三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

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アマゾン伐採面積31%減 ブラジル新大統領就任5か月で

2023年06月09日 | 国家・社会
「AFP」 2023年6月8日 15:56 発信地:リオデジャネイロ/ブラジル
■アマゾン伐採面積31%減 ブラジル新大統領就任5か月で

【写真】ブラジル・アマゾナス州ラブレア上空から撮影したアマゾンの熱帯雨林。 左は火災で焼失した一帯(2022年9月17日撮影、資料写真)。 (c) MICHAEL DANTAS / AFP
【写真】火災が発生したブラジル・アマゾナス州ラブレアのアマゾン熱帯雨林(2022年9月17日撮影、資料写真)。 (c) MICHAEL DANTAS / AFP 
【写真】ブラジル・アマゾナス州を流れるマニコレ川の上に広がる星空(2022年6月7日撮影、資料写真)。 (c) Mauro PIMENTEL / AFP

【6月8日 AFP】ブラジル当局は7日、アマゾン(Amazon)熱帯雨林の伐採面積が、ルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ(Luiz Inacio Lula da Silva)大統領就任後の5か月間で前年同期に比べ31%減少したと発表した。
 ルラ大統領は今年1月1日に就任。 国立宇宙研究所(INPE)の人工衛星を用いたリアルタイム森林破壊監視システム「DETER」によると、1~5月の伐採面積は1986平方キロと、前年同期の2867平方キロから縮小した。
 左派のベテラン政治家であるルラ氏は、違法伐採の根絶に向け闘うと公約している。
 アグリビジネスを推進していたジャイル・ボルソナロ(Jair Bolosonaro)前政権の下では、年平均の伐採面積はそれまでの10年間と比べ75%以上増加していた。 
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「「広島への原爆投下は民間人攻撃を禁止する国際条約違反」韓国で国際討論会開催」

2023年06月09日 | 国家・社会
「The Hankyoreh」 2023-06-09 08:02
■「広島への原爆投下は民間人攻撃を禁止する国際条約違反」韓国で国際討論会開催
 米国の原爆投下の責任を問う民衆法廷に向けた国際討論会 
 慶尚北道星州で開かれ 
 「原爆投下の反人道性に関する認識共有すべき」

【写真】広島平和記念公園の近くにある「広島原爆ドーム」。1915年に商業展示館として建てられたこの建物は、1945年8月6日の原爆投下により破壊され、辛うじて建物の形をとどめている。1996年ユネスコ世界遺産に登録された=キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社

 1945年8月6日、広島に原子爆弾を投下した米国に対し、責任を問う専門家たちの声が韓国で開かれた国際討論会場であがった。尹錫悦(ユン・ソクヨル) 大統領が先月、日本の広島を訪問し、韓国人原爆被害者たちに会って慰労したが、韓国では原爆を投下した米国の責任を問う声はあまり聞こえなかった。
 翰林大学のイ・サムソン名誉教授(政治学)は7日、慶尚北道星州(ソンジュ)で開かれた「韓国原爆被害者を原告として米国の核兵器投下の責任を問う国際民衆法廷の第1回国際討論会」で、「多くの韓国人は、1945年8月の日本への原爆投下が正義に基づいた目標に寄与したことから、必要悪として正当化されうると考えている」と述べた。
 イ教授は、「(原爆投下が)韓国の独立を早めて植民地支配による韓国人の苦しみを終わらせたという認識が韓国では広く根付いている」とし、「絶対多数の韓国人にとってそれ自体として正当な価値と認識されるこのような結果が、広島と長崎の非武装の民間人数十万人の死や、さらに数十万人の被爆者としての苦しい生活、韓国人5万人の犠牲や苦しみを相殺する道徳的根拠になりうるのか」と問いかけた。
 イ教授は、広島と長崎の数十万の民間人の犠牲という巨大な反人道性を神様の贈り物や祝福と同一視する巨大な逆説をもとに、核保有主義(nuclearism)が誕生し、ロシアとウクライナを含むこんにちの世界、東アジア、その中でも特に朝鮮半島の分裂した両国と社会を苦しく締め付けていると主張した。核保有主義とは、核兵器を人類の持続可能な生存を脅かす怪物ではなく、巨悪を懲らしめて安全を守る平和の兵器とみなす考え方だ。
 さらに「核兵器に依存し、さらには、核兵器の先制使用をノーマルな安保戦略の一つとして掲げる言説が圧倒的なものになりつつあるこの危険な現実に立ち向かう我々の取り組みにおいて、広島と長崎への原爆投下の反人道性に対する認識の共有は、不可欠で大切な出発点」だと語った。
 同討論会に発題者として参加したブリュッセル自由大学のエリック・デビッド教授(国際公法)は、広島と長崎の原爆投下が1945年当時、民間人への攻撃▽不要な苦痛を引き起こすよう考案された兵器または物質の使用▽人道法と公共の良心に反する化学兵器および戦闘手段の使用を禁止する国際条約規則に違反したものだと主張した。デビッド教授は「1945年当時には戦時に核兵器そのものの使用を禁止する明示的表現が全くなかったことは非常に明確な事実だが、当時施行されていた条約国際法が広島と長崎の原爆投下に適用されないという意味ではない」と説明した。
 国際討論会を開催した原爆国際民衆法廷実行委員会は、1945年に広島と長崎に原爆を投下した米国の責任を問う国際民衆法廷を2026年にニューヨークで開く予定だ。そのための準備過程として、今回を含め3回ほど国際討論会を開催する予定だ。

クォン・ヒョクチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-08 19:28
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国連「脱北女性の地位・人権処遇の正常化を」…中国に初めて勧告

2023年05月31日 | 国家・社会
「中央日報日本語版」 2023.05.31 09:25
■国連「脱北女性の地位・人権処遇の正常化を」…中国に初めて勧告
 国連機関が人権を蹂躙される脱北女性の地位を正常化し、不法滞在を理由に取り締まりを行わないように中国に初めて勧告した。
 30日(現地時間)、国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は最近、中国内の女性人権に対する定例検討を行った後、報告書をまとめて「中国が性的搾取と強制結婚などを目的に北朝鮮の女性および少女が入ってくる目的地国家になったという点に懸念を表する」と明らかにした。
 CEDAWは1979年12月に採択された女子差別撤廃条約を当事国が履行するかを監督する機構で、4年ごとに各国の報告書を審議する。
 報告書によると、CEDAWは脱北女性と少女たちが「不法移住者」に分類され、一部は強制送還されているという点にも懸念を示した。
 また「北朝鮮女性が中国で生まれた子供は産婦が北朝鮮に追放される危険にさらされなければ現地で出生登録ができないため、出生および国籍登録、教育および医療に関する権利を剥奪されているという点を懸念して指摘する」と述べた。
 これを受け、CEDAWは北朝鮮から入ってきた女性の地位と人権処遇を正常化することを中国当局に勧告した。
 特に「人身売買の被害を受けた北朝鮮女性と少女たちが移民法違反で処罰されずに臨時居住の許可と医療・心理社会的相談・教育サービス、代替所得の機会、リハビリプログラムなど基本的な社会サービスを享受できるように保障しなければならない」と明らかにした。
 また「国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)と人道主義団体が北朝鮮の人身売買被害者に妨害されずに接近できる権限を提供しなければならない」と呼びかけた。
 さらに、「中国市民と(自発的に)結婚したり(強制または未申告の結婚過程で)子供を持つようにになったりした北朝鮮女性の地位を正常化し、子供の出生届と中国国籍の取得ができるように保障しなければならない」と勧告した。
 一方、中国は今回のCEDAWで脱北女性問題について「ほとんどが金儲けのために中国に来た人々であり、人身売買などとの関連性を認めることは難しい」という旨で答弁し、彼らの人権侵害問題を認めなかった。
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「TV司会者の降板が示したオーストラリアの素顔…「多文化」の裏の人種主義」

