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三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

「世界が驚いた韓国の「民主主義の情熱」、新たな跳躍の火種に」

2025年04月08日 | 韓国で
「The Hankyoreh」 2025-04-07 10:01
■世界が驚いた韓国の「民主主義の情熱」、新たな跳躍の火種に【コラム】
 韓国を危機から救ったのは、裁判官ではなく国民 
 反動と退行の時代に「民主主義の回復力」を示し 
 戒厳を阻止し、憲法裁を動かした市民たちの願いを実現させるべき 
 弾劾賛成の政治・市民勢力による「多数派連合」の構築を

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が罷免された。2022年5月10日の就任からわずか2年11カ月。昨年12月3日の内乱失敗以降、事実上国政が麻痺していたことを考慮すると、5年の任期の半分だけを終えて追い出されたわけだ。8年前に弾劾された朴槿恵(パク・クネ)大統領(任期を11カ月残して退任)と比較しても、あまりにも早い退場だ。あらゆる人の想像を超えた非常戒厳が直接のきっかけになったが、根本的な理由は別のところにある。すなわち、国政運営の惨憺たる失敗だ。
 尹前大統領が政権に就いた3年近い時間、大韓民国は立ち止まっていた。現状維持どころか、むしろ墜落した。経済は沈滞し、国民生活は困窮するようになり、朝鮮半島の平和と安定は崖っぷちの状況に追い込まれた。進歩・保守を問わず歴代すべての政権は、社会福祉を拡大し、成長のための研究開発投資に力を入れた。尹前大統領はそのような基本的な任務にあっさり目をつぶった。今年の韓国の経済成長率は0%台に低下する可能性があると、ある世界的な投資銀行は予測した。ウクライナ戦争をはじめとする外的変数が作用したとはいえ、状況に機敏に対応できない政府の責任が大きい。
 大統領は国民には関心を持たず、ひたすら「左派清算」ばかりを叫んだ。「破廉恥な従北反国家勢力を一挙に清算するために」非常戒厳を宣布すると述べた。国政運営の最高責任者が理念戦争に没頭するのだから、政権が正常に回るわけがない。セマングム世界ジャンボリー大会での惨事や、釜山(プサン)博覧会誘致の失敗は端的な事例だ。「目覚めてみれば後進国」というハンギョレのコラムの題名は誇張ではない。
 大統領制のもとで大統領ひとりを間違って選んだ結果がいかに重いのかを、われわれは尹前大統領を通じて実感した。法執行機関に抵抗して「最後まで戦おう」と支持者を扇動する姿は、国民が抱いてきた「大統領の望ましい像」とはかけ離れていた。憲法裁の罷免決定はだからこそ幸いだ。戒厳と弾劾という無残な過程を経たが、無能のみならず邪悪ですらあった統治者に、さらに2年間を任せることなく新政権発足の機会を得ることになったのは、逆説的に機会だと考えられる。
 これからは弾劾を越えて新たな跳躍を始めなければならないときだ。憲法裁の尹大統領弾劾で意義があるのは、韓国の驚くべき民主主義の回復力を全世界に示したことだけでなく、流血の事態なしに平和に民主主義をよみがえらせたことだ。昨年12月3日夜に尹大統領が非常戒厳を宣布したとき、欧米は「最も躍動的に発展する国の一つ」である韓国で、どうしてこのようなことが繰り広げられるのかと驚いた。しかし、韓国国民がみせた民主主義の情熱と回復の過程は、全世界に響きを与えるのに十分だった。
 「尹錫悦逮捕」を求め、ソウルの漢南洞(ハンナムドン)にある大統領官邸の前で、大雪のなかでも夜を徹したデモ隊の写真は象徴的だ。憲法裁の決定が遅れ、心配と怒りが強まったが、最後まで既存の制度を信じて平和的手段で待ち続けたことも、評価に値する。憲法裁は、誰も反論できないよう、「大統領尹錫悦を罷免しなければならない理由」を一つひとつ説得力をもって提示することで、国民が長く待ち望んでいたことに応えた。
 世界的に反動の時代だ。1990年代の東欧民主化後、オレンジ革命、ジャスミン革命、アラブの春につながり、民主主義は逆らうことができない流れとして地位を確立した。韓国はいつも先鋒だった。1987年の6月抗争で軍事独裁政権を終わらせ、10年後に憲政史上初めて平和的な政権交替を実現した。2017年には数百万人が広場でろうそくを灯し、権威主義統治を復活させた大統領を退陣させた。しかし最近になり、アジアや南米だけでなく欧州や米国でも、選挙で政権に就いた後に民主主義に逆行する権威主義的な指導者がますます増加している。米国のドナルド・トランプ大統領やハンガリーのビクトル・オルバン首相がそうだ。
 尹錫悦前大統領も同じだ。選挙でかろうじて勝利したにもかかわらず。民主主義の手続きを無視し、国会との妥協を拒否し、検察権を乱用した。最後には、歴史の裏側に消えたと信じられていた非常戒厳を持ち出し、軍を動員して国会を制圧しようとした。アジアや南米では、民主主義が崩壊したとき、いかなる流血事態もなしに平和な方法で再び完璧に回復した事例は容易に見いだすことができない。長期間の軍事独裁時代を経て、誰よりも権力の退行に敏感である韓国国民の感受性と情熱が、今の時代に「生きている民主主義の見本」として世界の多くの人々にインスピレーションを与えている理由だ。
 民主主義を復活させる過程で、制度や手続きが一つも損なわれなかったことにも意義がある。2017年に朴槿恵弾劾を引き出したろうそく集会は、香港の民主化運動を経て、ミャンマーの軍事クーデター反対デモにつながった。2025年の韓国の極悪非道な権力者の追放が、米国や欧州で可視化する民主主義の後退の流れに対して、一つの警鐘になることを希望する。
 しかし、民主主義を守っただけでは不十分だ。尹前大統領の内乱の試みと、その後に生じた保守陣営の「尹錫悦守護」の動きは、もはや極右政治勢力をそのまま放置することは許されず、極右勢力を孤立させることが韓国政治の当面の課題として浮上したことを示している。尹錫悦前大統領の非常戒厳は、軍の指揮官と将兵の支持をほとんど得られなかったほど、名目のない行動だった。しかし、彼の偽りの主張を支持する極右集団はむしろ勢力を拡大した。
 チョン・グァンフン牧師が率いる「アスファルト極右」(街頭で行動する極右)が主軸となった自由統一党は、昨年4月の総選挙では2.26%の支持率にすぎなかったが、数日前に行われたソウル市九老(クロ)区庁長補欠選挙では、32%の支持を獲得した。もちろん、与党「国民の力」の候補が出馬せず、「保守唯一の候補」という反射利益を得たことが大きかった。しかし、ユン・サンヒョン議員が公然と応援演説を行うなど、与党内部の支持が少なからぬ役割を果たしたこともまた事実だ。
 健全な政党であれば、過激主義を制御できるバランス感覚と力量を持たなければならない。現在の与党「国民の力」はそうではない。それどころか、共和国を破壊しようとした尹錫悦前大統領を擁護し、アスファルト極右勢力に引きずられている。党員たちの雰囲気では「尹錫悦支持、弾劾反対」を強く叫ぶ人物が次期大統領候補に選ばれる可能性が非常に高いとみられる。心配なのは、国民の力の極右化傾向が、短期間で消えるようなものではないことだ。デモ隊のスローガンが、単なる「弾劾反対」ではなく、中国人などの外国人嫌悪や、フェイクニュースである不正選挙反対に変質していることは、欧州の極右政党の成長背景と一定程度は軌を一にする。
 2017年の朴槿恵弾劾で、韓国国民が深く心に刻まなければならない教訓がこれだ。はるかに広範囲だった広場のろうそく、そして、進歩と合理的保守まで網羅した「弾劾連帯」は、新政権発足後、社会的大妥協の重要な基盤として作用する機会があった。しかし、当時の弾劾連帯はいとも簡単に崩れ、新政権と市民社会の協力も続かなかった。文在寅(ムン・ジェイン)政権が朝鮮半島の平和の増進や新型コロナウイルスへの対応などで大きな成果を上げた点は評価に値する。しかし、ろうそくの連帯を改革推進のエネルギーにできなかったことは、任期中を通じて困難に直面させ、2022年の大統領選で尹錫悦という何の準備もない検察官出身のポピュリストに国政を渡す最悪の結果としてあらわれた。これから2カ月後に憲政史上2回目の弾劾で誕生する新政権は、この点を正確に認識し、注意深く対応していかなければならない。
 弾劾裁判は終わったが、戒厳に反対して弾劾に賛成した政界と市民社会団体を一つにまとめ上げることが、課題として残っている。誰が大統領になったとしても、新政権は戒厳事態で激化した葛藤と対立の激流を渡らなければならない。一時的な連帯をさらに固め、持続力のある「多数派政治連合」に結びつけることが必要だと思われる。それでこそ、少子高齢化や地方消滅などの複合危機に対処し、経済再跳躍を成し遂げる国民的エネルギーをうまく集めることができる。
 1997年のIMF危機に劣らない総体的な危機だ。2025年4月4日に憲法裁は全員一致で「尹錫悦大統領罷免」を宣告したが、危機の瞬間に国を救ったのは裁判官ではない。まさに国民だ。12月3日夜の非常戒厳宣布のニュースを聞き、国会に駆けつけ、戒厳軍を阻止した平凡な市民たちだ。内乱の試み後、ほとんど一日も欠かさず、光化門(クァンファムン)、汝矣島(ヨイド)、漢南洞(ハンナムドン)、南泰嶺(ナムテリョン)で集会に参加した市民たちが民主主義を守った。この人々とともに進まなければ、これから訪れる無数の困難を乗り越えることはできない。

パク・チャンス|大記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-04-06 10:15


「The Hankyoreh」 2025-04-07 08:07
■祭りになったソウル都心の集会、「民主主義の勝利」を満喫…「新しい世界を迎えよう」

【写真】「尹錫悦即時退陣・社会大改革非常行動」(非常行動)が5日午後、ソウル鍾路区景福宮東十字閣で開いた「勝利の日汎市民大行進」で、参加者たちが民主主義の勝利を叫んでいる=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 「非常戒厳宣言から123日目でようやく内乱首謀者の尹錫悦(ユン・ソクヨル)を倒しました。 私たちの人生がドラマチックに変わることはないかもしれません。だけど、広場で愛と連帯の力で勝利する方法を学んだ私たちは、きっと12月3日以前とは違う世界を作っていけるでしょう」
 尹錫悦前大統領が罷免された翌日の5日、ソウル景福宮(キョンボククン)の東十字閣(トンシプジャガク)で開かれた「尹錫悦即時退陣!社会大改革!第18回汎市民大行進」(汎市民大行進)に参加した市民たちが、司会者の話を聞きながら笑顔で互いを見つめた。毎週末「尹錫悦を罷免せよ」という叫びが鳴り響いていたソウル都心はこの日、「民主主義が勝利した」というスローガンで埋め尽くされた。そして市民たちはもう一つのスローガンを忘れずに叫んだ。「新しい世界を迎えよう!」
 大統領罷免後、これまで広場から溢れ出た様々な声をもとに、「再び巡りあう世界」(少女時代の歌「Into The New World」のタイトルから)を準備しなければならないという要求が噴出している。弾劾集会の演壇には労働者や農業者、青少年、女性など様々な人々が上がり、これまで経験した差別と苦しみを語り、これを解消する代案作りを要請した。広場の叫びを牽引してきた「尹錫悦即時退陣・社会大改革非常行動」(非常行動)では、127団体、189人の専門家と活動家が市民の要求を分析し、「社会大改革に向けての課題」としてまとめた。政界と新政権に「みんなのための民主主義」を本格的に求める計画だ。
 広場に集まった人々の底辺が広かったことで、要求も多彩になった。非常行動の社会大改革課題は、憲政秩序の回復、政治・司法改革、経済・暮らしの問題、性平等、気候危機、ケアワーク、労働、言論の自由、教育・少年、食糧主権など分野だけでも12項目で、それに伴う法律制定と改正、政策基調の転換など課題は118項目にのぼる。関連した細部課題は424項目だ。特に性平等と気候危機分野の課題が多い。非常行動のキム・ジュホ政策企画チーム長は、「朴槿恵(パク・クネ)元大統領の退陣の時より、社会的にジェンダーや気候変動問題をさらに敏感に受け止めるようになった」とし、「尹錫悦政権下でかなり後退したテーマであるだけに、(社会大改革の課題として)強調された」と説明した。非常行動は、これらの課題を野党と協議し、大統領選挙の議題にする計画だ。先月10日、「共に民主党」など6野党は共同文書を発表し「尹錫悦罷免後にも、市民参加が保障された中で社会大改革を成し遂げるために協力する」という立場を表明した。
 至難な4カ月の記憶を振り返り、罷免宣告の喜びを満喫する「週末の祭り」だった汎市民大行進で、市民たちは口を揃えて「罷免は終わりではなく始まり」だと語った。忠清南道牙山市(アサンシ)から来たチョ・ヒョンさん(45)は「過去の時間が報われた気がして胸が熱くなったが、また新たな始まりだと考えると、気が重くなったりもする」とし、「憲法の価値をきちんと守る社会になってほしい」と話した。
 車椅子に乗って演壇に上がったチン・ウンソンさんは「広場に集まった私たちは同じではないが、互いに異なるという違いの中でも似た点を探し出し、差別と抑圧を受けた経験をつなげてきた」とし、「この連帯の力を一瞬も逃さず、罷免以降の日常に持ち込みたい」と語った。この日の集会で、ガールズグループaespaの「Whiplash」とロックバンド無限軌道の「君に」の曲に合わせて鳴り響いたスローガンも、「罷免、罷免、尹錫悦罷免」を越えて「変えろ、変えろ、世界を変えろ」に変わっていた。

イム・ジェヒ、パク・ゴウン、イ・ジヘ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-04-07 00:18
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「韓国国民の81%「憲法裁の尹錫悦罷免決定を受け入れる」」

