「The Hankyoreh」 2023-12-30 07:22
■福島原発汚染水7800トン、海へ…4回目の放出始まる
来月16日まで
【写真】福島第一原発敷地タンクに保管中の放射性物質汚染水/聯合ニュース
日本の東京電力が福島第一原発の放射性物質汚染水の4回目の海洋放出を始めた。
東京電力は28日午前11時11分頃、気象状況など問題がないとし、汚染水を海に放出したと発表した。今回の放出は1~3回目と同様、17日間で約7800トンを原発の沖合に流す予定だ。福島原発汚染水の1回目の放出は昨年8月24日に始まり、3回目の放出は昨年11月20日に終了した。
東京電力は3回にわたる放出を通じて汚染水約2万3351トンを処理し、今回の4回目まで合わせると計3万1200トンになる。
東京電力は今年4月から来年3月まで7回にわたって5万4600トンの汚染水を放出する計画だ。1回当たりの放出量は現在のように7800トンだ。東京電力は「これまで処理水の放出による問題は確認されていない」と説明した。
国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は来月12~14日に来日し、福島第一原発を視察する。汚染水を海に放出してから半年を迎え、現地の状況を確認する予定だ。
東京/キム・ソヨン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-02-28 19:47
「The Hankyoreh」 2024-02-28 07:24
■「処理水ではなく汚染水」所信発言で逆風…日本企業の会長が辞任
日本の食品流通会社「オイシックス」の創業者
市民の会を設立した環境・生協運動第1世代
【写真】有機農食材などの宅配サービスを行う大手食品流通会社の「オイシックス・ラ・大地」は、ホームページにて声明を出し、藤田和芳会長が辞任の意思を明らかにし、22日付で会長職の辞任を決めたと、最近発表した。写真は、オイシックスの藤田和芳前会長=読売新聞よりキャプチャー//ハンギョレ新聞社
日本が28日から福島第一原子力発電所の汚染水の4回目の放出を始める中、日本の大手食品流通会社「オイシックス・ラ・大地」(以下オイシックス)の会長であり創業者が、原発汚染水を日本政府が表現する「処理水」と表現しなかったとの理由で批判を受け、自ら辞任した。
オイシックスは最近、ホームページに声明を出し、藤田和芳会長が辞任の意思を明らかにし、22日付で会長職の辞任を決めたと発表した。オイシックスは有機農食材などを宅配サービスする日本の大手食品流通会社だ。
藤田前会長の辞任の発端となったのは、「放射能汚染水」発言だった。これに先立ち、藤田前会長は10日、X(旧ツイッター)への投稿で、「本当は『放射能汚染水』なのに、(日本の)マスコミはその水を『処理水』と呼んでいる」と書いた。12日にもXに「東京電力は、福島原発の放射能汚染水を海に流し始めた。今ある汚染水を海に流し終えるまでは、さらに20年かかるという」という文を投稿した。この投稿は現在削除されている。
【写真】有機農食材などの宅配サービスを展開する大手食品流通会社オイシックスは最近、ホームページに声明を出し、藤田和芳会長が辞任の意思を明らかにし、22日付で会長職の辞任を決めたと発表した=オイシックスのホームページより//ハンギョレ新聞社
藤田前会長は1975年に「大地を守る市民の会」を設立した環境運動と生協運動の第1世代。投稿が波紋を広げたことを受け、藤田前会長は13日、Xに「『汚染水』という表現は風評被害を拡大する恐れがあるため、『処理水』に訂正する」と釈明したが、日本国内の反発は収まらなかった。
日本のネットユーザーは「恐怖を煽る」、 「デマに加担するのは恥ずかしいことだ」などの反応を示した。一方、一部の日本のネットユーザーは「汚染水は汚染水だ」、「処理したというが、依然として放射性物質に汚染された水だ」、「処理水という曖昧な表現で汚染されていないように人々に誤解を与える方がさらに問題だ」など、藤田前会長の発言に同調する姿を見せた。
【写真】日本の福島第一原子力発電所の敷地に保管されている汚染水タンクの様子/AP・聯合ニュース
