https://jp.yna.co.kr/view/AJP20200926000100882?section=news
「聯合ニュース」 2020.09.26 11:23
■韓国大統領府 北朝鮮に追加調査要求へ=射殺事件
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮に近い海域で漁業指導船から行方不明となっていた韓国公務員の男性を北朝鮮軍が射殺した事件で、韓国青瓦台(大統領府)は26日、北朝鮮に追加の調査を求めるとの立場を表明した。必要なら合同調査も求めるという。
前日に開かれた国家安全保障会議(NSC)で同方針を決めた。北朝鮮が発表した事件の経緯と韓国側が把握している情報に異なる内容があるため、事実関係を究明する考えだ。韓国の軍当局は北朝鮮側が男性を射殺後、油をまいて燃やしたとみられると説明しているが、北朝鮮をこれを否定している。
韓国軍当局などによると、男性は22日に北朝鮮側の海上で射殺された。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は24日、「いかなる理由であれ容認できない」と非難し、北朝鮮に責任ある説明と措置を求めていた。
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)は25日、「文大統領と南の同胞(韓国国民)を大きく失望させたことに対し、非常に申し訳なく思う」とする通知文を送り、韓国に謝罪をした。北朝鮮最高指導者の謝罪は極めて異例だ。
https://japanese.joins.com/JArticle/270633?servcode=500§code=510
「韓国経済新聞/中央日報日本語版」 2020.09.26 10:45
■韓国軍「銃撃後に燃やした」vs北朝鮮「遺体でなく浮遊物を焼却」
「謝罪はするが、蛮行ではない」。
北朝鮮が25日に労働党統一戦線部の名義で送った通知文の内容を一言で要約するとこうだ。韓国海洋水産部の公務員イさん(47)に銃撃を加えて死亡させたことについては、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が自ら謝罪した。しかし北側が付け加えた事件の経過は韓国軍の説明とは多くの側面で差がある。越北の意思まで表した非武装民間人を上部の命令で射殺して燃やしたというのは事実でないというのが、北側の主張だ。検問に応じない「侵入者」を現場の判断で射殺したということだ。双方の主張が正面から対立するのは大きく4つの部分でだ。
(1)「遺体は焼却していない」
韓国政府は、北朝鮮軍が海上でイさんに銃撃を加え、油をかけて燃やしたと把握している。「反倫理的な蛮行」という批判をあふれた決定的な部分だ。
一方、北朝鮮はこの日、「約10発の銃撃を加えた後、10メートルほどの距離まで近づいて捜索したが、正体不明の侵入者はいなかった」とし「多くの血痕があり、射殺されたと判断し、国家非常防疫レベルで焼却した」と主張した。銃撃を加えたが、遺体は見つからず、防疫レベルで海上浮遊物に火をつけ、遺体の焼却ではないという立場だ。
(2)異なる射撃時間
北朝鮮は22日晩、登山串(トゥンサンゴッ)近隣でイさんを射殺したと明らかにした。操業中だった漁船がイさんを発見し、通報を受けた北朝鮮軍が出動して空砲弾を撃つと逃げようとしたため、射撃したという主張だ。瞬間的、偶発的に起きた事件という説明だ。
しかしこれは22日午後3時30分にイさんを発見した北朝鮮軍が防毒マスクを着用したまま接近し、6時間後のこの日午後9時40分に上部の指示で射撃して死亡させた後、40分間ほど燃やしたという政府の発表に反する。
(3)取り調べ後に処刑vs拒否して逃走
軍当局はイさんが北朝鮮軍に発見された後、海上で取り調べを受けたと把握している。政府関係者は「通常、海上に浮いている人を発見すれば船に乗せたり陸地に移してから取り調べをするのが慣例」とし「北は当日、イさんを発見した後、陸地に入れず逃げられないようロープで身体の一部を縛った後、海上で取り調べを行ったと理解している」と話した。
一方、北朝鮮は「イさんが身元を確認する過程で1、2回ほど大韓民国の誰々とあいまいに答えた後、返答しなかった」と逃走を図った点を強調した。「命令に無言で応じず、空砲弾2発を撃つと驚いてうつ伏せになり、逃走しそうな状況になった。(イさんが乗っていた浮遊物を)ひっくり返しながら体に何かをかぶろうとする姿もあった」というのが北側の主張だ。取り調べ自体が行われなかったということだ。
(4)越北の意思はあったのか
イさんが北朝鮮軍に発見された直後、越北の意思を明らかにしたかどうかについても南北の主張は分かれた。軍当局は「北の軍が失踪者の漂流の経緯を確認し、越北の陳述を聞いたとみられる」と明らかにした。イさんが海上での取り調べ過程で北に行きたいという意思を明らかにした状況があったということだ。しかし北朝鮮はこの日の通知文で「越北」の意思表明に言及しなかった。
建国大統一人文学研究団のチョン・ヨンソ教授は「北の最高指導者が文書に『申し訳ない』という表現を入れたのは極めて異例」とし「国際社会の非難が激しくなり、急いで事態の収拾に動いたとみられる」と分析した。
軍の内外では海上漂流者はひとまず引き上げて応急措置を取った後、身元確認手続きを踏むのが普遍的・人道的な慣例だが、北朝鮮はこうした基本措置を取らなかったという批判も提起される。さらに海上で30時間近く漂流して体力が消耗していたイさんが広い海で逃走するのは不可能だったというのが、専門家らの見方だ。
https://japanese.joins.com/JArticle/270632?servcode=200§code=230
「韓国経済新聞/中央日報日本語版」 2020.09.26 09:46
■国民が射殺・遺体毀損されたが…北の謝罪で雰囲気が変わった韓国与党
【写真】青瓦台の徐薫(ソ・フン)安保室長が25日午後、青瓦台春秋館の大ブリーフィングルームで南北首脳間の親書に関するブリーフィングをしている。 青瓦台写真記者団
北朝鮮軍が海洋水産部の公務員イさん(47)を射殺して遺体を毀損したことで危機状況を直感した韓国与党・共に民主党の25日の表情は、午前と午後で大きく変わった。
午前には一斉に文在寅(ムン・ジェイン)大統領と国防部に対する護衛モードに入った。国会国防委員長の閔洪チョル(ミン・ホンチョル)民主党議員は午前、ラジオ番組に出演し、「北方限界線(NLL)北側の水域で起きたことだ。事実を確証するまで非常に難しく、米軍と協力もしなければならず(救出に動けないまま)時間がかかったようだ」と述べた。国防委員会の与党幹事の黄熙(ファン・ヒ)議員もこの日、ラジオ番組で「このようになることは全く予想できなかったようだ。CCTVを見るようにずっと見守っている状況ではなかった」と軍をかばった。共に民主党は「NLLの北側、我々の領域外で起きたことであり(国防部は)どうすることもできない。同じように対応して小銃射撃をするのか、砲撃するのか、そのようには決してできない」(ソル・フン議員)という主張も提起された。
民主党のこうした護衛モードは、この日午後2時に青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)の徐薫(ソ・フン)安保室長が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の謝罪を公開したことで安堵に変わった。政府・与党ともに一斉に「鼓舞的」などの表現を使いながら口を開いた。