2023年05月26日 | 国家・社会
「The Hankyoreh」 2023-05-25 08:20
■TV司会者の降板が示したオーストラリアの素顔…「多文化」の裏の人種主義

【写真】オーストラリア放送局(ABC)の先住民出身の時事番組司会者スタン・グラント氏が人種主義を告発して降板し、同僚のジャーナリストたちが「私はスタンを支持する」と書かれた紙を掲げ彼を支持する集会を開いている=シドニー/AP・聯合ニュース

 オーストラリア先住民出身のジャーナリストが「不当な人種主義の非難を受けた」として放送番組を降板し、同国をめぐる古い人種主義の論議が加熱している。
 公共放送「オーストラリア放送協会」(ABC)の時事番組「Q+A」の司会者スタン・グラント氏は、英国王チャールズ3世の戴冠式の報道の際にかつて英国がオーストラリア先住民に加えた暴力について言及した後、「情け容赦のない」人種主義的な非難を受けたと述べた。強いショックを受けたグラント氏は、現在放送中の番組を降りる意向を表明した。
 グラント氏は22日の番組の最後に出て、SNSやいくつかの保守メディアが自身を歪曲したとし「私たちの家族を苦しめた人たちに伝える。あなたたちの目標が私に傷を与えるためのものであるのなら、成功した」と述べた。グラント氏は「社内の誰も、戴冠式の報道に参加してほしいと要請した人たちも、公開の場で私を守る発言をしなかった」とも明らかにした。
 オーストラリア先住民のウィラジュリ出身であるグラント氏は、1992年に先住民として初めてオーストラリアのプライムタイムの時間帯に放送される番組の司会者となり、注目された。その後、CNNやアルジャジーラなどを経て、2019年にふたたびABCに戻り活動してきた、約30年のキャリアを持つジャーナリストだ。
 グラント氏は今月初め、英国王チャールズ3世の戴冠式を報道し、かつて英国が王の名のもとにいかにして先住民を「抹殺するための戦争」を宣言したのかについて説明した。あわせて「(戴冠式の行事は)遠くで繰り広げらえている私たちと無関係のものではなく、重量感のない儀礼行為でもない」としたうえで、この行事が「先住民には重く受け止められる。王冠の重さが今でも私たちを圧迫しており、私たちはそれに耐えている」と述べた。
 放送後、内容が過度に批判的だとする視聴者の不満が殺到した。ある有名なラジオ司会者は、放送内容が「完全に雰囲気を誤った方向に導き、憎しみに満ちている」と批判した。「むだな不平不満を並べたもの」や「罵り」だと非難する意見もあった。
 オーストラリアは自らを多文化社会だと語る。だが、多様性という観点で政府、メディア、放送界の構成を見ると、欧州や米国など他の西側社会に比べはるかに遅れていることがわかる。英国BBCは、2022年の調査を引用して、オーストラリアのテレビ放送記者と番組司会者の70~80%が英国系文化圏の出身だと報じた。
 グラント氏の降板は、オーストラリア社会の人種主義にふたたび大きな警鐘を鳴らしている。同僚のジャーナリストは「私はスタンを支持する」として抗議集会を開いた。先住民のヌンガ出身のテレビジャーナリストのナレルダ・ジェイコブス氏は「今回のグラントの事例は、先住民出身のジャーナリストが主流の見解に挑戦するためには、いかに高い代価を支払わなければならないのかをよく示している」とし、「この国メディアはバランスを失っており、グラントがこれを正そうとしたが攻撃された」と述べた。
 ニューヨーク・タイムズは、今回の事態は、先住民の血が染みついたオーストラリアの歴史が今でも現実に影響を及ぼしていることを示すものだと報じた。ABCは今回の件について謝罪し、過ちを正すことを約束した。ABCの報道責任者であるジャスティン・スティーブンス氏は「彼が私たちの組織で体験した挫折について深く謝罪する。それを正すため、私たちが行えることをすべて行う」と述べた。ABCは、社内の人種主義をどのように扱うのか検討し、社内の多様性を高めるために努力すると約束した。オーストラリアは今年末、先住民問題に関して政府に助言する組織を憲法機関にするのかについて、国民投票にかける予定だ。

パク・ピョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-05-24 18:19
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キルギスタン、ロシア側傭兵として参戦した自国民に懲役10年宣告

2023年05月19日 | 国家・社会
「中央日報日本語版」 2023.05.19 06:57
■キルギスタン、ロシア側傭兵として参戦した自国民に懲役10年宣告

【写真】ロシア傭兵ワグネルグループのロゴ。[写真 欧州安全保障協力機構(OSCE)報告書]

 中央アジアのキルギスタンの裁判所が、ロシア側の傭兵として参戦した自国民に懲役10年の刑を言い渡した。ソ連解体後、独立国となったキルギスタンは親ロシア傾向が強いほうだが、今回の戦争では中立を守っている。
 17日(現地時間)、AFP通信によると、キルギスタンの首都ビシュケクの地方裁判所は前日、ロシア側の傭兵としてウクライナ戦争に参加した疑いで起訴された32歳の男性に対してこのような判決を下した。
 調査の結果、キルギスタン西部のジャララバード州出身のこの男性は、親ロシア分離主義勢力が設立したルガンスク人民共和国(LPR)反政府勢力に加わり、昨年6~11月、ウクライナ東部のドンバス地域に滞在した。
 ひと月の報酬は18万ルーブル(約31万円)で、この男性はロシアのパスポートを取得する保証も受けたという。この男性は裁判で戦闘に参加した事実を否認した。
 現地のある人権団体の代表は、傭兵としてウクライナ戦争に参加した容疑でキルギス市民が有罪判決を受けたのは初めてだとAFPに語った。
 AFPは、厳しい経済状況などでロシアに入国した中央アジアの移民が、兵力を補充しなければならないロシア軍とロシアの民間傭兵企業、ワグネルグループの主なターゲットになっていると伝えた。
 一方、韓国ではイ・グン元大尉と共にロシアのウクライナ侵攻戦争にウクライナ義勇軍に参加しようと出国した30代が罰金刑を言い渡された。
 先月16日、光州(クァンジュ)地裁刑事8単独パク・サンソ部長判事は、パスポート法違反容疑で起訴されたA被告(38)に罰金300万ウォン(約31万円)を宣告したと16日、明らかにした。A被告は実際には戦争に参加しなかったという。
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イスラエル軍、2日連続でガザ空爆 民間人や子ども含む24人死亡

2023年05月11日 | 国家・社会
「毎日新聞」 2023/5/11 18:12
イスラエル軍、2日連続でガザ空爆 民間人や子ども含む24人死亡

【写真】イスラエルの空爆を受けた住宅付近で、被害者にまつわるものが残されていないか探す人々=パレスチナ自治区ガザ地区ハンユニスで11日、ロイター© 毎日新聞 提供

 イスラエル軍は10日、パレスチナ自治区ガザ地区への空爆を2日連続で実施した。ガザ当局によると、死者は過激派組織「イスラム聖戦」の幹部と民間人、子供5人を含む計24人に達した。イスラム聖戦は450発以上のロケット弾をイスラエルに向けて発射。一部は商都テルアビブ周辺に飛来したが、イスラエル側に負傷者は出ていない。
 イスラエル軍は、これまでにイスラム聖戦の軍事拠点など133カ所を攻撃。ネタニヤフ首相は10日、今回の戦闘でイスラム聖戦に大きな打撃を与えたとした上で、「まだ作戦は終わっていない」と述べた。攻撃に巻き込まれる民間人が増えており、国連のグテレス事務総長は10日の声明で、民間人の殺害は「受け入れられない」と非難し、双方に戦闘の停止を呼び掛けた。現在、隣国のエジプトが停戦の仲介を続けている。
 ガザ地区を支配するイスラム組織ハマスは、今回の戦闘に参加していないとみられる。【イスタンブール三木幸治】


