさんは「検証団は汚染水を採取すべきだ。しないつもりなら何をしに日本に行くのか。もはや日本に従って同意するのと変わらない。政府がこのような状態で行くなら、ほかに方法がない。漁業者たちは南から北へと向かい、政権退陣運動に突入するだろう」と述べた。また「(政府からは)安全だという話もなく、口をつぐんでいる」、「何が何でも(汚染水の放出を)止めなければならない」と強調した。

【写真】先月25日、ソウル鍾路区の世宗文化会館の階段で、日本の放射性汚染水海洋投棄阻止共同行動の主催で行われた「韓米両国の日本放射性汚染水海洋投棄反対要求記者会見」で、参加者がプラカードを手に汚染水放出に反対している/聯合ニュース

 統営市のチョン・ヨンギ市長は11日、統営市役所内の会議室で開かれた記者懇談会で、福島第一原発の汚染水の放出について問われ、「対応策は明確に持っている。だが、やたらと言及したり騒いだりすると統営の水産物の消費心理が萎縮しうる。政府がまだ何の措置も取っていないのに、自治体が先に騒ぐ必要はないと思う」と語り、地域社会から反発が起きている。
イ・ジヘ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-17 10:44


「The Hankyoreh」 2023-05-18 05:43
■韓国視察団、汚染水の検証はできずとも…これだけは確かめよ
 福島訪問が要式行為にとどまらないようにするために

【写真】福島第一原発の敷地内のタンクに保管中の放射性物質汚染水/AP・聯合ニュース

 韓国の専門家視察団が今月23~24日を含む4日間の日程で東京電力福島第一原発を訪問するが、日本政府の反対により「試料採取」などによって韓国政府が汚染水の安全性を独自に検証する道は閉ざされた。視察団の限界は非常に明確だが、今年の夏ごろに海に放出される汚染水の安全性を検証するために、詳細に検証すべき3つのポイントをここで取り上げる。視察団が現場を見て回った後もこれといった意見を表明しなければ、韓国は日本の汚染水放出を黙認したという誤ったメッセージとして国際社会に伝わる恐れがある。福島産の水産物を輸入することになるという「最悪の結果」へもつながりうる。

(1)基準値以下は2.8%のみ、ALPSの性能は十分か
 福島第一原発の汚染水の海への放出の最大の争点は安全性だ。現在、汚染水は1060基を超える巨大なタンクに収められている。この汚染水は多核種除去設備(ALPS・アルプス)を通すことで少なくとも1度の浄化を経ているが、その70%ほどには依然としてセシウム、ストロンチウム、ヨウ素などの生命体に致命的な影響を及ぼす放射性物質が基準値以上含まれている。日本政府はこれをALPSで複数回浄化し、放射性物質の濃度を法定基準値以下に下げてから、今年の夏ごろに海に放出する計画だ。
 日本政府や東京電力は韓国視察団を、1千基以上ある汚染水タンクのうち、2年以上にわたってALPSによる浄化を繰り返し、法定基準以下に抑えた水の入っているタンク(30基、2.8%)に案内する可能性が高い。これまでに台湾、そして太平洋の18の国と地域が加盟する太平洋諸島フォーラム(PIF)も、30基の一部である「K4」タンク群を視察している。韓国視察団は、東京電力がすでに検証済みのタンクのみを見学する程度にとどまる可能性が高い。
 この1年間、汚染水の安全性を独自に検証してきた太平洋島国は、このような不安要因があることから日本政府に「放出の延期」を要請している。彼らは今年2月の声明で、「貯水タンクの複雑さと巨大さという特性を考えると、これまでに行われたALPS処理水テスト量では、適切で十分な結果が得られない。海への放出の必要性を判断するに足りない」と指摘している。韓国視察団は、日本が見せようとしてくるごく少数の「安全な」水のタンクに埋没することなく、ALPSの性能を徹底的に把握するとともに、東電に汚染水総体の危険性を管理する能力があるのかを判断しなければならない。

(2)事故前に比べ10倍のトリチウム、生物学的安全性は?
 2つ目の検証ポイントは、ALPSでは除去できないトリチウム(三重水素)の安全性だ。原発からはトリチウムが排出される。各国はそれぞれ定められた基準に則ってこれを排出する。日本は、2011年3・11の福島第一原発事故の前には年間2.2兆ベクレル(Bq・放射性物質が1秒に何回崩壊するかを表す単位。2010年)に達するトリチウムを海に放出していた。しかし今夏に放出が始まれば、その10倍の年間22兆ベクレルが海に注がれる。東京電力は、福島第一原発に保管中の132万トンの汚染水にはトリチウムが約860兆ベクレル含まれていると推定している。最近も汚染水は毎日90~140トン増加しているため、少なくとも40年以上にわたって海に流さなければならない。
 トリチウムの安全性をめぐっては諸説紛々。原子力の専門家は概して「特に影響はない」と主張するが、非常に憂慮している生物学者も多い。米サウスカロライナ大学のティモシー・ムソー教授(生物学)は先月、国際環境団体「グリーンピース」が主催した記者会見で「トリチウムの生物学的影響を扱った論文を全数分析したところ、複数の論文で、トリチウムの生物学的な遺伝子損傷の大きさが代表的な放射性物質であるセシウムの2倍以上であることが繰り返し確認された」と強調している。
 日本政府と東京電力がトリチウムの生物学的影響をどれほど検証したのかは、まったく知られていない。40年を超える長期的影響は、まだ人間の知恵が届かない未知の領域だ。東京電力は昨年9月から福島第一原発内で、トリチウムを海水で希釈した汚染水でヒラメやアワビなどを育てており、その飼育場を視察団に見せている。生物に対する影響をどのように観察・追跡するつもりなのか、調査を徹底すべきだ。

【写真】PIF事務局と彼らの諮問を受ける独立的な研究陣は今年2月に福島第一原発を現場視察した。彼らは2年以上にわたってALPSでの浄化を繰り返し、法定基準以下に抑えた「K4」タンク群を視察した=東京電力ウェブサイトより//ハンギョレ新聞社

(3)海への放出以外に方法はないのか
 放射能汚染水の海への放出は、日本と隣接していて魚の消費量の多い韓国にとっては致命的だ。放出が始まれば、韓国の漁業者が特に大きな打撃を受けうる。日本においても同じ理由で、海への放出に代わるもう少し安定的な代案を探るべきだとする声が絶えない。時間はまだ残されている。東京電力は当初、汚染水タンクは今年の夏から秋にかけて満杯になると予想していたが、降水量の減少や汚染水低減政策などの影響でその時期は来年2~6月まで引き延ばされた。
 日本の漁業者と市民社会団体は、汚染水を10万トン級の超大型タンクに貯蔵する方法や、汚染水にセメントや砂などを混ぜて固体として保管する「モルタル固化」を提案している。日本の民間シンクタンク「原子力資料情報室」の共同代表を務める伴英幸さんも10日の韓国国会での討論会で「10万トン級のタンクは世界各国で石油の備蓄に使われるなど検証済み。モルタル保管法も他の核施設で実施されている技術だ。海洋放出だけが唯一の方法ではない」と述べている。専門家が含まれる視察団であるだけに、このような声も幅広く受け入れ、汚染水の放出を止めうる生産的代案を提示すべきだ。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-17 06:00


「The Hankyoreh」 2023-05-18 05:41
■「汚染水採取は国際機関と日本が」…日本の方針に視察団の役割合わせる韓国政府
 ハン・ドクス首相は17日、福島第一原発の汚染水の安全性検証について、「試料(汚染水)を採取してのその場での検査は国際原子力機関(IAEA)と日本が行っている」と述べた。23~24日の福島第一原子力発電所視察を前に、韓国の専門家視察団が直接汚染水を採取できないことを再確認したもので、政府自ら視察団の活動の幅を制限している格好だ。
 ハン首相はこの日、政府世宗(セジョン)庁舎での記者懇談会で、「(韓国視察団は汚染水の浄化と放出の)手続き、施設、計画、結果などに合理性があるかどうかを判断するというのが最も大きな役割」だとしつつ、上のように述べた。
 同席したパン・ムンギュ国務調整室長も「視察団が直に汚染水試料を採取できないため、(検証の)実効性には疑問が提起される」と記者団に問われ、「すでに採取した試料をIAEAの3つのラボと加盟国の中の一定の基準を備えた4カ国(米国、韓国、フランス、スイス)が共有して交差検証しているが、韓国だけが(視察団が現地に)行ってそれとは別に試料を採取すると要求するのは行き過ぎの面がある」と述べた。12日にも国務調整室、外交部、原子力安全委員会などが「韓国が処理水を採取すると言えば、IAEAなどの国際機関の信頼を傷つける」と述べている。
 パン室長は、視察団に民間の専門家が含まれていないと指摘され、「政府が出資する研究機関や政府機関にいらっしゃる方々のほうが、民間の専門家よりも専門家であることもありうる」、「(民間の専門家の参加は)代表性問題などの非常に複雑な問題へと広がりうる」と答えた。汚染水採取の不可と民間専門家の参加に対する反対は日本政府の方針だ。
 一方、韓日の外交当局はこの日、福島第一原発への韓国視察団派遣に関する2回目の実務会議をオンラインで実施した。
ソン・ダムン、シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-17 16:07 


「聯合ニュース」 2023.05.14 14:42
■韓国原子力安全委トップ 福島視察団は「説明を聞きに行くだけではない」
【釜山聯合ニュース】韓国の原子力安全規制を担う独立機関、原子力安全委員会の劉国熙(ユ・グクヒ)委員長はこのほど南部・釜山で記者会見し、東京電力福島第1原発の処理済み汚染水に関する視察団派遣について「単に日本側の説明だけを聞きに行くのではない」と述べた。
 韓日は同原発の処理済み汚染水の海洋放出を巡り、韓国の専門家による視察団派遣で合意したが、韓国では日本の説明を一方的に聞くことになるのではないかとの懸念もある。劉氏の発言はこれを否定し、具体的な事項について直接確認するとの意味と受け止められる。
 同委員会傘下機関の韓国原子力安全技術院(KINS)は日本政府が2021年4月に処理済み汚染水の海洋放出計画を発表すると、同年8月に専門家によるタスクフォース(TF、作業部会)を立ち上げ、関連情報を分析、検討してきた。
 劉氏は、視察団にKINSの専門家も参加し、日本側に直接、疑問点を確認すると説明。視察対象と範囲が重要だと指摘🅂した。


「聯合ニュース」 2023.05.14 09:56
■福島原発視察団 韓国の独自検証に必要なデータ確保が重要
【ソウル聯合ニュース】韓日両国は東京電力福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出を巡る韓国視察団の現地派遣を4日間の日程で実施することで合意したものの、視察する施設など詳細については依然調整を続けている。
 韓国の原子力専門家たちは14日、日本が汚染水の海洋放出のため構築した設備とシステムがどれだけ信頼できるかを重点的にチェックすべきと、視察団に助言した。
 韓国政府は韓国原子力安全技術院内で汚染水問題の検証チームを立ち上げ、日本の海洋放出計画の信頼性を独自にチェックしている。同検証チームに役立つ主要なデータを、視察団が現地で得ることが重要という。
 現地で汚染水を採取・測定するより、放出後のモニタリングシステムや透明な情報公開の有無などを確認することが現実的という意味だ。
 日本の放出施設が長く安全性を維持できるかどうかを確認することも重要とみられる。
 国際原子力機関(IAEA)は放射線の側面で検証を行っているだけに、20年以上の放出が予定された施設に対する検証は疎かになる可能性があるためだ。
 政府は今回の視察団の訪日について、海洋放出全般の安全性を検討するとしている。このため、政府内の原子力専門家20人前後で視察団を構成すると発表した。ただ、同問題を巡る韓日局長級協議は視察計画の詳細について合意できず終わった。後続協議では韓国の専門家たちが望む視察施設計画を日本側と合意することが重要になるとみられる。
 原子力分野の関係者は「専門家が視察団として派遣されても、現地で視察できる施設が限定的なら検証はできない。必要な視察ができないまま訪日すれば、視察団に非難の矢が浴びせられる懸念もある」と指摘する。


「The Hankyoreh」 2023-05-13 07:18
■韓国政府、原発汚染水視察団の派遣前に態度軟化…「見学団」に転落する恐れも

【写真】2日、パク・クヨン国務調整室第1次長が政府ソウル庁舎で福島原発汚染水に関する専門家現場視察団についてのブリーフィングを行っている/聯合ニュース

 韓日外交当局が12日に局長級実務協議を開き、23~24日に福島第一原発汚染水をめぐる現場視察団の派遣と関連した具体的な内容を話し合ったことを踏まえ、視察団の大筋が決まりつつある。韓国政府は安全規制分野の専門家20人前後の規模で視察団を構成し、汚染水の海洋放出過程に対する安全性を検討する計画だが、日本が民間専門家の派遣に否定的なうえ、今回の視察が関連施設を目で見て回る「現場確認」の性格であることから、視察団の派遣をめぐり、日本政府の汚染水海洋放出の名目作りを手助けすることになるという批判世論がさらに激しくなるものとみられる。
 パク・クヨン国務調整室第1次長は同日、政府ソウル庁舎でブリーフィングを開き「今回の視察活動の目的は海洋放出過程の全般にわたり安全性を検討するためのもの」だと述べた。さらに「汚染水の浄化および放出施設全般の運営状況と放射性物質分析力などを直接確認し、我々の科学的・技術的分析に必要な情報を把握する計画」だと付け加えた。
 しかし、このような説明とは異なり、視察団は汚染水の浄化と放出施設全般の運営状況を「現場で確認」することにとどまる見通しだ。安全性の検討の核心は汚染水の試料採取と分析だが、韓国政府には試料採取の計画がないためだ。
 日本側の立場も変わらない。日本外務省は前日発表した報道資料で、韓国政府の視察団の派遣について、「多核種除去設備(ALPS)処理水の現状に関する韓国政府向け説明会」だと説明した。視察団派遣が原発汚染水の安全性に対する評価・検証のための性格ではなく、事実上見学に近いという趣旨だ。西村康稔経済産業相も9日、閣議後の定例会見で、韓国視察団の目的について「あくまで韓国側の理解を深めてもらうための対応で、処理水(汚染水)の安全性について評価や確認を行うものではない」と述べた。
 視察団が訪問の結果を基に検証結果を導き出しても拘束力がないという点も限界だ。パク次長は「主権国家がある行為をするのにあたって、それ自体を他の国家が決めるシステムはない」と述べた。
 特に、日本は韓国の視察団に民間専門家や市民団体が含まれることにも反対している。「日本が視察団の派遣を国家対国家の問題とみているため」というのが政府の説明だ。しかし一方では、政府の影響から相対的に自由な民間専門家や市民団体の場合、日本に友好的な現政権の方針とは異なる声をあげる可能性があるという点で、日本政府が難色を示しているという分析もある。政府は視察団を政府関連機関および傘下機関の原子力安全・海洋環境などの分野の専門家を中心に20人前後で構成するものとみられる。
 韓日関係専門家の保坂祐二教授(世宗大学)は、ハンギョレとの電話インタビューで、「福島原発汚染水問題について鋭く指摘できるのは官僚ではなく市民団体や専門家だ」とし、「1泊2日という短い日程で政府関係者が視察に行くというのは、日本の論理を支える脇役を演じることに他ならない」と指摘した。
 この日の実務協議で、韓日当局は現場視察に臨む韓国専門家視察団の日程と、彼らが見学する施設などを具体的に調整したという。韓国側は外交部のユン・ヒョンス気候環境科学外交局長が、日本側は外務省の海部篤外務省軍縮不拡散・科学部長が首席代表を務めた。視察団が日本に滞在する期間は、福島原発を見学する1泊2日を含め、少なくとも3泊4日になるという。
シン・ヒョンチョル記者、東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-13 02:30


「韓国経済新聞/中央日報日本語版」 2023.05.13 10:15
■【福島汚染水は安全か】韓国専門家が分析…放出より合理的な方法を探すべき
 徐鈞烈(ソ・ギュンリョル)/ソウル大学原子核工学科名誉教授

 日本政府は福島原発の放射性汚染水を浄化し、今年下半期から30年間にわたり海に放出すると発表した。セシウムなど62種の放射性物質を「多核種除去設備(ALPS)」で除去した処理水は安全だというのが日本政府と東京電力の立場だ。国際原子力機関(IAEA)と米国はこうした計画を承認した。しかし韓国・中国・台湾など周辺国は強く懸念している。ALPSではトリチウム(三重水素)を処理できず、浄化した汚染水を長期間にわたり海に放出する場合、生態系にいかなる影響を及ぼすか分からないという理由からだ。韓日両国は今月初めの首脳会談での合意に基づき、23、24日ごろ20人ほどの専門家で構成された現場視察団を福島に派遣する。これを控え、中央SUNDAYは処理水の安全性をめぐる論争について専門家の意見を聞いた。
 福島原発は原子炉内の核反応は止まったが、継続する崩壊熱と間欠的な再臨界でまだかなりの輻射熱と放射線を出している。さらに原子炉の配管系統が破損し、あちこちから冷却水が漏れていると推定される。冷却水は穴が開いた原子炉と広がったコンクリートの床を通って原発の下を流れる地下水と混ざり、今日、1000基以上の貯蔵容器に130万トンを超える放射性汚染水が積もることになった。
 このように深刻な状況で福島汚染水を太平洋に放出するには、短中長期的に生態環境に及ぼす影響に関する客観的、保守的、体系的な深い分析が先行されるべきだが、日本政府はそのようにしなかった。事故当時から2013年のALPS作動前後まで相当量の放射性物質が海に流れて発生した海洋汚染の深刻性と、事故前後の長期的な海洋生態系影響に関する詳細な調査結果は不在または未公開だ。
 環境影響評価には長期的な放射性物質排出による海底局部的な濃縮と生物学的濃縮を考慮した食物連鎖評価が含まれるべきであり、環境に及ぼす影響は十分な保守性を考慮して深層分析する必要があるが、東京電力はそのようにしなかった。セシウム、ストロンチウム、プルトニウム、アメリシウムなどは少量でも大量被ばくが可能だが、放出すれば韓国よりも日本東部の海岸が深刻に汚染するだろう。
 特に3号機にはウランとプルトニウムの混合燃料が使用され、極微量でも致命的な核種が多いが、貯蔵容器内の核種分布調査もまともに行われていない。汚染水を排出する場合、こうした成分はALPS除去を通じて長期的に環境の危険増加に影響を与えてはならず、これを公開的かつ透明に立証しなければならない。
 一方、「福島汚染水放出は国際基準に合う」という内容のIAEAの第4、5次報告書発表に関しては、海洋放出の代わりに陸上貯蔵など環境被害を最小化する代案を模索しなければならないだろう。環境汚染評価は核工学でなく生物、化学、医学、水産学、海洋学の範疇に属する。
 今からでも海洋放出より合理的な方法を模索し、環境被害を最小化する方法を探さなければいけない。これは韓国と日本、中国、台湾、オーストラリア、ニュージーランド含む太平洋諸島が連帯する時に最大の効果を期待できる。
 筆者は12年前の福島原発事故直後、事故電算解析と仮想現実を融合・複合した3次元シミュレーションを遂行した。2次元の計算結果を3次元に拡張し、米国のスリーマイル島2号機の非対称事故の進行に重ねれば、日本の汚染水放出は「放出」でなく「投棄」レベルということが判明する。保管している汚染水は毎日流れ出る地下水と汚染した海水で薄める量を含めると、実際の投棄量は東京電力の発表より200倍ほど多い。
 シミュレーションの結果、1号機が溶けて原子炉内部にあった相当量の放射性物質が地下水とともに海に流れるのを確認した。この結果は4月の日本原子力規制委員会の報告書で事実と判明した。事故から12年目にだ。
 投棄されれば放射性核種は海洋全域に広がり、大気に飛んで、深海に沈むだろう。特に日本東部の海岸に沿って最高濃度を示すと推定される。セシウム137とストロンチウム90が完全に除去されない場合、がん発生頻度は10万人あたり33人にのぼると予測される。半面、セシウム137とストロンチウム90が完全になくなり、トリチウムだけが残れば、10万人あたり1人を下回ると推定される。
 したがってカギは汚染水保管容器内の底にたまっている水と沈積土、腐食物、毒劇物を含めて基準値を超える汚染物質がどれだけ残っているかにある。現在構成されているという韓国の専門家視察団は汚染水のほか、近隣海水、魚介類、底魚類、海草類、堆積物などをできるだけ多く採取し、放射線量を測定して分析するため、徹底的な事前企画が求められる。
 
    
「The Hankyoreh」 2023-05-12 09:05
■韓国与党「『汚染水』でなく『汚染処理水』とすべき」…批判広がる
 福島第一原発の汚染水放出問題で党内からも批判

【写真】環境保健市民センターと環境運動連合海委員会のメンバーが3月22日、光化門広場で、尹錫悦大統領と日本の岸田文雄首相が野合して福島第一原発の汚染水を海洋放出するパフォーマンスを繰り広げている=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓国政府は福島第一原発の「汚染水」という用語を「処理水」に変更することを検討しているが、与党からも「『汚染処理水』というの正しい」と主張する声があがった。これに対し、野党はもちろん、与党内部からも批判の声が相次いでいる。
 与党「国民の力」の「わが海保護検証タスクフォース(TF)」委員長を務めるソン・イルチョン議員は11日、ハンギョレの電話取材に対し「(日本の原発汚染水浄化施設)ALPS(多核種除去設備)という機器でろ過された汚染水の正確な用語は『汚染処理水』」だとし「処理された水まで汚染水とは言えない。(日本が)海に放出しようとしているのは処理された水」だと述べた。同党のハ・テギョン議員も、同日の韓国放送(KBS)のラジオの番組で、「(汚染水という)用語の訂正がまず必要で、厳密には『汚染処理水』」だとし、「汚染水を一度ろ過した汚染処理水について、IAEA(国際原子力機関)は放出できるほど浄化されているかどうかを確認するのであり、(23~24日ごろに福島第一原発を現場視察する)韓国視察団は(このような)処理過程を検証するもの」と述べた。
 このような主張に対して、党の内外から批判の声があがっている。国民の力のイ・ジュンソク前代表はこの日、自身のフェイスブックで「北朝鮮から飛んでくるものは誰かがいくら発射体と名を変えようとしても、国民はそれがミサイルであることを知っていた」とし「日本が放出するものの名前を何に変えようと、国民の考えは大きくは変わらないだろう」と述べた。同党のホ・ウナ議員もフェイスブックで「原子力安全委員会には『汚染水』という名称を変更する計画はない。まだ韓国の調査団が日本に行ってもいないし、きちんと直接確認したことも一つもない」とし「なのに『汚染水』を『処理水』とあらかじめ答えを定めておいて変えようとするのはなぜか。国民が不安に思っているのに、フレームを換えて何を得ようとしているのか」と述べた。
 共に民主党のパク・ソンジュン報道担当はこの日の書面ブリーフィングで「いったい誰のために放射能汚染水を汚染処理水と呼び換えようというのか。政府は日本の放射能汚染水の海洋放出を支援しようとしていると考えるしかない」と述べた。そして「用語変更は日本の要請なのか。それとも尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の日本に対する善意なのか」と付け加えた。
ソン・ヒョンス記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-11 19:29


