「The Hankyoreh」 2025-03-24 07:46
■韓国、「荒波の一週間」…24日ハン首相、26日最大野党代表、尹大統領の宣告まで
ハン首相弾劾審判の宣告で憲法裁の「戒厳の違憲性めぐる判断」が示されるか
イ代表、二審で有罪が確定すれば、早期大統領選で険しい道のりが予想される
【写真】(左から)先月19日に憲法裁判所に出席したハン・ドクス首相、20日に出席した尹錫悦大統領=写真共同取材団、(右端)14日、国会で開かれた党最高委員会に出席した共に民主党のイ・ジェミョン代表=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社
今週、憲法裁判所と裁判所では、ハン・ドクス首相弾劾事件と最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表の公職選挙法違反控訴審の判決が予定されている。週の後半には、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領弾劾事件の結論が出る可能性もある。今後の政局の行方を分ける運命の一週間になるとみられる。
憲法裁は24日午前10時、ハン首相弾劾審判の決定を言い渡す。昨年12月27日に国会で弾劾訴追案が可決されてから87日目。ハン首相弾劾裁判の決定で、12・3非常戒厳の違憲性と訴追理由において内乱罪を撤回したことに対する憲法裁の判断が出るかどうかに注目が集まっている。
ハン首相の弾劾訴追が認容された場合は、チェ・サンモク大統領権限代行体制が維持される一方、棄却または却下された場合は、ハン首相が職務に復帰し、大統領権限代行を務めることになる。ハン首相弾劾審判の宣告日、ソウル中央地裁は尹大統領に対する内乱首謀者容疑関連裁判の2回目の公判準備期日を迎える。尹大統領代理人団は、尹大統領が2回目の準備期日には出席しないと発表した。この日は尹大統領側の代理人団が内乱罪の公訴事実に対する立場を明らかにし、裁判の争点の整理と証人の採択などが行われる予定だ。
2日後の26日には、ソウル高裁刑事6-2部(チェ・ウンジョン裁判長)がイ・ジェミョン代表の選挙法違反事件の控訴審に対する判断を下す。イ代表は先の大統領選挙の過程で、キム・ムンギ前城南(ソンナム)都市開発公社開発第1処長のことを知っていたにもかかわらず「知らない」という趣旨で発言していること、さらに、京畿道城南市の韓国食品研究院の柏ヒョン洞(ペクヒョンドン)敷地の用途変更の過程で「国土部の脅迫があった」としたことで、虚偽発言の疑いが持たれている。イ代表は昨年11月、一審で懲役1年に執行猶予2年を言い渡された。控訴審でもこの量刑が維持されれば、今回の早期大統領選挙の日程が確定しても、イ代表にとっては険しい道のりが予想される。選挙法違反事件で懲役刑が確定した場合、議員職を失い、今後10年間は被選挙権が剥奪されるためだ。「裁判を受ける大統領候補」として与党の集中砲火を浴びると予想され、党内の非主流派が大統領選での競争力を問題視する恐れがあるためだ。これについて、親イ・ジェミョン派のヤン・ブナム民主党議員は、「すでに(イ代表の)有罪が出る可能性を念頭においているにもかかわらず、(世論調査の)支持率は依然として1位だ」とし、控訴審の判決結果が大きな流れには影響を及ぼさないという見通しを示した。
イ代表の判決後の週後半には、尹大統領の弾劾審判の決定が下される可能性もある。慣例上、宣告の2〜3日前に事前公示が出ることを考えると、26日以後の宣告が予想される。民主党は24日から憲法裁判所が尹大統領の罷免決定を下すまで、ソウル光化門(クァンファムン)広場に「テント党本部」を設置する予定だ。ここで党公式会議を開き、議員たちの座り込みも続けていく予定だ。さらに、民主党は尹大統領の弾劾審判宣告を求める国会決議案と、これを処理する全員委員会の開催も進めることにした。
チャン・ヒョヌン、キム・チェウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力: 2025-03-2400:01
「The Hankyoreh」 2025-03-24 11:21
■尹大統領が復活すれば保守与党「国民の力」が生き延びるという「誤った判断」
[ソン・ハニョン先任記者の政治舞台裏]
2016~2017離脱・分裂、2022年政権返り咲き
尹大統領の弾劾が却下・棄却されたら国民の力は壊滅
弾劾訴追後、保守結集して極右化は「毒薬」
【写真】与党「国民の力」のキム・ギヒョン、ナ・ギョンウォン、パク・テチュル、ユン・サンヒョン、チュ・ギョンホの各議員らが3月21日、ソウル鍾路区の憲法裁判所前で行われた尹錫悦大統領の弾劾の却下を求める記者会見でスローガンを叫んでいる/聯合ニュース
