三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

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「福島第1原発から汚染水5.5トン漏れ…土にしみこんだ可能性」

2024年02月09日 | 
「中央日報日本語版」 2024.02.08 08:47
■福島第1原発から汚染水5.5トン漏れ…土にしみこんだ可能性

【写真】福島原発に面する海[中央フォト]

 東京電力が7日、福島第1原子力発電所内の汚染水浄化装置から汚染水5.5トンが漏れ出たと発表した。
 朝日新聞によると、東京電力は同日午前9時ごろ、処理前に汚染水の浄化装置から発生する水素を取り出すための建物の外壁の排気口から水が漏れていることを発見したと明らかにした。
 事故当時、浄化装置は停止中であり、点検準備のために配管に淡水を入れて汚染を除去する作業を行っていた。
 閉まっているはずの弁が誤って開かれ、配管に残った汚染水と洗浄用水が混ざって排気口から漏れ出たと伝えられた。
 東京電力は、漏れた汚染水の量は5.5トンで、漏れた放射性物質の総量は220億ベクレルと推算した。
 海など原発の外部敷地への流出はなかったが、汚染水が建物の外の土壌にしみこんだ可能性があり、東京電力は今後この土壌を回収する計画だ。
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「福島原発事故汚染水、妄言・妄動、最悪の政治家は?」

2024年01月23日 | 
「The Hankyoreh」 2024-01-23 20:01
■[フォト] 福島原発事故汚染水、妄言・妄動、最悪の政治家は?

【写真】日本の福島原発事故汚染水の海洋投棄阻止共同行動所属の活動家たちが23日午後、ソウル市光化門広場で福島核汚染水海洋投棄を擁護するような発言をした政治家を市民とともに審判する内容の行為劇をしている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 日本の原発事故汚染水海洋投棄阻止共同行動(共同行動)は23日午後、ソウル市の光化門(クァンファムン)広場で記者会見を開き、福島の核汚染水と関連して「妄言・妄動」をした政治家を国会から退出させようと提案した。
 共同行動は「私たちの雨水にも莫大な量のトリチウムがある。ならば雨水に当たっても放射能テロに遭う」などの発言をし、「これが2011年に放流されたので、今放流するものよりはるかに濃い」とし、ソウル市のノリャンジン水産市場で水槽の水を飲むなど、日本の核汚染水海洋放流を擁護する言動をした政治家たちを取り上げ、「彼らを市民の力で審判してほしい」と訴えた。
 共同行動はこの日から福島の核汚染水と関連した「妄言・妄動」をした政治家に対する市民の情報提供を受け、来月の国民投票を通じて「最悪の政治家」を選び発表すると明らかにした。

【写真】日本の原発事故汚染水海洋投機阻止共同行動の活動家たちが23日午後、ソウル市の光化門広場で記者会見を開き、福島核汚染水海洋投棄を擁護するような発言と行動をした政治家たちを批判するスローガンを叫んでいる=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社
【写真】日本の原発事故汚染水海洋投機阻止共同行動の活動家たちが23日午後、ソウル市の光化門広場で記者会見を開き、福島核汚染水海洋投棄を擁護するような発言と行動をした政治家たちを批判するスローガンを叫んでいる=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社
【写真】日本の原発事故汚染水海洋投機阻止共同行動の活動家たちが23日午後、ソウル市の光化門広場で記者会見を開き、福島核汚染水海洋投棄を擁護するような発言と行動をした政治家たちは国会を去るよう要求している=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

キム・ジョンヒョ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-01-23 15:16
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釜山の市民団体、日本の核汚染水放流反対記者会見

2023年09月07日 | 
「中央日報日本語版」 2023.09.07 16:50
■釜山の市民団体、日本の核汚染水放流反対記者会見
 日本の福島原子力核汚染水海洋放流反対対策委員会である釜山(プサン)を愛する市民政策連帯が7日午前、釜山駅広場で日本の福島核汚染水海洋放流を反対する記者会見を開催した。
 政策連帯はこの日の記者会見で、「中国など太平洋沿岸諸国の懸念と反対にもかかわらず、日本政府の福島核汚染水海洋放流が1週間以上続いている。核汚染水を放流し始めれば日本に最も隣接した韓国の被害は明らかだ。当然韓国も核汚染水放流を積極的に反対し始めなければならないようだが韓国政府の反応は微温的なだけだ。核汚染水放流に積極的に反対していない」と背景を説明した。
 続けて「日本の福島核汚染水放出に反対するある教授は韓国政府の微温的反応に対し尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が基本的に原子力に対する効用性が大きい政権であるためと解釈した。すなわち原子力に対する危険性を過小評価し放射性物質が大きく危険ではないとの認識を持っているということだ。さらに核汚染水放流を外交同盟を強化するひとつの方法とみているのも大きな問題で、これを通じ現政権は福島核汚染水放流に免罪符を与えている」と指摘した。
 これに伴い、政策連帯は韓国と全世界の人類の健康のため日本の福島核汚染水放流にアジアが共同で対応して出るべきで、これは反日感情扇動ではなく韓国と人類運命共同体の環境権、生命権、生存権保障に向けた決議だと声を高めた。
 また、いまからでも尹錫悦政権はアジア共同で国際海洋法裁判所に日本を提訴すべきだとし、それだけがわれわれ人類の健康な未来を守る道になるのが明らかだと強調した。
 これとともに「国民の力」釜山支部所属の国会議員らと委員長の趙慶泰(チョ・ギョンテ)議員に向け、本当に釜山市民の健康主権を保護するならば党本部に即刻放流中断の立場表明することを強く促して、福島核汚染水放流関連対策をまとめるよう促した。
 特に、「2004年から2020年まで釜山を守って活動してきた趙慶泰議員の微温的な態度は彼を愛する多くの釜山市民から怒りを買っている。趙議員が本当に釜山市民と、さらには韓国国民のために献身するならば、当然今回の要求に積極的な歩みを見せなければならなかった」とし、「日本に福島核汚染水放流中断を強力に要請し、積極的に擁護、助長している趙議員の不当なやり方」と強く批判した。


「The Hankyoreh」 2023-09-06 07:39
■海を挟んで日本と向かい合う釜山、汚染水に民意動揺…与野党、どう攻略か

【写真】共に民主党釜山市党のソ・ウンスク委員長(中央)らが、釜山鎮区西面の歩道に張ったテントで、福島第一原発の汚染水海洋放出の中止などを要求して座り込みを行っている=共に民主党釜山市党提供//ハンギョレ新聞社

 釜山(プサン)の与野党は、福島第一原発の汚染水の海洋放出をめぐって、民意の獲得に全力を尽くしている。
 野党「共に民主党」釜山市党は5日、「本日から釜山の18の地域委員会がそれぞれテントを設置し、福島第一原発の汚染水海洋投棄をほう助する尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権を糾弾する無期限座り込みを開始する。座り込み会場の名は『みんなの海、私たちが守りましょう』。国民抗争テント座り込み場だ」と発表した。
 共に民主党の釜山の各地域委員長は、2日午後6時30分に釜山東区(トング)の鄭撥(チョン・バル)将軍像前で開催された「福島核汚染水海洋投棄阻止第2回釜山市民大会」参加後に緊急会議を行い、各地域委員会がテント座り込み会場を設置することを決議した。
 テント座り込み会場は門ヒョン(ムンヒョン)交差点21世紀薬局前、亀浦(クポ)市場公営駐車場前、旧海雲台(ヘウンデ)駅舎前、下端(ハダン)五叉路ヒョンジアートモーリング前、民楽(ミンラク)水辺公園民楽刺身センター前、沙上(ササン)ターミナル3番出口、東莱(トンネ)駅1番出口、チャガルチ公営駐車場前、鄭撥将軍像前、国連平和公園駐車場付近、鳴旨洞(ミョンジドン)近隣公園噴水台前、盤如1洞(パニョイルトン)郵便局向かいのピョルバラギ公園、蓮山(ヨンサン)交差点10番出口、鼎冠(チョングァン)新都市ヘモロアパート交差点、多大浦(タデポ)海水浴場駅2番出口など。
 各地域委員会はまた、福島第一原発の汚染水の海洋放出で水産物の消費心理が冷え込むことが懸念されることから、水産物消費促進キャンペーンを展開する。各座り込み会場では原発汚染水の実体と海洋放出の問題点を説明したビラを市民に配るとともに、日本政府を国連人権委員会に告発する署名を集める。
 民主党釜山市党は先月28日に、釜山鎮区西面(プサンジング・ソミョン)の若者通りに「福島核汚染水海洋投棄糾弾テント党舎」を設置し、座り込みを続けている。
 与党「国民の力」釜山市党は先月24日から「韓国水産物消費リレーキャンペーン」を展開している。参加方法は、韓国の水産物を販売する食堂で韓国の水産物を食べている証拠写真を撮り、SNSに水産物消費を勧めるメッセージと共に掲載し、次の人を名指するというもの。
キム・グァンス記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-09-05 15:25


「The Hankyoreh」 2023-09-04 19:43
■韓国の国策研究機関4カ所「汚染水、国民の健康に脅威」…韓国政府は非公開
 昨年9月、協同研究報告書を発刊

【写真】福島第一原発敷地のタンクに保管中の放射性物質汚染水/聯合ニュース

 昨年、韓国海洋水産開発院など韓国の国策研究機関4カ所が出した協同研究報告書で「日本の福島原発汚染水放流計画は海洋生態系に脅威を与えかねず、韓国国民の健康と安全への被害が憂慮される」と警告したことが一歩遅れて確認された。
 4日、韓国の国会政務委員会に所属するカン・フンシク共に民主党議員が公開した資料によると、海洋水産開発院などは昨年9月に完成した「原発汚染水対応戦略樹立のための基礎研究」報告書で「日本が2023年から太平洋へ原発汚染水を30~40年かけて排出しようとする計画は、人類全体が共に保全し持続可能に利用しなければならない対象である『公海生物多様性』と生態系に実際的・潜在的脅威を与えかねない。また、韓国国民の健康と安全、水産業・海洋観光産業など環境的・社会経済的に否定的な影響と被害が憂慮される」と診断した。
 800ページ余りの報告書は、文在寅(ムン・ジェイン)政府時期の2021年7月から政権交代後の昨年9月まで国務調整室傘下の経済・人文社会研究会の出捐研究機関である海洋水産開発院が主管し、韓国環境研究院・韓国法制研究院・韓国原子力研究院の3カ所が協力機関として参加し作成した。

【写真】福島第1原子力発電所の放射性物質汚染水放流開始翌日の先月25日の福島原発沖の様子/ロイター・連合ニュース

 報告書で研究機関は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府の「汚染水政策」に反する提案を出した。「原発汚染水の海洋排出が行われないように(韓国政府が)多角的な努力を傾けなければならず、もし排出される場合まで含めた政策目標と政策方向を明確にすることが必要だ」と指摘している。具体的な政策方向と関連しては、「原発汚染水による健康・安全被害を防止し、汚染水による影響を観測・予測し評価するための力量を向上させなければならない」と指摘した。
 あわせて報告書では「原発汚染水関連の国際協力と共助を強化することで、汚染水問題に対する実効的・体系的対応体系を構築していかなければならない」と強調した。「国際原子力機関(IAEA)だけでなく、国際海事機関(IMO)、国連環境計画(UNEP)など韓国が当事国として参加している国際協約と国際機関で原発汚染水問題をイシュー化しなければならない」としているが、韓国政府は「福島汚染水の放流は安全だ」という国際原子力機関の発表を受け入れる以外に、特別な外交戦に出なかった。
 この協同研究報告書は昨年9月に完成したが、韓国政府はこれを公開しなかった。そのため野党では「政府の口に合わない報告書なので非公開処理したのではないか」という疑惑を提起してきた。7月、カン・フンシク議員が「日本の顔色伺い」と批判すると、パク・グヨン国務調整室国務1次長は「根拠のない推測」と反論した。
 パク次長は当時の記者ブリーフィングで「経済・人文社会研究会は(報告書が完成した)昨年9月に『汚染水に関連した韓国政府の細部政策が確定していない状態で対応方向などの提言が盛り込まれた報告書が公開されれば、国民に混乱を招いたり対外交渉力などに影響を与える恐れがあり非公開を決めた』と明らかにした経緯がある」と話した。

オム・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-09-04 17:58
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「<福島汚染水放出>太平洋沿岸国・メディアの反応」

2023年08月27日 | 
「韓国経済新聞/中央日報日本語版」 2023.08.26 09:32
■<福島汚染水放出>太平洋沿岸国・メディアの反応(1)
 日本が24日、福島第1原発汚染水の海上放出を始めたことに対し、太平洋沿岸国はどんな反応を見せているのだろうか。該当国の主要メディアと政府の対応などを調べた結果、各国の状況によって用語の使用などで異なる立場を見せていることが分かった。
 朝日新聞は25日、放出に対する太平洋沿岸国の反応を大きく3つに分類した。日本政府の放出方針に対して支持や了解の立場を明らかにした米国・オーストラリア・フィリピンなどは「O」、政府レベルで抗議して日本産水産物輸入禁止を拡大した中国・香港、反対の立場を明らかにした北朝鮮は「X」にそれぞれ分類した。また、基準が守られるかなど綿密に点検するとした韓国と内部で隔たりがあると明らかにした太平洋島国はその中間の「△」で表示した。
 興味深いのは各国が福島第1原発から放出された汚染水に対する表現でもそれぞれ差がある点だ。日本政府と東京電力は「処理水(treated water)」という表現を使用している。原子炉の冷却などに使用されて放射性物質が含まれた汚染水(contaminated water)を多核種除去設備(ALPS)を利用して放射性物質を一次除去した後、その処理水を海水で薄めて放出するという事実を浮き彫りにするための用語選択と推定される。
 日本メディアはこの用語をそのまま使用せず適切に加工した。共同通信の英語版の場合、記事本文には「処理した放射性水(teated radioactive water)とし、見出しには「福島水(Fukushima water)」とそれぞれ表記した。これに対して進歩性向の朝日新聞と保守性向の読売新聞はともに「処理水」という用語を使用し、公営放送のNHKは「処理した水」という用語を共に使った。
 世界の通信社と主要メディアも用語選択に悩んだようだ。AP通信は技術的な処理過程を反映して「処理して薄めた放射性廃水(treated and diluted radioactive waste water)」と表現した。ロイター通信はこうした技術的な表現を盛り込まず簡単に「福島水(Fukushima water)」と表記したのが目についた。米ニューヨークタイムズ(NYT)とCNN放送は「処理した放射性廃水(treated radioactive wastewater)」という表現を使用し、「処理」と「放射線」に同時に傍点を打った。英BBC放送も「処理した放射性水(treated radioactive water)」と書いた。
 漁師が日本の東側まで行って操業をする台湾も似ていた。台湾の英語メディアのフォーカス台湾は記事本文には「処理した放射性水(treated radioactive water)」を使用し、見出しには「核廃水(nuclear wastewater)」と表現した。一方、台湾の最大中国語メディアの聯合報インターネット版は「核汚水」という表現を使用し、対照的だった。
 用語の使用とは別に、太平洋沿岸国のメディアはほとんど今回の放出措置に慎重な姿を見せた。オーストラリアとニュージーランドのメディアは放出関連記事を探すのが難しいほどだった。ただ、クック諸島の主要メディア、クックアイランドニュースは25日の主要記事で「クック諸島のブラウン首相は福島の放出を支持する」という記事を載せた。クック諸島はラファエル・グロッシ国際原子力機関(IAEA)事務局長が7月に日本と韓国に続いて訪問した国という点で関心を引く。
 最も強く反発した国は断然、中国だった。中国外務省は22日、駐中日本大使を呼んで抗議したのに続き、放出が始まった24日には日本が原産地のすべての水産物の輸入通関を一時停止した。香港も2011年の東日本大震災と福島原発事故以降、5県の水産物輸入を停止したが、これを10県に拡大した。


「The Hankyoreh」 2023-08-25 08:05
■[特派員コラム]日本の汚染水放出に対する韓国・中国の大きな違い

【写真】日本が福島原発汚染水の海洋放出を始めた24日午後、仁川市中区の仁川総合魚市場で、中国中央テレビ(CCTV)が福島原発汚染水の海洋放出の開始と関連した取材を行っている/聯合ニュース

 「韓国政府は日本が福島原発汚染水を海に捨てることに本当に賛成なのか?」
 ある中国人の友人が聞いてきた。「そのようだ」と答えると、すかさず「なぜなのか」という質問が返ってきた。一言では答えられなかった。韓米、韓日関係などに対する尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の最近の政策などについて説明したが、友人はなかなか納得できない様子だった。たとえ複雑な政治・外交的事情があるとしても、国民の健康に直結する汚染水の放出問題を、日本と最も近い国である韓国が賛成するのは理解に苦しむということだった。
 中国人に韓国の政治・社会問題について説明するのは容易ではないが、福島原発汚染水問題は特に難しいテーマだ。韓国政府が主張する科学的な根拠の他に、米国との関係を最優先視して日本との関係改善を進め、中国封鎖の第一線に立とうとする尹錫悦政権の複雑な外交的立場についても説明しなければならないためだ。細かく説明したからといって、それがすぐに理解につながるわけでもないが。
 何より中国の友人の理解を妨げる原因は、この問題に対する韓中政府の態度には気が遠くなるほどの違いがあるからだ。日本が22日、福島原発汚染水を近日中に海に放出することを決定したことを受け、これまで一貫して反対の立場を取ってきた中国政府は駐中日本大使を呼び出し、強く抗議した。中国外務省報道官は記者会見で「人類の福祉より自国の利益を重視した利己的な決定」だとし、「海洋環境と食品安全、公衆保健を守るためのすべての措置を取る」と述べた。日本産の海産物に対する輸入障壁をさらに高めることを含め、より多くの措置を取るという内容だった。香港も同日、「24日から日本の10県からの海産物の輸入を中止する」と発表した。
 一方、韓国政府の態度は日本と最も近い国で、三面が海に囲まれており、水産業が主要産業の一つである国家の政府の反応とは思えないものだった。政府は同日の記者会見で、「放出計画上の科学・技術的問題はないと判断した」という曖昧な表現で、事実上日本政府の汚染水放出に賛成した。その一方で、「(汚染水の放出を)賛成したり、支持するわけではない」と付け加えた。汚染水の放出に事実上賛成しながらも、賛成するとは直接言わないということだ。反対世論を意識した卑怯な態度と言わざるを得ない。