「毎日新聞」 2023/5/3 11:04
■ハマスが30発以上のロケット弾発射 イスラエル3人負傷で報復空爆

【写真】イスラエル軍の空爆で煙が上がったパレスチナ自治区ガザ地区=2023年5月2日、ロイター

 パレスチナ自治区ガザ地区を支配するイスラム組織ハマスと過激派組織「イスラム聖戦」は2日、イスラエルに向けてロケット弾30発以上を発射した。イスラエルに拘束されていたイスラム聖戦の幹部が死亡したためで、イスラエル側で3人が負傷した。イスラエルは2日夜、報復としてガザ地区を空爆した。
 イスラエル当局によると、イスラム聖戦のカデル・アドナン幹部(45)はテロに関与した容疑で2月に逮捕された後、イスラエル側に抗議して約3カ月のハンガーストライキを実施。今月2日朝に死亡が確認された。ハマスはイスラエルがアドナン幹部を「不法に殺害した」と主張し、ガザに近いイスラエル南部に向け、断続的にロケット弾を30発以上発射。建設現場などで働いていた外国人労働者3人がロケット弾の破片で負傷した。
 これを受け、イスラエル軍は2日夜、ガザにあるハマスの弾薬庫などを空爆。中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」によると、エジプトやカタールの仲介で、双方は3日朝までに停戦で合意した。
ハマスのロケット弾で破壊された車=イスラエル南部スデロットで2023年5月2日、ロイター
 ハマスは4月上旬、エルサレム旧市街でイスラエル治安部隊とパレスチナ人が衝突したことを受け、隣国レバノンの拠点からロケット弾を発射するなど、イスラエルへの攻勢を強めている。
 イスラエルではネタニヤフ政権が推し進める「司法改革」を巡って大規模な抗議デモが継続しており、国内の混乱が治安悪化を招いているとの見方も出ている。【エルサレム三木幸治】


「ARAB NEWS Japan」 03 May 2023 12:05:28 GMT9
■ハンスト中のパレスチナ人戦闘員がイスラエル拘束下で死亡し、ガザで緊張が高まる

【写真】2023年5月2日、約3カ月のハンガーストライキの末にイスラエルの刑務所で死亡した過激派組織「イスラム聖戦」の指導者、ハデル・アドナン氏の写真を手にするパレスチナ人。(AP通信)

 パレスチナ自治区、ガザ市: 86日間のハンガーストライキを行っていたパレスチナ人受刑者ハデル・アドナン氏が5月2日、イスラエルの拘束下で死亡。
 過激派組織「イスラム聖戦」の指導者であるアドナン氏は、10年以上前から長期のハンガーストライキを始め、イスラエルが罪状や裁判なしにパレスチナ人を大量拘束することに対する新しい形の抗議を導入した。
 5月2日、45歳のアドナン氏は長期ハンストによってイスラエル拘束下で死亡した初めての抗議者となった。
 イスラエルとパレスチナの衝突が激化する中、行政拘留者の数はこの1年で1,000人以上となり、過去20年間で最多。
 行政拘禁者にとって、ハンガーストライキはしばしば最後の手段である。中には数ヶ月に及ぶハンガーストライキを行い、危険な状態に陥った人も少なくない。これまでのイスラエル政府は、拘束死を回避するために彼らの要求の一部を受け入れたこともあった。
 今回、アドナン氏の健康状態が悪化しているという警告は無視されたと、イスラエルの擁護団体「人権のための医師団(Physicians for Human Rights Israel)」は述べている。
 この団体とアドナン氏の弁護士は、イスラエル当局に対し、彼の状態をしっかりと観察できる病院へ独房から移動させるよう要請したと述べた。同団体によると、数日前に同氏を訪ねた医師は、彼が命の危険にあることを指摘したという。
 報復として、パレスチナの諸派は5月2日の朝、ガザ地区からイスラエルの町に向けて少なくとも3発のロケット弾を放ったが、この攻撃に対して声明を出したグループはない。
 イスラエル国防軍は、ガザ地区から発射された3発の砲弾を探知したが、砲弾はすべて開けた場所に落下し、防衛システム「アイアンドーム」で迎撃されることはなかったと発表。
 イスラム聖戦の事務総長であるジヤド・アルナカラ氏は、次のように述べた: 「シェイク・カーダーは、我々の民族の偉大な象徴であり、世界の自由戦士の象徴であり、エルサレムに向かう我々の行進における高旗であり続けるだろう」。
 「(我々は)今日、すべての殉教者とシェイク・ハデル・アドナン、そして祝福された殉教者の仲間入りをする者たちに忠誠を表明する 」と付け加えた。
 「私たちの土地がシオニストの殺人者や犯罪者から解放されるまで、私たちは聖戦と抵抗の道を離れることはない」とアルナカラ氏は言った。
 パレスチナの地元メディアは、ガザ地区のイスラム聖戦の指導者たちが、政治部の会合に出席する計画をキャンセルしたとの情報筋の話を引用した。
 情報筋は、包囲された飛び地での紛争の激化と新たな対立への戻行を防ぐために、国内外の様々な関係者が努力を重ねていると付け加えた。
 パレスチナのAl-Quds紙が情報筋の話を引用して以下のように報じた: 「イスラム聖戦は、アラブ諸国や国際各国から接触を受け、報復を控えるよう圧力がかかる中、現在も内部で対応策を協議中である。」
 アドナン氏は、ヨルダン川西岸地区北部のジェニンのアーラバ出身。行政拘留で12回逮捕され、2012年から5回のハンガーストライキを行った。
 カタール在住のハマス政治局長のイスマイル・ハニエ氏は、アドナンの死後、レバノン在住のアル=ナカラ氏に連絡した。
ハニエ氏はその後「これは占領地に対する公然の戦いであり、我々の民衆は24時間体制でこれに立ち向かっている。」と語った。
 ガザ地区では、2007年半ばにハマスが支配して以来、イスラエルとの間に数十回の戦闘が発生、その中で最も激しかったのは2021年5月である。
 ハマスの政治局員であるフッサム・バドラン氏は、「この極悪非道な犯罪は、アドナンを刑務所で暗殺し、医療面でも放置し、さらに罪状も裁判もなしに何度も行政拘留することで、人道的な意味合いをすべて放棄した忌まわしい占領軍の素顔を示すものである。」と語った。
 イスラム聖戦の政治局員であり、政治部門を担当する役人であるムハンマド・アル=ヒンディー氏は「敵はこの犯罪の代償を払うだろうし、我々の捕虜と国民に対する全ての犯罪の代償を払うだろう、神様の思し召しのままに。」と述べた。
 イスラム聖戦は、ガザ地区でハマスが参加しない形で2回の紛争の激化を引き起こしている。1度目は、2019年にその軍事指導者の一人であるバハ・アブ・アル・アッタがイスラエルによって暗殺されたことを受けて、2度目は2022年に軍事指導者らの暗殺を受けてのことである。
 ガザ市の赤十字国際委員会本部前に集まったパレスチナ人たちは、アドナン氏の死を非難した。
 彼らは「ハデル・アドナン、革命家、抗議者、そして殉教者」と書かれたプラカードを掲げた。


