三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

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「日本の16地方自治体が朝鮮学校への補助金支給を中止」

2017年10月15日 | 民族教育
http://japan.hani.co.kr/arti/international/28099.html
「The Hankyoreh」登録 : 2017.08.06 21:53 修正 : 2017.08.07 07:09
■日本の16地方自治体が朝鮮学校への補助金支給を中止
 北朝鮮問題を理由に、相次いで中止 
 「政治と教育は別に」自省の声も

【資料写真】日本の東京朝鮮中高級学校の校舎//ハンギョレ新聞社

 朝日新聞は6日、2007年に朝鮮学校に補助金を支給していた28都道府県のうち、今年も補助金を支給するところは10年前の半分にもならない12カ所にとどまると報道した。朝鮮学校は在日同胞が子どもに祖国の言葉と文化を教えようと作った学校だ。日本の教育法上では小・中・高校とは別の学校である「各種学校」に分類される。日本の自治体は1970年代から朝鮮学校の保護者の教育費負担を減らすために、学校運営費または地域交流事業の名目で補助金を支給してきた。また、各種学校に属する国際学校にも同じ名目で補助金が支給されてきた。
 日本の自治体が朝鮮学校に対する補助金の支給を中止し始めたのは、北朝鮮の日本人拉致問題が浮き彫りになってからだった。特に昨年3月、文部科学省が自治体に「政府は北朝鮮と密接な関係にある団体である朝鮮総連が朝鮮学校の教育内容や人事、財政に影響力を及ぼしていると認識している」とし、「適正で透明性を持って(補助金を)執行するように」との公式文書を送ったことが決定打になった。この公文は政府が自治体に朝鮮学校への補助金支給を中止するよう要求したものと解釈された。1981年から朝鮮学校に補助金を支給してきた茨城県は、今年から補助金を支給しないことにした。昨年、地方自治体が朝鮮学校に支給した補助金は1億2200万円で、2006年(6億2400万円)に比べて80%以上減少した。
 日本の裁判所の朝鮮学校支援問題に対する判決は分かれている。大阪地方裁判所は1月、大阪朝鮮学校が補助金の支給中止が不当として起こした訴訟で「行政の裁量範囲内」だとし、大阪府の肩を持った。同じ大阪地方裁判所は、近い時期に同じような動機で施行された朝鮮学校の高校無償化除外措置に対して、全く異なる判決を下した。2010年、民主党政府は高校授業料を国が負担する高校無償化措置を施行した。原則的に「各種学校」も無償化対象に属したが、民主党政府は北朝鮮問題を理由に朝鮮学校を無償化対象から保留した。自民党に政権が変わった2013年、文部省は行政規則改定で朝鮮学校を完全に高校無償化対象から除外した。これに対して大阪朝鮮高級学校(朝鮮学校の高校課程)が国家を相手に取消し訴訟を起こしたが、大阪地方裁判所は先月28日、国家の処置は不当だとして原告勝訴の判決を下した。
 朝日新聞は、政府と地方自治体が朝鮮学校の支援を相次いで中止していることに対して「政治・外交問題と子どもたちの教育問題は分けて考える必要がある」と指摘した。

東京/チョ・ギウォン特派員
韓国語原文入力:2017-08-06 21:08
http://www.hani.co.kr/arti/international/japan/805713.html


http://blog.goo.ne.jp/gekkan-io/e/946a6191d0617291d75f0bc47447db42
「日刊イオ」2017-05-02 10:00:00 (瑛)のブログ
■千葉市長に考えてほしい
 千葉市が千葉朝鮮初中級学校に対する国際交流事業への補助金を停止した問題は、怒りとともに、ウリハッキョへの締めつけが、ここまで来たのかと思わされる事件だった。
 朝鮮学校は日本の教育システムの中では正規の学校「1条校」ではないので学習指導要領に従う義務もなく、監督権限を持つ都道府県が教育内容に立ち入ることもない。市長がしていることは、法律を踏みにじる越権行為だ。
 また、千葉の朝鮮学校と市とが積み上げてきた信頼関係を投げ捨て、ツイッターで世論を煽るやり方も自治体の首長として品格に欠けていると思わざるをえない。千葉市長の振る舞いを見ながら思い出したのは、大阪朝鮮学園への補助金を停止した橋下徹氏だ。かれは大阪朝鮮高級学校を訪問し、笑顔を振り撒きながら、その後、残酷にも補助金を切り捨てた。
 1978年生まれの市長を見ながら、かれが民主主義や教育をどう学んできたのが、心の底から興味が沸いている。政府の考え方と同じように子どもを教えたいのだろうか。これから千葉市では、公立学校への統制が強化されるのだろうか…。
 戦後、日本には私立学校が続々と生まれた。宗教法人系の学校も増えた。私立学校の増加は、日本の教育の幅を広げてきたし、教育の多様性を育んできた歴史だったはずだ。朝鮮学校の問題を言えば、時の政権が朝鮮学校を弾圧しようとしたときも、子どもの学ぶ権利と朝鮮学校の歴史を踏まえ、支援してきたのが地方自治体だった。政府と地方は明らかに違った。
 私は教育勅語の問題も含めて、教育への政治介入に、なぜ日本市民の側から声が上がらないのが、不思議でならない。
 じり貧で運営されている朝鮮学校をやり玉にあげて、時の為政者が何をしようとしているのか。今こそ、目をしっかり開ける時ではないだろうか。
 千葉市の対応は日本の教育史に残る事件だろう。千葉市長は、子どもの表現の自由を奪い、教育への介入ができると思っているのだろうか。この愚かな対応をいち早く改めてほしい。
 何より、子どもたちには萎縮してほしくない。李信恵さんの言うとおり、「あなたは何ひとつ悪くない」のだから。http://www.lovepiececlub.com/news/2017/04/28/entry_006561.html
 5月21日には千葉朝鮮初中級学校で、千葉県国際文化交流イベント「フレンドシップフェスタ」が開かれるので、こんなときこそ、たくさんの人たちが同校を訪れて元気付けてほしい。
 今、町田市が朝鮮学校への防犯ブザーを不支給にしようとしたときのように、日本の心ある人々が千葉市に抗議の声をあげている。それも全国各地から…。
 市に意見を表明した在日本朝鮮人人権協会のキム・ウギさんが問題を的確に整理されていたので、ここに紹介します。(瑛)
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千葉市長への意見
 このたび千葉市が、千葉朝鮮初中級学校の地域交流事業に支出する補助金について、昨年度分の約50万円の交付決定を取り消したことについて強く抗議します。
 報道によれば、その理由は、昨年12月に同校が主催した美術展で展示された1000点を超える表現物のうち一点の絵に、日本軍「慰安婦」問題に関する2015年12月28日の日韓「合意」を否定する解説が付されたこと等とされていますが、今回の千葉市の決定には、以下に挙げる通り、いくつもの重大な問題点があると思います。