これについて、オイシックスは「当社会長の藤田和芳が、2024年2月12日にXにて投稿した不適切な発言により、不必要な風評被害を引き起こす可能性があったことを受け、懲戒委員会が開催された」とし、「審議の結果、本年度末(2024年3月末)で停職処分となったが、その結果を受け、藤田本人が責任の重さを自身で判断し、辞任の申し出があった」と説明した。オイシックスは「本件により、多くのみなさまに多大なるご迷惑とお心配をおかけしてしまったことに対して、藤田への監督責任を明確にするために、当社社長取締役社長、高島宏平社長については、本年度末までの役員報酬の10%を自主返納の申し出があった」と付け加えた。
一方、日本の東京電力は福島第一原発の汚染水の4回目の海洋放出を28日から開始する。東京電力は1~3回目の放出同様、今回も17日間、汚染水約7800トンを福島第一原周辺海域に流す計画だ。
チョ・ユニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-02-27 14:29
「The Hankyoreh」 2024-02-21 13:00
■日本の原子力専門家 「汚染水放出を止め、独立的な監査機構作るべき」
福島第一原発の放射能汚染水放出から6カ月
長崎大学の鈴木達治郎教授インタビュー
【写真】長崎大学核兵器廃絶研究センターの鈴木達治郎教授=長崎/キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社
「日本政府はひとまず放出を中断し、利害関係者が信頼できる『独立的な監査機構』を作らなければならない」。
日本の福島第一原発の放射能汚染水の海洋放出から今月24日で丸6カ月になる。福島第一原発の運営会社である東京電力はこの6カ月で汚染水2万3400トンを海に注ぎ込んでおり、このような汚染水放出は今後少なくとも30年は続く予定だ。
今月14日、長崎大学でハンギョレのインタビューに応じた日本の原子力専門家で、長崎大学核兵器廃棄研究センター所属の鈴木達治郎教授は、昨年8月24日から始まった福島第一原発の汚染水の海洋放出について「これは単純に科学・技術的問題ではないという点を認識しなければならない」とし、「過程に対する信頼がなければ、東電がデータを根拠にいくら説明しても信じられなくなる」と強調した。また「原発事故で溶けた核燃料に触れた汚染水を多核種除去設備(ALPS)で浄化し、海洋に長期間放出することは、これまで前例のないことだ」とし、長期的影響に懸念を示した。
鈴木教授は2010年から2014年まで内閣府原子力委員会委員長代理を務めた、日本を代表する原子力の専門家だ。2011年の福島第一原発の放射性物質流出事故後の収拾過程にも参加した。
教授は汚染水の放出開始から1カ月後の昨年9月、米国の著名な学術誌「原子力科学者会報」(Bulletin of the Atomic Scientists)に「なぜ日本は福島原発廃水の海洋放出を止めなければならないのか(Why Japan should stop its Fukushima nuclear wastewater ocean release)」という題で寄稿するなど、この問題を国際社会に公論化した。
◆-今月24日には福島第一原発の汚染水の海洋放出が始まってから6カ月になる。これまで約2万3400トンの汚染水が放出された。日本政府と東京電力、国際原子力機関(IAEA)は、安全に問題がないと主張する。
「まず明らかにすべきことは、今海洋に放出される処理水は他の原発から放出されているトリチウム水とは異なる点だ。基準値未満ではあるがセシウム、ストロンチウム、ヨウ素など放射性核種を含んでいる。正常稼動する他の原子力発電所から出るトリチウム水では他の核種が含まれることはまれだ。このような処理水が30~40年間放出される場合、海洋環境と生物体にどのような影響を与えるかは不確実だという意見がある。ハワイ大学ケワロ海洋研究所のロバート・リッチモンド所長はナショナルジオグラフィックに『汚染水の海洋放出は国境を越えて世代を越えた事件だ。これが太平洋を取り返しのつかないほど破壊するとは思わないが、だからといって心配する必要がないという意味ではな』と述べた。私が海洋学者ではないので詳しくは分からないが、この意見に共感する」。
◆-日本を代表する原子力の専門家が、著名な米国の専門誌に「日本は放射能汚染水の放出を止めなければならない」という文を寄稿したので驚いた。