李仁栄(イ・インヨン)統一部長官はこの日、国会外交統一委員会の懸案質疑で「速かに申し訳ないという表現を2度も使いながら北の立場を発表したことは過去になかったと理解している」と評価した。民主党所属の全海チョル(チョン・ヘチョル)国会情報委員長は「表現の程度や叙述の方法を見ると極めて異例であり、率直に謝罪したのではないかと判断している。軽く見ることではなく大きな意味を持つ」と話した。青瓦台は、「慣例や相手に対する礼儀のため親書の内容を公開しない」(康京和外交部長官)という原則にもかかわらず、この日午後4時、両首脳が今月初めに交わした親書の内容を公開し、こうした雰囲気を維持した。文大統領は特に親書で「国務委員長の生命尊重に対する強い意志に敬意を表する」と書いていた。
これに対し野党は「あり得ない」と批判した。国民の力のユン・ヒソク報道官はこの日、論評で「安全保障の第一線となるべき国家安保室長が北側の通知文を代わりに読むだけでなく親書まで公開した」とし「国民的な怒りと遺族の悲しみを考えればあり得ないことだ」と批判した。続いて「たかが親書1枚に書かれた、耳がくすぐったくなるいくつかの言葉に引かれ、国民の高貴な生命を守れなかったことを自ら認めた」と付け加えた。
陳重権(チン・ジュングォン)元東洋大教授は「金正恩委員長の謝罪が出ると、口をそろえて『禍を転じて福と為す』と叫ぶ。国民1人が北の非人道的な措置で殺害された不幸な『禍』が、金正恩委員長の謝罪で突然『福』になってしまった」とし「国民の生命より南北関係が上位にあるという話であり、セウォル号当時の朴槿恵(パク・クネ)政権の人たちと何が違うのか…」とコメントした。
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/37871.html
「The Hankyoreh 」 2020-09-26 10:21
■大統領府、南北首脳間の親書を公開…「意図せぬ惨事」強調を意図
南北関係改善の意思を込めた親書の内容を電撃公開
【写真】ソ・フン大統領府国家安保室長が25日午後、大統領府春秋館の大ブリーフィングルームで、南北懸案に関するブリーフィングを行っている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社
大統領府が25日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が最近、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)事態に関して交わした親書の内容を急きょ公開した。大統領府が異例にも外交的な「タブー」に近い首脳間親書の公開にまで乗り出したのは、漁業指導員銃殺事件で激昂した世論をなだめ、状況悪化を防ごうとする狙いがある。野党が「政府無対応」を攻勢ポイントとし「大統領の沈黙」を政治争点化する状況を遮断するという意図もうかがえる。親書は、北朝鮮統一戦線部が国家情報院(国情院)に渡したという。北朝鮮が開城連絡事務所爆破を前後して南北間ホットラインをすべて断ったと明らかにした状況でも、「統一戦線部-国情院」ラインは生かしておいたということだ。
ソ・フン大統領府国家安保室長はこの日のブリーフィングで「文在寅大統領が、最近交わした親書の内容もありのまま国民にお知らせするように指示した」とし、8日に文大統領が金委員長に送った親書の全文と12日に受けとった返信を公開した。ソ室長は午後2時、北朝鮮の通知文記者会見を行った後、2時間後に再び記者室を訪れ、全文を読み終えた。大統領府は当初、親書の内容を27日頃に公開しようとしたが、時期を繰り上げてこの日全文を公開した。今回の事件が、南北首脳が関係を模索する大きな流れの中で意図せず起こったことという点を浮き彫りにするうえで効果的だと判断したのだ。南北首脳が親書を交わしたのは、3月以来6カ月ぶりのことだ。
両首脳は親書で、COVID-19と水害克服に向けたこれまでの努力を激励した。文大統領は「新型コロナウイルスで非常に長く苦しい悪戦苦闘の状況から集中豪雨、数回の台風に至るまで、私たち皆に大きな試練の時期」とし、金委員長の災害現場訪問に共感すると述べた。金委員長も「文大統領の親書を読みながら、文面にあふれる心からの慰労に深い同胞愛を感じた」とし「悪性ウイルス(新型コロナウイルス)拡散と相次ぐ台風に見舞われ、誰も代わりをすることのできない厳しい大戦を乗り越える大統領の苦労に思いを馳せた」と応えた。
南北関係改善の意志も交換した。文大統領は「わが8千万の同胞の生命と安全を守ることは、必ず守らなければならない一番の根本だ」と強調した。金委員長も「ひどい今年のこの時間が早く過ぎ、良いことが次々と待ち受ける、そんな日々が一日も早く訪れることを心待ちにしている」と述べた。大統領府の主要関係者はハンギョレとの電話で、親書に関し「たとえ不幸な事件が起きたとはいえ、お互いの疎通、信頼が水面下であった」とし「両首脳が硬直した南北対話と関係改善を図っていた」と述べた。
しかし、親書交換と金正恩委員長の謝罪があったという事実だけで、南北関係の回復を占うことは無理があるという診断も少なくない。遺体検査の共同捜索や越境から銃撃死亡に至る一連の過程に対して、信頼できる具体的な調査結果を発表するなど追加の誠意を見せなければ、首脳間の意思疎通の努力が、韓国社会内部の共感はもとより国際社会の信頼を得るのは容易でないということだ。
キム・ミナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
http://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/963718.html
韓国語原文入力:2020-09-25 20:40 修正:2020-09-26 02:36
http://japan.hani.co.kr/arti/economy/37870.html
「The Hankyoreh 」 2020-09-26 09:26
■野党「国民の力」「北朝鮮、謝罪のふりで済ませられることではない」
民主党「再発防止の発表など責任ある姿勢が続かねば」
【写真】国民の力のキム・ジョンイン非常対策委員長が25日、ソウル汝矣島の国会で開かれた非常対策委員・外交安保特別委員会委員の緊急懇談会で、韓国国民が北朝鮮軍の銃撃を受け殺害された事件についての立場を表明している/聯合ニュース
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が25日、漁業指導員殺害事件に関連し、大統領府に送った統一戦線部名義の通知文で「大変申し訳ないと思う」と謝罪の意向を明らかにしたが、野党は金委員長の直接謝罪と責任者の処罰などを強く要求した。
国民の力(旧未来統合党)のキム・ウンヘ報道担当は同日、論評を出し、「もし北朝鮮の金正恩の謝罪のふりの一言でふらつくような無気力さがあるなら、国民は黙っていないだろう」とし、「むしろ北朝鮮の代わりに自国民にレッテルの銃口を押しつける政府、大韓民国の主敵の概念がぶれている文在寅(ムン・ジェイン)政権を見て、国民は不安になっている。頼るところがない」と批判した。同党のチェ・ヒョンドゥ院内報道担当も「大統領府は北朝鮮の統一戦線部の報道官なのか」とし、「北朝鮮が適切な資料や状況の説明なしに通知文というものを送ってきたが、大統領府は分かったうえで説明した格好だ。北朝鮮のとんでもない通知文に反論し、責任者の究明と真相調査の追求に自信がないのなら、これを国連司令部と国連安保理で調査するよう要請せよ」と要求した。