「東亞日報」 May. 04, 2023 08:44
■パレスチナ指導者死亡後、イスラエルとパレスチナの武力衝突が激化
 パレスチナの武装組織「イスラム聖戦」の指導者、カデル・アドナン氏(45)が2日、獄中でのハンガーストライキ中に死亡したことで、イスラエルとパレスチナの紛争が激化している。パレスチナがロケット弾を撃ち、アドナン氏の死に怒りを表明すると、イスラエルもガザ地区全域を空爆して報復に出るなど、緊張が高まっている。
 ロイター通信などは2日、イスラエルの戦闘機がガザ地区内の武器製造工場だけでなく、別の武装組織ハマスの訓練キャンプなどに対する全面的な空爆に乗り出したと報じた。すると、ハマスとイスラム聖戦もロケット弾を発射して応戦した。
 アドナン氏は、イスラエルが正当な法的手続きなくパレスチナ市民を拘留することを批判し、過去の収監の時も何度もハンガーストライキをした。今年2月に投獄された後、再びハンガーストライキを行い、病院での治療を要請したが拒否された。このためアドナン氏が2日午前に死亡すると、イスラム聖戦とハマスはすぐにイスラエルに30発のロケット弾を発射した。
 双方が3日、一時休戦に合意したものの、紛争の火種は依然として残っており、いつまた再び衝突が起こるか分からない。
 ガザ地区とヨルダン川西岸では、アドナン氏の死に抗議するパレスチナ住民のデモが続いている。一部のデモ隊は、イスラエル軍に向かって石を投げて抗議し、イスラエルも催涙弾やゴム弾で対応しており、いつ犠牲者が発生してもおかしくない状況だ。
 今回の事態が国外に広がる可能性もある。反イスラエル感情が強いイランは3日、声明を通じてアドナン氏を「殉教者」として追悼した。そして、「彼の死で、イスラエルが70年間犯した非人道的で暴力的な行為が浮き彫りになった」と批判した。


「時事ドットコムニュース」 2023年5月2日18時19分
■武装組織指導者、ハンスト死 報復でイスラエルにロケット弾―パレスチナ

【写真】東エルサレムの病院で治療を受けるパレスチナ武装組織「イスラム聖戦」の指導者アドナン氏(左)=2015年7月(AFP時事)

 【ガザ市AFP時事】イスラエルの占領地ヨルダン川西岸で2月に軍に拘束され、解放を求めて3カ月近くハンガーストライキを行っていたパレスチナ武装組織「イスラム聖戦」の指導者アドナン氏(45)が2日、収容施設内で死亡した。当局が発表した。これを受け、パレスチナ自治区ガザからイスラエルに向け、ロケット弾3発が撃ち込まれた。
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「「私たちは地球の守護者」 絶滅危惧種ブラジルマツ守る先住民」

2023年05月08日 | 国家・社会
「AFP」 2023年5月7日 10:00 発信地:ジョゼボイトー/ブラジル
■「私たちは地球の守護者」 絶滅危惧種ブラジルマツ守る先住民

【写真】ブラジルマツの苗を植える先住民ショクレンのカール・ガクランさん。ブラジル南部サンタカタリナ州で(2023年3月13日撮影)。(c)ANDERSON COELHO / AFP
【写真】ブラジルマツの苗を手に持つ先住民ショクレンのカール・ガクランさん。ブラジル南部サンタカタリナ州で(2023年3月13日撮影)。(c)ANDERSON COELHO / AFP
【写真】ブラジルマツの苗を植える先住民ショクレンのグループ。ブラジル南部サンタカタリナ州で(2023年3月13日撮影)。(c)ANDERSON COELHO / AFP
【写真】先住民ショクレンの人々が植えているブラジルマツの苗。ブラジル南部サンタカタリナ州で(2023年3月13日撮影)。(c)ANDERSON COELHO / AFP
【写真】ブラジルマツの苗を植えるプロジェクトを立ち上げた先住民ショクレンのカール・ガクランさんと妻のガペ・ガクランさん。ブラジル南部サンタカタリナ州で(2023年3月13日撮影)。(c)ANDERSON COELHO / AFP
【写真】ブラジルマツの苗を植えるプロジェクトを立ち上げた先住民ショクレンの一人、ガペ・ガクランさん。ブラジル南部サンタカタリナ州で(2023年3月13日撮影)   
(c)ANDERSON COELHO / AFP
【写真】ブラジルマツの苗を植えるプロジェクトを立ち上げた先住民ショクレンのグループのメンバー。ブラジル南部サンタカタリナ州で(2023年3月13日撮影)。(c)ANDERSON COELHO / AFP
【写真】ブラジル南部サンタカタリナ州でブラジルマツの苗を植える先住民ショクレンのグループを立ち上げたカール・ガクランさん(後方)らメンバー(2023年3月13日撮影)。(c)ANDERSON COELHO / AFP
【写真】ブラジル南部サンタカタリナ州ジョゼボイトー付近で最近、先住民ショクレンの居留地に再統合された一帯の空撮写真(2023年3月13日撮影)。(c)ANDERSON COELHO / AFP
【写真】ブラジル南部サンタカタリナ州ジョゼボイトー付近で最近、先住民ショクレンの居留地に再統合された一帯(2023年3月13日撮影)。(c)ANDERSON COELHO / AFP
【写真】ブラジル南部サンタカタリナ州ジョゼボイトー付近に生えるブラジルマツ(2023年3月13日撮影)。(c)ANDERSON COELHO / AFP
【写真】ブラジル南部サンタカタリナ州ジョゼボイトーにある先住民ショクレンのラクラノ居留地(2023年3月13日撮影)。(c)ANDERSON COELHO / AFP

【5月7日 AFP】鮮やかな羽飾りを頭に着け、たき火の周りで踊るエコ戦士の集団──ブラジル南部の保護区に住む「ショクレン(Xokleng)」と呼ばれる先住民が、絶滅の危機にある植物と自分たちの生活様式を守るため、植樹という手間のかかる作業のための儀式を行っていた。
 人口約2200人のショクレンは、ブラジルマツ(学名:Araucaria angustifolia)の大きな実を主食とし、その薬効で病気を治し、自分たちの精神的支柱だと考えている。
 だが、ブラジル農牧研究公社(Embrapa)によると、森林に生えるブラジルマツはかつての3%しか残っていない。
 ブラジルマツが絶滅すれば、「私たちショクレンも途絶えてしまう」と語るのは、イビラマラクラノ(Ibirama-Laklano)居留地に住むカール・ガクランさん(32)。妻のガペさん(36)と共に、ブラジルマツを守る組織「ザグ・インスティテュート(Zag Institute)」を設立した。これまでに植えた苗は推計5万本を超える。
 夫と同じように羽飾りを着け、子どもをあやすガペさんは「この木は私たちの母である聖なる木、私たちはその守り人」だと言った。
 高さ40メートルほどに成長し、天に向かって大きく枝を広げるブラジルマツの平均樹齢は約400年といわれる。だが、良質な木材として注目を集めたことと、農地開拓を目的とする森林伐採により消滅の一途をたどっている。
 ブラジルマツの種は発芽するまでに約1年かかる。さらに苗木から、種ができる成木に育つまでには12~15年必要だ。
 植樹の前、ショクレンの人々はたき火の周りで歌い、踊り、苗木の無事を祈る儀式を行う。
 ブラジルの多くの先住民と同様にショクレンも長年、農民や伐採業者による居留地への侵入と迫害に苦しんできた。
 グアラニ(Guarani)やカイガン(Kaigang)と呼ばれる他の先住民と共有する居留地は、軍事政権による強制退去以来、法的闘争の中心となっている。
 昨年末に退任した極右のジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)前大統領は、先住民居留地を「もはや1センチも許さない」と宣言した「反先住民政策」を実行した。この政策をめぐっては最高裁まで争われており、ブラジルのすべての先住民の土地の運命を決める判例となる可能性がある。
 ショクレンの人々はブラジルマツの植樹も抵抗の一つだと考えている。
「祖父母から、先住民は大地を守るために生まれてきたのだと教わった。私たちは地球、森、そしてブラジルマツの守護者なのだ」とカールさん。「それらを守るためにはみんなの協力が必要だ」 (c)AFP/Anderson COELHO


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世界最大の脳標本コレクション、精神医療の暗い過去 デンマーク

2023年05月08日 | 国家・社会
「AFP」 2023年5月7日 9:00 発信地:オーデンセ/デンマーク
■世界最大の脳標本コレクション、精神医療の暗い過去 デンマーク