【写真】チョ・スンファン海洋水産部長官がノ・ドンジン水協中央会長などと24日、ソウル鷺梁津水産市場を現場視察し、商人たちを励ますとともに、アワビを購入し試食している/聯合ニュース
【写真】2023年8月24日、北京の卸売水産市場で、卸売業者が客を待っている。中国は8月24日、日本政府が福島原発の廃水を「利己的」に放出したとの理由で、日本の海産物の輸入を禁止した=北京/AFP・聯合ニュース
【写真】19日、香港駐在日本総領事館前で、福島原発核汚染水の海洋放出に反対するデモの途中、あるデモ参加者が国際原子力機関のラファエル・マリアーノ・グロッシ事務局長の写真が貼られたプラカードを拳で叩いている=香港/AP・聯合ニュース

 不幸中の幸いは、多くの国民と野党が日本の汚染水の放出に強く反対していることだ。全国で187万人の市民が汚染水の放出に反対する署名に参加した。中国の友人には「韓国国民まで汚染水の放出に賛成しているわけではない。200万人近い人々が反対署名を行った」と伝えた。汚染水の放出は世論よりも科学的根拠を掘り下げて考えるべき問題だという主張には同意するが、韓国政府は科学的根拠をきちんと検証する姿も見せなかった。
 中国政治と韓国政治のうち、どっちがマシだろうか。一考の価値もないと思っていた質問だが、尹錫悦政権が発足してからはたびたび頭をよぎる。世論に逆行する行動をかなり取っているという点で、両国政府が共通するのも最近よくあることだ。それでも中国より韓国がマシなのは、今すぐ世論に逆行する政府を止めることはできなくても、今後これを正す可能性は高いという点であろう。
チェ・ヒョンジュン|北京特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力: 2023-08-25 02:36


「The Hankyoreh」 2023-08-25 08:32
■太極旗を掲げた水産市場「汚染水抗議、せめてこういうかたちで」=韓国
 日本による汚染水放出初日の鷺梁津水産市場 
 「国産です、国産」叫んでも客なし

【写真】福島第一原発の汚染水が海に放出された24日午後、ソウル銅雀区の鷺梁津水産市場の店主が「日本に抗議する」として店に太極旗を掲げている=カン・シンボム教育研修生//ハンギョレ新聞社

 「韓国産なので大丈夫です。いきがいいですよ」・
 24日午前、ソウル銅雀区(トンジャック)の鷺梁津(ノリャンジン)水産市場で30年間にわたって商売を営んできたYさん(54)は、「客引き」の後、気落ちしているように見えた。福島第一原発に保管中の汚染水の海への放出が行われた24日午前、鷺梁津水産市場は水産業界の憂うつな雰囲気を代弁するかのように静かだった。

◆「30年間でこんな打撃は初…売り上げは40%に」
 1994年から活魚を売ってきたYさんは、「汚染水放出問題」が注目されるようになってからの売り上げ減少は「30年の商売歴の中で初めて」だと話した。YさんはIMF(国際通貨基金)危機の際にも「これほどお客さんがいないことはなかった。このところの景気低迷などの不況に汚染水問題まで重なったことで、昨年に比べ売り上げは40%ほどに落ちた」と話した。
 Yさんは「国内産」であることを訴え続けたものの、呼びかけもむなしく1~2人の客が店の周りをうろつくだけだった。Yさんは「夏休みシーズンが終わって今ちょうど売らなければいけない時期なのに、人がいなくて心配。店の借り賃、水道代を払うと残るお金がない」と話した。Yさんの公共料金の領収書には水産市場の1カ月分の賃貸料として167万ウォン(約18万3000円)が記されていた。

【写真】24日午後、ソウル銅雀区の鷺梁津水産市場で、市民が海産物を買うために見て回っている。水産市場では全店で原産地記載を必須としている=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 「原産地をきちんと表記しなければ過料を科します」。汚染水放出問題に備え、この日午後1時20分ごろ鷺梁津水産市場内の放送が鳴った。商人たちも市場を回っている数少ない客に「国産です、国産」と訴え続けた。
 客がいないので座ってスマートフォンを見てばかりいたり、その場で居眠りをしたりしている商人も目についた。「国内産ニベ」「中国産スズキ」など、日本でとれたものでないことを強調するかのように、大きな文字で原産地を表記している店もあった。
 日本の海で獲れて入ってくる鯛の販売業者たちの苦悩は特に深い。匿名希望のある商人は「鯛は日本から輸入した在庫なので、おそらく売れないだろう」と話した。別の商人は「日本産の活魚はあえて入れてもいないのに(汚染水放出を)心配するお客さんが多い」と話した。

◆福島第一原発の汚染水が海に放出された24日午後、ソウル銅雀区の鷺梁津水産市場の店主が「日本に抗議する」として店に太極旗を掲げている=カン・シンボム教育研修生//ハンギョレ新聞社

 また別の商人は、昨年8月から「日本に抗議する」という意味を込めて水槽の上に太極旗を掲げている。Lさん(55)は、「日本で汚染水を放出するのに、我々にどんな力があるというのか。せめてこういうかたちででも、ささやかな抗議の意思を示したかった」と語った。Lさんは汚染水放出問題のせいで「魚そのものが売れない。2階でやっていた会社員の会食も取り消しになった」と話した。

◆「最後に食べに来たとお客さんに言われた」
 29年の商売歴のあるYさん(50)は、「お客さんが原産地を見ながら『日本産だね』と反応することが多くなっており、国産をくれと言ってくる。買おうとしない人もいる。商人たちはただ(汚染水放出)問題が収まることばかりを待っている」と話した。
 活魚の販売低迷に伴って、水産市場内で営業する飲食店も打撃を受けている。昼休みなのに客がいるのは1、2席だけ、あるいは全くいない店もあった。食堂を営む50代のAさんは「昨日はお客さんが多かった。『もう最後だから食べに来た』と言っていた。今日放出したばかりで当分は影響はないだろうから、少し見守るつもり」だと話した。
 汚染水の放出で、活魚の購入をためらう人も増えている。水産市場をよく訪れていたというキム・ハウンさん(25)は、「今のところは日本産は食べないと思うが、1年後には国産の活魚も避けると思う」と述べた。イム・ヒョンソクさん(24)も「放射能は目に見えないから、そのような恐怖は大きい。国産であってもこれからは食べないつもり」だと語った。

【写真】24日午後、ソウル銅雀区の鷺梁津水産市場で、市民が海産物を選んでいる=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

クァク・チンサン記者、パク・シウン、カン・シンボム教育研修生 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-08-24 14:53


「The Hankyoreh」 2023-08-25 08:37
■中国、日本の水産物すべて輸入禁止…10地域→全域

【写真】24日、香港で日本の福島原発事故による汚染水の放出を批判するデモが行われている/ロイター・聯合ニュース

 中国政府は、日本が福島第一原発事故の汚染水の海洋放出を開始すると、すべての日本産水産物の輸入を中止した。
 中国の税関当局である海関総署は24日午後、「日本の福島原発の核汚染水放出が食品の安全にもたらす放射能汚染の危険を防止し、中国の消費者の健康を守り、輸入食品の安全を守るために、今日を期して日本が原産地である水産物の輸入を全面中断する」と発表した。中国は、日本の福島県を含む10地域の水産物輸入を禁止してきたが、汚染水の放出が始まると輸入禁止対象を日本全域に拡大した。
 これに先立ち、この日中国外交部は、日本が福島原発事故汚染水の放出を始めた直後に日本を「糾弾する」との談話を発表した。中国外交部は「日本政府は国際社会の強い問題提起と反対を無視して一方的に汚染水の放出を強行した」とし「中国はこれに断固たる反対と強い糾弾の意を表わす」と明らかにした。また「中国はすでに日本に厳正な交渉を提出(外交チャンネルで抗議)し、日本にこの誤った行為を中止するよう要求した」と述べた。
 香港当局もこの日から福島県と東京都を含む日本10地域で生産される水産物の輸入禁止を開始した。香港は、2011年の福島原発事故直後から福島と近隣4地域の農産物輸入を禁止してきた。
 日本の農林水産省の統計によると、2022年の農林水産物・食品輸出全体のうち中国本土の割合は20.8%であり、香港(15.6%)が後に続いている。韓国は5%だった。
北京/チェ・ヒョンジュン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-08-24 18:21


「中央日報日本語版」 2023.08.24 16:12
■韓国野党「放出防げなかった政府、日本から賠償受けるべき」…特別安全措置法を推進
 日本の福島汚染水放出を控えた24日、韓国最大野党・共に民主党が「放射能被害と政府の無責任から国民を守るための特別安全措置法を推進する」と明らかにした。
 民主党の朴光温(パク・グァンオン)院内代表はこの日、国会で開かれた政策調整会議で「政府は被害対策を用意するのにも消極的であるため、最悪の状況を考慮して先制的に立法を急ぐ」とし、このように述べた。
 続いて「汚染水露出のおそれがある水産物の輸入を禁止できるよう法的根拠を用意する」とし「現在、農水産加工品は加工品を作った国だけが表示され、原産地は表示されないため『農水産物原産地表示』も強化する」と明らかにした。
 続いて▼放射能被害を漁業災害に含めて漁業人の被害を最小化する案▼被害支援対象を漁業人から刺し身店経営者・水産物加工流通業者にまで拡大する案を提示した。
 朴院内代表は「最初に日本が予想した海洋投棄期間は7年半だったが、こっそりと30年に延ばした」とし「日本も海洋投棄がいつ終わるか分かっていない。政府は今からでも韓日両国間で汚染水放出を重大議題にして日本と協議していくことを要求する」と強調した。
 金民錫(キム・ミンソク)政策委議長は「汚染水放出中断努力と共に福島放射能汚染水被害を支援する関連法律を早期に通過させ、国民の被害を最小化する」とし「放出を防げなかった政府は求償権でも請求し、日本から賠償を受け取るべきだ」と主張した。
 一方、東京電力はこの日の記者会見で「午後1時ごろから福島第1原発内の放射能汚染水を海洋放出する」と予告した。日本メディアによると、東京電力は放出を控え、海水で薄めた汚染水約1200トンを大型水槽に入れてトリチウム濃度を測定した。その結果、放射性物質のトリチウムの濃度は1リットルあたり1500ベクレル(Bq)未満で、基準値を満たしたことが確認された。
 汚染水は原発から約1キロ沖まで海底トンネルを通して放出される。放出後、日本政府は海上監視をし、25日午後に関連結果を公表する予定だ。


「The Hankyoreh」 2023-08-24 07:26
■汚染水糾弾ろうそく集会に乗り出した韓国の最大野党…週末には光化門一帯で総決起集会
 イ・ジェミョン代表「核汚染水の海洋放出は第2の太平洋戦争」との発言も

【写真】共に民主党のイ・ジェミョン代表が22日午後、国会ロタンダホールの階段で行われた福島原発汚染水海洋放出糾弾大会で発言している=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 福島第一原発汚染水の海洋放出を翌日に控えた23日、韓国の最大野党「共に民主党」は国会でろうそく集会を行い、今後街頭デモと総決起集会を予告するなど、総力対応に乗り出した。
 民主党のイ・ジェミョン代表は同日午前、国会で開かれた最高委員会議で「過去の帝国主義侵略戦争で周辺国の生存権を脅かした日本が、核汚染水の海洋放出で大韓民国と太平洋沿岸国に再び取り返しのつかない災いをもたらそうとしている」とし、「核汚染水の放出は第2の太平洋戦争として記録されるだろう」と批判した。同党のパク・グァンオン院内代表は「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は国民に向けた記者会見を通じて、国民に(汚染水の放出に関する)明確な立場と計画を報告すべきだ」と述べた。
 民主党は汚染水放出が決まった22日から26日まで放出反対を促す「100時間緊急行動」を行う。23日午後には、現役議員らと補佐陣、党役員、首都圏の市区議員、権利党員など約1000人が国会本庁前の階段に集まり、「汚染水海洋投棄阻止ろうそく集会」を開いた。24日にはソウル龍山(ヨンサン)大統領室前で、「日本の汚染水放出はロンドン条約(廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約)違反」であることを訴える記者会見を開き、25日には尹錫悦政権の汚染水放出への対応を糾弾し、ソウル光化門(クァンファムン)から龍山の大統領室まで街頭行進する方針だ。週末の26日には光化門一帯で市民団体などと連帯して汚染水放出反対総決起大会を開く予定だ。野党「正義党」も23日午前、ソウル鍾路区(チョンノグ)の駐韓日本大使館前で汚染水放出糾弾記者会見を行い、リレー1人デモを行った。
 与党「国民の力」は、野党が国民の不安を助長していると批判した。同党のユン・ジェオク院内代表はこの日国会で開かれた政府与党緊急会議で、「民主党が(汚染水)放出を口実に扇動と政治攻勢を繰り広げるのは昨日今日に始まったことではないが、再び反日と恐怖マーケティングで国民を不安にさせ政争を助長している」と述べた。同党の「我が海を守る検証TF」委員長のソン・イルジョン議員も、「第2の牛海綿状脳症(BSE)問題を期待してろうそくを掲げると主張しているが、嘘は真実に勝てない」とし、「嘘と怪談のろうそくは真実と科学の松明によって溶けてしまうだろう」と述べた。
 イ・ジェミョン代表の「第2太平洋戦争」発言については、民主党内でも「宣伝の側面でも少し行き過ぎたところがある。国民の命と直結している問題であるだけに、もう少し緻密に追求して批判してほしい」(ある重鎮議員)という批判が出た。
カン・ジェグ、ソ・ヨンジ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-08-24 02:45


「The Hankyoreh」 2023-08-24 07:14
■韓国与党政治家「尹大統領は卑怯…汚染水に関し世論気にして次官に発表させるのか」
 与党「国民の力」のユ・スンミン前議員は23日、前日に国務調整室のパク・クヨン第1次長が日本の福島第一原発の汚染水放出に関する後続措置を発表したことについて「国民の健康、海の安全に関する問題は尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が自ら発表すべきだった。卑怯(ひきょう)だ」と述べた。
 ユ前議員は23日、CBSラジオの番組で「日本の首相の前では尹錫悦大統領が自ら(汚染水の放出に)賛成しておきながら、国民の前では民意が良くないから大統領、首相、長官ら、このような人々はみな逃げてしまい、一介の次官が出てきてこのように発表するのか」と述べつつ、上のように語った。パク第1次長は前日のブリーフィングで「日本の放出計画に科学的、技術的問題はないと判断した」と語った。
 ユ前議員は「尹大統領は7月12日にリトアニアでのNATO首脳会議で韓日首脳会談を行った。その際、岸田文雄首相の前で「計画通り放出を履行するならば」と表現したことは、事実上放出に賛成して帰ってきたもの」だとし、「大韓民国の大統領が日本の首相の前で放出に賛成したため、そのままゲームオーバーとなったと私は考えた」と語った。
 尹大統領は岸田首相との首脳会談で、「原子力安全分野の代表的な傘下国際機関である国際原子力機関(IAEA)の発表内容を尊重する」としながらも、「計画通り放出の全過程が履行されるかどうかについての情報をリアルタイムで韓国と共有するとともに、放出の点検過程に韓国の専門家も参加させてほしい」と述べた。
 またユ前議員は、「『(日本との関係において)我々が得るものは何か』という根本的な問いを提起すべき時がすでに来ている」とし、「強制徴用問題も譲歩し、福島第一原発の汚染水も賛成し、そのようにして我々が得るものは何か」と述べた。

ソ・ヨンジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-08-23 10:55
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「原子力従事者30万人疫学調査「放射線に安全基準値なし」…国際共同研究の結果」

2023年08月24日 | 
「The Hankyoreh」 2023-08-21 09:39
■原子力従事者30万人疫学調査「放射線に安全基準値なし」…国際共同研究の結果
 最大規模の国際共同研究調査の結果 
 「許容基準値以下の被ばくもがんによる死亡リスク高める」

【写真】福島第一原子力発電所にある汚染水貯蔵タンク。日本は原発事故で発生した貯蔵中の汚染水133万トンを30年かけて海に放出する計画だ/聯合ニュース

 放射線作業従事者に認められている年間放射線被ばく量の半分にも満たなくても、被ばくによってがん発症による死亡リスクは高まりうる。このような国際共同研究の結果が発表された。この研究結果は、少量の放射線被ばくも発がんリスクがあるという内容を含んでいるため、安全な「放射線被ばくの基準値」をめぐって波紋が広がるとみられる。
 国際がん研究機関(IARC)、米国立労働安全衛生研究所(NIOSH)、フランスの放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)などの研究者で構成された国際共同研究チームは先日、米国・フランス・英国の原子力産業従事者に対する調査の結果を「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(The BMJ)」に発表した。研究チームが今回行った疫学調査は、1944年以降の70年あまりの間に原子力産業に従事した米国・英国・フランスの労働者30万9932人のうち死亡者10万3553人の死亡原因を追跡したもので、これまでに行われた放射能の健康への影響を見る疫学調査の中で最大規模。
 研究の結果、累積放射線被ばく量が0~20ミリグレイ(mGy・グレイは単位質量あたりに吸収された放射線のエネルギー)の人の固形がんによる死亡の「過剰相対リスク」は、1グレイ当たり1.30だった。これは累積吸収線量が20ミリグレイ以下の低線量被ばくでも、血液を除いた臓器に発生する固形がんによる死亡リスクを1グレイ当たり130%高めることを意味する。
 20ミリグレイは、一般人が年平均3ミリシーベルト(mSv)被ばくする自然放射線を7年ほど蓄積すれば満たしてしまう量だ。レントゲンやCTを撮影する際に被ばくする医療用放射線も加えると、期間はさらに短くなる。また、これは放射線作業従事者に認められている年間被ばく量の50ミリシーベルトよりも低い。グレイ(Gy)は物質が吸収した放射線のエネルギーを表す吸収線量の単位であり、シーベルト(Sv)は放射線の種類によって異なる人体への影響を考慮した有効線量の単位であるため、基本的に大きさは同じとみなされる。
 この研究で特に注目されるのは、ごくわずかな累積線量であってもがん発生リスクを高めるということだ。研究者たちはこの論文で「累積線量と10年後の固形がんによる死亡率との関係は『線形モデル』で合理的に説明される。累積線量を0~200ミリグレイの範囲に制限しても、線形モデルで説明できる」と述べた。線形モデルとは、放射線被ばく量とがん発生との関係を、原点(0)を通る直線で表したモデル。放射線は被ばく量がいくら少なくても有害であり、有害度は累積する線量に応じて直線的に高まり続けるとみるものだ。