2025年04月07日 | 韓国で
「The Hankyoreh」 2025-04-07 07:12
■韓国国民の81%「憲法裁の尹錫悦罷免決定を受け入れる」【世論調査】
 保守層でも66%…中道層は85% 
 野党のイ・ジェミョン代表、与党の有力候補との2者対決で50%以上の支持獲得 

【写真】ムン・ヒョンベ憲法裁判所長職務代行が4日午前、ソウル鍾路区の憲法裁判所の大審判廷で、尹錫悦大統領弾劾審判の認容決定文を読み上げている=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 韓国国民の10人中8人が、憲法裁判所が4日に言い渡した尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の罷免決定を受け入れると答えた世論調査結果が6日に公開された。 この日、韓国ギャラップが「ソウル経済新聞」の依頼で4~5日に全国の18歳以上1012人を対象に実施した緊急世論調査(信頼水準95%、誤差範囲±3.1ポイント、応答率9.5%)の結果によると、憲法裁の決定を「受け入れる」という回答は81%で、「受け入れられない」(17%)を大きく上回った。「分からない・回答拒否」は2%だった。今回の調査は、ランダムに抽出された有線・無線の電話番号に調査員が電話をかけ、インタビューを行う方式で行われた。
 特に、保守層(66%)で憲法裁の決定を受け入れるという回答が「受け入れられない」(33%)という回答の2倍に達した。中道層の場合は受け入れるとの回答が85%、革新(進歩)層では97%だった。
 与党「国民の力」の支持層でも、「受け入れる」という回答が52%で、「受け入れられない」(45%)という回答を7ポイント上回った。最大野党「共に民主党」と「祖国革新党」の支持層では、受け入れるとの回答がそれぞれ99%と100%だった。これに先立ち、強硬支持層を中心に弾劾認容決定を不服とするムードが高まり、暴力デモなどにつながるのではないかという懸念が高まったこととは異なる結果と言える。
 尹前大統領の罷免に伴い、早期大統領選挙が確定した中、民主党のイ・ジェミョン代表が国民の力の有力大統領選候補ら(キム・ムンス、ハン・ドンフン、ホン・ジュンピョ、オ・セフン)との仮想二者対決で、いずれも50%を越える支持率で大きく差をつけていることが分かった。イ代表は、キム・ムンス雇用労働部長官との仮想二者対決では53%でキム長官(35%)を上回り、ホン・ジュンピョ大邱(テグ)市長(38%)、オ・セフン・ソウル市長(37%)、ハン・ドンフン前国民の力代表(32%)との仮想二者対決でも50%以上の支持率で誤差範囲を超えてリードした。
 次期大統領の好感度調査でも、イ代表が40%で1位を占めた。キム長官(7%)、ハン前代表(4%)、ホン市長(4%)、オ市長(3%)の4人の支持率を合わせたもの(18%)の2倍以上となる。
 政党支持率は民主党が44%で、国民の力(33%)を誤差範囲を超えて上回った。祖国革新党と改革新党はそれぞれ2%だった。
 詳しい内容は、中央選挙世論調査審議委員会のホームページを参照。

イ・ユジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1190980.html
韓国語原文入力:2025-04-06 20:15


「聯合ニュース」 2025.04.04 17:40
■[尹大統領罷免]「重大な違反」判断根拠は? 国家緊急権の乱用
【ソウル聯合ニュース】韓国の憲法裁判所は4日、「非常戒厳」宣言を巡り弾劾訴追された尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領を罷免する決定を言い渡した。憲法裁は戒厳宣言について、国家緊急権を乱用した重大な違反行為であると指摘した。

【写真】宣告の主文を読み上げる文炯培(ムン・ヒョンベ)憲法裁所長権限代行(写真共同取材団)=4日、ソウル(聯合ニュース)

 憲法裁はその根拠としてまず、尹氏が国会との対立状況を打開する目的で軍や警察を国会に派遣して国会の憲法上の権限行使を妨害した点を挙げた。
 また、兵力で中央選挙管理委員会を家宅捜索し、憲法が定める統治機構を無視し、布告令を発令して国民の基本権を広範囲に侵害したとも指摘した。
 憲法裁はこのような行為自体が法治国家、民主国家の原理の基本原則に反するものだったとし、「それ自体で憲法秩序を侵害し民主共和政の安定性に深刻な危害を及ぼした」と判断した。
 また、最も慎重に行使されるべき国家緊急権を憲法で定めた範囲を超えて行使することで、大統領の権限行使に対する不信を招いたとみなした。
 ただ、憲法裁は野党主導により異例の多さで弾劾訴追案が国会に提出され、2025年度(1~12月)予算案については、政府原案から野党が削減のみ行い野党単独で可決するなど、尹氏が国政運営において困難に直面していたことを認めた。
 憲法裁は「被請求人(尹氏)が策定した主要政策は野党の反対で実施できず、その過程で野党の専横により国益が顕著に阻害されていると認識し、これをどうにか打開しなければならないという重大な責任を感じることになったとみられる」と指摘した。
 また、尹氏のこのような認識が政治的に尊重されなければならないことも事実だと認めた。
 ただ憲法裁は尹氏と国会の対立が、どちらか一方の責任とはみなし難く、民主主義の原理によって対話と妥協を通じて解消されるべき政治的問題だったとし、戒厳宣言を正当化することはできないと判断した。
 また尹氏が「国家緊急権の乱用の歴史を再現し国民に衝撃を与え、社会、経済、政治、外交の全分野に混乱を引き起こした」と強調した。
 憲法裁は、尹氏が就任後、国会議員総選挙が行われるまでの2年間、自身が国政を主導するよう国民を説得する機会が十分にあり、たとえ望まない選挙結果が出たとしても、野党を支持した国民の意思を排除してはならなかったと指摘した。
 また国会を協議ではなく排除の対象にする行為自体が、民主政治の前提を崩すことだとも規定した。
 憲法裁は尹氏が社会共同体を統合しなければならない責務に違反し、軍と警察を動員して憲法機関の権限を毀損(きそん)することで、国民の信任を重大に裏切ったと判断した。
 そのうえで、尹氏を罷免することで得られる憲法守護の利益は大統領の罷免による国家損失を圧倒するほど大きいと結論付けた。


「The Hankyoreh」 2025-04-05 12:32
■「同志よ、お疲れ様」…広場で罷免を見守った韓国市民、互いに感謝

【写真】4日、尹錫悦大統領の弾劾が認容され、ソウル光化門の座り込み現場前の旗手たちが集まり、記念撮影している=パク・コウン記者//ハンギョレ新聞社

 「主文。被請求人大統領尹錫悦(ユン・ソクヨル)を罷免する」。4日午前11時22分、憲法裁判所が尹錫悦大統領に全員一致で「罷免」を言い渡した瞬間、ソウル安国(アングク)駅6番出口前は泣き声、笑い声、互いに対する感謝と慰労の言葉が入り混じった歓声であふれた。「主権者が勝利した」という叫び声が響く間、紫色のジャンパーを着た10・29梨泰院(イテウォン)惨事の被害者たちは、市民と抱き合いながら泣いた。労働組合のベストを着た労働者たちは拳を振り上げ、障害者たちは車いすで満面の笑みを浮かべた。12・3内乱から123日、突然の戒厳宣布で「自由の脅威」を懸念していた心は、春の日の暖かな日差しの中に一瞬にして溶けていった。
 この日午前、憲法裁判所の最寄りの安国駅6番出口前で開催された「尹錫悦8対0罷免のための決起大会」に集まった1万人あまりの市民(警察による非公式推計、午前10時30分現在)は、路上を埋めつくして共に罷免言い渡しを見守った。多くの人々が、ムン・ヒョンベ憲法裁所長権限代行の読み上げる弾劾宣告文を、内乱の夜以降の恐怖と挫折の瞬間に対する慰めだと考えた。特に「戒厳解除は市民の抵抗と軍警の消極的な任務遂行のおかげ」という部分では、「抵抗し、崩れなかった」市民たちは大きくうなずいて拳を振り上げた。

【写真】憲法裁による尹錫悦大統領の弾劾審判が認容された4日、市民がソウル鍾路区の憲法裁判所近くの安国駅から景福宮駅まで行進している=キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦の罷免が確定した瞬間、路上に鳴り響いたバンド「DAY6」の歌「Time of Our Life(1ページになるように)」に合わせて、若者たちはみなで飛び跳ね、年配者は肩を揺らして踊った。歓喜する市民の間で、慶尚南道昌原(チャンウォン)からやって来たキム・ミヨンさん(52)も涙を流した。キムさんは「民主主義が生きているということを目撃し、とてもうれしい」と話した。やがて、弾劾広場の象徴になった歌、少女時代の「Into the new world(まためぐり会えた世界)」が流れた。
 「まためぐり会えた世界」を前にして何をなすべきか考えていきたいという決意表明も相次いだ。非現実的な大統領の戒厳宣布とその合理化以降、嫌悪にまみれた韓国社会を前にして、苦悩はいっそう深まった。大学生のイ・チェヒョンさん(20)は「尹錫悦を最後にして、今後は嫌悪政治によって勢力を結集する例が出てきてほしくない。広場で私たちが女性、労働者、障害者、農民、性的マイノリティーらの多様な弱者と共にあったように、これからはじまる新しい世の中も弱者が思う存分声をあげられる方向へと向かってほしい」と語った。
 全国各地の様々な場所でも歓喜する市民たちの姿があった。全羅南道長城(チャンソン)の白岩中学校での「弾劾審判契機教育」中に生中継を見た同校1年生のコ・ダユンさん(13)は、「私も母について行って、尹錫悦大統領(弾劾要求)集会に参加した甲斐がある」と感想を書いた。大邱市中区(テグシ・チュング)のCGV大邱ハニル劇場前で弾劾言い渡しを見守ったキム・ジョンテさん(24)は、「ついに憲法裁が国民の気持ちをきちんと受け止めたようだ」と言って涙ぐんだ。

【写真】尹錫悦大統領の弾劾が認容され、4日午前、ソウル鍾路区の安国駅一帯で市民たちが歓声をあげている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 市民たちはソウル松ヒョン(ソンヒョン)広場の地面に市民集会の象徴となった色とりどりの旗を広げ、互いに「同志よ、お疲れ様。市民が最高だ!」と叫んで集会を締めくくった。広場の地面に「炎の男、チョン・デマン」と記された旗を広げたKさん(24)は、再び旗を手にし、「大統領は罷免されても旗は手放せない」と話した。「尹錫悦は罷免されたが、今も連帯すべき所は非常に多い。子どもの頃、約束してなくても公園に行けば友達がいたように、これからも数多くの広場で『旗の同志』たちと、市民たちとまた会えると信じています」。

パク・コウン、コ・ナリン、キム・ギュヒョン、チョン・デハ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-04-04 19:35


「The Hankyoreh」 2025-04-05 11:59
■罷免された尹錫悦前大統領、謝罪も承服もなし…「与党、大統領選で必ず勝利を」

【写真】尹錫悦大統領が昨年12月3日、ソウル市龍山の大統領室で、キルギス共和国との共同声明に署名した後、席を立っている=キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 4日に大統領職を罷免された尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領が「皆さんの期待に応えられず、非常に残念で申し訳ない」と述べた。憲法裁の決定に対する承服はなく、「12・3内乱事態」に対する反省も謝罪もなかった。
 尹前大統領はこの日、法律代理人団を通じて配布した立場表明文で、「愛する国民の皆様、これまで大韓民国のために働くことができて非常に光栄でした」としたうえで、「力量不足の私を支持して応援してくださった皆様に、深く感謝申し上げる」と述べた。「愛する大韓民国と国民の皆様のために、常に祈っている」とも述べた。空白を除いて123字の立場表明文は、憲法裁の決定の2時間30分後に出された。
 4日午前、憲法裁による尹錫悦大統領弾劾訴追の容認後、ソウル市龍山区の大統領室庁舎に揚げられていた「鳳凰旗」を大統領室の関係者たちが下げている=大統領室記者団//ハンギョレ新聞社
 罷免直後に出された最初のメッセージだが、尹前大統領は罷免には言及しなかった。露骨に不服従を宣言してはいないが、承服したり受け入れたりするという内容もなかった。憲法裁が12・3非常戒厳宣言を重大な法律違反行為だと判断し、「主権者である国民の信任を大きく裏切った」と断じたが、尹前大統領は謝罪も反省もしなかった。自身を支持した人たちに限定した「感謝」だけが目につく。
 この日午後、ソウル市漢南洞(ハンナムドン)にある大統領官邸を訪問した与党「国民の力」のクォン・ヨンセ非常対策委員長やクォン・ソンドン院内代表らには、「最善を尽くしてくれた党と指導部に感謝する」としたうえで、「時間が限られているため、党を中心に大統領選の準備を順調に進め、必ず勝つことを祈る」という意向を伝えた。早期大統領選を行うことになった原因が自身にあるのにもかかわらず、「政権維持」を注文し、「弾劾棄却・却下」を主張して自身をかばった党指導部を称賛したのだ。
 尹前大統領の法律代理人団は、憲法裁の決定に遺憾を表明した。ユン・ガプクン弁護士は、憲法裁の宣告直後に取材団の取材を受け、「弾劾審判は準備期日から進行過程自体が適法な手続きを守らず、不公正に進められたが、結果に至るまで法理的に納得できない決定」だと主張した。また、ユン弁護士は「完全に政治的な決定であり残念だ」としたうえで、「大韓民国と国民に(宣告結果が)どのように作用するのか、本当に惨憺たる思いであり心配だ」と述べた。公式の反応を示さなかった大統領室では、チョン・ジンソク秘書室長ら首席秘書官級以上の上層部15人がハン・ドクス大統領権限代行首相に一斉に辞意を表明したが、ハン権限代行はすべて差し戻した。
 尹前大統領と代理人団のこのような態度から、野党では、尹前大統領が内乱事態で結集した岩盤支持層を活用し、政治的影響力を維持しようとするのではないかという疑問が出ている。最大野党「共に民主党」のキム・ソンフェ報道担当は「国政破綻と憲政秩序蹂躪(じゅうりん)に対する謝罪も反省も、一言もなかった」として、「ひたすら岩盤支持層を感情的に刺激し、今でも本人が政局を主導できるという妄想を示した」と指摘した。さらに、「真摯な反省と謝罪が先」だとして、「国民の前で自身の罪を告白し、裁判所で内乱首謀の罰を謙虚に受け入れることだけが、尹錫悦が大韓民国にすべき最小限の道理」だと述べた。朴槿恵(パク・クネ)元大統領は2017年3月、罷免の2日後に「このすべての結果については私が負っていく」としながらも、「時間は要するだろうが、真実は必ず明らかになると信じている」と述べ、憲法裁の決定に承服せず、物議を醸した。