【写真】デンマーク・オーデンセの南デンマーク大学の地下室に保管されている脳の標本が入ったバケツ(2023年2月28日撮影)。 (c)Sergei GAPON / AFP
【写真】箱に手を伸ばす病理学者のマルティン・ウィレンフェルト・ニールセン氏。脳の標本が保管されているデンマーク・オーデンセの南デンマーク大学の地下室にて(2023年2月28日撮影)。(c)Sergei GAPON / AFP
【写真】脳の標本が保管されているデンマーク・オーデンセの南デンマーク大学の地下室を歩く病理学者のマルティン・ウィレンフェルト・ニールセン氏(2023年2月28日撮影)。(c)Sergei GAPON / AFP
【写真】デンマーク・ニュクービンシェランにある脳を摘出された患者の墓(2023年2月25日撮影)。(c)Sergei GAPON / AFP
【写真】デンマーク・ニュクービンシェランにある脳を摘出された患者の墓地(2023年2月25日撮影)。(c)Sergei GAPON / AFP

【5月7日 AFP】デンマーク・オーデンセ(Odense)の南デンマーク大学(University of Southern Denmark)の地下には、世界最大とされる人間の脳の標本コレクションが存在する。
 1945~82年に、精神疾患だった人の遺体から検視後に除去・採取された脳の標本9479点が収められている。ホルマリン漬けにされた脳が入った大きな白いバケツには番号が振られている。
 このコレクションは、著名デンマーク人精神科医エリック・ストレームグレン(Erik Stromgren)氏が生涯をかけたものだ。
 コペンハーゲン大学(University of Copenhagen)で精神医学史を研究するイェスパー・バクシークラー(Jesper Vaczy Kragh)氏はAFPに対し、脳の収集は「一種の実験的研究」だったと説明した。
 ストレームグレン氏ら研究チームは「これらの脳から、精神疾患の原因が存在する場所を限局したり、何らかの答えを見つけ出せたりするかもしれない」と考えていたという。
 デンマーク各地の精神科施設で、患者が死亡すると検視が行われ、脳が採取された。患者本人やその遺族の同意は不要だった。
 クラー氏によると、こうした施設は国立で、内部で何が行われているのか聞いてくる外部の人間はいなかった。
 当時、患者の人権は重視されていなかった。
 デンマークでは1929~67年、精神科施設の入所者には不妊手術を施すよう法律で定められていた。また、89年までは、結婚するのに特別な許可が求められた。
 デンマークは、「精神病」と呼ばれた人々を「社会のお荷物」と見なし、「子どもを作ったり、自由にすることを許せば、あらゆる問題を引き起こす」と考えていたとバクシークラー氏は語った。
 脳コレクションの責任者で病理学者のマルティン・ウィレンフェルト・ニールセン(Martin Wirenfeldt Nielsen)氏は、当時はデンマーク人全員が死亡時に検視解剖されていたと説明した。「当時の慣習で、病院で行われる手続きの一つにすぎなかった」と言う。
 検視の発達と患者の人権に対する意識の高まりを受け、脳の採取は1982年を最後に行われなくなった。
 その後、脳の標本をどうすべきかについて長く激しい議論が交わされた。最終的に国の倫理委員会は保管し、科学研究に役立てるべきとの判断を下した。
 長年オーフス(Aarhus)で保管されていたが、2018年にオーデンセに移された。
 標本にされた脳の持ち主の一部は精神疾患と同時に脳の病気を患っていたことから、認知症、統合失調症、両極性障害、うつなどさまざまな疾患の研究に使われてきた。
 ニールセン氏は「患者の多くは人生の半分、もしくは全人生を施設で過ごした。そのため、脳卒中や癲癇(てんかん)、脳腫瘍など他の脳の病気になることもあった」と語った。
 現在、四つの研究プロジェクトが標本を利用している。
 メンタルヘルス協会「SIND」の元会長、クヌード・ クリステンセン(Knud Kristensen)氏は「使われなければ何にもならない」「あるのだから、使わなければ」と述べ、研究のための助成が足りないと訴えた。(c)AFP/Camille BAS-WOHLERT
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「イギリスの君主制廃止求める団体代表が逮捕、戴冠式パレードルート近くで抗議」

2023年05月07日 | 国家・社会
「BBC NEWS JAPAN」 2023年5月7日
■イギリスの君主制廃止求める団体代表が逮捕、戴冠式パレードルート近くで抗議

【写真】君主制廃止を求める市民団体「リパブリック」のグレアム・スミス代表。後ろにあるのはチャールズ国王の戴冠式が行われるウェストミンスター寺院

 英ロンドンのトラファルガー広場で6日朝、昨年9月に即位した国王チャールズ3世の戴冠式を前に君主制に反対する抗議行動があり、君主制廃止を求める団体の代表が逮捕された。
 映像では、「私の王ではない」と書かれたTシャツを着たデモ参加者たちが、警察に逮捕されている様子が見える。その中に、君主制廃止を求める市民団体「リパブリック」のグレアム・スミス代表の姿もある。
 スミス氏を含む6人は、トラファルガー広場の北側に複数のプラカードを運び込んだ際に逮捕された。
 リパブリックは、6人が警官から事情を聞かれている様子をとらえた画像をツイートした。
 同団体は「平和的な抗議の権利が台無しだ」と投稿。警官は彼らを逮捕する理由を示さず、逮捕者の中にスミス氏がいることを認めたと付け加えた。
 逮捕された1人のマット・ターンブル氏は、プラカードを支えるためのストラップが、何か別のものに「誤解された」と述べた。
 BBCはその後、ターンブル氏が手錠をかけられて連行されるのを目撃した。
 ロンドン警視庁は、拘束した人数は明らかにしなかったが、戴冠式パレードの沿道で複数人を逮捕したと述べた。
 イギリスでは今週、街灯やベンチといった街中の備品に物を固定しようとする行為を違法とする新たな法律が成立した。
 ロンドン警視庁は3日、戴冠式の祝賀期間中の抗議行動に対して厳しく対応すると表明。わずかな違反行為も見逃さず「素早く対応」するため、デモ参加者はそのつもりでいるようにとくぎを刺していた。

◆平和的な抗議と
 リパブリックは、同団体の数百枚のプラカードが押収されたとし、「これが民主主義なのか」と疑問を示した。
 「なぜ抗議しているのか、私たちに聞いてくる人もいる。戴冠式を機に君主制をめぐる議論を変え、この国には君主制を支持しない者もいるのだと示したいからだ」と、同団体はツイートしている。
 君主制に反対する抗議行動はロンドン中心部のトラファルガー広場付近で行われている。参加者は増えつつあり、「私の王ではない」、「グレアム・スミスを解放しろ」と声をあげている。
 抗議行動は戴冠式のパレードルート近くで手配された。沿道には6日午後の式典に先立ち、バッキンガム宮殿からウェストミンスター寺院へ向かう行列を見るために数千人が集まっている。
 抗議行動に参加していた環境保護団体「ジャスト・ストップ・オイル」の関係者約13人が、バッキンガム宮殿前の広い道路「ザ・マル」で逮捕されたもよう。気候変動キャンペーン団体関係者の多くが手錠をかけられているのが目撃された。
 石油製品の使用に反対する「ジャスト・ストップ・オイル」は、首相官邸のあるダウニング街でも同団体関係者5人が逮捕されたと発表した。
 同団体の広報担当者は、「Tシャツと旗を掲げることだけ」を計画していたとし、「ディストピア的な悪夢」だと付け加えた。
 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは、今回の逮捕は「ロンドンではなく(ロシア)モスクワで見られるようなもの」だと指摘。
 「戴冠式に平和的に抗議した人々が逮捕されたと報告されている。信じられないほど憂慮すべきことだ」と、人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」のイギリス担当ディレクター、ヤスミン・アフメド氏は述べた。
(英語記事 Anti-monarchy group chief arrested at protest)


「時事ドットコムニュース」 2023年5月6日17時55分
■王室廃止派リーダー逮捕 英国王戴冠式前に

【写真】英王室廃止を訴える圧力団体「リパブリック(共和制)」のグレアム・スミス代表=4月24日、ロンドン(EPA時事)

