http://japan.hani.co.kr/arti/politics/34809.html
「The Hankyoreh」 2019-10-31 07:41
■強制動員賠償判決1年…日本の市民団体「一日も早い被害回復を」
過去清算共同行動「被害者に残された時間ない」
朝鮮史研究会「国際法違反主張は歴史的事実無視」
【写真】韓国と日本の市民団体活動家と強制動員訴訟の被害者側弁護人が昨年11月、韓国最高裁の損害賠償判決の履行を求める要請書と被害者4人の写真を持って東京の日本製鉄本社に向かう様子=資料写真//ハンギョレ新聞社
韓国の最高裁判所による強制動員被害の初の確定判決から1周年を迎え、日本の市民団体と学者たちが被害者の人権回復に向けた努力が必要だという声明を相次いで発表した。
強制動員被害者を支援する日本の市民団体「強制動員問題解決と過去清算のための共同行動」と「日本製鉄元徴用工裁判を支援する会」は30日、「直ちに強制動員被害者の人権回復を」という声明を発表した。
両団体は声明で、1年前の最高裁判決について「国際人権規範にも合致する画期的な判決でした」と擁護した。そして「日本の司法は、企業の不法行為を事実認定はしながら被害者の請求を棄却しましたが、韓国の司法は植民地支配下の反人道的な不法行為に対する『強制動員慰謝料請求権』は日韓請求権協定の対象外であるとして請求を認めたのです。20年以上にわたる被害者たちの闘いは報われました」と評価した。
両団体は、安倍晋三首相が韓国最高裁の判決について「国際法に照らしてありえない判決」と非難し、日本の多くのメディアがこれに追従する報道をしていることに懸念を示した。強制動員の被害者が 「『植民地支配と侵略』によって『多大の損害と苦痛』を被った被害者であるという事実、朝鮮半島植民地支配の歴史に向き合うことなく、ひたすら韓国を敵視する動きに憂慮を禁じえません」とした。また、初の賠償確定判決の被告人である日本製鉄が安倍政権の圧力に屈し、いまだ判決を履行していないとし、「不法な強制動員によって利益を得た当の企業が 自らの企業行動規範=『各国・地域の法令を遵守』に反し、その責任を果たさないことは許されません」と記した。
両団体は被害者に残された時間はないとし、「大法院判決は日韓両国政府が妥協の産物として結んだ日韓請求権協定が曖昧にして長年放置してきた強制動員被害者の救済を命じました。被害者のために日韓両政府、そして強制動員に関わった企業が知恵を出し合って一日も早く問題解決を図ることを強く求めます」とした。
これに先立つ29日には、朝鮮半島の歴史を研究する日本の学者の集まりである「朝鮮史研究会」が「韓国大法院判決への日本政府・当該企業・メディアの対応に対する声明」を発表した。同会は会員約500人を擁する日本最大の朝鮮半島史研究者団体。この声明で同会は、日本政府が強制動員問題について「『解決済み』だ、『国際法違反』だとして、韓国政府に対して抗議を行いました。朝鮮史研究の蓄積と学術的観点からみて、『解決済み』とする日本政府の主張は歴史的な事実を無視するもの」と指摘した。
同会の研究者たちは「数多くの朝鮮人が戦時下での『募集』『管斡旋』『徴用』などの政策にもとづいて強制動員され、厳重な監視の下で過酷な労働を強いられたことが明らかにされています」と指摘した。さらに韓日請求権協定についても、「『財産』『請求権』のみが議論され、…『完全かつ最終的に解決された』こととされました。日本の植民地支配責任・戦争責任と強制動員被害者の人権侵害という論点については交渉の議題にはなりませんでした」と明らかにした。
研究者たちはまた「日本政府と当該企業は、植民地支配責任の観点に立って、その過去を克服するために、植民地支配下での加害・被害の事実と法的責任を認めて謝罪と賠償を行い、被害と加害の事実について将来世代に教育する、という責務を果たす必要があります」と指摘した。
東京/チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
http://www.hani.co.kr/arti/international/japan/915216.html
韓国語原文入力:2019-10-30 19:58