 1.思想・信条の自由及び表現の自由の侵害であること
 何人も、特定の属性を有する個人や集団に対する差別的動機に基づくものでない限り、思想・信条の自由及び表現の自由を侵害されてはなりません(日本国憲法19、21条)。今回の千葉市の決定は、日本軍「慰安婦」問題について自らの思いを書いた朝鮮学校生徒の思想・信条の自由の侵害であり、表現の自由の侵害であることは明らかです。

 2.朝鮮学校への補助金不交付は、在日朝鮮人の子どもたちの教育権を侵害し、国際人権機関からは補助金の再開と維持が求められていること
 2-1 在日朝鮮人は、日本が朝鮮を侵略・植民地支配したことを原因として日本に住んでおり、日本政府は植民地支配期に朝鮮人の民族教育を禁止・弾圧し、朝鮮人から言葉や文化、名前を奪いました。朝鮮の解放/日本の敗戦直後、在日朝鮮人は日本に奪われた朝鮮の言葉・文化・名前・アイデンティティを子どもたちに教えるため、自らの力で各地に「国語(朝鮮語)講習所」を建設し、それが現在の朝鮮学校のルーツとなっています。そもそも日本政府及び地方自治体は、朝鮮を植民地支配し、在日朝鮮人から朝鮮の言葉・文化・名前を奪ったことの責任及び原状回復義務に基づき、在日朝鮮人の民族教育を積極的に保障しなければなりません。地方自治体が朝鮮学校に補助金を支出することは、在日朝鮮人の民族教育保障の一環となります。
 2-2 地方自治体が朝鮮学校への補助金を不交付とすることは、「在日朝鮮人の子どもたちの教育権を妨げる」ものであるとすでに国連・人種差別撤廃委員会から指摘され、同委員会からは地方自治体による補助金の再開や維持が勧告されています(2014年8月)。この勧告に反して補助金を停止した自治体はすなわち、人種差別撤廃条約に違反する行為を行ったことになります(人種差別撤廃条約2条、5条)。なお、日本政府が批准した国際人権条約は、日本政府のみならず地方自治体にも遵守義務があり、ゆえに地方自治体は同勧告も誠実に遵守しなければなりません。(日本国憲法98条2項)。
  ◆参考:人種差別撤廃委員会による総括所見(2014年)。当該勧告はパラグラフ19番目
  http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000060749.pdf
 2-3 千葉県弁護士会も2016年8月に出した会長声明において、外交問題を理由に朝鮮学校の補助金を停止するのは、子どもたちの学習権侵害はもとより、憲法14条、世界人権宣言、市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)、子どもの権利に関する条約、人種差別撤廃条約が禁止する「不当な差別」にあたると指摘しています。
  ◆参考:千葉県弁護士会「朝鮮学校に対する補助金停止に反対する会長声明」
  http://www.chiba-ben.or.jp/wp-content/uploads/2016/08/89f80068fd95b6d90cc7d6d7fb11c260.pdf
  
3.日本軍「慰安婦」問題に関する日韓「合意」は政府間レベルのものであって、地方自治体の政策や市民の意見を縛るものではなく、なおかつ「合意」は被害者の声を反映していないなど多数の問題点を含んでおり、国際人権機関からも批判されていること
 3-1 2015年12月28日に発表された日韓「合意」は、政府間レベルでなされたものであり、地方自治体の政策及び市民個人の表現が当該「合意」に縛られるものではまったくないことは明らかです。
 3-2 そもそも当該「合意」は、①日本軍「慰安婦」制度の被害者の声をまったく反映していていないにもかかわらず、問題を封じ込めるような表現を使用していること、②正式な「合意」文書もなくその法的性格も不明確であること、③日本軍「慰安婦」制度が実施された当時の国内法や国際法に違反していたことに基づく日本政府の法的責任を認めていないこと、④国際人権法上の責務に基づく被害者の権利救済が満足になされていないこと、⑤再発防止措置が不在であることなどの重大な問題点を多数含んでいます。
 3-3 当該「合意」は3-2で記したような問題点を孕んでいるため、2016年3月、国連・女性差別撤廃委員会は当該「合意」について「被害者中心のアプローチを十分に採用していない」と批判し、被害者に対する公式謝罪や損害賠償を含む十全で効果的な救済と被害回復措置の提供や、教科書への「慰安婦」問題の反映などを日本政府に対して勧告しています。
 以上の理由から、千葉市が国際人権基準に従って朝鮮学校への補助金交付決定の取り消しを撤回し、補助金を支給することを強く求めます。
     2017年5月1日  金優綺
※千葉市のウェブサイトから市長へ意見を送付できます。https://www.shinsei.elg-front.jp/chiba2/uketsuke/dform.do?acs=100tegami




http://japan.hani.co.kr/arti/international/27200.html
「The Hankyoreh」登録 : 2017.04.28 22:50 修正 : 2017.04.29 07:22
■日本の自治体、慰安婦合意批判したとして朝鮮学校の補助金を打ち切る