「中央日報日本語版」 2023.05.12 07:47
■韓国政府「汚染処理水」用語変更検討すると与党議員も同調
 韓国与党「国民の力」は11日、福島原発「汚染水」を「汚染処理水」と呼び始めた。
 同党の関連TF(タスクフォース、作業部会)で委員長を務めている成一鍾(ソン・イルジョン)議員はこの日、SBS(ソウル放送)のラジオ番組『キム・テヒョンの政治ショー」に出演し、インタビューの中で「外に放流する水については処理して出ていくものなので汚染処理水と表現するのが妥当ではないか」と話した。
 これに先立ち、同TFは今月5日の第1回会議でも「汚染処理水」という用語を使うことが適切だという意見を交換したという。
 このような成議員の発言は前日政府関係者の発言ともつながっている。
 福島汚染水関連の協議に精通した政府消息筋は10日、中央日報に対して「現在日本が福島原発敷地内のタンクにアルプス(ALPS・多核種除去設備)を通過させて主要な放射能物質などを除去した水を保管しているが、排出基準に合うように処理された水が約30%、今も汚染されたままの水が残りの70%程度」とし「ただし今後処理比率が高まれば汚染水を処理水に変えて呼ぶのが合理的なので用語修正を検討している」と話した。
 成議員は「アルプスという多核種を取り除く機器がある。この機器は文在寅(ムン・ジェイン)政府でも検証しており、国際原子力機関(IAEA)が主軸になってすべて検証してテストしている」とし「国際法的に基準値以下になった時、その水を外の海に放流するということ」と説明した。
 成議員はBSE(牛海綿状脳症)・THAAD(高高度防衛ミサイル)電磁波事例などに言及して「科学の領域を政治の汚染された領域に引き込んで残した悪い先例がある」と指摘して「政治的目的のために科学を汚染させたり科学を否定したりするなら、われわれ大韓民国は文明国家とは言えない」と話した。
 同党の河泰慶(ハ・テギョン)議員もこの日KSBラジオ番組『チェ・ギョンヨンの最強時事』に出演し、「用語訂正から必要。厳密にいえば汚染処理水」とし「汚染水を放流してはいけない」と話した。
 河議員は「汚染水を一度浄化した汚染処理水に対して、IAEAは汚染処理水が放流するほどの程度に濾過されているのか、浄化されているのか。これを見るものであり、われわれ韓国視察団はその処理過程を検証すること」と説明した。
 反面、同党の李俊錫(イ・ジュンソク)元代表はこの日、自身のフェイスブックに「北朝鮮から飛んでくるのは誰かがいくら発射体と名前を変えようとも国民はそれがミサイルであることを知っている」とし「日本が放流するものの名前をどのように変えても国民の考えは大きく変わらないだろう」と掲載した。
 野党は「用語変更は日本の要請か、でなければ尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の日本に対する善意か」とし「科学的な検証が行われる前に用語変更はできない」という立場を出した。


「中央日報日本語版」 2023.05.12 07:19
■「日本と近くなり市民の不安も大きく」…釜山市、視察団に同行要請=韓国

【写真】釜山機張郡機張邑(プサン・キジャングン・キジャンウプ)に建てられた海水淡水化施設が2014年12月の完工以降、トリチウムなどの放射能不安で水を供給できないまま放置されている。[中央フォト]

 釜山市(プサンシ)が福島に派遣する原発汚染水視察団に地方政府が推薦する専門家を同行させてほしいと韓国政府に要請した。視察結果の信頼性を高めるほか、日本とも隣接し、海洋関連の産業を主力としている釜山・蔚山(ウルサン)・慶南(キョンナム)地域の住民の心配を解消できるようにしてほしいという趣旨だ。

◇「地方政府にも不安感解消の役割を」
 11日、釜山市によると、市は9日、公文書「福島汚染水現場視察団地方自治体専門家参加建議」を国務調整室に送った。この公文書で釜山市は「福島原発汚染水視察団は国民の不安解消に大きく寄与するだろう」としながら「特に汚染水放流時期が近づいてきて地理的に日本と近い釜山と蔚山・慶南は他の地域より市民不安が大きい」と明らかにした。これに対して福島汚染水イシューを管理・対応してきた釜山市推薦の専門家が視察団に合流して不安解消などの役割を果たすことができるようにしてほしいと訴えた。
 2011年3月の大震災と津波の余波で福島第一原子力発電所で放射性物質漏れ事故が起きてから、日本と近い釜山では「放射能フォビア」に近い不安が芽生えた。国内最大の水産委託販売所である釜山共同魚市場などがあり、産業構造も放射能に鋭敏だ。

◇釜山10人中8人「放射能濃度変わらなくても危険」
 釜山市傘下の釜山研究院が市民を対象に行った認識調査(調査期間今年1~2月・対象1840人)の結果では不安が依然と強いことが現れた。福島汚染水が放流されれば釜山沿岸の放射能濃度に変化がなくても「危険」と感じている比率は79.5%に達した。放流される汚染水に対する共同調査などが必要だという世論(49.5%)も高かった。
 専門家は「科学的な根拠により判断する問題」としている。韓国科学技術院(KAIST)原子力および量子工学科のチョン・ヨンフン教授は「福島から放流後、数キロ流れるだけでトリチウム(三重水素)の濃度は1リットル当たり1ベクレル程度で普通の淡水水準になる」としながら「韓国の淡水には1リットル当たり1ベクレル程度のトリチウムが検出され、ソウル市民の小便を検査してもトリチウムが1リットル当たり1~2ベクレル検出される」と説明した。
 チョン教授はまた「福島放流区前のトリチウム濃度の上限ラインは1リットル当たり1500ベクレル」とし「この放流数を一日2リットルずつ365日飲めば被爆量は清浄海で育ったアワビを1つ食べたあと、それに含まれた放射性ポロニウムで被爆を受ける量と同じ水準になる」と説明した。チョン教授は「今回視察団を派遣することになったので、放流水の情報を確認すればよい」と付け加えた。
 一方、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と岸田文雄首相は7日の首脳会談を終えた後、韓国専門家で構成された視察団が福島県現地放流態勢などを視察することで合意したと明らかにした。視察団は12日から日本側と実務協議を経て23~24日に福島第一原発に派遣される。汚染性・安全性を検証する国際原子力機関(IAEA)の最終報告書は来月発表される予定だ。
 これに関連して、韓国政府は「処理水」への用語修正を検討している。福島汚染水関連の協議に精通した政府消息筋は10日、中央日報に「現在日本が福島原発敷地内のタンクにアルプス(ALPS・多核種除去設備)を通過させて主要放射性物質などを除去した水を保管しているが、排出基準に合うように処理された水が約30%、依然と汚染された水が残りの70%程度」とし「ただし今後、処理比率が高まれば汚染水を処理水と変えて呼ぶことが合理的なので用語修正を検討している」と話した。


「聯合ニュース」 2023.05.11 16:40
■「汚染水」の名称変更 「検討していない」=韓国外交部
【ソウル聯合ニュース】韓国の外交部当局者は11日、政府が東京電力福島第1原発の処理済み汚染水を日本で使用する名称の「処理水」に変更することを検討しているとの報道について、「政府は一貫して汚染水としており、変更は検討していない」と明らかにした。
 東京電力は汚染水を多核種除去設備(ALPS)で浄化し、原発の敷地内のタンクに保管している。日本政府と東京電力は汚染水を浄化処理すればセシウムなど大半の放射性物質が取り除かれると説明しているが、トリチウム(三重水素)は残る。
 日本政府はトリチウム濃度を放出基準の40分の1の1リットルあたり1500ベクレル未満に薄め、海に放出する計画だ。


「聯合ニュース」 2023.05.09 15:15
■韓日首脳会談 「汚染水放出の名分作り」と批判=韓国市民団体
【ソウル聯合ニュース】韓国の市民団体「歴史正義と平和な韓日関係のための共同行動(韓日歴史正義平和行動)」などは9日、国会で記者会見を開き、7日にソウルで開かれた韓日首脳会談について、「日本の汚染水投棄(海洋放出)のための名分作りにすぎなかった」と批判した。

【写真】韓日首脳会談が開催された大統領室付近で会談に反対する集会を行う市民団体=7日、ソウル(聯合ニュース)

 また、「肝心なのは日本の真摯(しんし)な謝罪と反省の表明だったが、結局、一言の謝罪もない『手ぶら』会談に終わった」と指摘。岸田文雄首相が徴用問題を巡り、「当時、厳しい環境で多数の方々が大変苦しい、悲しい思いをされたことに心が痛む思いだ」と発言したことについては、「心が痛むという表現が本心なら謝罪せよ」として、「日本の植民地支配を謝罪せず、強制動員を認めないままでの韓日関係改善は屈辱だ」と主張した。
 東京電力福島第1原発にたまる処理済み汚染水の海洋放出問題を巡り、韓国の視察団を現地に派遣することに合意したことに関しても、「具体的な計画のない視察は韓国が日本の汚染水放出を理解したものとして利用される」とし、「形だけの視察団派遣ではなく、共同調査団を構成し、福島産水産物の輸入禁止を正式な措置に転換すべきだ」と求めた。


「The Hankyoreh」  2023-05-09 09:20
■[社説]「福島原発汚染水の視察」、放出・水産物輸入の口実にはならない

【写真】太平洋島しょ国18カ国が集まった「太平洋諸島フォーラム」(PIF)事務局と彼らを諮問している独立的な研究陣は今年2月、福島第一原発を訪問し、現場視察を行った=東京電力ホームページよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 韓日首脳会談での合意によって、韓国政府は、日本の福島第一原子力発電所の汚染水海洋放出に関する状況を調べる専門家視察団を23~24日に派遣することにした。だが、韓国の専門家らの「視察」が、汚染水放出を押し切ろうとする日本政府の名目作りに利用され、福島産農水産物の輸入再開の圧力につながるのではないかという懸念が強まっている。
 日本政府が国際原子力機構(IAEA)レベルではなく個別の国家に視察を許可したのは、台湾と太平洋島しょ国18カ国が集まる「太平洋諸島フォーラム」(PIF)に続き韓国が3番目だ。問題は、台湾とPIFが昨年と今年に福島県庁を訪問したときは、担当者の説明を聞き、汚染水貯蔵タンクや多核種除去設備(ALPS)、海底トンネルなどを見学するという過程で終わったという点だ。日本側が見せたい場所と資料を見ることができるだけであって、別途の自主的な検証は不可能だった。今回、個別視察まで進めた韓国政府が安全性について具体的な問題を提起できなければ、高濃度の放射性物質が混ざった汚染水をALPSで浄化処理した後、今年夏に福島近海に放出するという日本政府の計画に「正当性」を付与するだけになる。
 よりいっそう懸念されるのは、韓国の適切な検証なしに今夏に海洋放出が始まれば、これまで守ってきた福島産農水産物の輸入禁止の原則も揺らぐことになるという点だ。日本政府は、福島が安全ではないというイメージが続くのは、各国の農水産物輸入禁止の影響が大きいとみて、執拗なほど解除を要求してきた。その結果、当初規制をしていた55の国・地域のうち、現在でも輸入を禁止している国は、韓国や中国など5カ所にすぎない。韓国はこれについて、世界貿易機関(WTO)でも日本に勝訴したが、汚染水放出に対して適切に問題を提起できず、輸入禁止の名目も失うことになる厳しい状況に直面した。
 「韓日関係改善」だけを叫び、日本の要求を無条件に受けいれてきた尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権を見つめる世論の懸念は強まっている。国民の健康と安全、海と水産業の未来がかかわる問題まで、日本に一方的に“大盤振る舞い”をするという状況は、絶対に容認できない。政府はまず、検証団を適切に編成し、安全性を確認するまでは汚染水を放出しないという約束を日本から受けなければならない。独自検証の後には、汚染水放出の延期を日本政府に正式に要求した太平洋18カ国など国際社会との連帯の可能性も視野に入れなければならない。
(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-09 02:38


「The Hankyoreh」   2023-05-09 07:26
■韓国政府、福島第一原発視察→福島産輸入再開の「罠」にかかるか
 共同調査より安全広報見学に近く 
 水産物の危険イメージ、韓国のせいにする日本  
 視察後、汚染水の放出を黙認すると解釈する可能性も
 韓日首脳が7日、東京電力福島第一原発に韓国視察団を派遣することで合意したことと関連し、ともすれば日本の汚染水の海洋放出を正当化し、これまで禁止してきた農水産物の輸入を再開せざるを得ない「罠」にかかりかねないという懸念の声があがっている。 これを避けるためには、視察後、韓国政府がこれまで蓄積した分析資料をもとに汚染水の放出に対して「反対」あるいは「延期」のような明確かつ一貫した立場を示す必要があるものとみられる。
 外交部は8日、福島第一原発への韓国視察団の派遣に関し「近いうちに韓日局長級協議を行い、23~24日の視察団派遣に関する具体的な内容を話し合う」とし、「現場視察団は政府関連機関と傘下機関の専門家で構成する予定」だと明らかにした。
視察が急ごしらえで決まったためか、政府は同日から急いで実務準備に入っている。 大統領室当局者は首脳会談が終わった後、記者団に「今回の視察は単に見て回ることを意味するわけではないようだ」とし、「(汚染水に含まれた)物質や成分について一緒に調査できるのではないか」という期待をにじませた。

【写真】太平洋島しょ国18カ国が集まった「太平洋諸島フォーラム」(PIF)事務局と彼らを諮問している独立的な研究陣は今年2月、福島第一原発を訪問し、現場視察を行った=東京電力ホームページよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 だが、日本がこれまで個別国家に認めた視察の前例からすると、これは現実とはかけ離れた「一方的な期待」であることが分かる。 日本が国際原子力機関(IAEA)の他に視察を許可したのは、台湾(昨年3月11日)と太平洋島しょ国18カ国が集まった「太平洋諸島フォーラム」(PIF)事務局(2月)の2カ所だけだ。
 一日かけて行われた当時の視察は、5段階で行われた。 まず、東京電力の担当者が多核種除去設備(ALPS)で浄化した汚染水の排出など全般的な過程を説明した後、現場を訪れる。 その後、海洋放出前に汚染水内の放射性物質の濃度を測定する「K4」タンク、タンクと海をつなぐ1キロメートルの海底トンネル現場、希釈された汚染水で育てるヒラメとアワビの飼育試験場を見学する。 最後に、海洋放出後の影響を分析する日本原子力研究開発機構(JAEA)の大熊分析・研究センターを訪問する。
 共同調査というより汚染水の海洋放出が安全だという東京電力の広報内容を体験する見学に近い。 東京電力は地域住民や一般人、企業、ジャーナリスト、市民団体などを対象に同様の事業を行っている。
 このような見学性の視察から帰ってきて、政府が今のように沈黙を守った場合、韓国が日本の汚染水放出計画を事実上黙認したという誤解を招きかねない。 さらに、2011年3月の福島原発事故以来10年以上続いてきた「福島産農水産物の輸入禁止」原則を自ら崩す最悪の状況に追い込まれる可能性もある。
 韓国は福島原発事故により放射性物質が流出した日本の沖合を「潜在的危険」と主張し、2019年4月、世界貿易機関(WTO)の紛争解決制度において勝訴した。 ソウル大学のソ・ギュンリョル教授(原子核工学)は、ハンギョレとの電話インタビューで、「海洋放出が1~2カ月後に迫った状況で、韓国側が反論できる確実な資料や論理を持っていなければ、ただうなずいて帰ってくることになる」とし、「日本がこれを利用して福島産水産物などの輸入制限を撤廃するよう圧力をかけるだろう」と懸念を示した。

【写真】福島第一原発敷地内のタンクに保管中の放射性物質汚染水/AP・聯合ニュース
【写真】東京電力が昨年から公開している希釈された汚染水で育てるヒラメとアワビの飼育試験場は、台湾と太平洋島しょ国の視察過程にも含まれていた/聯合ニュース

 日本は福島水産物が安全でないというイメージが作られたことを、これまで輸入禁止措置を続けている韓国などのせいにしている。 日本の農林水産省の資料によると、福島原発惨事以降、55カ国と地域が輸出規制に乗り出したが、これまで輸入自体を禁止している国は韓国や中国など5カ国のみ。 中国は汚染水の海洋放出に強く反対する立場を示しており、汚染水の影響を真っ先に受ける太平洋島しょ国は「放出の延期」を求めている。
 しかし、韓国は「国民の健康」に言及しながらも、放出については曖昧な立場を守っている。 国際通商専門家のソン・ギホ弁護士は同日、資料を発表し「政府はこの2年間で日本から汚染水の資料を4回も受け取った。しかし、これまでいかなる評価や分析結果も出していない」と批判した。

東京/キム・ソヨン特派員、シン・ヒョンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-09 02:39
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「福島第一原発の汚染水…捨てるな、陸上に保管せよ」

2023年05月24日 | 
「The Hankyoreh」 2023-05-20 09:12
■福島第一原発の汚染水…捨てるな、陸上に保管せよ
 [ハンギョレ21] 
 東京電力も排出被害認め、日本の漁業者への賠償を準備 
 韓国政府は韓国への影響の分析と代案も提示できず原発見物してくるだけなのか

【写真】福島第一原発の汚染水貯蔵タンクの近くで防護服を着た作業員が働いている/REUTERS

 他の分野に比べ、核エネルギー部門は用語をめぐる論争が激しい。1978年に稼動を開始した韓国初の原子力発電所である古里(コリ)1号機は、建設当時の設計寿命が2007年までと定められていた。2000年代初めの稼動期間満了後も、古里1号機を稼動しようという議論をする際に、政府は「寿命延長」という表現を使った。設計寿命の過ぎた発電所の運用期間を延長するのだから自然な表現だった。
 しかし現在、政府が使用している公式の表現は「継続運転」だ。寿命の過ぎた発電所の寿命を延長するというのはイメージが悪いため、既存の発電所を「継続運転」すると表現した方が適切だというのが政府の説明だ。しかし、マスコミや地域住民は「古里1号機の寿命延長決定」のように「寿命延長」という用語を使用することの方が多い。いくらイメージを変えようとしても、設計寿命が過ぎた原発の寿命を延ばすという事実は変わらないからだ。
 核エネルギー分野では、このように用語の整合性や現実性ではなく、国民にどのようなイメージで伝わるかを考えた名前が多い。

◆日本の放出を容認したIAEAは「原発の拡大」が目標
 日本政府が使用し続けてきた「処理水(Treated Water)」という用語も同じ脈絡によるものだ。日本政府は福島第一原発事故後、原子炉の冷却に使われたり地下水の汚染で発生したりした水を「汚染水(Contaminated Water)」、多核種除去設備(ALPS)で一部の核種を除去した水を処理水と呼んでいる。実際にはALPSでの処理を終えた水にも様々な放射性核種が含まれており、トリチウム(三重水素)のような核種はALPSでは除去できない。しかし日本政府は「汚染されていない」ことを強調することを意図して処理水という言葉を使い続けている。
 韓国政府も汚染水という用語を処理水に変更することを検討したという報道があった。韓国政府が否定したため問題は一段落したが、これは単に用語を変えるという水準の問題ではない。現在の事態をどのような視点から見つめるのかについての基本哲学が問われる問題だ。特に外交関係においては、どのような用語を選択するかは多くの意味が含まれているため、この問題を軽く考えるべきではない。
 福島第一原発の汚染水をめぐる問題は、このように複雑な問題が絡み合っている。国によって汚染水問題に対する見方が異なるということも、これを示す代表的な例だ。福島第一原発の汚染水問題をめぐってよく受ける質問の中には、「国際原子力機関(IAEA)や他国はなぜこの問題に積極的でないのか」というものがある。これも福島第一原発の汚染水をめぐる重要な争点だ。
 米国のアイゼンハワー大統領による1953年の「平和のための原子力(Atoms for Peace)」演説を契機として、1957年に作られた国際機関がIAEAだ。韓国では核兵器についての査察を行う国際機関として広く知られているが、それに先行する目的こそ「原子力の平和利用の促進」だ。そして代表的な原子力の平和利用の例が原発だ。実際にIAEAは原発を拡大するための様々な研究、開発、宣伝事業を行っている。気候危機問題を扱う国連気候変動枠組み条約の締約国会議の会場で、「原子力は気候変動の代案です」と宣伝するIAEAの広報ブースを見つけるのは難しいことではない。
 このような性格を持つため、チェルノブイリと福島第一原発の事故の影響についてIAEAは保守的な態度を堅持しており、全世界の反核団体の主な批判対象となっている。チェルノブイリ事故20周年に際して、欧州緑の党などがIAEAのチェルノブイリ報告書の問題点を指摘した「もう一つのチェルノブイリレポート(TORCH)」を発表したのが代表的な例だ。この報告書は、チェルノブイリ事故でのがんによる死者は数千人ほどに過ぎないとするIAEA報告書の問題点を指摘しつつ、がんによる死者はIAEAの評価の7.5倍から15倍にのぼると予測している。 

【写真】2021年4月30日、韓国の漁船が日本による福島第一原発の汚染水放出に反対する海上デモを行っている/REUTERS

◆韓国を含む多くの国が核廃棄物を排出中
 2020年にIAEAのラファエル・グロッシ事務局長が、日本による福島第一原発の汚染水放出について「技術的に可能であり、また国際的な慣例に沿ったもの」と発言したのも、同じ脈絡からのものだ。彼が言うように、これまで国際社会は海に多くの核廃棄物を捨ててきた。
 国際的に高レベル核廃棄物の海洋投棄が1993年に禁止されるまで、13の国が太平洋、大西洋、北極海などに核廃棄物を捨てていた。それは核兵器を保有している国だけではなく、軍事用、医療用、産業用の核廃棄物も海に捨てられていた。韓国近隣では、ロシアによる原子力潜水艦用の原子炉の東海(トンヘ)への投棄、韓国による研究用核廃棄物の東海への投棄、日本による太平洋への投棄などの例がある。大気圏での核実験は2000回以上行われており、チェルノブイリや福島で原発の事故まで発生しているため、全世界の海水からは現在、自然には存在しないプルトニウムなどの「人工放射性核種」が発見されている。人間が地球環境に影響を及ぼした地質時代を意味する人新世(Anthropocene)のマーカーに、プラスチックやニワトリの骨と共に人工放射性物質が含まれているのはそのためだ。
 幸い1993年以降、高レベル核廃棄物の投棄は止まったが、福島第一原発の汚染水のような低レベル核廃棄物の海洋投棄は今も続いている。福島第一原発の汚染水にトリチウムが含まれていることが争点になると、日本政府は韓国の月城(ウォルソン)原発に言及しつつ、韓国もトリチウムを海に捨てているとして福島第一原発の汚染水放出の正当性を主張した。原発を運用している韓国水力原子力のウェブサイトによると、月城原発以外の原子力発電所も液体または気体のかたちで核廃棄物を排出している。「あなたたちもゴミを捨てておきながら、なぜ自分たちだけにとやかく言うのか」という論理だ。事実、その表現だけを見ればそのとおりだ。IAEA事務局長の言うように、核廃棄物を捨てるのは核産業界の「長年の国際慣例」だからだ。
 そのような汚染水は、放出されても何の問題もないのだろうか。そんなはずはない。今も福島近隣では基準値以上に汚染された農水産物が出ている。2022年に日本の厚生労働省が公開した農水産物のサンプル検査の結果によれば、検査を行った3万6千点あまりの農水産物の11.0%からセシウム134などの放射性物質が検出された。放射性物質が多く検出されるのは特定の農水産物からであり、たらの芽とタケノコからは検査試料の21%、水産物ではヤマメの5.3%から放射性物質が検出された。

◆直接的な被害生む「怪談」
 福島第一原発事故が起きてから10年以上たつが、近隣地域の土壌と海はすでに汚染されている。日本政府の計画通りに汚染水が海に放出されれば、すでに汚染されている海がさらに汚染され、放射性物質が生物に濃縮される「生物濃縮」が加速する。また、このような問題が生じれば、消費者は直ちに水産物の消費を減らす。日本は水産物の消費が多い国として有名だった。2000年代以降、日本の水産物消費は減少を続け、2011年の原発事故は水産物消費の減少に決定的な影響を与えた。現在の日本の1人当たりの水産物消費量は、2000年代初頭に比べて40%ほど減少している。
 このような影響について日本政府と福島第一原発を運用する東京電力は、「風評被害」だとして努めて被害の意味を隠蔽するが、海洋汚染で食文化が変わることを単なる「風評の問題」とみなすべきなのかは疑問だ。東京電力は2022年末、汚染水の排出による風評被害の賠償基準まで設け、約5千億円(約4兆8400億ウォン)規模の賠償を準備している。風評被害は「怪談」にとどまる話ではなく、漁業者にとっては非常に直接的な被害であることを東電も認めているのだ。
 一方、韓国ではこのような被害がどれくらい生じるのか、国内の漁業者と水産業にどれほどの影響を及ぼすのかについての政府レベルの分析はない。日本では直ちに実現する被害への賠償に、韓国政府は何も手を付けていないという批判が起こらざるを得ない。
 汚染された土壌から海へと流れ込む汚染水をすべて防ぐことはできないというのなら、少なくともすでに回収してある汚染水を海に捨てないのは当然のことだ。しかし日本政府は「国際慣行」や「被害の軽さ」などを理由に汚染水の海洋放出方針にこだわっている。だがこれより大きな問題は、海洋放出が「最も安くて手軽な方法」だということだ。2016年に初めて海洋放出案が発表された際に提出された別の案(水蒸気蒸発、電気分解、地下埋設、地層処分)に比べ、海洋放出は最も安い方法だった。それもそのはず、そのために必要なものは、既存の1千基のタンクに保管されている汚染水を海に排出するためのパイプくらいだ。