ドイツの文学者アントン・シュナックの作品に、「私たちを悲しませるものたち」という散文があります。長いのですが、私は特に次の部分に共感します。
「動物園のおりに閉じ込められ、いら立ってうろつく1匹のトラも、私たちを悲しませる。いつ見ても鉄格子際を行ったり来たりするその動物のぎらついた目、恐ろしげな怒り、苦しみに満ちた咆哮(ほうこう)、前足に満ちた果てしない絶望、狂ったような循環、このすべてが私たちをこの上なく悲しませる」
私たちを悲しませるものリストにもう一つ加えられるなら、「絶対に死にそうになかった巨人が死に際に叫ぶ場面」を追加しようと思います。まさに12・3非常戒厳以降の与党「国民の力」の姿です。
私は12・3非常戒厳に大きな衝撃を受けましたが、12月7日に与党議員たちが本会議場に入ってこず、弾劾訴追案を否決させる場面を見て、さらに大きな衝撃を受けました。私がかつて知っていたハンナラ党、セヌリ党とあまりにも違っていたからです。
国民の力は保守政党です。李承晩(イ・スンマン)の自由党、朴正煕(パク・チョンヒ)の共和党、全斗煥(チョン・ドゥファン)の民正党の後身です。1990年の3党合同で、金泳三(キム・ヨンサム)の統一民主党が保守政党に編入されました。3党合併は野合でしたが、保守に改革の遺伝子が加わったことで、保守は強固になりました。民自党は新韓国党-ハンナラ党-セヌリ党-自由韓国党-未来統合党-国民の力と変遷し、栄辱の歳月を送ってきました。
国民の力の「全盛期」はいつだったのでしょうか。18年前の2007年でした。金大中(キム・デジュン)大統領、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と続いたことによる疲労感から、民主党の支持率が地に落ちていた時です。ハンナラ党には李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)、ソン・ハッキュの3人の大統領候補がいました。誰が候補になっても大統領に当選しえました。ソン・ハッキュ前京畿道知事が離党し、李明博-朴槿恵の二強構図が形成されました。ハンナラ党は親李明博勢力と親朴槿恵勢力に二分されました。まかり間違えば分裂しかねない危険な状況でした。
しかし、ハンナラ党には有能な「実務陣」がいました。彼らは勢力争いを路線対決に仕立てあげました。李明博は「実用保守」、朴槿恵は「正統保守」でした。ハンナラ党は、2両の機関車がけん引する列車のようなものでした。
党内予備選挙では「実用保守」が薄氷の勝利を収めました。「正統保守」は結果に潔く従いました。良い勝負でした。2007年12月19日の第17代大統領選挙で李明博候補は、大統合民主新党のチョン・ドンヨン候補を48.67%対26.14%、実に22.53ポイントの差で破りました。
2008年4月9日の第18代総選挙の結果は、ハンナラ党153議席、自由先進党18議席、親朴連帯14議席でした。統合民主党は81議席にとどまりました。日本の自民党のように保守が永久に政権を握り続ける可能性もあるとの観測も流れました。
李明博大統領の失政で、ハンナラ党は5年で政権を譲りわたす危機に直面しました。しかし、ハンナラ党にはもう1両の機関車が残っていました。朴槿恵非常対策委員長はハンナラ党をセヌリ党に改造し、勝負に出ました。2012年4月11日の第19代総選挙で、セヌリ党は152議席を獲得する勢いを見せ、その余勢を駆って2012年12月19日の第18代大統領選挙でも勝利しました。
そこまででした。2016年4月13日の第20代総選挙で、セヌリ党は122議席で共に民主党に第一党の座を奪われました。総選挙での敗北は朴槿恵大統領の弾劾へと続きました。2016年12月9日の国会による弾劾訴追では、セヌリ党の128人の議員の半数近くが賛成票を投じました。
2017年5月9日の第19代大統領選挙は、保守にはとうてい勝ち目のない選挙でした。ホン・ジュンピョ、アン・チョルス、ユ・スンミンがいずれも出馬しました。保守の惨敗でした。
しかし、2016年12月のセヌリ党議員の弾劾訴追賛成という「離脱」と2017年5月の大統領選挙における保守の「分裂」は、5年後に国民の力が政権を取り戻すうえで大切な礎となりました。朴槿恵大統領の国政壟断を批判し、弾劾訴追に賛成した「健全な保守」が存在したからです。
2022年3月9日の第20代大統領選挙ではホン・ジュンピョ、アン・チョルス、ユ・スンミンの3人が手を組み、尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補の当選を助けました。朴槿恵大統領が2012年の総選挙を前に世代交代の象徴として起用したイ・ジュンソク代表も、それに大きく貢献しました。