「6カ月が経った今も、ALPS処理水の放出をめぐり、賛成と反対に焦点を合わせた論争が日本内外で続いている。日本政府と東電はトリチウム水だから大丈夫だと主張するが、いろいろな疑問を持っている。最近ようやく西村経済産業相も国会で認めたように(2023年9月)、原発事故で溶けた核燃料に触れた汚染水を多核種除去設備(ALPS)で浄化し、海洋に長期間放出することは、これまで前例のないことだ。この問題を巡り賛否を跳び越え、どうすれば『科学が信頼を得られるか』について討論し、新しい解決法を用意する機会にしたかった」。
◆-汚染水の安全性を議論する際に信頼の問題もあるようだ。例えば不信を解消するために韓国など多くの国が直接汚染水の試料採取を要求しているが、東電は拒否している。
「日本政府や東京電力が今回の放出が単純に科学・技術的な問題ではないという点を認識しなければならない。放出に反対するからといって、科学的知識が足りないと考えてはならない。核物理学者アルビン・ワインバーグ(Alvin Weinberg)の用語を借りれば、処理水の放出は『科学で質問できるが、科学だけでは答えられない問題』を意味する典型的な『トランスサイエンス』(科学を超越する)の事例だ。データが全てではないということだ。それが出てくる過程に対する信頼がなければ、東電がデータを根拠にいくら説明しても信じられなくなる。試料採取を拒否する理由はわからないが、拒否するのであれば、その理由をきちんと説明すべきであり、単なる拒否は透明性を落とす行為とみられ、不信が大きくならざるを得ない」。
【写真】福島第一原発の敷地内のタンクに保管されている放射性物質汚染水/聯合ニュース
◆-汚染水の安全性に直接影響を与えるALPSの性能も議論を呼んでいる。
「2018年8月、福島第一原発のタンクに保管中の汚染水の約70%で、セシウム・ストロンチウム・ヨウ素などの放射性物質が基準値以上含まれているということが日本メディアによって暴露され衝撃を受けた。それまでALPSで1次浄化してトリチウムを除いた大部分の核種は検出限界値未満という説明をしてきたためだ。『汚染水』のリスクを低減し、ALPSの性能を確認するために、まずは『汚染水(処理途上水)』をきれいにする作業が優先されると考える。30~40年を浄化しなければならないが、ALPSの性能は心配だ」。
◆-信頼を回復するためには何が必要か。
「日本政府がひとまず放出を中断し、利害関係者が信頼できる『独立的な監査機構』を作らなければならない。同機構は、福島第一原発の廃炉問題を点検する中で、処理水の放出も同時に扱わなければならない。海洋放出の理由の一つが廃炉のための作業空間の確保だ。現在、廃炉(特にデブリ取りだし)の時期や実現可能性も分からない状況で『なぜ今放出しなければならないのか』という説明が不十分だ。処理方式を決める過程も疑問だ。複数の対策の中で海洋放出を選択した理由が明確ではない。それぞれの方策による安全性だけでなく、地域や周辺国への影響、環境問題などを比較したものはない。このような部分まで監督機構で包括的に扱わなければならない。国会を中心に多様な分野の専門家たちが参加する機構を作った方が良さそうだ。処理水の放出に対する信頼を高めるためには、『科学的論理』を越えなければならない」。
◆-日本政府は「独立的な監督機構」より国際原子力機関(IAEA)に力を入れるようだ。
「IAEAの総合報告書が役に立つだろうが、今後30~40年間続く海洋放出全体計画を検討したわけではない。日本政府が要請した範囲内で、東京電力が提供した一部の試料だけを検証した。実際、IAEAのラファエル・グロッシー事務総長は報告書の序文で『今回の検討が(日本政府の)政策に対する勧告や支持ではない』と明らかにした。また、今回の報告書にはIAEA一般安全指針(GSG-8)に明示された『その行動で個人と社会に予想される利益がその行動による害悪より大きくなければならない』という原則をまともに検証しなかった。IAEAの報告書もその点を認めている。短期的な安全性だけではなく、長期的・包括的な評価ができる監査機構がやはり必要だ」。
長崎/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
韓国語原文入力:2024-02-21 09:33