◆保管場所がないという日本の論理は苦しい
 皮肉にも汚染水処理の模範的な解決策は、今のようにそのままにしておくことだ。現在、約140万トンの汚染水は1千基の貯蔵タンクに保管されている。ソウル蚕室(チャムシル)の石村(ソクチョン)湖の淡水の量は636万トンだ。現在の汚染水の総量は石村湖の4分の1ほどだ。また、2021年に完成した蔚山(ウルサン)石油備蓄基地の貯蔵容量(1030万バレル、163万トン)ほどもあれば、現在あるすべての汚染水を保管しても余る。福島第一原発の周辺地域の土壌が汚染され、現在も立ち入りが規制されていることを考えると、汚染水を貯蔵する場所がないから海洋放出しなければならないという日本政府の論理は実に苦しい。日本の市民団体が海洋放出ではなく陸上保管を主張するのも、それが汚染水放出による環境的、外交的批判を減らすための最小限の措置であるからだ。
 これまでの韓国政府の対応のあり方は、海洋放出による環境汚染をきちんと指摘できていなかったという問題もあるが、陸上保管のような根本的な代案が提示できていなかったという問題の方が大きい。日本政府の対応論理に対して、単なる「情報公開」や「懸念表明」程度にとどまっているのだ。遅れはしたものの、漁業者をはじめとする韓国国民に及ぼす影響を政府レベルで分析し、積極的に代案を提示することを改めて求める。日本政府が見せてくる内容を「評価することなく」そのまま見てくる「視察団」ではなしに、だ。

イ・ホンソク|エネルギー正義行動 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-19 00:41
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「「日本の謝罪を要求すべき」 韓国野党の論理とほぼ同じ国会立法調査処の報告書」

2023年05月19日 | 
「中央日報日本語版」 2023.05.19 10:38
■「日本の謝罪を要求すべき」 韓国野党の論理とほぼ同じ国会立法調査処の報告書
 韓国国会立法調査処が政府の日帝強制動員解決策である「第3者弁済案」に批判的な報告書を出して物議を醸している。立法調査処は報告書で、韓国政府が日本に対する歴史問題の対応方向をより積極的に説明すべきだとし、日本政府と企業の直接的な謝罪と賠償・補償の参加も要求すべきだと主張した。
 国会立法調査処は18日、報告書「強制動員被害者に関する国会の議論動向と今後の課題」を発刊した。韓国政府が3月6日に発表した「第3者弁済案」の日帝強制動員解決法の主要争点を検討するのが目的だ。「第3者弁済案」は、2018年に大法院(最高裁)で賠償確定判決を受けた強制動員被害者15人の判決金と遅延利息を、日本の戦犯企業の代わりに行政安全部傘下の日本強制動員被害者支援財団が支払う内容が骨子だ。支援財団の財源は、韓日民間の自主的な拠出を通じて確保するとしている。
 報告書は、第3者弁済案に4つの争点があると主張した。まず、被害者が政府案に同意しない場合、民法上、弁済の効力が発生しない可能性があると指摘した。当事者の意思表示でこれを許可しない場合、第三者が債務弁済を履行することができないという民法第469条の規定を根拠に挙げた。
 続いて▽日本政府と加害企業が謝罪と寄付金参加に応じるかどうか不明な点▽大法院判決金の支給主体として支援財団が適切かどうか▽訴訟に参加しなかった被害者などは政策対象から除外される状況--などを問題点として挙げた。野党がこれまで政府の方針を批判して出した根拠と大きく変わらない内容だ。
 報告書は政府の今後の課題として3つのことを挙げた。▽今後、日本に対する歴史問題に対してどう対応していくかについて、政府の立場を国民により積極的に説明すること▽外交部以外の汎政府レベルの議論機構を設けること▽日本政府と企業の直接的な謝罪と賠償・補償参加を要求すること--などだ。
 報告書は特に、強制動員解決法を「韓日間の外交的な懸案でもあるが、国内的には国家が責任感を持って向き合わなければならない問題」と規定した。岸田文雄首相をはじめとする日本側の対応については、「10年前、菅直人首相が韓国人の意思に反して植民地支配を謝罪し、三菱が裁判とは別に被害者側との対話の場を設けたこととは異なる日本の右傾化の一端を示している」と評価した。
 「国民の力」のキム・イェリョン報道官は18日、中央日報に対して口頭論評を発表して「前政権で行き詰まった韓日関係を解決する過程で、大乗的な決断を通じて得られる国益の部分は見落としたようだ」とし「国会立法調査処が野党の主張だけをそのまま書き写したかのような報告書を出すのは非常に不適切」と批判した。報告書を作成したパク・ミョンヒ立法調査官は「強制動員解決は外交的な懸案でもあるが、国内的にも包括的に解決すべき問題であることを明らかにしたもの」と説明した。
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韓国政府、福島原発に視察団派遣… 環境団体「汚染水放出の名目づくりを

2023年05月09日 | 
「ハンギョレ」 2023-05-08 08:28
■韓国政府、福島原発に視察団派遣… 環境団体「汚染水放出の名目づくりを手助け」批判
 大統領室「単に見て回るだけではない」と強調したが 
 岸田首相「IAEAの最終報告書を反映し、手続き進める」
 韓国大統領室は、7日に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と日本の岸田文雄首相が福島原発汚染水の海洋放出問題に関して「韓国専門家による現場視察団の派遣」に合意したことについて、「単に(現場を)見て回ることを意味するわけではない」と強調した。しかし環境団体などは、視察後に韓国政府が日本政府の汚染水放出過程に実質介入できるレベルの合意が出たわけではないという点を挙げ、政府が福島原発汚染水の放出に向けた日本政府の名目づくりを手助けするものだと批判した。
 尹大統領は同日、韓日首脳会談が終わった直後の記者会見で、韓国専門家による現場視察団の派遣に合意したことを発表し、「科学に基づいた客観的検証が必要という韓国国民の要求を考慮した有意義な措置が取られることを願う」と述べた。岸田首相は「韓国国内で懸念の声があることはよく認識している」とし、「日本の首相として、自国民及び韓国国民の健康や海洋環境に悪影響を与えるような形での放出を認めることはない」と述べた。
 日本政府は2011年の福島第一原発事故以降、事故現場内のタンクに保管してきた高濃度放射性物質が混ざった汚染水を多核種除去設備(ALPS)で浄化処理した後、今夏、福島県沖の海に放出することを目指している。日本政府は浄化処理でも濾過できないトリチウムの濃度が安全基準以下に下がるまで汚染処理水を海水で希釈して排出する方針だが、環境団体は人体にがんを誘発する可能性など、トリチウムの生物学的濃縮などに対する研究が不十分だとして、拙速に放出を進めるべきではないと反対してきた。特に放射能汚染分野の著名な学者である米サウスカロライナ大学のティモシー・ムソー教授は、先月27日、トリチウムと関連した科学文献70万件余りを全数調査した結果、人体に及ぼす影響に対する体系的な研究は皆無だと批判した。
 大統領室はこれと関連して、韓国専門家の現場視察が単なる視察以上のものになると強調した。大統領室関係者は「日本は韓国との特別な関係を考慮し、一対一で別途の視察団を受け入れることにした」とし、「(日本政府が)韓国国民の健康の不安を招くような措置は取らないという意向を明確にしたもの」だと述べた。同関係者は「(視察団に)どのような構成員や科学的手法が採択されるかは議論しなければならないが、国際原子力機関(IAEA)の方法を参考にし、問題になりうる成分を調査できるのではないかと思う」と付け加えた。
 共同通信は、両国首脳の合意により韓国視察団が23日に福島原発を訪問すると報じた。これは、汚染水の海洋放出に関するIAEAの専門家グループの最終報告書が発表される時点(6月目標)に合わせたものとみられる。2021年に国際検証団を構成したIAEAは、6日に放出計画が「十分現実的」だという中間報告書を出すなど、汚染水を希釈して放出した場合、濃度は微々たるものだという日本の主張に友好的な見解を示してきた。日本政府はこのようなIAEAの「国際検証」を世論の盾にしてきた。岸田首相が同日の会見で、IAEAの最終報告書を反映して国内手続きを進めるとし、日韓間で引き続き誠実な意思疎通をしていきたい分野だと述べたのも、IAEAの結論に基づいて海洋放出を進める意思を表わしたものとみられる。
 特にIAEAが汚染水の放出に対して免罪符を与えれば、日本政府が福島産水産物の輸入に対する圧力を再開する可能性があるという批判もある。大統領室関係者はこれに関して「福島原発汚染水の処理問題が当面の課題であるため、両国が先にこの問題に集中することになるのではないかと思う」とし、「この部分が議論される機会があれば、福島原発汚染水と同じ立場でアプローチすることになりそうだ」とだけ述べた。
 環境団体は今回の合意をめぐり、政府が日本の福島原発汚染水の海洋放出にむけた名目づくりに力を貸すことになったと批判した。「脱核市民行動」は同日、「韓日両国首脳は福島原発放射性汚染水の海洋投棄の中止を宣言し、長期保管の解決策を論議すべきだった」とし、「尹大統領は外交的成果のために(日本の)汚染水海洋投棄の名目づくりの共犯に転落した」という声明を出した。グリーンピースのキャンペナー、チャン・マリ氏も「放射性物質がどんな生物学的影響を及ぼすかが最も懸念される部分だが、これに対する言及なしに現場視察をすることは無意味」だと批判した。「エネルギー正義行動」のイ・ホンソク政策委員も「日本政府の汚染水処理に対する名目づくりを韓国政府が手助けしたとしか言いようがない」と語った。
ナム・ジョンヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-08 05:00


「中央日報日本語版」 2023.05.05 09:36
■韓国京畿道知事「汚染水放流、友好の美名の下で譲歩する事案では絶対にない」
 金東ヨン(キム・ドンヨン)京畿道(キョンギド)知事は4日、「汚染水放流計画中断が韓日首脳会談のマジノ線」とし、政府の強硬な対応を促した。
 金知事はこの日夕方、自身のフェイスブックに投稿した文章で「今回の韓日首脳会談で福島原発汚染水問題が議題に上がることについて深刻な憂慮を表する」とし、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は我が国民の生命と安全を守るための義務と責任を果たすことを願う。汚染水の放流は韓日友好関係増進という美名の下で譲歩できる事案ではない」と声を高めた。
 また、「私は国民の食の安全、漁業従事者、小商工人など関連産業従事者の生存権を脅かす福島原発汚染水海洋放流に強く反対する」とし「日本政府は透明な情報公開、完全な安全性検証、周辺国と国際社会の同意なしに行われる汚染水放流計画を撤回せよ」と要求した。
 金知事は「韓日両国の科学的共同調査と安全性検証を伴わない汚染水放流計画中断を貫徹させることが今回の韓日首脳会談のマジノ線」とし「前回の首脳会談で大韓民国の『過去』を譲歩したのに続き、今回の首脳会談で『現在』と『未来』まで譲歩することはできない」と述べた。
金知事は「私は京畿道知事として1400万人の道民の安全を守るためにすべての方案を講じる」と述べた。


「中央日報日本語版」 2023.04.28 08:31
■米教授が警告…「原発汚染水のトリチウム、体内に入れば危険」
 
【写真】ティモシー・ムソー米サウスカロライナ大教授 グリーンピース提供

 トリチウムから出る放射線のエネルギーは他の放射性核種と比べて低いが、人体内の生体の物質に含まれる場合は危険かもしれないという主張が、海外の専門家から提起された。
 月城(ウォルソン)原発のトリチウム漏出に関してもこうした主張が提起されたことがあるが、今回の主張は日本政府が福島原発の汚染水(処理水)を海に放出しようとする中で出てきたため、国際的にも注目を引くとみられる。
 現在、福島には1000基以上の汚染水貯蔵タンクがあり、その中に1200兆ベクレル(Bq)を超えるトリチウムが入っていると推定される。
 環境団体グリーンピースの招待を受けて韓国を訪問した米サウスカロライナ大学生物学科のティモシー・ムソー教授は27日、ソウル汝矣島(ヨイド)の全国経済人連合会(全経連)会館で記者会見を開き、トリチウムの危険性について説明した。

◆セシウム137の2-6倍の危険も
 ムソー教授は1950年代から2022年までに発表されたトリチウム関連の世界の文献70万件のうち生物体に及ぼす影響を扱った250件を分析した後、論文に整理し、最近SSRN(社会科学研究ネットワーク)に公開した。
 ムソー教授は「トリチウムは低エネルギーであり外部では皮膚も透過できないが、生物体内に入れば高エネルギーのガンマ線の倍以上も危険であることが分かった」と強調した。
 トリチウムは普通の水素原子の代わりに水分子に編入されることがあり、体内にも容易に入ったりする。
 ムソー教授は「透過力が強いガンマ線は瞬間的にDNAや細胞に影響を及ぼしてすぐに体外に抜けるが、透過力が相対的に弱いトリチウムのベータ線は細胞組織や臓器内部を抜け出せず集中的な内部被ばくを起こすため」と説明した。
 遺伝子などの損傷に及ぼす程度を示す生物学的効果比(Relative Biological Effectiveness、RBE)がセシウム137の2-6倍という点がいくつかの文献で確認されるということだ。

◆食物連鎖を経て濃縮すればさらに危険
 ムソー教授は特に「トリチウムに被ばくしたマウスでは精子と卵子、そして生殖器損傷が観察され、遺伝子変異も表れた」とし「深刻な問題はトリチウム被ばくの影響が食物連鎖の上位段階になるほど大きくなり、特に数世代を経て蓄積されながら種の遺伝子変異をもたらすこともあるという点」と憂慮した。
 トリチウムが食物連鎖を経て濃度が高まる生物濃縮現象が起きる場合、人間の健康に脅かすこともあるということだ。
 ムソー教授は「(自身が参加した研究を通して)チョルノービリ(チェルノブイリのウクライナ式発音)原発事故地域の野良犬から周辺の他の地域の犬とは全く違う遺伝情報が確認された」とし「福島汚染水放出時にも周辺の生態系で多くの生物の遺伝情報が変わる可能性が高い」と警告した。
 また「東京電力が多核種除去設備(ALPS)で処理して海水で薄めた汚染水でカレイ・アワビ・海草の3種を育てながら生物学的影響を評価すると広報しているが、生死や発育状態、トリチウム濃度だけを調べる現在の方式は見せる形の研究にすぎない」と評価した。
 ムソー教授は「評価対象を汚染水に露出する数百種の生物に拡大して周期的に遺伝情報を採取して比較し、超国境的、包括的レベルの生物学影響評価をするべきだ」と勧告した。

◆平常時の原発からもトリチウム排出
 ムソー教授はオンラインに公開した論文で「環境汚染物質のトリチウムの生物学的影響を扱った論文の数があまりにも少ない」とし「正常な原発運営過程で排出される最も多い放射性物質という点を考慮すると驚く」と指摘した。今後、多くの研究を通してトリチウムの影響を明らかにすべきということだ。
 韓国水力原子力の資料によると、韓国国内の原発の場合、年間230兆ベクレル程度の放射性物質を海に放出している。温排水で薄めた状態で海に放出しているが、量だけをみると国内原発で放出されるトリチウムを5-6年集めれば福島に貯蔵したトリチウム1200兆ベクレルとほぼ同じになる。
 ムソー教授は論文で「原発から排出されるトリチウムは大規模な人口に近い『点排出源(point source)』であるため、局地的濃度は地理的規模で危険かもしれない」と説明した。簡単にいうと、原発から温排水を排出する放出口の近くの狭い範囲内ではトリチウム濃度が相対的に高くて危険ということだ。
 ムソー教授は「今回の論文は『総合環境科学(Science of Total Environment)』国際ジャーナルに掲載されると期待している」と話した。

◆「放出反対意見を東京電力に伝える」
 一方、グリーンピースのキャンペイナー、チャン・マリ氏は「ALPS処理後に大量の水を混ぜてもトリチウムと炭素14は全量が海に流れ、残り62種の放射性物質も十分に処理されるという客観的検証がない状況」と指摘した。
 チャン氏は「東京電力と国際原子力機関(IAEA)の放射線影響評価と、それに対する検証措置は、国際海洋法が強調する『事前予防の原則』を遵守していないだけに、国際海洋法裁判所を通じて放出計画の中断のような強制的暫定措置が急がれる」と述べた。
 グリーンピースは「韓国と日本、太平洋島嶼国の市民の汚染水放出反対意見を集めて、各国政府と東京電力に伝達するキャンペーンを続ける計画」と明らかにした。


「The Hankyoreh」 2023-04-28 08:44
■「福島原発汚染水のトリチウム、人体の影響少ないという日本の主張は『フェイク』」
 サウスカロライナ大学の生物学者ムソー教授 
 グリーンピース記者会見でトリチウムの文献調査結果を発表

【写真】米国サウスカロライナ大学のティモシー・ムソー生物学教授が27日午前、ソウル永登浦区にある全経連会館カンファレンスセンターで開かれた「トリチウムの生物学的影響の研究」の記者会見で研究結果を発表している/聯合ニュース

 日本政府は、福島原発事故で発生した汚染水に含まれる放射性物質の一つであるトリチウムが人体に及ぼす影響は少ないと主張しているが、実は、トリチウムが人体のがん発生に及ぼす影響を調べた研究は一つもないことが明らかになった。トリチウムががんを引き起こすことはないと主張する科学的根拠がないということだ。福島第一原発の汚染水を放出する前に、人間などの生態系に及ぼす影響に対する綿密な調査が必要だとする声が高まっている。
 米国サウスカロライナ大学のティモシー・ムソー生物学科教授は27日、国際環境団体グリーンピースが開催した記者会見で、トリチウムに関連する科学文献70万件あまりを全数調査した結果、トリチウムが人体などに及ぼす生物学的影響を一部でも扱った研究は250件(0.03%)にすぎなかったことを明らかにした。特に、発がんの影響についての研究は、そのうちわずか14件にすぎなかった。それさえも、マウスなどの実験用動物を対象に行われた研究であり、人体に及ぼす影響についての体系的な研究は、事実上一度も行われていないというのがムソー教授の分析だ。
 ムソー教授は、米国科学アカデミーの放射線影響諮問委員を歴任し、韓国と日本による世界貿易機関(WTO)での福島産水産物の紛争で、韓国側の証人を引き受けもした放射能汚染分野の著名な学者だ。
 科学界は、トリチウムは遺伝毒性と発がん性を有しており、生殖系にも生物学的な影響を及ぼす恐れがあるとみている。グーグル・スカラーで検索すると、発がん性があることが知られている他の物質についての研究論文数は、加工肉が約31万3000件、アスベストが約19万7000件、ラドンが約9万6700件、ビスフェノールAが約8万7000件で、トリチウムの発がん関連の研究とは比較にならないほど多い。ムソー教授は本紙と別途行なったインタビューで「トリチウムがこのように科学的な研究ネットワークから外れていたということは、非常に不思議なことだ」として、「生物学的な影響に関する研究が驚くほど少ないのは、このテーマに対する研究を支援するための投資の不足を反映しているものであり、おそらく(原発の利用に困難をきたすことを懸念して)意図されたものではないかと思う」と述べた。
 さらにムソー教授は、トリチウムの生物学的影響を扱った論文を全数分析した結果、様々な論文でトリチウムの生物学的効果比(RBE、生物の遺伝子などに損傷を与える度合い)は、代表的な放射性物質であるセシウムより2倍以上高いという事実が繰り返し確認されたことを明らかにした。一部の論文では、この比率が最大6倍まで高く提示されたものもあったという。ムソー教授は、これについて「セシウムのガンマ放射線は透過力が強く、瞬間的にDNAや細胞に影響を与え外に抜け出すが、トリチウムのベータ放射線は透過力が弱くて体内から抜け出すことができず、集中的な内部被ばくを起こすため」だと説明した。
 ムソー教授は「トリチウムに被ばくした実験用マウスでは、精子と卵子そして生殖器の損傷が観察され、遺伝子の二重らせんが断絶し、遺伝因子の変異も現れた」とし、「トリチウム被ばくの影響は、食物連鎖の上位段階に行くほど大きくなり、多くの世代を経て蓄積され、種の遺伝子組み換えを引き起こすこともありうる」と指摘した。
 放射線による遺伝情報の変化は、チェルノブイリ原発事故地域の野良犬を対象にした研究でも確認されたことがある。ムソー教授も共著者として参加したその研究結果は、3月に学術誌「サイエンス・アドバンシス」に発表され、ニューヨーク・タイムズをはじめとする世界の主要メディアで紹介された。
 ムソー教授は「日本が放出しようとしている福島原発汚染水に含まれるトリチウムの影響がどれほど大きいかは、今すぐ指摘するのは難しいだろうが、我々が知らないうちに生態系に影響を与え続けた合成物質DDTのような影響を及ぼす可能性もある」と懸念した。DDTは、1940年代以降に全世界で殺虫剤や農薬などで広く用いられ、生物学者レイチェル・カーソンが1962年に著書『沈黙の春』で生態的毒性を告発したことをきっかけに、多くの国から使用禁止した物質だ。
 ムソー教授は「インターネット上にはトリチウムについての虚偽の事実が多くあるが、基本的なメッセージは『トリチウムは非常に弱いエネルギー放出体』だということで共通している。さらに東京電力も『トリチウムは非常に弱い放射性物質』だと語っているが、こうしたものは、すべて『フェイクニュース』とみなすべきだ」と述べた。
 ムソー教授は「こうしたものは、大衆に混乱を与えることを意図して出てきたもの」だとしたうえで、「トリチウムに対する真実は、低いエネルギーを放出するということであり、それは必ずしも影響が弱いということを意味しない」と述べた。
 日本政府と東京電力は、トリチウムに大量の水を混ぜて希薄させた後に海洋放出するため、人体に及ぼす影響はきわめて少ないと主張している。東京電力は現在、メイタガレイやアワビ、海草を海水で薄めた汚染水で育て、生物学的影響を評価すると広報している。
 ムソー教授はこれについて「死亡の有無と発育状態などだけを調べる方式は、科学的な常識から考えれば見せかけの研究」だと評し、「汚染水にさらされる数百種の生物に拡大し、感度分析を活用した研究が汚染水放出前に独立した科学者によって行われなければならない」と強調した。
キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-04-27 20:25


「中央日報日本語版」 2023.04.27 07:51
■「汚染水信じられない」不安高まると…韓国政府、日本放流前に独自の検討結果を発表

【写真】20日、釜山(プサン)駅広場で機張郡(キジャングン)の海女と市民団体などが福島汚染水放流反対集会を開いている。ソン・ボングン記者

 韓国政府が福島原発汚染水放流前に独自の調査結果を発表することを検討していると明らかにした。汚染水放出時点は早ければ今年7月になるものとみられる。
 原子力安全委員会は26日、福島汚染水対応現況説明会を開いて「汚染水放流前に独自の検討結果を公開する」としながら「時期は国際原子力機関(IAEA)が進めている汚染水放流計画評価の最終報告書の発刊後になるだろう」と述べた。関連業界はIAEAの最終報告書は早ければ6月末から7月になるとみている。
 これに先立ち、日本政府は1000個余りの保存タンクに保管している汚染水約132万トンを約30年かけて太平洋に放流する計画を発表した。汚染水は地下水や雨水などが原発の敷地内に流入して生じた。
 これについて福島原発を運営している東京電力は、汚染水浄化施設である多核種除去設備(ALPS)でも除去しきれないトリチウム(三重水素)を除いた多くの放射性物質は基準値以下に落としたという立場を堅持した。
 これに対する国際判断基準となるIAEAの最終報告書の発刊は日本が前面に出している汚染水放流前提条件の一つだ。日本はIAEAの最終報告書発刊以外にも放出設備工事の完了と日本原子力規制委員会(NRA)の承認も前提条件に挙げている。
 これに対して原子力安全委員会は日本側の資料などに基づき、ALPSの浄化性能や移送設備など海に放出するために必要な施設などに対する自己分析を進めていると説明した。同委員会のシム・ウンジョン防災環境課長は「日本が選定した放射能物質の種類や基準程度が適切なのかを全般的に検討している段階」とし「どのような核種が含まれるのかによって我々の身体に影響を及ぼす放射線環境影響評価(REIA)結果が変わるため」と話した。

◇汚染物放水時、水産物は安全か
 ただし、除去しきれなかったトリチウムが水産物を通じて食卓に上がることに対する懸念も提起された。これに対して原子力安全委員会側は「トリチウムの摂取量と半減期、排出量などを考慮して放射線環境影響評価を総合的に進めている」と説明した。
 これに先立ちIAEAも今月初めに公開した報告書で「海産物内の有機結合トリチウム(OBT)形成と人体被爆量に対する不確実性があるということで同意した」と余地を残した。その一方で「(放流水にあるすべての核種による被爆量の中で)トリチウムの寄与は少ないので(比重1%未満)トリチウムがすべてOBTだと仮定しても全体被爆量を大きく変化させない」と付け加えた。
 原子力安全委員会は結果で不十分な点が確認されれば自主的に日本の規制機関の検討過程などに対して異議を提起するという立場だ。同委員会のイム・スンチョル事務局長(福島汚染水TF団長)は「検討の結果、問題点が見つかった場合、日本規制委員会に抗議して承認過程で十分に確認が行われたかどうかに対してはっきりと提言を行う」と話した。