【図】論文に示された低線量放射線の累積吸収線量(Cumulative dose)と固形がんによる死亡率の相対リスク(Relative rate)の関係。出典:「フランス、英国および米国労働者の電離放射線低線量被ばく後のがん死亡率(INWORKS):コホート研究」//ハンギョレ新聞社

 原発産業界と原子力学界は、低線量の放射線へのばく露は人体に影響がないと主張している。関係する労働者と一般人を放射線から保護するために政府が最小限の安全装置として設定した線量限度を絶対的な安全基準値とみなし、その基準線さえ超えなければ問題にはならないと考えているのだ。
 問題は、原発産業界が固く信じている線量限度は、主に第2次世界大戦中に日本に落とされた原子爆弾の生存者を対象とした研究にもとづいて設定されているということだ。これらの生存者の放射線被ばくはほとんどが原爆の爆発から1秒以内のものであり、低線量で長期間にわたって被ばくする原発労働者や一般人の状況とは異なる。
 研究チームはこの論文で「人々はしばしば、低線量被ばくは日本の原爆の生存者が経験した高線量被ばくに比べて発がんリスクは低いと考える。しかし私たちの研究は、低い線量の放射線にさらされる労働者たちの中からは、単位被ばく量当たりの固形がん発症リスクが低下する証拠を発見できなかった」と述べた。低線量が累積しても発がんリスクはあるということだ。
 原子力安全委員を務めた東国大学医学部のキム・イクチュン教授は「原子力界が『これくらいまでは安全だ』と言っていた低線量でもがん発生リスクの上昇が確認されたのは、『基準値以下なら安全だ』という話には根拠がないことを立証したもの」だと語った。またキム教授は「健康への影響を扱う疫学調査というものは調査対象が大きいほど正確な結果が出るが、今回研究した母集団の規模が大きいため、統計学的に被ばく量の小さい差がよく表れている」と付け加えた。
 ソウル大学医学部のペク・トミョン名誉教授(元ソウル大学保健大学院長)は、「放射線のリスクの影響が線形で説明できるということは、放射線量が少しでも多ければ影響も高まるという因果関係であるということ」、「福島第一原発の汚染水の放出による環境放射線の問題について、『低線量は大丈夫だ』と言ってはならないというもう一つの根拠になりうる研究」だと語った。
キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-08-20 18:22


「The Hankyoreh」 2023-08-19 07:21
■「汚染水放出反対」韓国市民188万人の意思、大統領室に手渡し
 大統領室前で市民団体と野党4党が記者会見 
 「韓国政府が早期放出を要請」との朝日新聞の報道に 
 政府「そのような要請はしていない」

【写真】18日、ソウル龍山区の大統領室前で、キム・ソンファン共に民主党議員(左)ら出席者たちが、チョン・ヒギョン大統領秘書室政務第1秘書官(右)に福島原発汚染水の海洋投棄に反対する188万人の署名結果を渡している/聯合ニュース

<msreadoutspan class="msreadout-line-highlight"> 韓国の<msreadoutspan class="msreadout-word-highlight">市民</msreadoutspan>団体と野党が、福島原発汚染水の海洋投棄に反対する188万人の国民署</msreadoutspan>名を大統領室に伝えた。
 「日本放射能汚染水海洋投棄阻止共同行動」(以下共同行動)と共に民主党、正義党、基本所得党、進歩党の野党4党は18日午前、ソウル龍山(ヨンサン)の大統領室前で「200万国民署名伝達記者会見」を開いた。
 共同行動は福島原発汚染水の海洋投棄に反対▽国際海洋法裁判所への提訴▽汚染水の日本国内保管などを韓国と日本政府に要求し、今年5月から全国で署名運動を始めており、同日まで計187万8185人の署名を集めた。
 「福島核汚染水投棄反対釜山運動本部訪日代表団」のイ・ウォンギュ実務チーム長は、「保守的だという釜山(プサン)で、1カ月で11万1678人の署名が集まった」とし、「この署名用紙が本当の世論であり、厳しい国民の声に背を向けず、重く受け止めてほしい」と述べた。彼らは記者会見後、汎国民署名運動の署名用紙をチョン・ヒギョン大統領室政務第1秘書官に手渡した。
 この日開かれた記者会見では、原発汚染水を放流するのであれば韓国の総選挙に影響を及ぼさないよう早期に実施するよう韓国政府が日本側に要請したという内容の朝日新聞の報道が俎上に上がった。朝日新聞が16日付で「日韓関係の改善、加速の考え強調 尹大統領」という見出しの記事で、「韓国はすでに来春に控える総選挙に向け『政治の季節』に突入しつつある」とし、「尹政権と与党内では、当面懸案である東京電力福島第一原発の処理水放出が避けられないのであれば、むしろ(韓国の)総選挙に悪影響が少ない早期実施を求める声が出ている」と報じたことが取り上げられたのだ。
 正義党のカン・ウンミ議員(正義党 福島汚染水無断投棄阻止TF団長)は「朝日新聞の報道が事実ならば、国内政治に日本政府の干渉を要請すること」だとし、「政府は日本の反環境的な海洋犯罪の共犯を通り越して主犯と言える」と批判した。

【写真】18日、ソウル龍山区の大統領室前で開かれた「日本放射能汚染水海洋投棄反対署名用紙伝達野党4党-市民社会共同記者会見」で、出席者たちがスローガンを叫んでいる/聯合ニュース

 共に民主党のキム・ソンファン議員(共に民主党 福島汚染水海洋投棄阻止対策委員会戦略企画本部長)は「政府は日本政府の立場を代弁するのではなく、大韓民国国民の生命と安全を守る本分を取り戻してほしい」とし、「大統領が韓国国民の意思を代弁できないならば、私たちが最後まで福島原発の汚染水の海洋投棄を積極的に防ぐという意志を明らかにする」と述べた。
 一方、政府は「韓国政府が日本側に早期放出を要請した事実は全くない」とし、17日に続き同日も朝日新聞の報道に反論した。パク・クヨン国務調整室国務第1次長は同日、政府ソウル庁舎で行った日本の原発汚染水関連の定例会見(毎日実施)で、「汚染水の放出に対する韓国政府のすべての判断は国民の健康と安全に焦点が当てられており、一切の政治的考慮を排除し、徹底した科学的検討に基づいている」とし、「今日のブリーフィング以降(政府が日本側に早期放出を要請したという)このような内容の報道や主張は控えてほしい」と述べた。
ナム・ジョンヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-08-18 17:13


「聯合ニュース」 2023.08.17 11:46
■韓国地裁が汚染水放出禁止請求を却下 原告の市民団体は控訴の意向
【釜山聯合ニュース】韓国南部・釜山の市民団体が東京電力を相手取り、福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出禁止を求めた訴訟で、釜山地裁は17日、原告の請求を却下する判決を言い渡した。

【写真】釜山で市民団体が開いた福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出に反対する集会(資料写真)=(聯合ニュース)

 原告側は訴訟の根拠としてロンドン議定書などを提示したが、同地裁は「原告側の請求はこの裁判所の裁判規範になり得ない条約に起因したもので、訴えの利益がなく不適法と判断する」とした。原告側はロンドン議定書により海洋投棄が禁じられている八つの物質を取り上げ、汚染水を「放射性廃棄物またはその他の放射性物質」と規定して海洋放出は認められないと主張していた。
 原告側は請求の根拠として民法第217条も提示した。だが、同地裁は「法の規定と大法院(最高裁)の判例の解釈態度などに照らすと、この裁判所に民法第217条による国際裁判の管轄権が認められるとは見なしがたく、この部分の請求も不適法と判断する」と説明した。
 同訴訟は釜山の市民団体が2021年4月に起こし、これまでに7回の弁論が行われた。
 原告側の弁護士は「地裁は東電の論理をそのまま受け入れた」として控訴する意向を示した。「ロンドン議定書をこの事件の判断規範と見なせるかどうかを引き続き問う」としている。


「聯合ニュース」 2023.08.17 10:48
■市民団体の汚染水放出禁止請求を却下 韓国・釜山地裁
【釜山聯合ニュース】韓国南部・釜山の市民団体が東京電力を相手取り、福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出禁止を求めた訴訟で、釜山地裁は17日、原告の請求を却下する判決を言い渡した。

【写真】釜山で市民団体が開いた福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出に反対する集会(資料写真)=(聯合ニュース)

 同地裁は「裁判規範になり得ない条約に起因したもので、訴えの利益がなく不適法と判断する」とした。また「法の規定と大法院(最高裁)の判例の解釈態度などに照らすと、この裁判所に民法第217条による国際裁判の管轄権が認められるとは見なしがたい」と説明した。


「The Hankyoreh」 2023-08-15 09:26
■[フォト]汚染水放出迫る中…「陸上保管せよ」韓国で集会

【写真】12日、ソウル鍾路区のプレスセンター前で行われた「日本による放射能汚染水海洋投棄阻止第7回全国行動」で、参加者たちが日本による放射能汚染水の海洋投棄に反対するプラカードを掲げている=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 光復節78周年を前に、日本による放射能汚染水の海洋投棄に反対する集会が行われた。
 日本放射能汚染水海洋投棄阻止全国行動は12日午後、ソウル世宗大路(セジョンデロ)の韓国プレスセンター前で「安全な海を守る私たちの声」をテーマに、福島第一原発汚染水の海洋投棄に反対する「日本による放射能汚染水海洋投棄阻止第7回全国行動」集会を行った。
 共同行動は「18日に行われる韓米日首脳会談で汚染水の海洋投棄に関する議論が行われ、日本政府は8月末に汚染水放出を開始するだろう」とみて、「汚染水の海洋放出を事実上容認している韓国政府と与党、そして海洋放出ばかりに固執する日本政府に対する強い糾弾の声が必要だ」と述べた。
 参加者たちは「福島第一原発の汚染水は海洋投棄せず、陸上に長期保管すること」を日本政府に求めた。

【写真】12日、ソウル鍾路区のプレスセンター前で「日本による放射能汚染水海洋投棄阻止第7回全国行動」が行われている=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社
【写真】12日、ソウル鍾路区のプレスセンター前で「日本による放射能汚染水海洋投棄阻止第7回全国行動」が行われている=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社
【写真】参加者たちが布で作った亀を掲げて歩いている=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社
【写真】参加者が放射能汚染水の海洋投棄に反対するスローガンを掲げている=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社
【写真】参加者たちが放射能汚染水海洋投棄決死反対を叫んでいる=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社
【写真】参加者たちが日本による放射能汚染水の海洋投棄に反対するプラカードを掲げている=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社
カン・チャングァン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-08-12 21:02


「The Hankyoreh」 2023-08-13 19:21
■世宗大王銅像に「汚染水反対」の横断幕、民主労総組合員ら逮捕

【写真】民主労総の組合員たちが12日、ソウル市鍾路区光化門広場の世宗大王銅像で、日本の放射性汚染水海洋投機阻止パフォーマンスをしている=民主労総提供//ハンギョレ新聞社 

 12日午後1時頃、ソウル市鍾路区光化門広場の世宗大王銅像で、日本による放射性汚染水の海洋投機に反対する横断幕を掲げた民主労総組合員4人が警察に連行された。
 警察はこの日、キム・ウンヒョン副委員長など民主労総組合員4人を集会および示威に関する法律違反などの容疑で現行犯逮捕したと明らかにした。連行された4人のうち2人は世宗大王銅像の上に上がり「No 日本核汚染水。海を守ろう」と書かれた横断幕を持ち旗を振り、2人は銅像に上がろうとして阻止された。民主労総は放射性汚染水の海洋投機に反対し一週間の全国巡回日程を終え、この日昼12時30分に光化門世宗文化会館階段で解団式を行い、解団式の直後にこのようなパフォーマンスを行った。
キム・ユンジュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-08-12 21:52


「The Hankyoreh」 2023-08-10 07:59
■日本の漁業者ら、岸田首相の「汚染水放出めぐり信頼深まっている」との発言に不快感
 福島漁業協同組合会長「何を捉えてそう言っているのか分からない」

【写真】「これ以上海を汚すな!市民会議」など日本の市民団体が6月、福島県で汚染水の海洋放出に反対する集会を行っている=ソーシャルメディアよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 福島県の漁業者たちが、原発汚染水の海洋放出を控えて岸田文雄首相が「漁業関係者との信頼関係が深まっている」と発言したことについて、強い不快感を示した。
 福島県漁業協同組合連合会の野崎哲会長は8日、岸田首相の発言について「何を捉えてそういっているのか分からない」と述べた。岸田首相は7日、福島第一原発の放射性物質汚染水の海洋放出が今月末に始まるという日本メディアの報道を受け、「経済産業相などが現地と対話を重ねている。漁業者の方々との間における信頼関係は少しずつ深まっていると認識をしている」と述べた。野崎会長は「相手方(岸田首相)の感想だが、そういわれてしまうと身もふたもない。どこを捉えて理解が進んでいると言っているのか分からない」と批判した。
 同日、野崎会長は渡辺博道復興相と会い、改めて汚染水放出に対する反対の立場を示した。野崎会長は「『関係者の理解なしにいかなる処分も行わない』という約束があることなどから反対だ。子々孫々、漁業が存続するよう慎重な判断をお願いしたい」と語った。これに対し、渡辺復興相は「福島の復興のためには処理水(汚染水)の処分は先送りできない重要な課題だ。漁業者の生業がしっかり成り立っていくようにしていくことも大事だと思っている」と答えた。
 毎日新聞は9日付で、出席者から「数十年間続く放出の安全性をどう守るのか」などの意見が出たと報じた。
 放出に強く反対する中国政府も、国際会議の場で日本に圧力をかけた。時事通信の報道によると、8日、オーストリアのウィーンで開かれた核拡散防止条約(NPT)の再検討会議に向けた準備委員会で、中国代表は「放出計画の強行の中止」を求めた。中国代表は汚染水放出が国際安全基準に合致するという国際原子力機関(IAEA)の報告書について、「権限が限られており、汚染水データの信頼性と正確性が確認できていない」と主張した。
 日本政府は福島原発汚染水(約133万トン)の放射性物質の濃度を法的基準値以下に下げた後、30~40年かけて海に放出する予定だ。多核種除去設備(ALPS)で除去されないトリチウムは基準値の40分の1以下に濃度を希釈して海に流す。今月末の放出開始が有力視されている。

東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-08-10 02:04
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海女、外国人、クジラ、妊婦…4万人が「原発汚染水憲法訴願」を請求=韓国

2023年08月18日 | 
「The Hankyoreh」 2023-08-17 07:47
■海女、外国人、クジラ、妊婦…4万人が「原発汚染水憲法訴願」を請求=韓国

【写真】福島第一原発のタンクに保管されている放射性汚染水/聯合ニュース

 韓国の海女、漁業者、水産業者、外国人、クジラ、妊婦、一般市民など約4万人が福島原発汚染水の海洋投棄を阻止するための憲法訴願審判を請求した。
 憲法訴願の請求を代理する「民主社会のための弁護士会」(民弁)は16日午前、憲法裁判所に請求書を提出したと発表した。同請求には代表請求人の済州道旧左邑月井里(ウォルジョンリ)の海女、キム・ウナさん(48)を始め、4万25人が参加したと民弁は説明した。朝鮮半島沿岸に生息していると把握されたクジラ(ミンククジラ、ハンドウイルカ、ミナミハンドウイルカ)164頭も請求人団に含まれた。
 代表請求人のキムさんはソウル瑞草区(ソチョグ)の民弁会館で開かれた記者会見で、「海女たちの間には『海が死んだら私たちも死ぬ』と言われているが、海の汚染は海女たちの生計が途絶えるだけの問題ではなく、人類の生存と直結する問題だ」とし、「福島原発汚染水の海洋投棄を阻止すべき韓国政府が手をこまねいている状況で、(自分が)何とかしなければという思いで請求人団に参加した」と語った。
 憲法訴願の被請求人は尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領、首相、外交部長官、海洋水産部長官、文化体育観光部長官、原子力委員会委員長、食品医薬品安全処長、韓国原子力安全技術院長で、汚染水の海洋投棄と関連して各種措置を実施できる国家機関だ。
 民弁代理人団は、大統領など被請求人が憲法上の義務に反し請求人の生命権、健康(保健)権、環境権、安全権、財産権、勤労の権利、職業の自由、知る権利、幸福追求権などの基本権(以下、生命権など基本権)を侵害したと指摘した。具体的には、日本の福島原発汚染水の海洋投棄を阻止するための反対声明の発表、国際海洋法裁判所への提訴、暫定措置の申請など一切の外交的措置▽福島原発汚染水に対する韓国政府の独自かつ独立した放射線環境影響評価の実施▽日本産輸入海産物の放射能全数調査措置▽福島原発汚染水の海洋投棄行為に対する適切な情報提供と国民の参加を保障しないなど、公権力を行使しなかったことで基本権が侵害されたと説明した。
 また、被請求人たちが6月15日のブリーフィングなどで「福島原発汚染水をめぐる10つの怪談」カードニュースを配布するなど、汚染水の海洋投棄を擁護し、消極的な放射能検査と原子力安全委員会の形式的な視察団派遣など、汚染水の危険に対して十分な措置を取らず、請求人の生存権、環境権、知る権利など基本権を侵害したとも主張した。
 チョ・ヨンソン民弁会長は同日の記者会見で「日本の原発汚染水の海洋放出により、憲法第35条の『すべての国民が健康で快適な環境で生活する権利』が侵害された」として、「これを阻止し対策を用意しなかった政府を憲法裁に提訴する」と述べた。

イ・ジェホ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-08-16 19:02 
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「汚染水放出反対」釜山の市民団体が訪日へ 韓国南部の海上では抗議行動」

2023年07月26日 | 
「聯合ニュース」 2023.07.26 16:38
■「汚染水放出反対」釜山の市民団体が訪日へ 韓国南部の海上では抗議行動
【全国総合聯合ニュース】東京電力福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出が8月中に始まるとも報じられる中、韓国各地で汚染水放出に反対する市民団体や漁業関係者の声がますます高まっている。南部の釜山からは市民団体関係者が放出反対の署名を携えて26日に訪日する。

【写真】釜山で活動する「福島核汚染水投棄反対釜山運動本部」が、代表団の訪日に先立ち、釜山駅前の広場で記者会見を開いた=26日、釜山(聯合ニュース)