 「慰安婦合意批判の絵、経費支給事業の目的に反する」 
 学校長「日本の立場に合わせるのは真の交流ではない」

【写真】熊谷俊人千葉市長が今月27日、ツイッターに千葉朝鮮学校への市の補助金の支給中止を決定したと掲載した書き込み=ツイッター画面キャプチャー//ハンギョレ新聞社

 日本の地方自治体が韓日慰安婦合意を批判する行事を行ったという理由で、朝鮮学校の補助金の支給を中止した。
 熊谷俊人千葉市長は27日、ツイッターに千葉朝鮮小中級学校に対する市の補助金の支給を中止するという内容の書き込みを相次いで掲載した。熊谷市長は「千葉市は外国人学校が地域と交流する事業について(補助金を支給して)事業実施後内容を審査し、経費の一部を支給している」と書いた。
 千葉市が問題視した美術展示会は、昨年12月に開かれたもので、展示された絵2点に「日本政府が(慰安婦被害問題に対して)謝罪して賠償し、すべての人間の尊厳が尊重される社会を実現することが私たちの責務だ」「(慰安婦合意で)日本軍の戦争犯罪を追及することは今後不可能になった」という解説が書かれていた。
 千葉市は2015年に千葉朝鮮小中級学校に補助金約45万円を支給したが、展示会が開かれた昨年分約50万円は、慰安婦合意の批判内容などを理由に支給しないことにした。熊谷市長は今回だけでなく、今後も千葉朝鮮小中級学校に対して補助金を支給しない意向を明らかにした。
 千葉朝鮮小中級学校のキム・ユソプ校長は同日、ハンギョレとの電話インタビューで「交流はお互いに違いを理解することから始まり、違いを超えることだと考えている。朝鮮人が自分のアイデンティティを隠しながら日本の立場に合わせるのは真の交流ではない」とし、「千葉市長へ面談を要請するなど、抗議活動を続けて行くつもりだ」と話した。
 日本の幼稚園と小中高校に相当する朝鮮学校は「各種学校」に分類されており、日本の自治体は朝鮮学校を外国人学校の一つとみなし、運営費と交流事業費の名目で補助金を与えてきた。しかし昨年、馳浩前文部科学相が朝鮮学校がある自治体に「朝鮮学校に対する補助金を支給することが妥当かどうか改めて検討してほしい」という公文書を送り、茨城、三重、和歌山県が昨年から補助金の支給を中断した経緯がある。

東京/チョ・ギウォン特派員
韓国語原文入力:2017-04-28 17:09
http://www.hani.co.kr/arti/international/japan/792727.html


http://www.sankei.com/world/news/170428/wor1704280028-n1.html
http://www.sankei.com/world/news/170428/wor1704280028-n2.html
http://www.sankei.com/world/news/170428/wor1704280028-n3.html
「産経ニュース」2017.4.28 11:01
■朝鮮学校補助金、交付せず 千葉市長が廃止言及も 弁護士「裁量権逸脱の恐れ」
 千葉市が千葉朝鮮初中級学校(同市花見川区)への補助金交付の中止を表明した27日、同市は顧問弁護士から同補助金の今回の支出について「裁量権の逸脱や乱用にあたり、地方自治法に違反する恐れがある」との厳しい指摘を受けていたことを明らかにした。熊谷俊人市長は同日、同補助金のあり方を見直す考えを示し、廃止することにも言及した。
 熊谷市長は会見で「朝鮮学校が地域から孤立しないように交流事業に補助してきたが、日韓合意を否定する展示などをしたことは、市の思いを踏みにじる行為だ。今回はもとより、これからも(同校への補助金交付は)厳しい」と述べた。
 同市こども企画課によると、問題となった美術展は昨年12月6日に千葉市美術館(同市中央区)で行われたもので、当時現場を視察した市職員も内容に日韓合意を否定するものが含まれていることに気付き市に報告していた。
 また、今年2月25日の芸術発表会での「白頭山に行こう」の歌の披露は、3月1日に行われた市議会予算審査特別委員会教育未来分科会で、小川智之市議(自民)が同発表会で同校が行った朝鮮学校の授業料無償化などを求めるチラシの配布とともに「(市が補助金を出す)交流事業にそぐわない内容だ」と指摘するなどしていた。
 昨年9月1日付で同校から交付の申請があり、市も同5日付で最大50万円の交付を決定していたが、同年度末に提出された実績報告書やこれまでの市議の指摘などを踏まえ精査したところ、日韓合意を否認する展示内容などが外国人学校地域交流事業の要項とそぐわないとされた。
 また、市の顧問弁護士から「公益上必要がない事業への補助金を出す場合、裁量権の逸脱や乱用にあたり、地方自治法に違反する恐れがある」と指摘があり、熊谷市長の最終決定をもって交付が中止となったという。
 同市は外国人学校の地域との交流事業に補助金を交付するとしているが、市内で対象となる学校は同校しかないことから、事実上同校を念頭に置く事業となっていた。今年度も5年連続で最大50万円の補助金を予算化していたが、今回の問題を受け今年度の交付を凍結。再開についても当面予定はないとし、熊谷市長は「簡単に復活させていいものではなく、事実上の制度の廃止を含めて考えていくべきだ」と話した。
 一方、北朝鮮が16日朝に弾道ミサイルを発射したことなどについては、「今回の決定に影響していない」とした。

【写真】朝鮮学校への補助金交付の中止について述べる熊谷俊人千葉市長=27日、同市役所(中辻健太郎撮影)


http://www.chiba-ben.or.jp/wp-content/uploads/2016/08/89f80068fd95b6d90cc7d6d7fb11c260.pdf
■朝鮮学校に対する補助金停止に反対する千葉県弁護士会会長声明
声明の趣旨
 当会は,
 1 文部科学大臣に対し,2016年3月29日付「朝鮮学校にかかる補助金交付に関する留意点について(通知)」の撤回を求める。
 2 朝鮮学校に対する補助金の交付を現在停止している地方公共団体に対し,憲法や条約上の子どもの権利に配慮し,補助金を交付することを求める。
 3 朝鮮学校に対する補助金の交付を現在行っている地方公共団体に対し,補助金交付の継続及び憲法上や条約上の権利に合致した運用の改善を図ることを求める。