「The Hankyoreh」 2023-04-27 08:35
■大邱・慶北の市民団体「日本の汚染水、韓国東海の漁業者に大きな被害」=韓国
 
【写真】大邱環境運動連合など大邱・慶尚北道の市民社会団体は26日、大邱市中区の国債報償運動記念公園での記者会見で、日本の放射性汚染水海洋投棄計画の撤回を求め、海の生き物が汚染水で死んでいく様子を表現するパフォーマンスを行った=大邱環境運動連合提供//ハンギョレ新聞社

 大邱(テグ)・慶尚北道の市民社会団体は、福島第一原子力発電所の放射性汚染水放出計画を撤回するよう求めた。
 大邱環境運動連合など48の大邱・慶尚北道の市民社会団体は26日、大邱市中区(チュング)の国債報償運動記念公園で記者会見を行い「日本は福島第一原発の放射性汚染水の海洋投機計画を直ちに撤回せよ」と述べた。
 彼らは「2011年3月11日の福島第一原発事故で、韓国は海洋汚染と水産物の安全問題で直接・間接的な被害を受けている。日本は放射性汚染水を保管する場所がないと言い訳して、地球人が共同で利用する太平洋に投棄しようとしている。汚染水を多核種除去設備(ALPS)で浄化するというが、機器に様々な欠陥が発見されており、その機能さえ信頼できない」と指摘した。
 彼らはまた「放射性物質中、セシウムは筋肉、ストロンチウムは骨、トリチウム(三重水素)は血液に作用して遺伝子を傷つけ、白血病、生殖機能障害、がんなどを引き起こしうる。海洋生態系に致命的な影響を与え、韓国の漁業者、水産業従事者にも大きな被害が及ぶだろう。マガレイ、サンマの干物、ズワイガニ、サバ、タコなどの慶尚北道東海岸(トンヘアン)の代表的な食品も放射能汚染から自由ではない。水産物忌避現象が起き、地域経済に大きな被害が発生するだろう」との懸念を示した。
 続いて「このような状況にもかかわらず韓国政府は一体何をしているのか。明確な抗議の声さえあげられない尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は一体誰のための政権なのか。国民の安全よりまず日本のことを考える大統領は必要ない」と強調した。彼らは記者会見後、仮面をかぶって放射性汚染水で海の生き物が死んでいく様子を表現するパフォーマンスを行った。
 日本政府は福島第一原発の汚染水(132万トン)の放射性物質の濃度を法定基準値以下に下げ、今夏から30年かけて海に放出する計画だ。
キム・ギュヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-04-26 14:52


「聯合ニュース」 2023.04.26 17:02
■福島汚染水の海洋放出 原子力安全委が検討結果公開へ=韓国
【ソウル聯合ニュース】韓国原子力安全委員会は26日、東京電力福島第1原発にたまる処理済み汚染水の海洋放出に関する説明会を開き、科学技術面から客観的に検討した結果を事前に公開する計画を発表した。 
 政府は国務調整室が主管するタスクフォース(TF、特別チーム)を設置し、対応に当たっている。
 TFで原子力安全委員会は海洋監視と科学技術面の検討を担っており、韓国原子力安全技術院の検討チームと共に放出計画について全般的に検討していると説明した。
 日本側の資料を基に、汚染水の処理設備である多核種除去設備(ALPS)の性能、海洋放出施設、分析方法、環境評価、海洋モニタリング計画などを調べているという。 
 検討結果は国際原子力機関(IAEA)が作成を進めている汚染水放出計画の最終報告書の公表後に発表される予定だ。
 日本は海洋放出の前提条件として、放出設備の工事完了、日本の原子力規制委員会(NRA)の承認、IAEAの最終報告書公表の三つを挙げている。
 業界によると、最終報告書は早ければ6月末にも公表される見通しで、海洋放出は7月以降になると見込まれる。  
 原子力安全委員会は、検討過程で不十分な点が確認されれば、日本の規制機関の検討過程などに対して異議を申し立てることができると説明した。
 ただ、検討結果を基に日本の海洋放出自体に問題提起を行うかどうかはTFが決定するという。
 IAEAはNRAの規制過程を点検する第5次報告書と汚染水の成分を韓国や米国が検証した第6次報告書を5月中に公開し、これらの報告書を総合して最終報告書を公表する計画だ。


「The Hankyoreh」 2023-04-25 13:52
■韓日の市民団体「福島第一原発の汚染水放出計画を中止せよ」声ひとつに
 日本を訪問の環境連合、東京の経済産業省前で記者会見

【写真】日本を訪れた環境連合海委員会のメンバーが24日正午、東京都千代田区の経済産業省前で、東京電力福島第一原発に保管中の放射性物質汚染水の海への放出に反対するとして記者会見を行った=東京/キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社

 「海は人類共同の未来だ。日本政府は福島第一原発の汚染水の海洋投棄計画を取り消せ」。
 24日午後12時、東京都千代田区の経済産業省前。韓国からやって来た環境連合海委員会のメンバーが、東京電力福島第一原発に保管中の放射性物質汚染水の海への放出に反対するとして記者会見を行った。
 チェ・イェヨン副委員長は記者会見で「韓日両国の市民社会と漁業者は福島第一原発の放射性物質汚染水の海洋投棄に反対すると何度も表明してきた。しかし、日本政府と東京電力は強行しようとしている」と述べた。チェ副委員長は「海は人類の資産であり未来だ。汚染水を海に捨てるなという世界各地の声が聞こえないのか」、「日本政府と東京電力に反対意見を直に伝えるために東京にやって来た」と語った。
 この日の記者会見には、福島第一原発の汚染水の海への放出反対などを求めて経済産業省前で毎日集会を行っている日本の市民団体や、関西労働者安全センターなども連帯した。「経産省前テントひろば」のあるメンバーは「海は世界中につながっている。福島第一原発の汚染水は日本だけでなく私たちみんなの問題」だとし、「海への放出計画を中止させるために力を合わせなければ」と話した。

【写真】日本を訪れた環境連合海委員会のメンバーが24日正午、東京都の経済産業省前で、尹錫悦大統領と岸田文雄首相が先月16日の東京での首脳会談後に老舗でビールを飲む様子をまねたパフォーマンスを行った=東京/キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社

 海委員会は経済産業省に続き、東京電力本社に移動して記者会見を行った後、抗議書簡を手渡した。彼らは抗議書簡で「来月19~21日に広島で行われる主要7カ国首脳会議(G7サミット)で福島第一原発の汚染水の海洋投機中止を宣言し、国際社会が知恵を集めるべきだ」と強調した。
 日本政府は、福島第一原発の汚染水(132万トン)の放射性物質の濃度を法的基準値以下に下げたうえで、今夏から30年にわたって海に放出する計画だ。多核種除去設備(ALPS)で除去されないトリチウム(三重水素)は、基準値の40分の1以下に薄めて海に排出する。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-04-24 15:30


「聯合ニュース」 2023.04.24 16:57
■福島汚染水巡る韓国市民団体の抗議書 日本経産省が受け取り拒否
【東京聯合ニュース】東京電力福島第1原発にたまる処理済み汚染水の海洋放出に反対する韓国市民団体が24日、抗議の書簡を経済産業省に提出しようとしたが、経産省側が受け取りを拒否した。

【写真】経産省前で集会を開いた市民団体の関係者=24日、東京(聯合ニュース)
 韓国の市民団体、環境運動連合はこの日午後、東京の経産省前で海洋放出に反対する集会を日本の市民団体と共催した。

 約20人が参加した集会で環境運動連合の関係者は「海は人類共同の未来だ」「福島原発汚染水の海洋投棄に反対する」などとスローガンを叫んだ。
 同団体はこの日配布した資料で「日本政府は海洋投棄計画を中止し、福島原発汚染水と汚染土壌·廃炉問題を懸念する日本と国際社会の声に耳を傾けなければならない」と主張した。
 同団体はこのような内容が盛り込まれた抗議の書簡を経産省に伝達しようとしたが、経産省は約束がないことを理由に受け取りを拒否した。
 聯合ニュースの取材によると、団体側は21日に経産省に電話をして抗議の書簡を渡したいと伝えたものの、経産省側は担当者不在を理由に書簡の受け取りについて回答しなかった。このため改めて回答するよう求めたが、その後も回答は得られず、集会の当日も約束がないことを理由に受領を断られたという。
 結局、団体側は経産省の庁舎前に書簡を置いて帰った。
 経産省の関係者は聯合ニュースの取材に対し、団体側との電話で確認すると答えたが、書簡を受け取るとは言っていないと説明した。
 日本政府は海洋放出に対する韓国など周辺国の懸念に対し、丁寧な方法で説明すると表明してきたが、主務官庁の経産省が韓国市民団体の抗議の書簡を意図的に受け取らないのは、周辺国の懸念を無視するものとの指摘が出ている。
 市民団体側は経産省前での集会後、東京電力本社前に移動し、同じ内容の抗議の書簡を伝達した。21日に書簡の受領を要請したという。


「The Hankyoreh」 2023-04-22 07:08
■韓国の原子力専門家ら「IAEA、『原発汚染水は安全』との結論ありきで検証」
 原子力実務専門家・科学者団体、共同声明発表 
 「致命的な核種、タンクの中の分布に関する調査もまともに実施されず」

【写真】福島第一原子力発電所の放射性物質汚染水の貯蔵タンク。日本はこのように貯蔵中の2011年原発事故の汚染水133万トンを30年かけて海洋放出する計画だ/聯合ニュース

 韓国の原子力関連の専門家たちが、福島原発汚染水の放出計画に関する国際原子力機関(IAEA)の検証に疑問を呈した。
 原子力分野の実務専門家団体「原子力安全と未来」と科学者団体「核とエネルギーの安全と環境を懸念する科学者の会」は21日、ソウル通仁洞(トンインドン)のエネルギー転換フォーラム会議室で共同記者会見を開き、「IAEAが福島原発汚染水の海洋放出計画に対してすでに国際基準に合致しているとの結論を下しているのではないか懸念される」との立場を明らかにした。
 韓国政府は福島原発汚染水の放出計画について、「科学的かつ客観的に安全で、国際基準に合致しなければならない」と強調し、IAEAの検証結果を主な判断の根拠とするという立場を示してきた。こうした中、IAEAは6日、福島原発汚染水の放出計画が「十分現実的」という趣旨の中間報告書を発表した。まもなく完成する最終報告書で、海洋放出を後押しする結論を下すことを示唆したのだ。
 原子力専門家と科学者団体は同日発表した立場表明文で、「IAEAの報告書には、2011年の事故当時と2013年の多核種除去設備(ALPS)作動前後に相当な放射能が海に流入し発生した海洋汚染の深刻性と、生態系への長期的な影響に対する詳しい調査結果が存在せず、公開されていない」と指摘した。また「事故以前から排出した総量と海底における局部的な濃縮、生物学的濃縮を考慮して深層分析しなければならない」と主張した。
 特に「福島原発には再処理核燃料(MOX)が使われ、微量でも致命的な影響を及ぼす核種が多いにもかかわらず、1000個以上あるタンクの核種の分布調査もまともに行われていない」と指摘し、「海洋放出より環境被害を最小化する方法を模索すべきだと要求した。
キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-04-21 15:47


「聯合ニュース」 2023.04.21 15:47
■済州道 福島汚染水放出に備え政府に対策申し入れ=韓国
【済州聯合ニュース】韓国南部の済州道は21日、水産物の安全管理対策を模索するために開かれた政策市・道協議会で、東京電力福島第1原子力発電所の処理済み汚染水の海洋放出に備え、水産業の被害を最小限にするための対策作りを政府に申し入れた。

【写真】協議会の様子=21日、世宗(聯合ニュース)

 協議会には海洋水産部の幹部のほか、済州道、慶尚南道、全羅南道など水産物の主要生産地域を管轄する広域自治体の関係者が出席。済州道は漁業関係者が被害を被った場合に実質的な補償を受けられるよう、特別法の制定や補償金支払い、放射性物質測定装置の支給などの必要性を訴えた。
 同道は日本が処理済み汚染水の海洋放出決定を発表した直後から、放出を想定した4段階(関心、注意、警戒、深刻)の対応計画を策定し、状況対策班を稼働している。


「The Hankyoreh」 2023-04-20 04:22
■釜山で「汚染水放出」糾弾集会…日本の原発設計者「非常に危険」
 釜蔚慶の市民団体、20日に集会を予定

【写真】福島第一原発事故12周年を迎えた3月11日午後、全国から駆けつけた3000人あまりの人々が釜山市釜山鎮区の宋象賢広場で原発反対のスローガンを叫んでいる=キム・グァンス記者//ハンギョレ新聞社

 第53回アースデイ(4月22日)を前に、釜山(プサン)・蔚山(ウルサン)・慶尚南道の環境・市民団体が日本政府による福島第一原発の汚染水海洋放出を糾弾する集会を開催する。
 釜山・蔚山・慶尚南道の164団体が加入する「釜山古里(コリ)2号機寿命延長・核廃棄場反対汎市民運動本部」は19日、「20日午後2時、釜山駅広場で『福島第一原発汚染水投棄決死阻止、放射能のないアースデイ宣言市民大会』を開催する」と発表した。
 参加者たちは午後2時40分に釜山駅を出発し、日本領事館、強制徴用労働者像、鄭撥(チョン・バル)将軍銅像、平和の少女像のある抗日通りまでの800メートルあまりを行進し、福島第一原発の汚染水の海洋放出を批判する記者会見とパフォーマンスを行う。
 19日午後3時には釜山YWCA2階講堂で、原発設計者で工学博士の後藤政志さん(74)を招いて講演が行われた。2009年に退職した同氏は、2011年3月の福島第一原発爆発事故発生後から原発の危険性を訴える講演を行っている。同氏はこの日の講演でも「元原子力エンジニアとして、自分の知っているすべてのことを共有しなければならないという責任がある。私が提供すべき最も大切なものは、原子力技術をめぐる問題と危険について語る能力だ。私は原子力が確実に良いか悪いかを言おうとしているのではなく、単に事実を提示しているだけだ」と述べた。同氏は「原発は爆発が起こると予測し、当時仮名で原発の危険性を訴えてきたが駄目だった。設計を担った者として責任を痛感する。原発が爆発すれば放射能が放出されるため非常に危険だ」と付け加えた。
 24日午後3時には釜山YMCA17階大講堂で「古里原発、地震に対して安全か?」と題して討論会が行われる。釜山大学地質環境科学科のソン・ムン教授が「慶尚圏の活断層調査の実態と対策」、脱核法律家の会ヘバラギ(ひまわり)のキム・ヨンヒ代表(弁護士)が「震災と関連する原発施設の問題点と課題」というテーマで発表する。続いて慶星大学のキム・ヘチャン教授(環境工学科)の司会で釜山大学のアン・ソギョン教授、韓国海洋大学のキム・ジョンド教授、(株)GI地盤情報研究所のキム・ソンウク所長、キム・ソギョン弁護士が討論する。

キム・グァンス記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/yeongnam/1088536.html
韓国語原文入力:2023-04-19 16:10
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韓国外交部 日本から汚染水情報受け分析中=「協議続ける」

2023年05月06日 | 
「聯合ニュース」 2023.05.04 19:15
■韓国外交部 日本から汚染水情報受け分析中=「協議続ける」
【ソウル聯合ニュース】韓国外交部の当局者は4日、東京電力福島第1原発にたまる処理済み汚染水の海洋放出問題と絡み、韓日両国による独自検証が外交当局間で協議されているのかを問う質問に対し、「日本側に汚染水排出に関連する情報を要請し、資料を受け取り、検討と分析を続けている」とし、「今後も科学的かつ技術的な側面から日本と協議を通じて分析を続けていく」と述べた。

【写真】「汚染水の海洋投棄反対」などと書かれたカードを持って市民団体の記者会見に出席した市民ら(資料写真)=(聯合ニュース)

 韓国政府は国際原子力機関(IAEA)の調査とは別に日本から関連資料を受け取って分析を進めている。IAEAは日本側の計画が国際基準に合致するかを検討し、安全性を検証するためのタスクフォース(TF)を構成しており、同TFには韓国を含む11カ国・地域の専門家やIAEA職員が含まれている。
 IAEAの検証とは別に、韓日両国は同問題と関連し、2国間レベルの局長級協議も実施してきた。韓国政府は、両国レベルの共同科学調査も必要との認識を示している。
 岸田文雄首相の韓国訪問に合わせて7日に開催される韓日首脳会談で同問題が扱われる可能性もある。岸田首相が同問題を巡り、韓日間の協議や調査について進展したメッセージを出せば、韓日間の信頼構築に役立つとの見方も出ている。
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日本「福島処理水放流、歓迎された」発言に…ドイツ「そんなことない」反論

2023年04月19日 | 
「中央日報日本語版」 2023.04.17 15:45
■日本「福島処理水放流、歓迎された」発言に…ドイツ「そんなことない」反論
 日本が福島第一原発処理水の海洋放流を国際社会が歓迎しているという趣旨の発言を公式化するとドイツが直ちに反論した。
 ドイツのレムケ環境相は16日、北海道札幌で開かれた主要7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合の記者会見で「(福島第一原発)処理水放流を歓迎することはできない」と明らかにした。
 これに先立ち、西村康稔経済産業相は会議の成果を紹介しながら「科学的根拠に基づく我が国の透明性のある取り組みが歓迎される」と強調した。
 レムケ長官はドイツの脱原発に言及した後「原発事故後、東電や日本政府が努力してきたことには敬意を払う」としながらも「処理水の放出を歓迎するということはできない」と反論した。実際、G7は会議以降に発表した共同声明は国際原子力機関(IAEA)検証を伴った日本の透明な原発対応は歓迎するとしたが処理水の放流そのものについては言及しなかった。
 共同声明は「廃炉作業の着実な進展とともに、科学的根拠に基づき国際原子力機関(IAEA)とともに行われている日本の透明性のある取組を歓迎する。(中略)IAEA安全基準及び国際法に整合的に実施され、人体や環境にいかなる害も及ぼさないことを確保するためのIAEAによる独立したレビューを支持する。(中略)日本が、国際社会との緊密なコニュニケーションをとりながら進められているこれらの取組を継続するよう、日本に奨励する」と言及している。
 西村経産相は会見以降、取材陣に「私のちょっと言い間違え」と釈明した。


「中央日報日本語版」 2023.04.17 06:59
■韓国政府「G7の『日本の汚染水対応歓迎』声明、安全性に関する最終結論とは別」
 韓国政府は16日、主要7カ国(G7)が日本政府の福島原発汚染水処理に対する取り組みを歓迎するという声明を発表したことについて、「科学的かつ客観的に安全で、国際基準に合致しなければならない」という従来の立場を再確認した。
 国務調整室はこの日午後、政府部署共同報道資料を通じて「情報共有を含む処分関連すべての過程が透明に進められるべきだ」と明らかにした。
 北海道札幌市で閉幕したG7気候・エネルギー・環境大臣会合での「原子炉廃炉作業の着実な進展、科学的証拠に基づく国際原子力機関(IAEA)との透明な取り組みを歓迎する」という共同声明に対する韓国政府の反応だ。
 政府はこの声明に対して「国際原子力機関(IAEA)のモニタリングタスクフォース(TF)が検証中の日本の汚染水海洋放流計画の安全性に対する最終結論とは別」と前提した。
 同時に「G7が日本の汚染水処理が国際基準に合致するようにするためのIAEAの独立的検証活動の重要性を強調する流れで発表されたと理解しているという立場」と話した。
 韓国政府は福島原発汚染水に対する従来の立場を引き続き強調するとも繰り返し主張した。大統領室は先月31日、マスコミ公示を通じて「大統領は首脳会談期間中に日本側関係者と会った席で福島汚染水に対しては客観的かつ科学的な方式、国際基準に合致する検証、その過程で韓国専門家が参加しなければならないという3つの条件を明確にしたことをお知らせする」と立場を明らかにしている。
 一方、日本政府は今年、福島原発の汚染水を海に放流する方針を発表した。IAEAは放流前に検証結果を出す予定だ。


「聯合ニュース」 2023.04.17 09:07
■福島汚染水「科学的・客観的に安全でなければ」 韓国政府が再度強調
【ソウル聯合ニュース】韓国政府は16日、日本が計画する東京電力福島第1原子力発電所の処理済み汚染水の海洋放出に関し「科学的かつ客観的に安全で、国際基準に合致しなければならない」とする従来の立場を改めて示した。同日に閉幕した主要7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合が共同声明に、国際原子力機関(IAEA)による安全性の検証を「支持する」と盛り込んだことを受け、このように表明した。

【写真】16日の「国民安全の日」記念式典前に中央災難(災害)安全状況室を訪れた韓悳洙(ハン・ドクス)首相(中央)=(聯合ニュース)

 韓国の国務調整室はこの日、官庁共同の報道資料を通じ「情報共有を含め(汚染水)処分に関連する全ての過程が透明に進められなければならない」と指摘した。
 G7の言及に対しては「日本の汚染水処理を国際基準に合致させようとするIAEAの独立的な検証活動の重要性を強調する意味で発表されたものと理解する立場」とし、政府として汚染水処理に対するこれまでの立場を引き続き強調していくと表明した。


「The Hankyoreh」 2023-04-17 07:02
■日本政府、G7共同声明で「福島原発汚染水放出」に対する支持獲得に失敗
 ドイツなど欧州諸国が反対…歓迎表明せず 
 「IAEAの安全性の検証を支持」とだけ言及

【写真】主要7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合が15~16日、札幌で開催された/聯合ニュース

 日本政府が今年の夏、東京電力福島第一原発に保管している放射性物質汚染水の海洋放出を予定しているなか、友好的な世論を作るため、主要7カ国(G7)の「歓迎声明」を推進したが失敗した。ドイツなど欧州諸国が反対したためだ。
 G7気候・エネルギー・環境相らは16日、北海道札幌市で会合を開き、共同声明を採択した。声明には福島原発について「原子炉廃炉作業の着実な進展と科学的根拠に基づき国際原子力機関(IAEA)とともに行われている日本の透明性のある取り組みを歓迎する」という内容が盛り込まれた。ただし、福島原発汚染水の海洋放出に関しては「IAEAの安全性の検証を支持する」と明示した。
 G7会合の出席者らは福島原発の廃炉作業には歓迎の立場を示したが、汚染水の海洋放出に対してはIAEAの検証を「支持する」という言及にとどまった。
 西村康稔経済産業相はドイツ、イタリアの長官とともに行った共同記者会見で、G7が「(福島原発)処理水の海洋放出を含む廃炉の着実な進展、そして科学的根拠に基づいた我が国の透明性のある取り組みが歓迎される」と説明した。 しかし、隣で聞いていたドイツのシュテフィ・レムケ環境相は「原発事故後、東京電力や日本政府が努力したことには敬意を払う。しかし、処理水の放出を歓迎することはできない」と反論した。西村経済産業相は共同記者会見後、記者団に「私が少し言い間違えた」として自身のミスを認めた。
 朝日新聞は「G7の『お墨付き』を得ることで、円滑に進めたいという狙いがあった。だが共同声明では『放出を歓迎する』という文言は盛り込めず、政府の思惑よりも抑えた表現になった」と報じた。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-04-17 02:43


「The Hankyoreh」 2023-04-14 07:46
■韓国の市民団体「尹錫悦政権は福島第一原発の汚染水放出に明確な立場を表明せよ」
 社会大改革釜山運動本部など5つの地域市民団体 

【写真】釜山の市民団体は13日、釜山東区草梁洞の日本総領事館近くの平和の少女像前で記者会見を行い、福島第一原発の放射能汚染水の海洋投棄阻止に積極的に取り組むよう尹錫悦政権に求めた=キム・ヨンドン記者//ハンギョレ新聞社