 釜山一帯の63の市民団体でつくる「福島核汚染水投棄反対釜山運動本部」は6月1日から今月11日まで署名活動を展開し、汚染水の海洋放出に反対する釜山市民11万1678人の署名を集めた。当初は釜山にある日本領事館に署名を届ける計画だったが、同領事館側が面会と署名受け取りを拒んだため、日本の原子力規制委員会まで届けに行くことを決めた。
 7人からなる代表団は26日夜にソウルの金浦空港から日本に出発する。日本滞在最終日の28日午前に首相官邸前で放出計画を非難する記者会見を開き、同日午後、原子力規制委員会に署名を伝達する計画だ。日本の市民団体と共に東京電力前で汚染水放出に抗議するパフォーマンスを行った後、韓日の市民団体で連携策を話し合う。
 ソウル近郊の京畿道水原市ではこの地域の水産物販売業者や市民団体、政党など約50の団体による「福島放射性汚染水海洋投棄阻止水原共同行動」が世界文化遺産の水原華城の広場に集まった。汚染水放出反対などのメッセージを書いたプラカードを持ち、汚染水放出により市民が倒れるパフォーマンスを行ったほか、放出反対を叫びながら一帯を行進した。
 南西部・全羅南道の漁業者は同道宝城郡内の港に集まり、海上に約200隻の漁船を連ねて抗議行動を行った。汚染水放出を模し、日章旗を掲げた船から120本のドラム缶を海に投げ込んだ後、壬辰倭乱(文禄慶長の役)時の李舜臣(イ・スンシン)将軍率いる朝鮮水軍の陣形にならった韓国漁船がこれらドラム缶を回収し、日本に返すというパフォーマンスをした。
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「福島原発汚染水問題、ハンギョレが「怪談スピーカー」? 批判の根拠を徹底分析」

2023年07月25日 | 
「The Hankyoreh」 2023-07-21 10:04
■福島原発汚染水問題、ハンギョレが「怪談スピーカー」? 批判の根拠を徹底分析
 現場から

【写真】国民の力「韓国の海を守る検証タスクフォース」のソン・イルチョン委員長(中央)が19日、国会で開催された福島第一原発汚染処理水緊急討論会「フクシマ怪談はどのように広がるのか」であいさつしている/聯合ニュース

 19日に与党「国民の力」や「公正言論国民連帯」などの保守系の市民団体の共催で国会で開催された「福島第一原発汚染処理水緊急討論会」で、発題者がハンギョレを「怪談のスピーカー」だとして批判したことが、聯合ニュースをはじめとする一部メディアによって報道された。
 報道によると、「フクシマ怪談はどのように広がるのか」をテーマにした討論会で、「正しい言論市民行動」のホ・ヨプ理事は「3月の韓日首脳会談以降、民主党が(怪談を)提起し、軌を一にするハンギョレと京郷新聞がそのような怪談を拡大再生産し、スピーカー役まで果たしている」と主張した。
 何を根拠にハンギョレを「怪談のスピーカー」と呼んだのかが知りたいと思い、討論会の発表資料を入手した。発表資料でその理由まで具体的に説明されている記事は4件だ。その中で「民主党」が直接言及されているのは、7月12日付の1面掲載の「IAEA、汚染水をろ過するALPSの性能検証を一度もしていなかった」という見出しの記事だ。
 ホ理事は「(記事は)1週間前に民主党のイ・ソヨン議員が『ALPSの性能検証は抜け落ちている』と主張したのと同じ内容だ」と主張している。そして「イ議員の発言に対してSBSニュースの『ファクトチェック:事実は』チームは7月6日の放送で、7回の報告書を全数分析した結果、『ALPSでろ過した放出直前の段階の汚染水を検証した内容を見つけることができた』として、イ議員の発言は『概して事実ではない』と判定(した)」と付け加えている。
 しかしこの主張は、イ・ソヨン議員の発言とハンギョレの報道が同じ内容だという部分からして事実とは異なる。イ議員の発言が4日に発表された国際原子力機関(IAEA)による汚染水放出計画の安全性検討の結果に対するものであるのに対し、ハンギョレの報道はIAEAが2020年に発表した日本のALPS小委員会の報告書の検討結果に対するものであるからだ。
 韓国政府は、IAEAがALPSの性能検証をきちんと行っていないという指摘について「ALPSに対する検証はすでに終わっている」とし、「2020年度に検討して報告書を発表している」と説明してきた。ハンギョレは政府が言及したこの報告書を探し出し、ALPSの性能を検証した報告書ではないことを確認した。また、IAEAが2013年3月以降5回行っている別の検討でも、ALPSの性能に対する検証は検討範囲に含まれていなかったことを確認して報道した。
 SBSが「IAEAがALPSの検証を全くしていないと考えるのは難しい」という判断の根拠として提示したのは、たった一度の汚染水の試料分析の結果だ。しかし、この結果を記した報告書には、どこにも「ALPSの性能検証」という言葉がない。分析目的が東京電力の分析値の信頼性の確認であって、ALPSの検証ではなかったからだ。
 “IAEAはALPSの性能の検証をしていない”という記事をはじめ、ハンギョレの記事は、特定の政党の発表を書き写したものではない。このような記事が「怪談」なら、いっそハンギョレを「怪談の生産者」と呼ぶべきだろう。何の判断もすることなく入力される信号を増幅するだけの「スピーカー」と呼ぶのは、報道機関とジャーナリストに対するより大きな侮辱である。
キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-07-21 05:00


「The Hankyoreh」 2023-07-21 08:24
■[特派員コラム]「汚染水取材」での東京電力の韓国メディア選別
 キム・ソヨン|東京特派員

【写真】福島第一原発の敷地のタンクに保管中の放射性物質汚染水/聯合ニュース

 日本の東京電力福島第一原発に保管中の汚染水の海洋放出が目前に迫っている。4日に「国際安全基準に合致する」という国際原子力機関(IAEA)の最終報告が発表され、関連の行政手続もすべて完了した。来月中の放出の可能性が高い状況において、汚染水の安全性をめぐる論議は今もなお熱い。
 東京電力の不透明で無能な対応は、不信をいっそう強めている。汚染水の安全性を判断するために最も重要なことは、放射性物質を除去する多核種除去設備(ALPS)の性能を確認する作業だ。そのため、今でも様々な国が試料採取を要求しているが、東京電力は特別な説明もせず拒否している。IAEAでさえ直接には試料を採取できなかったほどだ。
 原発近くの海で獲られたクロソイやアイナメなどから基準値以上の放射性物質が検出されている点も問題だ。東京電力は、人体に致命的な「セシウムにまみれた」魚がなぜ獲れたのか、正確な理由は分からないと説明する。原発の爆発によって放射性物質が流出して12年、その間東京電力は何をしていたのか。原発近くの海と海底土壌はいったいどのような状態なのか。そうした状況のもとで汚染水を30~40年にわたり海に流すということであれば、周辺国が不安を感じるのは当然だ。
 東京電力の非常識な行動は繰り返され続けている。東京電力は今月初め、外国メディアの取材を支援する日本フォーリン・プレスセンター(FPCJ)を通じて、福島第一原発の現場取材の申請を受けた。21日の一日の日程だが、放出設備を直接見て回ることができるよい機会だと考えた。
 結果を伝えられ、あきれてしまった。申込書を提出した韓国の新聞社・通信社のうち、ハンギョレだけが選ばれなかった。地上波では文化放送(MBC)だけが除外された。外国メディアを対象にした福島第一原発の取材は、今回が初めてではない。コロナ禍が終わった昨年11月と今年2月にも、フォーリン・プレスセンターを通じて実施されたことがある。その時は韓国メディアからは1社だけが選ばれたので、結果に納得した。今回は状況が違う。何より、今回に先立ち現場取材に参加した報道機関2社は、今回も選ばれている。センターに公平性の問題を指摘し、選定基準を問い質したところ、東京電力が決めたものだと伝えてきた。東京電力はこれまで明確な返答はしていない。
 ハンギョレとMBCの共通点といえば、他の報道機関に比べ、汚染水放出に対する懸念を込めた記事を多く報道してきたという点だろう。批判記事を多く書いたという理由で、韓国を代表して取材している報道機関を排除したのであれば、軽く流せる事案でない。在日韓国大使館に公式に問題を提起し、日本外務省と東京電力に懸念を伝えてほしいと要請した。
 形式を重要だと考える日本において、外国メディアを相手にこのように露骨に選別するのはめったにみられないことだ。なぜこうしたことが可能だったのだろうか。おそらく、そのようにしても大丈夫だと考えたのだろう。
 大統領を批判したとして国外歴訪取材の際に専用機への搭乗を拒否したり、大統領が公式の記者会見を後回しにして好みの報道機関の記者だけ別途呼んで会うような韓国の状況を、日本もよく知っている。7日に訪韓したIAESのラファエル・グロッシ事務局長も、日本とは違って韓国では報道機関数社を選別し、インタビューを進めた。民主主義の重要な軸である報道の自由が各所で崩れ始めた。
キム・ソヨン|東京特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-07-21 02:35


「The Hankyoreh」 2023-07-21 07:15
■「汚染水現場取材」からハンギョレとMBCを排除した東京電力

【写真】福島第一原発の敷地内のタンクに保管中の放射性物質汚染水/聯合ニュース

 東京電力は福島第一原発の汚染水の海への放出を目前に控え、日本駐在の外国メディアに現場取材を提案しながら、韓国メディアでは「ハンギョレ」と「文化放送(MBC)」のみを排除した。韓国でこの問題を最も批判的に報道してきた2つの報道機関のみを排除した格好で、日本政府と東京電力が汚染水放出を強行しつつ主張してきた「透明な情報公開を行う」との約束が守られるのかに注目が集まるとみられる。
 東京電力は7日、日本駐在の外国メディアの取材を支援する日本フォーリン・プレスセンター(FPCJ)を通じて、福島第一原発の汚染水放出設備を案内する現場取材を21日午前10時から午後5時まで行う予定だとして、申請書の提出を要請する電子メールを送ってきた。放射性物質を除去する多核種除去設備(ALPS)、汚染水を海に送り出す海底トンネルなどを見て回れるよう取材機会を提供するとの内容だった。ハンギョレを含め多数の東京特派員が申請書を提出した。
 FPCJが5日後の12日に通知した選定結果を分析すると、韓国の新聞社や通信社は6社が申請書を出し、ハンギョレだけが落選した。地上波放送局3社では、選定されなかったのはMBCのみ。外国メディアを対象にした福島第一原発の取材は、新型コロナ・パンデミック終了後では今回が3度目。昨年11月と今年2月に実施された現場取材は多数の韓国メディアが申請したが、選定されたのはそれぞれ1社のみ。先の2回の現場取材に参加した韓国メディア2社は、今回も取材機会を得ている。
 取材の公平性など、選定基準に深刻な問題があるとハンギョレが問うと、FPCJの関係者は「どの報道機関を選定するかは主催者である東京電力が決める」と語った。東京電力に選定基準を問うたが、20日午後現在、返信はない。東京電力は、個別のメディアには選定基準を明らかにしない方針だという。
 岸田文雄首相は12日の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領との会談で「日本の首相として海洋放出の安全性に万全を期し、自国および韓国国民の健康や環境に悪影響を与える放出は行わない」と述べた。このように約束しておきながら、安全性確認のための情報公開の基本である批判的メディアの現場への接近を阻止したわけだ。駐日韓国大使館の関係者は「日本の外務省と東京電力を通じて状況を確認している」と述べている。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-07-20 14:05


「The Hankyoreh」 2023-07-20 08:11
■中国、日本産水産物を全面的に放射線検査…汚染水放出に「応戦」
 岸田首相、中国に「科学的根拠に基づく議論を求める」

 中国政府が、日本産水産物を輸入する際に放射線検査を全面的に実施していると報じられた。福島第一原発の汚染水の海洋放出を押し切ろうとする日本政府に圧力をかけるための措置とみられる。
 東京新聞は19日、複数の中国と日本の関係者の話を引用し、「中国税関当局が日本からの輸入海産物に対する全面的な放射線検査を今月から始めたことが18日分かった」とし、「日本の外務省と農林水産省は対応の協議を始めた」と報じた。
 2011年3月の東日本大震災にともなう福島第一原発の爆発事故で放射性物質が海に流出した後、中国政府は福島県など10地域の水産物に対して輸入禁止を維持している。その他の地域については、輸入する際に水産物の一部だけをサンプル形式で抽出し、放射性物質の検査をしてきた。
 今回、規制が強化されたことによって、日本産の輸入水産物一つひとつに対して検査を始めた。冷蔵品は約2週間、冷凍品は約1カ月間が必要とされると発表された。検査に時間が非常に長くかかっており、水産物の鮮度維持が難しく、輸入に支障をきたしている。中国の上海にある日本食レストランの経営者は共同通信に、「日本からの海産物が今月13日以降届かなくなり、スペイン産マグロに切り替えた」と証言した。
 中国税関の今回の措置は、来月に予定されている日本の汚染水放出によるものだ。中国税関総署(税関)は7日、「処理水の海洋放出が食品に与える影響を注視している。適時に必要な措置を取り、中国の消費者の安全を確保する」と警告したことがある。この発表の直後、日本産水産物の検査が強化された。
 日本の農林水産省は昨年、中国に輸出された水産物は871億円に上ると明らかにした。NHKは「(日本の水産物の輸出額は中国が)国や地域別の中で最も多いだけに影響が広がることが懸念されている」と強調した。
 日本の岸田文雄首相は、汚染水放出を強く反対している中国に対して不満を表明した。中東を歴訪中の岸田首相は18日、中国に対して「IAEA(国際原子力機関)包括報告書において、関連する国際安全基準に合致していると結論が示された」として、「科学的根拠に基づいた議論を行うよう強く求める」と述べた。
 西村康稔経済産業相もこの日、記者団に「中国に対しては、科学的観点からの(日本と中国の)専門家同士の意思疎通を行う用意がある旨、累次にわたって申入れをしている」と述べた。だが、中国側が拒否していることが分かった。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-07-20 02:30


「The Hankyoreh」 2023-07-19 08:00
■「汚染水放出は一方的」…福島市民「円卓会議」結成し反対運動展開
 福島大学の研究者、住民、農民、漁業者などが参加

【写真】「これ以上海を汚すな!市民会議」など日本の市民団体が6月、福島県で原発汚染水の海洋放出に反対する集会を行っている=ソーシャルメディアよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 福島第一原発に保管されている汚染水の海洋放出が来月行われる予定である中、福島大学の研究者や住民、農民、漁業者などが「一方的に放流を決めてはならない」と主張し、会合を開いた。
 東京新聞は18日付で「処理水(汚染水)の処分について国民的な議論を求める動きが起きている」とし、「福島大の研究者らが『復興と廃炉の両立とALPS(アルプス)処理水問題を考える福島円卓会議』を設立した」と報じた。同会議は汚染水の放出と関連し、日本政府や東電が一方的に方針を決めるのではなく、住民の意見を聞くなど幅広い視点に立った議論をすべきだと訴えている。
 同会議の初会合は今月11日、福島市で開かれた。福島大学の中井勝己元学長はこの場で、「地元漁業者らが積み重ねてきた努力を無にすることはできない。(この会議を)復興に取り組むわれわれ住民が、政府や東電と対等な立場で意見を交わす場にしたい」と述べた。初会合にはオンラインを含め120人が参加した。
 初会合では汚染水の放出に対する批判が相次いだ。福島県農業協同組合中央会の菅野孝志最高顧問は「政府と東電は決まった方針や質問を説明するだけで国民と一緒に課題に向き合う姿勢が足りない」と指摘した。また「決めるのは国、決められるのは国民という構図では、理解促進はできない。お互いが近づき、本気で話をするべきだ」と語った。
 福島県で農業を営む60代の参加者は「海洋放出は科学的知見だけでは決められない。市民やそこに暮らす漁業者、農民の声が全く反映されていないのが問題」だとし、「方針決定のやり方に声を上げていく必要がある」と強調した。同会議は会合を続けながら提言をまとめ、経済産業省と東電に伝える方針だ。
 福島県の市民団体は17日、「海の日」を迎え、300人余りが参加した中、市内で汚染水の海洋放出に反対する集会を開催した。彼らは「(汚染水の放出が海に)どう影響が出るか誰も分からない。処分の仕方を、もう一度検討してほしい」と訴えた。
 日本政府は福島原発汚染水(約133万トン)の放射性物質濃度を法的基準値以下に下げた後、来月から30~40年かけて海に放出する予定だ。特に多核種除去設備(ALPS)で除去されないトリチウムは基準値の40分の1以下に濃度を希釈して海に流す方針だ。

東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-07-18 18:34
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「「賛成一色」の汚染水討論会に野党批判まで…世論戦に総力挙げる韓国政府」

2023年06月28日 | 
「The Hankyoreh」 2023-06-27 07:56
■「賛成一色」の汚染水討論会に野党批判まで…世論戦に総力挙げる韓国政府
 福島原発汚染水の海洋放出が差し迫っている中、韓国政府がこれを批判したり不安を示す世論を静めようと必死になっている。この過程で外交部が異例にも野党を批判する意見を表明するなど、行き過ぎた姿を見せたことに対し、野党は「政治的意図を持った行為」だとして強く反発した。
 政府は原発汚染水の安全性を強調することに全力を傾けている。国立外交院は26日午前、ソウル瑞草区(ソチョグ)の庁舎で、討論会「福島原発汚染水の海洋放出をどうみるか」を開いた。開会の辞でパク・チョルヒ院長は「科学を無視して国民の不和を煽る感性的論理、政治的レトリックを前面に押し出す論争が韓国社会を分裂させている」とし、海洋放出に反対する立場を批判した。同日の討論会で発表を行った韓国原子力学会のペク・ウォンピル会長や、ソウル大学原子核工学科のキム・ギヒョン教授、パネルを務めた大邱カトリック大学放射線学科のキム・ヨンミン教授らは、いずれも汚染水の海洋放出に肯定的な意見を示した。
 国務調整室は15日から休日を除き、毎日汚染水関連会見を行い、不安を抱いている世論をなだめることに力を入れている。パク・グヨン国務調整室国務1次長は、この日の会見では「現在の海洋放出方式が科学的先例や安全性などを総合的に考慮したうえで、最も現実的な代案」だと強調した。これに先立ち、ハン・ドクス首相も23日、与党「国民の力」の「我が海を守る検証タスクフォース(TF)」所属議員らとソウル銅雀区(トンジャック)の鷺梁津水産市場を訪ね、水産物を自ら食べてみせた。
 国民の不安を鎮めることは必要だが、批判世論を「政府への攻撃」だと罵倒し、安全性だけを強調するのは不適切だという声もあがっている。野党「共に民主党」が太平洋島しょ国に汚染水の海洋放出に関する国際連帯を求める書簡を送ったことについて、外交部が民主党を批判したのが代表的な事例だ。外交部は25日、同書簡が「対外的なレベルで憲法上の行政府の持つ固有の権限を尊重しないものであり、国家の外交行為の単一性という側面でそぐわないもので、遺憾だ」と述べた。
 しかし、このような主張は憲法を無理に解釈したものだという指摘もある。西江大学法科大学院のイム・ジボン教授はハンギョレとの電話インタビューで、「福島原発汚染水の海洋放出に関して、政府が確定的な立場を発表した段階でもなく、公論化の過程で国民の代表機関である国会が外国との連帯を模索するのは憲法に反するとは言えない」と語った。汚染水の海洋放出に問題がないという世論戦を攻撃的に繰り広げる過程で、外交部が「一線を越えた」という指摘だ。
 共に民主党のパク・グァンオン院内代表は26日、党最高委員会議で「(国会と政党は)政府をただ支持し称賛すべきということなのか」と外交部を強く批判した。また「政府与党がすべきことは、国民の生命と健康を守るための民主党の努力をけなすことではなく、国民が与えた権限と責任を政府がちゃんと履行しているかどうかを自ら振り返ること」だと述べた。同党のイ・ソヨン院内報道担当は「外交部が政治的中立を守らず、政治的意図を持った行為とみなされかねない立場を示したことは不適切なもので、遺憾の意を伝えたい」と述べた。
シン・ヒョンチョル、チャン・イェジ、カン・ジェグ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-27002:45