イ・スンジュン記者、ペ・ジヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1190812.html
韓国語原文入力:2025-04-05 08:34


「The Hankyoreh」 2025-04-05 09:54
■憲法守った韓国市民の勝利、これから新たな始まりだ【社説】

【写真】市民が4日午前、ソウル市鍾路区の安国駅近くで弾劾宣告を生中継する大型画面を通じて憲法裁が「主文、被請求人大統領尹錫悦を罷免する」と宣告すると、歓呼を上げている=キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 不正と混沌のトンネルを抜け、ついに正義に到着した。12・3非常戒厳という超憲法的な暴挙によって自滅を早めた尹錫悦(ユン・ソクヨル)は、就任からわずか2年11カ月で前大統領になった。脅かされた憲法は主権者とともによみがえり、挑戦を受けた民主主義もふたたび立ち上がった。「主文、被請求人大統領尹錫悦を罷免する」。裁判官8人全員の一致だ。国民と憲法、民主主義の勝利だ。
 憲法裁は4日、非常戒厳宣言は実体的・手続き的要件に違反し、国会に対する軍警投入、国会・政党活動を禁止した布告令の発令、中央選挙管理委員会の押収捜索、法曹人の所在地の確認の試みなど、5つの弾劾訴追理由すべてが憲法・法律違反だと明言した。憲法裁は「被請求人の違憲・違法行為は、国民の信任を裏切ったものであり、憲法守護の観点から容認できない重大な法律違反に該当する」と厳しく判示した。
 急速な産業化と民主化を同時に達成した経済・文化強国である大韓民国が、尹錫悦という非民主的、反文明的、前近代的な統治者を保有したという事実は、恥ずべきことだ。彼の任期中は退行を続けた。経験も準備もなしに大統領職に就いた彼は、国政を検察組織のように運営した。市民社会、国会、野党、メディアなどの批判勢力は、共存・妥協ではなく排除・処断の対象だった。公正と常識を掲げたが、実状は不公正と非常識だった。「反国家勢力の一挙清算」と「不正選挙」という狂気と妄想から始まった12・3戒厳は、このような退行の結晶体だった。
 2017年の朴槿恵(パク・クネ)元大統領に続き、8年後に2回目の大統領罷免となったことは、国家的な不幸だ。しかし、2回の大統領弾劾は、市民の常識と憲法的熱望の勝利という点で、われわれの誇りであり希望でもある。反動を勝ち抜いた源泉は、主権者である国民だ。尹錫悦や極右勢力、与党政治家たちが詭弁と扇動で惑わしても、国民は揺らぐことなく、「憲法守護」の声を上げた。民主主義が危機に直面するたびに、これを救ったのは、いつも市民だった。
 独断と狂気の統治者尹錫悦の罷免は、終わりではなく、国家正常化に向かう新たな始まりだ。深刻化した社会分裂と対立から、まず収拾しなければならない。戒厳・弾劾局面を経て、「心理的内戦」と言えるほど政治二極化が深まった。憲法裁の決定後、物理的衝突に対する懸念も強い。全員の自制と包容が切実に求められる。敵対と嫌悪を活用して政治的利益を得ようとする邪悪な行為はあってはならない。尹錫悦は、憲法裁の決定に「承服」するという言及はせず、「期待に応えられず非常に残念で、申し訳ない」とだけ述べた。国家的混乱を引き起こしたことについて真摯に謝罪し、支持層にも自制を要請しなければならない。
 合理的保守を立て直すことも必須だ。戒厳・弾劾の過程で、陰謀論と嫌悪に陥った極右勢力の急浮上と巨大保守政党の極右化を目撃した。与党「国民の力」が尹錫悦と極右から決別し、立ち位置を再確立しないのであれば、保守全体の存立が揺らぎ、韓国政治は足を引っ張られるだろう。
 包容と統合は追求しても、内乱勢力の清算は徹底しなければならない。内乱首謀の被疑者である尹錫悦は、内乱罪の刑事裁判で、ふたたびあらゆる法的手段を動員しようとするだろう。司法当局は、内乱の中心的な加担者を一寸の寛容なしに断罪し、歴史に教訓を残さなければならない。尹錫悦と夫人のキム・ゴンヒ女史の不法選挙介入と国政壟断、キム・ゴンヒ女史による株価操作疑惑などにも、司法的審判を下さなければならない。検察や高級官僚などの内乱擁護行為についても、責任を問わなければならない。国会が選出した憲法裁判官3人の任命を拒否し、憲法裁の正常な運営を阻害したハン・ドクス大統領権限代行とチェ・サンモク経済副首相の違憲行為を、そのまま見過ごしてはならない。検察・司法システムの改革の必要性も忘れてはならない。
 さらに、米国のドナルド・トランプ政権の関税圧力など、内外の国民生活・通商・安全保障の危機にも力を入れなければならない。60日以内に早期大統領選が行われるだろうが、そのときまで、国政の空白を放置してはならない。政界と行政府が、「内乱事態」で疲弊した国民の生活を適切に見直すことこそ、これまで国民に犯した誤りを少しでも減らすことができる道だ。
 尹錫悦罷免は政治改革の機会を開いた。戒厳は尹錫悦個人の暴走だったが、帝王的大統領に対する国民的な疑問がよりいっそう強まった。大統領選とあわせて、多種多様な改憲議論が出てくるだろう。6月初めに行われる早期大統領選は、内乱清算と政治改革を通じて、新しい大韓民国を設計し、ビジョンを競う場にならなければならない。遅れても間違いなく春は来るように、われわれは苦痛と傷をいやし、明日へと進むだろう。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-04-04 18:35
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「「イスラエル軍、救護要員に無差別銃撃」…戦争犯罪映像を公開」

2025年04月06日 | 国家・社会
「中央日報日本語版」 2025.04.06 12:29
■「イスラエル軍、救護要員に無差別銃撃」…戦争犯罪映像を公開

【写真】先月24日、ガザ地区中部の難民キャンプでイスラエルの空爆により破壊された救急車整備所をパレスチナの人たちが点検している。[写真 AFP=聯合ニュース]
 
 イスラエルがガザ地区で国連職員と救護要員を無惨に殺害した後に集団埋葬したという疑惑が提起された中で、これを裏付ける動画が公開されて波紋が予想される。
 イスラエルはこれまで前照灯や回転灯を点灯せずに接近する不審な車に発砲しただけだと主張した。しかし公開された動画にはこれとは正反対の場面が写っており、戦争犯罪批判がさらに強まる見通しだ。
 米ニューヨーク・タイムズは4日、ガザ地区南部の都市ラファで先月23日にイスラエル軍による殺害された救護要員の携帯電話から確保した動画を公開した。
 同紙は、国連のある高位外交官を通じて入手したこの映像にはイスラエル軍が救急車と消防車に無差別銃撃を加えた当時の状況がそのまま収録されていたと伝えた。
 走る車の前の席から撮影されたこの動画は救急車と消防車が回転灯と前照灯を点灯して走る様子で始まる。
 これらの車は道路左側に停車した救急車を発見して止まった。
 この救急車は負傷者を救助するために先に出動したが攻撃を受けた状態だった。
 車に乗っていた救護要員が救急車に乗った人たちの安否を懸念して車から降りる瞬間、突然銃撃が加えられた。
 カメラは揺れ画面が消えたが、音声はその後も約5分間録音されており、最後まで銃声は止まらなかった。
 このほかにも、この動画にはある男性がアラビア語でイスラエル軍がいると知らせ、救護要員が死ぬ直前にシャハーダ(イスラム信仰告白)を繰り返す声と軍人がヘブライ語で命令する声が収録されていた。
 赤新月社の報道官は、この動画を撮影した救護要員が集団埋葬地で頭部の銃撃により負傷して死んでいるのが発見されたと明らかにした。
 イスラエルは今回の事件と関連し、救急車を無作為に攻撃したものではなく、自国軍に向かって回転灯を点灯せずに接近する不審な車に発砲しただけという立場を固守した。また、死亡者15人のうち9人がパレスチナの武装勢力所属だったと主張した。
 だが同紙が公開した動画では救急車と消防車は回転灯を点灯しており、救護要員車両であることがわかるよう鮮明に表示されていたことから国際社会の批判は避けにくい見通しだ。
 パレスチナ赤新月社のユニス・アル・ハティブ総裁は当時の状況が収められた動画と法医学的証拠がイスラエルの主張と相反すると強調した。
 ハティブ総裁は「被害者は非常に近い道路で標的になった」としてイスラエルが彼らを殺害しても数日間行方に対する情報を提供しなかったと批判した。
 国連と赤新月社は救護車両が攻撃を受けて5日が過ぎてからイスラエル軍との交渉を通じて行方不明者の捜索に出ることができた。
 ハティブ総裁は赤新月社スタッフ1人が依然として行方不明状態で、イスラエルが彼を拘禁しているのかあるいは死亡したのか明らかにしていないと指摘した。
 国際赤十字・赤新月社国連代表部は今回の事件が2017年以降に起きた赤十字・赤新月社職員に対する最も致命的な攻撃だと話した。
 フォルカー・トゥルク国連人権高等弁務官は今回の事件が「イスラエル軍の戦争犯罪行為に対する追加的な懸念を提起する」として独立的な調査を促した。
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「ナチス共鳴のクロアチア人歌手、1公演でチケット50万枚以上完売」

2025年04月06日 | 国家・社会
「 AFP」 2025年4月5日 14:07 発信地:ザグレブ/クロアチア
■ナチス共鳴のクロアチア人歌手、1公演でチケット50万枚以上完売

【写真】クロアチア人歌手の「トンプソン」ことマルコ・ペルコビッチ(2019年5月25日撮影)。

【4月5日 AFP】ナチス・ドイツの共鳴者として知られるクロアチアの歌手が7月に同国で開催予定の野外コンサートで、チケットを50万枚以上売り上げた。チケット販売プラットフォーム「エントリオ」が3日夜、明らかにした。
 「トンプソン」の芸名で知られるフォークロック界のスター、マルコ・ペルコビッチ(58)は、第2次世界大戦時の親ナチスのウスタシャ政権に共鳴しているとして、欧州の複数の国で公演を禁止されている。
 エントリオはフェイスブックで、「7月5日土曜日、50万人以上が(ザグレブの)競馬場で(トンプソンによる)公演を楽しむことになる」と説明。人口380万人のクロアチアの首都ザグレブで開催されるこのコンサートのチケットは、1週間で完売したとしている。
 トンプソンのコンサートではしばしばウスタシャのシンボルが表示され、特に人気のある曲に合わせてナチス式敬礼をするファンもいる。
 トンプソンは1990年代のクロアチア紛争中に愛国歌で人気を博したが、こうした愛国歌に「物議を醸す要素は一切ない」と主張している。
 クロアチアの親ナチスの過去が国内でタブー視されることは近年少なくなり、ウスタシャのシンボルの使用を認めなかったとして当局を批判する声も上がっている。
 ウスタシャ政権は第2次世界大戦中、クロアチア国内の強制収容所で反ファシズムのクロアチア人、セルビア人、ユダヤ人、ロマ人ら数十万人を迫害・殺害した。
 ユダヤ人の人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」はトンプソンが歌詞でジェノサイド(集団殺害)を美化していると非難し、トンプソンのコンサートでウスタシャのシンボルが表示されたのは、「偶然でも間違いでもない」と指摘した。
 ウスタシャ政権率いる「クロアチア独立国」はナチスのかいらい国家だったが、現代の共鳴者はウスタシャ政権をクロアチア建国の父と見なしている。
 エントリオによると、7月に競馬場で開催されるトンプソンのコンサートは、有料コンサートの観客動員数で世界最多を更新する見通し。英ロックバンド「ローリング・ストーンズ」は1988年に同会場で8万人を動員した。
 今年1月には英ロックバンド「コールドプレイ」が2夜で22万3000人を動員し、21世紀のスタジアムコンサートの動員数で最多を更新した。
 無料コンサートの動員数では、米歌手マドンナが2024年にブラジル・リオデジャネイロのコパカパーナビーチで記録した160万人が最多となっている。
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「極右勢力に道を開いた「尹錫悦の1375日」、その代償を払うのは韓国国民」

2025年04月05日 | 韓国で
「The Hankyoreh」 2025-04-05 10:04
■極右勢力に道を開いた「尹錫悦の1375日」、その代償を払うのは韓国国民

【写真】2019年12月2日、尹錫悦検察総長(当時)が元検察捜査官出身の大統領府特別監査班員の葬儀場を弔問した後、固い表情で葬儀場を後にしている/聯合ニュース

 1375日。元検察総長の尹錫悦(ユン・ソクヨル)が大統領選出馬を宣言し、政治に入門してから、憲法裁判所の罷免決定により内乱罪の刑事裁判を待つ「前大統領」になるまでかかった時間だ。4年足らずの「尹錫悦の時間」は、右往左往する国政運営、対話拒否と独善、夫婦による権力の私有化など、数々の汚点を残した。やがては12・3内乱で国民が血と涙で積み上げた大韓民国の民主的憲政秩序を根本から揺さぶった。
 尹錫悦の罷免は終わりではない。尹錫悦は弾劾審判の過程で「反国家勢力と戦おう」という扇動で岩盤支持層を動かし、極右が制度の中に乱入する道を開いた。尹錫悦が残した「啓蒙令」や「反国家勢力」、「中国スパイ論」、「不正選挙論」など、極右の世界観は広場に浸透し、共和国の民主主義を今も脅かしている。