 釜山(プサン)の複数の市民団体が、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権に対し、福島第一原発の放射能汚染水の海洋投棄阻止に積極的に取り組むよう求めた。
 社会大改革釜山運動本部などの5つの地域市民団体は13日、釜山東区草梁洞(トング・チョリャンドン)の日本総領事館近くの平和の少女像前で記者会見を行い、「尹政権が福島第一原発の放射性汚染水の海洋投棄を黙認すれば、核テロの共犯になる」としてこのように要求した。
 これらの団体は「日本政府は、本年に放射性汚染水を海洋に放出すると発表した。福島第一原発の溶けた核燃料から高濃度の放射性汚染水が発生し続けているが、(汚染水を)海に捨てるというのだ。日本政府は国際原子力機関(IAEA)の検証によって汚染水を安全に管理するというが、汚染水の放射性物質の測定と公開はできないという態度だ」と主張した。
 続けて「尹政権はこのような現状と状態に対する正確な理解なしに、日本政府の主張に同調している。『憂慮、遺憾、反対』という表現を一度も使ったことがないという。国民の健康と安全をかなぐり捨てている。国際法的に強く対応すべきだ」と強調した。
 これらの団体はまた「汚染水の海洋放出は日本に近い釜山市民の安全と命を脅かし、漁業者と水産業従事者の生存権を奪うだろう。さらには未来の世代から海を奪うテロだ。尹政権は日本政府による汚染水海洋投棄の阻止に最善を尽くすべきだ」と述べた。
 釜山キョレハナのキム・ユラン事務処長は「汚染水の海洋放出は全世界に対する犯罪だ。今からでも日本政府は汚染水投棄計画を全面中止せよ」と述べた。脱核釜山市民連帯のイム・ミファ執行委員は「韓国政府は日本の水産物の輸入禁止措置に対して、国民的な憂慮があるにもかかわらず、明確な答えを出していない。国民の命や安全などに対する深刻な脅威であるにもかかわらず、一貫して沈黙している」と批判した。
 日本政府は昨年4月、福島第一原発に保管中の放射能汚染水を海洋放出する方針を決め、今夏に放出する計画だ。
キム・ヨンドン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/yeongnam/1087749.html
韓国語原文入力:2023-04-13 14:30


「The Hankyoreh」 2023-04-13 07:18
■日本政府、EUに「福島産農水産物の輸入規制撤廃」の要求強化
 汚染水の海洋放出を控え、「輸入撤廃の流れ」作りか 
 韓国も圧力を受ける可能性も

【写真】渡辺博道復興相(写真中央)は11日、復興庁でドイツのクレーメンス・フォン・ゲッツェ駐日ドイツ大使に会い、福島産農水産物輸入規制の撤廃を求めた=復興庁ホームページよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 日本政府が欧州連合(EU)に対して福島産農水産物の輸入規制の解除を強く求めているという。今夏に予定されている福島原発汚染水の海洋放出の開始を控え、福島産農水産物の「輸入規制撤廃」の流れを作り、安全性を浮き彫りにする狙いがあるとみられる。
 毎日新聞は12日付で、渡辺博道復興相が最近、EU加盟国のフランスとドイツの駐日大使と相次いで面会し、福島産農水産物に対する輸入規制の撤廃を求めたと報じた。
 渡辺復興相は7日にフランスのフィリップ・セトン駐日大使、そして11日にはドイツのクレーメンス・フォン・ゲッツェ駐日大使に会い「日本国内で放射性物質に関するモニタリング検査を実施し、基準値を超えた食品が流通することはない」として、安心していいという趣旨で説明した。渡辺氏は「EUが規制措置を講じていること自体が風評被害につながっており、規制を撤廃して被災地に希望を与えてほしい」と訴えた。氏の言う「風評被害」とは、2011年3月の福島原発爆発事故後、福島が「放射性物質の汚染地域」と認識され、福島農水産物が敬遠されていることをいう。
 EU加盟国は一律に福島産の一部の水産物や野生キノコ類などに対し、放射性物質検査証明書の添付を求めている。EU加盟国27カ国で規制がなくなれば、日本にとってはかなりの成果になる。同紙は「5月の主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)を前に、規制撤廃を目指すとともに、政府が今年春から夏ごろと見込む、福島第1原発にたまり続ける処理水の海洋放出に理解を求める狙い」だと報じた。渡辺氏は大使らに福島原発汚染水の海洋放出についても安全性を説明した後、「懸念することは全くない」と述べた。
 農林水産省の資料によると、2011年3月の福島原発爆発事故以降55カ国・地域で輸出規制措置を取ったが、現在は12カ国・地域のみ。福島県など一部地域を対象に輸出する際、放射性物質検査証明書を求めるのがEUやアイスランド、ノルウェー、スイス、ロシアのなど7カ国・地域だ。
 最初から輸入を禁止してたのは韓国、中国、台湾、香港、マカオの5カ国・地域で、主に日本の周辺国だ。このうち台湾は昨年2月、福島および近隣の群馬や茨城など5県で生産された食品と農水産物に対する輸入禁止措置を解除した。キノコ類をはじめとする一部品目に対する制限措置だけを維持している。輸入禁止など厳しい規制は4カ国・地域だけで行われている。日本政府は、比較的厳しい規制がなく日本から離れているEUなどを攻略した後、「規制撤廃」の流れを作る形で韓国に圧力をかける可能性もある。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が韓日関係改善のために事実上「一方的な譲歩外交」をする隙を狙って、水産物の輸入禁止問題を日本に有利に解決すべきという日本国内の雰囲気もある。
 韓国は福島と福島近隣の群馬や栃木など8県のすべての水産物の輸入を禁止している。農産物も福島など15県のコメや茶葉、きのこ類など27品目の輸入を禁止している。特に韓国は、2019年4月、福島水産物の輸入禁止措置が不当だとして日本政府が提起した世界貿易機関(WTO)訴訟で勝訴した。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-04-13 02:31


「The Hankyoreh」 2023-04-11 13:05
■太平洋の島国、「汚染水放出」問題点を一つひとつ批判…「対岸の火事」韓国とは対照的
 二重検証し「放出延期せよ」 
 「放出支持」のIAEA報告書にはない内容を指摘 
 韓国、日本に対する「逆転勝訴」色あせる恐れ

【写真】福島第一原発の敷地内のタンクに保管中の放射性物質汚染水/AP・聯合ニュース

 東京電力福島第一原発に保管中の放射能「汚染水」を今夏に海洋放出するという日本政府の計画に対し、太平洋の島国は「延期」を要求して積極的に対応しているが、韓国は「対岸の火事」的態度で傍観している。この隙をついて日本は、主要7カ国首脳会議(G7サミット)などを利用して友好的な国際世論を形成しようと躍起になっている。
 太平洋の島国は、同地域の18カ国からなる太平洋諸島フォーラム(PIF)が中心となり、昨年3月に核物理学、海洋学、生物学などの各分野の国際的な専門家からなる独立的な諮問団を組織した。PIF加盟国の一つであるマーシャル諸島が国際原子力機関(IAEA)のモニタリングチーム(11カ国)に加わっているが、国民の生活と健康に直接的な影響を及ぼす問題であるだけに、独自の諮問機関を作って「二重検証」を実施することにしたのだ。
 PIFの専門家たちは、日本に対する資料の提供要請▽オンライン討論▽原発の視察などによって汚染水放出問題を徹底的に掘り下げた。その結果、彼らが下した最終結論は「放出延期」だった。PIFのヘンリー・プナ事務総長は2月、PIFのウェブサイトにおいて、日本の汚染水放出について英語と日本語で「すべての関係者が科学的手法を通して汚染水の海洋放出の安全性を立証するまで、それは実施されるべきではない。我々の地域のこの断固たる立場は変わることはありません」と表明した。

【図】汚染水の海洋放出に対する各国の立場//ハンギョレ新聞社

 そして、日本政府が推進する汚染水放出の問題点を一つひとつ批判した。同氏は、日本が提供したデータの質と量は不十分なため海への放出の必要性を判断することは難しく、汚染水保管タンクの複雑さや巨大さを考慮すると、これまで行われてきた「多核種除去設備(ALPS)」の検査だけでは安全性を確認しうるだけの十分な結果は得られないと主張した。また、汚染水保管タンクのうちサンプルとして抽出、検査されるのは一部のみであり、放出による生態学的影響や生物濃縮についての考察が著しく欠如していると強調した。これらの問題は、日本が推進する汚染水放出計画を承認したIAEAの6日の「中間報告書」ではまったく言及されていない。IAEAは日本政府が2021年4月に汚染水の海洋放出を決めたことに対し、米国と共に直ちに支持の立場を表明している。
 韓国も汚染水放出で直接的な影響を受ける国の一つだが、対応はかなり生ぬるい。特に2022年5月の尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権発足後は「国民の安全と健康が最優先」だと繰り返しているだけで、汚染水の放出が目前に迫る現時点においても明確な立場を明らかにしていない。

【写真】今年2月、フィジーで太平洋の18の国と地域が参加する太平洋諸島フォーラム(PIF)の首脳が出席して会議が開催された=PIFウェブサイトより//ハンギョレ新聞社

 韓国は、福島産の水産物の輸入禁止措置は不当だとして日本政府が起こした世界貿易機関(WTO)訴訟で、2019年4月に「逆転勝訴」をおさめた。日本は当時も科学的数値を掲げ、韓国の措置は不当だと主張して一審では勝訴していた。しかし韓国政府は、原発事故後に放射性物質が流出した日本の沖合は「潜在的に危険」だと主張し、「政府は国民の命と健康のために危険要素を最大限低くしなければならないという義務がある」との論理を掲げた。WTOの上訴機関は、大方の予想を覆して韓国に軍配を上げた。尹政権が日本の汚染水放出を容認すれば、福島産水産物の輸入を阻んできた政府の政策と、4年前の「逆転勝訴」の成果も揺らぐことになると指摘される。
 日本は汚染水放出の最大の反対者となった太平洋の島国を集中的に説得しつつ、主要7カ国(G7)に対しては友好的な世論を作っていく計画だ。日本は15~16日に札幌で行われる「G7気候・エネルギー・環境大臣会合」の共同声明に「日本がIAEAと協力して(汚染水)放出の透明性を高めることを歓迎する」という文言を入れようとしているという。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-04-10 15:41


「The Hankyoreh」 2023-01-27 08:57
■今春、福島第一原発の汚染水放出…「日本、不完全な資料で決定」海外の科学者が指摘
 26日の韓国国会での専門家討論会で検討結果を発表 
 「放出のための日本の資料は不適切で偏向 
 汚染水『放出』ではなく『投棄』と言うべき」

【写真】日本の福島第一原発の敷地内にある汚染水貯蔵タンク。日本はこの貯蔵タンクに保管中の130万トンあまりの汚染水を今春から海に放出するための準備を進めている/聯合ニュース

 日本政府は不完全で偏向した資料を根拠に福島第一原子力発電所の放射能汚染水の海洋放出を決めたという科学者たちの分析が公表された。同原発を運営する東京電力が、かなりの数の放射性核種(物質)を測定せずに汚染水は安全だという結論を下したというのがその理由だ。福島第一原発の汚染水の海洋放出は、早ければ今春から実施される。科学者たちは「日本政府は原発汚染水の海洋放出推進をやめ、代案を模索すべきだ」と勧告した。
 ニュージーランドやフィジーなどの太平洋の18の島国が参加する太平洋諸島フォーラム(PIF)の科学者パネルは、26日に韓国の国会で行われた「福島汚染水放出に関する海外専門家招請討論会」で、東京電力の汚染水測定データは放出を決定する根拠とはなり得ないと指摘した。科学者パネルは、昨年3月にPIFが委任した原子力と海洋科学分野の5人の専門家で構成されている。PIFは汚染水放出の影響を受ける当事者として、日本に関連資料を要求し、受け取っている。日本政府は13日、福島第一原発の敷地内にある1000あまりの貯蔵タンクに保管中の約130万トンの汚染水を水で希釈し、今年の春か夏ごろに海に放出することを決めている。
 科学者パネルを代表してこの日の討論会に参加した米国ミドルベリー国際大学院のフェレン・ダルノキ・ベレス教授は「日本がPIFに提供したデータは不完全、不適切で一貫性もなく、偏向しているため、何らかの決定を下すには不適切だ」と述べた。さらに「正常稼動中の発電所から、計画され管理された形で汚染水を自然へと放出するわけでもないため、このケースでは汚染水の『放出』ではなく『投棄』という言葉を使うべきだ」と付け加えた。
 同パネルは東電の測定資料が偏向していると考えられる根拠として、まず東電が64種類の放射性物質のうちストロンチウム(Sr)90、セシウム(Cs)137などの9つの物質だけに焦点を絞り、残りの55の物質はほとんど測定せずに、常に同じ影響を及ぼす濃度で存在すると仮定していることをあげた。パネルはまた、多核種除去設備(ALPS)を経た汚染水の測定が行われるのは貯蔵タンクがいっぱいになる直前のたった一度に過ぎず、しかもそれは30リットルのサンプルに対するものであるため、汚染水の実際の構成と濃度を理解するには不十分だとも指摘した。
 パネルは検討結果報告書で「東電の測定資料には非正常で疑わしい測定値がいくつもある」と述べ、信頼性に対する根本的な疑問も提起している。その代表的な例として、半減期が9.4時間に過ぎない放射性核種であるテルル(Te)127がリットル当たり数十万未満から数百億ベクレル(Bq)まで記録されていることを指摘している。福島第一原発事故で放出されたものなら、半減期から考えてすでにかなり前に崩壊しているはずだからだ。報告書は「溶融した炉心が断続的に危険な状態になるのでないなら、この測定値は東京電力の測定とデータの品質管理手続きに問題があることを示す」と明らかにした。パネルはまた、汚染水に含まれるトリチウム(三重水素)が海の中で有機結合型トリチウム(OBT)に変化して海洋生態系に及ぼす影響、ストロンチウム90の生物濃縮の影響などをまともに検討していないことも重要な問題だと指摘した。
 パネルは「希釈が汚染の解決策だという仮定は、科学的に時代遅れで生態学的に不適切だ。放出措置は世代と国境を越えた事案であり、はるかに深い熟考が必要だ」と述べた。これらの科学者は海洋放出の代案として、汚染水を長期間貯蔵して放射線を減らしつつ、動植物と菌類を用いた生物学的方法で汚染を除去した後に、人間の接触が最小化される場所に使用されるコンクリートを製造する際の水として利用する方策を勧告した。
キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-01-26 17:12


「聯合ニュース」 2023.04.09 13:51
■汚染水問題で訪日した韓国野党議員「韓国の懸念、日本に伝わった」
【ソウル聯合ニュース】東京電力福島第1原発の処理済み汚染水海洋放出に関する現地視察を行うため日本を訪問していた韓国最大野党「共に民主党」の梁李媛瑛(ヤン・イウォンヨン)国会議員は9日、「汚染水の海洋放出を懸念しているわれわれの立場が日本社会に明確に伝わった」と訪日成果を説明した。同党の「福島原発汚染水対策団」に所属する国会議員4人は3日間の日程で日本を訪問し、8日に帰国した。


【写真】福島を訪問した最大野党「共に民主党」の「福島原発汚染水対策団」に所属する国会議員4人(梁李媛瑛議員室提供)=(聯合ニュース)

 梁氏はフェイスブックに、ヤフージャパンで「韓国、野党、福島」のキーワードを入れると、260万件以上に検索結果が増えたと投稿した。韓国野党が福島を訪問した記事リンクがメインページに掲載されたほか、同党の立場を取り上げたテレビも多かったと伝えた。
 梁氏は聯合ニュースの取材に対し、「日本社会でも日本政府と東京電力に対する不信が大きいのに、韓国政府が日本政府に同調する姿勢に失望したとの声もあった。今回私たちが訪日し明確に『違う』と言ったことは意味が大きい」と話した。
 実質的な成果が足りないとの指摘については「多くの人に会えなかったが、象徴性のある人に会ってきた」と主張した。
 対策団は6~8日に日本を訪れ、東京電力に福島第1原発の処理済み汚染水に関する資料提供を求める文書を伝えたほか、福島現地で地方議会議員、現地住民、診療所関係者の3人と面談した。
 10日にも記者会見を行い、訪日結果を正式に説明するという。


「聯合ニュース」 2023.04.07 15:09
■福島県の市議 汚染水放出に「賛成する住民ほぼいない」=韓国議員と懇談
【福島聯合ニュース】東京電力福島第1原子力発電所の処理済み汚染水の海洋放出に関する現地視察を行うため訪日している韓国最大野党「共に民主党」の「福島原発汚染水対策団」所属の国会議員4人は7日、福島県福島市で同県伊達市の島明美市議と懇談会を開いた。島氏は海洋放出を巡り、地元住民のうち「賛成している人はほとんどいない」と韓国の議員らに伝えた。

【写真】共に民主党の「福島原発汚染水対策団」所属の国会議員4人が福島で島明美市議(右から4人目)と懇談した=7日、福島(聯合ニュース)

 島氏は2011年の福島第1原発事故による被害の調査活動を行ってきた。昨年、市議に当選した。
 同氏は、福島の住民は不安を感じているが、日本政府はそうした声を上げにくい雰囲気をつくっていると批判。事故初期の被ばく被害に関する研究者の実証研究論文があったが、住民の個人情報を無断で使用し、捏造(ねつぞう)や偽造の疑いがあったため撤回されたと伝えた。
 東京電力や公共機関が出す関連情報も信じがたいと指摘しながら、「現地の被害を口にすれば風評被害が大きくなるという具合だ」と語った。
 他国の原発でも放射性物質のトリチウム(三重水素)を含む水を海に流しているとの指摘には「正常に稼働している原発と、事故が起きた福島の原発は違う」とし、トリチウム以外の核種に対する情報もさらに詳細に公開すべきだと主張した。
 汚染水対策団の梁李媛瑛(ヤンイ・ウォニョン)議員も、福島の原発の汚染水からは正常稼働している原発では検出されないプルトニウムも検出されているとし、「正常稼働中の原発とは次元が異なる」と指摘した。
 だが、日本政府は汚染水に含まれるトリチウム以外の放射性物質は多核種除去設備(ALPS)などを使って規制基準以下まで取り除かれるとしている。


「聯合ニュース」 2023.04.06 21:32
■訪日の韓国野党議員 IAEA報告書「日本の専門家も信頼していない」
【東京聯合ニュース】日本政府が今年開始を計画している東京電力福島第1原子力発電所の処理済み汚染水の海洋放出を巡り、安全性検証を進める国際原子力機関(IAEA)が5日、放出後の海水の監視体制が信頼できると評価したことについて、韓国最大野党「共に民主党」の「福島原発汚染水対策団」で団長を務める魏聖坤(ウィ・ソンゴン)国会議員は6日、「日本の専門家も信頼できないと話していた」とし「IAEAの権威は認めるが、すべてを信じて任せることはできない」と述べた。

【写真】東電本社前で記者会見する対策団の一行=6日、東京(聯合ニュース)

 同対策団に所属する韓国の国会議員4人はこの日、海洋放出に関する現地視察を行うため、3日間の日程で日本を訪問。東京電力本社前で記者団の取材に応じ、このように述べた。
 魏氏は、日本の専門家らがIAEAについて、客観的かつ透明な情報ではなく、自分たちに有利な情報を公開しており、汚染水の海洋放出によって有害物質が人体に蓄積された場合の被害についての検討が抜けているなどと話したと紹介した。
 対策団は訪日初日のこの日、明治学院大の熊本一規名誉教授や、NPO法人・原子力資料情報室の伴英幸共同代表などと面会し、汚染水の海洋放出の問題点などを聞いた。
 同対策団の尹永徳(ユン・ヨンドク)議員は「IAEAの検証結果が信じられないというのではなく、検証の過程でわれわれが結果を信頼できるよう透明な情報公開が必要という意味」と強調した。
 魏氏は、文在寅(ムン・ジェイン)前政権で、当時外交部長官だった鄭義溶(チョン・ウィヨン)氏が、IAEAの基準にあった適切な手続きを取るのであれば海洋放出に反対しないと発言していたことについて、「政府の意見と党の意見は違うものであり、当時の鄭氏の回答はわが党の意見ではない」と述べ、当時は共に民主党が与党ではあったが、鄭氏の発言は個人の見解だったと思うと説明した。
 対策団は福島第1原発の訪問や、東電の役員との面会を求めていたが実現しなかった。 東電側が拒否したという。
 対策団は海洋放出を開始する正確な時期や、汚染水の現状や分析結果などを要求する公開書簡を東電の職員に手渡した。
 一行は、7日に福島原発周辺を視察し、福島の地方議員や原発で働く労働者、被災者らと面会するほか、診療所も訪問する予定だ。


「The Hankyoreh」 2023-04-05 08:17
■日本国民の52%「福島原発汚染水の海洋放出、国民の理解得られていない」
 汚染水の試料採取、2カ月後に結果 
 否定的な世論にもかかわらず、今夏の放出を強行する方針

【写真】福島第一原発の敷地に保管されている汚染水タンク=東京電力提供//ハンギョレ新聞社

 日本国民の半数以上が、東京電力福島第一原発の敷地に保管中の放射能汚染水の海洋放出について「国民の理解は得られていない」と考えていることが調査で明らかになった。日本政府は、漁業関係者らが反対しており、世論も否定的であるにもかかわらず、今夏海洋放出を強行する方針だ。
 日本原子力文化財団は4日、全国15~79歳の男女を対象に昨年9~10月に訪問調査(回答者1200人)を行った結果、回答者の51.9%が汚染水の海洋放出と関連して「国民の理解は得られていない」と答えたと発表した。「国民の理解は得られている」という回答はわずか6.5%にとどまった。
 漁業関係者などが汚染水の放出に強く反発している中、「関係者の理解を得られるまでは(海洋放出を)行うべきでない」という回答が42.3%を占め、「関係者の理解を得られなくても行うべき」(5.6%)より圧倒的に多かった。東京電力は2015年8月、社長自ら汚染水の海洋放出について「(漁業)関係者なしには、いかなる処分もしない」という立場を文書で表明した。これは福島県漁業協同組合連合会の要請で作られたもの。朝日新聞は今回の世論調査の結果について「漁業者との約束を守るべきだと考えている人が多いことを示している」と報じた。
 福島原発汚染水の安全性についても疑念を抱いている人が多いことが分かった。「処理水(汚染水)の海洋放出の安全性について、科学的な根拠が示されていない」と考える人は回答者の24%で、「示されている」(9%)より2倍以上多かった。また回答者の39.4%は「第三者機関や国際機関などによって監視されるべき」という立場を示した。「監視されるべきでない」という回答は2.3%にとどまった。
 そのため、汚染水が放出されれば、福島産水産物が打撃を受けざるを得ないものとみられる。「処理水の海洋放出が始まると、国内の消費者が福島県などの農林水産物の購入をためらうと思う」という意見が34.5%で、「ためらうことはないと思う」(10.8%)より3倍ほど高かった。
 だが、汚染水の放出に向けた東電の工事はすでに大詰めを迎えている。この工事の中心となるのは、実際放出が行われる沖合約1キロメートル地点まで海底トンネルを新しく作る作業だ。海底トンネルを通じて海岸から少し離れたところから汚染水を放出すれば、放射性物質のトリチウムの希釈が容易になり、水産物への影響をめぐる懸念で漁業関係者が受ける被害も減らせるというのが日本政府の判断だ。
 海底トンネルの出入口の工事は先月23日に終わった。約830メートル地点で掘削作業を中断したトンネルは、近日中に工事を再開し、出口と入口をつなぐ予定だ。東電は6月までにすべての工事を完了する方針だ。東京電力は汚染水が放出基準を満たしているかどうかを調べるため、放射性物質濃度を測定する試料の採取を先月27日実施しており、検査結果は2カ月後に出る。
 日本政府は福島原発汚染水(132万トン)の放射性物質の濃度を法的基準値以下に下げた後、今夏から30年にわたり海に放出する。多核種除去設備(ALPS)で除去されないトリチウムは基準値の40分の1以下に濃度を希釈して海に放出することになる。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1086440.html
韓国語原文入力:2023-04-05 01:30

「聯合ニュース」 2023.04.03 14:33
■韓国最大野党議員ら 汚染水の海洋放出巡り福島原発訪問を調整
【ソウル聯合ニュース】東京電力福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出問題を巡り、韓国最大野党「共に民主党」の「福島原発汚染水海洋放出阻止対応団」に所属する国会議員らが6日から2泊3日の日程で福島原発訪問を調整していることが3日までに分かった。ただ、原発訪問が実際に行われるかどうかは未知数だ。

【写真】3月29日、国会に韓日首脳会談の真相究明を目指す国政調査の要求書を提出する共に民主党の議員ら(共同取材)=(聯合ニュース)

 福島原発訪問を推進しているのは対応団の団長を務める魏聖坤(ウィ・ソンゴン)議員ら約4人。対応団の関係者は「(在韓)日本大使館に5カ月前から問い合わせをしたが、調整ができていない状況」として、5日には日本大使館を抗議訪問する方針を明らかにした。
 在韓日本大使館側は共に民主党の抗議訪問について、「確認できない」との立場を示した。