団結は生、分裂は死。この言葉は政治においても真理です。尹錫悦大統領は自らの当選を助けた政治家たちを一人ずつ排除していきました。そして12・3非常戒厳を実行しました。滅びへの道でした。
【写真】「国民の力」のハン・ドンフン前代表が3月18日、大邱北区の慶北大学キョンハホールで「改憲、時代を変えよう」をテーマに、青年トークショーをおこなっている/聯合ニュース
私は国民の力のハン・ドンフン代表(当時)が非常戒厳に反対し、国会本会議場に入って戒厳を解除する場面を見て、彼は「星の瞬間」をつかんだと思いました。彼が保守勢力の新たな大統領候補として浮上しうると思いました。そうはなりませんでした。
国民の力全体がチョン・グァンフン、ソン・ヒョンボ、チョン・ハンギルらに引きずられ、極右化しています。なぜこのようなことが起こったのでしょうか。
政治の二極化のせいです。2022年3月9日の大統領選挙で、保守系の有権者の大半は民主党とイ・ジェミョン候補が嫌いだから尹錫悦候補に投票しました。もちろん、イ・ジェミョン候補に入れた人たちも同様でした。
今回もそうでした。尹錫悦大統領が罷免されてイ・ジェミョン代表が大統領になることを心配する人々が、弾劾反対の声を上げました。保守が結集しました。国民の力の支持率は上がりました。
国民の力の議員や党員、支持者たちは喜々として尹錫悦大統領をさらに強く擁護しました。それがまさに「毒薬」でした。
弾劾反対の世論は弾劾賛成を決して上回れませんでした。弾劾賛成と反対は6対4ほどで固定化しました。国民の力の支持率も同じでした。一時は民主党と同程度になり、しばし追い抜きもしましたが、続きませんでした。
3月21日に発表された韓国ギャラップの定例調査で、弾劾賛成は58%、反対は36%でした。政党支持率は民主党40%、国民の力36%でした。「政権交代」は51%、「政権維持」は39%でした(中央選挙世論調査審議委員会のウェブサイト参照)。
国民の力の破産の兆しは、次期政治指導者の選好度を見ればよく分かります。イ・ジェミョン民主党代表36%、キム・ムンス雇用労働部長官9%、ハン・ドンフン前代表4%、オ・セフン・ソウル市長4%、ホン・ジュンピョ大邱市長3%、イ・ジュンソク改革新党議員(元国民の力代表)1%でした。イ・ジェミョン代表を除いた5人を合わせても21%に過ぎません。国民の力で弾劾に確実に賛成するユ・スンミン、アン・チョルスの両候補は名前すらありません。
キム・ムンス長官が国民の力の中で1位を走っているのはなぜでしょうか。彼は、非常戒厳の前は存在感がほとんどなかった政治家です。12月11日の国会本会議場で国務委員たちが立ち上がって謝罪した際、1人だけ席に座り続けたため、あっという間に極右のアイコンへと上りつめたのです。
尹錫悦大統領の罷免後の早期大統領選挙でキム・ムンス長官が国民の力の候補として出馬したら、当選できるでしょうか。できないとみるべきです。しかし国民の力としては、早期大統領選挙での敗北はそれほど悪いことではありません。負け方に格好がつけば次のチャンスがある可能性もあるからです。
国民の力が恐れるべき最悪のシナリオは、弾劾が却下または棄却され、尹錫悦大統領が職務に復帰することです。可能性はほとんどありませんが、もし尹錫悦大統領が戻ってきたらどうなるでしょうか。大統領職が遂行できるでしょうか。できません。
弾劾審判の最終陳述で述べたように、尹錫悦大統領は任期短縮改憲を提案するでしょう。国民は受け入れないでしょう。市民革命が起こるでしょう。尹錫悦大統領はいずれにせよ退陣するしかありません。
国民の力はどうなるでしょうか。壊滅的な状況に直面することになります。民意に逆らった政治集団は生存が不可能だからです。2004年の盧武鉉大統領の弾劾訴追後のハンナラ党がそうだったように、凄絶に没落するでしょう。早期大統領選挙はもちろん、2026年の地方選挙、2028年の国会議員総選挙、その次の大統領選挙すらも惨敗するでしょう。
いわゆる保守論客の中には、尹錫悦大統領が戻ってきて、イ・ジェミョン代表の被選挙権が剥奪されるまで耐えていてくれれば、国民の力が大統領選挙で勝てると考えている人がいます。いえいえ。イ・ジェミョン代表さえいなければ民主党に勝てるのでしょうか。めっそうもない。イ・ジェミョン代表以外の候補が大統領選に出馬すれば、国民の力が民主党に勝つのはさらに難しくなります。
だからです。国民の力が生き延びるためには、保守が生き延びるためには、尹錫悦大統領を捨てなければなりません。そうしてこそ国民の力は、保守は、再生の機会がつかめます。
早期大統領選挙で敗北してイ・ジェミョン大統領が誕生したとしても、2026年の地方選挙と2028年の総選挙で再起が図れます。その次の大統領選挙で政権を奪還する可能性もあります。