与党は最悪の状況は避けたという雰囲気だ。共に民主党のイ・ナギョン代表は同日、国会外交統一委員会の全体会議で「氷の塊の下でも川の水が流れるように変化があると感じるのは、大統領府が発表したように、北朝鮮が申し訳ないという心情を持ち、伝えてきたという点」だとしながら「(過去の)北朝鮮の態度に比べれば、相当な程度の変化とみられる」と述べた。共に民主党のホン・ジョンミン院内報道担当は「北朝鮮が、通知文に続き韓国国民が信頼する水準までの真相究明と再発防止の発表など、責任ある姿勢を見せてくれることを願う」と明らかにした。
キム・ミナ、ジョン・ファンボン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
http://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/963703.html
韓国語原文入力:2020-09-26 02:30
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/09/26/2020092680008.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/09/26/2020092680008_2.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/09/26/2020092680008_3.html
「朝鮮日報日本語版」 2020/09/26 09:00
■北朝鮮「艇長が銃撃を決心」…韓国軍「上層部から指示」
【写真】行方不明になった海洋水産部漁業指導公務員の射殺事件関連の捜査を続けている海洋警察が25日、仁川市甕津郡延坪島の海上に停泊した漁業指導船「ムグンファ10号」の海上での調べを終え、移動しているところ。/写真=NEWSIS
北朝鮮は25日、青瓦台(韓国大統領府)に送ってきた電通文で、韓国の海洋水産部(省に相当。以下同じ)公務員Aさんを射殺した事実は認めつつも「(警備)艇長の決心の下に射撃した」と主張した。上部の指示があったという韓国側の発表を正面から否定したのだ。電通文には、北朝鮮軍がAさんを海から引き揚げもしないまま、6時間にわたって取り調べ、追跡を行った末に射殺したという韓国側の発表とは全く異なる内容も含まれていた。組織的・意図的に起こされた今回の事件を、偶発的な事件に追いやろうとする狙いがあると指摘されている。
◆平壌の指示なしには射殺は不可能なのに
北朝鮮は、Aさん射殺の過程で「上層部」の指示はなかったと主張した。北朝鮮側は「われわれの軍人らは(警備)艇長の決心の下に、海上警戒勤務規定が承認した行動準則に基づいて射撃した」とした。事件当時出動した北朝鮮軍警備艇の艇長の階級は正確に把握されていないが、韓国軍の大尉クラスに当たると推定されている。これは「上部の指示でAさんを射殺した」という韓国軍当局の発表に反するものだ。韓国軍当局では、少なくとも海軍司令官クラスまで報告が上がったものとみている。
韓国の与党「共に民主党」に所属するミン・ホンチョル国防委員長は25日、MBCラジオの番組で、司会者が「海軍司令官の線で指示が下って終わったのか、もっと上まで報告があったのか」と尋ねたのに対し「こんな野蛮的な行為、本当に天人共怒な民間人射殺行為をするほどであれば、軍上部の決断や決定ではないか」と語った。
保守系野党「国民の力」所属で国会国防委員会の幹事を務める韓起鎬(ハン・ギホ)議員も前日「(北朝鮮では)勝手に殺して火で焼くことはできない。韓国よりも硬直した社会であるからには、最高のトップがやったのだろう」とし「確認はされていないが、これは平壌の指示だと思う」とコメントした。金正恩(キム・ジョンウン)の指示ということもあり得るかという質問に、韓議員は「私はそう思う」と答えた。北朝鮮は今回の通知文にて、今回の蛮行は正式な指揮系統に基づいたものという韓国側の発表を否定し、「組織的殺人」という嫌疑から脱しようとしたものとみられる。
◆縄でくくって3時間引っ張り回す
ミン・ホンチョル国防委員長は「北朝鮮が韓国の公務員を発見した後、海上にてロープで縛って移動したが逃げられ、そのせいでおよそ2時間にわたり捜索作業を展開したと国防部が報告した」と明かした。北朝鮮軍はAさんを再度発見した後、1時間以上も上部の指示を待ってから銃撃を加えたという。Aさんが乗っていた浮遊物(ゴムチューブ)を縄でくくり、3時間ほど引っ張り回して逃してしまい、そのため2時間ほど捜索作業を繰り広げて見つけ出した後、射殺して遺体を焼いたのだ。
21日午前11時30分ごろ、小延坪島付近で行方不明になったAさんは、28時間後の22日午後3時30分ごろ、北朝鮮の登山串沖で発見された。28時間もゴムチューブにすがって38キロ流され、気力も尽き果てた状態だった。韓国軍当局は24日のブリーフィングで「北朝鮮側は、気力も尽き果てた行方不明者(Aさん)と距離を維持しつつ、防毒面を着用して漂流の経緯を確認した」と明かした。だが、北朝鮮軍がAさんに水を与えるなど救助活動をするどころか縄でくくって3時間引っ張り回して「水中取り調べ」をしたという非人道的な行為に対し、批判が強まっている。とりわけ、逃げたAさんを2時間も探し回ったのは「意図的な殺人」だということを立証する状況証拠だと指摘されている。
ところが北朝鮮は25日午前に送ってきた電通文で、こうした状況については言及しなかった。北朝鮮は「取り締まり命令に引き続き応じずさらに接近することから、2発の空弾(空包)を撃つと、正体不明の対象が逃走するかのような状況が起きた」とし「ここでおよそ10発の銃弾で違法侵入者に向けて射撃を行い、このときの距離は40-50メートルだった」と主張した。Aさんが西海NLL(北方限界線)を越えると通常の警告射撃を行った、という趣旨の主張だ。最初の発見から水中取り調べ、追跡、射殺、遺体損傷に至るまで、実に6時間にわたって反人倫的蛮行をほしいままに行ったという事実は巧みに隠したのだ。
ユ・ヨンウォン軍事専門記者
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/37869.html
「The Hankyoreh 」 2020-09-26 08:43
■[全文]金正恩委員長「不始末で南の同胞に失望感を与え、非常に申し訳ない」
25日午前、「朝鮮労働党中央委統一戦線部」名義ので通知文
「燃やしたのは行方不明者の遺体ではなく浮遊物」と主張
ソ・フン室長「文大統領と金委員長が最近、親書を交換」
【写真】朝鮮労働党中央委員会政治局会議を主宰している金正恩労働党委員長兼国務委員長/朝鮮中央通信・聯合ニュース
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が25日、北朝鮮軍の銃撃により、韓国の漁業指導員が死亡した事件について、「思いのよらない不始末が発生し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と南の同胞たちに大きな失望感を与えたことを非常に申し訳なく思っている」という内容の通知文を韓国政府に送ってきた。
ソ・フン大統領府国家安保室長は同日のブリーフィングで「25日午前、北朝鮮側が通知文を送ってきた」とし、「北朝鮮労働党中央委名義の通信で、北朝鮮は『22日夕方、黄海南道康リョン郡沿岸で正体不明の者が我が(北朝鮮)領海深くに不法侵入し、我が軍によって射殺(推定)される事件が発生した」と明らかにしたと伝えた。