「The Hankyoreh」 2023-04-03 06:58
■韓国立法調査処「福島産水産物の輸入制限拡大まで視野に入れるべき」
 日本側の不透明な資料公開問題などを指摘 
 政府に国際海洋法裁判所への提訴の検討求める

【写真】福島第一原発の放射性物質汚染水貯蔵タンク。日本はこのように貯蔵している2011年原発事故の汚染水133万トンを30年かけて海に放出する計画だ/聯合ニュース

 日本の福島原発汚染水の海洋放出計画に対する韓国政府の対応が激しい議論を呼んでいる中、韓国の国会立法調査処は政府に日本産の水産物輸入制限の拡大まで視野に入れた強力な対応を求めた。立法調査処は国会議員の立法活動を支援する超党派的な国会専門機関だ。
 立法調査処は31日に発表した報告書「イシューと論点-福島原発汚染水の海洋放出にともなう水産業への影響と対応案」で、「政府は放射能汚染水の放出に関する主要措置について、日本政府に透明な情報公開とともに近隣国である韓国政府との協議を強く求め、必要ならば日本産水産物の輸入制限措置の拡大だけでなく、国際海洋法裁判所(ITLOS)への提訴も視野に入れなければならない」と主張した。
 立法調査処は、福島原発汚染水の海洋放出をめぐり国内で安全性と影響予測の信頼性の論議があることについて、まず日本政府の責任を指摘した。日本政府が関連資料を透明に公開し、周辺国の政府と十分に協議しなかったことに起因する側面がある点を明確にしたのだ。このため、日本政府に関連資料の透明な公開協議システムの構築とともに、検証の強化を求めるべきだと強調した。
 福島第一原発の敷地には3月9日現在、放射性物質が含まれた汚染水133万立方メートルが保存されている。日本はこの汚染水を多核種除去設備(ALPS)で国際基準に合わせて処理し、同設備で処理されないトリチウムは基準値の40分の1の濃度に希釈して海に放出する計画だ。
 このように放出される汚染水の放射性物質が海でどのように拡散するかに関する予測は、周辺国である韓国と中国で主に行われている。直近のものでは、韓国原子力研究院と韓国海洋科学技術院が、汚染水中のトリチウムが4~5年後に済州(チェジュ)海域に流入し、極低濃度では放流2年後にも流入する可能性があるという共同シミュレーション結果を2月に発表した。しかし、このようなシミュレーション分析は、多様な放射性物質(核種)が生物体の食物連鎖に乗って蓄積され移動する過程は考慮していないという点で限界がある。汚染水の放出が環境と健康に及ぼす影響を全て示すことはできないということだ。
 立法調査処はこのような分析結果と関連しても「放出した汚染水が韓国に到達する時期について多様な研究結果が提示され、混乱を引き起こしている側面もある」としたうえで、研究方法と結果に対する客観的な検証の必要性も提起した。汚染水を拡散させる海流の流れと強さが季節によって異なるため、放出の時期と一定期間の放出量によって国内海域への到達時期と濃度が変わりうる点に留意すべきという指摘だ。
 立法調査処は報告書で「汚染水の放出は水産業への被害だけでなく、水産業の関連産業、観光分野にまで影響が及ぶ恐れがある」とし、「仮称『福島原発汚染水の海洋放出にともなう水産分野への被害対策特別法』の制定を通じて汎政府レベルの対策委員会を立ち上げ、被害対策の総合計画を樹立・施行し、関連予算を確保するための根拠作りを急がなければならない」と勧告した。
キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-04-02 15:23


「中央日報日本語版」 2023.04.01 08:53
■韓国食薬処「福島近隣8県の水産物輸入禁止措置を維持中」
 韓国の食品医薬品安全処(食薬処)が「福島近隣8県の水産物、15県の農産物27品目に対する輸入禁止措置を施行中であり、したがって宮城県のホヤなどは現在輸入されていない」と明らかにした。
 食薬処は31日、放射能汚染食品に対する懸念が強まると、「日本産食品の放射能安全管理を徹底している」とし、このような内容を含む資料を発表した。
 現在、日本産食品の放射能懸念に関連する輸入禁止措置は、青森・岩手・宮城・福島・茨城・栃木・群馬・千葉県のすべての水産物と、8県に神奈川・長野・埼玉・山梨・静岡・新潟・山形県を加えた15県のコメ、キノコ類、ワラビ、大豆など農林産物27品目に対して施行されている。
 また食薬処はすべての日本産食品に対して輸入時にセシウムなど放射能検査を実施し、微量でも検出されればストロンチウムなど追加核種の証明書を要求している。さらに放射能検査装備を拡充し、放射能検査時間を従来の1800秒から1万秒に強化して精密性を高めた。食薬処の輸入食品放射能検査の結果は「輸入食品放射能安全情報」ホームページで毎日公開される。
 これに先立ち最大野党の共に民主党は前日、国会本庁前の階段で、福島産水産物輸入反対および対日屈辱外交糾弾大会を開き、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に向けて「福島水産物絶対輸入不可を公開的に全世界に確実に明らかにすべきだ」と促した。
 李在明(イ・ジェミョン)民主党代表は「放射能に汚染される可能性が高い福島産農水産物を大韓民国領内に輸入する可能性が高まっている」とし「日本産ホヤは買っても大韓民国の農民が生産したコメは買えないということか」と主張した。


「The Hankyoreh」 2023-03-31 06:48
■韓国野党代表「尹大統領は福島産農産物の輸入不可を宣言すべき」
 ユン・ジェガプ議員、福島原発汚染水の海洋放出に抗議して剃髪

【写真】共に民主党のイ・ジェミョン代表が30日午前、国会で開かれた福島産水産物の輸入反対および対日屈辱外交糾弾大会で発言している/聯合ニュース

 韓国の野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表が、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に向けて「(日本の)不当な歴史侵略に対し、大韓民国の名前で、国民の名前で全面戦争を宣言すべきだ」と述べた。
 イ代表は30日、国会本庁前で開かれた「福島産水産物の輸入反対および対日屈辱外交糾弾大会」で、「尹大統領に求める」として、このように述べた。イ代表は「屈辱外交の真相を一つひとつ国民に明らかにし、国民に、そして歴史に謝罪せよ」とし、「福島産農産物は絶対輸入しないことを全世界に向けて公にかつはっきりと宣言すべきだ」とも述べた。これに先立ち、共同通信は「韓国の尹錫悦大統領が菅義偉前首相らと17日に会談した際、東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出について『時間がかかっても韓国国民の理解を求めていく』と表明していたことが分かった」と報道した。
 イ代表は「日本に一方的に譲歩した今回の首脳会談によって、韓日関係は1945年以前に回帰した。放射能に汚染された可能性の高い福島産農水産物が大韓民国の域内に輸入される可能性が高くなった」とし、「韓国政府は否定しているが、(日本は)独島(トクト)、慰安婦合意、福島汚染水(問題を)すべて議論したと主張している。(尹大統領は)コップに水を半分いれたから、残りの半分は日本側が満たすだろうと言ったが、結果はコップ半分を満たすどころか、私たちが水を入れたコップまで蹴飛ばした」と批判した。
 糾弾大会で民主党海洋水産特別委員会委員長のユン・ジェガブ議員は、日本の福島原発汚染水の放出に抗議して剃髪式を行った。
シム・ウサム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-03-30 12:


「The Hankyoreh」 2023-03-31 11:00
■「福島産水産物の輸入はない」韓国大統領室、日本の報道の収拾に必死

【写真】尹錫悦大統領が21日、龍山の大統領室で国務会議を主宰し発言している=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 屈辱的と評価されている韓日首脳会談の余波が激しい中、尹錫悦大統領の「意思疎通のなさ」を示す態度が続いている。大統領室は会談から2週間が経過する間、直接説明する時間はもちろん、野党指導部を招待して結果を説明する場も設けなかった。その代わり大統領室は日本のメディアの報道後、釈明と否定を繰り返す行為を繰り返し、ますます信頼を落としている。
 大統領室は30日午前、報道官室出入り記者団に「日本産の水産物輸入に関し、国民の健康と安全が最優先だという政府の立場には変わりがない。福島産水産物が国内に輸入されることは決してない」とショートメールで通知した。その前日、共同通信が「尹大統領が菅義偉前首相らと17日に会談した際、東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出について『時間がかかっても韓国国民の理解を求めていく』と表明した」と報じたことについて釈明したのだ。大統領室の主要関係者は「日本でどういう理由でそのように報道したのか分からないが、そこに韓国メディアが付和雷同する必要があるのか」とし、「安全性が最も重要なのは変わりない」と述べた。しかし、大統領室は20日、福島産水産物に関する首脳会談での議論に関して「両首脳がどんな話をしたのかは公開できない」という態度を示した。
 「日本の報道→大統領室の否定あるいは確認不可」というパターンは今回が初めてではない。大統領室は16日、NHKの「(岸田首相が尹大統領に)竹島をめぐる問題について日本の立場を伝えた」という報道に対して、翌日「独島(トクト)に関しては全く話はなかった」と否定した。同日、共同通信の「岸田首相が『慰安婦合意』履行を求めた」という報道に対しては、「(首脳会談で)議論された内容をすべて公開するのは適切ではない」とし、確認しなかった。
 このような中での尹大統領の意思疎通のなさは、政府の主張の信頼性を自ら落としている。尹大統領は会談から2週間がたたっても、記者会見や懇談会、談話など国民に直接説明する場を設けなかった。代わりに21日の国務会議で、20分以上にわたる冒頭発言という一方的な伝達を通じて、批判意見を「排他的民族主義」や「反日感情」として退け「政治的利益を得ようとする勢力が厳然として存在する」と非難した。
 野党に説明をする気配もない。歴代の大統領は、外国との重要な首脳会談の後、結果を説明し協力を求める席を設けたが、尹大統領は提案や招待をしなかった。尹大統領の「意思疎通拒否」は、4月末に予定された韓米首脳会談や、5月の広島での主要7カ国首脳会議(G7サミット)を機に開かれる可能性が高い韓米日首脳会談後も続く可能性が高い。
 世論は依然として批判的だ。エムブレインパブリック、Kスタットリサーチ、コリアリサーチ、韓国リサーチが27~29日に全国成人1001人を対象に施行した全国指標調査(NBS)の結果(信頼水準95%、標本誤差±3.1ポイント)、韓日首脳会談に対する否定評価は60%で、肯定評価(31%)の2倍だった。
 大統領室関係者は「日本の報道にいちいち反応するわけにもいかず、韓日関係は長期的に韓米、韓米日関係まで見通して決めた問題なので、これからが始まりだ」とし「現時点では尹大統領から説明できることは多くない」と述べた。
ペ・ジヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
韓国語原文入力:2023-03-31 07:46


「聯合ニュース」 2023.03.30 17:00
■汚染水で尹大統領が「韓国で理解求める」? 韓日議連会長が日本の報道否定
【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が17日に東京で菅義偉前首相らと面会した際、福島原発の処理済み汚染水の海洋放出に関し「時間がかかっても韓国国民の理解を求めていく」と表明していたとの日本メディアの報道について、面会に同席した韓日議員連盟会長の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)国会議員(与党「国民の力」)は30日、フェイブックに「報道は全く事実ではない。こうした内容を報じたメディアに遺憾の意を表す」と書き込んだ。

【写真】17日に東京都内のホテルで面会し、握手を交わす尹大統領(左)と菅氏=(聯合ニュース)

 報道によると、面会に同席した日韓議員連盟の額賀福志郎会長は尹大統領に対し、汚染水の海洋放出に対する理解と、水産物の輸入規制撤廃を求めたという。
 報道を受け、韓国内では福島県産水産物の輸入再開への懸念が強まり、大統領室は30日、「福島産水産物が国内に入ることは決してない」と表明した。
 鄭氏によると、尹大統領は「汚染水問題は韓国国民として不安を感じざるを得ないため、時間がかかっても国際原子力機関(IAEA)の主管下で科学的かつ客観的な真相を正確に把握して知らせることが重要だ」と述べた。また、「汚染水問題は韓国国民の健康と安全に関する問題であるため、科学的かつ客観的な検証が必ず必要だ」とし、「韓国人専門家を招き、検証に参加させるのも一つの方法かもしれない」と述べたという。
 鄭氏は「額賀会長が地元(茨城県)の問題を記してきた内容を長々と読み上げ、『少し失礼ではないか』と感じた」と言及。「尹大統領と日本側の出席者が交わした話をすべて記録した」として、「尹大統領と額賀議員の会話のどこにも『韓国国民を説得していく(理解を求めていく)』という言及はなかった」と伝えた。


「聯合ニュース」 2023.03.30 10:51
■韓国大統領室「福島産水産物が国内に入ることはない」
【ソウル聯合ニュース】韓国大統領室の報道官室は30日、「日本産の水産物輸入に関連し、国民の健康と安全が最優先という政府の立場に変わりない」とし、「福島産水産物が国内に入ることは決してない」と言明した。
 2011年の東京電力福島第1原発事故を受け、韓国は福島県など8県産の水産物の輸入を禁止している。
 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は今月16日に訪日して韓日首脳会談を行った。その際に日本側が福島県産水産物の輸入規制の撤廃を求めたと日本のメディアが報じたことから、韓国では懸念する声が高まっている。
 また日本の共同通信は29日、尹大統領が訪日2日目の17日に菅義偉前首相と面会した際、福島原発の処理済み汚染水の海洋放出に関し「時間がかかっても韓国国民の理解を求めていく」と表明していたことが分かったと報じた。同席した日韓議員連盟の額賀福志郎会長が処理済み汚染水の海洋放出に対する理解と、水産物の輸入規制撤廃を求めたという。


「The Hankyoreh」 2023-03-28 09:48
■韓国水産業界、福島原発汚染水放出に「言えない悩み」…その理由は?

【写真】日本の福島原発汚染水のタンク/聯合ニュース

 日本政府の福島原発汚染水の海洋放出が秒読みに入り、韓国の水産業界の懸念が高まっている。太平洋沿岸国である米国と国際原子力機関(IAEA)も日本政府の方針をかばう状況で、韓日関係改善に必死な韓国政府まで緩い態度を取っているためだ。
 27日の本紙の取材を総合すると、済州島(チェジュド)や南海(ナムヘ)など日本と接する水域の漁業者たちは、汚染水放出反対集会を計画するなど強く反対している。済州島の水産業界は「汚染水放出で済州の水産業界が被ることになる被害額は4483億ウォンと推定される」とし「これは済州地域の水産物の生産額9121億ウォンの49.4%にもなる規模」だと明らかにした。韓国の養殖業売上額の60%以上を占める南海岸の漁業者も9日、糾弾集会を開き、韓国政府の強い対応を求めた。
 現地の漁業者の反発にもかかわらず、韓国の代表的な水産団体は意外にも静かだ。日本政府を糾弾し、政府の強い対応を求めた昨年とは全く違う雰囲気だ。韓日関係改善を最優先の外交目標に設定した政府が、汚染水放出に対しても一歩引いた態度を示しているからだ。韓国水産業経営人中央連合会のキム・ソンホ会長は、最近の本紙の電話取材で「すでに日本がこれを承認して放出を防ぐことができない状況に至り、海流上の汚染水が一番最初に到着する米国などでも反対する動きがないため、私たちが先に積極的に乗り出すのは難しい」と話した。
 水協中央会のイム・ジュンテク前元会長も「(最近の水産団体長らとの懇談会で)汚染水を放出したら、我々が先制的に放射能検査を実施し、水産物の安全性を広報しなければならないという話だけが交わされた」とし「汚染水放出が水産物の安全には大きな問題を起こさないというので、ひとまず見守るべきではないかという雰囲気だ」と伝えた。イム前会長は今月24日に水協中央会長の任期を終えた。韓国水産貿易協会のペ・ギイル会長も先月24日の定期総会で「水産団体が汚染水放出に強く反対すれば、それがブーメランになって返ってくる。汚染水問題については専門家が話すべきであり、(我々が先に乗り出せば)韓国の水産物消費が減る」と述べ、言及を控えた方がいいという意見を明らかにした。
 主な水産団体の反応の変化に、現場の水産業従事者たちは不満を吐露する。仁川地域のある韓国水産産業総連合会の会員は「昨年12月の臨時総会で2023年事業計画に『福島原発汚染水放出阻止』を明文化した」とし、「突然、今になって尻尾を下げる理由が理解できない」と強く不服を唱えた。実際、同協会は汚染水海洋放出阻止活動と関連して2千万ウォンの予算を立てた。仁川地域の他の会員たちも「水産団体の役員たちが突然、日本政府の論理に歩調を合わせはじめている。この調子では、今後の被害をそのまま韓国国民が被ることになるだろう」と警告した。
 日本政府は、今年6月までに福島の事故原発の敷地に保管中の汚染水を海岸に運ぶ配管工事を終えた後、汚染水を海に捨てる計画だ。韓国海洋科学技術院と韓国原子力研究院が先月発表したシミュレーション結果によれば、福島原発汚染水は放出後3~4年たって韓国海域に到達することになる。
イ・スンウク、イ・ジョンハ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/area/capital/1085428.html
韓国語原文入力:2023-03-28 09:00
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日本原発汚染水の放流が間近に···韓国、放射能検査の拡大など安全性確保を強化

2023年04月01日 | 
「中央日報日本語版」 2023.03.24 11:37
■日本原発汚染水の放流が間近に···韓国、放射能検査の拡大など安全性確保を強化

【写真】海洋環境公団が釜山沖に位置する定点で海洋放射能調査試料を採取している。[写真 海洋水産部]

 韓国慶尚南道(キョンサンナムド)は24日、海洋港湾課に水産物安全担当を新設するなど、水産物安全性の確保と体系的な対応に集中すると発表した。
 道は水産物安全管理センターに放射能分析装備を既存の1台から4台に拡大し、専門人材も1人から3人に増やした。
 生産段階の水産物放射能検査量を年間300件から1000件に拡大し、その結果を道庁ホームページに掲載している。
 日本の原発汚染水放流に対する国民的懸念が大きいだけに、海洋水産部と原子力安全委員会に道内海域の海洋放射性物質の定点調査の追加を申し立て、従来の5カ所から8カ所に拡大した。
 出荷段階でも放射能検査を強化するため、今年初めて水協の委託販売先10カ所に携帯用放射能測定装備を支援する。
 韓日海峡沿岸に位置する5市道〔慶南(キョンナム)・釜山(プサン)・蔚山(ウルサン)・全南(チョンナム)・済州(チェジュ)〕は実務協議会を設け、原発汚染水の放流に共同で対応している。今後、きめ細かい放射能監視網を構築するために海洋放射性物質の定点調査2カ所の追加と委託販売場・共販場の放射能検査装備支援事業の拡大を海洋水産部に申し立てる計画だ。
 年中常時原産地表示地図の取り締まりで輸入水産物の流通管理を強化し、特に日本産水産物の特別点検を年4回に拡大する。
 慶南道のソン・フンテク海洋港湾課長は「細かい放射能監視体系を構築し、水産物の食べ物に対する安全を確保し、放流に備えた水産物消費活性化、漁民被害対策も検討する計画」と話した。


「The Hankyoreh」 2023-03-22 10:22
■福島原発の汚染水放出前からトラブル…測定用タンクに別の水が8トン流入
 重要な作業で問題生じたが 
 東電「放出時期への影響はない」

【写真】福島第一原発の敷地に放射性物質汚染水を入れたタンクが並んでいる/AP・聯合ニュース

 日本が東京電力福島第一原発の汚染水の海洋放出のために主要な設備の稼動を始めた中、最初から問題が発生した。汚染水の汚染程度を測定するために保管していた水に他の水が混ざってしまったという。
 同原発を運営する東京電力は、放射性物質汚染水の浄化濃度を確認するために(多核種除去設備(ALPS)で処理した)汚染水を入れておいたタンクに別のタンクの水が流入したことを発表したと、朝日新聞など日本メディアが21日付で報じた。東京電力は福島原発敷地内のタンクに保管している汚染水の放射性物質濃度を法的基準値以下に下げた後、今夏から30年かけて海に放出する予定だ。これに先立ち、汚染水に放射性物質がどれだけ残っているかを測定している。放出を進める上で最も重要な作業だ。
 東電は汚染水タンクを10基ずつ、受け入れ・測定・放出の3つの群に分けて汚染水放出作業を進める計画だ。ところが、この過程で測定群ではないタンクから水が8トンほど流出したことが発見された。測定対象ではないタンクの汚染水が測定用のタンクに流入したのだ。タンクをつなぐ配管の電動弁が完全に閉まっていなかったことが原因とみられる。東電は朝日新聞に「その時に放出しようとする水だけを(放射性物質の汚染濃度を)分析することが大事で、混ざってしまうのは問題なので運用面の見直しを検討する。放出時期への影響はないと考えている」と述べた。
 日本政府は、福島原発敷地内にあるタンクに保管している汚染水を海の近くまで運ぶ配管工事などを6月までに終える予定だ。この作業が終われば海への放出が始まる。
 岸田文雄首相は16日の韓日首脳会談で、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対し、福島原発汚染水の放出に協力してほしいと述べたことが確認された。ある与党関係者は本紙に対し、「岸田首相が韓日首脳会談で尹大統領に『処理水放出施設の工事が終わったら(放出に)協力してほしい』と話した」とし、「尹大統領は『汚染水排出は国際規定を守らなければならず、これを確認する過程で韓国の専門家や機関が参加しなければならない』という趣旨で答えた」と伝えた。
チョ・ギウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1084607.html
韓国語原文入力:2023-03-22 09:28


「The Hankyoreh」 2023-03-21 08:04
■岸田首相、韓日首脳会談で福島原発汚染水放出への協力を要請
 韓国与党関係者、岸田首相の発言伝え 
 「尹大統領、『国際規定を守るべき』との趣旨で答えた」
 岸田文雄首相が16日の韓日首脳会談で、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に福島原発汚染水の放出に対する協力を要請したことが、20日に確認された。
 ある韓国与党の関係者は同日、本紙の取材に対し「岸田首相が韓日首脳会談で尹大統領に『福島原発汚染水の放出施設の工事がまだ終わっていない。施設工事が終われば(汚染水の放出に)協力してほしい』と述べた」とし、これを受け「尹大統領は『汚染水の排出は国際規定を守らなければならず、これを確認する過程で韓国の専門家や機関の参加が必要だ』という趣旨で答えた」と伝えた。このような内容は19日の「国民の力」指導部にも共有されたという。
 尹大統領は17日、菅義偉前首相が福島第一原発汚染水の海洋放出について韓国の理解を求める発言をした際も同様の趣旨で答えた。
 大統領室は、韓日首脳会談で福島原発汚染水の放出が首脳会談の議題になったかどうかについては言葉を濁した。国家安保室のキム・テヒョ第1次長は18日、「YTN」に出演し、福島原発汚染水関連の話が交わされたかという質問に「首脳会談の対話は公開できない」と答えた。
ソ・ヨンジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1084401.html
国語原文入力:2023-03-2022:18


「聯合ニュース」 2023.02.28 17:38
■福島汚染水の海洋放出 韓国・釜山市がTF設置
【釜山聯合ニュース】韓国で東京電力福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出計画に対する懸念が高まっている中、南部の釜山市は28日、安炳ユン(アン・ビョンユン)副市長を団長とするタスクフォース(TF、特別チーム)を設置すると発表した。

【写真】ソウル中心部の光化門で、環境団体が日本政府に汚染水海洋放出計画の撤回を求めてパフォーマンスを行った=28日、ソウル(聯合ニュース)

 海水や水産物に含まれる放射性物質を監視・分析する放射能評価班など4班、13課で構成されるTFは、汚染水の放出前には毎月1回、放出後には毎週1回会議を開いて対策を議論する計画だ。 
 状況が深刻な場合は朴亨埈(パク・ヒョンジュン)市長を本部長とする対策本部に格上げして全面的な対応に乗り出す。
 また、釜山市は海水の放射性物質無人監視網と食品の放射性物質分析装置の設置費として5億7000万ウォン(約5860万円)を確保し、検査情報を同市のホームページやSNS(交流サイト)で公開する計画だ。
 釜山市傘下の研究機関、釜山研究院が1月25日から2月3日まで市民1840人を対象に行ったアンケート調査の結果、回答者の87%が汚染水の海洋放出を危険と考えていると答えた。また、回答者の過半数が水産食品や海洋観光に影響を及ぼす可能性があると回答した。