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/34812.html
「The Hankyoreh」 2019-10-31 08:00
■日本の居直りで過ぎ去った1年…“きちんとした解決策”作りが課題
最高裁判所の強制動員の賠償判決から1年
韓日、隔たり大きいが、1+1提案をもとに
変更したアイデア、水面下で検討される
日本も「経協基金」を流し、反応うかがう
年末の日本企業の資産売却が重大なヤマ場
【写真】日帝強制動員被害者、イ・チュンシクさんが今月30日午後、ソウル瑞草区の「民主社会のための弁護士会」大会議室で開かれた日帝強制動員問題の解決に向けた記者会見で、ある小学生が書いた手紙を聞きながら、涙を拭いている=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社
95歳という高齢の日本製鉄(旧新日鉄住金)強制動員被害者のイ・チュンシクさんは30日、民主社会のための弁護士会(民弁)と「強制動員問題の解決と対日過去清算に向けた共同行動」がソウル瑞草区民弁大会議室で開いた記者会見に出席していた。
1年前の10月30日、韓国最高裁(大法院)は日本製鉄に強制動員被害者への賠償を命じる判決を言い渡した。それから1年が経ったが、賠償は実現していない。日本政府の介入で、日本企業は賠償に応じていないからだ。むしろ、日本の報復を兼ねた輸出規制と韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了決定が続き、韓日関係は歴史、経済、安保が絡み合った軋轢の谷間に陥っている。
「おじいさん(イ・チュンシクさん)がニュースで、私たちに申し訳ないと言ったが、おじいさんのせいではなく、強制徴用(強制動員)をした日本に非があります。国同士で謝罪をしたのであって、被害者には謝罪をしませんでした。だから泣かないで、ありがとうも言わないでください。体に気を付けて、元気を出してくださいね」。仁川(インチョン)のある小学生からの手紙が読み上げられると、イさんは目頭を押さえた。
被害者たちが判決による慰謝料を受け取り、複雑に絡み合った韓日関係も改善する糸口は、最高裁の強制動員判決を履行する案に対する韓日双方の接点作りに見いだすしかない。
韓国は「日本企業に賠償を命じた最高裁の判決の尊重」という原則を守らなければならず、日本は「1965年韓日請求権協定によって全て解決済みであるため、日本企業に被害が及んではならない」という立場を貫いている。今年6月、韓国が「1+1」(韓日企業による自発的な基金作り)案を提案し、日本は直ちに拒否したが、最近、韓日間には「1+1」提案に基づいた様々なアイデアが話し合われているという。
これまで「日本の謝罪を前提に、韓国側が被害者に慰謝料を支給」▽「韓国が慰謝料を支給した後、日本企業に求償権請求」▽「日本企業が慰謝料を支給した後、韓国が補填」▽最高裁確定判決を受けた原告に対し、韓日企業が慰謝料を支給し、裁判中や訴訟を提起していない被害者に対し、韓国側が代案を作るなどのアイデアが検討されてきたという。しかし、日本企業に賠償を命じた最高裁の判決趣旨とは距離があったり、求償権請求に対する法的論議の素地などが指摘されており、日本が同意しない部分もあるため、韓日間で具体的な提案と論議に進展した段階ではないという。
28日には韓国政府と企業が経済協力の名目の基金を創設し、日本企業が参加する案の草案を日本政府が用意したという日本マスコミの報道が出た。強制動員問題は請求権協定で解決したという従来の立場を貫く一方、「経済協力」の名目で韓国の最高裁の判決に対する賠償の性格を弱める案を公開し、韓国側の反応をうかがっているものと見られる。