北朝鮮側はしかし、遺体を燃やしたという韓国政府の発表については、「焼却したのは海に浮くための器具(北朝鮮は「浮遊物」と表現)だった」として、遺体を燃やした事実はないと否定した。北朝鮮側は通知文でこうした事実を伝え、「南北関係に明らかに芳しくない影響を及ぼす出来事が我が水域で発生したことに対し、貴側に申し訳ない気持ちを伝える」と謝罪した。
さらに、ソ・フン室長は、最近1カ月以内に文在寅大統領と金正恩委員長が親書を交わしたと述べた。
◆[以下は北朝鮮側が送ってきた通知文の全文]
大統領府 御中
貴側が報道した通り、22日夕方、黄海南道康リョン郡金洞里(クムドンリ)沿岸水域で正体不明の者1人が我が領海深く不法侵入し、我が軍の軍人たちによって射殺(推定)される事件が発生しました。
事件の経緯を調査したところによると、この水域で警備を担当する軍部隊が漁労作業中の我が水産事業所の副業船から正体不明の男性1人を発見したという通報を受けて出動し、康リョン半島沖の我々側沿岸に浮遊物に乗って不法侵入した人に80メートルまで接近して身元の確認を要求しましたが、初めの1、2回、大韓民国の誰々とごまかすように言っただけで、それからは何も答えなかったといいます。
取り締まりの命令に口をつぐんで応じないため、我が軍の兵士たちがさらに近づき、2発の空弾を撃ったことに驚いて伏せるなど、正体不明の者が逃走を図るような状況になったそうです。一部の軍人たちの陳述によると、伏せる際、何かをかぶろうとする行動を取るのも見たといいます。
我が軍の軍人たちは艇長の判断のもと、海上警戒勤務規定が承認した行動準則に基づき、不法侵入者に向かって約10発の射撃を行い、この時の距離は40~50メートルだったそうです。
射撃後、何の動きも音もなかったため、約10メートルまで接近して確認・捜索しましたが、正体不明の侵入者は浮遊物の上におらず、大量の血痕が確認されたそうです。我が軍の軍人たちは、不法侵入者が射殺されたと判断し、侵入者が乗っていた浮遊物は、国家非常防疫規定に基づき、海上現地で焼却したそうです。
これまで当指導部に報告された事件の顛末に関する調査結果は以上です。
我々は貴側軍部が何を根拠に、我々に不法侵入者の取り締まりと取り締まり過程に対する解明を求めることもなく、一方的な憶測で「蛮行」、「応分の代償」などの不敬で対決色の強い表現を使っているのか、遺憾の意を表せざるを得ません。
我が指導部は、起きてはならないことが発生したとし、このような不祥事が再発しないように海上警戒監視と勤務を強化すると共に、取り締まりの過程で些細なミスや大きな誤解を招くことがないように、今後、海上での取り締まりの全過程を収録する体系を立てるよう指示しました。
我々は、北南間の関係に明らかに芳しくない影響を及ぼす出来事が我が水域で発生したことに対し、申し訳なく思っています。我が指導部はこのような残念な事件により、最近わずかながら積み上げてきた北南間の信頼と尊重の関係が崩れないよう、緊張して覚醒し、必要な安全対策を講じることを繰り返し強調しました。
国務委員長金正恩同志は、ただでさえ悪性ウイルス病魔の脅威に苦しんでいる南の同胞たちを助けるどころか、我が水域で思いもよらない不始末が発生し、文在寅大統領と南の同胞たちに大きな失望感を与えたことについて、非常に申し訳なく思っていることを伝えるよう、指示しました。
今回起きた事件に対するそちらの正確なご理解をお願いします。
朝鮮労働党中央委員会統一戦線部
2020年9月25日
ソン・ヨンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
http://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/963657.html?_fr=mt1
韓国語原文入力:2020-09-25 22:51
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/37868.html
「The Hankyoreh 」 2020-09-26 09:18
■北朝鮮、越北や遺体の損壊、上部指示による銃撃など韓国側の判断をすべて否定
北朝鮮、通知文で韓国側と食い違う主張
【写真】小延坪島で行方不明になった公務員が北朝鮮側海上で漂流していたところ北朝鮮軍の銃撃を受けて死亡したとされる中、今月25日、同公務員が銃撃されたものと推定される黄海道登山岬海岸付近で北朝鮮軍の軍艦が移動している/聯合ニュース
北朝鮮が海洋水産部(海洋部)の漁業指導員A氏の銃撃事実が公開された翌日の25日、A氏の射殺に対して電撃的に遺憾を表明し、再発防止を約束したのは、南北関係のさらなる悪化を防ぐためと見られる。その一方で、北朝鮮は韓国軍の主張を一つひとつ反ばくし、北朝鮮軍の今回の措置がやむを得ない対応だったと主張した。しかし、北朝鮮の釈明は常識的に納得しがたい部分も多く、この機会に南北当局間の共同現場調査などを通じて、疑惑を解消する必要があるという声が高まっている。
韓国軍は、漁業指導員A氏が北朝鮮海域まで行った背景について、越北するためと判断した。軍関係者は前日、メディアのブリーフィングで「北朝鮮側の人が行方不明者と一定の距離を離隔し、防毒マスクを着用して行方不明者の漂流経緯を確認しながら“越北陳述”を聞いたものとみられる」と述べた。しかし、北朝鮮は同日の通知文で「80メートルまで接近して身元の確認を要求したが、初めの1、2回大韓民国の誰々だとごまかすように言っただけで、それからは何も答えなかった」とし、A氏が越北する意思を示なかったと反論した。
北朝鮮は、死亡したA氏の遺体を損壊したという韓国軍の主張も否定した。韓国軍は「防毒マスクと防護服を着用した北朝鮮軍が遺体に接近して油を注いで燃やした情況が把握された」とし、「延坪部隊の監視装備にも遺体を燃やす明かりがとらえられた」と明らかにした。しかし北朝鮮はA氏に銃撃を加えた後「約10メートルまで接近して捜索したが、侵入者は浮遊物の上になく、大量の血痕が確認された」とし、海上現地で焼却したのは「侵入者が乗っていた浮遊物」だったと釈明した。
このように積極的に反論したのは、越北の意思を明らかにした民間人を銃撃で射殺しただけではなく、遺体まで損壊したことを認めた場合、道徳性に致命的な打撃を受けるという判断によるものとみられる。しかし、A氏が着ていた救命胴衣は海に簡単に沈まない。このため、A氏が銃撃で浮遊物から落ちたとしても、海に沈んだため発見できなかったという北朝鮮の説明は納得し難い。
銃撃命令を下した責任者が誰かについても、南北の説明は食い違っている。韓国軍は北朝鮮軍が「上部の指示」で銃撃したものとみられると説明した。国会国防委員会委員らは前日、国防部の非公開報告を受けた後、「北朝鮮海軍司令官が銃撃指示をしたと韓国軍は見ている」と伝えた。北朝鮮の取締艇が、A氏を6時間も海上で抑留したのも、上部の指示を待つ時間が必要だったためと見られる。
これに対し、北朝鮮は取り締まり艇の指揮責任者である「艇長の判断のもと、海上警戒勤務規定が承認した行動準則に従い、約10発の銃弾」を撃ったと主張した。しかし、いくら韓国と体制が異なる北朝鮮だとしても、何の軍事的脅威にもならない非武装の民間人に向かって、初級幹部にすぎない「艇長」が勝手に射殺命令を下すという説明は現実性に欠けている。射殺命令の責任が上層部まで及ばないように“トカゲのしっぽ切り”に出たのではないかという疑念を抱かせる。