【ロンドン時事】6日のチャールズ英国王の戴冠式を前に、英警察が王室廃止を訴える圧力団体「リパブリック(共和制)」のグレアム・スミス代表を逮捕したことが明らかになった。ロイター通信が同団体の広報担当者の話として報じた。
 ロイターによると、警察は逮捕者の名前がすぐに確認できないとして、逮捕の事実を明らかにしていない。
 BBC放送は、戴冠式に先立ちトラファルガー広場で抗議活動を行っていた同団体の十数人のうち、スミス代表を含む約半数が逮捕されたと伝えた。


「AFP」 2023年5月5日 12:18 発信地:ロンドン/英国 
■英連邦ジャマイカとベリーズ、立憲君主制の廃止検討
【5月5日 AFP】カリブ海(Caribbean Sea)の島国ジャマイカと中米ベリーズがチャールズ英国王(King Charles III)の戴冠式を6日に控える中、同国王を国家元首とする立憲君主制から共和制への移行を検討している。両国の有力政治家が4日、明らかにした。
 両国は数十年前に英国から独立したが、他の英連邦(Commonwealth)12か国と同様、立憲君主制を維持。英国王を元首とし、総督が国王の代行を務めている。
 ジャマイカのマーレン・マラホーフォート(Marlene Malahoo Forte)法律・憲法相は、チャールズ国王の即位によって共和制への移行計画が加速したという。
 マラホーフォート氏は英スカイニューズ(Sky News)に対し、「ジャマイカをジャマイカ人の手に取り戻す時が来た」「君主が代わる今こそ、成し遂げなければならない。わが国の政府は今すぐやらなければならないと言っている」と述べ、早ければ来年にも国民投票を実施できるとの見通しを示した。
 また、共和制への移行は「植民地支配と大西洋奴隷貿易というつらい過去につながる政府形態に別れを告げることだ」とも述べた。
 一方、ベリーズのジョン・ブリセニョ(John Briceno)首相は英紙ガーディアン(Guardian)に、2021年に共和制に移行したバルバドスに続く可能性は「かなり高い」と語った。
 ブリセニョ氏は、国民の間でチャールズ国王の戴冠式に対する「盛り上がりは皆無だ」と述べた。
 ベリーズ政府は昨年、共和制への移行を含むさまざまな制度改革を検討するために、憲法委員会を創設する法案を可決。同委員会は同年11月に招集された。
 ブリセニョ氏は来年発表される同委員会の勧告を国民投票にかけるとしているが、議会を通じて君主制を廃止する可能性も排除していない。


「時事ドットコムニュース」 2023年04月25日14時26分
■君主制は「反民主主義」 国王戴冠式で大規模デモも―英廃止派

【写真】英王室廃止を訴える圧力団体「リパブリック(共和制)」代表のグレアム・スミス氏(左)=24日、ロンドン

【ロンドン時事】来月6日のチャールズ英国王の戴冠式を控え、王室廃止を訴える圧力団体「リパブリック(共和制)」のグレアム・スミス代表が24日、ロンドン市内で記者会見した。君主制は「民主主義に反する」と主張し、国民の間で「君主制廃止と共和制移行に向けた機運」が高まっていると強調。戴冠式でもデモを行い、「英国が王政主義の国ではなく、反対派が増えていることを世界に示したい」と述べた。
来月6日に英国王戴冠式 70年ぶり、要人2千人参列
 スミス氏は、戴冠式に「非常に関心がある」と答えた割合が1桁台だった最近の世論調査を挙げ、「国民の多くは民主主義的価値観を信じており、封建的価値観と階級制度の原則の上に築かれた君主制はこれに反する」と指摘。物価高による生活費危機に人々が苦しむ中、「(戴冠式で行われる)1回のパレードに巨額の税金を費やす」のは誤りだと訴えた。
 戴冠式当日は少なくとも1000人のメンバーが、国王を乗せた馬車などが通るパレードの沿道に陣取り、反君主制のポスターを掲げたりスローガンを叫んだりする運動を展開する計画という。


「BBC NEWS JAPAN」 2022年9月12日
■英連邦アンティグア・バーブーダ、共和制への移行問う国民投票を検討

【写真】アンティグア・バーブーダのガストン・ブラウン首相

 イギリスのエリザベス女王の死去を受け、英連邦加盟国アンティグア・バーブーダのガストン・ブラウン首相は11日、立憲君主制を廃止して共和制に移行するかどうかを問う国民投票を実施する方針だと述べた。
 ブラウン首相は、3年以内に国民投票を行う可能性があるとした。一方で、この動きは「敵対行為ではない」と強調した。
エリザベス女王の死去に伴い、イギリスの王位は自動的にチャールズ3世に継承された。ブラウン氏は、カリブ海の同国の国家元首としてチャールズ新国王を承認した後に、国民投票について言及した。
 ブラウン氏は来年の選挙で再選された場合に国民投票を行うつもりだとした。
 ブラウン氏率いるアンティグア労働党は下院17議席のうち15議席を確保しており、同氏の再選は有力視されている。
 ただ、国民からは投票の実施を求める強い求めはないと、ブラウン氏は認めた。
 「ほとんどの国民はそのことについてわざわざ考えてもいないと思う」と、同氏は英ITVニュースに語った。

◆オーストラリア首相は移行は問わないと
 エリザベス女王の死はオーストラリアでの王政論争を再燃させた。
 だが、5月に首相に選出されたアンソニー・アルバニージー氏は、今後4年以内に同様の投票を実施する可能性を排除した。
 同氏は共和制主義者だが、一期目にこの問題での投票は実施しないとし、「憲法に関するより大きな問題は目下のところ、これではない」と英スカイニュースに述べた。
 「いまは、多くのオーストラリア人がこの瞬間に感じている悲しみを共有し、オーストラリアへの女王の貢献に深い敬意と称賛を示す時期だ」。
 チャールズ国王はイギリスに加えて、英連邦王国(Commonwealth realms)と呼ばれるアンティグア・バーブーダ、オーストラリア、バハマ、ベリーズ、カナダ、グレナダ、ジャマイカ、ニュージーランド、パプアニューギニア、セントクリストファー・ネーヴィス、セントルシア、セントヴィンセント及びグレナディーン諸島、ソロモン諸島、ツヴァルの国家元首でもある。
 しかし、多くの国が君主制の役割を再考している。ブラウン氏は、共和国になることが「真の主権国家となるための独立の輪を完成させる最後のステップ」だとしている。
 昨年にはバルバドスがエリザベス女王を君主とするのをやめて共和国となり、2018年から同国の総督を務めてきたデイム・サンドラ・メイソン氏が議会の投票で大統領に選出された。
 ジャマイカでは、与党・労働党が共和制への移行の是非を問う国民投票の実施を目指している。
(英語記事 Antigua plans vote on King's role as head of state)
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「「前線ではみな兄弟」 ロマ人とウクライナ人、戦争で縮まる距離」

2023年04月11日 | 国家・社会
「 AFP」 2023年4月10日 13:09 発信地:ウジホロド/ウクライナ
■字幕:「前線ではみな兄弟」 ロマ人とウクライナ人、戦争で縮まる距離
【4月10日 AFP】ウクライナ最西部ザカルパッチャ(Zakarpatska)州の州都ウジホロド(Uzhhorod)で、少数民族ロマ(Roma)のビクトル・イリチャクさん(31)は、ウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領の署名が入った勲章を誇らしげに見せてくれた。8か月前線で戦い、「4回死にかけた」と話す。
 イリチャクさんは、ロマが多数を占めるラドワンカ(Radvanka)地区にある、今にも崩れそうなぼろぼろの自宅で、AFPのインタビューに応じた。自宅前の道は穴だらけだ。
 腕には、マリウポリ(Mariupol)近郊で受けたロシア軍の爆弾の破片がまだ残っている。
 ウジホロドのロマたちは、ロマ兵士の戦いぶりやウクライナ人避難民を支援するロマ団体のおかげで、ウクライナ人のロマに対する根強い偏見が少しずつ改善していると指摘する。
 4人の子どもがいるイルチャクさんは、第128ザカルパッチャ旅団(The 128th Transcarpathian Brigade)で戦車の修理を担当していた。「前線ではロマかどうかということは関係ない。お互いを兄弟だと思っている」と話した。
 「読み書きのできないロマが軍隊で戦えるのかと疑問視する人も多かった。ロマが戦っていると言ってみんな驚いていた」「彼らにはこう言ってやった。ウクライナ人なら、ウクライナのために戦わなければならないと」。
 イルチャクさんの義父は「ロマは従軍しないと言われていたが間違っている!困った時には私たちだって頼りになるんだ!」と叫んだ。