憲法裁判所の弾劾審判で尹錫悦大統領が罷免されるよう、国民の力の議員、党員、支持者が切に祈るべき理由はここにあります。みなさんはどうお考えですか。
ソン・ハニョン|政治部先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-03-23 09:00
「The Hankyoreh」 2025-03-22 11:08
■トランプの「共和党」、尹錫悦の「国民の力」【寄稿】
ソ・ボクキョン | ザ・可能研究所代表
憲法裁判所の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領弾劾審判の言い渡しが遅れているが、まもなく認容判決が下されることに疑いはない。弾劾が認容されても、「12・3内乱」以降の韓国の民主政が進むべき道の峠の一つをやっと越えたに過ぎない。私たちは内乱が残した様々な後害と、今後長いこと対面しながら生きていかなければならない。
内乱は憲法と法治に対する韓国の政治共同体の合意された信頼を傷つけ、適法な手続きにより作動すると信じていた検察、警察、軍隊、情報機関などの国家機関に対するあらゆる疑惑を積みあげ、選挙結果に対する承服や政治対立の非暴力的な解決原則など、民主政の基本原理を危険にさらした。最も深刻な後害は、今回の事態以降、憲法と民主政を脅かす勢力に変貌してしまった与党「国民の力」という政党とその支持層だ。「国民の力」は弾劾後の大統領選挙に参加し、2026年の地方選挙、2028年の国会議員選挙にも候補を出すだろう。同党で選出された公職候補者と党員たちは、不正選挙陰謀論と絶縁し、民主憲政体制を認めながら、選挙戦を繰り広げていくことができるだろうか。弾劾後に発足する新政権の路線と立場に対して、憲法秩序の枠内で表現の自由を行使しながら、政治暴力に断固として対処できるだろうか。次の政権5年以内に「12・3内乱」に関わった者に対する捜査と起訴、裁判が続くはずだが、現行憲法と法律の制度的手続きを尊重できるだろうか。そうなることを望むばかりだ。
しかし、ドナルド・トランプ大統領以降の米国共和党を見ると、この問題がそれほど簡単ではないことが確認できる。2021年1月6日朝、トランプ大統領は自身の支持者らに「不正選挙で大統領の座を盗んだジョー・バイデンの当選の公式認定手続きを止めろ」と扇動し、彼らの暴動が始まった時、州防衛軍の派遣要請の承認を3時間以上拒否し、暴動に手を貸した。トランプ大統領が連邦議会に乱入した暴動に対して「米国史上最も偉大な運動」と擁護した時、共和党員たちはその発言を公の場でかばい、黙認した。米国下院が国会議事堂暴動調査委員会を構成した時、共和党の全国委員会は「適法な行動をした一般市民」を弾圧する処置だと反対し、連邦下院が暴動に対する責任を問いトランプを弾劾しようとした時、賛成した共和党議員は10人に過ぎなかった。
その後、共和党はどうなっただろうか。不正選挙陰謀論を主張したトランプ大統領について「民主主義を崩そうとする十字軍」だと批判した共和党のリズ・チェイニー下院議員は、数百件の殺害脅迫を受け、所属州の共和党から追放された。トランプ大統領に反対した議員は全員、次の選挙の党内予備選挙で脱落した。その席をトランプ支持者たちが占めたことは言うまでもない。バイデン政権の間、連邦議会暴動で1500人余りが起訴され有罪判決を受けたが、共和党指導部を含むほとんどの議員は「2024年にトランプ前大統領が再び出馬するならば支持する」と公表し、トランプ支持者の歓心を買うのに余念がなかった。2020年の大統領選で敗北したトランプ氏は、敗北後に共和党を事実上支配し、4年後に共和党を上院と下院の多数党にし、自身も大統領の座に返り咲いた。
尹錫悦大統領の「国民の力」は、トランプ大統領の共和党の道を進むことができるだろうか。容易ではないだろう。トランプ大統領は2009年のティーパーティー運動からあらわになった白人至上主義という根強い人種対立を重要な支持基盤としている一方、尹錫悦大統領は明確な社会的支持基盤を持っていない。トランプ大統領は莫大な財力と人材プールで共和党を掌握することができたが、尹錫悦大統領は政党という政治組織を維持できる人的・物的能力を持ち合わせていない。5年任期の1期限りの大統領制度を採択している韓国で、尹錫悦大統領にできるのは、後継者を立てることだけだ。トランプ大統領は運良くバイデン政権の弱い民主党と闘うことになったが、弾劾以降、国民の力にそのような幸運が訪れるかは不透明だ。何よりも、トランプとは違って尹錫悦大統領は、戒厳軍と全身で対抗し民主政を守っていく勇気を持った多数の市民と対面しなければならない。