北朝鮮は、A氏が北朝鮮の取り締まり艇に見つかってから6時間にわたり何をしており、何をきっかけに銃撃を加えたのかについて、十分な説明をしていない。北朝鮮軍は取り締まり命令に応じず空砲弾を2発撃って逃走しそうな状況になり、うつぶせの姿勢で何かをかぶろうとする行動も見せたと、あいまいに説明した。A氏が北朝鮮軍の取り締まりに応じず反抗したという趣旨の説明だ。北朝鮮軍がA氏に銃撃を加えたことがやむを得ない対応だったことを強調する発言とみられる。しかし、北朝鮮軍の艇長が非武装の民間人A氏に銃撃を加えることを決心した具体的な契機と経緯など。核心の事案については触れなかった。
パク・ビョンス先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
http://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/963690.html
韓国語原文入力:2020-09-26 02:31
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/09/26/2020092680007.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/09/26/2020092680007_2.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/09/26/2020092680007_3.html
「朝鮮日報日本語版」 2020/09/26 08:30
■遺体が消えた? 浮遊物を40分間燃やした? つじつまが合わない北の説明
北が送った通知文の内容は…韓国軍の発表と大きな食い違い
韓国大統領府(青瓦台)が25日公開した北朝鮮からの通知文には、公務員A氏の射殺と遺体損壊についての説明が記載されているが、その内容は韓国軍の主張と様々な点で食い違っている。韓国軍は「北朝鮮がA氏を射殺し、遺体を燃やす際に非人道的、非倫理的な状況があった」と指摘した。しかし通知文によると、北朝鮮は「境界地域における決められた手続きに従っただけで、大きな過ちはしていない」という趣旨の主張を行った。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は通知文の中で「非常に申し訳なく思う」との意向を伝えた。あたかも国際社会から非難を受けるような行動はなかったかのように通知文を作成したのだ。韓国軍からは「北朝鮮特有の二重プレー」との批判が出ている。
北朝鮮からの通知文と韓国軍の分析は、A氏に対する北朝鮮の虐待・射殺をめぐる詳細な内容について決定的に食い違っている。韓国軍は「北朝鮮の船舶は、6時間以上にわたりA氏が使っていた浮遊物をロープにつないで引きずり回し、最初の発見からかなり時間が過ぎてから射撃を加えた」と推測している。これに対して北朝鮮はこれら一連の過程を省略し、「A氏は西海で北方限界線(NLL)を越えてきたため、通常の警告射撃を行った」という趣旨の説明を行った。北朝鮮は「取締りのための命令に引き続き応じなかったため、さらに接近して2発の空弾(空砲)を撃つと、正体不明の対象が逃走するかのような状況になった」「これに対して10発以上の銃弾を違法侵入者に向けて発砲した。この時の距離は40-50メートルだった」と主張した。
北朝鮮は詳細な説明をしていないが、「NLL越線に対応するための一般的な対応だった」と主張しているようだ。6時間にわたりロープでA氏を船舶近くで引きずり回した状態で、「海上で取り調べ」を行ったことについては全く説明せず、自分たちの行為が「自衛権的対応だった」と一方的に主張しているのだ。韓国軍は諜報を通じ、A氏が数時間にわたりコロナ感染者とみなされ、さらには射殺という極端な措置が取られたと考えているが、これが事実であれば非常に異例のことだ。ある韓国軍関係者は「北朝鮮がそのような行動を取るとは考えることさえできなかった」と語るほどだ。
A氏の遺体損壊についても南北の主張は明らかに食い違っている。韓国軍は「北側は22日午後10時ごろ、射殺されたA氏の遺体に油をかけて火をつけ、その火は40分間観測された」と明らかにした。これに対して北朝鮮は「射撃後に捜索したが、侵入者(A氏)は浮遊物にはおらず、大量の血痕が確認された」「違法侵入者は射殺されたものと判断し、侵入者が乗っていた浮遊物は国家防疫非常対策に従って海上の現地で焼却した」と主張した。遺体ではなく浮遊物を燃やしたというのだ。
韓国国防安保フォーラムのシン・ジョンウ専門研究委員は「24時間以上を経て海上で浮遊物を捕らえ、漂流していた人間が警備艇の前で逃走を企てたので警戒勤務規定に従って射殺したという内容や、またライフジャケットを着用していたのに銃撃を受けた人間は海中に沈み、浮遊物だけが残ったというのは常識的に考えて納得できない」「浮遊物につかまり気力が尽きていた人間が、北朝鮮軍にとって脅威になるとは考えられない。北朝鮮の主張は韓国国民の殺人を正当化し、これを隠ぺいするための詭弁(きべん)に過ぎない」と指摘した。ある韓国軍関係者は「常識的に考えて、チューブ1つを燃やすのに40分もかかるとは考えられない」と疑問を呈した。
これらの点から考えると、北朝鮮が通知文を通じて表明した「謝罪」が本心かどうかも疑わしくなる。青瓦台(韓国大統領府)の徐薫(ソ・フン)国家安保室長は、北からの通知文に韓国国民への謝罪と遺憾の表明、再発防止に関する内容があったと説明したが、北朝鮮はこれらの内容を現時点では公表していない。金正恩氏は「謝罪」という言葉ではなく「申し訳なく思う」という言葉を使った。徐室長は「北朝鮮は迅速に対応した」と強調しているが、北朝鮮は22日の事件発生から2日以上にわたり沈黙を続け、前日に韓国政府が強い糾弾に乗り出すと、この日になって通知文を送ってきた。
京畿大学の南柱洪(ナム・ジュホン)教授は「金正恩氏の謝罪は、これまで長く続いてきた北朝鮮式二重プレーの繰り返しだ」「最高統治者が介入した蛮行であることを明確にした1976年のポプラ事件当時も、自分たちが不利と考えれば遺憾だけを表明してあいまいにやり過ごすか、あるいは『下の人間たちがやったこと』として言い逃れをしてきた」と指摘した。
梁昇植(ヤン・スンシク)記者
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/37866.html
「The Hankyoreh 」 2020-09-26 00:15
■野党「文大統領は3日間の状況を分、秒単位で説明せよ」攻勢
【写真】国民の力のキム・ジョンイン非常対策委員長が25日、ソウル汝矣島の国会で開かれた非常対策委員・外交安保特別委員会委員の緊急懇談会で、韓国国民が北朝鮮軍の銃撃を受け殺害された事件についての立場を表明している/聯合ニュース
野党「国民の力」のキム・ジョンイン非常対策委員長は25日、北朝鮮が海洋水産部所属の漁業指導員に銃撃を加えて殺害し、遺体を毀損した事件について、「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は21日からの3日間で何があったのか、分、秒単位で説明せよ」と述べた。
キム委員長はこの日、国民の力所属の広域自治体の首長との朝食会の席で、「事件発生後3日が過ぎてからようやく事件を公開し、立場を発表しているので、何か国民に隠していることがあるように見える」とし、このように述べた。そして「大統領は報告を受けても救出指示を下さず、2人の子どもを持つ家長が殺害されて燃やされるのを、軍は6時間も見ているだけだったようだ」とし「国民がこれほど無残に殺されたにもかかわらず、国民の命と安全を守る憲法上の責務を持つ大統領は終戦宣言、協力、平和ばかりを言っている」と批判した。