「聯合ニュース」 2023.06.26 19:30
■韓国野党が福島視察結果報告会 海洋放出阻止で日本側と連携へ
【ソウル聯合ニュース】韓国の革新系野党「正義党」は26日、ソウルの日本大使館前で、同党所属国会議員の訪日の結果に関する報告会を開き、東京電力福島第1原発の処理済み汚染水海洋放出を巡り、日本政府が五つの重大な違反を犯していることを確認したと主張した。

【写真】日本大使館前で開かれた報告会の様子=26日、ソウル(聯合ニュース)

 放射性物質の海洋投棄を禁ずる国際法、多核種除去設備(ALPS)で処理した汚染水の処分に関する日本国内法、処理水は敷地内タンクに貯蔵するとした東電の確約文書、汚染水を希釈しないという東電の方針、処理水は海洋放出できないとする日本の原子力安全委員会の計画にそれぞれ違反しているという。
 また、福島第1原発で東電の関係者と面会し、漁業関係者への補償は日本国内に限定する計画との回答があったと説明した。
 訪日した議員らは日本の超党派議員連盟「原発ゼロ・再エネ100の会」関係者と面会し、海洋放出を阻止するための国際的なネットワークを設立することで合意した。
 同党の裵晋教(ペ・ジンギョ)院内代表は報告会で「政府がないがしろにした国民の安全と国益を野党レベルの外交と連帯で取り戻す」とし、積極的な国際連帯で日本政府の海洋投棄計画の撤回を必ず実現させると強調した。
 同党の「福島汚染水阻止TF」団長を務める姜恩美(カン・ウンミ)議員、裵院内代表などは22日から3日間の日程で訪日し、福島原発を視察したほか「原発ゼロ・再エネ100の会」関係者などと面会した。 


「聯合ニュース」 2023.06.26 15:46
■塩が品薄の韓国 コンブやワカメの売り上げも増加=汚染水懸念で
【ソウル聯合ニュース】東京電力福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出による海洋汚染の懸念が広がる韓国で塩とともに海藻類の売り上げが伸びていることが26日までに分かった。

【写真】塩の陳列棚が空になっている大田市内の大型スーパー=(聯合ニュース)

 スーパー大手のイーマートによると、東電が汚染水を海洋放出する設備の試運転を始めた12日から25日までの塩の売上高は前年同期比156.3%増加した。
 長期保存が可能なコンブ、ワカメの売上高もそれぞれ92.9%、69.9%増えている。
 ロッテマートでも同期間、塩の売上高は150%増え、コンブとワカメ、ノリなど海藻類は20%以上増加した。
 流通業界の関係者は「長期間保存できる食品から需要が高まっており、特にワカメの場合、子どもや妊婦が多く食べる食品であるため、求める人が多いとみられる」と話した。
 一部の大手スーパーでは海水を使って精製する天日塩が品薄になっており、ロッテマートは1人当たり1個に購入制限をしているという。
 イーマートも塩について1キロ以上の製品に限り、1人2個までと購入制限をしている。
 ただ政府は、天日塩の生産量が減少し価格が上昇したことについて、雨天の日が多かったことに加え、梅雨を前に出荷量の調節があったためとみている。
 海洋水産部は天日塩の生産量は6月から平年並みに回復しているため、供給量は問題ないと判断している。
 また需給バランスを取るため、政府による買い入れなどを通じて供給拡大を進めるとともに、生産者団体などと協議して安定した出荷のための制度づくりも進める方針だ。


「聯合ニュース」 2023.06.26 14:42
■汚染水海洋放出 「別方式の提案は信義誠実に反する」=韓国政府
 金泰均
【ソウル聯合ニュース】韓国の国務調整室の朴購然(パク・グヨン)第1次長は26日、東京電力福島第1原発の処理済み汚染水に関する記者会見で、「放出決定を元に戻し、国際原子力機関(IAEA)などに別の方式を提案することは信義誠実の原則に反する態度」と述べた。
 「海洋放出ではなく、固体化などの代案はないか」との記者団の質問に答えた。
 朴氏は「日本内でも相当複雑な議論があり、IAEAなどが最終決定にまで関与した」とし、「放出の方式が科学的な前例、安全性などを考慮した際、最も現実的な代案だと判断され決定がなされた」と説明した。そのうえで、「放出をどのようにすれば安全に行われるかに全力を注いでいる段階」と述べた。
 一方、食品医薬品安全処のカン・ユンスク食品基準企画官は会見で、韓国の食品の放射性物質濃度の基準値は1キロ当たり100ベクレル以下として、「世界のどの国より厳しい」と説明。国際的な食品規格を作るコーデックス委員会の1キロ当たり1000ベクレルと比べ10倍厳しいと強調した。


「聯合ニュース」 2023.06.26 11:46
■韓国の野党代表 日本大使館前でハンスト開始=「汚染水海洋放出に反対」
 金泰均
【ソウル聯合ニュース】韓国の革新系野党「正義党」の李貞味(イ・ジョンミ)代表は26日、東京電力福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出に反対するとして、ハンガーストライキを始めた。

【写真】野党代表 日本大使館前でハンストへ
 韓国の革新系野党「正義党」の李貞味(イ・ジョンミ)代表(左から3人目)が在韓日本大使館前で東京電力福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出に抗議する記者会見を行っている。李氏は大使館前に場所を設け海洋放出に反対するハンガーストライキを行うと宣言した=26日、ソウル(聯合ニュース)

 李氏はソウルの日本大使館前で記者会見し、汚染水の海洋放出に反対する意見が84%に上った世論調査結果を取り上げ、「正義党が先頭に立ち、国民と共に要求を貫徹するまで戦う」と述べた。大使館前に場所を設け、ハンストを続ける予定だ。
 李氏は「日本でも汚染水の海洋投棄に反対する声が高まっている」として、「日本の野党、市民社会と力を合わせることができれば日本の世論を動かすことができ、日本政府に圧力をかけられる」と主張。「今回のハンストはその世論を集める出発点となる」とし、「韓国国民の常識的かつ正当な声を伝えたい」と強調した。
 正義党の議員と党員は交代で断食する形で李氏のハンストを支援する。
 正義党の国会議員らは22~24日に日本を訪問し、福島第1原発を視察した。訪日した姜恩美(カン・ウンミ)議員は26日のラジオ番組で、「日本の議員や市民団体ではわれわれが思っていたより反対する意思がはっきりしていた」として、「日本の議員たちもこれは処理水ではなく、廃棄物だとはっきり話した」と述べた。
 正義党は今後、日本の政党や市民団体などと共同の対応策を模索する方針だ。


「The Hankyoreh」 2023-06-26 08:52
■[フォト]「なぜ海に汚染水を捨てるのか、日本の領土に保管すればいい」=韓国

【写真】「日本による放射能汚染水の海洋投棄阻止のための共同行動」のメンバーらが24日午後、ソウル中区のソウル市庁近くで開かれた「日本による放射能汚染水の海洋投棄阻止第3回全国行動の日」でシュプレヒコールを叫んでいる=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 「なぜ海に捨てるのか。保管すればいい」。
 ソウル都心の湿度が60%を越えるなど蒸し暑い天気となった22日午後、日本による放射性物質汚染水の海洋投棄を批判する集会が開かれた。
 「日本による放射能汚染水の海洋投棄阻止のための共同行動」(以下、共同行動)は、ソウル市庁の東側道路で開かれた第3回全国行動の日の集会で、放射能汚染水の海洋投棄を糾弾し、汚染水の陸上での保管を求めた。この日の集会には、大学路(テハンノ)で集会を終えた民主労組の組合員も参加した。
 共同行動は「福島原発の放射能汚染水は一度だけ捨てられるのではなく、溶け落ちた核燃料を除去して廃炉するまで、すくなくとも30年以上は続くだろう」と明言し、「日本は汚染水の海洋投棄の代わりに大型タンクによる陸上での長期保管や、セメントに入れて固体化する代案を設けるべきだ」と主張した。また、メンバーらは「韓国政府は、日本政府を代弁するかような毎日の定例説明会ではなく、汚染水の海洋投棄を反対して積極的な汚染水対応を求めよ」と要求した。
 共同行動は「日本政府は7月から福島原発汚染水の海洋投棄を予告している」とし、「今からでも韓国政府は日本を国際海洋法裁判所に提訴せよ」と求めた。
 集会の参加者らは「海を生かそう」という意味を込め、地球儀を転がすパフォーマンスで集会を終えた。共同行動は来月8日に第4回全国集会を予定している。

【写真】参加者らがプラカード持ち、日本政府に汚染水を陸上で保管するよう求めている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社
【写真】「日本による放射能汚染水の海洋投棄阻止のための共同行動」のメンバーらがプラカードを持ってシュプレヒコールを叫んでいる=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞
【写真】参加者らが日本政府に福島原発汚染水を陸上に保管するよう求めるシュプレヒコールを叫んでいる=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞
【写真】ある参加者が集会場所に設置されたフェンスに放射能汚染水に汚染される魚介類を警告するプラカードを取り付けている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞
【写真】参加者らが「福島原発汚染水の放出、絶対にだめ」と書かれたプラカードを持って合唱公演をしている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞
【写真】参加者らが集会の最後に、海を生かそうという意味を込め、地球儀を転がすパフォーマンスをしている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞
【写真】参加者らが集会の最後に、海を生かそうという意味を込め、地球儀を転がすパフォーマンスをしている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞

シン・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1097319.html
韓国語原文入力:2023-06-25 08:24


「The Hankyoreh」 2023-06-26 18:12
■福島第一原発の汚染水放出、安全の前にまず正当性を問うべき
[来週の質問]

【写真】全羅南道莞島郡の漁業関係者たちが22日、莞島港で福島第一原発の汚染水放出に反対する集会を行っている/聯合ニュース

 日本が推進する福島第一原発事故で発生した汚染水の海洋放出について最も多く問われているは、どうも「安全」のようだ。だが、安全性を問う前にまず「正当なのか」という問いに対する答えを得るべきだ。最悪の原発事故で発生した放射性物質を、数多くの生物の生活の場であり、人類共同の資産である海に放出する行為が、果たして正当化できるのか、との問いだ。
 この問いは放出に否定的な側からのみ発せられているものではない。放出しようとする側が「従う」という「国際安全基準」も同じ問いを投げかけている。国際原子力機関(IAEA)は、施設と活動の正当化▽保護の最適化▽個人に対するリスクの制限という3つの原則を、放射線から人間と環境を保護するための基本原則として提示している。
 このうち1つ目の「正当化」原則は「放射能のリスクを発生させる施設と活動は、全般的な利益を生産しなければならない」と定義される。放射能による被害を誘発する活動は、それによって発生する利益と損害を計算し、利益の方が被害より大きい時のみ正当であるということだ。
 「最適化」は、放射能のリスクを誘発する活動が正当であっても、合理的に達成可能な最高水準の安全を提供しなければならないというもの。「リスクの制限」は、先の2つの原則に従ったとしても十分な安全は保障されないから、放射線被ばくの「線量の限度」を守らなければならないという要求だ。汚染水は排出基準さえ順守すれば良いのだという主張や、甚だしくは飲むこともできるという誰かの大言壮語は、3つの原則うちの最後のひとつのみを守れば良いという話だ。
 IAEAは2021年9月から汚染水放出計画の安全性を検討してきた。この過程において真っ先に問うべきは汚染水放出の正当性だったが、それは放棄された。正当化を含む3つの基本原則の履行指針ともいうべき全般的安全指針「公衆と環境の放射線防護(GSG-8)」を検討基準から除外したのだ。
 GSG-8は「正当化は放射線防護の範囲よりもはるかに広く経済的、社会的、環境的要因も考慮する」と規定している。安全基準に則って放射線被ばくの利害当事者を判断する際、国境は重要ではない。「GSG-8」を適用するならば、韓国や太平洋の島しょ国の経済、社会、環境的得失も考慮されなければならないということだ。
 汚染水の海洋放出に反対してきた太平洋諸島フォーラム(PIF)専門家パネルのアルジュン・マクジャニ教授(カリフォルニア大学バークレー校)は、先月10日の韓国国会での討論会で「汚染水放出は韓国や太平洋の島しょ国にとって期待しうる利益が0であるため、『GSG-8』を適用すれば正当化条件に違反することになる」と断言した。
 このため専門家パネルは、IAEAの放出計画検討基準に「GSG-8」を含めるべきだと主張し続けてきた。専門家パネルと連絡を取ってきたヤン・イ・ウォニョン議員室(共に民主党)によると、IAEAは、「GSG-8」を検討する責任は日本の原子力規制委員会にあるとして、これを拒否している。
 IAEAは、福島第一原発の汚染水放出計画の安全性検討結果が記された最終報告書を近く発表する。日本が同報告書を大義名分として来月にバルブを開けば、汚染水は海に流れ込むことになる。放出は正当化されうるのかという問いに何も答えないまま。
キム・ジョンス|気候変動チーム先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:


「The Hankyoreh」 2023-06-26 09:08
■韓国外交部、「汚染水問題で国際連帯」書簡送った野党第一党に「遺憾」

【写真】共に民主党のイ・ジェミョン代表と議員たちが21日午前、国会で開かれた議員総会で福島第一原発の汚染水放出に反対するスローガンを叫んでいる/聯合ニュース

 韓国外交部は、野党「共に民主党」が太平洋の島しょ国に福島第一原発の汚染水放出に関して国際的連帯を求める書簡を送ったことについて「対外的次元で憲法上行政府が持つ固有の権限を尊重しないものであり、国の外交行為の単一性という面で正しくないため、遺憾だ」と表明した。政府省庁が政党に遺憾を表明したのは異例。
 外交部は25日、担当記者団に送ったショートメッセージで「共に民主党の今回の書簡発送は、国際原子力機関(IAEA)を含む国際社会の共同の努力はもちろん、韓国の安全性評価の努力を何の科学的根拠も提示せず度外視するものであり、客観的な検証と判断の助けにはならない」と述べた。
 外交部は「韓国政府はこれまで一貫して明らかにしてきた福島第一原発の汚染水放出に対する立場を貫徹するため、太平洋の島しょ国およびIAEAなどの国際社会と積極的に協力してきた」とし「これからも韓国政府は、国際的権威が認められているIAEAの検証結果、そしてこれとは別に進めてきた韓国自らの科学・技術的分析の結論を総合的かつ客観的に判断し、必要な対応と協力を行っていく予定」だと表明した。続けて「このような我々の対応の方向性は、主要7カ国(G7)などの主要先進国の立場と軌を一にするものであり、韓国水産業界の利益を保護し、国民の健康と安全を保護する最も効果的な方策」だと付け加えた。
 民主党は21日、太平洋諸島フォーラム(PIF)所属のオーストラリア、フィジー、マーシャル諸島など18カ国とPIF事務局に対し、福島第一原発の汚染水放出について国際的連帯を求める書簡を発送した。書簡には汚染水の海洋放出についての最近の問題、海洋法裁判所への暫定措置請求の必要性、国際連帯の必要性などが記されている。
 民主党の書簡送付について、与党「国民の力」のユン・ジェオク院内代表は23日、「国際慣行に照らして、通常の範囲を越える深刻な国益損傷行為であり、外交権限を大統領の権限と認めている憲法の原則と趣旨にも反する、非常に不適切な行為だ」と批判している。これは外交部の立場表明と同じ趣旨だ。
シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-25 16:47


「聯合ニュース」 2023.06.25 17:08
■汚染水放出巡り太平洋諸国に連携呼びかけ 野党書簡に「遺憾」=韓国政府
 金泰均
【ソウル聯合ニュース】韓国の外交部は25日、東京電力福島第1原発の処理済み汚染水海洋放出問題への対応を巡り、最大野党「共に民主党」が太平洋島しょ国に連携を呼びかける書簡を送ったことについて、「客観的な検証と判断に役立たない」として遺憾の意を表明した。

東京電力福島第1原発の処理済み汚染水に関する記者会見を行う韓国政府関係者ら(資料写真)=(聯合ニュース)
 外交部は「共に民主党の書簡は国際原子力機関(IAEA)を含む国際社会の努力はもちろん、われわれの自主的な安全性評価のための努力を何ら根拠も提示せず度外視するもの」と指摘。「憲法上、行政府が持つ固有の権限を尊重しないものであり、外交行為の単一性という側面から遺憾」と表明した。
 また、「今後政府は国際的な権威を認められているIAEAの検証結果、これとは別に行ってきたわれわれの科学・技術的な分析の結論を総合的かつ客観的に判断し、必要な対応と協力をしていく」との方針を示した。そのうえで、「主要7カ国(G7)など主な先進国の立場と歩調を合わすもので、水産業界の利益を守り、国民の健康と安全を守る最も効果的な方策」と述べた。