このすべての違いにもかかわらず、トランプ大統領の共和党は、尹錫悦大統領以降の「国民の力」の未来に重要な示唆点を投げかける。支持者を反体制極右に導くのは政治家たちだが、すでに反体制過激主義に傾倒した支持層を政治家たちがまた引き戻すのは非常に難しいという事実だ。尹錫悦大統領以降、誰が「国民の力」の支持層を民主主義者へと引き戻すことができるだろうか。
ソ・ボクキョン | ザ・可能研究所代表(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力: 2025-03-2008:09
「The Hankyoreh」 2025-03-22 09:51
■韓国野党5党、ハン首相弾劾審判宣告前に「チェ権限代行弾劾」訴追案発議へ
尹大統領弾劾審判の宣告控えて「勢いで負けてはならない」と判断
与党「国政麻痺を呼ぶ30回目の弾劾」と猛攻
【写真】(右から)基本所得等のヨン・ヘイン議員、共に民主党のキム・ヨンミン議員、祖国革新党のチョン・チュンセン議員、進歩党のユン・ジョンオ議員が21日、国会議案課にチェ・サンモク大統領権限代行副首相兼企画財政部長官に対する弾劾訴追案を提出している=共同取材写真//ハンギョレ新聞社
「共に民主党」など野党5党は21日、チェ・サンモク大統領権限代行副首相兼企画財政部長官に対する弾劾訴追案を発議した。前日、憲法裁判所がハン・ドクス首相弾劾審判の言い渡し期日を24日に指定した後、「弾劾の実益が消えた」という内外の評価にもかかわらず、公言した通りチェ代行の弾劾に踏み込んだのだ。ただし、ハン首相弾劾審判の結果と国会本会議の日程によっては、実際の弾劾表決までは進まない可能性もある。
共に民主党、祖国革新党、進歩党、基本所得党、社会民主党などの議員188人がこの日発議した「企画財政部長官(チェ・サンモク)」弾劾訴追案によると、チェ権限代行の弾劾事由は、12・3内乱関連行為▽国会で選出したマ・ウンヒョク憲法裁判官候補者の任命拒否▽マ・ヨンジュ最高裁判事の任命拒否▽内乱常設特検任命手続きの不履行の4つ。弾劾訴追案は発議後最初に開かれる国会本会議に報告され、報告後24時間後から72時間以内に本会議で表決しなければならない。
民主党が内外の批判と反発を押し切ってチェ代行の弾劾に踏み切ったのは、尹大統領の弾劾審判が遅延し、極右勢力の動きが激化する状況で、党の対応レベルをさらに引き上げる必要があると判断したためとみられる。民主党のイ・ジェミョン代表はこの日、ソウル光化門(クァンファムン)広場で行われている「尹錫悦即時退陣・社会大改革非常行動」のハンガーストライキの座り込み現場を訪ね、「チェ権限代行は人目もはばからず国法秩序を乱している」とし、「憲法裁の明確な判決さえ露骨に拒否している人自体が国憲紊乱行為だ。どうしても、チェ権限代行本人が今回の内乱行為の主要任務従事者ではないかという疑念を抱かせる」と述べた。
院内指導部のある議員は「『憲政破壊勢力』との勢力争いで押されず、戦線を明確にしなければならない」と語った。また別の院内指導部関係者は「今後重要なのは『憲法守護』の価値を誰が先に占めるか」だとし、「憲法裁の決定に従わないチェ代行を放置しておけば、尹大統領弾劾審判の結果に承服しないだのの争いが生じたとき、民主党が掲げる主張の正当性や名目が行われる」と話した。
ただし、チェ代行弾劾案が実際に表決まで進むかどうかは不透明だ。24日にハン首相弾劾案が棄却された場合、チェ権限代行は企財部長官に戻るため、弾劾案処理の動力を失う可能性がある。また、弾劾案の報告と上程のためには本会議の日程を追加で決めなければならないが、ウ・ウォンシク国会議長がこれに否定的な態度を示しているためだ。民主党はこのため、弾劾案の発議に踏み切ったものの、表決の時期とそれを強行するかどうかはまだ決めていない。指導部関係者は「発議はしたものの、表決処理を進めないこともありうる」とし、「弾劾するとすでに公表していたので、強行するかどうかが世論に及ぼす影響は大きくないだろう」と語った。
しかし、党内部をはじめ政界内外では批判世論が強い。ある再選議員は「院内代表が数回公言したため、撤回できず、発議まで進んだ」とし、「尹大統領罷免言い渡しとは直接関連がなく、大衆もあえて(権限代行の)罷免を強行する理由を理解できないだろう」と語った。キム・ブギョム元首相もフェイスブックへの投稿で、「慎重でない決定」だとし「実益は少なく、国民の不安をさらに高めるだろう」と書いた。