「聯合ニュース」 2023.02.28 16:23
■福島原発汚染水の分析結果 3月中にIAEAへ提出=韓国の検証参加機関
【大田聯合ニュース】東京電力福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出を巡り、汚染水の放射性物質の検証に加わっている韓国原子力安全技術院は28日、最初の分析結果を3月中に国際原子力機関(IAEA)に提出する予定だと発表した。同院は昨年10月、米国、フランス、スイスなどとともに日本側から多核種除去設備(ALPS)で放射性物質を取り除いた処理済み汚染水を受け取り、分析を進めてきた。
 
【写真】東京電力福島第1原子力発電所に設置されているポンプ(資料写真)=(聯合ニュース)

 福島第1原発では敷地に流入する地下水や雨水などにより汚染水が発生しており、東京電力はこれをALPSで処理した上で敷地内タンクに保管している。日本政府が2021年に汚染水の海洋放出方針を発表すると、IAEAは他国と共にタンク内の汚染水の放射性物質成分を検証することを決めた。
 IAEAは昨年3月、10月に検証参加機関の立ち会いの下で汚染水を採取し、分析を依頼した。昨年3月に採取した汚染水の検証には全ての機関が参加し、10月採取の汚染水の検証には韓国のみが第三者機関として参加する。
 IAEAは機関ごとの分析結果をまとめた最終結果を公表する予定だが、公開日は未定。このため、日本の海洋放出開始が今年の春から夏ごろという当初の計画よりも遅くなる可能性も指摘されている。
 原子力安全技術院の関係者は27日に開いたメディア向け説明会で、同院が加わっている検証は日本の分析結果が正しいのか間違っているのかを見極めるものだとし、IAEAの検証の進行ペースが計画よりも大幅に遅れていると伝


「中央日報日本語版」 2023.02.24 15:22
■原発汚染水放出、G7の承認を得ようとする日本…中国メディア「隣国に被害」
 日本政府が福島第1原発の放射能汚染水を海に放出する案に関連し、主要7カ国(G7)の承認を得ようとしている。これに関連し中国国営グローバルタイムズは23日(現地時間)、自国の立場を代弁する専門家を引用し、環境と人間の健康に取り返しのつかない被害になると反発した。
 共同通信など日本メディアによると、今年のG7議長国の日本は広島で開催されるG7の共同声明に、汚染水放出のための「透明性のあるプロセスを歓迎する」という表現を盛り込もうとしている。先月、日本政府と東京電力は今年の春または夏に汚染水の放出を始める計画を発表し、海底トンネルなど放出に必要な施設を設置する工事が進行中だ。
 中国黒竜江省社会科学院北東アジア研究所のダ志剛研究員はグローバルタイムズのインタビューで「ウクライナ事態と朝鮮半島の緊張状況に対応し、日本は西側国家を(汚染水放出)計画に動員しようとしている」と主張した。
 米国はすでに日本の汚染水放出計画を支持する意思を明らかにした。米国務省が声明を出し、「日本は世界的に通用する原子力安全基準に基づきプロセスを採択したとみられる」という意見を出した。
 韓国政府は日本の汚染水が国際法と国際基準を満たす方式で処理されるよう持続的に検証するという立場を明らかにした。
 福島汚染水の放出に関連して14日に開かれた国連安全保障理事会の会議では中国とロシアの代表が懸念を表明した。中国の張軍国連大使は「日本が原発汚染水を海に放出すれば、地球の海洋環境と生態系、すべての国の国民の生命と健康を深刻に脅かす」とし「日本政府は汚染水放出プログラムを強制的に承認させることに血眼になっている。そのような行動は極めて無責任だ」と非難した。


「中央日報日本語版」 2023.02.23 08:02
■韓国政府「福島原発汚染水の海洋放出、国民の安全ために引き続き検証する」
 日本原子力規制委員会(NRA)が福島原発汚染水の海洋放出に関連し、測定対象を従来の64核種から30核種に減らす内容の修正案を承認したことに関連し、韓国政府は22日、「国民の健康と安全を最優先的な原則として、汚染水が科学的・客観的に安全かつ国際法・国際基準に符合する方式で処分されるように持続的に検証していく」と述べた。
 この日韓国政府は、東京電力が昨年11月と今年2月に提出した「東京電力福島第一原子力発電所実施計画変更認可申請(ALPS処理水の海洋放出時の運用等)に係る審査書案」をNRAが受理したという事実を確認したと明らかにした。
 韓国政府によると、昨年2月に国際原子力機関(IAEA)モニタリングTF(タスクフォース)は東京電力が予測中心に選ばれた64核種を実際に測定した結果などを反映して実測基盤で再選定する必要があると指摘し、東京電力はこれを反映して測定対象核種を従来の64核種から30核種に再選定した実施計画変更認可を申請し、NRAはこれを受理した。
 NRAは修正案に対して核種選定方式の妥当性を確認し、これに基づく放射線影響評価の結果、汚染水の海洋放出がヒトや環境に及ぼす影響が十分に小さいということを確認したと政府側は説明した。
 IAEAモニタリングTFは昨年11月の第3次訪日調査の際、東京電力の測定核種再選定などの修正事項に対して日本側と詳細に議論した。TFは現在、修正事項に対する適切性などを検討している。
 韓国政府は東京電力が昨年11月に実施計画変更案を日本NRAに提出してから、核種再選定の根拠など関連の技術的な質問を日本側に事前に提示し、昨年12月に開かれた汚染水に関連する韓日局長級テレビ会議を通じて、日本側と技術的な事案について詳細に議論したことがあると明らかにした。
 あわせて「引き続き関係の専門機関で検証していく計画」と付け加えた。
 また「変更審査書案を含め、東京電力の実施計画などに対する科学的・技術的検討を積極的に進め、IAEAの汚染水分析などの検証結果と多核種除去設備(ALPS)など日本側の海洋放出施設の性能などを総合的に確認・評価していく考え」とした。
 続けて「汚染水海洋放出の強行に備えて、韓国遠近海域の放射能調査ポイントの拡大、韓国水産物放射能検査および原産地取締強化、日本産水産物輸入規制の持続および日本船舶に対するバラスト水の管理など、我々の海と水産物の安全に対する管理・統制システムを徹底的に運営していく考え」と強調した。


「The Hankyoreh」 2023-02-23 07:43
■日本、福島原発汚染水の測定核種を64個から30個に大幅削減
 22日、日本の原子力規制委員会で変更案が認可 
 韓国政府「汚染水が国際基準に合わせて処理されるか検証」

【写真】福島第1原発の内部にある原子炉建屋の外部の様子。銃弾に当たったようにあちこち破損している=福島共同取材団//ハンギョレ新聞社

 日本の東京電力が海洋放出を試みている福島原発の汚染水の測定と評価の対象核種が、従来の64個から30個に大幅に縮小された。韓国政府は汚染水が国際基準に合わせて処理されるかどうかを検証するという立場を明らかにしたが、環境団体などは日本が提供した資料をそのまま受け入れてはならないとして、懸念を示した。
 国務調整室、原子力安全委員会、科学技術情報通信部、海洋水産部、食品医薬品安全処は22日、報道参考資料を通じて、日本の原子力規制委員会(NRA)がこの日、昨年11月と今年2月に東京電力が提出した「福島第一原子力発電所特定原子力施設に係る実施計画変更認可申請書」の一部補正を認可した事実を確認したことを明らかにした。
 国務調整室などは、日本の原子力規制委員会が今回の一部補正を認可しつつ「東京電力が測定対象とする放射性核種を従来の64個から30個に再選定したことについて、核種の選定方法の妥当性を確認し、それに基づく放射線の影響評価の結果、汚染水の海洋放出が人間と環境に及ぼす影響は十分に小さいことを確認したと明らかにした」と伝えた。
 韓国政府はこれについて、東京電力が昨年11月に提出した実施計画の修正案に関する技術的な質問を事前に提示し、昨年12月に開催された汚染水関連の韓日局長級テレビ会議で、韓国側の専門家が日本側と技術的な事案について詳細に議論したとし、「今後も韓国国民の健康と安全を最優先とする原則にしたがい、汚染水が科学的かつ客観的に安全であり、国際法と国際基準に合致する方式によって処分されるよう、検証を継続していく」と明らかにした。
 だが、環境団体側は、日本による福島原発の汚染水の測定と評価対象の核種再選定の基準に疑問を呈している。日本が半減期の短い放射性核種を測定対象から除外することについて、太平洋諸島フォーラム(PIF)の科学者パネルであるフェレン・ダルノキ・ベレス米国ミドルベリー国際大学院教授は「日本が半減期の短い同位元素を管理から除外し、寿命の長い同位元素だけをモニタリングするのであれば、問題がある場合もすべてを正常と仮定することが可能になる」とし、「その場合、福島でどのようなことが起きているのか知ることができる『窓』をなくすことになるだろう」と懸念した。
 環境運動連合の市民放射能監視センターの活動家であるチェ・ギョンスク氏はさらに、「福島原発汚染水には、これまで測定されていた64種以外の多くの放射性核種が含まれているが、日本はそのような放射性物質がどの程度あるのかについても明らかにしないまま、不十分な調査をもとに測定項目数を減らした」とし、「韓国政府が、日本の提供した信頼しがたい資料をそのまま受け入れ、いかなる外交的努力もまったく行わなくなっていることは問題」だと述べた。
ソ・ヨンジ記者、キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1080835.html
韓国語原文入力:2023-02-23 02:48


「聯合ニュース」 2023.02.22 21:03
■韓国政府「検証続ける」 汚染水海洋放出計画の一部補正認可で
【ソウル聯合ニュース】東京電力福島第1原発の処理済み汚染水海洋放出計画を巡り、日本の原子力規制委員会が同計画の一部補正を認可したことについて、韓国政府は22日、「国民の健康と安全を最優先原則とし、汚染水が科学的・客観的に安全であり、国際法・国際基準に合った方式で処分されるよう検証を続けていく」と発表した。

【写真】東京電力福島第1原子力発電所に設置されているポンプ(資料写真)=(聯合ニュース)

 また、東京電力の放出計画に対する科学的、技術的検討を積極的に進めるとし、「国際原子力機関(IAEA)の汚染水分析などの検証結果や多核種除去設備(ALPS)など日本側の設備の性能も総合的に確認する」と強調した。
 汚染水の安全性を検証しているIAEAの調査団は昨年2月の1回目の訪日で、東京電力が選定した64種類の測定対象の核種を推計値ではなく実測値にするよう要請。これを受け、東京電力は測定対象の核種を31種類に再選定する修正案をまとめて原子力規制委員会に認可を申請し、このほど認可された。
 韓国政府は東京電力が測定対象の核種を減らした根拠などについて日本側に問い合わせていた。昨年12月に開催された局長級によるテレビ会議でも、日本側と技術的内容について協議した。


「聯合ニュース」 2023.02.16 13:51
■福島汚染水の海洋放出 放射性物質濃度は10年で「10万分の1」上昇=韓国学会
【済州聯合ニュース】日本政府が早ければ今春からと見込む東京電力福島第1原子力発電所の処理済み汚染水の海洋放出を巡り、韓国海洋科学技術院と韓国原子力研究院は16日、放出されれば韓国海域における放射性物質トリチウムの濃度は従来の約10万分の1高くなるとの研究結果を発表した。
 両院の研究者が済州島で開催された韓国防災学会の学術大会で発表したシミュレーション結果によると、日本が10年間にわたり年間最大22テラベクレル(テラは1兆)のトリチウムが含まれた処理済み汚染水を放出すると仮定した場合、福島沖に放出されたトリチウムは10年後に北太平洋全体に拡散し、韓国海域に流れ込むトリチウムの濃度は10年後には1立方メートル当たり約0.001ベクレル前後になる。
 これは現在の韓国海域の平均トリチウム濃度である1立方メートル当たり172ベクレルの10万分の1の水準だ。
 研究陣によると、現在の分析機器では検出できない程度の濃度だという。


「中央日報日本語版」 2023.02.16 14:14
■「日本汚染水10年放出時、韓国海域のトリチウム『10万分の1』増す」
 日本が来月から10年かけて福島原発汚染水を放流する場合、韓国海域の放射性核種であるトリチウム(三重水素)の濃度は従来の10万分の1程度高まるという研究結果が出た。
 韓国海洋科学技術院(KIOST)と韓国原子力研究院(KAERI)の研究陣は16日、済州(チェジュ)ラマダホテルで開かれた韓国防災学会学術発表大会でこのような内容をまとめた「福島汚染水海洋拡散シミュレーション結果」を発表した。
 今回のシミュレーションは日本が10年間で年間最大22テラベクレルのトリチウムが含まれた汚染水を放出するという仮定の下で行われた。
 福島沖に放流されたトリチウムは10年後には北太平洋全体に拡散し、韓国管轄海域に流入するトリチウム濃度は10年後には約0.001ベクレル/立方メートル前後に収束されると研究者は明らかにした。
 0.001ベクレル/立方メートルは現在国内海域の平均トリチウム濃度172ベクレル/立方メートルの10万分の1水準だ。
 これは現在の分析機器では検出が難しい程度の濃度だと研究陣は伝えた。


「中央日報日本語版」 2023.02.15 08:08 
■韓国人の93%「汚染水放出で福島産食品は危険」…中国87% 日本36%
 日本政府が今年上半期に福島第1原発の汚染水を放出すると予告した中、韓国人の90%以上が福島産食品は危険だと認識しているという調査の結果が出てきた。
 14日の読売新聞によると、東京大の関谷直也准教授が昨年3月、日本、韓国、中国など10カ国・地域の大都市のインターネット利用者3000人を対象に実施したアンケート調査で、「海洋放出が行われた場合、福島県産食品の安全性をどう思うか」との質問に対し、韓国の回答者の93%が「危険だ」と答えた。
 同じ質問で「危険だ」という回答の比率は中国87%、ドイツ82%、フランス77%、台湾76%、米国74%などで、日本を除いた国・地域は60%を超えた。日本では回答者の36%が「危険だ」と回答した。
 日本政府は汚染水を多核種除去設備(ALPS)で浄化処理すればセシウムをはじめとする放射性物質の大部分が取り除かれると説明しているが、三重水素(トリチウム)は残るという。
 福島県で7日に水揚げされたスズキからは福島県漁連が設けた基準値を超えるセシウムが検出された。
 趙賢東(チョ・ヒョンドン)外交部第1次官は13日(現地時間)、米ワシントンで開かれた日韓外交次官会談で日本側に汚染水放出に対する懸念を表明した。
 趙次官は「国内の懸念、我々が提示する複数の科学的問題点をすべて指摘した」とし「問題点を解消するために日本がより一層の努力をしてほしいという話をした」と説明した。


「The Hankyoreh」 2023-02-11 09:32
■日本、福島原発汚染水の測定核種数を減らす…専門家「安全を懸念」

【写真】日本の福島第1原発の敷地内にある汚染水の貯蔵タンク。日本はこの貯蔵タンクに保管中の汚染水約130万トンを今春から海洋放出するための準備を進めている/聯合ニュース

 日本の東京電力が海洋放出しようとしている福島第1原子力発電所の汚染水の測定と評価の対象核種を大幅に減らす計画を立て、日本の原子力規制委員会の審査を受けている事実が遅れて分かり、安全に対する懸念が生じている。
 韓国政府は10日、これについて、日本が推進する測定・評価の対象となる核種の縮小は、国際原子力機関(IAEA)の要請により再選定した結果だとする立場を明らかにした。一部で指摘されているように日本が一方的に推進したものではないということだ。
 文化放送(MBC)は9日、ニュース番組「ニュースデスク」で、野党「共に民主党」のイ・ジェジョン議員室が入手した資料などをもとに、日本が福島原発汚染水に対して測定する核種の半分以上を対象外とする案を昨年末に韓国側に伝え、安全に対する懸念が強いと報じた。
 イ議員室が韓国の原子力安全委員会から得た資料によると、東京電力は現在測定している64種類の放射性核種のうち37種類を対象外にして4種類を新たに加え、測定する核種の数を31個に減らす案を設け、日本の原子力規制委員会の審査を受けている。
 これについて外交部は10日の会見で、福島第1原発の汚染水放出計画の安全性を検証しているIAEAのモニタリング特別チームが、昨年2月の1回目の訪日の際、64個の測定・評価対象の核種を予測ではなく実測をもとに調整するよう要請したためだと説明した。これにより東京電力は、実測データと核種ごとの半減期などを考慮し、測定・評価の対象となる核種をトリチウムを含む31個に再選定する修正案を設け、日本の原子力規制委員会に認可を申請したということだ。
 韓国の原子力安全委員会の資料によると、東京電力が測定・評価対象からはずした核種には、セシウムやストロンチウムの同位元素も含まれている。最も危険だといわれているセシウム(Cs)-137とストロンチウム(Sr)-90は残し、セシウム-136とストロンチウム-89を対象外としたのだ。これについて、ソウル大学原子核工学科のソ・ギュンリョル教授は本紙の取材に対し「福島原発汚染水のような場合は物量が多いので、高分解能で区別するのが難しく、ストロンチウム-89を対象外とすれば、ストロンチウム-90まで丸ごと漏れてしまうことになりうる」として懸念を示した。ストロンチウム-90は骨に蓄積され、血液ガンを誘発することが報告されている。
 ソ教授はさらに、「半減期を考慮して核種を選定することは、核分裂が終了したとすれば正しい。だが、沸騰水型原子炉である日本の原発では、地下水でも雨水でも水さえあれば核分裂するので、現在でも福島では放射性物質が生成されていることを考慮する場合、正しくない」と述べた。
 外交部関係者は「日本が一方的に行ったことではなく、IAEAがそうしたほうが良いと提案をしてなされたこと」だとし、「科学的かつ客観的に行うことであり、(測定)個数を増やせば正確だといえるものではないため、日本側の説明を理解している」と述べた。日本は昨年12月22日の韓日局長級協議で、測定・評価核種の再選定について韓国に説明した。
 外交部は「IAEAは、2~3月中に出すモニタリング特別チームの3回目の訪日の結果報告書に、これに関する検討意見を入れる予定」だとし、「韓国政府は国民の健康と安全を最優先にし、汚染水が科学的かつ客観的な観点で安全であり、国際法と国際基準に合致する方式で処理されなければならないという立場を堅持し、対応していくだろう」と明らかにした。
 原子力安全委員会の関係者は「東京電力はIAEAの要請により64種類から31種類に減らしたが、そこで対象外となったものも同水準でモニタリングすると明らかにしている」とし、「そうした点を具体的にどのようにするのかを引き続き確認している」と述べた。
キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1079255.html
韓国語原文入力:2023-02-10 22:39


「聯合ニュース」 2023.02.10 16:38
■韓国原子力安全委トップ 海洋放射能監視状況を点検
【ソウル聯合ニュース】日本の東京電力福島第1原子力発電所の処理済み汚染水の放出が迫る中、韓国の原子力安全規制を担う原子力安全委員会の劉国熙(ユ・グクヒ)委員長が10日、同委員会傘下機関の韓国原子力安全技術院(KINS)を訪れ、海洋環境放射能の監視状況などを点検した。

【写真】原子力安全委員会のロゴ(同委員会提供)=(聯合ニュース)

 原子力安全委は韓国の海岸周辺の40カ所で試料を採取し、セシウムやトリチウム(三重水素)の濃度を調べ、結果を海洋環境放射能監視網に公開する海洋モニタリングを行っている。
 劉氏は「放射能から国民の健康を守り、環境保全に向け環境放射能の監視をさらに徹底的に行う」と述べた。


「聯合ニュース」 2023.02.10 15:55
■福島汚染水 測定対象の縮小は「IAEAの要請」=韓国外交部
【ソウル聯合ニュース】日本政府が早ければ今春からと見込む東京電力福島第1原子力発電所の処理済み汚染水の海洋放出を巡り、測定対象の核種を大幅に減らしたとの報道について、韓国外交部は10日、国際原子力機関(IAEA)の要請を受け再選定した結果だと明らかにした。

【写真】東京電力福島第1原子力発電所に設置されているポンプ(資料写真)=(聯合ニュース)

 同部によると、汚染水の安全性を検証しているIAEAの調査団は昨年2月、1回目の訪日で東京電力が選定した64種類の測定対象の核種を推計値ではなく実測値にするよう要請。東京電力は測定対象の核種を放射性物質トリチウムを含む31種類に再選定する修正案をまとめ、昨年11月、原子力規制委員会(NRA)に認可を申請した。東京電力とIAEAは昨年11月に実施された3回目の訪日で修正案について協議したと発表。IAEAは今年2~3月に発表する3回目の訪日結果報告書で修正案に関する検討意見を盛り込む方針だ。
 これについて、韓国のメディアは学界の一部からは測定対象の縮小に懸念の声が上がっていると報じた。
 同部関係者は「日本側はこのような内容を昨年12月に開かれた韓日局長級協議で説明し、協議に出席したわれわれ側の専門家と技術的な問題を詳しく討議した」と説明。「国民の健康と安全を最優先とし、汚染水が科学的かつ客観的な観点から安全で、国際法と国際基準に沿う方式で取り扱われなければならないという立場を堅持し、対応していく」と述べた。


「聯合ニュース」 2023.02.10 06:00
【ソウル聯合ニュース】日本政府が早ければ今春からと見込む東京電力福島第1原子力発電所の処理済み汚染水の海洋放出を巡り、韓国海洋科学技術院と韓国原子力研究院の研究者が汚染水の拡散シミュレーションの結果を16日に公開する。
 韓国防災学会が15~17日に済州島で開催する学術大会の目録によると、両機関の研究者が大会2日目に結果を発表するという。放射性物質トリチウムの拡散に関する分析結果などが示されるもようだ。
 韓国政府は同シミュレーションの結果を関係官庁でつくるタスクフォース(TF)を通じて2月中に発表するとしていた。
 政府の公式発表ではなく、学会で発表されることについて、関係者の間では結果を政府の立場として公式化するのを避けたとの見方が出ている。


「聯合ニュース」 2023.02.02 15:57
■福島汚染水の放出 韓国・釜山の市民団体が日本に撤回要求
【釜山聯合ニュース】韓国南部・釜山の30の市民団体が2日、市内の日本総領事館近くにある「平和の少女像」前で記者会見を開き、日本に対し東京電力福島第1原子力発電所の処理済み汚染水を海洋に放出する計画の撤回を要求した。

共同で記者会見を開いた釜山の市民団体(釜山キョレハナ提供)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
 市民団体は「私たちの海は日本の放射能汚染水の下水溝ではない」と記した横断幕やプラカードを掲げた。汚染水の毒性は数多くの研究で明らかにされているとしながら「放出は世界中の海を地獄の海にする」と危険性を訴えた。
 団体側は「放射能汚染水の放出計画を強行する日本を糾弾し、放出計画を直ちに撤回するよう要求する」と声を張り上げた。
 日本政府は汚染水を浄化処理した後の水の放出開始時期を「春から夏ごろ」と見込む。放出計画には太平洋の島国や中国なども反対する立場を示している。


「The Hankyoreh」 2023-01-27 09:18
■「福島原発の汚染物質、貯蔵タンクに牡蠣を入れて処理する方法がある」
 太平洋諸島フォーラムの科学者パネルのフェレン・ダルノキ・ベレス教授 
 「トリチウムでコンクリートを作れば放出は測定されず 
 牡蠣の濾過機能を活用した生物学的除去も手段」 
 「汚染水のALPS処理の信頼性にかなりの疑い」

【写真】原子力工学者の米ミドルベリー大学のフェレン・ダルノキ・ベレス教授が25日、グリーンピースのソウル事務所で福島原発汚染水の海洋放出計画に対する太平洋諸島フォーラム(PIF)の科学者パネルの検討結果をテーマに報道機関のインタビューを受けている//ハンギョレ新聞社

 「日本が放出しようとしている福島原発事故の汚染水の中にどのようなものが入っているのかという質問に対し、私たちの答は『分からない』というものです。日本の東京電力の(汚染水測定)データは、不完全かつ不適合で一貫性がなく、ときに偏向しています」。
 原子力物理学者である米国ミドルベリー国際大学院のフェレン・ダルノキ・ベレス教授は25日、ソウル龍山区(ヨンサング)にあるグリーンピースのソウル事務所で行われた韓国の報道機関とのインタビューで、日本の福島原発汚染水の放出計画の問題点を圧縮して述べた。同教授は、ニュージーランドやフィジーなど太平洋の18の島国が参加する太平洋諸島フォーラム(PIF)が委嘱した5人の科学者からなるパネルに参加し、日本の福島原発汚染水の処理に関する資料を検討してきた。
 同教授は「私たちが知っているのは、福島原発の内部には毒性の強い放射性物質が今なお多く残っており、したがってそのうちの一部でも放出されれば処理が難しい作業になるだろうということだ。だが、日本ではトリチウムの希薄ばかりに集中している状況だ」として、日本の汚染水処理と放出計画を批判した。インタビュー内容およびインタビュー前に行われた同教授の発表をまとめ、一問一答で構成した。