声明の理由
 1 文部科学大臣は,2016年3月29日,「朝鮮学校に係る補助金交付に関する留意点について(通知)」(以下「本通知」という)を都道府県知事宛に発出した。本通知では,「朝鮮学校に関しては,我が国政府としては,北朝鮮と密接な関係を有する団体である朝鮮総聯が,その教育を重視し,教育内容,人事及び財政に影響を及ぼしているものと認識しております」とし,「朝鮮学校に係る補助金の公益性,教育振興上の効果等に関する十分な御検討とともに,補助金の趣旨・目的にかなった適切かつ透明性のある執行の確保及び補助金の趣旨・目的に関する住民への情報提供の適切な実施」を求めている。
 本通知に先立つ2015年6月25日,自由民主党北朝鮮による拉致問題対策本部は,「対北朝鮮措置に関する要請」の中で「朝鮮学校へ補助金を支出している地方公共団体に対し,公益性の有無を厳しく指摘し,全面停止を強く指導・助言すること」を提言し,続いて,2016年2月7日,自由民主党は「北朝鮮による弾道ミサイル発射に緊急党声明」(以下「緊急党声明」という)を発出し,上記提言を速やかに実施するよう求めている。
 その緊急党声明から2か月足らずで文部科学大臣は本通知を発出したのである。
 本通知を受けて,新年度から補助金の交付の一部もしくは全額の停止することを表明している地方公共団体があり,各地の朝鮮学校に多大な影響が生じている。
 かかる経緯に鑑みれば,文部科学大臣の本通知は,本来各地方公共団体の判断と責任において行われるべき補助金の交付について,外交的な理由により各地方公共団体による朝鮮学校への補助金交付の停止を促すものと言わざるを得ない。
 2 すべての子どもには,自己の人格を完成,実現するために必要な学習をする権利が認められ(憲法26条第1項),各種学校への補助金の交付もかかる学習権を実質的に保障するものである。そして,経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)13条はすべての者の学習権を認め,無償教育を求めている。
 朝鮮学校においては,児童・生徒の国籍は朝鮮籍,韓国籍さらには日本国籍と多様であり,また,朝鮮語により教育を行い,朝鮮民族の文化,歴史を教えるという特徴はあるものの,学習指導要領に準じた教育が行われている。
 それにもかかわらず,朝鮮学校に通う児童・生徒には関係のない外交問題を理由として朝鮮学校への補助金交付を停止することは,かかる児童・生徒たちの学習権を侵害することはもとより,憲法14条,世界人権宣言,市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約),子どもの権利に関する条約,あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(人種差別撤廃条約)が禁止する不当な差別に該当する。2014年8月に採択された人種差別撤廃条約の最終見解においても朝鮮学校に対する補助金交付の停止等について「在日朝鮮人の子どもの教育を受ける権利を妨げる法規定及び政府の行動について懸念する」との指摘がなされている。
 3 特に朝鮮学校については,朝鮮半島が日本国により植民地支配されたときに朝鮮半島から日本国の産業のために移住させられた人々が,戦後,朝鮮民族の言葉,文化,歴史を子孫に残すために作られたという経緯に思いをいたすことが重要である。
 もとより民族教育は子どもの権利に関する条約30条においても保障されているところであり,朝鮮学校についても「民族教育を軸に据えた学校教育を実施する場として既に社会的評価が形成されている」学校であるとされている(大阪高判平成26年7月8日)ところであるが,朝鮮学校における民族教育についてはこのような歴史的視座を切り離して考えることはできない。
 4 何より忘れてならないのは,朝鮮学校に対する処遇の問題は,北朝鮮の問題ではなく,日本国内の人権問題であるということである。とりわけ朝鮮籍,韓国籍を有する方に対するヘイトスピーチが拡がっている現状において,政府が本通知を行うことは,朝鮮学校に通う児童・生徒たちに日本社会からの疎外感を与えるとともに,かかる人権侵害行為を助長する可能性があり,到底容認できるものではない。このような展開は,先般成立したいわゆるヘイトスピーチ解消法の趣旨にも反しているといえる。
 5 以上の点を踏まえ,当会は,文部科学大臣に対し,本通知の撤回を求める。そして,千葉県ほか既に朝鮮学校に対する補助金交付を停止している地方公共団体に対し,上記憲法上の権利及び条約の趣旨に配慮して補助金を交付することを求めるとともに,現在補助金を交付している地方公共団体に対し,国家間の外交問題と朝鮮学校に対する補助金交付を安易に結びつけることなく,補助金の交付を継続すること,憲法上の権利及び条約の趣旨に合致した運用の改善を図ることを求めるものである。
    2016年8月23日  千葉県弁護士会 会長 山村清治
コメント

中国朝鮮族と在日朝鮮人の民族教育 7

2007年05月27日 | 民族教育
■中国朝鮮族教育を巡る問題点 4
朝鮮族学校に通う子どもが減少する問題
1)延辺地区より散居地区、とくに大都市の減少が多い
 前述したように、延辺地区の場合、朝鮮族学校に通う子どもは、全体の97%を占めている。それに対し、散居地区のその割合は8割程度である。ハルピン、長春、瀋陽などの大都市においては、この比率はさらに20~30%という低水準に達している。
 それは、散居地区の朝鮮族はあまりにも分散して居住しているので、家の近くに朝鮮族学校がないことが原因であろうと考えて、一部の学校は、通学バスを購入して学校から遠い子どもたちを家まで迎えに行く方法(たとえば長春市寛城区朝鮮族小学校)、寄宿舎を作って子どもを寄宿させる方法(たとえば長春市朝陽区朝鮮族小学校)を取って対処している。しかし、その効果はなかなか見えていないのが実情である。