キム委員長は今回の事件について、2008年に金剛山で発生したパク・ワンジャさん銃撃事件とは性格が異なると指摘した。「パク・ワンジャさん事件は政府が手を打つ方法がなかったが、今回は助けるのに十分な時間的余裕があった」とし「偶発的発砲ではなく、上部の指示によって行われた計画的殺人だった」と激しく非難した。
キム委員長はこの日、国会で「9・19南北軍事合意を廃棄し、(北朝鮮を)国連安保理に回付せよ」とする対国民立場文を発表した。キム委員長は立場文の中で、事件を3日経ってから公開した理由、▽大統領が今回の事態を最初に認知した時間、▽大統領府が10時間も経ってから大統領に報告した理由、▽大統領が救出を指示しなかった理由、などについて、真相究明を求めた。加えて「大統領が自ら金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長に謝罪と責任者処罰を求めるべき」とし「国民の力は、非正常な国家安保状況を正常に戻すために、あらゆる努力を傾ける」と述べた。この日、国民の力の会議場の壁には「大統領はどこにいるのですか」と記されていた。
イ・ジュビン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
http://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/963645.html
韓国語原文入力:2020-09-25 11:45
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20200925004500882?section=news
「聯合ニュース」 2020.09.25 21:24
韓国情報機関 正恩氏の謝罪を直接大統領府に伝達か
【ソウル聯合ニュース】韓国公務員射殺事件に対する北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)の謝罪が収められた北朝鮮側の通知文を韓国情報機関・国家情報院(国情院)の朴智元(パク・チウォン)院長が直接青瓦台(大統領府)に伝達していたことが分かった。韓国の政府関係者が25日、明らかにした。
【写真】国会情報委員会に出席する朴氏=25日、ソウル(聯合ニュース)
北朝鮮からの通知文が韓国側に伝達される過程で、国情院と北朝鮮の朝鮮労働党統一戦線部のホットラインが稼働したという。
同関係者は、朴氏がこの日午前に青瓦台を訪れ、文大統領に直接報告した可能性が高いと説明した。
また朴氏はこの日午後、青瓦台で開かれた関係閣僚会議に出席した。会議には徐旭(ソ・ウク)国防部長官や李仁栄(イ・イニョン)統一部長官などが出席し、事件について、韓国政府が把握した内容と、北朝鮮側の通知文に示された内容に違いがあることについて、分析を進めている。
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20200925004400882?section=news
「聯合ニュース」 2020.09.25 19:33
■正恩氏の謝罪は「破局避ける狙い」=韓国統一相
【ソウル聯合ニュース】韓国の李仁栄(イ・イニョン)統一部長官は25日、北朝鮮に近い海域で韓国公務員の男性を北朝鮮軍が射殺した事件を巡り、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)が謝罪したことについて「非常に異例」との認識を示した。また、「申し訳ないという表現を2回も使って北の立場を発表した例はなかったと承知している」と述べた。国会外交統一委員会で答弁した。
【写真】国会外交統一委員会に出席した李氏(左)=25日、ソウル(聯合ニュース)
李氏は北朝鮮側がこのような対応を取った理由に関しては、「この状況が(南北関係の)破局に向かわないようにするための対応ではないかと判断する」との見解を示した。
北朝鮮が遺体ではなく、浮遊物を燃やしたと説明していることについては、「(政府の発表と)違いが生じる部分はそれぞれ確認する過程が必要」とし、「関係閣僚会議で議論する」と付け加えた。
韓国軍当局は北朝鮮側が男性を射殺後、油をまいて燃やしたとみられると説明していた。
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20200925004100882?section=news
「聯合ニュース」 2020.09.25 18:02
■韓国人射殺 金正恩氏に報告されず幹部が指示=韓国情報機関
【ソウル聯合ニュース】韓国公務員の男性を北朝鮮軍が射殺した事件について、韓国情報機関・国家情報院(国情院)の朴智元(パク・ジウォン)院長は25日の国会情報委員会で、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)に報告して指示を受けたものではないと判断すると明らかにした。同委員会は非公開で開かれ、複数の委員会関係者が伝えた。
【写真】国会情報委員会に出席する朴氏=25日、ソウル(聯合ニュース)
関係者らによると、朴氏は「現地の司令官ら幹部の指示で動いたのではないかと判断する」と報告。「SI(傍受などによる特別取り扱い情報)にもそのようなこと(金委員長の指示)はなかった」と説明した。
また、男性の遺体に関しては、「遺体が漂流している可能性がある」として、「北に遺体の捜索を求め、原因究明に協力するよう求める。わが政府でも遺体がこちら(韓国側の海域)に来る可能性があるため、積極的に捜索する」との方針を示した。
男性が北朝鮮入りする意思を表明したかどうかについては、「SIで本人が越北したという表現があり、国防部がそう報告した」とし、25日に北朝鮮が送ってきた通知文に関連内容がないとして、同日午後の国家安全保障会議(NSC)で分析を進める考えを示した。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/09/25/2020092580109.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/09/25/2020092580109_2.html
「朝鮮日報日本語版」2020/09/25 17:00
■家族にも知らされない死…射殺された公務員の兄「メディアの記事を見て初めて知った」
海洋水産部公務員、北で撃たれる
兄「行方不明のニュースを聞いて探したが、韓国軍は私に何も言わなかった」
「弟が北朝鮮軍に射殺されたというのに、まだ国防部(省に相当。以下同じ)からは何の連絡もありません。これが話になりますか」。
今月21日の昼、西海の最北端に位置する小延坪島の沖で行方不明になり、北朝鮮軍に射殺された公務員イさん(47)。イさんの兄は、24日の時点でも韓国政府や韓国軍当局から弟が射殺された事実を公式に通知されていない、と語った。イさんの兄は24日、本紙の電話取材で「弟が射殺されたことを、メディアの記事を見て初めて知った」とし「22日に海洋水産部から、弟が行方不明だというので、今朝まで小延坪島の現場捜索に私も参加していたが、射殺の事実について一言もなかった。韓国軍は私をもてあそんだのではないか」と激高した様子だった。さらに「弟が漂流していたとき、韓国軍はでたらめな場所を捜索していた」とし「北朝鮮が銃を撃って殺すと、自ら北に渡ったという話を持ち出した」「韓国の地からさほど離れていないところで、弟は殺され、遺体も損なわれた」「韓国政府が国民の生命を守るべき責任を尽くさず、北朝鮮の蛮行に遭ったのに、北に渡ったと言って追い立てるのは名誉毀損(きそん)」と批判した。