◆素晴らしい支援
 ザカルパッチャ州はウクライナで最もロマの割合が多い。ウジホロドの複数のロマ団体は、侵攻以降、非ロマ住民の態度に変化があったと指摘する。
 ロマの女性の技能習得や職探しを支援する団体「ロマ女性の声(Voice of Romni)」の代表アンゼリカ・ビエロワさんは、ソーシャルメディアで「ロマの人たちがウクライナ人を支援してくれた、素晴らしい」といった声が多く聞かれるようになったと指摘する。
 同団体は侵攻後、ロマ人以外の避難民の支援を始めた。
 ウクライナ各地に約40万人のロマが住んでいると推定される。ロマの人々は長年、貧困や差別に直面し、社会から疎外されてきた。ロシアによる侵攻は、ウクライナ東・南部に住んでいた推定17万人のロマに新たなトラウマをもたらした。
 ロマ避難民は公的な書類がないことも多く、国境検問所や人道支援の列で差別を受けたこともあった。

◆変わる意識
 ラドワンカ地区にはありあわせの材料で作ったトタン屋根の家がひしめいている。すぐ近くの線路を貨物列車がごう音を立てて通り過ぎていく。この町でロマのエレノラ・クルチャルさん(54)は、昨年3月から誰でも利用できる避難民シェルターを運営している。
 ロマの教育支援団体「ブラゴ(Blago)」の代表を務めるクルチャルさんは当初、ウジホロド駅で支援を受けられなかったロマ避難民を助けるためにシェルターを始めた。しかし、ロマ以外の人も受け入れるようになった。「ロマがウクライナを防衛したり、ウクライナ人避難民を支援したりするのを見て、私たちに対する人々の意識は変わった」と話す。
 現在シェルターで暮らす70人の半数近くはマリウポリやベルジャンシク(Berdyansk)、ヘルソン(Kherson)から逃げてきたロマ以外の人だ。
 ヘルソンから来たベロニカ・コマルニツカヤさん(37)は、昨年11月から一家で滞在している。ウジホロドの宿泊施設が国内避難民でほぼどこも満員だったため、他に行き場がなかったという。「ロマの人たちと接したことがなかったから少し怖かった。でも何も問題ないことが分かった」と話した。
 母のリュディミラ・チュハランさん(62)は「彼らは私たちと変わらない」と言った。
 庭ではコマルニツカヤさんの息子、ニキタくん(10)がロマの子どもたちとサッカーをしていた。ニキタ君はロマ語も少し分かる。
 コマルニツカヤさんはシェルターの共同スペースでロマの子どもを膝に乗せてあやしながら「戦争が私たちの距離を縮めてくれた。今まではこんな風にできると思わなかった」と話した。
 一方、「ロマ女性の声」のビエロワさんは、和解は一時的な可能性があると慎重だ。
「戦争が終わっても、問題は山積みだ。ウクライナが欧州連合(EU)に加入したいのなら、ウクライナ人に人権と尊厳について教育しなければならない」と指摘した。
 (c)AFP/Peter MURPHY


「AFP」 2023年4月8日 19:00 発信地:ウジホロド/ウクライナ
■「前線ではみな兄弟」 ロマ人とウクライナ人、戦争で縮まる距離

【写真】ウクライナ軍から授与された勲章を見せる少数民族ロマのビクトル・イルチャクさん。ウザカルパッチャ州ウジホロドにて(2023年3月2日撮影)。(c)ATTILA KISBENEDEK / AFP
【写真】ウクライナ軍兵士で少数民族ロマのビクトル・イルチャクさん(右から2人目)と家族。ザカルパッチャ州ウジホロドにて(2023年3月2日撮影)。(c)ATTILA KISBENEDEK / AFP 
【写真】ウクライナ軍兵士で少数民族ロマのビクトル・イルチャクさん。ザカルパッチャ州ウジホロドにて(2023年3月2日撮影)。(c)ATTILA KISBENEDEK / AFP 
【写真】ロマ系ウクライナ人の避難民の子どもと遊ぶ非ロマのベロニカ・コマルニツカヤさん(中央)。ザカルパッチャ州ウジホロドにて(2023年3月2日撮影)。(c)ATTILA KISBENEDEK / AFP 
【写真】ウクライナ・ヘルソンから避難してきた非ロマのベロニカ・コマルニツカヤさん(右)と母リュディミラ・チュクランさん。ザカルパッチャ州ウジホロドのシェルターにて(2023年3月2日撮影)。(c)ATTILA KISBENEDEK / AFP 
【写真】インタビューに答える少数民族ロマ女性の支援団体「ロマ女性の声」の代表アンゼリカ・ビエロワさん。ザカルパッチャ州ウジホロドで(2023年3月2日撮影)。(c)ATTILA KISBENEDEK / AFP 
【写真】少数民族ロマの教育支援団体「ブラゴ」と国内避難民の代表を務めるエレノラ・クルチャルさん。ザカルパッチャ州ウジホロドのシェルターにて(2023年3月2日撮影)。(c)ATTILA KISBENEDEK / AFP 
【写真】少数民族ロマと非ロマの避難民が暮らすシェルターで遊ぶ人。ザカルパッチャ州ウジホロドのシェルターにて(2023年3月2日撮影)。(c)ATTILA KISBENEDEK / AFP 
【写真】ウクライナ・ザカルパッチャ州ウジホロドの避難民シェルターで、ベッドに座る少年(2023年3月2日撮影)。(c)ATTILA KISBENEDEK / AFP 
【写真】ウクライナ・ザカルパッチャ州ウジホロドの避難民シェルターで子どもを抱く女性(2023年3月2日撮影)。(c)ATTILA KISBENEDEK / AFP 
【写真】ウクライナ・ザカルパッチャ州ウジホロドの避難民シェルターで、椅子に座る女性(2023年3月2日撮影)。(c)ATTILA KISBENEDEK / AFP 
【写真】ウクライナ・ザカルパッチャ州ウジホロドの避難民シェルターに寄付を持ってきた女性(2023年3月2日撮影)。(c)ATTILA KISBENEDEK / AFP 
【写真】ウクライナ・ザカルパッチャ州ウジホロドの避難民シェルターで、会話する少数民族ロマの女性(2023年3月2日撮影)。(c)ATTILA KISBENEDEK / AFP 
【写真】ウクライナ・ザカルパッチャ州ウジホロドの避難民シェルターで携帯電話で遊ぶ少女(2023年3月2日撮影)。(c)ATTILA KISBENEDEK / AFP 