2)上級学校に行くにつれ減少が多くなる
 朝鮮族学校に通う子どもの割合は、延辺地区の場合、小学校97%、中学校89.8%、吉林省延辺以外の地区では、小学校84.4%、中学校67.1%、黒龍江省では、小学校76.4%、中学校63.9%、遼寧省では、小学校89.1%、中学校76.5%である。筆者が行ったアンケート調査からも同じ傾向が見られる。
 小学校の段階では、子どもに朝鮮語や自民族に関する知識を学ばせ、中学校や高校に入ると、将来の進学や就職を考えて子どもに漢族学校、とくに重点学校へ行かせる親の多いことがその主な原因であると思われる。筆者自身も小学校卒業するまえに両親と相談して、朝鮮族中学校に行かずに、吉林省の重点学校である長春市第六中学校に進学した経験を持っている。
 朝鮮族学校自身の努力や1992年の韓国との国交樹立によって、朝鮮語の使用頻度が多くなり、朝鮮族学校に通う子どもの数は一時増えていたが、最近では再び減少する傾向が見られる。筆者が2001年4月に行なった現地調査によれば、長春市二道区朝鮮族小学校の2000年度の卒業生は48人であったが、新入生はわずか19人であった。

3)将来への予想
 今回のアンケート調査では、朝鮮族の若者の民族意識がだんだんと薄れていることや子どもを朝鮮族学校へ行かせたい親が減少していることが検証されたので、朝鮮族学校の学生数、とくに散居地区の朝鮮族学校の学生数はこれからも減少していくのではないかと予想される。
 以上は、中国朝鮮族教育を巡る問題点をまとめて検討した。これらの問題に対応して、朝鮮族教育のあるべき姿を根本的に見直し、だんだんと薄れている朝鮮族学校の魅力を回復させることは、たいへん重要なことであると言えよう。
コメント

中国朝鮮族と在日朝鮮人の民族教育 6

2007年05月26日 | 民族教育
■中国朝鮮族教育を巡る問題点 3
民族教育の経費問題
 1951年に開かれた第一次全国民族教育工作会議では、「少数民族地区の教育経費に関しては、各地の人民政府は一般教育経費の支給以外に、民族地区の状況によって、特別支出金を提供し、少数民族学校の設備や教師の待遇、生徒生活などの困難の解決に援助する」と規定したが、今日までにまだ法律の形になっていない。その結果、現在地方財政から人件費つまり教職員の給料しかもらえない学校(たとえば琿春市第1実験小学校、龍井高校)も少なくない。
 とくに、最近市場経済の進展により、かつて財政などの面で優遇されていた民族教育への投資は減少している。地方への分権により国の財政が困難となったため、中央財政の少数民族教育への特別支出金は毎年7100万元から2000万元へと減少した。
 現在、財政難の問題は、いろいろな面において朝鮮族教育に悪影響をもたらしている。
 たとえば、漢語による教育出版物に比べると、朝鮮語のものが非常に少ないのである。
 1947年に設立された延辺教育出版社は、全国朝鮮族学校の教科書や教育出版物の編集、出版につとめてきた。しかし、発行数量が少ない。漢語から朝鮮語に翻訳すると頁数は20~30%も増えるが、国家の政策によって本の値段自体が変わらないために赤字がますます多くなっている。1994年では、年間600種類の1046万5千冊の出版物を出したが、赤字は350万元であった。1998年、同社の赤字はさらに440万元へと増えたのである。
 このような財政上の問題で、現在一部の必要な教科書や教育参考書は出版できない状況に陥っている。例えば、延辺大学「朝鮮語文」学部の20種類以上の教科書は印刷数量が少ないため、まだ出版されていない。学生たちはやむをえずノートを取りながら勉強しているので、ほかの学部の学生たちから「ノート学部」とからかわれている。
 1980年4月の調査によると、延吉市の朝鮮族重点小学校の学生が年間に読む課外読物の数量は、長春市の同じ学年の漢族学生の37%で、朝鮮族中学生が読む課外読物の数量は、長春市の漢族学生の25%にすぎなかった。
 また、延辺地区の新華書店(中国最大の書店)にある朝鮮族図書が総図書に占める割合は、文化大革命のまえには50%以上であったが、70年代には40%、80年代には20%、1995年の時点では7%へと減ったのである。
 いうまでもなく、このような教育出版物の不足問題は、学生たちの勉強にも影響しており、彼らの素質を高めるにはたいへん不利である。しかし、市場経済が進展しているなか、どうしても経済効果を優先させる傾向がある。それゆえに、教育資金の不足から生じたいろいろな問題は、これからもしばらく続いてゆくだろうと思う。
 現在、吉林省の場合、省教育委員会民族教育処による毎年100万元の民族教育専用経費(朝鮮族、満族、モンゴル族などの民族学校の校舎建設などに使う)と8万元の民族教育専用補助金(教育設備の更新などに使う)が、各民族学校の主な運営資金となっている。 
 しかし、これだけではとても足りない。3年制の朝鮮族中学校を4年制に延長する計画を実施するために、延辺だけで、316の教室、3000平方メートルの学生の宿舎、1248名の教師を増加する必要があり、この予算は2323万元となっている。
 少数民族教育に関する法律を作る必要性と緊迫性を訴え、立法することによって民族教育の経費を保障することは、もっとも根本的な解決法であろう。現段階では、各地の政府当局に民族教育の合理性と重要性を訴え、もっと多くの教育資金を求めることはより現実的な解決法であろう。そのほか、朝鮮族の伝統を発揮し、独自で一部の資金を集めることも必要ではなかろうか。事実上、延辺では1985年から1990年までの五年間に、校舎建設などに投入された資金は1億500万元であったが、その60%は民間からの募金であった。
コメント