「The Hankyoreh」 2023-06-23 10:06
■韓国野党代表、汚染水放出問題で政府への攻勢強化…「不逮捕特権放棄」宣言で転換図る
 共に民主党のイ・ジェミョン代表は、福島第一原発の汚染水放出問題を契機として政府与党に対する攻勢の姿勢を強めている。先日、「国会議員不逮捕特権(国会議員は現行犯でない限り会期中に国会の同意なく逮捕・拘束されないという憲法条項)」を放棄すると宣言したことで、自身と党を締め付けていた「防弾(徹底して身を守る)」フレームから抜け出し、反対世論の強い汚染水放出問題に集中することで、政府けん制の中心に立つことを意図した動きとみられる。
 イ代表は22日、江原道江陵(カンヌン)の注文津(チュムンジン)を訪れ、水産業や観光業の関係者と福島第一原発の汚染水問題について話し合った。イ代表はこの席で、「放出を止めるために韓国(政府)は実質的な行動を取るべきだが、非常に足りないという考えはぬぐい難い」とし、「安全には何の問題もないと言い張ったり主張したりしたところで、その問題そのものが消えるのか」と言い、政府を強く批判した。
 民主党はこのところ「汚染水放出問題」に注力している。前日に汚染水放出反対署名100万人達成を告げる報告大会を行ったのに続き、7月からはソウルを皮切りに全羅道、忠清道、済州道など全国を巡回して大規模な糾弾大会を開催する予定だ。民主党は、21日には太平洋の島しょ国に民主党議員全員の名義で国際的連帯を求める協力書簡を発送している。
 民主党内のイ・ジェミョン派は、イ代表が「不逮捕特権」の放棄を宣言したことで、より身軽に対政府闘争を導く環境が整ったとみている。与党および民主党内の非イ・ジェミョン派議員の攻撃の的となっていた「防弾国会」というフレームが、不逮捕特権放棄でかなり崩れたというわけだ。イ・ジェミョン派のキム・ヨンジン議員は、この日の仏教放送(BBS)ラジオの番組で「『イ代表の防弾問題、司法リスクをめぐっては、これ以上論争すべきことはない』というのが、民主党議員や外部の大方の見方」だとし「民生、経済、外交安保などの国会本来の仕事に集中していくことが必要だ」と語った。
 いっぽう、非イ・ジェミョン派からは「イ代表の司法リスクは猶予されているだけ」との声があがっている。非イ・ジェミョン派のある議員は「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の失政に対してはきちんと闘うにしても、『イ・ジェミョンのリーダーシップ』の根底にある司法リスクはそれとして直視すべきだ」と述べた。
 正義党のペ・ジンギョ院内代表、イ・ウンジュ院内首席副代表、カン・ウンミ議員(同党福島原発汚染水阻止タスクフォース団長)はこの日、東京を訪れ、汚染水放出に反対する日本の政治家の集まり「原発ゼロ・再エネ100の会」と懇談会を実施した後、社会民主党の議員たちと東京電力を訪問した。ペ院内代表は出国前、金浦国際空港で記者団に対し、「(汚染水の放出に反対する)日本の議員や市民団体と連帯し、日本の核汚染水が決して無断で投棄されないよう、意志を結集していくつもりだ」と述べた。23日には放射能の専門家とともに福島第一原発を訪問する。
 国民の力のユン・ジェオク院内代表は、民主党が太平洋島しょ国に連帯を求める書簡を送ったことについて、この日の最高委員会議で「国民に対する怪談扇動が通じないため、国外でも怪談扇動をはじめた格好」だとし、「耳を疑うほどの非常識な行動」だと非難した。
イム・ジェウ、カン・ジェグ、ソン・ヒョンス記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-22 18:54


「The Hankyoreh」 2023-06-23 08:27
■[フォト]韓国の女性団体「福島原発汚染水、日本の領土に保管せよ」

【写真】ソウル女性連帯などの女性団体のメンバーが21日午前、ソウルの日本大使館前で福島原発の放射性物質汚染水の海洋投棄を批判し、核廃棄物保存容器を意味するプラスチックのバケツで「日本の領土に保管せよ」と主張している=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 ソウル女性連帯や冠岳(クァナク)女性会、九老(クロ)女性会、城北(ソンブク)マザーセンターなどの女性団体のメンバーが、21日午前、ソウル鍾路区(チョンノグ)にある在韓日本大使館の前で記者会見を行い、日本の福島原発の放射性物質汚染水の海洋放出を批判した。
 メンバーらは「世界各国と日本国内の反対世論にもかかわらず、日本政府は福島第一原発の放射性物質汚染水の投棄を押し切ろうとしている。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、こうした状況に対して、国民の懸念の声を『怪談』と切り捨て、露骨に日本側を擁護するばかりの状況」だと主張した。
 メンバーらは、日本の福島原発の放射性物質汚染水の海洋放出に反対する市民1000人あまりの署名を集め、署名用紙を在韓日本大使館に渡そうとしたが、警察が阻止し、直接渡すことはできなかった。

【写真】ソウル女性連帯などの女性団体のメンバーが21日午前、ソウルの日本大使館前で福島原発の放射性物質汚染水の海洋投棄を批判し「日本の領土に保管せよ」と要求している=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社
【写真】ソウル女性連帯などの女性団体のメンバーが21日午前、ソウルの日本大使館前で福島原発の放射性物質汚染水の海洋投棄を批判し「日本の領土に保管せよ」と要求している=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社
【写真】ソウル女性連帯などの女性団体のメンバーが21日午前、ソウルの日本大使館前で福島原発の放射性物質汚染水の海洋投棄を批判し「日本の領土に保管せよ」と要求している=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社
【写真】ソウル女性連帯などの女性団体のメンバーが、約1000人の市民が署名した「日本による放射性物質汚染水の海洋投棄阻止」署名用紙と「日本の領土に保管」と書かれた核廃棄物保存容器の模型を日本大使館に渡すために移動している=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社
【写真】ソウル女性連帯などの女性団体のメンバーが、約1000人の市民が署名した「日本による放射性物質汚染水の海洋投棄阻止」署名用紙と「日本の領土に保管」と書かれた核廃棄物保存容器の模型を日本大使館に渡そうとしたが、警察に阻止された=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

キム・ジョンヒョ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-21 13:47
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日本最大の漁業者組織「全漁連」、汚染水海洋放出に改めて反対決議

2023年06月26日 | 
「The Hankyoreh」 2023-06-23 07:15
■日本最大の漁業者組織「全漁連」、汚染水海洋放出に改めて反対決議
 日本の漁業関係者組織が「海洋放出反対」の特別決議

【写真】福島第一原発敷地内のタンクに保管されている放射性物質汚染水/AP・聯合ニュース

 福島第一原発に保管されている放射性物質汚染水の海洋放出が目前に迫っている中、日本最大の漁業関係者組織である全国漁業協同組合連合会(全漁連)が「汚染水の海洋放出に反対する」という内容の特別決議を採択した。全漁連の反対表明の決議は今回で4年連続となった。
 全漁連は22日、東京で通常総会を開き、汚染水の海洋放出に対する反対決議を採択した。同団体は決議で「(福島第一原発)廃炉に向けた取り組みを否定するものではない」としつつも、「(汚染水の)海洋放出に反対であることはいささかも変わるものではない」と明らかにした。
 全漁連は、東京電力が8年前にした約束を守るべきだと求めている。東京電力は2015年8月、社長名義で汚染水の海洋放出と関連し、「(漁業)関係者の理解なしには、いかなる処分もしない」と文書で約束した。これは福島県漁業協同組合連合会の要請で作られたものだ。だが、日本政府と東京電力は漁業関係者たちの反対にもかかわらず約束を無視し、今夏頃に海洋放出を進めている。
 朝日新聞は「2015年の文書を理由に、福島の漁協などからは『(政府による)約束はどうなっているのか』などの反対の声が相次いでいる」と報じた。
 決議では、日本政府が漁業関係者の被害に備えて基金(計800億円)を創設し、汚染水の安全性を積極的に説明していることについては「重く受け止める」と評価した。
 全漁連の坂本雅信会長は22日、西村康稔経済産業相と面会し、決議文を手渡した。全漁連は全国に組合員が約30万人である日本最大の漁業関係者組織だ。
東京/キム・ソヨン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-22 17:44


「The Hankyoreh」 2023-06-22 07:02
■日本の汚染水処理施設の故障は8件?…「フィルター24個の故障を1件に」
 政府発表の8件は原因別にまとめた事例の件数 
 現場視察参加専門家、定例会見で明らかに

【写真】クォン・オサン食品医薬品安全処次長(左から2番目)が21日午前、ソウル鍾路区の政府ソウル庁舎で開かれた福島原発汚染水関連の定例会見に出席し、日本産水産物の輸入検査体系について説明している/聯合ニュース

 日本の福島原発汚染水を処理する多核種除去設備(ALPS)の故障発生件数が、機器別にみると少なくとも30件を超えることが分かった。韓国政府はこの10年間、ALPSの主な故障事例は8件だと明らかにしてきたが、実際の故障件数がさらに多いことが明らかになり、汚染水海洋放出の安全性と直結したALPSの信頼度に対する疑念がさらに深まるものとみられる。
 原子力安全技術院のキム・ソンイル放射線廃棄物評価室責任研究員は21日、福島原発汚染水関連の定例会見(毎日実施)で「2021年度にHEPAフィルターという排気フィルターの故障が1件発生したが、この件を機に(他の機器にある同じ)排気フィルターを全数検査したところ、全体25個中24個で故障が見つかった」と述べた。
 現場視察団が東電から受け取ったALPSの主な故障事例(8件)リストの資料には、2021年8月にALPSのHIC排気フィルターの損傷が1件あったと記載されているが、機器別にみると故障件数は24件でさらに多いという趣旨の話だ。また、「東電がそれ(同じ種類の故障)を一つの故障事例とみて、原因と対策を一つにまとめて処理しているものと理解すればよい」と説明した。
 キム研究員は福島現場視察に参加した専門家の一人だ。この発言は「2013年から2022年までの10年間、ALPSで計8件の主な故障事例を確認した」(16日の定例会見)という韓国政府の発表とは異なり、故障事例がさらにあったという報道が事実ではないと釈明する過程で出たもの。キム研究員は「重要なのは機器の性能を維持しているかどうか」だと語った。
キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-22 02:11


「The Hankyoreh」 2023-06-21 07:32
■日本の議員の訴え「海は共有財産…汚染水は固体化して保管し、のちに再利用を」
 [インタビュー]立憲民主党の阿部知子衆議院議員 
 「海は共有財産…周辺国の理解が必要」

【写真】立憲民主党の阿部知子(74)衆議院議員=東京/キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社

 「東京電力の言うように多核種除去設備(ALPS)で汚染水を何度もろ過して放射性物質を最大限除去することが必要だ。汚染水の放射性物質を基準値以下に下げた後、セメントや砂などを混ぜて固体で保管すればよい。このコンクリートをのちに防潮堤などに再利用できる」。
 立憲民主党の阿部知子衆議院議員(74)は、目前に迫った福島第一原発の汚染水の海洋放出について、「海は共有財産」だと述べつつ、汚染水を固体にして日本国内に置き、後に再利用しようという新たな代案を提示した。
 また「日本政府とIAEAは、処理汚染水の海洋放出が長期間続いた時、環境や人体に与える影響についても深く研究していない。放射性物質を海に捨ててはならない」と訴えた。
 日本の超党派議員の集まり「原発ゼロ・再エネ100の会」で活動しつつ、汚染水放出の問題点を粘り強く訴えている阿部議員のインタビューは、15日に東京都千代田区の衆議院議員会館で行われた。韓国は「汚染水」、日本は「ALPS処理水」と呼んでいることについて阿部議員は、ALPSで処理しても依然として汚染水だと述べつつ、「ALPS処理汚染水」という用語を使っていると語った。

-日本政府は、今月中にIAEAから最終報告書が発表されれば、これを根拠として福島第一原発の汚染水を今年の夏ごろ海に放出する予定だ。
 「日本政府が決定し、日本の原子力委員会、IAEAが大丈夫だと言ったからといって済む問題ではない。海は共有財産であり、広くつながっている。海洋放出を強く憂慮する人々と周辺諸国の理解がなければならない。そもそも『ロンドン条約』や議定書では、海に放射性物質を投棄してはならないと定められている。IAEAの一般安全指針(GSG-8)には、『その行動によって個人と社会に予想される利益は、その行動による害悪よりも大きくなければならない』という原則がある。汚染水の放出が100%安全とは言えない中、日本だけでなく韓国の漁民、太平洋の島しょ国などが強く反対している。利益はなく危険が存在するのなら、海洋放出はしてはならない。IAEAはこの部分をまったく検討していない」。

-日本政府は、ALPSで放射性物質を基準値以下に下げ、除去できないトリチウム(三重水素)は海水で希釈して放出すれば安全だと主張している。
 「福島第一原発は(2011年3月に)事故が起きた原子炉であるため、セシウムやストロンチウムなどのあらゆる放射性物質が汚染水には含まれている。経済産業省と東京電力は、どれだけの量の放射性物質を海に捨てることになるのかは語らない。希釈だけに焦点を当てており、放射性物質の総量に対しては何の検証もない。基準値以下にして薄めたとしても巨大な量の処理汚染水であるため、放射性物質の総量は無視できない。処理汚染水の放射性物質測定核種も64種から30種に縮小された。リスクを評価するためには、できうる限り確認しなければならない。日本政府とIAEAは、処理汚染水の海洋放出が長期間続いた時の環境や人体への影響についても深く研究していない。また日本は福島第一原発の2051年の廃炉を目指しているが、これは不可能だ。廃炉になるまで汚染水は発生し続ける」。

【写真】福島第一原発の敷地内のタンクに保管中の放射性物質汚染水/AP・聯合ニュース

-汚染水の安全性にかかわるALPSの性能も争点だ。
 「ALPSの性能を確認するための資料は不十分。汚染水が保管されている1千基を超えるタンクのうち、試料を採取して64の核種を分析したのはごく一部だ。K4、J1-C、J1-Gの3つのタンク群に対してのみだ。さらに大きな問題は、(東京電力に確認したところ)これらの試料採取の過程で攪拌(かくはん)作業も行われていないこと。相対的に放射性物質の濃度が低いタンクの上部から試料を採取したということだ。ALPSの性能を確認するための資料は信頼できないということになる。これはごまかし行為だ。東京電力は、処理汚染水の海洋放出前の核種測定の際に攪拌するため問題はないという立場だ」。
(※先月23~24日に福島第一原発を訪問した韓国視察団は、ALPSの注入口と出口における64の核種の濃度を分析した2019年から昨年までの原資料を確保したことを成果として掲げたが、この資料の実効性に疑問が提起されたことになる)

-汚染水はどのように処理すべきだと思うか。
 「放射性物質は、環境や人間を保護するためには閉じ込めておかなければならない。これが原則だ。まだ間に合う。東京電力の言うように、ALPSで汚染水を何度もろ過して放射性物質をできる限り除去することが必要だ。汚染水の放射性物質を基準値以下に下げ、その後、セメントや砂などを混ぜて固体として保管する『モルタル固化』という方法で保管すればよい。専門家は、このコンクリートは後に防潮堤などとして再利用できるという。汚染水のように福島第一原発に保管し続ける必要もない。汚染水処理は、政治的論争より環境を守るために皆で知恵を集めなければならない問題だ」。

-最近の世論調査によると、日本国民の60%が汚染水放出に賛成している。日本の雰囲気はどうか。
 「福島第一原発の周辺は暖流と寒流が出会う非常に良い漁場だ。海を守りたいと思っている漁民は強く反対している。世論は60%が賛成というが、国民には正しい情報が与えられていない中、日本は全体的に原発についての雰囲気が変わりつつある。(原発の運転期間が60年以上に伸びるなど)東日本大震災の前に戻っている感じがする。原発事故が過小評価され、あの日の教訓を忘れさせている。汚染水の放出問題も、トリチウムは一般の原発からも出ており、十分希釈すればよいと原子力規制委員会も考えているが、汚染水の実態はそうではない。海の環境を国際的にどのように守っていくかに対する認識がない。これはただのトリチウムではなく、事故を起こした原発から出る汚染水だという考えが足りない。原発事故から12年がたったが、セシウムなどの放射性物質に汚染された魚が今もとれる。果てしなく生物濃縮が起こっている。海は広くて薄まるからといって、放射性物質の海洋投棄をしてはならない。もっと公開的で民主的なやり方で汚染水の問題を議論していきたい」
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-20 16:56


「The Hankyoreh」 2023-06-21 10:13
■韓国の野党議員、汚染水放出反対訴えハンストに突入

【写真】「福島第一原発の汚染水放出反対」を訴えハンストを開始した共に民主党のユン・ジェガブ議員が20日午前、ソウル汝矣島の国会本館前で議員たちの激励を受けている/聯合ニュース

 日本による福島第一原発の汚染水放出が迫る中、20日に開かれた韓国国会の農林畜産食品海洋水産委員会(農海水委)の懸案質疑では、与野党が汚染水放出の安全性をめぐってまたしても激突した。与党「国民の力」は、野党「共に民主党」が政治的利益を得るために「怪談」によって国論を分裂させていると主張し、民主党は国民たちの懸念を怪談と罵倒していると応じた。
 民主党のユン・ジェガブ議員はこの席で、「福島第一原発の汚染水放出は国民の命と安全にとって脅威であるばかりでなく、水産業そのものを根こそぎ壊滅させる放射能テロ」だとし、「覆水盆に返らずで、原発汚染水の海洋放出が始まれば何の対策もない」と述べた。汚染水放出の直撃を受けうる全羅南道の海南(へナム)・莞島(ワンド)・珍島(チンド)選出のユン議員は、この日から国会本庁前で汚染水放出反対を訴えるハンストに突入した。
 国民の力のパク・トクフム議員は「科学を無視して怪談によって恐怖を造成すれば、その被害はそのまま国民に回ってくる」とし「(2008年のBSE問題のように)事実には関心がなく、ひたすら政治的利益ばかりを追求する野党」と攻勢に打って出た。これに対し民主党のユン・ジュンビョン議員は「国民の懸念を政府与党は怪談とみなし、似非科学と罵倒し、ひねり潰そうとしている」と批判した。
 与党は「政権が変わったら民主党は言うことを変えた」と主張した。国民の力のホン・ムンピョ議員は「2020年に文在寅(ムン・ジェイン)政権は合同タスクフォース(TF)を設置し、福島第一原発の汚染水について懸案報告を行っているが、その報告書で『汚染水(放出)が及ぼす影響は微々たるものだ』と述べている」、「これが民主党の実体」だと主張した。これに対し無所属のユン・ミヒャン議員は「合同TFの報告書は文在寅政権の立場をまとめた報告書ではなく、国内動向として専門家の中にはこのような意見を持っている人がいると明らかにした報告書」だと反論した。
 与野党は、民主党のイ・ジェミョン代表が17日に仁川(インチョン)地域の「福島第一原発汚染水海洋投棄反対糾弾大会」に参加し、汚染水を「核廃水」と呼んだことについても攻防を繰り広げた。「2021年にムン・ソンヒョク海洋水産部長官が国際海事機関(IMO)に送った公文書では『核廃水』となっている」(民主党のウィ・ソンゴン議員)との主張がでる一方、パク・トクフム議員は「野党第1党の代表(イ・ジェミョン)が汚染水を『核廃水』と呼ぶと主張し、科学と常識を弄んでいる」と述べた。
オム・ジウォン、カン・ジェグ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-20 18:09