◆不公正と非常識
 尹錫悦の政治的資産は、検察総長時代、文在寅(ムン・ジェイン)政権と対立することで築き上げた「公正」と「法治」のイメージだった。2019年8月のチョ・グク法務部長官候補に対する全面的な捜査と、2020年のチュ・ミエ法務部長官(当時)との極限に至る対峙で政治的存在感を高めた尹錫悦は、2021年3月、検察総長職を投げ出し、同年6月29日に大統領選挙への挑戦を宣言した。出馬宣言文で「常識を武器に、崩れた自由民主主義と法治、時代と世代を貫く公正の価値を必ず立て直す」ことを掲げた。

【写真】2024年10月21日午前、ソウル西大門区美近洞の警察庁で開かれた79周年警察の日記念式典で、祝辞を述べた尹錫悦大統領が壇上を降りている=キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 当時野党の「国民の力」の大統領選候補になり、2022年3月9日の大統領選挙で0.73ポイント差で大統領に当選した尹錫悦は、5月10日に大統領に就任した後、大統領選挙のスローガンだった公正と常識をみずから投げ捨てた。特に、夫人のキム・ゴンヒ氏と関連した様々な疑惑の前で、公正と常識という物差しは紙切れに過ぎなかった。キム氏のブランドバッグ受け取りとドイツモーターズ株価操作疑惑は、検察の「特恵調査」への批判が高まる中でも起訴を免れた。真実を明らかにするための「キム・ゴンヒ特検法」には3回にわたり再議要求権(拒否権)を行使した。キム氏のブランドバッグ受け取りについては「(キム氏が)情に厚いため(断れなかった)」と述べるなど、大したことではないかのように対応した。政界では、キム・ゴンヒ氏の国政への影響力が夫の大統領(V1)を上回るという意味で、「V0」という呼び方が密かに広がった。
 尹錫悦は自分に向けられた疑惑にも同じ態度を示した。2023年7月「(海兵隊員)C上等兵死亡事件」の捜査結果と関連し、「VIP(=尹大統領)激怒説」が流れたが、最後まで否定した。昨年3月、C上等兵事件捜査への外圧疑惑の主要容疑者だったイ・ジョンソプ元国防部長官を駐オーストラリア大使に任命したことは、公正、常識、法治全てを投げ捨てた象徴的な場面だった。自分を狙った「C上等兵特検法」も繰り返し拒否した。
 政治ブローカーのミョン・テギュン氏の暴露で明らかになり始めた国政壟断疑惑も同じだ。昨年11月7日、尹錫悦は国民向け記者会見で「ミョン・テギュン氏と関連し、不適切なことや隠すべきことは何もしていない」と述べたが、最近公開された尹錫悦夫妻とミョン氏がやりとりしたカカオトーク、テレグラムのメッセンジャー対話内容を通じて、ほとんどが嘘であることが明らかになった。

◆対話拒否と独善
 尹錫悦は大統領の任期中、「与小野大」(野党が過半数の国会)のねじれ政局で国政を運営した。当然、国会との疎通と野党との協力で国政動力を確保することがカギだった。ところが、尹錫悦が真っ先に着手したのは、政権与党である「国民の力」の指導部を自分の側近で埋め尽くすことだった。このために党務に介入し、党代表のイ・ジュンソクを追い出した。その代わりとして側近のキム・ギヒョン議員を座らせ、総選挙敗北後、非常対策委員長を経て指導部入りを果たしたハン・ドンフン代表と対立を繰り返した。
 対話を拒否し、独善を貫いたことで野党とも極限の対峙を続けてきた。2023年4月の糧穀管理法を皮切りに、非常戒厳を宣布するまでの間に、野党主導で国会で可決された25件の法案に拒否権を行使した。野党と自分を批判する勢力をまとめて「反国家勢力」であり「共産全体主義勢力」だと攻撃した。自分の過ちによって政権与党が惨敗した昨年4月の総選挙については、一抹の反省もなかった。野党代表とは総選挙後、一度だけ1対1の会談を行っただけで、再び会うことはなかった。
 「バイデン-吹き飛ばせば(ナルリミョン)」の卑語使用問題(2022年9月)、梨泰院(イテウォン)雑踏惨事(2022年10月)などで高まった国民の疑念と怒りに対しても、知らぬ存ぜぬで通した。外交力を韓米日協力と韓日関係改善に注ぎ込んだが、「強制動員」に対する言及の抜けた佐渡鉱山追悼式などで象徴される「屈辱外交」問題だけが残った。昨年2月に進めた「医学部定員2000人拡大」は、医師数の増加による医療サービス改善という良い政策趣旨にもかかわらず、医療界との軋轢(あつれき)を解消できず、1年以上医療現場の混乱を引き起こした。

◆詭弁と扇動
 12・3非常戒厳令を宣布した後の昨年12月12日の国民向け談話で、尹錫悦は野党による国務委員弾劾、政府予算案の削減などを取り上げ、野党を「自由民主主義憲政秩序を破壊する怪物」であり「国憲を乱す勢力」だと攻撃し、不法非常戒厳令宣布の正当性を強弁した。ところが、韓国の憲法は非常戒厳宣布の要件を「戦時、事変またはこれに準ずる国家非常事態」と定めている。違憲・違法な戒厳宣布と国会の封鎖および中央選挙管理委員会の掌握の試み、政治家に対する逮捕指示などで国憲を乱す一方、妄想混じりの詭弁を並べる尹錫悦に対し、国会は昨年12月14日、弾劾訴追案を可決し、職務を停止させた。裁判所が昨年最後の日に内乱首謀の容疑で逮捕状を発付したことで、尹錫悦の暴走も収まるかのように思われた。
 しかし、尹錫悦はユーチューブにおける極右の論理と陰謀論に傾倒し、憲政秩序と民主主義の回復に向けた市民の努力と念願に最後まで水を差した。尹錫悦の極右的スタンスは、大統領就任当初から兆候を見せていた。12・3内乱の後に自分を積極的に庇護した「チョン・グァンフン牧師流」の極右ユーチューバーや「アスファルト右派」(街頭集会に出て主張する右派勢力)たちを、大統領就任式に招待していた事実が、それを予感させていた。その後、政界の外郭に留まっていた極右ユーチューバーや極右係の人々に公共機関と大統領室の肩書きを与え始めた。尹錫悦が極右ユーチューブチャンネルを好んで視聴し、不正選挙陰謀論を展開する動画をまわりの人々に送っているという噂は、大統領室と国会にまで広まった。
 危機に追い込まれると、尹錫悦は「極右の本色」をあらわにした。今年1月1日、官邸前に集まった支持者を「自由民主主義守護勢力」と呼び、「最後まで戦う」として、自分の逮捕を阻止してほしいと訴えた。「国内外の主権侵奪勢力と反国家勢力の蠢動(しゅんどう)で今の大韓民国が危うい」として、批判勢力と野党に向けた嫌悪をあらわにし、過激な支持層を煽った。1月15日に高位公職者犯罪捜査処(公捜処)と警察に逮捕・拘禁されるまで、「警護処忠誠派」を前面に出し、漢南洞(ハンナムドン)の官邸を「要塞化」した。1月26日に検察に拘束起訴された後、憲法裁判所の審判廷でも尹錫悦の詭弁と世論戦は続いた。
 2月25日の弾劾審判第11回弁論の「最終意見」陳述でも反省はなかった。自分の内乱行為を「戒厳の形を借りた国民への訴えかけ」だと主張し、「残りの任期にこだわらず、改憲と政治改革を最後の使命と考え、87年体制の改善に最善を尽くす」として職務復帰の希望を捨てなかった。

◆尹錫悦がもたらした費用の請求書
 これから内乱罪裁判と「ミョン・テギュン・ゲート」の捜査などが進められ、前大統領尹錫悦の犯罪容疑の追及が続くだろう。12・3内乱は韓国の政治、外交、経済、社会全般に深刻な亀裂と莫大な被害を残した。
 景気低迷が続き、民生経済は活力を失った。ドナルド・トランプ米大統領の25%相互関税賦課に経済全般に赤信号が灯ったが、代行体制の政府は無気力だ。昨年12月6日(現地時間)、米経済誌フォーブスが非常戒厳宣布に対して「尹錫悦は国内総生産(GDP)キラー」だとし、「結局、5100万人の国民が利己的な政治的賭博の代償を分割払いで支払うことになるだろう」と指摘したことが、ますます現実味を帯びている状況だ。
 何よりも広場の少数にとどまっていた極右勢力に発言権と影響力を高める政治的プラットフォームを提供した尹錫悦の行動によって、韓国の民主主義が正常性を取り戻すには莫大な努力と費用をかけなければならなくなった。
 「崩壊前に戻りましょう」 。1日に公開された「尹錫悦の罷免を求める映画人の映像声明書」で、パク・チャヌク監督の映画『別れる決心』に登場したこのセリフが多くの市民に注目された。尹錫悦が社会のあちこちに埋めこんで去った「内乱の地雷」を取り除き、崩れた憲政を建て直すため、市民一人ひとりの汗と情熱が切に求められる。

イ・スンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-04-04 20:33


「The Hankyoreh」 2025-04-05 08:07
■【決定文分析】憲法裁判官の全会一致、罷免に異論はなかった

【写真】(左から)チョン・ヒョンシク、キム・ボクヒョン、チョ・ハンチャン憲法裁判官が、4日にソウル鍾路区の憲法裁判所の大審判廷で開かれた尹錫悦大統領弾劾審判の宣告に出席している=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領罷免決定において、保守系に分類される憲法裁判官3人全員が弾劾認容に署名したことで、いわゆる「裁判官5対3のデッドロック(膠着状態)」は実体のない極右・保守陣営の願いに過ぎなかったことが明らかになった。特に裁判官の個別判断が伺える「補足意見」でも、尹大統領の罷免を招いた非常戒厳宣布を違憲・違法とする判断をめぐり、異なる意見は全く現れなかった。

【写真】チョン・ヒョンシク憲法裁判官が4日にソウル鍾路区の憲法裁判所の大審判廷で開かれた尹錫悦大統領弾劾審判の宣告に出席している=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 4日の弾劾宣告直後に公開された決定文は、A4用紙106ページにわたる。87ページまでは裁判官8人の共通した弾劾認容の意見が、88~105ページにはイ・ミソン裁判官とキム・ヒョンドゥ裁判官▽キム・ボクヒョン裁判官とチョ・ハンチャン裁判官▽チョン・ヒョンシク裁判官の5人による補足意見が順に載せられている。罷免決定には同意する一方、争点になった事案について追加意見を述べたのだ。
 それぞれ革新と中道に分類されるイ・ミソン裁判官とキム・ヒョンドゥ裁判官は、弁論過程で尹大統領側が反対した憲法裁の刑事訴訟法条項の緩和適用には問題がなく、これに伴い捜査機関の調書と国会会議録の証拠能力には問題がないという点を8ページにわたり強調した。

【写真】キム・ボクヒョン憲法裁判官が4日にソウル鍾路区の憲法裁判所の大審判廷で開かれた尹錫悦大統領弾劾審判の宣告に出席している=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 最も関心を集めた保守系のキム・ボクヒョン裁判官とチョ・ハンチャン裁判官、チョン・ヒョンシク裁判官は、非常戒厳宣布の違憲・違法性▽軍と警察を動員した国会の封鎖▽布告令第1号の違憲性▽軍を動員した中央選管委の占拠・家宅捜索▽政治家や法曹人などに対する逮捕の指示など、尹大統領の罷免につながった核心争点ではまったく異論を唱えなかった。
 弾劾審判に先立ち、極右・保守陣営ではこれら裁判官3人が棄却または却下の意見を出すという「5対3デッドロック」を主張し、「共に民主党」をはじめとする野党では保守系裁判官が罷免には同意するものの、一部争点をめぐり意見を出すかもしれないという見通しを示した。一方、憲法学界では政治的スタンスにかかわらず、法律家ならとうてい棄却あるいは却下の意見を書けない事件なので、裁判官全会一致の罷免が大方の予想だった。
 キム・ボクヒョン裁判官とチョ・ハンチャン裁判官は、イ・ミソン裁判官とキム・ヒョンドゥ裁判官の補足意見とは逆に、捜査機関の調書と国会会議録の証拠能力を認めるのが難しいという補足意見を8ページにわたり書いた。弾劾審判の重大性を考えると、刑事訴訟法をできるだけ厳しく適用すべきであり、「これからは弾劾審判の迅速性と公正性、二つの衝突する価値をより調和させる案を模索すべき」だと指摘した。尹大統領の罷免決定においては問題にならないが、今後は弾劾審判の手続きと制度を補完しようということだ。
 一人で補足意見を出した同事件の主審チョン・ヒョンシク裁判官は、国会弾劾訴追制度を補完する立法を提案した。「国会で弾劾訴追案が否決された場合、他の会期中にも再び発議する回数を制限する立法が必要だ」ということだ。
 憲法裁は野党の「連続弾劾」などで非常戒厳を宣布したという尹大統領の主張を一蹴し、罷免を決めた。ただし、野党が「疑惑だけに基づき、政府に対する政治的圧迫手段として弾劾審判制度を利用したという懸念」などがあったことにも触れた。チョン裁判官はこれに対する補足意見も書いたものとみられる、3ページにわたる補足意見で、一事不再議の原則の適用▽無制限の連続発議による国家機能の低下▽弾劾制度の政争の道具化などを指摘したうえで、「弾劾訴追案の発議回数に関する規定作り」を提案した。