11月23日にはGSOMIAが正式に終了され、年末頃には強制動員被害者が差し押さえた日本企業資産の現金化(売却)に乗り出す予定であるため、韓日関係は再び危機を迎える。被害者たちは、日本企業が賠償を拒否していることを受け、資産の売却手続きを進めてきた。イ・チュンシクさんが原告団に含まれた日本製鉄事件で、大邱(テグ)地裁浦項(ポハン)支院は、日本製鉄のPNR株式19万4794株(7億6500万ウォン相当)を差し押えした。7月にはこの差し押さえに基づく売却命令を進めるため、審問書を送達したが、現在までこれといった反応はないという。大邱地裁の関係者は、「審問書は日本外務省にすでに届いているが、日本国内の送達の現状は分からない状況だ。もし3~4カ月が過ぎて審問書が返送されれば、(売却)防御権を放棄したと見なすこともできる」と明らかにした。日本政府は現金化で日本企業資産の損失が発生した場合、以前よりも強力な報復措置をとるという態度を示しており、両国関係がさらに深刻な危機に陥る恐れがある。しかし、韓国が時間に追われ、急場しのぎの対策で妥協するよりは、原則を守って解決すべきだという意見もある。政府当局者は「最高裁の判決を尊重し、被害者の実質救済、韓日関係の未来を考慮した強制動員の解決策を作らなければならないが、韓日間の隔たりは依然として大きく、短期間で解決される問題ではないと考えている」とし、「時間がかかっても、きちんとした解決策を作らなければ、副作用はさらに大きくなるだろう」と述べた。
パク・ミンヒ、チャン・イェジ記者、東京/チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
http://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/915229.html
韓国語原文入力:2019-10-30 21:38
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/34814.html
「The Hankyoreh」 2019-10-31 07:53
■強制動員賠償判決から1年…日本の思惑とは?
日本政府「最終的かつ完全に解決」主張を繰り返す
加害企業の資産の売却に神経尖らせる
韓日関係のさらなる悪化は望まず
市民社会では「被害者の人権回復を」
【写真】昨年10月30日、強制動員被害者たちが日本製鉄(当時新日鉄株金)を相手に起こした損害賠償請求訴訟で、13年8カ月ぶりに最高裁判所の勝訴判決が出た後、記者会見を行っている。唯一の生存原告のイ・チュンシクさんが涙を流している=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社
日本政府は強制動員への賠償を命じた韓国最高裁の初の確定判決が出てから1年が過ぎた30日にも、「国際法違反」という主張を曲げていない。
菅義偉官房長官は30日、強制動員被害の問題について「日韓請求権協定で最終的かつ完全に解決された。請求権協定は国際条約であり、行政府のみならず立法府と司法府を含むすべての機関が順守しなければならないというのが国際法の大原則だ」と主張した。
日本政府は強制動員被害者が差し押さえた加害日本企業の資産が売却されるかどうかに神経を尖らせている。朝日新聞は、売却が実現した場合に、日本政府が同程度の損害を韓国に与える「対抗措置」を検討していると報じた。匿名の日本外務省幹部らは同紙に、日本企業の資産売却で賠償判決が履行されれば、韓日関係は「アウトだ」、「ルビコン川を渡ってしまう」と語ったという。
しかし、日本政府も韓日関係のさらなる悪化は望んでいないようだ。7月に対韓国輸出規制を開始してから、韓国人観光客の激減や対韓国輸出の減少、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了などによる影響が全面的にひろがっているからだ。日本財務省が同日発表した9月の貿易統計確定値によると、日本が韓国に輸出したビール金額が昨年9月7億8485万円から99.9%激減した58万円を記録した。日本政府が強制動員と関連し、独自の構想を検討しているという報道が出ているのも、このような内部事情と無関係ではなさそうだ。
日本政府はひとまず、韓国政府の対応を見守るという態度を示している。読売新聞は、日本政府が韓国政府の対応を見守る必要があると判断し、来月中には韓日首脳会談を行わない方針を固めたと報道した。来月にはタイのバンコクで東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議とチリで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が予定されている。