「The Hankyoreh」 2023-06-21 10:18
■「釜山市長は核汚染水放出問題で日本をITLOSに提訴するよう政府に建議すべき」

【写真】釜山の市民団体が20日、釜山市役所前広場で記者会見を行い、パク・ヒョンジュン釜山市長らに福島第一原発の核汚染水の海洋放出問題で日本をITLOSに提訴するよう求めた=キム・ヨンドン記者//ハンギョレ新聞社

 釜山(プサン)の市民団体はパク・ヒョンジュン釜山市長に対し、日本による福島第一原発の核汚染水の海洋放出を止めるために、国際海洋法裁判所(ITLOS)への提訴を尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権に建議するよう求めた。
 地域の166の市民社会団体からなる「釜山古里(コリ)原発2号機寿命延長・核廃棄場反対 汎市民運動本部」は20日、釜山市庁前広場で記者会見を行い、「パク市長は市民の命と安全のために、日本政府による核汚染水の海洋投棄を止めるため、ITLOSへの提訴を尹錫悦政権に直ちに建議すべきだ」と述べた。
 同団体は「日本政府は核汚染水の海洋投棄に対してすべての海洋汚染防止措置を取っておらず、日本の地域外へと広がらないようにする措置にも従っていない。これは国連海洋法条約とロンドン条約(海洋汚染防止条約)に明確に違反するもの」だと主張した。
 同団体はまた「2020年に釜山、蔚山(ウルサン)、慶尚南道、全羅南道、済州道の5つの広域自治体は沿岸5市道協議体を結成し、日本による核汚染水の海洋放出阻止に向けた共同対応の取り組みを開始している。パク市長は市道協議体を通じて、日本政府をITLOSに提訴するよう、尹政権に建議すべきだ」と述べた。
 ハンサリム釜山のチャン・ビョンユン理事長は「市民の食の安全を脅かし、漁民の生業を危機に陥れる問題に対して、釜山市は手をこまねいている。パク市長は今からでも漁業者の被害や水産物の安全などの対策をきめ細かく準備するとともに、直ちに民間協議体を設置して強く対処してほしい」と注文した。釜山YMCAのオ・ムンボム事務総長は「政府がなしうる唯一の方法は、日本政府をITLOSに提訴することだ。市民、国民の安全は何ものにも代え難い。尹政権が国民、市民の安全を優先する政権なのかどうかしっかり目を見開いて見守る」と述べた。
キム・ヨンドン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-20 13:06


「The Hankyoreh」 2023-06-20 08:27
■IAEA中間報告書を分析すると…日本の汚染水放出への「丁寧なコンサルティング」

【写真】ソウル大学の海洋研究所所長・地球環境科学部教授のチョ・ヤンギ氏が19日、政府ソウル庁舎で開かれた福島原発汚染水放出に関する定例会見で、福島原発事故後に研究されたセシウムの表層拡散シミュレーションを説明している/聯合ニュース

 国際原子力機関(IAEA)は、日本の福島原発汚染水の海洋放出計画の安全性を検討した最終報告をまもなく発表する。汚染水の海洋放出を推進する日本はもちろん、圧倒的な放出反対の世論に包囲されている韓国政府も、この報告書は客観的かつ科学的な検証の結果だとし、大きく意味付けている。
 だが、IAEAが6回にわたって発表した中間報告書の内容を詳しくみると、汚染水の海洋放出を難しくする方向に結論が出る可能性がほとんどないというのが、大方の評価だ。なぜそのような評価が出てくるのかを調べてみた。

◆「海洋放出支援プロジェクト」として始まったIAEAの安全性検討
 IAEAは2021年9月、所属職員および韓国、米国、中国、英国、フランス、ロシア、アルゼンチン、ベトナムを含む11カ国の原子力専門家で特別チームを構成し、日本の福島原発汚染水の放出の安全性に対する検討を進めた。韓国からも、原子力安全技術院(KINS)のキム・ホンソク博士が参加している。
 国際的に発言力を認められている機関を通じて、韓国を含め利害関係が絡む11カ国の専門家が参加する検証であるだけに、結果が客観的かつ科学的である点は否定できないだろう。問題は、今回の安全性の検討の究極の目的が、「福島原発汚染水を海洋放出しても問題ないかどうか」を判断することではないという点だ。
 IAEAは、安全性の検討を始めた背景について「(2021年4月に海洋放出の計画を発表した直後に)日本が放出を安全に履行できるよう放出計画と関連活動のモニタリングと検討を支援するよう要請し、それを受け入れた」と明らかにしている。
 つまり、福島原発汚染水を海洋放出しても問題ないかどうかを判断するのではなく、日本が計画した汚染水放出を支援することが、安全性検討の目的だという話だ。「日本の要請」によって「汚染水の海洋放出を前提」になされる検討であるだけに、中立性の側面で根本的な弱点を持たざるをえない。可能性はまずないがIAEAの最終報告書の結論が放出に否定的であったとしても、日本には従う義務もない。

◆日本が同意した範囲内で検討…放射性核種をろ過する「ALPS」の性能は検討対象外
 日本の支援要請で始まったIAEAによる安全性検討は、徹底的に「日本が同意した範囲内で」で進められている。
 日本が要請したのは、「汚染水の海洋放出計画と、それに沿って進められる放出が、IAEAの安全基準を満たしているかどうか」を技術的に検討してほしいということだった。日本とIAEAは2021年7月、IAEAの支援方法などを定義した「付託事項」(ToR:Terms of Reference)に署名し、これに基づき検討の範囲やスケジュールなどを協議して決めた。
 具体的には、放出される処理水(汚染水)の放射能の特性▽放出管理のためのシステムとプロセスの安全性▽放射線環境影響評価(REIA)▽放出のための規制と認可▽処理水(汚染水)と環境のモニタリング・プログラム▽利害関係者の関与▽職業的放射線防護などを含む8点が検討対象だ。
 これによると、福島原発汚染水に含まれる放射性核種を取り除く「多核種除去設備」(ALPS)は検討対象ではないことがわかる。実際、最近までの6回にわたる中間報告書には、ALPSの性能と運営についての内容は含まれていない。ALPSは過去10年の間に8回も故障を起こし、汚染水の海洋放出の安全性を懸念する側が特に信頼性に疑問を呈している設備だ。

◆問題となる点を補う「オーダーメード型コンサルティング」形式で進行
 IAEAがこれまでに発表した6回の中間報告書を読むと、「提案した」「助言した」「認めた」「同意した」などの表現が多く登場することが目につく。言い換えると、IAEAの安全性検討は、「汚染水を海洋放出しても問題ないかどうか」を判断することを重視したものではなく、放出の履行を支援することが目的なのだ。
 そうした目的のもと、IAEAの安全性検討の多くは、特別チームが東京電力と関連の政府省庁である経済産業省、規制機関である原子力規制委員会(NRA)を訪問し、検討テーマに関する説明を聞き、質疑応答と討論を行う形式で進められた。
 質疑応答と討論は、日本の放出計画から安全基準を満たさない部分を発見することにとどまらず、利害当事者を説得するために足りない点を探して補完していく過程として進められた。一言でいうと、汚染水の海洋放出が滞りなく進められるよう、IAEAが日本に「きめ細かいオーダーメード型コンサルティング」を行い、共同して放出計画の完成度を高めていったわけだ。
 一例として、IAEAの特別チームが昨年11月に日本で検討任務を遂行した結果を盛り込んだ第4回中間報告書には、「(放射性物質の海洋拡散)シミュレーションの境界領域の海水中に存在する(低濃度の)炭素-14とヨウ素-129の推定値を(シミュレーションした結果に)加えれば、このような放射性核種の濃度は無視できる程度だということを示すことができる」という提言が含まれている。低濃度で生じる炭素-14などの数値を提示すれば、人々に特に影響がないという印象を与えやすいということを、東京電力側に「親切にコーチング」したわけだ。
 しかも、中間報告書を読むと、IAEAは日本が提出した資料と説明に全面的に依存しながらも、資料と説明の信頼性を確認する「交差検証」を疎かにしていることを示す記述も発見される。
 IAEAの特別チームが昨年2月に出した初の中間報告書で、日本の経済産業省と東京電力が周辺国を含む利害当事者に多くの情報を提供し、透明なコミュニケーションを行ったことを認め、東京電力に対しては「称賛した」とまで表現した内容がその一例だ。昨年6月に公開された第2回中間報告書には、日本の原子力規制委員会が隣国に情報を提供した努力を肯定的に評価した記述もある。
 こうした内容は、日本政府が「放射性物質の放出許可の過程で、情報交換が必要な利害当事者に隣国も含まれる場合がある」と規定した安全基準(GSG-9、「環境に対する放射能放出規制」)をきちんと守っていると評価したものだ。日本側から関連情報をろくに与えられず現状把握に困っている周辺国の立場としては、容易には納得しがたい評価だ。

【写真】日本の福島第一原発にある汚染水の貯蔵タンク。日本はこのように保存している原発事故汚染水133万トンを30年かけて海洋放出する計画だ/聯合ニュース

キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-19 20:25


「The Hankyoreh」 2023-06-19 06:44
■汚染水海洋放出の影響、保護者ら心配の声…給食の現場でも悩み深まる=韓国

【写真】福島原発汚染水の海洋放出を控え、15日午後、京畿道水原市勧善区の京畿道保健環境研究院で、農水産物検査部農水産物安全性検査チームの研究員らが水産物の放射能安全性検査を行っている/聯合ニュース

 「原発汚染水の海洋放出が行われるようですが、子どもたちの給食は大丈夫でしょうか」、「水産物や塩が心配ですが、対策はありますか」。
 ソウルのある中学校で働く栄養士のKさん(37)は14日朝、給食のモニタリングに来た保護者からこのような質問を受けた。Kさんは18日、ハンギョレに「福島原発汚染水の海洋放出で、給食の食材に関する保護者の心配がますます高まりそうだが、これといった対策がなく、頭を悩ませている」と語った。
 福島原発汚染水の海洋放出を控え、韓国の市民の食に対する不安が高まり、保護者の間では給食の食材に対する懸念の声もあがっている。塩や海苔など水産物の買いだめ現象で食材の値段が急騰しており、学校給食を担当する栄養士たちの悩みも深まっている。
 Kさんは「現在、政府は放射能検査を経て基準値以下であることを毎回確認すると言っているが、検査数値が確実なのか、子どもたちの健康にどのような影響を及ぼすのか信頼できない状況」だとし、「これといった対策がない中、保護者たちの懸念にどのように対応すれば良いのか分からない状況だ。最近買いだめの影響で塩、海苔の値段が上がっており、給食の単価に合わせて食材を手に入れるのが難しくなりそうだ」と話した。
 ソウルのある初等学校の栄養士のAさんも「今、他の学校の栄養士たちと関連資料とニュースをモニタリングしながら様々な悩みについて話し合っている。12年前、福島原発事故が起きたばかりの頃は、水産物を給食メニューから外したこともあった。ウクライナ戦争ですでに食材の値段が大幅に上がったが、今のような買いだめが続けば給食の品質に影響を及ぼしかねない」と語った。
 学校現場で日本政府の汚染水放出により水産物に対する不安が高まったことを受け、ソウル市管内の小中高等学校に食材を供給するソウル市エコ流通センターは14日、「日本産水産物は納品しない」という公文書を所轄の学校に送った。ソウル市エコ流通センターの関係者は「すでに2020年から日本産水産物は学校に供給していない。しかし最近、保護者の懸念が高まり、『日本の水産物は最初から遮断しており、これから食材放射能検査も強化する』という計画などを知らせた」と話した。
 各教育庁も学校に納品される食材に対する放射能調査を拡大すると発表した。ソウル市教育庁は17日、一部の学校を対象に実施していたサンプリング方式の食材放射能調査をすべての学校の食材に拡大することにした。全羅南道教育庁も5日「水産物に対する放射能検査の強化計画」に基づき、年4回実施してきた水産物に対する放射能検査を年10回に増やすと発表した。
 しかし、食に対する保護者の不安はなかなか収まらない。2歳半の子どもを国公立の保育園に通わせているというイ・ジョンミンさん(34)は、「日本に住む知人から『日本人も済州(チェジュ)や釜山(プサン)に観光に行くと、魚は避けて肉だけを食べる』という話を聞いた。現在、保護者の間では『韓国産も信頼できない』という不安が大きく広がっている」とし、「放射能汚染による影響はすぐ現れるものではない。長い間体に蓄積して問題が現れる可能性もあるのに、政府は『安心せよ』という言葉を繰り返すだけ。具体的かつ明確な根拠を示してほしい」と述べた。
パク・チヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-19 02:45


「The Hankyoreh」 2023-06-19 07:14
■韓国政府与党、放射能調査地点を2倍に拡大へ…最大野党代表「汚染水ではなく核廃水」
 福島原発汚染水の海洋放出対策を議論 
 43カ所の委託販売場で流通前の全魚種を検査 
 水産業界に緊急安定資金の支援も

【写真】共に民主党のイ・ジェミョン代表が17日午後、仁川市富平区の仁川地下鉄1号線富平駅北広場で開かれた「日本による福島原発汚染水の海洋放出糾弾大会」で発言している/聯合ニュース

 韓国の与党「国民の力」と政府は、日本による福島原発汚染水の海洋放出への対応策として、海洋の放射能調査地点を2倍以上拡大し、水産物の大型委託販売場43カ所で流通前の国内産の全魚種に対する検査システムを構築する案をまとめた。野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表は原発汚染水を「核廃水」と称し、政府が国民を欺いていると批判した。
 政府与党は18日、ソウル鍾路区三清洞(サムチョンドン)の首相公館で政府高官と党幹部による協議会を開き、海洋の放射能調査地点を従来の92カ所から200カ所に拡大し、セシウムとトリチウムの濃度分析周期を現行の1~3カ月から隔週単位に短縮することにした。また、水産物の委託販売の80%以上を占める大型委託販売場43カ所に流通前の国内産の全魚種に対する検査システムの構築を進めることにした。政府与党はまた、水産業界に緊急経営安定資金を支援することにした。これらは福島原発汚染水対策に対する世論の不信感を意識した措置とみられる。韓国ギャラップが16日に発表した世論調査結果によると、福島原発染水の海洋放出問題に対する不満が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の職務遂行を評価しない理由の2位に挙げられた。
 民主党は批判を強めている。イ・ジェミョン代表は17日、仁川市の富平(ブピョン)駅近くで開かれた「福島原発汚染水の海洋投棄反対・糾弾大会」に参加し、「核物質にさらされ、それらを含んで流れる地下水は明白に核廃棄物だ」としたうえで、「(国民の力が)『核汚染水』だと(言った民主党関係者を)告発するというから、これからは『核廃水』と呼ばせてもらう。国民が任せた権力で国民をだまし、脅し、生命と安全を脅かす行為をするなら、国民の代理人の資格がない」と述べた。
 一方、政府与党は「釜山(プサン)回し蹴り強姦殺人未遂事件」を機に進められている重大犯罪者の身元公開の拡大に関する法案を速やかに法制化することにした。特に、既に党が検討した「女性・児童対象強力犯罪」などをはじめ「内乱、外患、テロ、組織暴力、麻薬」などの重大犯罪と、起訴された状態の被告人まで身元公開の対象に含めることにした。
カン・ジェグ、ソン・ヒョンス、ソン・ダムン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-18 23:25


「The Hankyoreh」 2023-06-19 05:58
■「海は日本の下水溝なのか」…韓国政府が沈黙する間に世界各国の反対論激化
 [ハンギョレ21] 
 フィジー・中国など周辺当事国、汚染水の放出に明確な反対の声
 
【写真】中国外交部の汪文斌報道官が定例会見を行っている/REUTERS

 「透明性に基づいて客観的かつ科学的な評価をした後に立場を決めることになるだろう」。
 韓米日安保室長会議出席のため6月14日に東京を訪問したチョ・テヨン大統領室国家安保室長は、羽田空港で記者団に対しこのように述べた。東京電力が6月12日、福島原発の核汚染水の海洋放出のための試運転に入ったにもかかわらず、従来の立場から一歩も変わらない発言だ。

 「それほど安全なら、なぜ汚染水を日本にとどめておかないのか」

 福島原発汚染水の海洋放出に明確な反対の意思を明らかにしない尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権とは異なり、周辺の当事国はますます声を高めている。6月3日、シンガポールで開かれた第20回アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)で、日本の浜田靖一防衛相を前に「それほど安全なら、なぜ汚染水を日本国内にとどめておかないのか」と問い詰めたフィジーのティコドゥアドゥア内務長官が代表的だ。中国も、日本政府が海洋放出の方針を公にした2022年7月以後「太平洋は日本の下水溝ではない」という表現を用いて、機会あるごとに反対の立場を明確にした。
 「福島原発汚染水の海洋放出は、全世界の海洋環境と公衆保健に関する問題であり、日本だけに限った問題ではない。日本側が内外の強い反対にもかかわらず汚染水の海洋放出を強行するなら、これは非常に無責任な行為であり、世界の世論の支持を得ることはできないだろう」
 中国外交部の汪文斌報道官は、6月14日の定例会見で「福島原発汚染水の放出は『国連海洋法条約』が規定した海洋環境保護および保存義務に違反する行為」だと述べた。これまで中国外交部が強調してきた汚染水海洋放出の反対論理は大きく4つにまとめられる。
 第一に、原発事故で作られた汚染水を人為的に海洋に放出した前例はない。したがって、これによる危険性も予測が不可能だ。
 第二に、日本側は十分な研究と実証を通じて最も安全な汚染水処理方案を設ける意思がなく、ただ経済的側面だけを考慮して海洋放出を決定した。隣国はもちろん、全人類に汚染水による危険と費用を転嫁しようとするも同然だ。
 第三に、国際原子力機関(IAEA)評価団は日本政府の要請により構成され、職務範囲が制限されている。汚染水の海洋放出自体を見るだけで、その他の汚染水処理方案を検討する権限はない。したがって、IAEA評価団の報告書は汚染水海洋放出の「免罪符」にはなりえない。
 第四に、専門家らは、福島原発汚染水は溶け出した原子炉の炉心に直接触れたため、数十個の放射性核種を含有しており、これらの核種の相当数はまだ効果的な処理技術がないと指摘している。一部の半減期が長い核種は、海流と共に広がり生物に濃縮され、自然環境の放射性核種総量を追加で増やし、海洋環境はもちろん人体にも予測不可能な危険を加重させかねない。
 中国外交部の毛寧報道官は今年5月23日の定例ブリーフィングで「海洋放出以外の汚染水処理対策を用意するために周辺国を含む利害当事者と十分かつ意味ある協議が必要だ。人類が予測不可能な危険を避けられるよう、日本政府は科学的で公開的、かつ透明で安全に汚染水問題を処理しなければならない」と強調した。
チョン・インファン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-18 18:16