【4月8日 AFP】ウクライナ最西部ザカルパッチャ(Zakarpatska)州の州都ウジホロド(Uzhhorod)で、少数民族ロマ(Roma)のビクトル・イリチャクさん(31)は、ウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領の署名が入った勲章を誇らしげに見せてくれた。8か月前線で戦い、「4回死にかけた」と話す。
 イリチャクさんは、ロマが多数を占めるラドワンカ(Radvanka)地区にある、今にも崩れそうなぼろぼろの自宅で、AFPのインタビューに応じた。自宅前の道は穴だらけだ。
 腕には、マリウポリ(Mariupol)近郊で受けたロシア軍の爆弾の破片がまだ残っている。
 ウジホロドのロマたちは、ロマ兵士の戦いぶりやウクライナ人避難民を支援するロマ団体のおかげで、ウクライナ人のロマに対する根強い偏見が少しずつ改善していると指摘する。
 4人の子どもがいるイルチャクさんは、第128ザカルパッチャ旅団(The 128th Transcarpathian Brigade)で戦車の修理を担当していた。「前線ではロマかどうかということは関係ない。お互いを兄弟だと思っている」と話した。
 「読み書きのできないロマが軍隊で戦えるのかと疑問視する人も多かった。ロマが戦っていると言ってみんな驚いていた」「彼らにはこう言ってやった。ウクライナ人なら、ウクライナのために戦わなければならないと」
 イルチャクさんの義父は「ロマは従軍しないと言われていたが間違っている!困った時には私たちだって頼りになるんだ!」と叫んだ。

◆素晴らしい支援
 ザカルパッチャ州はウクライナで最もロマの割合が多い。ウジホロドの複数のロマ団体は、侵攻以降、非ロマ住民の態度に変化があったと指摘する。
 ロマの女性の技能習得や職探しを支援する団体「ロマ女性の声(Voice of Romni)」の代表アンゼリカ・ビエロワさんは、ソーシャルメディアで「ロマの人たちがウクライナ人を支援してくれた、素晴らしい」といった声が多く聞かれるようになったと指摘する。
 同団体は侵攻後、ロマ人以外の避難民の支援を始めた。
 ウクライナ各地に約40万人のロマが住んでいると推定される。ロマの人々は長年、貧困や差別に直面し、社会から疎外されてきた。ロシアによる侵攻は、ウクライナ東・南部に住んでいた推定17万人のロマに新たなトラウマをもたらした。
 ロマ避難民は公的な書類がないことも多く、国境検問所や人道支援の列で差別を受けたこともあった。

◆変わる意識
 ラドワンカ地区にはありあわせの材料で作ったトタン屋根の家がひしめいている。すぐ近くの線路を貨物列車がごう音を立てて通り過ぎていく。この町でロマのエレノラ・クルチャルさん(54)は、昨年3月から誰でも利用できる避難民シェルターを運営している。
 ロマの教育支援団体「ブラゴ(Blago)」の代表を務めるクルチャルさんは当初、ウジホロド駅で支援を受けられなかったロマ避難民を助けるためにシェルターを始めた。しかし、ロマ以外の人も受け入れるようになった。「ロマがウクライナを防衛したり、ウクライナ人避難民を支援したりするのを見て、私たちに対する人々の意識は変わった」と話す。
 現在シェルターで暮らす70人の半数近くはマリウポリやベルジャンシク(Berdyansk)、ヘルソン(Kherson)から逃げてきたロマ以外の人だ。
 ヘルソンから来たベロニカ・コマルニツカヤさん(37)は、昨年11月から一家で滞在している。ウジホロドの宿泊施設が国内避難民でほぼどこも満員だったため、他に行き場がなかったという。「ロマの人たちと接したことがなかったから少し怖かった。でも何も問題ないことが分かった」と話した。
 母のリュディミラ・チュハランさん(62)は「彼らは私たちと変わらない」と言った。
 庭ではコマルニツカヤさんの息子、ニキタくん(10)がロマの子どもたちとサッカーをしていた。ニキタ君はロマ語も少し分かる。
 コマルニツカヤさんはシェルターの共同スペースでロマの子どもを膝に乗せてあやしながら「戦争が私たちの距離を縮めてくれた。今まではこんな風にできると思わなかった」と話した。
 一方、「ロマ女性の声」のビエロワさんは、和解は一時的な可能性があると慎重だ。
 「戦争が終わっても、問題は山積みだ。ウクライナが欧州連合(EU)に加入したいのなら、ウクライナ人に人権と尊厳について教育しなければならない」と指摘した。(c)AFP/Peter MURPHY


「AFP」 2015年1月5日 15:53 発信地:シャンプラン/フランス
■ロマ人女児の埋葬を市長が拒否か、フランス全土に怒り広がる

【写真】フランス・パリ(Paris)近郊シャンプラン(Champlan)の墓地(2015年1月4日撮影)。(c)AFP/KENZO TRIBOUILLARD
【写真】フランス・パリ(Paris)近郊シャンプラン(Champlan)の街(2015年1月4日撮影)。(c)AFP/KENZO TRIBOUILLARD 
【写真】フランス・パリ(Paris)近郊シャンプラン(Champlan)の市庁舎(2015年1月4日撮影)。(c)AFP/KENZO TRIBOUILLARD 
【写真】フランス・パリ(Paris)近郊シャンプラン(Champlan)の市内に張られたクリスチャン・ルクレー(Christian Leclerc)市長のポスター(2015年1月4日撮影)。(c)AFP/KENZO TRIBOUILLARD 

【1月5日 AFP】フランス・パリ(Paris)近郊のシャンプラン(Champlan)で、少数民族ロマ人の赤ちゃんの亡きがらを市営墓地に埋葬することを拒否したとして、保守派の市長が人種差別だと批判されている。市長は発言が誤解されたと弁明したが、怒りの声はフランス全土に広がり、行政監察官が調査を開始した。
 パリの南方23キロほどにあるシャンプランのクリスチャン・ルクレール(Christian Leclerc)市長は、「空き区画がほとんどない」との理由で、昨年末に死亡した生後およそ2か月のロマ人女児を市営墓地に埋葬することを拒否したとされる。仏大衆紙パリジャン(Le Parisien)は3日、ルクレール市長は「地方税の納税者を優先するべきだ」と述べたと伝えた。
 これに対し、埋葬拒否の真の理由はロマ人差別に基づくものだとの批判が巻き起こった。
 地元のロマ支援団体は「人種差別であり、外国人嫌悪であり、らく印を押す行為だ」と市長を強く非難。仏政府のロランス・ロシニョル(Laurence Rossignol)家族担当相もマイクロブログのツイッター(Twitter)に、埋葬拒否は「非人道的な屈辱」を女児の遺族に与えたと批判するコメントを、フランス語で「恥」「面汚し」を意味する「#honte」のハッシュタグを付けて投稿した。
 批判を受けてルクレール市長は4日、AFPの取材に、発言が「文脈から切り離されて伝わった」と釈明。自分は「誤解」の犠牲になったとして「埋葬を拒否したことは断じてない。話に尾ひれが付いて広がっている」と主張し、騒動が大きくなったことを「たいへん遺憾だ」と述べた。

◆ロマ人めぐるあつれき浮き彫りに
 しかし、人権擁護派のジャック・トゥーボン(Jacques Toubon)元文化相は4日、人権問題オンブズマン(行政監察官)がこの問題について調査を開始したと発表。「あまりの衝撃に、あぜんとしている」と語った。
 マニュエル・バルス(Manuel Valls)首相も、ツイッターで「出自を理由に子どもの埋葬を拒否するのは、その子どもの人生に対する侮辱であり、フランスへの侮辱でもある」と批判した。
 フランスでは、主に東欧諸国から流浪してきたロマ人と地元住民とのあつれきが社会問題となっている。全土に暮らすロマ人口は約2万人だが、生活に必要最低限の物資さえ足りないのが現状だ。死亡した女児の一家も、シャンプランの街はずれに建てた小屋で電力も水道もない暮らしを送っている。
 地元のロマ支援団体によると、女児は昨年10月14日に生まれたが12月26日の早朝、授乳しようとした母親が冷たくなっているのに気付いた。急いで病院に連れて行ったが死亡が確認され、乳児の突然死と診断されたという。女児の両親は共に30代で、フランスには少なくとも8年間住んでいるという。
 歴代のフランス政府は、複数のロマ人居住キャンプを強制撤去したり、子どもを含むロマ人一家を強制送還したりして批判されている。(c)AFP/Clement ZAMPA
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