【写真】チョ・ハンチャン憲法裁判官が4日にソウル鍾路区の憲法裁判所の大審判廷で開かれた尹錫悦大統領弾劾審判の宣告に出席している=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

キム・ナミル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力: 2025-04-04 21:15


「聯合ニュース」 2025-04-05 07:50
■「不訴追特権」失った尹錫悦…数多くの刑事法廷を回る立場に
 尹錫悦前大統領は、これからは自然人の身で、内乱首謀容疑で刑事裁判を受けることになる。また不訴追特権を失ったことで、彼にかけられている各種の犯罪容疑についての捜査も本格化するとみられる。
 今月14日には尹前大統領の刑事裁判の初公判が行われる。裁判所は、彼が職務に復帰して現職大統領の資格で出廷するという「最悪のシナリオ」にも備えていたが、憲法裁判所が罷免を決めたことで、裁判所は負担が軽くなった。尹前大統領は、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)による内乱捜査は違法だとして、手続き上の問題点を集中的に攻略するものとみられる。不拘束の被告人となった尹大統領が「裁判遅延戦略」を用いることが懸念されているが、裁判所は迅速に審理を進める計画を立てているという。
 「不訴追特権」という盾を失った尹前大統領には、明らかにされるべき同時多発的な容疑が少なくない。まず警察非常戒厳特別捜査団は、尹前大統領の逮捕状の執行妨害容疑の捜査に本格的に着手するとみられる。警察特捜団は逮捕状の執行妨害を指示したのは尹大統領だとして、尹大統領をすでに特殊公務執行妨害の容疑者として立件している。12・3非常戒厳の直後の尹大統領と軍の司令官との通話の内訳を含む、盗聴防止機能付き電話のサーバの情報の削除を指示した容疑も捜査対象だ。大統領警護処はこのかん、「軍事上、公務上の秘密を要する場所」だとして警察による強制捜索令状の執行を拒否していたが、尹大統領の罷免後に盗聴防止機能付き電話のサーバが押収されることによって、捜査が急速に進む可能性がある。
 検察によって捜査が進められているミョン・テギュン事件の頂点にも尹前大統領がいる。尹前大統領は、大統領候補時代にミョン氏から非公表の世論調査の提供を無償で受けた疑い(政治資金法違反)も持たれている。2022年6月の国会議員再補欠選挙でのキム・ヨンソン前議員の公認への介入容疑も捜査対象だ。尹前大統領が自身の大統領就任式前日の2022年5月9日に、ミョン氏に「(公認管理委員会に)キム・ヨンソンを公認してやれと言った」と述べている肉声が早くから明らかになっている。
 2020年4月の総選挙を前に、検察が当時の与党政治家を告発しろとの告発状を未来統合党(現国民の力)に渡した「告発教唆」事件を主導したのが尹前大統領だったのかも、公捜処によって捜査が行われている。公捜処はソン・ジュンソン検事長(当時は最高検察庁捜査情報政策官)だけを先に起訴しているが、ソウル高裁は昨年12月、「ソン検事長に告発状の作成を指示した(尹錫悦)検察総長ら上級者が未来統合党を通じた告発を企画」した可能性があるとして、事件の首謀者として尹前大統領に目をつけている。これを受け、この事件を最初に通報したチョ・ソンウン氏が、尹前大統領や与党「国民の力」のハン・ドンフン前代表(当時は最高検察庁反腐敗部長)らを公捜処に追加告発している。尹前大統領の激怒からはじまったといわれるC上等兵事件の捜査外圧疑惑の捜査も、再開される可能性が高い。

チョン・ヘミン、ペ・ジヒョン、キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-04-04 14:27


「聯合ニュース」 2025.04.04 16:04
■[尹大統領罷免]大統領室高官らが一斉に辞意
【ソウル聯合ニュース】韓国の大統領室は4日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領が罷免されたことを受け、鄭鎮碩(チョン・ジンソク)大統領秘書室長や申源湜(シン・ウォンシク)国家安保室長ら大統領室の首席秘書官以上の高官全員が辞意を表明したと明らかにした。
 大統領室の高官らは昨年12月4日、尹前大統領が宣言した「非常戒厳」が解除された後に一斉に辞意を示し、今年1月にも大統領の権限を代行していた崔相穆(チェ・サンモク)経済副首相兼企画財政部長官が憲法裁の裁判官2人を任命したことに反発し、再び辞意を表明した。


「聯合ニュース」 2025.04.04 12:47
■[尹大統領罷免]「国民が勝利」 賛成派市民は歓喜に沸く
【ソウル聯合ニュース】韓国の憲法裁判所が4日午前に非常戒厳宣言を巡り弾劾訴追された尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の罷免を決定したことを受け、尹氏の弾劾を求めてきた市民団体「尹錫悦即刻退陣・社会大改革非常行動」の集会の参加者たちは互いに抱き合って歓声を上げた。

【写真】罷免決定を喜ぶ市民=4日、ソウル(聯合ニュース)

 集会は憲法裁から近い地下鉄・安国駅の前で前日から徹夜で開かれ、参加者たちは生中継された宣告を見守った。尹氏の罷免が言い渡されると一斉に太極旗(韓国国旗)や「尹錫悦を罷免せよ」と書かれたプラカードを振った。
 ソウル・竜山の大統領公邸付近で開かれた集会の参加者たちも憲法裁の決定に歓喜した。


【写真】大統領公邸付近で開かれた集会の参加者が歓声を上げながら罷免決定を喜んでいる=4日、ソウル(聯合ニュース)


「The Hankyoreh」 2025-04-04 15:24
■憲法裁「尹錫悦、国家緊急権を乱用し国民の基本権侵害」

【写真】ムン・ヒョンベ憲法裁判所長権限代行が4日、ソウル鍾路区の憲法裁判所の大審判廷に、尹錫悦大統領の弾劾審判の決定を言い渡すため入場している=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 憲法裁判所が、尹錫悦大統領を裁判官の全員一致で罷免した。
 憲法裁は大審判廷で4日午前11時から行われた尹大統領の弾劾事件の決定言い渡しで、「被請求人大統領尹錫悦を罷免する」と述べた。12・3非常戒厳宣布から123日を経ての結論だ。
 憲法裁はまず、尹大統領による12・3非常戒厳宣布の当日、軍と警察による国会侵入、中央選挙管理委員会に対する強制捜査の試み、法曹人や政治家などの位置追跡と把握は実際に起きたことだとして、いずれも違法であるため、非常戒厳宣布は実体的要件が備わっていなかったと判断した。そして、そもそも布告令が違法だったと判断した。憲法裁は「被請求人はこの事件の布告令を通じて国会、地方議会、政党の活動を禁止することで、国会に戒厳解除要求権を与えている憲法の条項、政党制度を規定している憲法の条項、代議制民主主義、権力分立の原則などに違反した。非常戒厳下において基本権を制限するための要件を定めた憲法および戒厳法の条項、令状主義に違反することによって、国民の政治的基本権、団体行動権、職業の自由などを侵害した」と述べた。
 尹大統領は、12・3非常戒厳は国会が相次ぐ弾劾、予算削減などで国政をまひさせたから宣布したと主張したが、憲法裁は「国会による弾劾訴追、立法、予算案審議などの権限の行使が、この事件の戒厳宣布時に重大な危機状況を現実的に発生させていたとは見なせない。国会による権限行使が違法または不当であったとしても、憲法裁判所の弾劾審判、被請求人による法律案の再議要求などの平常時の権力行使方法で対処できるため、国家緊急権の行使を正当化することはできない」と述べた。
 憲法裁はまた「被請求人の主張する国会の権限行使による国政のまひ状態や不正選挙疑惑は、政治的、制度的、司法的手段によって解決すべき問題であって、兵力を動員して解決できるものではない」と付け加えた。「警告のための戒厳」または「訴えるための戒厳」だったとする尹大統領の主張に対しても、「戒厳法が定めた戒厳宣布の目的ではない」と一蹴した。
 尹大統領は、国会に軍と警察を投入をしたのは秩序維持の観点からのものだったと主張したが、憲法裁は国会議員の活動を阻止することが目的だったと判断した。憲法裁は「被請求人は軍と警察を投入して国会議員の国会への立ち入りを規制する一方、彼らを引きずり出せと指示することで国会の権限行使を妨害したため、国会に戒厳解除要求権を与えている憲法の条項に違反しており、国会議員の審議・表決権、不逮捕特権を侵害した」と述べた。国会に投入した軍と市民の対峙(たいじ)状況についても、憲法裁は「被請求人は国軍の政治的中立を侵害するとともに、憲法に規定されている国軍統帥義務に違反した」と述べた。
 国家情報院のホン・ジャンウォン第1次長にいわゆる「政治家の逮捕」を指示したことについて、少なくとも政治家の位置追跡と把握を指示したものだと判断した憲法裁は、「(被請求人は)各政党の代表らの位置確認の試みに関与することで、政党活動の自由を侵害した」と判断した。キム・ミョンス最高裁長官らの位置確認の試みも、司法権の独立の侵害だと判断した。
 不正選挙疑惑を解消するための戒厳宣布だったという主張に対しても、憲法の定める戒厳宣布要件である戦時・事変やこれに準ずる状況とは見なせないと判断した。選管に対して強制捜査を試みたことも、選管の独立の侵害であり違法だと判断した。
 尹大統領による戒厳宣布の前に行われたわずか5分間の国務会議について、憲法裁は適法な戒厳宣布手続きではなかったと判断した。憲法裁は「被請求人は戒厳司令官ら、この事件の戒厳の具体的な内容を説明していないこと、他の構成員に意見を述べる機会を与えていないこと、などを考慮すると、この事件の戒厳宣布に関する審議が行われたと考えることも難しい。被請求人は、首相と関係国務委員が非常戒厳宣布文に副署しなかったにもかかわらず、この事件の戒厳を宣布しており、その実施日時、実施地域および戒厳司令官を公告しておらず、遅滞なく国会に通告してもいないため、憲法および戒厳法の定める非常戒厳宣布の手続き的要件に違反した」と述べた。
 憲法裁は、これらの行為は重大な法律違反であるため、尹大統領の罷免が正当だと判断した。憲法裁は「このような行為は法治国家の原理と民主国家の原理の基本原則に違反したもので、それそのものが憲法秩序を侵害しており、民主共和政の安定性に深刻な危害を及ぼした」として、「国会が迅速に非常戒厳解除要求決議をあげることができたのは、市民の抵抗と軍と警察の消極的な任務遂行のおかげであるため、これは被請求人の法違反の重大さの判断に影響を及ぼさない」と述べた。
 憲法裁は「大統領の権限はあくまでも憲法によって与えられたものだ。被請求人は最も慎重に行使されるべき権限である国家緊急権を、憲法の定める限界を超えて行使したため、大統領としての権限行使に対する不信を招いた」とも述べた。
 そして「被請求人と国会との間に発生した対立は一方の責任に属するとは考え難く、それは民主主義の原理に則って解消されるべき政治の問題だ。これに関する政治的見解の表明や公的な意思決定は、憲法で保障される民主主義と調和する範囲で行われなければならない。国会は少数意見を尊重するとともに、政府との関係においては寛容と自制を前提として、対話と妥協を通じて結論を導き出すよう努めるべきだった。被請求人も、国民の代表である国会を協同統治の対象として尊重すべきだった。にもかかわらず、被請求人は国会を排除の対象にした。これは民主政治の前提を破壊するもので、民主主義と調和すると考えることは難しい」と述べた。
 憲法裁はまた「被請求人は憲法と法律に違反してこの事件の戒厳を宣布することにより、国家緊急権の乱用の歴史を再現して国民を衝撃に陥れ、社会、経済、政治、外交の全分野に混乱を生じさせた」と指摘した。
 憲法裁はさらに、「軍と警察を動員して国会などの憲法機関の権限を傷つけるとともに、国民の基本的人権を侵害することで憲法擁護の責務をかなぐり捨て、民主共和国の主権者である大韓国民の信任を重大に裏切った。結局、被請求人の違憲・違法行為は国民の信任を裏切ったもので、憲法擁護の観点から容認され得ない重大な法違反行為に当たる」と述べた。
 いっぽう憲法裁は、尹大統領側が主張した手続き上の問題点はいずれも認めなかった。国会側が尹大統領の弾劾訴追事由書で内乱罪などの刑法違反の部分を憲法違反行為に含めて判断を仰ぐとしたことについて、憲法裁は「基本的な事実関係は維持しながら適用法の条文を撤回・変更することは、訴追事由の撤回・変更に当たらないため、特別な手続きを経なくても許容される」と述べた。国会法制司法委員会が弾劾訴追案について調査しなかった、同じ会期に同じ案件を上程して一事不再議の原則に違反したという主張も、いずれも認めなかった。
 尹大統領の弾劾事件で検察の尋問調書を証拠として採用できるかをめぐっては、キム・ヒョンドゥ、イ・ミソンの2人の裁判官は、刑事訴訟法上の伝聞法則を緩和して適用できるとして、証拠採用できるとする補充意見を、キム・ボッキョン、チョ・ハンチャンの両裁判官は、今後はより厳格に適用する必要があるとする補充意見を表明した。
 非常戒厳宣布権は大統領の高度な政治行為であり、司法判断の対象とはならないという主張についても、憲法裁は「高位公職者の憲法違反および法律違反から憲法秩序を守るという弾劾審判の趣旨などを考慮すれば、この事件の戒厳宣布が高度な政治的決断を要する行為だとしても、それが憲法および法律に違反しているかどうかは審査できる」と述べた。
 ムン・ヒョンベ憲法裁判所長権限代行は、約22分にわたって決定の要旨を読み上げた。尹大統領は、ムン代行が主文を読み上げたこの日午前11時22分をもって、大統領の職位を剥奪された。