「The Hankyoreh」 2023-06-17 09:12
■韓国政府、日本も行わない「汚染水不安解消」定例会見を毎日実施へ
 汚染水放出計画の安全性に対する懸念に積極的に釈明 
 「韓国の基準の2万倍は事実…そのまま放出ではない」 
 環境団体「そんな時間があるなら、まず影響の把握を」

【写真】国務調整室のパク・クヨン国務第1次長(右から4人目)が15日、政府ソウル庁舎別館で福島第一原発の汚染水放出に関する会見を行っている/聯合ニュース

 韓国政府は、日本による福島第一原発の汚染水の海洋放出に対する国民の不安を解消するためとして、15日から毎日定例会見を行う。
 国務調整室のパク・クヨン国務第1次長は15日、政府ソウル庁舎で行った「福島第一原発汚染水放出に関する定例会見」で「科学的事実にもとづいた情報を頻繁に提供することが必要だという判断に至り、定例会見を毎日実施することとなった」と語った。この日の第1回目の会見にはパク国務第1次長以外にも、海洋水産部のソン・サングン次官が発表者として出席したほか、原子力安全委員会のシン・ジェシク放射線防災局長をはじめとする政府関係者が多数参加した。
 この日の会見で政府は、日本の放出準備作業の進捗状況を説明するとともに、メディアに問題点として指摘された内容について積極的に釈明した。
 パク国務第1次長は、多核種除去設備(ALPS)による処理後も最大で基準値の2万倍の放射性物質が検出されるという報道について、「東京電力が公開している貯蔵タンクの汚染水の核種ごとの放射能濃度を示した資料で、ストロンチウムの濃度の最大値として、リットル当たり約43万3千ベクレルが検出されたという内容」であり、「この検出値が韓国の排出基準であるリットル当たり20ベクレルの約2万倍に当たる数値であることは事実」ではあるが、「基準値を超える汚染水がそのまま放出されるわけではない」と釈明した。パク次長は「日本はこのような汚染水が基準値を満たすまでALPSで浄化し、希釈後に放出すると表明している」と付け加えた。
 東電は汚染水の上澄みだけを試料として採取しているため代表性が足りないという一部の報道について、パク次長は「その試料は国際原子力機関(IAEA)の確証モニタリングのために採取したものではない、目的がまったく異なる試料採取だった」と釈明した。
 福島第一原発の汚染水放出によって被害を受ける漁業者への支援と、海洋環境汚染の回復を主な内容とする特別法案が、12日に国会に上程されたことに関して、海洋水産部のソン・サングン次官は「まだ発生していない被害に対する補償と回復を議論するのは時期尚早」だとし、否定的な立場を明らかにした。ソン次官は「特別法の制定議論は、現段階では慎重な検討が必要だと考えられる」として「韓国の水産物に対する国民の不安を軽くし、怪談などの市場かく乱行為によって水産業界に被害が発生しないようにすることが順序としては先だ」と語った。
 政府は「定例会見は、国民の不安が十分に解消されるまで週末を除いて毎日実施する予定」だと明らかにした。しかし、放出を準備している肝心の日本政府や東電は、このような毎日の会見を行っていない。これについて、環境運動連合のアン・ジェフン活動処長は「日本政府を代弁する内容の会見を毎日実施するというのは、韓国政府のなすべきことなのか」とし「そのような時間にむしろ汚染水放出の影響を把握した方が良いだろう」と述べた。
キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-15 19:07


「The Hankyoreh」 2023-06-17 07:32
■福島原発汚染水を処理するALPS、昨年も故障…10年間で8回も
 韓国政府の定例会見 
 「汚染水が海洋放出されても水産物の輸入禁止は維持」

【写真】パク・クヨン国務調整室国務第1次長が16日、政府ソウル庁舎別館で開かれた福島原発汚染水放流関連の定例会見で、記者の質問に答えている/聯合ニュース

 韓国政府は16日、福島原発事故の汚染水を処理する多核種除去設備(ALPS)で最近まで10年間、計8回の故障が発生したと明らかにした。
 パク・クヨン国務調整室国務第1次長は同日、政府ソウル庁舎で行った「福島原発汚染水海洋放出に関する定例会見(毎日実施)」で、ALPSと関連し、「2013年6月に設置して以来、昨年7月まで8回の故障があったことは視察団が資料を要請して受け取った内容であり、事実だ」と述べた。政府が構成した福島原発汚染水視察団は、先月31日、活動結果報告でALPSの主な故障事例や措置事項などの資料を確保し精密分析していると明らかにした。
 原子力安全委員会のシン・ジェシク放射線防災局長は、故障の具体的な類型と位置に対する質問に「腐食が2013年と2014年に2件あった。フィルター関連では2014年から2020年まで4件、2021年度に1件、(昨年)定期点検の時も1件あった」と答えた。
 ALPSで最近まで故障が発生したことは、ALPSが長期間にわたり安定的に運営されるかについて徹底した検証が必要だという主張を裏付けている。これに関してパク国務第1次長は「視察団が詳細資料を受け取って分析を行っており、これに加えて定期点検の項目や設備維持管理計画などもさらに確保し、ALPSが長期間にわたり安定的に運営される可能性がどれくらいあるかについて詳しく分析している」とし、「結果は最終報告書発表の際に含まれる計画」だと語った。
 同日の定例会見でソン・サングン海洋水産部次官は、汚染水が海洋放出されれば福島を含む近隣8県の水産物輸入禁止措置も解除されるという一部の懸念について、「水産物の輸入禁止措置は原発汚染水の海洋放出問題とは全く違う問題」だと述べた。
 2011年の福島原発事故による大規模な放射性物質流出以後、韓国政府は福島を含む近隣8県の水産物に対して輸入禁止措置を取ってきた。ソン次官は「福島付近で基準値以上の放射能に汚染された水産物が今のように発生する限り、絶対に(当該地域の)水産物の輸入はしない。福島地域が放射能から安全だと科学的に立証され、国民が安全だと感じるまで、政府は輸入禁止の解除を検討しない」と述べた。
 一方、政府の汚染水関連の定例会見について、マスコミと野党などから日本政府を代弁するものだと指摘されていることについて、パク国務第1次長は「定例会見を始めた目的は国民により正確な情報を伝え不安を解消するため」だとし、「そのような目的なら、こうした定例会見はできるだけ多くの形で繰り返し行うのが良いと判断した」と述べた。
キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-16 23:23


「The Hankyoreh」 2023-06-16 10:47
■[寄稿]福島原発汚染水「怪談」、2021年vs2023年
 ソ・ボクキョン|ザ・可能研究所代表

【写真】東京電力が福島第一原発に保管中の放射性物質汚染水の海洋放出の設備試運転を開始した12日午後、国会前で「日本による放射能汚染水の海洋投棄阻止のための第2回全国行動の日全国漁民大会」が開かれている=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 6月12日、日本の東京電力が福島原発汚染水を海洋放出するための試運転を開始した。同日、ハン・ドクス首相は、国会の対政府質疑で「行き過ぎた虚偽の事実の流布などによって水産業従事者が被害を受けることが生じた場合、司法当局が適切な措置を取る」と述べた。13日、与党「国民の力」の蔚山市(ウルサンシ)党支部は「汚染水を『核汚染水』と表現したことによって(…)悪意の怪談を流布した(野党)共に民主党の蔚山市党支部の者に対して『虚偽の事実流布』容疑で警察に告発措置を取る方針」だとする声明を出した。14日、国民の力のキム・ギヒョン代表は、フェイスブックに「(共に民主党の)イ・ジェミョン代表と共に民主党が、狂牛病怪談の扇動専門のデモ軍団と手を結び、国民を相手にまたしても非科学的な怪談を作っている」と書いた。
 2023年、政府と与党は、差し迫った汚染水の海洋放出に対する野党や市民団体、漁業者ら利害関係者の批判と懸念に対して、「怪談」あるいは「虚偽の事実」とレッテル張りをし、必要ならば法的制裁も加える方針のようだ。ところが、その基準によると、与党のキム・ギヒョン代表とチョ・テヨン国家安保室長、パク・チン外交部長官ら現政権の関係者たちの2021年の考えは「怪談」なのか、そうではないのだろうか。
 「日本政府は、2021年4月13日、福島原発の汚染水の海洋放出決定を突然発表した。(…)日本政府は、汚染水はきれいで安全に処理されると主張しているが、汚染水の成分に対する透明性が足りず、処理過程に対する科学的検証が不十分で、国際社会が強く懸念している。福島原発汚染水には、人体に致命的となるトリチウムをはじめとする60種類ほどの放射性物質が含まれているが、完全な除去は難しいとするのが専門家らの意見だ。(…)福島原発汚染水の海洋放出は、人類と未来世代の生命と健康に直結する問題であり、海洋生態系の安全と水産業界の生存にかかわる重大な事案だ。したがって、科学的根拠と透明な手続きをともなう、徹底した検証と安全性の確保が必須だ(「日本政府の『福島放射能汚染水』放出決定糾弾および原発汚染水の安全性確保のための大韓民国政府の積極的な対策要求決議案」キム・ギヒョン議員ら16人発議、2021年4月29日)。

【写真】12日午後、国会前で「日本の放射能汚染水の海洋投棄阻止のための第2回全国行動の日全国漁民大会」が開かれている=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 「放射能汚染水」と表現すれば「怪談」ではなく、「核汚染水」と言えば「怪談」になるのか。「60種類ほどの放射性物質の完全な除去は難しい」とする専門家らの意見を受け入れた2021年のキム・ギヒョン党代表ら国民の力の議員たちの考えは「科学的意見」であり、2023年に「東京電力の汚染水処理は安全だとは信じがたい」とする野党や市民の意見は「非科学的な怪談」なのか。2021年に日本政府の放出決定を糾弾したことは怪談ではなく、2023年に糾弾をすれば怪談になるのか。いったい政府と与党の「怪談」の基準は何なのか。
 過去2年間、東京電力の汚染水処理技術に画期的な発展があったという根拠はない。政府と与党は7月、「国際原子力機関(IAEA)の最終報告書が出てくれば、客観的根拠が用意される」のだから、その前に様々な批判をすることは「怪談」や「虚偽の事実」に該当するとみなしているようだが、そうした観点であれば、IAEAの最終報告書がいつ出てくるか分からなかった2021年の国民の力の議員たちの決議案こそ、「怪談」ではないだろうか。

【図】「日本政府の『福島放射能汚染水』放出決定糾弾および原発汚染水の安全性確保のための大韓民国政府の積極的な対策要求決議案」(キム・ギヒョン議員ら16人発議)に名を連ねた16人の名前=国会議案情報システムよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 2021年以降、日本政府が「科学的根拠と透明な手続きにともなう徹底した検証および安全性確保」を行ったのかどうかについては、見る観点によって立場が違う。キム・ギヒョン党代表らが、2年前とは違い、日本政府と東京電力の「放射能汚染水」処理を「科学的に」信頼できるようになったとすれば、国会やメディアのインタビューなど様々な空間で、根拠を挙げて野党や市民を説得すべきであり、「怪談」や「虚偽の事実」とレッテル張りをして告訴・告発を乱発し、興奮することではないのではないか。
 科学的根拠を持って論じなければならないという主張は、一見妥当にみえる。だが、国内外の科学者の関連の主張自体が多様かつ対立しており、一つの結論に至ることができないのが現実だ。日本社会ですら反対意見が優勢な状況であるにもかかわらず、韓国市民が不安を感じることがおかしなことなのか。
 「不思議で奇妙な話」。「怪談」の辞書での定義だ。汚染水処理や海洋放出の安定性と今後及ぼす影響について、何一つ明らかなことはないが、何より先に「怪談」や「虚偽の事実」と断定する韓国政府と与党の話のほうが、私の耳にははるかに「怪談」に聞こえる。
ソ・ボクキョン|ザ・可能研究所代表 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1096088.html
韓国語原文入力:2023-06-15 18:46


「The Hankyoreh」 2023-06-16 08:23
■[コラム]良心を汚染水で薄めて捨てようとしている日本政府
 チョン・ナムグ|論説委員

【写真】日本の放射性物質汚染水海洋投棄阻止ソウル行動のメンバーが15日午後、ソウル西大門区の西大門駅近くから出発し、放射能汚染水放出中止を求めるパフォーマンスを繰り広げながら鍾路区の在韓日本大使館に向かって行進している=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 建物の同じ階にある他のオフィスで誰かがタバコを吸っているので消してほしいと言ったら、次のような返事が返ってきたという話を聞いた。
 「ここで私がタバコを1箱ほど吸ったからといって、あなたが受動喫煙でがんになるわけでもあるまいし」。
 福島第一原発で生じた放射能汚染水を今後数十年にわたって福島沖に捨て続けるという日本の態度は、まるでこの人のようだ。日本は遠からず汚染水投棄を強行すると思われる。その日、日本政府はどうにかコップ1杯分ほど残っていた良心すら、汚染水で薄めて捨ててしまうだろう。
 2011年3月に起きた福島第一原発事故は現在も進行中だ。原発1~3号機の1496本の燃料棒に入っていた核燃料は一部燃焼し、セシウムなどの核分裂生成物質が原子炉内に閉じ込められていたが、原子炉が損傷したことで大量に大気中に流出した。かなりの量が風に乗って飛んでゆき、世界中にばらまかれた。
 原子炉内で溶け落ちた核燃料の残骸は地下水を汚染している。高濃度の汚染水が、一時は1日に300トンも海に流れ込んでいた。漏れた総量がどれほどなのかは誰にも分からない。史上最大の海洋放射能汚染を引き起こした1983年の英ウィンズケール再処理施設の放射性廃液流出事故より、はるかに多いだろう。福島沿岸では今も半減期の長いセシウムにひどく汚染された魚がとれる。
 東京電力は汚染水をタンクに貯蔵してきた。汚染水を吸着装置サリー(SARRY)でろ過してセシウムやストロンチウムを除去し、続いて多核種除去設備(ALPS)でろ過してトリチウム(三重水素)以外の管理対象核種を排出基準値以下になるまで除去しているという。炭素14は平均で基準値の40分の1ほどになるというから除くとしても、トリチウムをまったく除去できていない汚染水は「事故によって発生した放射性廃棄物」に過ぎない。それを改めて海に捨てることは、原発事故で人類に大きな被害を与えたことに対する一握りの責任感さえ忘れ去った行為だ。
 汚染水にはトリチウムが1リットル当たり平均68万ベクレル(1ベクレルは1秒間に崩壊する原子核の個数、およびその際に放出される放射線の本数)含まれている。日本の排出基準値であるリットル当たり6万ベクレルの10倍を超える。国際放射線防護委員会(ICRP)は放射線被ばく量を「社会的・経済的な諸要素を考慮して合理的に達成可能な最低の値にする」(As Low As Reasonably Achievable)という原則の下、一般人の被ばく量を年間1ミリシーベルト以下にするよう勧告している。リットル当たり6万ベクレルは、それが含まれた水を1年にわたって1トン飲んだら、被ばく量が1ミリシーベルトに迫る放射能濃度だ。1ミリシーベルトは1万人に1人の割合でがんによる死亡者が発生すると考えられる水準だ。交通事故の死亡率と似たような「その程度の危険は受け入れよう」という意味の込められた数値であるに過ぎず、「安全」を保障する数値ではない。
 日本政府はトリチウムを含む汚染水に50倍ほどの海水を混ぜ、濃度をリットル当たり1500ベクレル未満にまで下げて捨てるという。海水で薄めようというのなら、そもそも高濃度の汚染水も基準値以下にするのはとても簡単だ。地球の海水の総量は136京トンで、130万トンの福島第一原発の汚染水を1兆分の1にまで希釈できるほど大量にあるからだ。「基準値以下だから大丈夫」という言い草は「海はとても大きいから、人間の生活を脅かすほど汚染するにはほど遠い」という暴言に他ならない。
 日本政府は汚染水投棄をやめるべきだ。日本にとっては金のかからない解決策かもしれないが、隣国にとっては何の利益もなく、危険のみを甘んじて受け入れよと要求する権利は日本にはない。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領、政府、与党国民の力は日本政府をかばいだてするのに必死だ。尹大統領の「(福島第一原発では)放射能漏れはなかった」とか「(原発の)安全を重視する官僚的な思考は捨てるべきだ」などの発言との一貫性はあるが、一体どの国の政府なのか。
 私は西海(ソヘ)の塩と南海(ナムへ)の刺身はこれからも食べ続けるつもりだ。汚染水を考えた時の気の重さより、食べられないもどかしさの方がはるかに大きいだろうから。だが、我々が人類共同の資産である海をいかに破壊しているかを考えるとめまいがする。福島第一原発の汚染水に含まれるトリチウムは900兆ベクレルほど。世界各国の原発からは、1カ所当たり年に多くて100兆ベクレルのトリチウムが排出されてきた。英国、フランス、日本の使用済み核燃料再処理施設は、原発の数倍から数百倍の量を排出する。重金属や化学物質、マイクロプラスチックによる汚染は放射能より深刻だ。生命は海から誕生したのにもかかわらず、人類は海を破壊している。

チョン・ナムグ|論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1096106.html
韓国語原文入力:2023-06-15 16:24
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