弟が自ら北に渡ったという点についても、可能性はないと断言した。「公務員証が船にそのままあった」とし「韓国軍は一体何を根拠に弟が北に渡ったと言うのか、細かく明らかにすべき」と主張した。一部で持ち上がっている「過度の債務による越北」の可能性については「子どもたちにお金もかかっていくし、家賃もかかる。誰でもそうではないか」とし「そんなことは、北に渡ったと主張するほどの事由には全くなり得ない」と反論した。
イさんの両親など、ほかの家族も「北に渡ったという韓国軍当局の発表は話にもならない」と語った。西海漁業管理団側は「イさんの両親は『北に渡った』という話に怒り、当惑する反応を示した」と伝えた。
イさんが勤めていた全羅南道木浦の西海漁業管理団の職員らも、信じられないという表情だ。管理団の同僚Aさんは「イさんは平素、自分の受け持った仕事を黙々と遂行する、頼もしい同僚だった」とし「北に渡るなんてとんでもない」と語った。西海漁業管理団のパク・チョンギュン状況室長は「文字通り誠実な公務員だった」とし「越北という話に、職員らも大きく動揺している」と語った。
ただし、一部の同僚職員は「イさんは職員から数百万ウォン(100万ウォン=約9万円)ずつ借りて、遂にはその金が2000万ウォン(約180万円)以上に膨れ上がった」と証言したといわれている。また、別の同僚は「最近裁判所から給与の仮差し押さえの通知を受け、イさんは精神的な負担に直面していた」と語ったと伝えられている。パク状況室長は「給与仮差し押さえがあったかどうかは私的な問題なので確認はできない」と語った。
イさんは海洋水産部傘下の西海漁業管理団に所属する8級公務員だ。2012年に技能職9級、船舶航海員として西海漁業管理団に入り、漁業指導船で違法操業の取り締まり、指導、船舶の安全運航管理などの業務を担当した。取り締まり要員が足りず、航海はもちろん防刃服まで着用して現場での取り締まり業務も行った。イさんは木浦の管理団宿舎で職員2-3人と共に暮らしていた。
全羅南道莞島で生まれ、1993年に莞島水産高校を卒業したイさんは、公務員任用前に遠洋漁船で数年にわたり航海の経歴を積んだ。海洋水産部は、西海を含め南海と東海にそれぞれ漁業管理団を置いている。韓国の海域の31%を占める西海が担当の西海漁業管理団は、漁業指導船13隻を保有している。
イさんは今月14日、499トン型漁業指導船「ムグンファ10号」の1等航海士に人事発令を受けた。ムグンファ10号は乗組員15人を乗せて、16日に木浦の国家漁業指導船専用埠頭(ふとう)から出港し、10日間の日程で延坪島一帯におけるカニ漁船への指導業務に乗り出した。イさんは出港時、ムグンファ号に搭乗できず、陸路で移動した後、延坪島付近で小舟を使ってムグンファ号に合流したといわれている。
チョ・ホンボク記者 , アン・ジョンヒョン記者
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/09/25/2020092580022.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/09/25/2020092580022_2.html
「朝鮮日報日本語版」 2020/09/25 10:22
■北が韓国人を銃殺して焼いても…文大統領は33時間沈黙
韓国軍、国家公務員射殺されるまでの状況知りながら6時間も措置取らず青瓦台に報告
韓国国防部は、西海(黄海)の北方限界線(NLL)に近い小延坪島沖で行方不明になった海洋水産部職員A氏が22日に北朝鮮によって射殺され、遺体が焼かれたと24日に発表した。軍はこのような状況を各種情報資産によりリアルタイムで把握していたが、これといった措置を取らなかった。青瓦台もその深刻性について報告を受けていたが、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の「終戦宣言国連演説」は23日未明(韓国時間)そのまま行われた。文大統領は同日午前、軍首脳部に会って、「平和の時期は一直線ではない」と、北朝鮮との平和を強調までした。韓国人が北朝鮮によって射殺され、遺体が焼却されたという事実を知っていた状況で起こったことだ。国民がA氏の射殺・遺体毀損の事実を知ったのは、文大統領が関連報告を受けてから26時間30分後のことだった。
韓国軍関係者は24日、「22日午後3時30分、北朝鮮水上事業所の船舶が黄海南道登山岬近くの海上でA氏を最初に発見した時の状況を入手した」と述べた。軍は当時、北朝鮮がA氏を発見した正確な場所がどこか分からなかったが、1時間後にさまざまな状況上、北朝鮮軍が発見した人物がA氏であることを特定した。北朝鮮はその後、A氏を射殺し、夜10時に遺体を焼いた。6時間30分もの間、各種情報資産を通じてA氏の行動や北朝鮮の動きを把握していたが、その間に軍が取った措置はなかった。軍は「韓国領内ではなかったので、すぐに対処できなかった」と説明した。
青瓦台は軍から、今回の件について、時間帯ごとに報告を受けていた。文大統領に対しては22日午後6時36分、A氏の「失踪(しっそう)」に関する最初の書面報告があった。大統領が積極的に乗り出した場合、A氏は3時間後に射殺されていなかったかもしれないという声もある。北朝鮮によるA氏射殺・遺体毀損行為は大統領に翌日(23日)午前8時30分に報告された。しかし、この事実が国民に伝えられたのは26時間30分後の24日午前11時だった。国防部は「後手」となった見解文で、「北朝鮮の蛮行を糾弾し、これに対する北朝鮮の弁明と責任者の処罰を強く要求する。韓国人を対象とする蛮行に伴うあらゆる責任は北朝鮮にあることを厳重に警告する」と述べた。
軍関係者やその周辺からは、後手に回っている政府に釈然としないという声が上がっている。韓東大学のパク・ウォンゴン教授は「大統領は終戦宣言について話してしまった状況なので、かなり困っているだろう。北朝鮮との公式ラインは途絶えているというが、(韓国の)国家情報院・(北朝鮮の)統一戦線部ラインを通じてでも何とか努力をしなければならない」と語った。
梁昇植(ヤン・スンシク)記者
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/09/25/2020092580102.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/09/25/2020092580102_2.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/09/25/2020092580102_3.html
「朝鮮日報日本語版」 2020/09/25 11:16
■「文大統領の行動、秒単位で説明せよ」 韓国10-20代激怒
北朝鮮が韓国人銃殺、市民逆上
二児の父だった韓国海洋水産部傘下の公務員A氏(47)が西海(黄海)の北方限界線(NLL)に近い延坪島沖の船上から行方不明になった後、北朝鮮軍によって海上で無残に殺害されたというニュースに、韓国国民は激高した。特に若者層が今回の事件で見せた関心と怒りは大きい。退勤時間帯だった24日午後6時から7時にかけて、ポータルサイト「ネイバー」の10代と20代が最も多く読んだ記事ランキングで1-2位を占めたのを含め、ランキングの半分以上がA氏関連記事だった。