一方、判決1周年を迎え、日本市民社会では、韓日政府が問題を解決しなければならないという声明が相次いで出た。「強制動員問題の解決と過去清算のための市民行動」は同日、声明を発表し、「日韓両政府、関連企業が知恵を出し合って一日も早く問題解決を図ることを強く求める」と述べた。これに先立ち、29日には日本国内外の学者約400人が集まる日本学術団体「朝鮮史研究会」が最高裁の判決内容を支持する声明を出した。
東京/チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
http://www.hani.co.kr/arti/international/japan/915214.html
韓国語原文入力:2019-10-31 02:30
https://japanese.joins.com/JArticle/259073
「中央日報日本語版」 2019.10.30 11:53
■日本の朝鮮史研究会「徴用関連の韓国大法院判決を支持」
日本国内外の学者およそ400人を会員とする日本学術団体「朝鮮史研究会」が、強制徴用被害者に対する慰謝料賠償請求権を認めた韓国大法院(最高裁)の判決内容を支持する声明を発表した。
朝鮮史研究会は29日、判決1周年を迎えて出した声明で「大法院判決は、不法な植民地支配下での戦時強制動員・強制労働への損害賠償(慰謝料)が日韓請求権協定では未解決だとするもので、加害企業の反人道的行為があったことを認め、被害者の人権の回復を求めるものだった」とし「ところがこの間、日本政府と日本の主要メディアは日韓請求権協定で『解決済み』との主張を繰り返すばかりだった」と批判した。
続いて「(日本政府と主要メディアは)日本による反人道的行為や被害者らの人権侵害の歴史についてはほとんど語ろうとしていない」とし「しかしこれまでの朝鮮史研究によって、数多くの朝鮮人が戦時下での『募集』『官斡旋』『徴用』などの政策にもとづいて強制動員され、厳重な監視の下で苛酷な労働を強いられていたことが明らかにされている」と指摘した。
また「違法な強制労働があったことは日本での裁判でも事実認定されている」とし、「まず日本政府とメディアは被害者がなぜ、どのようにして強制動員・強制労働をさせられたのか、学術研究にもとづいて歴史を公正に語ることから始める必要がある」と批判した。
朝鮮史研究会は「今日、日本社会の中で影響力を強めつつある排外的な言動に立ち向かい、出自に関わりなく基本的人権が尊重される社会を作っていく必要がある」とし「朝鮮史研究者は、学術的見地からこの課題に真摯に取り組んでいく」と宣言した。
「The Hankyoreh」 2019-10-31 07:41
■強制動員賠償判決1年…日本の市民団体「一日も早い被害回復を」
過去清算共同行動「被害者に残された時間ない」
朝鮮史研究会「国際法違反主張は歴史的事実無視」
【写真】韓国と日本の市民団体活動家と強制動員訴訟の被害者側弁護人が昨年11月、韓国最高裁の損害賠償判決の履行を求める要請書と被害者4人の写真を持って東京の日本製鉄本社に向かう様子=資料写真//ハンギョレ新聞社
韓国の最高裁判所による強制動員被害の初の確定判決から1周年を迎え、日本の市民団体と学者たちが被害者の人権回復に向けた努力が必要だという声明を相次いで発表した。
強制動員被害者を支援する日本の市民団体「強制動員問題解決と過去清算のための共同行動」と「日本製鉄元徴用工裁判を支援する会」は30日、「直ちに強制動員被害者の人権回復を」という声明を発表した。
両団体は声明で、1年前の最高裁判決について「国際人権規範にも合致する画期的な判決でした」と擁護した。そして「日本の司法は、企業の不法行為を事実認定はしながら被害者の請求を棄却しましたが、韓国の司法は植民地支配下の反人道的な不法行為に対する『強制動員慰謝料請求権』は日韓請求権協定の対象外であるとして請求を認めたのです。20年以上にわたる被害者たちの闘いは報われました」と評価した。