中国朝鮮族と在日朝鮮人の民族教育 5

2007年05月23日 | 民族教育
■中国朝鮮族教育を巡る問題点 2
二言語教育の問題
 少数民族学校において、自民族語と中国の共通語である漢語を同時に教えることは、「二言語教育」と呼ばれる。朝鮮族の二言語教育は中国で成功している例として取り上げられているが、実際には問題がまだ多い。
 延辺地区と散居地区における朝鮮族子どもの家庭のなかでの言語の使用状況が違う。延辺地区の子どもは、朝鮮語を母語としている人が多いが、散居地区の子どもは漢語を母語としている人が多い。したがって、延辺地区と散居地区の朝鮮族子どもが二言語を身に付ける順番も違う。つまり、延辺地区の子どもはまず朝鮮語を身につけてから漢語を勉強するが、散居地区の子どもは漢語を身につけてから朝鮮語を勉強するのである。
 それゆえに、彼らに二言語教育を施す時にも、それぞれ違った教育目標を制定し、違ったカリキュラムや教材を作るべきであると思う。北朝鮮や韓国の子どもに比べても劣らない朝鮮語能力を有する龍井実験小学校の子どもたちと入学する前に挨拶程度の朝鮮語しかできない散居地区の子どもたちに同じような朝鮮語教育を行うのは、いうまでもなく不合理であろう。
 しかし現在、散居地区の朝鮮族学校は、自らの状況を考えたうえで、朝鮮語の授業に多くの時間を割いたり、漢語の授業では漢族学校で使われている「語文」の教科書を取り入れたり工夫しているが、朝鮮語文の教材としては、延辺地区の子どもと同じく延辺朝鮮族教育出版社の出版したものを使用しているのである。そのために、散居地区の朝鮮族学校は延辺地区の学校より朝鮮語の授業にかなり多くの時間を割いている(たとえば、小学校の場合は52.6%も多い)。
 以上のことから、民族教育の対象となるものをさらに細分し、延辺地区と散居地区の朝鮮族子どもの特徴をじゅうぶんに考慮に入れた二言語教育を実行して行くことは、中国朝鮮族における二言語教育のもっとも重要な問題ではなかろうか。
 朝鮮族学校では、漢語以外の授業はすべて朝鮮語によって行い、漢語は外国語のような科目にすぎないので、漢語に弱い子どもが多い。本論文のアンケート調査から見れば、朝鮮族学校出身の8割程度の学生は、大学に入ってから漢語で困った経験がある。
 改革・開放、市場経済の進展により、漢語の重要性が様々な領域で高まっており、漢語に弱い朝鮮族学校の卒業生は進学や就職などの面でたいへん不利である。そこで、朝鮮族学校は、漢語の授業時間を増やしたり、開始の時間を小学校一年に早めたりして、学生の漢語能力の引き上げに努めている。しかしその結果、朝鮮族学校の子どもの負担はますます増加している。
 朝鮮語、漢語両方を勉強するため、朝鮮族学校の子どもの授業時間数は、漢族学校の子どもより1000時間も多い。これは漢族学校の1年間の授業量にあたる。
 このような負担は、子どもたちの学習の質を低下させ、漢語だけではなく、ほかの科目の勉強にも影響を与えている。そのため、3年制の中学校を4年制に延長する実験(たとえば延辺朝鮮族自治州和龍市龍水初級中学校)も行われていたが、反対する人も多く、まだ全面的に実施されていない。
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中国朝鮮族と在日朝鮮人の民族教育 4

2007年05月21日 | 民族教育
          5月17日から19日まで3回連載した金山さんが日本語で書いた「中国朝鮮
         族と在日朝鮮人の民族教育」の序章の一部分につづき、同論文第2部「中
         国朝鮮族の民族教育」の「中国朝鮮族教育を巡る問題点」を連載します。
          金山さんは、長春生まれの朝鮮族で、7年間日本の九州大学で「比較社
         会文化」を研究し、大連で日本語教師をしたあと、2005年7月から海南大学
         外国語学院で教師をしています。
                         紀州鉱山の真実を明らかにする会

■中国朝鮮族教育を巡る問題点 1
 中国人としてのナショナリティと朝鮮族としての民族性の育成に関わる問題点
中華人民共和国が成立してから2003年にいたるまで、合計5回の全国民族教育工作会議が開かれ、各歴史時期における少数民族教育に関する政策などを決めてきた。それらの会議に出された文献資料を通してみると、少数民族教育に関する方針は各歴史時期において国の政治路線に基づいて変化していることがわかる。しかし、少数民族教育が社会主義方向と中国共産党の指導権を堅持しなければならないということは、ずっと変わっていないのである。これは、中華人民共和国は中国共産党の指導のもとで創設された社会主義制度を実行している国という性格によって決められたものであり、少数民族教育を発展させる前提条件である。
 たとえば、1992年3月に開かれた「全国第四次民族教育工作会議」では、民族教育を発展させる具体的な方針を打ち出したが、その第一条は次のように述べている。
   「民族教育は、わが国の社会主義教育の重要な部分であり、社会主義現代化を建設す
  るために働き、生産労働と結び合わせ、徳.智.体が全面的発達する建設者と後継者を
  育成しなければならない。マルクス主義の指導のもとに、少数民族と民族地域の特徴を
  配慮し、学生に党(中国共産党を指すーー作者)の基本的路線に関する教育、歴史と国
  の実情に関する教育、愛国主義の教育、民族団結と国の統一を維持させる教育を行い、
  正確な政治方向を堅持させなければならない」。

 また、2002年7月に開かれた第五次全国民族教育工作会議において、当時国家教育部部長をつとめていた陳至立氏は指導的意味を持つ講話をし、そのなかで彼女は
   「民族教育はわが国の教育事業の重要な部分である。民族教育の改革と発展は、全面
  的かつ徹底的に(中国共産)党の社会主義初級段階の基本路線に基づいて実行しなけれ
  ばならず、民族教育の社会主義の性格を保たなければならない」
と改めて強調している。