-科学者パネルが日本の汚染水測定データを不完全とみる理由は。
 「まず、日本が私たちに共有していない別のデータが存在する可能性があるが、その場合、なぜ一部だけを共有したのか疑問だ。私たちが提供された資料を確認したところ、データの中間に空き部分が多い。貯蔵タンクの4分の1だけが測定されており、主に底に位置する高水準のスラッジ廃棄物の濃度についての情報がまったくない。データの代表性を確認するために必要なミキシング(混合)に対する言及もない。同じ放射性核種なのに別の単位を使ったケースまであり、情報の把握が難しい」。

-日本は多核種除去設備(ALPS)を活用し、64の放射性核種のうちトリチウムと炭素14を除く62の核種を基準値以下に処理するという。これについてはどう評価するか。
 「私たちは、ALPSの信頼性と一貫性にかなりの疑いを持っている。ALPS処理水のストロンチウム(Sr)90に対するセシウム(Cs)137の割合で、1万6000倍まで差が生じているものもある。この2つの核種は同じ半減期を有しており、通常の場合、割合でこれほどの違いが生じることはない。そうした結果から、ALPSシステムの偏差が大きいことが分かる。また、東電は高水準のスラッジ廃棄物に対してALPSがきちんと作動するのかについては、何の回答も提示されていない」。

-同じ方式で処理をしても、各貯蔵タンクの放射性核種の濃度が違う理由は何か。
 「汚染水には冷却水からくるものや、地下水からくるものがあるためだ。汚染水が何に触れて相互作用したのかによって変わるが、違いが非常に大きい場合、懸念する状況になりうる」。

-汚染水が海洋に放出された場合、最も懸念される点は。
 「多くのものに影響を及ぼすことになるが、特に水産業に対する影響が懸念される。太平洋諸島の国々は漁業から多くの経済的効果を享受しており、一般住民の暮らしにも多大な影響を及ぼすだろう。魚類の摂取が安全ではないと断定することにはならないが、魚類摂取の安全性を論じる前に、放射能にさらされることになる魚類に対して人々が感じる恐怖感が強まるだろう」。

-日本は放出する福島原発汚染水に含まれるトリチウムの濃度に飲料水の基準を適用するというが。
 「飲料水は人間に合わせた基準であり、海洋生態系の基準とは違う。私たちは海水を飲みはしない。その代わり海洋生態系に吸収され、食物連鎖のような別の経路を通じて人間に影響を及ぼすことになるので、飲料水の基準は適切でない」。

-パネルで汚染水の海洋放出の代案として提案した、生物学的な汚染除去方法の事例を紹介してほしい。
 「太平洋に棲息する特定の種の牡蠣には、放射能物質を濾過できる機能がある。貯蔵タンク1棟あたり1000個の牡蠣を入れて汚染を除去させた後、牡蠣を安全に処理する方法がある」。

-ALPS処理水をコンクリート製造に活用する方法も提案したが。
 「トリチウムがコンクリートに吸収されると、測定はほとんどできない。そこで、人の接触がほぼない橋梁のような場所に使うことを提案した」。

 同教授は「このような代案は、すでに2016年から提案されているが、日本は様々な選択肢のうち最も費用が安い放出を選択した」とし、「日本は有能な科学者たちとともに、最も低価格で容易なオプションではなく別のオプションを選択しなければならない」と強調した。
文・写真 キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1077100.html
韓国語原文入力:2023-01-26 17:31


http://japan.hani.co.kr/arti/politics/45730.html
「The Hankyoreh」 2023-01-27 08:57
■今春、福島第一原発の汚染水放出…「日本、不完全な資料で決定」海外の科学者が指摘
 26日の韓国国会での専門家討論会で検討結果を発表 
 「放出のための日本の資料は不適切で偏向 
 汚染水『放出』ではなく『投棄』と言うべき」

【写真】日本の福島第一原発の敷地内にある汚染水貯蔵タンク。日本はこの貯蔵タンクに保管中の130万トンあまりの汚染水を今春から海に放出するための準備を進めている/聯合ニュース

 日本政府は不完全で偏向した資料を根拠に福島第一原子力発電所の放射能汚染水の海洋放出を決めたという科学者たちの分析が公表された。同原発を運営する東京電力が、かなりの数の放射性核種(物質)を測定せずに汚染水は安全だという結論を下したというのがその理由だ。福島第一原発の汚染水の海洋放出は、早ければ今春から実施される。科学者たちは「日本政府は原発汚染水の海洋放出推進をやめ、代案を模索すべきだ」と勧告した。
 ニュージーランドやフィジーなどの太平洋の18の島国が参加する太平洋諸島フォーラム(PIF)の科学者パネルは、26日に韓国の国会で行われた「福島汚染水放出に関する海外専門家招請討論会」で、東京電力の汚染水測定データは放出を決定する根拠とはなり得ないと指摘した。科学者パネルは、昨年3月にPIFが委任した原子力と海洋科学分野の5人の専門家で構成されている。PIFは汚染水放出の影響を受ける当事者として、日本に関連資料を要求し、受け取っている。日本政府は13日、福島第一原発の敷地内にある1000あまりの貯蔵タンクに保管中の約130万トンの汚染水を水で希釈し、今年の春か夏ごろに海に放出することを決めている。
 科学者パネルを代表してこの日の討論会に参加した米国ミドルベリー国際大学院のフェレン・ダルノキ・ベレス教授は「日本がPIFに提供したデータは不完全、不適切で一貫性もなく、偏向しているため、何らかの決定を下すには不適切だ」と述べた。さらに「正常稼動中の発電所から、計画され管理された形で汚染水を自然へと放出するわけでもないため、このケースでは汚染水の『放出』ではなく『投棄』という言葉を使うべきだ」と付け加えた。
 同パネルは東電の測定資料が偏向していると考えられる根拠として、まず東電が64種類の放射性物質のうちストロンチウム(Sr)90、セシウム(Cs)137などの9つの物質だけに焦点を絞り、残りの55の物質はほとんど測定せずに、常に同じ影響を及ぼす濃度で存在すると仮定していることをあげた。パネルはまた、多核種除去設備(ALPS)を経た汚染水の測定が行われるのは貯蔵タンクがいっぱいになる直前のたった一度に過ぎず、しかもそれは30リットルのサンプルに対するものであるため、汚染水の実際の構成と濃度を理解するには不十分だとも指摘した。
 パネルは検討結果報告書で「東電の測定資料には非正常で疑わしい測定値がいくつもある」と述べ、信頼性に対する根本的な疑問も提起している。その代表的な例として、半減期が9.4時間に過ぎない放射性核種であるテルル(Te)127がリットル当たり数十万未満から数百億ベクレル(Bq)まで記録されていることを指摘している。福島第一原発事故で放出されたものなら、半減期から考えてすでにかなり前に崩壊しているはずだからだ。報告書は「溶融した炉心が断続的に危険な状態になるのでないなら、この測定値は東京電力の測定とデータの品質管理手続きに問題があることを示す」と明らかにした。パネルはまた、汚染水に含まれるトリチウム(三重水素)が海の中で有機結合型トリチウム(OBT)に変化して海洋生態系に及ぼす影響、ストロンチウム90の生物濃縮の影響などをまともに検討していないことも重要な問題だと指摘した。
 パネルは「希釈が汚染の解決策だという仮定は、科学的に時代遅れで生態学的に不適切だ。放出措置は世代と国境を越えた事案であり、はるかに深い熟考が必要だ」と述べた。これらの科学者は海洋放出の代案として、汚染水を長期間貯蔵して放射線を減らしつつ、動植物と菌類を用いた生物学的方法で汚染を除去した後に、人間の接触が最小化される場所に使用されるコンクリートを製造する際の水として利用する方策を勧告した。
キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1077096.html
韓国語原文入力:2023-01-26 17:12


「中央日報日本語版」 2023.01.26 15:28
■米国核物理学者「福島汚染水放流は危険…コンクリート建てて使おう」

【写真】フェレン・ダルノキ・ベレス教授が25日午後、ソウル龍山区(ヨンサング)で中央日報のインタビューに答えている。チャン・ジニョン記者

「タンクの中にある水(汚染水)には何が入っているでしょうか。答えは『分からない』です」。
 米国ミドルベリー国際大学院のフェレン・ダルノキ・ベレス教授は福島第1原発事故以来、発生した汚染水の危険性についてこのように話した。核物理学者であるベレス氏はPIF(太平洋諸島フォーラム)科学者諮問団の委員として活動しながら、東京電力で約4年間調査した汚染水データを受け取ってこれを分析した。ベレス氏は「小型原子炉を研究している。原発を賛成したり反対したりする立場ではない」とし「科学者として偏りのない客観的見解を持とうと努力した」と強調した。
 フィジー・オーストラリア・ニュージーランドなど太平洋地域17の島国で構成されたPIFは最近、福島原発汚染水放流が魚類に悪影響を及ぼすだろうとし、安全性が立証されるまで放流を延期するよう求めた。だが、日本政府は処理過程を経た汚染水の放射能水準は海洋生物や人間に脅威にならないほど低いとし、今年の春か夏には放流を強行するだろうという立場だ。汚染水は日本政府の言葉通り、本当に安全なのか。直接汚染水データを分析したベレス氏を25日、インタビューした。

◇「汚染水情報、不完全で一貫性ない」
--福島原発汚染水データを直接分析したとのことだが。
 「タンク内に正確にどのような汚染水が入っているのか分からないというのが問題だ。我々は答えを探すために努力しているが正確な把握が難しい状況だ。東京電力の汚染水抽出データを分析した結果、不完全で不正確で一貫性がないと判断した」。

--東京電力の汚染水調査では安定性を立証するには不十分ということなのか。 
 「東京電力で測定したタンクの汚染水の情報が代表性を持つのは難しいと感じた。東京電力では64の放射性核種を測定していると明らかにしたが、共有された資料を見ると9つの核種しか検査していなかった。また、タンクの4分の1だけで測定したが、主にタンク底にある高水準のスラッジ(カス)廃棄物の濃度に対しては情報が一切ない」

◇「放流時、漁業に影響が懸念される…影響は急速に広がる」
--日本政府は米国と韓国でも原発運営過程で三重水素(トリチウム)が含まれた水を海に放流しているとし、基準値以下に薄めて放流すれば問題がないと主張しているが。
 「中国と米国、韓国の原発は正常運転中に放流しているが、福島の場合、事故後の放流なので正常な運転状況と見ることはできない。事故がまだ続いているのに放流するのは不必要な危険行動を行うことだ」。

--予定通りに汚染水を放流した時、最も憂慮される点は何か。
 「最も憂慮する点は漁業産業への影響だ。太平洋諸国は漁業に依存している。ところでセシウム-137が検出されたマグロが、福島事故後、まだ1年も経たない内に米サンディエゴ海域に到達した。魚類が放射能を吸収して動く速度は海流の移動速度よりも速いので急速に影響が広がるだろう」

◇放流の代わりに提示した3つの解決法は?
 べレス氏は海洋放流の代わりに3つの解決策を提案した。(1)耐震設備が施されたタンクに汚染水を長期保存し、放射性物質が崩壊する時まで待って(2)放射性物質ろ過能力を備えたカキなど生物学的方式で汚染を浄化して(3)コンクリートを製作するのに汚染水を活用しよう--というものだ。

--汚染水でコンクリートを作れば海洋放流よりも安全なのか。
 「(汚染水に含まれた)三重水素は測定するのが難しいほどコンクリート中に吸収される。これを人の接触がほぼない橋梁建築などに使おうというものだ。このようにすれば国境を越える問題を引き起こすこともないだろう。だが、日本は最も費用がかからない『放流』を選択した」。

--韓国政府は日本の汚染水放流に対してどのように対応するべきか。
 「汚染水を放流した時は日本だけでなく他の国々にも影響を及ぼすことになるため、日本にもっと積極的な姿勢で対処しなければならない。韓国政府側では東京電力に追加で多くの情報を要請して、そうでない場合なぜデータを提供しないのか、その理由を尋ねなければならない」。
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「12年前に福島第一原発が爆発した日…「老朽化した原発を延長するな」 韓国で集会」

2023年03月14日 | 
「The Hankyoreh」 2023-03-13 07:33
■12年前に福島第一原発が爆発した日…「老朽化した原発を延長するな」 韓国で集会
 原発賛成の対抗集会では「原発反対はアカ」

【写真】福島第一原発事故から12年目を迎えた11日午後、釜山市釜山鎮区の宋象賢広場で行われた原発反対全国集会で参加者たちがスローガンを叫んでいる=キム・グァンス記者//ハンギョレ新聞社

 「老朽化した核発電所は稼働延長ぜず、直ちに閉鎖せよ」、「核廃棄物の臨時貯蔵施設反対」。
 福島第一原発事故から12年を迎えた11日午後2時。釜山市釜山鎮区(プサンジング)の宋象賢(ソン・サンヒョン)広場に集まった3000人あまりの脱核集会の参加者は、「原発密集度が世界最大の韓国では、旧ソ連のチェルノブイリ(現ウクライナ)、福島第一原発に続き、大規模な原発事故がいつ起こるか分からない。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は原発拡大政策を撤回せよ」と叫んだ。
 この日の集会は「福島原発事故12年脱核行進準備委員会」と「釜山古里(コリ)2号機寿命延長・核廃棄場反対汎市民運動本部」が共催した。参加者たちは「核のない安全な国を作ろう」として大邱(テグ)、光州(クァンジュ)、済州(チェジュ)、蔚山(ウルサン)など全国各地から京釜高速鉄道や飛行機などに乗って釜山に駆けつけた。

【写真】福島第一原発事故から12年目を迎えた11日午後、釜山市釜山鎮区の宋象賢広場で行われた原発反対全国集会で参加者たちがスローガンを叫んでいる=キム・グァンス記者//ハンギョレ新聞社

 参加者を代表して連帯のあいさつが行われた。核のない世界光州全南行動の小原つなき教育広報チーム長は「日本政府は福島第一原発の132万トンもの汚染水を30~40年かけて海に放出すると決めた。日本と韓国の市民の命を担保として、コストが最も安い海洋放出を選択した日本と東京電力は恥を知るべきだ」と述べた。
 気候危機非常行動のミン・ジョンヒ元運営委員長は「より多くの市民に伝え、共に行動し、共にこのような現場に来なければならないと思う。今、100万人署名運動を進めているが、1000万人にならなければ(尹錫悦政権の原発推進政策は)変えられないのではないか。核を脱する世界になるように連帯し、支持し、応援する」と述べた。釜山古里2号機寿命延長・核廃棄場反対汎市民運動本部のオ・ムンボム共同代表(釜山YMCA事務総長)も「脱核運動は我々だけではできない。共に連帯し、協力し、伝える道だけが、老朽化原発を閉鎖し核貯蔵施設を止めることができる」と述べた。

【写真】福島第一原発事故から12年目を迎えた11日午後、釜山市釜山鎮区の宋象賢広場で行われた原発反対全国集会を終えた参加者たちがデモ行進している=キム・グァンス記者//ハンギョレ新聞社

 仏教環境連帯のユ・ジョンギル運営委員長、民主労総蔚山地域本部のキム・ユンミ首席副本部長、核のない世界のための大邱市民行動のキム・ミンジョ事務局長、エネルギー正義行動のイ・ヨンギョン事務局長が、参加者に代わって宣言文を朗読した。
 彼らは宣言文で、「韓国は廃炉手続きに入った2基の原発を除いても、実に25基もの原発を運営する原発密集度が世界最大の国だ。そこに新規原発の建設と老朽原発の稼働延長、臨時核廃棄場の建設が加われば、安全な社会はさらに遠のく。今の誤った決定がもたらす危険と不正義は、将来誰が責任を取るのか」と述べた。
 また、「政府は原発を中断なく稼動させるため、各原発の立地地域に臨時核廃棄場を建設する計画を立てている。霊光(ヨングァン)原発は2030年に、古里原発は2032年に臨時貯蔵施設が飽和するという政府の予測にもとづいて、核廃棄物を保管する臨時貯蔵施設を建設するという。安全の担保もできないだけでなく、一方的に原発の立地地域に核廃棄物の責任まで押し付けようとする無責任な政策だ」と付け加えた。

【写真】福島第一原発事故から12年目を迎えた11日午後、釜山市釜山鎮区の宋象賢広場で行われた原発反対全国集会を終えた参加者たちがデモ行進している=キム・グァンス記者//ハンギョレ新聞社

 集会を終えた参加者たちは、午後3時15分から釜山の代表的な繁華街である釜山鎮区西面(ソミョン)のクムガン製靴前までの1.3キロの道のりをデモ行進した。事前に集会を許可していた警察は、1車線を集会主催者に明け渡した。デモ行進は車の流れに大きな支障は招かず、平和に行われた。
 参加者たちは核反対の文言を記した横断幕、プラカード、傘などを手にして、プンムルペ(農楽隊)を先頭に列を作り宋象賢広場から出発した。続いて警察の案内に従って、西面方向へと向かって中央大路に入った。中央大路の歩道と接する3~4車線を歩きながら「古里原発2号機を直ちに閉鎖せよ」「核廃棄物貯蔵施設反対」「福島第一原発の放射能汚染水放出反対」などのスローガンを叫んだ。一部の市民がデモ参加者たちに向かって「アカども」と非難したことに対して、怒った参加者たちが「謝れ」と言ったことで口論になったが、警察の制止で衝突には至らなかった。
 クォン・ソニョンさん(42、釜山)は「脱核について伝え、大人たちが子どもたちのために努力していることを示すために、小学校5年生の娘を連れてここに来た。今は娘はよく理解できないだろうが、20歳になれば分かるはずだと話した」と語った。Mさん(48、大邱)は「事故が起きれば、核を運用して得る経済的利益よりも大きな経済的損失を被るということを釜山市民に知ってもらうために、知人たちと釜山に来た」と話した。参加者たちは午後4時15分ごろに西面のクムガン製靴に到着し、後段集会を行って解散した。

【写真】福島第一原発事故から12年目を迎えた11日午後、釜山市釜山鎮区の宋象賢広場で行われた原発反対全国集会を終えた参加者たちがデモ行進している=キム・グァンス記者//ハンギョレ新聞社

 一方、この日、脱核団体の原発反対集会が行われた宋象賢広場の向かい側では、韓国原子力国民連帯などの原発賛成団体が対抗集会を行った。100人前後と見られる参加者の大半は70~80代の高齢者だった。参加者たちは「原発ほど安全で経済的なエネルギーはない。古里原発2号機を延長稼動せよ」と述べた。一部の発言者は「原発に反対する奴らはアカだ」と述べ、露骨に非難していた。
キム・グァンス記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-03-12 11:06


「The Hankyoreh」 2023-03-01 08:00
■「福島第一原発の汚染水で済州の海は死ぬ」…ずたずたに引き裂かれた旭日旗
 [フォト]済州道民、福島第一原発からの汚染水放出反対決意大会を開催

【写真】2月28日午後、日本による福島第一原発の核汚染水放出に反対する農漁業者団体の決意大会が済州道庁前で行われ、集会を終えた参加者たちが軍国主義を象徴する旭日旗を引き裂いている=イ・ジョンヨン先任記者//ハンギョレ新聞社

 日本政府が4月に札幌で行われる主要7カ国(G7)気候・エネルギー・環境大臣会合の共同声明に福島第一原発の汚染水の海への放出を支持する文言を入れようとしていると報道されている中、韓国国内では批判の声が相次いでいる。
 環境運動連合海委員会、環境保健全国ネットワーク、環境保健市民センター、ソウル環境連合のメンバーたちは先月28日午前、光化門(クァンファムン)広場で記者会見を行い「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権に対し、日本の行為を糾弾し反対の立場に立つことを要求する」と述べた。参加者たちは主要7カ国(G7)、日本の漁師、韓国の漁師などの仮面をかぶり、日本による福島第一原発の放射能汚染水の海洋放出に反対するパフォーマンスも行った。
 同日には済州道でも、福島第一原発の汚染水の放出に反対する済州道民集会が行われた。この日午後、済州道庁前に集まった人々は、韓国政府は日本に対して無能・屈従外交を展開していると批判して旭日旗を破り、済州の海の死を哀悼する意を込めて喪輿(サンヨ。棺を載せる輿)を担いで日本総領事館まで行進した。
 一方、福島第一原発の敷地内のタンクに保管中の放射性物質に汚染された水を海に放出するときに使われる海底トンネルの工事の進捗率が83%になるなど、現地では大詰めの作業が進められているという。周辺の漁業者たちは最近、経済産業相と会って汚染水の海洋放出に反対の立場を再度表明したが、日本政府の方針を変えることは難しいとみられる。東京新聞は26日、「福島第一原発では、処理水(汚染水)の海洋放出に向けた準備が着々と進み、設備工事は大詰めを迎えている。政府は放出開始を『今春から夏ごろ』とする方針だ」と報道した。以下に集会の写真を集めた。

【写真】2月28日午後、日本による福島第一原発の核汚染水放出に反対する農漁業者団体の決意大会が済州道庁前で行われ、集会を終えた参加者たちが日本総領事館に向けて行進している=イ・ジョンヨン先任記者//ハンギョレ新聞社
【写真】環境運動連合海委員会、環境保健全国ネットワーク、環境保健市民センター、ソウル環境連合のメンバーたちが2月28日午前、光化門広場で、日本による汚染水の海への放出に反対するパフォーマンスを行っている=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社
【写真】環境運動連合海委員会、環境保健全国ネットワーク、環境保健市民センター、ソウル環境連合のメンバーたちが2月28日午前、光化門広場で、日本による汚染水の海への放出に反対するパフォーマンスを行っている=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

イ・ジョンヨン先任記者、キム・ミョンジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-02-28 16:32


「The Hankyoreh」 2023-03-01 07:51
■韓国当局、福島原発事故汚染水の分析結果を3月にIAEAに提出「放流が遅れるかも」
 KINSが提出する報告書、IAEA発表時点は未定 
 日本の海洋放出着手、予定より遅れる可能性も

【写真】韓国の原子力安全技術院が国際原子力機関を通じて日本から受け取った福島原発事故汚染水の分析試料=キム・ジョンス先任記者//ハンギョレ新聞社

 日本の福島原発汚染水の海洋放出を控え、汚染水と海洋環境に関する国際検証に参加している韓国原子力安全技術院(KINS)が、来月中に初めての分析結果を国際原子力機関(IAEA)に提出する。
 KINSは米国・フランス・スイスなどと共に多核種除去設備(ALPS)で処理された福島原発汚染水を分析中であり、その結果を3月中にIAEAに提出する予定だと先月28日明らかにした。
 3月に提出する分析結果は、日本が昨年3月に採取し、10月にIAEAを通じて送ってきた汚染水1次試料23.5リットルに関するものだ。昨年10月、日本は2次・3次試料をそれぞれ3リットルずつ送ってきた。昨年3月に採取した汚染水の検証にはすべての機関が参加し、昨年10月に日本が送った汚染水の検証には韓国だけが第3者機関として参加する。

【写真】KINS環境放射能評価室のキム・デジ室長が27日、KINSの分析室で海水中のトリチウムを測定するための前処理過程を説明している=キム・ジョンス先任記者//ハンギョレ新聞社

 KINSは、1次試料に対する検証機関の分析結果を総合したIAEA報告書の公開日程はまだ決まっておらず、2・3次試料に対する分析結果は提出日程もまだ決まっていない状態だと明らかにした。このため、日本の海洋放出の時点は日本が当初提示した春~夏より遅くなるのではという観測も出ている。
 KINS環境放射能評価室のキム・デジ室長は27日、大田で開かれた記者団説明会で「日本の分析結果が正しいか間違っているかを交差検証を通じて調べる」とし「IAEAの検証の進行が本来の計画よりもかなり滞っている状況」だと話した。
 福島原発沖の海水と海底堆積物、魚類、海藻類などの海洋環境を対象にした交差分析はまだ始まっていない。KINSは海洋環境試料として、先月IAEAを通じて海水だけを受け取り、分析の準備を進めている。昨年11月に日本が採取した海底堆積物、魚類、海藻類の試料はまだ届いていない。
 キム室長は「魚類や海藻類、海底堆積物は通関上の困難があり、また試料が均質かどうかを検証する過程も残っており、まだ配送されていない状態」だと話した。

キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1081601.html
韓国語原文入力:2023-02-28 16:45
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