三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

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「被害者がどこにもいない強制動員『第三者弁済案』、誰がみてもおかしい」

2024年05月31日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「The Hankyoreh」 2024-05-30 10:47
「被害者がどこにもいない強制動員『第三者弁済案』、誰がみてもおかしい」
■[インタビュー]山本直好|「日本製鉄元徴用工裁判を支援する会」事務局長

【写真】民族問題研究所が主催した「強制動員被害者運動記録写真展」が開かれている植民地歴史博物館で、山本直好さんが韓国人被害者とともに闘ってきた過去の日々を振り返っている=ホン・ソクチェ記者//ハンギョレ新聞社

 「『第三者弁済』というアイディアで韓日友好を『演出』することはできるかもしれません。しかし、この案のどこにも被害者はいません」。
 25日、ソウル市龍山区(ヨンサング)の植民地歴史博物館で会った「日本製鉄元徴用工裁判を支援する会」の山本直好事務局長(59)は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が韓国最高裁(大法院)の強制動員被害者賠償判決に対する問題解決策として強引に推進した「第三者弁済案」について、「誰がみてもおかしな方法」だと批判した。この案では、日本の加害企業ではなく、韓国の日帝強制動員被害者支援財団が賠償金を肩代わりする。
 山本事務局長は、民族問題研究所が植民地歴史博物館で「日帝強制占領下の強制動員被害真相究明などに関する特別法」制定20年を記念して開催している「強制動員被害者運動記録写真展」(5月24日~7月21日)に出席するため、ソウルを訪れた。山本事務局長が所属する「日本製鉄元徴用工裁判を支援する会」は、日本製鉄に強制動員された韓国人被害者の損害賠償訴訟を支援するため、1995年に結成された日本の市民団体だ。山本事務局長は、太平洋戦争のA級戦犯が合祀されている靖国神社に無断で合祀された韓国人の名前を取り下げさせるための運動、そして、日本政府を相手取り、韓日国交正常化交渉に関する外交文書の情報公開を要求する活動にも参加している。
 大学時代に差別を受けた人たちの歴史を学んで平和運動に参加した山本事務局長と朝鮮半島の縁は、公務員生活をしていた1993年ごろに始まった。「在日朝鮮人被爆者たちが、戦争中までは日本人として扱われ、戦争が終わったとたん何の治療も受けられなくなり排除されたという事実を知りました。(日本の)植民地支配の残酷さに怒りを感じ、そのときから本格的に活動を始めました」。
 そのようにして始めた支援活動は、30年以上にわたり続いている。山本事務局長は、日本製鉄釜石製鉄所の強制動員被害者の遺族であるイ・サングさんが「山本さんは長いあいだ韓国人被害者を助けながら一度も揺らいだことがない」と話したことが最も記憶に残っているという。「私がしていることは、被害者と遺族の苦痛に比べれば取るに足らない、とても小さなことにすぎないかもしれませんが、このように活動を評価して私の気持ちを分かってくれたことが、本当にうれしかった」
 山本事務局長はこの日、「強制動員問題解決と過去清算のための共同行動」の矢野秀喜事務局長、「韓国の原爆被害者を救援する市民の会」の市場淳子会長、「不二越訴訟支援北陸連絡会」の中川美由紀さん、「日本製鉄元徴用工裁判を支援する会」の中田光信さんらと一緒に参加した。いずれも、韓国人強制動員や被爆被害者とともに闘い、被害者の尊厳と人権回復のための長い歴史をともに過ごしてきた人たちだ。
 山本事務局長が支援活動を続けてきた間、日本と韓国で続いた強制動員損害賠償裁判は浮き沈みを繰り返した。強制動員被害者が1997年に大阪地裁に新日本製鉄(現:日本製鉄)を相手取り損害賠償訴訟を起こしたが、2003年に最高裁で敗訴が確定した。韓国で日本製鉄による強制動員被害者が2005年にふたたび訴訟を起こし、2008年にソウル中央地裁でも原告敗訴の判決が下された。2012年に韓国最高裁がこの判決を破棄して差し戻した。そして2018年、最高裁は日本製鉄が被害者にそれぞれ1億ウォンを支払うよう命じる歴史的な確定判決を出した。しかし日本政府は、この判決が韓日請求権協定に反するとして、輸出規制等を通じて韓国政府に圧力をかけた。昨年、尹錫悦政権が第三者弁済案を解決策として進めたが、真の解決策にはなっておらず、山本事務局長の至難の活動は今も続いている。
ホン・ソクチェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-05-28 19:01