オ・ヨンソ、キム・ジウン、チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-04-04 12:13


「The Hankyoreh」 2025-04-04 14:03
■今日から次期韓国大統領予備候補の登録開始…大統領選は6月3日が有力

【写真】尹錫悦大統領が3日、ソウル市龍山の大統領室でキルギス共和国のサディル・ジャパロフ大統領と包括的パートナー関係の樹立に関する共同声明に署名した後、席を立っている=大統領室記者団//ハンギョレ新聞社

 4日の憲法裁判所による尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領弾劾訴追の容認を受け、第21代大統領選出のための早期大統領選挙が幕開けした。選挙日として6月3日が有力視されるなか、与野党は各党の大統領候補を選出するための選挙戦の準備に突入した。
 憲法第68条は、大統領の地位が空席の場合、60日以内に選挙を実施するよう定めている。各党の選挙戦や選挙運動の期間などを考慮すれば、60日目の6月3日火曜日が大統領選挙日として指定される可能性がある。ハン・ドクス大統領権限代行首相は「遅くとも選挙日の50日前」までに選挙日を公告する必要があるとする公職選挙法第35条にしたがい、4月14日までに大統領選挙日を確定して公告しなければならない。
 6月3日が大統領選挙日として確定すれば、5月10日~11日に大統領候補登録、5月20日~25日に在外国民投票、5月29日~30日に事前投票が行われ、公式の選挙運動期間として、5月12日から6月2日までの22日間が与えられる。
 中央選挙管理委員会は、今日から大統領選予備候補者の受付を始める。中央選挙管理委員会の関係者はハンギョレの電話取材で、「大統領罷免の宣告が出ると、ただちに選挙事由が発生するため、予備候補の受付が始まる」と述べた。与党「国民の力」や最大野党「共に民主党」などは、各党の大統領候補を選出する選挙戦の準備に突入するものとみられる。選挙管理委員会での候補登録日まで1カ月ほどしかないため、各党の選挙戦もその期間内で圧縮して進められるものとみられる。
 共に民主党では、各種の世論調査で30%を超える支持率を得て先頭を走る同党のイ・ジェミョン代表の独走のもと、キム・ギョンス元慶尚南道知事、キム・ドンヨン京畿道知事、キム・ドゥグァン元慶尚南道知事、キム・ブギョム元首相、キム・ヨンロク全羅南道知事、パク・ヨンジン前議員、イ・クァンジェ元江原道知事、チョン・ジェス議員(ハングル順)らが選挙戦に突入することになるとみられる。共に民主党指導部の関係者は「実務的な準備はできている。まもなく選挙戦の日程が発表されるものと思われる」としたうえで、「早期大統領選挙のための特別党規を準備し、候補と選挙人団の募集などを順に進めていくだろう」と述べた。圧倒的な支持を得ているイ代表の無難な選挙戦通過が予想されるため、選挙戦期間は2~3週程度の短さだろうとみる予想も党内外から出ている。
 「国民の力」で浮上している候補は10人を超える。国民の力では、支持率1位のキム・ムンス雇用労働部長官の出馬の可能性が論じられており、アン・チョルス議員、オ・セフン・ソウル市長、ユ・スンミン元議員、ハン・ドンフン前代表、ホン・ジュンピョ大邱(テグ)市長はすでに出馬の意向を明らかにしている。キム・テフム忠清南道知事、ユ・ジョンボク仁川市長、イ・チョルウ慶尚北道知事らも出馬を検討中だ。
 首相と広域市・道の首長が大統領選挙に出馬するためには、大統領選挙日の30日前の5月4日までに辞任しなければならない。国民の力の上層部の関係者は「共に民主党とは違い、われわれは誰が候補になるのか不明な状況であるため、選挙戦では4~5週間ほどの予備選挙を行い、関心を最大限集めるのが良いと思われる」と述べた。序盤の世論調査の成績に応じて、オ・セフン市長やホン・ジュンピョ市長などの現役の自治体首長の候補は、大統領選挙レースで早期離脱し、職にとどまる可能性があるという観測も出ている。
 祖国革新党は、大統領候補を選出するかどうか悩んでいる。改革新党は大統領候補として、早々にイ・ジュンソク議員を選出した。

コ・ハンソル記者、ソ・ヨンジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/1190674.html
韓国語原文入力:2025-04-04 12:00


2025-04-04 12:22
■尹、前大統領としての礼遇ほとんど剥奪…転居先は瑞草区の自宅か

【写真】尹錫悦大統領が3月8日午後、京畿道義王市のソウル拘置所から釈放され、支持者たちにあいさつしながら歩いている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 4日の憲法裁判所による弾劾宣告で大統領職を罷免された尹錫悦大統領からは、前大統領に提供される各種の礼遇が、警護・警備を除いてほとんど剥奪される。現職大統領に保障される刑事上の不訴追特権もなくなる。
 尹大統領が5年の任期を正常に終えるか辞任していたなら、前大統領として年金、事務室の提供、運営経費、本人と家族に対する医療、秘書官3人と運転手1人などが保障された。年金は、現職時に受け取る年間報酬の95%で、尹大統領の今年の年俸は2億6258万ウォンだったため、通常であれば年間2億6000万ウォン(約2640万円)あまりが受け取れた。
 しかし「前職大統領の礼遇に関する法」は、在職中の弾劾による退任▽禁錮以上の刑の確定▽刑事処分を回避することを目的とした外国逃亡▽大韓民国国籍の喪失などに当てはまる場合は、ほとんどの礼遇を剥奪するとしている。
 前職大統領という象徴性を考慮して警護・警備は保障される。ただし、正常に退任した場合は最大15年間(10年+延長5年)警護が受けられるが、任期満了前に退任した場合は10年(5年+延長5年)に短縮される。前職大統領の警護人員は通常、夫婦で25人ほどが配される。
 尹大統領夫妻は官邸を離れ、ソウル瑞草区(ソチョグ)の自宅(アクロビスタ)に転居するとみられる。ただし、大統領の官邸退去時期についての規定がないため、数日は官邸にとどまる可能性が高い。2017年3月10日に罷免された朴槿恵(パク・クネ)元大統領は自宅の施設の補修、警護問題などを理由として、宣告の2日後に大統領府を退去している。警護処は尹大統領の就任から約6カ月間、瑞草区の自宅を警護した経験があるため、早期の警護準備に問題はないはずだという。

イ・スンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-04-04 11:32


「The Hankyoreh」 2025-04-04 11:46
■【速報】韓国憲法裁判所、内乱首謀した尹錫悦大統領を全会一致で罷免
 憲法裁判所が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領を罷免した。憲法裁は4日午前11時、大審判廷で、尹大統領弾劾事件についての決定を宣告し、「被請求人大統領尹錫悦を罷免する」と述べた。昨年12月3日、非常戒厳が宣布されてから123日後に下された結論だ。
 尹大統領は12・3内乱事態により昨年12月14日に国会で弾劾訴追案が可決された。憲法裁の今回の結論は弁論終結から38日後に出たもので、歴代の大統領弾劾事件の中で最長の審理を記録した。

オ・ヨンソ、キム・ジウン、チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力: 2025-04-04 11:26


「聯合ニュース」 2025.04.03 10:10
■尹氏弾劾判断控え賛否両派「座り込み」総力戦 警察は非常勤務体制に=韓国
【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の罷免の是非を判断する憲法裁判所の弾劾審判の宣告を翌日に控えた3日、罷免の賛成派と反対派は憲法裁付近で集会を開く。

【写真】憲法裁の周辺に作られた警察車両による壁=2日、ソウル(聯合ニュース)

 市民団体「尹錫悦即刻退陣・社会大改革非常行動」はこの日夕方、憲法裁付近で尹大統領の罷免を求める集会を開く。集会後は行進も行う計画だ。その後、夜を徹して座り込み、4日午前11時の宣告をテレビ中継で視聴する。
 尹大統領の罷免に反対する保守団体などもこの日、憲法裁近くなどで集会を開催する。反対派の約50人は2日から夜通しで座り込みを行った。この日も座り込みを続ける。反対派も4日午後、テレビ中継を視聴する計画だ。
 一方、警察はこの日午前9時、ソウルに非常勤務体制のうち上から2番目に高い「乙号非常」を発令した。4日には警察力100%の動員が可能な最高レベルの非常勤務体制「甲号非常」を全国に発令する。全国210の機動隊の隊員約1万4000人や刑事機動隊なども動員する。
 また、国会や大統領室、外国の大使館、主な報道機関などにも機動隊を配備する。


「The Hankyoreh」 2025-04-03 07:57
■尹錫悦大統領の運命を決める2つの基準「憲法守護の意志・国民の信任」
 違憲・違法に加えて重大性が判断のカギ 
 盧武鉉元大統領の弾劾裁判では政治中立違反を認めたが 
 憲法守護の観点から重大性は低く、「棄却」 
 国政壟断の朴槿恵元大統領の場合、基準をすべて満たし「罷免」

【写真】尹錫悦即時罷免・社会大転換ソウル非常行動、民主労組ソウル本部など、内乱首謀者尹錫悦罷免バスの参加者らが2日午前、ソウル市龍山区の大統領官邸に向かい弾劾を求めて行進し、警察に阻止されている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 韓国憲法では、弾劾訴追議決の要件を「憲法や法律を違反したとき」と決めている。憲法裁判所は弾劾事件を進めるなかで、違憲・違法行為に加え「重大性」まで認められてこそ、罷免に至ることが可能となるという判例を確立した。法曹界では、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が宣言した12・3非常戒厳の違憲・違法性は明白であるため、憲法裁判官がその重大性をどう判断するかがカギだとみている。
 これに先立ち憲法裁判所は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領と朴槿恵(パク・クネ)元大統領の弾劾裁判を通じて、違憲・違法行為の「重大性」を、「憲法守護」と「国民の信任」の観点で改めて分けて判断した。2004年に棄却された盧武鉉元大統領の弾劾事件の場合、憲法守護の観点での重大性が認められなかった。当時の憲法裁判所は、総選挙を控えた状況のもと、与党支持を訴えた盧大統領の行為が政治的中立性違反ではあるが、憲法守護の観点では重大性は低いと判断した。憲法裁判所は「具体的な法律違反行為に、憲法秩序に逆行しようという積極的な意志を認められないため、自由民主的な基本秩序に対する脅威とは評価できない」と明らかにした。
 朴槿恵元大統領は、2つの重大性の基準を両方とも満たしたケースだ。2017年の憲法裁判所は、「朴大統領がチェ・スンシル氏の国政介入を許容した行為は、法治主義の精神を損なうものであり、大統領としての公益実現の義務を重大に違反した」ものであり、「1回目の国民に向けての談話で行なった謝罪は、客観的事実と合わないなど真正性が足りず、(談話の内容とは違い)捜査に応じない行為などは、国民の信任を裏切った行為」だと判断した。憲法守護と国民の信任の観点で違法行為が重大だということだ。特に、朴元大統領弾劾事件において、捜査拒否が重大な違法行為と判断されたことを踏まえ、尹大統領の逮捕令状執行拒否や大統領室の押収捜索拒否などを、憲法裁判所がどのように判断するのかについて関心が集まっている。

【写真】尹錫悦大統領が2月6日、ソウル市鍾路区の憲法裁判所で開かれた弾劾審判の第6回弁論に出席して、物思いにふけっている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 先月24日、憲法裁判所はハン・ドクス首相の事件で、マ・ウンヒョク裁判官の任命拒否は違憲であり、「憲法秩序に及ぼすことになった否定的な影響と波及効果は重大だ」として、憲法守護の観点で違憲行為の重大性があると判断した。それでも、憲法裁判所は「(ハン首相の違法行為が)任命権者である大統領を通じて間接的に付与された国民の信任を裏切ったケースに該当すると断定することはできない」として、棄却を決めた。首相として受ける国民の信任に背くとするには、違法行為が重大ではないという趣旨だった。国民の直接投票によって選出された大統領には、首相よりも国民の信任を裏切ったという要件を幅広く適用しうるという意味でもある。
 憲法研究官出身である建国大学法学専門大学院のスン・イド教授は2日、ハンギョレの電話取材で「尹大統領は非常戒厳という超憲法的な国家緊急権の行使を通じて権力を非正常的に掌握しようとし、国会に軍の兵力を投入し、民主主義憲法を後退させる行為に及んだ」として、「これは憲法守護の意志がなく、国民の信任に反する行動であり、罷免の理由になりうる」と述べた。

オ・ヨンソ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-04-02 23:25


「The Hankyoreh」 2025-04-03 07:38
■戒厳令、布告令、国会掌握…一つでも重大な違憲があれば尹大統領は罷免に
 主な証言を通じて見た5大争点