両団体は、安倍晋三首相が韓国最高裁の判決について「国際法に照らしてありえない判決」と非難し、日本の多くのメディアがこれに追従する報道をしていることに懸念を示した。強制動員の被害者が 「『植民地支配と侵略』によって『多大の損害と苦痛』を被った被害者であるという事実、朝鮮半島植民地支配の歴史に向き合うことなく、ひたすら韓国を敵視する動きに憂慮を禁じえません」とした。また、初の賠償確定判決の被告人である日本製鉄が安倍政権の圧力に屈し、いまだ判決を履行していないとし、「不法な強制動員によって利益を得た当の企業が 自らの企業行動規範=『各国・地域の法令を遵守』に反し、その責任を果たさないことは許されません」と記した。
両団体は被害者に残された時間はないとし、「大法院判決は日韓両国政府が妥協の産物として結んだ日韓請求権協定が曖昧にして長年放置してきた強制動員被害者の救済を命じました。被害者のために日韓両政府、そして強制動員に関わった企業が知恵を出し合って一日も早く問題解決を図ることを強く求めます」とした。
これに先立つ29日には、朝鮮半島の歴史を研究する日本の学者の集まりである「朝鮮史研究会」が「韓国大法院判決への日本政府・当該企業・メディアの対応に対する声明」を発表した。同会は会員約500人を擁する日本最大の朝鮮半島史研究者団体。この声明で同会は、日本政府が強制動員問題について「『解決済み』だ、『国際法違反』だとして、韓国政府に対して抗議を行いました。朝鮮史研究の蓄積と学術的観点からみて、『解決済み』とする日本政府の主張は歴史的な事実を無視するもの」と指摘した。
同会の研究者たちは「数多くの朝鮮人が戦時下での『募集』『管斡旋』『徴用』などの政策にもとづいて強制動員され、厳重な監視の下で過酷な労働を強いられたことが明らかにされています」と指摘した。さらに韓日請求権協定についても、「『財産』『請求権』のみが議論され、…『完全かつ最終的に解決された』こととされました。日本の植民地支配責任・戦争責任と強制動員被害者の人権侵害という論点については交渉の議題にはなりませんでした」と明らかにした。
研究者たちはまた「日本政府と当該企業は、植民地支配責任の観点に立って、その過去を克服するために、植民地支配下での加害・被害の事実と法的責任を認めて謝罪と賠償を行い、被害と加害の事実について将来世代に教育する、という責務を果たす必要があります」と指摘した。
東京/チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
http://www.hani.co.kr/arti/international/japan/915216.html
韓国語原文入力:2019-10-30 19:58
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/34812.html
「The Hankyoreh」 2019-10-31 08:00
■日本の居直りで過ぎ去った1年…“きちんとした解決策”作りが課題
最高裁判所の強制動員の賠償判決から1年
韓日、隔たり大きいが、1+1提案をもとに
変更したアイデア、水面下で検討される
日本も「経協基金」を流し、反応うかがう
年末の日本企業の資産売却が重大なヤマ場
【写真】日帝強制動員被害者、イ・チュンシクさんが今月30日午後、ソウル瑞草区の「民主社会のための弁護士会」大会議室で開かれた日帝強制動員問題の解決に向けた記者会見で、ある小学生が書いた手紙を聞きながら、涙を拭いている=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社
95歳という高齢の日本製鉄(旧新日鉄住金)強制動員被害者のイ・チュンシクさんは30日、民主社会のための弁護士会(民弁)と「強制動員問題の解決と対日過去清算に向けた共同行動」がソウル瑞草区民弁大会議室で開いた記者会見に出席していた。
1年前の10月30日、韓国最高裁(大法院)は日本製鉄に強制動員被害者への賠償を命じる判決を言い渡した。それから1年が経ったが、賠償は実現していない。日本政府の介入で、日本企業は賠償に応じていないからだ。むしろ、日本の報復を兼ねた輸出規制と韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了決定が続き、韓日関係は歴史、経済、安保が絡み合った軋轢の谷間に陥っている。