「中央日報日本語版」 2024.05.27 08:50
■「徴用被害第三者弁済に120億ウォンさらに必要、韓日企業が出なくては」

【写真】日帝強制動員被害者支援財団の沈揆先理事長が23日にソウルの財団理事長室で中央日報とインタビューする姿。パク・ヒョンジュ記者

 「昨年末から強制徴用被害に対する賠償確定判決を受けた追加勝訴者と接触してみると90%以上が第三者弁済に対する受け入れの意思を明らかにしました。したがって彼らに判決金と遅延利子を支給するには約120億ウォン(約13億7732万円)がさらに必要になるが財源が大きく不足した状況です」。
 日帝強制動員被害者支援財団の沈揆先(シム・ギュソン)理事長は23日、財団理事長室で行った中央日報とのインタビューで、「第三者弁済が別れ道に入ったようで心配だ。解決策の成功に向け韓日企業の参加が本当に切実な状況」としながらこのように話した。2022年10月に就任した沈理事長がメディアのインタビューに応じたのは今回が初めてだ。

◇3億ウォン残っているが…「120億ウォンはさらに必要」
 財団は尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が昨年3月に決断した強制徴用第三者弁済解決策を実際に履行する役割を担っている。財団が判決を通じて確定した賠償金と遅延利子を被害者に代わりに支給する方式だ。2018年10~11月に判決が確定した被害者15人のうち第三者弁済案を受け入れた11人が財団から判決金を受け取った。
 昨年12月と今年1月に同じ趣旨の訴訟9件で被害者52人が追加で勝訴判決を確定した。韓国政府は第三者弁済解決策を発表しながら「現在係争中である強制徴用関連の他の訴訟でも原告が勝訴すれば同じ方式で判決金と遅延利子を支給する」と明らかにした。
 沈理事長は「政府の約束は必ず守らなければならない。財源を拡充して判決金受領を望む原告の方々に一日も早く判決金を支給するのが最大の懸案」と話した。また「確保した連絡先を通じて多くの勝訴者と接触した結果、90%以上が第三者弁済を受け入れた。彼らのために最小120億ウォン前後がさらに必要な状況」と説明した。
 財団を通じた判決金受領を受諾した被害者はほとんどが「長期にわたる闘争をもう終えたい」という反応を見せたという。一部勝訴者の場合、判決金と遅延利子の早急な受領に向け行政安全部と外交部に嘆願を提起したりもした。「家族みんなが受領を希望する」として財団に方法と手続きを具体的に問い合わせてきたケースも何件もあった。
 ところが財源が不足しており第三者弁済を通じて彼らに向けた司法の正義を実現するのが遅れている。時間が過ぎるほど遅延利子が加算されるのはもちろんだ。ポスコなどが財団に寄付した約41億1400万ウォンのうち約38億ウォンを被害者11人に支給したほか受領を拒否した被害者4人に向けた供託金として支出した。現在余った金額は約3億ウォンにすぎない。
 財源はすべて寄付金で調達するという原則だ。韓国と日本の企業の自発的参加以外にはこれといった代案はない。1965年の韓日請求権協定の恩恵を受けた韓国企業が積極的に出なければならないという指摘が出る理由だ。専門家らは韓日を行き来しながら活発に経済活動をする両国企業の自発的な参加の必要性も提起する。
 また、第三者弁済という迂迴的解決策が出てきた背景が、裁判で敗訴した被告戦犯企業が判決にともなう賠償を拒否したためということを考慮すれば、日本側の参加がないことに対し韓国側の不満は大きくなるほかない。