【写真】尹錫悦大統領が2月13日、ソウル鍾路区の憲法裁判所の大審判定で開かれた尹錫悦大統領弾劾審判の8回目の弁論に出席している=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 4日に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領弾劾事件の宣告を行う予定の憲法裁判所は、国会が弾劾訴追理由として提示した5大争点を基準に、違憲性と違法性に照らし合わせて最終判断を下す。非常戒厳宣布の違憲性▽戒厳令第1号▽軍と警察を動員した国会掌握の試み▽令状のない押収や逮捕など選挙管理委員会掌握の試み▽政治家や法曹人などに対する逮捕指示のうち一つでも重大な違憲・違法だと憲法裁で認められれば、尹大統領は罷免に至る可能性がある。第4〜10回弁論の過程で、16人の証人が憲法裁に出席し、尹大統領の非常戒厳宣布にともなう違憲・違法行為を具体的に証言した。
 最も基礎的な争点は、尹大統領の12・3非常戒厳宣布が、憲法と法律が定めている手続きと要件を満たしているかどうかだ。
 尹大統領は「非常戒厳宣布は高度の統治行為」だとし、野党が弾劾を乱発したことなどを名目に掲げ、正当性を主張してきた。一方、国会側は憲法が定めた戒厳発動状況(戦時・事変またはこれに準ずる国家非常事態)ではなかったため、戒厳の宣布そのものが違憲・違法だと反論した。非常戒厳宣言前に行われた「5分間の国務会議」の適法性も重要な判断基準になる。
 これについて、ハン・ドクス首相は2月20日、弾劾審判第10回弁論で、「戒厳宣布前の国務会議は通常の国務会議ではなく、形式的・実体的な欠陥があったのは事実」だと証言した。
 政治活動禁止、言論・出版の統制などの内容を盛り込んだ戒厳令第1号の違法性も主要争点だ。国会側は、国会活動と政党の政治活動を禁止する条項が含まれている違法な布告令だと指摘した。
 尹大統領側は、キム・ヨンヒョン前国防部長官が過去の布告令を誤ってそのまま写したと主張し、4回目の弁論ではキム前長官を尋問する際、「『(布告令は)上位法規にも違反し、内容が具体的でないため、執行の可能性もないが、そのままにしておきましょう』と(尹大統領が)言ったが、覚えているか」と尋ねた。布告令が上位法規である憲法に反するという点を認識していたと自ら認めたわけだ。
 戒厳軍と警察が国会を封鎖して国会活動を妨害しようとしたという疑惑は、弁論過程で様々な証言で裏付けられた。尹大統領側は「秩序維持」のためだったと主張したが、第6回弁論に証人として出席したクァク・チョングン前陸軍特殊戦司令官は、尹大統領に「議決定足数に至っていないようだ。早く国会の門を壊して入って、中にいる人たちを引きずり出せ」と指示されたと証言した。
 第5回弁論に証人として出席したヨ・インヒョン前防諜司令官は、「戒厳当日、兵力を出動するようキム・ヨンヒョン前国防部長官に命令された」と認めており、警察に特定の人物の位置を把握するよう要請した事実を認めた。イ・ジヌ前首都防衛司令官はほぼ答弁を拒否したが、チョ・ソンヒョン首都防衛司令部第1警備団長は第8回弁論で、イ前司令官から「国会内部に入って議員たちを引きずり出せ」と指示されたと証言した。
 軍を動員した選挙管理委員会の強制捜索も、弁論過程で違法行為が再確認された。尹大統領は第5回弁論で「選管委に戒厳軍を派遣するように言ったのは、私がキム・ヨンヒョン前長官に指示したこと」だと述べた。尹大統領が一貫して否定してきた違憲・違法行為の中で、ほとんど唯一認めた事実関係だった。さらに尹大統領は、「選管委に入り、(セキュリティ点検を行った)国情院がすべては確認できなかった選管委の電算システムにどのようなものがあり、どのように稼動するのか、スクリーン(点検)をしろという趣旨だった」と主張した。選管委のセキュリティがずさんで不正選挙の疑惑が持ち上がったため、自分が軍を送り、これを点検しようとしたという主張だ。
 しかし第7回弁論に証人として出席したキム・ヨンビン中央選管委事務総長は「不正選挙疑惑はまったくあり得ない」としたうえで、「果川(クァチョン)庁舎に入ってきた戒厳軍がひとまず『行動統制』をしながら(職員らの)携帯電話を押収した。それ自体が逮捕・監禁に当たる」と反論した。
 政治家や法曹人の逮捕指示をめぐる争点については、これを初めて暴露したホン・ジャンウォン国情院第1次長に対する尹大統領側の「揺さぶり」が激しく展開された。ホン前次長は第5回弁論に出席し「『全員捕まえろ』という尹大統領との通話内容を一言一句まで覚えている」とし、ヨ・インヒョン前防諜司令官との通話で「共に民主党」(最大野党)のイ・ジェミョン代表など、政治家や法曹人の逮捕リストを聞いてメモしたと述べた。
 尹大統領側が、ホン前次長が証言した非常戒厳当日の夜の動線に誤りがあると指摘したことを受け、ホン前次長は第10回弁論に再び出席し、非常戒厳当日に作成した逮捕関連メモを審判廷で提示し、作成場所は国情院長官邸の前ではなく、自分の執務室だと訂正した。
 同じ日に証人として出席したチョ・ジホ警察庁長は、「尹大統領から直接『国会議員を逮捕せよ』という指示を受けた」と検察に供述した内容と関連し、「事実関係に間違いはない」と証言し、尹大統領の逮捕指示があったという証言を後押しした。

チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-04-02 22:40


「The Hankyoreh」 2025-04-03 00:12
■「尹錫悦は国民の怖さを知らない」…市民、全員一致での罷免求める

【写真】尹錫悦即時退陣・社会大改革非常行動が2日夕刻、ソウル鍾路区の安国駅6番出口前で開催した内乱首魁尹錫悦即時罷免集会に、市民が集まっている=イム・ジェヒ記者//ハンギョレ新聞社

 「憲法が守られているという証拠が見たくて」、「市民に銃刀を向けた大統領に腹が立って」、「これからもっと連帯したくて」。
 2日夕刻、ソウル鍾路区(チョンノグ)の安国(アングク)駅6番出口前。市民は各自異なる理由をあげ、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領罷免を叫んだ。そして「内乱勢力を制圧しよう」などと書かれた印刷物、自ら記した「主文、被請求人大統領尹錫悦を罷免する」などの様々なプラカードを振った。また、200メートルほど離れた憲法裁判所に向かって「憲法裁は尹錫悦を8対0で罷免せよ」、「内乱首魁(しゅかい)尹錫悦を全員一致で罷免せよ」と声を一つにして叫んだ。
 尹錫悦即時退陣・社会大改革非常行動(非常行動)はこの日午後7時、安国駅6番出口前で「内乱首魁尹錫悦即時罷免」集会を開催した。前日の夜9時から24時間にわたって続けられた徹夜集中行動の最後を飾る集会だ。市民は安国駅6番出口付近の6車線道路の、150メートルの区間を埋め尽くした。
 市民は、昨年の12・3内乱を繰り返さないために、憲法裁は全員一致で尹大統領に罷免を言い渡すべきだと口をそろえた。ムン・ナギョンさん(84)は「(尹大統領は)ソウル拘置所から出てきた時、頭を下げて国民に間違っていたと謝罪すべきだったが、笑いながら握り締めた拳を振り上げていた」とし、「国民を怖がっていないようだ」と話した。そして「国民の怖さを知らない大統領があんな非常戒厳をまた繰り返したらどうするのか」と、尹大統領が罷免されるべき理由を語った。休暇を取って京畿道金浦市(キンポシ)からやって来たという会社員のイ・スンミンさん(53)も、「国会を軍隊が襲ったということは、自分を止められるあらゆる方策を防ごうとしたということ。対話や妥協もなしに自分の意思ばかりを貫徹しようとした尹大統領は、再発の懸念もあるので絶対に罷免されるべきだ」と話した。
 済州4・3抗争とセウォル号惨事を記憶している4月の市民たちは、差別や嫌悪に別れを告げるために尹大統領を罷免しようと声を強めた。済州4・3汎国民委員会のペク・キョンジン理事長は、「内乱勢力は戒厳文書で済州4・3のことを『済州暴動』と言っており、極右勢力は(済州4・3抗争の象徴である)ツバキバッジを共産党バッジだと言っているが、彼らこそ暴動勢力。白骨団のような暴力団の蠢動(しゅんどう)がソウル西部地裁を侵奪するに至り、憲法裁判所などあちこちで恐怖の雰囲気を造成している」と述べた。京畿道安山(アンサン)からやって来たというチョン・ウランさんは舞台上で、「セウォル号惨事11周忌が2週間後に迫っているが、この社会はなぜこのように遅いのか、つらい時間でもあった。もう一度未来を夢見てみようと、迫りくる春に勝利する経験を共有しようと言いたくなった」と語った。

【写真】2日夕刻、尹錫悦即時退陣・社会大改革非常行動が開催した内乱首魁尹錫悦即時罷免集会の参加者が、自分で作ったプラカードを手にしている=イム・ジェヒ記者//ハンギョレ新聞社

 市民にとって、尹大統領の罷免は社会改革のはじまりでもあった。非常行動のパク・ソグン共同議長は「尹錫悦罷免は新たなはじまりに過ぎず、その後に私たちがなすべきことは非常に多い」として、「OECD(経済協力開発機構)自殺率1位の世の中を変え、庶民も人間らしく生きられる世の中を作らなければならないのではないか」と述べた。そして「内乱勢力の清算と社会大改革で、人間らしく生きられる世の中を共に作っていこう」と語った。
 非常行動はこの日、デモ行進は行わずに24時間にわたった徹夜集中行動を終えた。主催者は、尹大統領の支持者との接触を避けてほしいと訴えつつ、解散後は弾劾反対集会の会場に近い安国駅ではなく、光化門(クァンファムン)駅などを利用するよう要請した。徹夜座り込みは3日午後7時から翌日の憲法裁による決定言い渡しまで行われる予定だ。

イム・ジェヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-04-02 21:19


「The Hankyoreh」 2025-04-02 10:03
■韓国二大労総、4日の弾劾審判宣告前に「罷免要求」24時間集中行動

【写真】憲法裁判所が尹錫悦大統領の弾劾審判の宣告日を発表した1日、憲法裁判所のそばに警察のバスで壁が構築されている/聯合ニュース

 憲法裁判所による尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の弾劾審判の宣告日が4日に決まった1日、労働界は憲法裁に罷免決定を要求する24時間徹夜集中行動に突入した。
 民主労総と韓国労総はこの日午後6時、ソウル光化門(クァンファムン)の東十字閣(トンシプチャガク)で共同集会を開催し、裁判官の全員一致による尹大統領の弾劾を憲法裁に求めた。韓国労総のキム・ドンミョン委員長は「憲法を踏みにじった尹錫悦が復帰すれば韓国社会は破滅し、共同体は徹底的に崩壊するだろう」とし、「尹錫悦審判闘争の長い冬を勝ち抜いた我々労働者の力で、今度は労働の春、ソウルの春を迎えよう」と述べた。民主労総もこの日の声明で、「すべての市民が見守った内乱行為を違憲、違法と言わないなら、憲法裁判所には存在価値がない。憲法裁判所は4日11時、全員一致で内乱首魁(しゅかい)尹錫悦を罷免せよ」と述べた。
 二大労総は集会後に行われた尹錫悦退陣非常行動の集会に合流。その後、鍾路区(チョンノグ)に位置する憲法裁判所まで行進した。続いて、憲法裁に全員一致による罷免決定を求める座り込みを開始した。座り込みは2日午前まで。

チョン・ジョンフィ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-04-01 18:07
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「サムスン電子が全投入したベトナム、相互関税46%…スマートフォン事業に打撃」

2025年04月05日 | 国家・社会
「The Hankyoreh」 2025-04-05 10:47
■サムスン電子が全投入したベトナム、相互関税46%…スマートフォン事業に打撃
 家電部門は一息つく…生産拠点のメキシコは相互関税の対象から外れる

【写真】サムスン電子の瑞草社屋/聯合ニュース

 米国がベトナムに相互関税を46%課すことにしたため、サムスン電子のスマートフォン事業もターゲットとなった。サムスンは、人件費が安いベトナムを最大の生産基地として、米国に輸出してきたが、このようなサプライチェーンに変数が生じたのだ。今後、中国をはじめとする輸出競合国の最終関税率と、競合企業であるアップルの関税免除の有無によって、価格競争力の優劣が決まる見通しだ。
 3日の米国ホワイトハウスの資料によると、全世界の主要なスマートフォンの製造地であるベトナムと中国、インドに、米国が課税することにした相互関税率は、それぞれ46%、34%、27%になる。中国の場合、これに先立ち課税された関税20%も考慮すると、合計で54%の関税を課せられることになるものとみられる。中国とベトナムに生産が集中している企業ほど、打撃が大きいことになる。
 米国のスマートフォン市場を事実上二分するアップルとサムスン電子にも、「赤信号」がついた。サムスン電子は、ギャラクシーのスマートフォンの半数以上をベトナムで製造し、そのうちの一部を米国に輸出している。韓国にも工場があるが生産数は少なく、インドで製造した製品も主に内需用に用いられている。アップルのiPhoneのサプライチェーンは中国を中心に組まれており、米中紛争後はインドに一部移転された。両社ともに相互関税による打撃は小さくないと予想される理由だ。
 これら企業の売上に米国が占める割合が大きい点も懸念の要因だ。アップルの最近の年間売上のうち43%が米国地域で発生した。サムスン電子も、昨年の単体での全社売上の29%が米国地域にあたる。相互関税が原因で米国内での販売量が減少したり、収益性が悪化したりする場合、会社全体にとって負担となる恐れがあることを意味する。
 カギは今後の交渉によって決定されるこれらの国の最終関税率だ。米国は9日(現地時間)から相互関税を課す計画だが、業界は、それまでに国家間での交渉が妥結する可能性もあるとみている。ベトナムのホー・ドゥック・フォック副首相も週末に直接米国を訪問することが分かった。反対に、関税率がさらに増える可能性もある。ウォール・ストリート・ジャーナルは「トランプ大統領が、中国によるベネズエラ産原油の輸入を理由に、25%の関税を追加課税する場合、中国の関税率は79%になる」と報じた。
 第1次トランプ政権時に、米国が個別企業を対象に関税を免除した過去がある点も変数だ。当時、米中紛争が激化し、米国が一部の中国製品に関税を課したところ、アップルは「関税を免除しなければ、競争企業のサムスン電子が利益を得ることになる」という論理を展開し、一部品目で免除を勝ち取った。今回も変数が残っているわけだ。2月にアップルは、米国にサーバー工場を設立するなど、5000億ドルを投入すると発表すると、これについてドナルド・トランプ大統領は「(アップルなどが米国に投資する理由は)関税を払いたくないから」だと述べた。
 一方、家電業界は一息つける雰囲気だ。米国向け輸出用テレビと生活家電の中心的な生産拠点であるメキシコが、今回は追加関税を逃れたためだ。サムスン電子とLG電子は、ベトナムなどでも冷蔵庫をはじめとする一部の家電を生産しているが、米国向け輸出の割合は低いと言われている。