与党「国民の力」は猛攻を浴びせた。同党のクォン・ソンドン院内代表はこの日の記者会見で「チェ代行個人に対する脅迫を越え、国全体を滅ぼすという意図に他ならない」とし、「来週月曜日にはハン・ドクス首相が復帰するのが自明なのに、なんとしても経済副首相を弾劾するというのは、目的を失った感情的報復だ」と述べた。ハン・ドンフン前代表は「脅迫が通じないとなると、国民の暮らしを人質にして大韓民国を縛るイ・ジェミョン代表こそ『最も危険な人物』」だと語った。ホン・ジュンピョ大邱(テグ)市長は「(民主党は)本当に国を滅ぼそうとしている」とし「イ・ジェミョン(代表)も議会テロを利用して内乱を画策している」と述べた。
コ・ハンソル、キ・ミンド、チョン・グァンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-03-21 22:08
「The Hankyoreh」 2025-03-21 10:04
■沈黙し続ける憲法裁に気が気でない韓国市民たち…「混乱広がり、極右だけが勢いづく」
非常行動「憲法裁が応えなければ週末に200万人集まろう」
法律家1358人も「罷免決定が遅れてはならない」
大学生らも三歩一拝…「極右を後押しするような状況」
【写真】「尹錫悦即時退陣・社会大改革非常行動」が20日午後、ソウル鍾路区の景福宮西十字閣前で「今週を超えてはならない、主権者の命令だ」とのスローガンとともに尹大統領の即時罷免を求める記者会見を行っている=チョン・ヨンイル先任記者//ハンギョレ新聞社
「今ごろは市民皆が待ちわびている尹錫悦(ユン・ソクヨル)罷免宣告がいつになるか、見当がついていなければなりません。弾劾訴追から100日が過ぎ、他の歴代事件と比べても最長期間を超えています」。
尹錫悦大統領罷免のために13日間にわたりハンガーストライキを行っている「尹錫悦即時退陣・社会改革非常行動」(非常行動)のユン・ボクナム共同議長(民主社会のための弁護士会会長)の声が、景福宮(キョンボククン)の西十字閣跡の座り込み現場に響き渡った。憲法裁判所の弾劾裁判審理が長引くにつれ、法律家や大学生、労働者など多様な市民たちが不安と懸念を訴えている。彼らは憲法裁の早期罷免を求める一方、激しくなる分裂と混乱に対する憂慮を示した。
非常行動は20日、景福宮西十字閣跡の座り込み現場で記者会見を行い、「国民の気持ちになって早期に罷免を決めるよう憲法裁に求める」とし、「金曜日までに憲法裁が結論を出さなかった場合は、今週土曜日に市民200万人が集まってほしい」と呼びかけた。ユン共同議長は「いつ言い渡されても弾劾さえ決まれば良いのではないか、と言うが、遅れた正義は正義にあらずという言葉もある」とし、「憲法と法律の違反は適時に是正しなければ、深刻な不義を容認することであり、これは結局憲法破壊を容認することに他ならない」と述べた。
【写真】「尹錫悦退陣全国大学生時局会議」のメンバーが20日、ソウルの景福宮で弾劾要求の三歩一拝を行っている/聯合ニュース
労働者と法律家たちも憲法裁に早く罷免を決定するよう求めた。民主労総はこの日午後1時に民主労総12階の中会議室で記者会見を行い、「26日までに憲法裁が罷免言い渡し日を確定しなければ、27日に全面ストライキを行う」と発表した。民主労総のヤン・ギョンス委員長は「労働者・市民の日常が破壊され、1日に何度もメディアを通じて憲法裁判所の日程が確定したかどうかを確認する市民が多い」とし、「これ以上このような混乱と不安が続いてはならない」と述べた。全国の法学教授や弁護士、労務士、研究者など計1358人の法律家たちもこの日、時局宣言文を発表し、「尹錫悦の憲法違反と内乱の証拠はあふれるほどで、弾劾の名目は十分にある。にもかかわらず、尹錫悦の弾劾審判の決定まで多くの時間が費やされている」としたうえで、「分裂と混乱がより一層高まっている状況で、内乱犯罪者の罷免決定がこれ以上遅れてはならない」と述べた。
大学生たちは判決が遅れていることによって尹大統領の支持者たちの言動が過激になっていることに懸念を示し、早い宣告を求める意味で、景福宮から安国(アングク)駅まで三歩一拝を行った。三歩一拝に参加した「大学生時局会議」のノ・ミニョン共同代表は「憲法裁の判決の遅れが極右支持者たちを勢いづけている」とし、「今や、『アカ(共産主義者)は殺しても良い』などとはばかりなく言う事態になった」と語った。
チョン・ボンビ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-03-2018:06
「The Hankyoreh」 2025-03-21 10:23
■韓国の保守政治家はいかにして極右牧師にへつらうようになったのか
レインボーアクションと差別禁止法制定連帯「極右リポート」発表
【写真】サラン第一教会のチョン・グァンフン牧師が2月5日午前、ソウル永登浦区の自由統一党中央党本部で行われた西部地方裁判所暴動についての記者会見で、発言している/聯合ニュース