 このように、中国少数民族の教育には、国民統合の側面と少数民族の民族性への配慮の側面が両方含まれているが、中国共産党の指導と社会主義方向の堅持ということはあくまでも少数民族教育を発展させる前提条件であり、民族性の育成という問題より優先されている。つまり、中国人としてのナショナリティの育成は朝鮮族教育の第一の任務であり、朝鮮族としての民族性の育成はその第二の任務であるのである。
 朝鮮族学校では社会、地理、歴史などの文系の科目と理系のすべての科目において統一教材をそのまま翻訳した教科書を使っており、普通の漢族学校と同じような内容を教えている。また、朝鮮族学校の特徴付けともいえる「朝鮮族歴史」という科目はまだ開設しておらず、朝鮮語の教科書においても国民教育の内容は全体の3割を占めており、朝鮮族としての民族性を育成するための内容は1割程度にとどまっている。
 このような状況はまさに「中国人としてのナショナリティを第1、朝鮮族としての民族性を第2」という原則の現れであるといえよう。
 ところが、中国人としてのナショナリティを育成する教育は基本的に総人口の圧倒的多数(92%)を占める漢民族の教育である。そのために、少数民族の民族教育の発展は必ずしも自民族文化の発展を促進するとは限らず、少数民族の漢民族化を促してしまう可能性があり、少数民族の反発を招く可能性もある。そこに中国人としてのナショナリティと少数民族としての民族性の矛盾が生じるのである。
 このような矛盾を抱えている民族教育にとって、両者の関係をいかにうまく処理するのかということは、たいへん難しい問題である。
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中国朝鮮族と在日朝鮮人の民族教育 3

2007年04月09日 | 民族教育
 在日朝鮮人の民族教育は、1945年から始まる。
 第二次世界大戦の終結により、朝鮮は日本の植民地支配から解放された。日本に住んでいた朝鮮人たちは帰国に備えて、朝鮮語のわからない子どもたちのために多くの朝鮮語講習所を作ったが、それが在日朝鮮人教育の最初となる。
 その後、約60万の朝鮮人が日本に在留せざるをえなくなった。彼らは「在日朝鮮人連盟(略称朝連)」の指導のもとで、日本各地に多くの朝鮮人学校を作り、かつて同化教育を受けて民族性が薄れていた子どもたちに朝鮮語や朝鮮地理、朝鮮歴史などの科目を教え、民族の誇りを持たせるために努力していた。
 1948年4月現在、朝連傘下には566ヶ所の朝鮮人学校があり、53,000人の朝鮮人児童・生徒が在籍していた。同じ時期、民団傘下にも小学校52ヶ所(生徒数6,297人)、中学校2ヶ所(生徒数242人)、訓練所2ヶ所(学生数289人)あった。これは、在日朝鮮人教育の歴史のうえで学校数と生徒数のもっとも多い時期の1つであり、在日朝鮮人教育の第1の黄金期であった。
 しかし、1948年からGHQと日本当局は朝鮮人学校を厳しく規制しはじめ、暴力的手段による弾圧をはじめた。よって、多くの朝鮮人学校が閉鎖され、在日朝鮮人教育は大きく後退した。  
 「サンフランシスコ条約」の発効(1952年4月)に伴って、日本当局は在日朝鮮人教育に対する政策を変え、暴力的弾圧から日本の義務教育の対象から排除する無視政策へと転換した。しかしそれは、在日朝鮮人に民族教育を発展する空間を与えることにもなった。
  そこで、在日朝鮮人は1955年に結成された朝鮮総聯の指導のもとで、北朝鮮からの資金的援助を受けながら、朝鮮大学校をはじめ、多くの朝鮮学校を作り、小学校から大学までの完全な教育システムを作り上げ、在日朝鮮人教育の第2の黄金期を築いた。しかし1970年以降、朝鮮人学校に就学する朝鮮人児童・生徒はますます減少し、在日朝鮮人教育は衰退期に入ったのである。
 以上のように、在日朝鮮人教育は歴史の上で二つの黄金期があった。つまり、植民地支配から解放された時期とGHQと日本当局による厳しい弾圧が緩やかになってきた時期であり、長い間厳しい抑圧を受けたことによって、在日朝鮮人の民族意識が高揚していた時期であった。この意味で、中国の朝鮮族教育の状況と同じく、外からの抑圧によって高揚した民族意識が民族教育の発展する重要な要因であったといえる。
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中国朝鮮族と在日朝鮮人の民族教育 2

2007年04月08日 | 民族教育
 歴史的に見れば、中国朝鮮族の民族教育は、中華人民共和国が建国するまえの中国朝鮮人教育と建国したあとの中国朝鮮族教育に分けられる。
 近代的な中国朝鮮人教育は、瑞甸書塾の開設(1906年、延辺朝鮮族自治州の龍井)にはじまる。日韓合併後、多くの朝鮮人が祖国を離れて中国の東北部に移住するようになった。祖国が日本に合併され、亡国の民となった朝鮮人たちは、朝鮮の独立を目指して多くの朝鮮人学校を設立して朝鮮人子弟に自民族としての教育を行い、中国朝鮮人教育の黄金期を築き上げた。これらの朝鮮人学校は、朝鮮語、朝鮮地理、朝鮮歴史などの授業を積極的に行い、子どもたちの民族的意識を育成することに努めた。
 1931年9月18日、満州事変が起こり、翌年3月1日に「満州国」が成立した。日本は「満州国」政府を操縦し、中国東北地区に対する植民地支配を実行した。そのなかで、中国朝鮮人教育も厳しく抑圧され、大きく後退した。
 1945年、第2次世界大戦が終わり、中国の東北地区が解放された。中国にいた朝鮮人たちは、「民族自主、民族自治」政策を掲げてきた共産党とともに国民党の軍隊と戦い、国共内戦の勝利を収めた。その後、100万以上の朝鮮人が新しく建国された中華人民共和国にとどまることを選び、中国の1つの少数民族――朝鮮族となった。したがって、中国朝鮮人教育も中国朝鮮族教育へと転換した。
 その後、中華人民共和国が建国してから反右派闘争がはじまるまでの時期における中国朝鮮族教育は中国朝鮮族教育の第1の黄金期であった。長い間日本の植民地支配政策を受け、民族の言語、文化さえ否定された朝鮮族は、中国政府の「各少数民族はすべてその言語、文字を発展させ、その風俗習慣を保持あるいは改革する自由及び信教の自由を有する。人民政府は少数民族大衆を援助して、その政治、経済、文化、教育の建設事業を発展させねばならない」という民族政策のもとで、子どもたちに朝鮮語による教育を積極的に行い、東北各地にたくさんの朝鮮族学校を設立し、小学校から大学までの完全な教育システムを作り上げた。
 しかし、後の反右派闘争と文化大革命の時期において、朝鮮族学校を漢族学校に併合させて民族連合学校を作ることが多く見られ、朝鮮語や朝鮮語による教育が厳しく制限され、多くの朝鮮族教師が追放された。朝鮮族教育は大きな被害を受けた。
 1978年以降、文化大革命の終結によって、朝鮮族教育が全面的復活した。単独な朝鮮族学校が復興され、小中学校では漢語以外の授業がすべて朝鮮語によって行われるようになり、朝鮮族教育は第2の黄金期に入った。しかし1990年代以後、朝鮮族学校に通う子どもがだんだんと減少し、朝鮮族教育は衰退しはじめた。
 以上のように、中国における朝鮮民族の民族教育は、歴史のうえで三つの黄金期があったが、それぞれ祖国が日本の植民地とされた時期と厳しい抑圧から解放されたあとの時期であった。外部からの抑圧に反発して民族意識が高揚し、それが民族教育を発展させる重要な要因であったといえる。
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中国朝鮮族と在日朝鮮人の民族教育 1