大学生たちも北朝鮮に怒りを見せた。高麗大学のコミュニティー・サイト「koreapas(コパス)」は「偶発的に哨兵が慌てて撃ち殺したわけでもないのに、報告すべきことは全部報告しておきながら6時間もそのままにして銃殺…どれだけ韓国をバカにしているのか」という書き込みがあった。ネイバーは「二度とこんな目に遭いたくなかったら、絶対に報復しなければならない」という趣旨のコメントが相次いでいる。
政府に対する問題提起も殺到している。A氏が北朝鮮船舶によって発見された22日午後3時ごろから、射殺されるまでの6時間もの間、政府は何をしていたのかというものだ。コミュニティー・サイト「fmkorea(エフエムコリア)」では「6時間もの間(北朝鮮に)連絡する手段がなかったって?」という書き込みが半日で照会数2万7000回を記録、コメントが約100件寄せられた。青瓦台によると、北朝鮮の船が海でA氏を発見したという報告を文在寅(ムン・ジェイン)大統領が受けたのは同日午後6時30分ごろだったという。しかし、ネットユーザーたちは「一般人でもなく、公務員が消えたのに、大統領が報告を1回も受けられないということがあるだろうか」「文大統領は6時間の行動を秒単位で説明せよ」などと投稿した。
「文大統領は24日、政府行事に出席してアカペラ公演を鑑賞していた」という記事には、「新型コロナウイルス感染症による初の死者が出た時も(映画『パラサイト 半地下の家族』米アカデミー賞受賞を祝って、同映画に出てくるインスタントラーメンによる)チャパグリ・パーティーをしていたが、相変わらずだね」というコメントが書き込まれた。「こうやって大韓民国の国民を平気で殺せる国と終戦宣言を計画していたこと自体が問題だ」というコメントもあった。文大統領は23日朝、A氏殺害について聞きながら、24日午後になってやっと「(北朝鮮は)容認できない」と発表したことについても、「時間差の激怒」「様子を見てから激怒」などと皮肉られた。
A氏が自ら越北しよう(北朝鮮に行こう)としていた可能性を挙げた軍や警察の発表にも、「水を入れて薄めるな(はぐらかすな)」という非難があふれた。「越北したにしても足を踏み外したにしても、海で漂流している非武装の民間人を射殺して遺体を焼いた北朝鮮の行為そのもの」は容認できないという主張だ。特に、軍や警察が「救命胴衣」や「2000万ウォン(約180万円)台の借金」が越北の状況を示していると明らかにしたことに対して非難の言葉が相次いだ。「ローンを返さないで船で救命チョッキ(救命胴衣)を着ていたら潜在的越北者になるから、着るのはやめよう」というコメントもあった。 「越北チョッキ」という表現も登場した。「明日の朝、(与党に近いジャーナリスト)金於俊(キム・オジュン)のラジオ番組に越北説を展開する匿名情報提供者として出演するだろう」というコメントもあった。政府が当初、「火葬」という表現を使っていたことも、「『被害呼訴人』『証拠保全』『不詳の発射体』などの表現が思い出される」「明成皇后(閔妃〈ミンビ〉)も火葬してもらったのか」などの批判が出た。
これに対して、大統領の強硬支持層は北朝鮮や政府をかばった。いつも大統領のツイートやチョ国(チョ・グク)前法務部長官のリツイートをしているツイッター・ユーザー(ID eXw ****)は今回の事件について、「防疫の観点による行為だ。北朝鮮は新型コロナウイルス対応脆弱(ぜいじゃく)国だ。感染が拡大すれば数百人、数千人が死ぬだろう。それを防ぐための手段ではないだろうか」と書いた。
親文在寅傾向が強いポータルサイト「ダウム」では、「自ら越北しようとして北朝鮮軍に殺されたのがなぜ(韓国)政府の責任なのか」と書き込み、「推薦」ボタンが1000回以上押された。コミュニティー・サイト「PPOMPPU(ポムプ)」には、「もともと越北すれば射殺するのが正しい」というタイトルの投稿も寄せられた。この投稿者は「越北者射殺は悪い措置ではない」「当然だ」と書いている。
しかし、これらの主張は激しい反発も呼んでいる。ソウル大学のコミュニティー・サイト「SNULife(スヌ・ライフ)」のユーザーは、「越北しようとした韓国人は北朝鮮が銃殺しても何の問題もないのだろうか? 政府があまりにも非常識なので、自分の判断力すら鈍ってしまった気がする」と投稿した。会社員のコミュニティー・サイト「blind(ブラインド)」のユーザーは、「越北の意図があろうとなかろうと韓国国民だ。(問題の)核心は自国民が射殺されたこと」と書いた。文政権の友軍として認識されている市民団体「参与連帯」も「北朝鮮軍が非武装の民間人を射殺し、遺体を毀損(きそん)したのは、どんな理由があれ正当化できない非人道的行為だ」と批判する声明を出した。
ウォン・ウシク記者 , キム・ヨンジュン記者
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/09/24/2020092480304.html
「チョソン・ドットコム/朝鮮日報日本語版」 2020/09/24 20:32
■「射殺までは予想できず」 銃殺・火刑をリアルタイムでただ見ていた韓国政府
韓国軍は24日、北朝鮮軍による韓国人男性の射殺・火刑(火あぶり)事件について、22日午後3時30分から大まかな状況を認識していたものの、特段の措置を取らなかったことを明らかにした。この時点から同日午後10時までの約6時間の間に射殺・焼却が行われ、状況は軍首脳部だけでなく青瓦台(韓国大統領府)にまでリアルタイムで伝わっていた。しかし韓国政府はその間、軍の通信網はもちろん国際商船共通網を通じた対応も取らなかった。
軍の関係者は24日、北朝鮮の蛮行について「そこまでするとは予想できなかった」として「わが国民を数時間後に射殺すると予想していれば、韓国軍はじっとしていなかっただろう」と話した。「北朝鮮が新型コロナの状況に鑑みて国境で射殺命令を下したことを情報当局は分かっていたと思うが、このようなことを予想できなかったのか」との質問に、この関係者は「そのときは、そのような判断はできなかった」と述べた。
韓国軍は今回の状況をリアルタイムで認識していたが、正確な情報判断には時間がかかったと明らかにした。最初は22日午後3時30分、漂流していた男性に北朝鮮が接近したことを把握したが、正確な場所は分からず、後になって位置を特定することができたという説明だ。このため韓国軍が現実的に軍事的措置を取ることはできなかったというわけだ。
しかし、今回の状況が軍首脳部だけでなく青瓦台にまで報告されたにもかかわらず、電文の送信や通信網を通じた措置がなかったことは納得し難い、という話が出ている。韓国軍は、射殺・火あぶりの状況が確認された22日午後10時ごろに、長官をはじめ青瓦台危機管理センターにも状況が伝えられたと説明した。しかし、いかなる措置も取られなかった。韓国軍が北朝鮮に公式に措置を取ったのは、全てが終わった23日午後4時35分だった。国連軍司令部を通じて、今回の事件に関する事実確認通報を要請しただけだった。
このため、国民が銃殺され火あぶりにされたにもかかわらず、青瓦台と軍の対応は安易すぎるとの批判が飛び出した。ある軍の関係者は「状況を認識したときから、北朝鮮の返答がなくても通信ラインを通じた送還要請や抗議を続けるべきだった」として「文在寅(ムン・ジェイン)大統領の23日未明の国連総会での『終戦宣言』演説や、その日予定されていた軍首脳部の三精剣(准将に昇進する際に授与される刀剣)授与行事などが、事件への消極的な対応に影響を及ぼした可能性がある」と指摘した。軍はこれについて「わが領土で発生した事案ではないため、即時対応が難しい側面があった」と説明した。
ヤン・スンシク記者