イ・ジェヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-04-04 08:06
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「イスラエルの救急車銃撃「戦争犯罪」の可能性 国連人権高等弁務官」

2025年04月04日 | 国家・社会
「AFP」 2025年4月4日 11:57 発信地:国連本部/米国
■イスラエルの救急車銃撃「戦争犯罪」の可能性 国連人権高等弁務官

【写真】イスラエル軍の救急車攻撃で死亡した救急隊員たちの遺体がガザ地区南部ハンユニスのナセル医療複合施設に到着する中、若者を抱きしめる救急医療士(2025年3月30日撮影)。
【写真】ガザ地区南部のハンユニスにあるナセル医療複合施設で、救急車からパレスチナ人の救急隊員の遺体を運び出す救急医療隊員(2025年3月30日撮影)。
【写真】ガザ地区南部のハンユニスにあるナセル医療複合施設に搬送される、イスラエル軍の攻撃で死亡したパレスチナの救急隊員の遺体(2025年3月30日撮影)。
【写真】イスラエル軍の救急車攻撃で死亡した救急隊員たちの遺体がガザ地区南部のハンユニスのナセル医療複合施設に到着する中、悲しむ女性たち(2025年3月30日撮影)。
【写真】ガザ地区中部のヌセイラート難民キャンプで、食事を受け取るために並ぶパレスチナの子どもたち(2025年4月3日撮影)。(c)Eyad BABA/AFP
【写真】ガザ市のアルトゥファ地区にある学校がイスラエルの攻撃を受けた後、病院で治療を受ける負傷したパレスチナの子どもと赤ちゃん(2025年4月3日撮影)。(c)Omar AL-QATTAA/AFP

【4月4日 AFP】国連のボルカー・ターク人権高等弁務官は3日、パレスチナ自治区ガザ地区で救急車が銃撃され医療従事者や人道支援活動家15人が死亡したことは、「イスラエル軍による戦争犯罪」のさらなる懸念を引き起こしたと述べた。
ターク氏は国連安全保障理事会で「15人の医療従事者と人道支援活動家が最近殺害されたことに衝撃を受けている。これはイスラエル軍による戦争犯罪の懸念をさらに高める」と語った。
 その上で、イスラエルが「テロリスト」への攻撃と主張している3月23日の事件について、「独立した、迅速かつ徹底的な調査」を求めた。
 国連人道問題調整室(OCHA)はガザ南部ラファ近郊の「集団墓地」で、パレスチナ赤新月社の8人と国連の1人を含む15人の救助隊員と人道支援者の遺体が発見されたと発表した。
 OCHAは1日、最初のチームが先月23日にイスラエル軍によって殺害され、他の緊急援助チームも行方不明の同僚を捜索中に数時間にわたって次々と攻撃を受けたと述べた。
 イスラエル軍は「2025年3月23日の事件」を調査中だとしつつ、兵士たちは「テロリスト」に向けて発砲したと主張した。
 イスラエルのダニー・ダノン国連大使は、民間人労働者を保護するために人道支援組織の「審査システム」を改善するよう求めた。
 「なぜ9人のハマスのテロリストが真夜中に赤新月社の救急車に乗っていたのか?」「これらのテロリストの存在は全員の命を危険にさらす」と語った。
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「韓国軍の機密情報を引き出した中国人を拘束 当局は捜査拡大」

2025年04月03日 | 国家・社会
「聯合ニュース」 2025.04.03 11:45
■韓国軍の機密情報を引き出した中国人を拘束 当局は捜査拡大
【ソウル聯合ニュース】中国人組織が韓国軍の機密情報を引き出す目的で現役軍人に接近した事実を韓国当局が捉え、捜査に乗り出したことが3日、分かった。
 韓国軍によると、国軍防諜司令部は先月29日に南部の済州島で拘束した中国人を軍事機密保護法違反の容疑で捜査している。
 拘束された中国人の一味は昨年初めから現役軍人がメンバーのオープンチャットに軍人になりすまして潜入し、メンバーに1対1の会話を仕掛け、軍事機密を渡せば金を支払うと誘い込んでいたことが明らかになった。この過程で江原道の部隊で服務中の兵士が言いくるめられ、搬入許可を得ていない携帯電話で韓米合同軍事演習の進行計画など内部資料を撮影し、中国人側に渡したことが判明し、この兵士に対する捜査も行われている。
 中国人は機密提供者に対価を払うため韓国に入国し拘束された。同司令部はオープンチャットで機密情報を引き出そうとする怪しいメンバーがいるとの通報を受け、この中国人を拘束できたという。また、中国人組織の総責任者が中国におり、中国軍に所属している可能性があることも把握し捜査を拡大している。
 韓国軍関係者は「現在、捜査が進められているため詳しい内容は明らかにできない」と説明した。
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「親パレスチナデモ参加の韓国人学生、「国外追放は不当」とトランプ大統領らを相手に訴訟」

2025年04月03日 | 個人史・地域史・世界史
『東亞日報』 March. 26, 2025 08:54  
■親パレスチナデモ参加の韓国人学生、「国外追放は不当」とトランプ大統領らを相手に訴訟
 米国のアイビーリーグ(米東部の名門私立大学8校)大学の1つであるコロンビア大学に在学中の韓国人学生チョンさん(21)が、親パレスチナデモに参加したことで米移民当局から国外追放の対象になったと、米紙ニューヨーク・タイムズが24日付で報じた。7歳の時に両親と米国に移住したチョンさんは、2021年に永住権を取得した。にもかかわらず、今月10日に米国務省から「滞在資格取り消し」の通知を受けた。
 移民税関捜査局(ICE)や連邦検察は、現在所在不明のチョンさんの身柄を確保しようと躍起になっている。チョンさんは、当局を避けている状況でも、永住権者である自身を国外追放することは不当だとして、トランプ大統領、ルビオ国務長官、ノーム国土安全保障長官らを相手に24日、訴訟を提起した。チョンさんの処遇がどう結論づけられるにせよ、第2次トランプ政権の強硬な反移民、反パレスチナ基調を示す事例になるとみられる。
 チョンさんが同日、ニューヨーク南部連邦地裁に提出した訴状によると、チョンさんは5日、コロンビア大学の姉妹校であるバーナード・カレッジで開かれた親パレスチナデモに参加して逮捕された。公務執行妨害の容疑で当局の出頭通知書を受け取り、当日釈放された。
 コロンビア大学は7日、チョンさんに「一時停学」処分を下した。8日、ICEもチョンさんに「行政逮捕令状」を発付した。ICEが独自に発付できるこの令状は、裁判所が発付する逮捕令状とは異なり、効力が制限的だ。これを所持した取り締まり要員が、住居の所有者、学校などの許可を得なければ、当該場所に立ち入ることはできない。ICEは9日、チョンさんの両親宅を訪問したが、チョンさんはいなかった。
 ICEは13日、チョンさんを探すためにコロンビア大学の寮も捜索した。この過程で連邦検察が「隠匿法」を適用して発布された捜索令状を使用した。隠匿法は、不法滞在者をかくまったり保護したりする行為を禁じている。
 チョンさんは訴状で、「個人の政治的見解に基づいて報復を加える行為は、『表現の自由』を保障した修正憲法1条に反する」と指摘した。また、「非市民権者の政治的見解の表現が現行政権の基調と合わないという理由で、移民当局の勾留及び国外追放の脅威が処罰手段として使われてはならない」と主張した。
 チョンさんの弁護人も、「チョンさんは他の数百人のコロンビア大学の学生のようにパレスチナ支持活動に参加しただけで、デモを組織したり執行部の役割を担った経歴は全くない平凡な学生だ」と強調した。また、「チョンさんはただの一度も不法滞在者であったことがなく、学業成績も優秀で、米国で法律家として人生を歩むことを願っていた」と付け加えた。
 同紙によると、国務長官は「移民国籍法」により、国家の外交政策の議題を脅かすほどの合理的な根拠がある非市民権者に滞在取り消し通知などの措置を取ることができる。コロンビア大学で開かれた反戦デモ参加者の中で初めて永住権を剥奪された後、逮捕されたアルジェリア国籍のマフムード・カリルさん(30)は、この規定により現在ルイジアナ州の移民当局施設に勾留されている。もしチョンさんが当局に捕まれば、同様の状況に陥る可能性も排除できない。
     イ・ジユン記者 asap@donga.com
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「関東大震災での朝鮮人虐殺、1千年たってもなかったことにはならない」

2025年04月02日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「The Hankyoreh」 2025-04-02 10:05
■「関東大震災での朝鮮人虐殺、1千年たってもなかったことにはならない」
 日本の劇団「温泉ドラゴン」30日まで 
 「関東大震災朝鮮人虐殺」がテーマの演劇「痕、婚、」公演 
 劇団代表兼演出のシライケイタさん 
 「朝鮮人虐殺めぐる集団心理劇」 
 脚本の原田ゆうさん「今こそ差別の歴史を深く考える時」

【写真】劇団温泉ドラゴンの代表で、演劇「痕、婚、」の演出も務めるシライケイタさん(左)と、脚本の原田ゆうさん(右)が先月22日、東京都中野区の小劇場「ザ・ポケット」でインタビューに応じている=東京/ホン・ソクジェ特派員//ハンギョレ新聞社

 「あの時、『十五円五十銭と言ってみろ』と言った声があなたと同じでした」。
 22日、東京都中野区の小劇場「ザ・ポケット」を埋め尽くした観客たちは、主人公木下麻子の台詞に息をのんだ。麻子は1925年、東京のとある町に、自分が「朝鮮人パク・キョンエ」であることを隠して洋服店の裁縫職人として住み込みで働く。彼女は町の住民たちに溶け込み、洋服屋の主人、石崎と結婚まで約束した。だが彼女はまもなく、2年前の1923年9月1日の関東大震災における朝鮮人大虐殺事件で、自警団に自分の恋人「ヨンテク」が殺害されていたことを知る。優しい顔で、麻子だけでなく同じ町に住む朝鮮人たちにも親切にしていた日本人住民たちが、2年前には自警団の朝鮮人虐殺に加担していた。
 彼女は、隣人として共に暮らしていた人々に「自分たちがヨンテクを殺したことを認めてください」という言葉を苦しげに繰り返す。しかし町の人々は「大地震の時、警察に『朝鮮人が暴動を起こしたから、発見したら殴り殺してもかまわない』と言われたことに従っただけ」だと言い、「国を守るという使命感から命をかけたのだ」と逆に強く反論した。ある人は「あの時、私たちの町に朝鮮人はいなかった」と真実を否定した。またある人は「この話も日本人だとうそをついていた麻子がでっち上げたものだ」と非難した。劇場のあちこちから観客の深いため息が漏れた。
 しかし、地元紙記者の沖が2年前の事件を書いた過去の記事を見つけ出したことで、真実が明らかになる。麻子と結婚を約束していた石崎は「私たちがその人を殺しました。申し訳ない。本当に申し訳ない」と言ってひざまずく。町で教師をしている和子は涙ながらにこう語る。「文明国だというのは見かけに過ぎず、私たちはまだ野蛮人だということが大震災の時にあらわになったのよ。冷静な思考力が持てず、残虐さを発揮してしまった。ここで麻子のせいにして、私たちは何の反省もなしにまた同じことを繰り返すの?」 恋人を失ったショックで朝鮮語を失っていたパク・キョンエは、暗くなりゆく最後の照明の中でこう絶叫する。「ヨンテク!こっちにおいで、こっちにおいで。私はここにいるよ」。
 日本の劇団「温泉ドラゴン」が3月20~30日におこなっている演劇公演「痕、婚、」は、1923年に日本で起きた関東大震災での朝鮮人虐殺を素材にしている。その年の9月1日午前11時58分、マグニチュード7.9の地震により東京をはじめとする日本の首都圏一帯が焦土と化した。10万人あまりの日本人が死亡した中、日本人自警団や軍、警察などによって数千人の朝鮮人が虐殺された。「朝鮮人が井戸に毒を入れた」、「暴動を起こした」などのデマが広がり、労働者として働いていた朝鮮人が逃げ場もなく残酷に殺された。しかし、虐殺に責任のある日本政府は謝罪を避けている。

【写真】東京都中野区の小劇場「ザ・スクエア」で公演中の演劇「痕、婚、」の一場面=温泉ドラゴン提供//ハンギョレ新聞社

 劇団温泉ドラゴンの代表で、演出を務めたシライケイタさんはハンギョレに、「1千年という時間が流れても、実在したことがなかったことにはならない」として、「今回の芝居は100年以上前の朝鮮人虐殺をめぐる集団心理についてのものであり、人間の深いところに眠っている残虐さが行動へと変わる瞬間についてのもの」だと説明した。シライケイタさんは以前にも、明成皇后殺害事件を扱った「ある王妃の死」、抗日運動家の朴烈(パク・ヨル)と日本人の金子文子の愛を描いた「烈々と燃え散りし あの花かんざしよ」、植民地支配に抵抗した詩人尹東柱(ユン・ドンジュ)の人生を描いた創作劇「星をかすめる風」などの脚本と演出を手掛け、自国の舞台に上げるなど、韓国と格別な縁を結んでいる。今回の作品の公演について「関東大震災での虐殺事件を見れば、日本人がアジア諸国の人々に対して抱いてきた『選民意識』がどのように形成されてきたのか、またそもそも人間にどのように『差別』という感情が内在しているのかを考えることができると思う」と語った。

【写真】「痕、婚、」の一場面=温泉ドラゴン提供//ハンギョレ新聞社

 脚本の原田ゆうさんは「『歴史はそもそもそんな風に繰り返されるもの』だと言う人もいるかもしれないが、今こそ差別の歴史がどのようにはじまり、対立へとつながるのか、考えることをやめてはならない時」だと述べた。原田さんは「20年前にも関東大震災での朝鮮人虐殺を素材に脚本を書いて公演したことがある」として、「それから毎年、9月1日ごろに横浜で開かれる関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式に参加している」と語った。

東京/ホン・ソクジェ特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-03-25 18:52
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