2007年04月07日 | 民族教育
      ■金山さんが日本語で書いた「中国朝鮮族と在日朝鮮人の民族教育」の序章の一部
      分を連載します。
       金山さんは、長春生まれの朝鮮族で、7年間日本の九州大学で「比較社会文化」を研
      究し、大連で日本語教師をしたあと、2005年7月から海南大学外国語学院で教師をして
      います。
       金山さんとわたしたちは、ことし1月23日に大到坡にいっしょに行きました。
                                  紀州鉱山の真実を明らかにする会



 多民族社会において、民族的少数者が多数民族とともに生活するなかで、どのようにして自民族の未来を担う子どもたちに自民族としての民族教育を施すかという問題は、自らの民族性が維持できるかどうかにかかわる重要な問題である。
 1949年に建国された中華人民共和国は、56の民族からなる多民族国家である。全国総人口の91.59%を占める漢民族のほかに、55の民族が居住している。これらの民族は、漢民族に比べると、いずれも人口がずっと少ないので、「少数民族」と呼ばれている。
 現行の中華人民共和国憲法(1982年)は、序言で「中華人民共和国は全国各民族の人民によって共同してつくられた統一した多民族国家である」と述べ、第4条では「各民族は一律に平等である」と規定している。これは、中国の少数民族についての法的な位置付けである。朝鮮族は、そのなかの一つの少数民族である。2000年現在、192万3千800人の朝鮮族が中国に住んでいる。
 朝鮮族は中国に移住してから自民族の子どもたちへの教育を重視し、絶えず教育活動を行ってきた。とくに、中華人民共和国が成立したあと、中国政府の少数民族に対する優遇政策のもとで、朝鮮族教育は多大な成果をあげている。たとえば、延辺朝鮮族自治州は中国少数民族のなかではじめて初等教育(1952年)と中等教育(1958年)を普及している。 また、吉林省全体として、1996年の時点で、朝鮮族の子どもの各級学校への入学率は小学校99.2%、中学校97%、高校60%という高い数字となっている。それゆえに、延辺朝鮮族自治州は全中国の中でも教育水準の高い地区として認められており、朝鮮族教育は中国でかなり成功している例として高く評価されている。筆者自身も中国朝鮮族の一人として、朝鮮族学校で学んだ経験がある。
 ところで、1990年代以降、市場経済のもとで、中国の朝鮮族教育は多くの問題に直面しており、厳しい状況に置かれている。計画経済の時代に財政などの面で少数民族学校に与えられた優遇政策が弱められ、大規模な人口移動によって朝鮮族学校の分布状況が変わり、小規模の朝鮮族学校に対する統廃合が急激に進められている。それと同時に、朝鮮族学校よりも大学への進学率の高い漢族学校に子どもを就学させる朝鮮族が多くなっている。なかでも、朝鮮族の分散して居住している散居地区において朝鮮族子どもの「脱朝鮮族学校」問題がとくにひどく、長春、ハルピン、瀋陽などの大都会ではその割合はすでに20~30%へとなっている。
 一方、日本の朝鮮半島に対する植民地支配の結果として、現在およそ60万人の在日朝鮮人が日本に住んでいる。中国朝鮮族の状況と違って、在日朝鮮人はいまだ日本の国籍を取得しておらず、法律の上では日本に永住する韓国人か朝鮮人となっている。そして、朝鮮半島の分断により、在日朝鮮人社会も朝鮮民主主義人民共和国(以下は、「北朝鮮」と称する)を支持する在日朝鮮人総連合会(略称「総聯」)と大韓民国(以下は「韓国」と称する)を支持する大韓民国居留民団(略称「民団」)という二つの民族団体にわけられ、激しく対立してきた。教育の面において、二つの民族団体は本国の教育理念に従ってそれぞれ異なった民族教育を営んでいる。うち、総聯系学校は在日朝鮮人教育の主流をなしており、小学校から大学までの完全な教育システムを持っている。2001年現在、総聯は合計124ヶ所(初級学校67ヶ所、中級学校44ヶ所、高級学校12ヶ所、大学校1ヶ所)の学校を運営しており、民団は4ヶ所の朝鮮人学校を運営している。それらの学校は、大阪建国学校と金剛学園(ともに民団系学校である)が日本の学校教育法上の一条校であるほか、すべて各種学校である。
 在日朝鮮人は戦後GHQや日本当局による厳しい抑圧と戦い、民族教育の場である朝鮮人学校を守り抜いてきたが、現在では非常に深刻な問題に直面している。1970年代から減少し続けてきた朝鮮人学校の学生数はいまだに歯止めがかかれず、朝鮮人学校に就学する在日朝鮮人子弟はすでに全体の1割以下となっており、中国の朝鮮族学校よりもっと深刻な問題となっている。
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