◇「日本企業参加してこそ韓国国民の支持得られる」
 沈理事長も「日本は日本で事情があるとはいうが、日本企業が参加してこそはじめて第三者弁済が韓国国民から支持を受けられる」と強調した。「大法院(最高裁)判決の趣旨は結局日本企業が賠償しろということなので、韓国国民として日本企業の参加を要求するのは当然のこと」としながらだ。彼は「財団に直接寄与することが負担になるならば韓国経済人協会と日本経団連が作った未来パートナーシップ基金にもう少し積極的に寄与したら良いだろう」とも話した。
 両団体は韓国政府の第三者弁済解決策発表直後に両国関係の未来志向的発展に向けた基金を創設し、それぞれ10億ウォンと1億円を拠出した。使い道は未来人材交流などに限定されており、直接被害者に支給されることはない。
 これと関連して、読売新聞が25日に伝えたところによると、経団連は会員企業から目標額の2倍の2億円以上の寄付金を出したと前日に発表した。経団連は寄付金を出した企業の情報は明らかにしなかった。ただ同紙は「賠償義務が確定した日本の被告企業は、現時点で参加していないとみられる」と伝えた。
 沈理事長は「今回の経団連の追加寄与で40億ウォンほどが未来パートナーシップ基金に集まることになった形でこれもまた意味がある」としながらも「今後両国からより多くの寄与がなされなければならない」と話した。

◇「第三者弁済は両国和解の一等功臣」
 沈理事長は第三者弁済に対し「『不可能な最善』より『可能な次善』を選択した韓国の決断。両国が長い間の不和と反目を乗り越えて和解できるようにした一等功臣」と評価した。
 一部被害者の受領拒否、裁判所の供託棄却、財源不足などにより第三者弁済案の履行が難しくなったという指摘も出ているが、彼の考えは違った。沈理事長は「第三者弁済を受け入れた被害者が拒否した被害者よりもはるかに多く、日本の被告企業が判決を履行しない限り第三者弁済は被害者の権利を満たすことができる唯一の方法のため簡単にあきらめてはならない」と強調した。また「法律の問題ならばわからないが財源問題でこの解決策を止めることはできないため両国企業の自発的な寄与を切に望む」と話した。
 裁判所の供託棄却に対しては「供託は新しい選択ではなく第三者弁済の過程だった。弁済の完結に向けては供託をするほかなく、結果を謙虚に待ちたい」と話した。韓国政府は裁判所の供託不受理を不服として異議を申し立てたが、棄却されたため現在抗告を進めている。
 米中間の戦略競争とウクライナ戦争などにより不安定な国際情勢で両国の協力の必要性がますます大きくなる中で第三者弁済解決策の履行を通じた徴用問題解決の重要性はさらに拡大している。
 沈理事長は「北朝鮮の核ミサイル高度化、米中覇権競争、供給網関連国の利己主義など世界的な問題が頻発する中で、韓日が協力すれば対外発言力と影響力を拡大できる」と話した。その上で「何より国民が肌で感じることができるアクションプランが必要だ」と話した。
 一方、1945年の解放直後に釜山(プサン)港に向かう途中の日本近海で沈没した浮島丸の乗船者名簿を日本政府が保管していた事実が最近明らかにしたことと関連して沈理事長は「関連真相究明に韓日が力を合わせて努力するならば強制徴用問題と関連した韓国人の反日感情を和らげるのにも助けになるだろう」と話した。また「財団内にも浮島丸乗船者名簿と関連した別途の特別作業班を構成する予定」と話した。彼は強制徴用被害と関連した学術研究なども財団の主要事業のひとつだと紹介した。
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