「おじいさん(イ・チュンシクさん)がニュースで、私たちに申し訳ないと言ったが、おじいさんのせいではなく、強制徴用(強制動員)をした日本に非があります。国同士で謝罪をしたのであって、被害者には謝罪をしませんでした。だから泣かないで、ありがとうも言わないでください。体に気を付けて、元気を出してくださいね」。仁川(インチョン)のある小学生からの手紙が読み上げられると、イさんは目頭を押さえた。
被害者たちが判決による慰謝料を受け取り、複雑に絡み合った韓日関係も改善する糸口は、最高裁の強制動員判決を履行する案に対する韓日双方の接点作りに見いだすしかない。
韓国は「日本企業に賠償を命じた最高裁の判決の尊重」という原則を守らなければならず、日本は「1965年韓日請求権協定によって全て解決済みであるため、日本企業に被害が及んではならない」という立場を貫いている。今年6月、韓国が「1+1」(韓日企業による自発的な基金作り)案を提案し、日本は直ちに拒否したが、最近、韓日間には「1+1」提案に基づいた様々なアイデアが話し合われているという。
これまで「日本の謝罪を前提に、韓国側が被害者に慰謝料を支給」▽「韓国が慰謝料を支給した後、日本企業に求償権請求」▽「日本企業が慰謝料を支給した後、韓国が補填」▽最高裁確定判決を受けた原告に対し、韓日企業が慰謝料を支給し、裁判中や訴訟を提起していない被害者に対し、韓国側が代案を作るなどのアイデアが検討されてきたという。しかし、日本企業に賠償を命じた最高裁の判決趣旨とは距離があったり、求償権請求に対する法的論議の素地などが指摘されており、日本が同意しない部分もあるため、韓日間で具体的な提案と論議に進展した段階ではないという。
28日には韓国政府と企業が経済協力の名目の基金を創設し、日本企業が参加する案の草案を日本政府が用意したという日本マスコミの報道が出た。強制動員問題は請求権協定で解決したという従来の立場を貫く一方、「経済協力」の名目で韓国の最高裁の判決に対する賠償の性格を弱める案を公開し、韓国側の反応をうかがっているものと見られる。
11月23日にはGSOMIAが正式に終了され、年末頃には強制動員被害者が差し押さえた日本企業資産の現金化(売却)に乗り出す予定であるため、韓日関係は再び危機を迎える。被害者たちは、日本企業が賠償を拒否していることを受け、資産の売却手続きを進めてきた。イ・チュンシクさんが原告団に含まれた日本製鉄事件で、大邱(テグ)地裁浦項(ポハン)支院は、日本製鉄のPNR株式19万4794株(7億6500万ウォン相当)を差し押えした。7月にはこの差し押さえに基づく売却命令を進めるため、審問書を送達したが、現在までこれといった反応はないという。大邱地裁の関係者は、「審問書は日本外務省にすでに届いているが、日本国内の送達の現状は分からない状況だ。もし3~4カ月が過ぎて審問書が返送されれば、(売却)防御権を放棄したと見なすこともできる」と明らかにした。日本政府は現金化で日本企業資産の損失が発生した場合、以前よりも強力な報復措置をとるという態度を示しており、両国関係がさらに深刻な危機に陥る恐れがある。しかし、韓国が時間に追われ、急場しのぎの対策で妥協するよりは、原則を守って解決すべきだという意見もある。政府当局者は「最高裁の判決を尊重し、被害者の実質救済、韓日関係の未来を考慮した強制動員の解決策を作らなければならないが、韓日間の隔たりは依然として大きく、短期間で解決される問題ではないと考えている」とし、「時間がかかっても、きちんとした解決策を作らなければ、副作用はさらに大きくなるだろう」と述べた。
パク・ミンヒ、チャン・イェジ記者、東京/チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
http://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/915229.html
韓国語原文入力:2019-10-30 21:38
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/34814.html
「The Hankyoreh」 2019-10-31 07:53
■強制動員賠償判決から1年…日本の思惑とは?