「非主流だったチョン・グァンフン牧師はいかにして莫大な資金を動員し、有力政治家たちがへつらうようにさせ、何よりも数多くの人を彼の言うことに従わせることができたのか」。
保守プロテスタントの極右化と教会による動員を主たる特徴とする韓国極右勢力の形成、成長、主流化の過程を記録した報告書が発表された。
性的マイノリティー差別反対レインボーアクションと差別禁止法制定連帯は19日、「極右リポート」を発表した。両団体は「12・3内乱事態以降の極右勢力の結集は偶然または突発的な現象ではなく、長きにわたって放置されてきた嫌悪政治の必然的な帰結」だと断言した。
保守プロテスタント集団はこの20年あまりの間、「同性愛反対」と差別禁止法制定反対運動を結集軸として全国の教会ネットワークを動員し、政治的影響力を拡大してきた。彼らの政治勢力化が放置されてきた結果、今の内乱擁護勢力へと成長したというのだ。
報告書は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領弾劾反対集会を主導しているサラン第一教会のチョン・グァンフン牧師を中心に、保守プロテスタントの極右化の歴史を記述する。
報告書の内容を総合すると、保守プロテスタントは韓国の特殊な脈絡である反共主義と政治化した同性愛嫌悪を結びつけた。彼らは差別禁止法制定が公論化された2006年に「同性愛差別禁止法案阻止議会宣教連合」を結成して反同性愛運動を開始。彼らの掲げた反北朝鮮・反同性愛戦略は、2013年に「従北ゲイ」という新造語を作り出してフレーム化された。
【写真】国民の力のユン・サンヒョン議員が今年1月5日、ソウル龍山区漢南洞の大統領官邸前でサラン第一教会のチョン・グァンフン牧師が開催した尹錫悦大統領弾劾反対集会に参加し、チョン牧師に腰を90度曲げてあいさつしている=ユーチューブ「チョン・グァンフンTV」より//ハンギョレ新聞社
報告書は、チョン牧師が勢力を拡大する過程でも反同性愛戦略が功を奏したとしている。「以前から刺激的な扇動と暴言で悪名高かった」チョン牧師は、2007年の第17代大統領選挙の際にある集会で「李明博(イ・ミョンバク)に投票しない人は命の本から消してしまうつもり」だと述べており、極端な発言をはばからなかった。ソウルのソマン教会の長老でもあった李明博大統領候補(当時)は、ソウル市長時代の2004年に、ある祈祷会で「ソウルを神にささげる奉献書」を朗読している。
チョン牧師は、2017年の第19代大統領選挙では「人類を荒廃させる同性愛と差別禁止が大韓民国を没落へと追い込んでいく」と述べて、ホン・ジュンピョ候補を支持した。ホン・ジュンピョ候補は当時のテレビ討論会で、「同性愛のせいで大韓民国にエイズ(AIDS:後天性免疫不全症候群)が1万4000人以上まん延している」というフェイクニュースを公然と語った。
報告書は「チョン牧師の政治行動は2019年にファン・ギョアンと組んだことで絶頂を迎えた」と記している。ファン・ギョアン元首相は、首相時代にも自らが開拓した教会の伝道師の資格を維持していたほど熱烈な保守プロテスタントだ。
【写真】今月8日、ソウル鍾路区の東和免税店前で開催された弾劾反対光化門国民大会で、参加者たちが太極旗とプラカードを振っている/聯合ニュース
報告書の分析によると、チョン・グァンフンとファン・ギョアンの連合はその後、2019年に光化門(クァンファムン)で行われた「チョ・グク長官退陣要求集会」や「文在寅(ムン・ジェイン)退陣徹夜国民大会」など、保守プロテスタントを中心として大規模動員を行う極右集会へとつながった。チョン・グァンフンは「ファン・ギョアンを立てたのは神」だとして、彼が大韓民国の次期指導者となるよう祈願した。彼らは2020年8月15日の「文在寅弾劾8・15国民大会」を主導することで極右集会を広げた。
また報告書は、2010年代から性的マイノリティーに対する保守プロテスタント信者の暴力行為がまん延しはじめたと指摘する。2014年にソウル市が開催したソウル人権憲章公聴会は、「性的指向による差別を禁止する人権憲章の制定に反対する」として暴れた保守プロテスタント信者によって修羅場となった。それ以降、全国のクィアフェスティバルにも、保守プロテスタントによる組織的な妨害工作と集会がついて回った。
報告書は、同性愛反対は保守プロテスタント全般に「最重要の動員手段」かつ「レトリック」として位置づけられたことで、次第に極右的傾向がプロテスタント界全般へと広がっていくという現象が起きたと分析する。多くの教会や教団がチョン牧師のような過激主義者の過激な発言と行動に内部的には反感を抱き、表面的には距離を取ろうとしたにもかかわらず、同性愛反対という共通基調の中、結果的に彼らの極右的な扇動のあり方を黙認したり、間接的に支持したりする様相を呈したということだ。近ごろチョン牧師と極右勢力の主導権をめぐって対立している釜山の(プサン)セゲロ教会のソン・ヒョンボ牧師も昨年10月、23万人(警察推計)が参加する差別禁止法反対集会を開催し、プロテスタント界の注目を集めている。