日本政府「最終的かつ完全に解決」主張を繰り返す
加害企業の資産の売却に神経尖らせる
韓日関係のさらなる悪化は望まず
市民社会では「被害者の人権回復を」
【写真】昨年10月30日、強制動員被害者たちが日本製鉄(当時新日鉄株金)を相手に起こした損害賠償請求訴訟で、13年8カ月ぶりに最高裁判所の勝訴判決が出た後、記者会見を行っている。唯一の生存原告のイ・チュンシクさんが涙を流している=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社
日本政府は強制動員への賠償を命じた韓国最高裁の初の確定判決が出てから1年が過ぎた30日にも、「国際法違反」という主張を曲げていない。
菅義偉官房長官は30日、強制動員被害の問題について「日韓請求権協定で最終的かつ完全に解決された。請求権協定は国際条約であり、行政府のみならず立法府と司法府を含むすべての機関が順守しなければならないというのが国際法の大原則だ」と主張した。
日本政府は強制動員被害者が差し押さえた加害日本企業の資産が売却されるかどうかに神経を尖らせている。朝日新聞は、売却が実現した場合に、日本政府が同程度の損害を韓国に与える「対抗措置」を検討していると報じた。匿名の日本外務省幹部らは同紙に、日本企業の資産売却で賠償判決が履行されれば、韓日関係は「アウトだ」、「ルビコン川を渡ってしまう」と語ったという。
しかし、日本政府も韓日関係のさらなる悪化は望んでいないようだ。7月に対韓国輸出規制を開始してから、韓国人観光客の激減や対韓国輸出の減少、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了などによる影響が全面的にひろがっているからだ。日本財務省が同日発表した9月の貿易統計確定値によると、日本が韓国に輸出したビール金額が昨年9月7億8485万円から99.9%激減した58万円を記録した。日本政府が強制動員と関連し、独自の構想を検討しているという報道が出ているのも、このような内部事情と無関係ではなさそうだ。
日本政府はひとまず、韓国政府の対応を見守るという態度を示している。読売新聞は、日本政府が韓国政府の対応を見守る必要があると判断し、来月中には韓日首脳会談を行わない方針を固めたと報道した。来月にはタイのバンコクで東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議とチリで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が予定されている。
一方、判決1周年を迎え、日本市民社会では、韓日政府が問題を解決しなければならないという声明が相次いで出た。「強制動員問題の解決と過去清算のための市民行動」は同日、声明を発表し、「日韓両政府、関連企業が知恵を出し合って一日も早く問題解決を図ることを強く求める」と述べた。これに先立ち、29日には日本国内外の学者約400人が集まる日本学術団体「朝鮮史研究会」が最高裁の判決内容を支持する声明を出した。
東京/チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
http://www.hani.co.kr/arti/international/japan/915214.html
韓国語原文入力:2019-10-31 02:30
https://japanese.joins.com/JArticle/259073
「中央日報日本語版」 2019.10.30 11:53
■日本の朝鮮史研究会「徴用関連の韓国大法院判決を支持」
日本国内外の学者およそ400人を会員とする日本学術団体「朝鮮史研究会」が、強制徴用被害者に対する慰謝料賠償請求権を認めた韓国大法院(最高裁)の判決内容を支持する声明を発表した。
朝鮮史研究会は29日、判決1周年を迎えて出した声明で「大法院判決は、不法な植民地支配下での戦時強制動員・強制労働への損害賠償(慰謝料)が日韓請求権協定では未解決だとするもので、加害企業の反人道的行為があったことを認め、被害者の人権の回復を求めるものだった」とし「ところがこの間、日本政府と日本の主要メディアは日韓請求権協定で『解決済み』との主張を繰り返すばかりだった」と批判した。
続いて「(日本政府と主要メディアは)日本による反人道的行為や被害者らの人権侵害の歴史についてはほとんど語ろうとしていない」とし「しかしこれまでの朝鮮史研究によって、数多くの朝鮮人が戦時下での『募集』『官斡旋』『徴用』などの政策にもとづいて強制動員され、厳重な監視の下で苛酷な労働を強いられていたことが明らかにされている」と指摘した。
また「違法な強制労働があったことは日本での裁判でも事実認定されている」とし、「まず日本政府とメディアは被害者がなぜ、どのようにして強制動員・強制労働をさせられたのか、学術研究にもとづいて歴史を公正に語ることから始める必要がある」と批判した。
朝鮮史研究会は「今日、日本社会の中で影響力を強めつつある排外的な言動に立ち向かい、出自に関わりなく基本的人権が尊重される社会を作っていく必要がある」とし「朝鮮史研究者は、学術的見地からこの課題に真摯に取り組んでいく」と宣言した。