【写真】16日、ソウルの世宗路交差点そばで、サラン第一教会の光化門日曜礼拝が行われている/聯合ニュース
報告書は「結局、韓国において極右政治が主流化する過程には、反共主義から出発し反差別、反マイノリティー議題を中心動力として成長してきた保守プロテスタントが存在する」として、「彼らは周辺部にとどまることに満足せず、民主主義制度への進出を試みつつ、同時に制度を脅かし破壊する」と警告している。そして「極右勢力化の流れと戦略を正確に理解し対応しなければ、性的マイノリティーをはじめとする社会的マイノリティーの権利だけでなく、自由と平等という民主主義の根幹が絶えず脅かされることになるだろう」と続けている。
シン・ユン・ドンウク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-03-20 18:02
「The Hankyoreh」 2025-03-21 07:14
■「尹大統領罷免すべき」60%…「政権交代必要」51%【NBS世論調査】
「弾劾棄却」35%、「政権再創出」36%
【写真】ソウル拘置所から釈放された尹錫悦大統領が今月8日、ソウル漢南洞の官邸前に到着し、車から降りて支持者にあいさつしている/聯合ニュース
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の弾劾審判の決定言い渡しが遅れている中、国民の10人に6人は尹大統領を罷免すべきだと考えている。このような世論調査の結果が発表された。憲法裁判所を信頼しており、憲法裁は罷免を決定するだろうとする回答も同様だった。
エムブレインパブリック、Kスタットリサーチ、コリアリサーチ、韓国リサーチは、今月17日から19日にかけて、全国の1003人の有権者に対して実施した定例全国指標調査(95%信頼水準、標本誤差±3.1ポイント、回答率21.1%、携帯電話仮想番号電話面接)の結果を20日に公開した。
尹大統領の罷免については「弾劾を認容して罷免すべき」が60%、「弾劾を棄却して復帰させるべき」が35%。先週の調査から「罷免すべき」は5ポイント上昇(55%→60%)、「棄却すべき」は4ポイント下落(39%→35%)。罷免と棄却の回答差は16ポイントから25ポイントへと広がった。1月6~8日に実施された調査(罷免62%、棄却33%)より後の調査で最も大きな差だ。
憲法裁による言い渡しが遅れている背景をめぐっては、さまざまな解釈が示されている。弾劾の賛否に対する個人の立場とは関係なしに、憲法裁がどのような決定を下すと予想するかを尋ねたところ、罷免を決定するだろうとの回答は57%(先週53%)、棄却するだろうとの回答は34%(先週38%)だった。
与党「国民の力」と尹大統領の支持者は、理念的な基準を当てて憲法裁判官を攻撃している。にもかかわらず、憲法裁の弾劾審判の過程を信頼するとする回答は60%と高かった。先週の51%から9ポイントの上昇だ。一方、憲法裁を信頼しないとする回答は9ポイント下落の36%にとどまった。
「憲法裁を信頼する」の回答率は上昇したものの、弾劾審判の結果を受け入れるかどうかに大きな変化はなかった。「自分の考えと異なっても受け入れる」55%(先週54%)、「自分の考えと異なれば受け入れない」42%(先週と同じ)だった。
次期大統領選挙では政権交代(野党候補の当選)が必要だとする回答は51%だった。政権の再創出(与党候補の当選)が必要だとの回答は36%だった。政権交代は1週間で4ポイントの上昇、政権再創出は6ポイント下落。
次期大統領にふさわしい人物は、野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表33%、キム・ムンス雇用労働部長官10%、ソウル市のオ・セフン市長と大邱市(テグシ)のホン・ジュンピョ市長が各5%、国民の力のハン・ドンフン前代表が4%。
個人ではなく政党を基準にした大統領候補の支持率では、共に民主党の候補が40%、国民の力の候補が30%、祖国革新党の候補が2%、改革新党と進歩党の候補が各1%だった。民主党候補の支持率は4ポイントの上昇、国民の力の候補の支持率は5ポイントの下落だった。
政党支持率も同様の動きを示した。民主党38%、国民の力32%、祖国革新党7%、改革新党と進歩党が各1%だった。民主党の支持率は先週より2ポイント上昇、国民の力の支持率は6ポイントの下落だった。
今回の調査の詳細は、全国指標調査または中央選挙世論調査審議委員会のウェブサイトを参照。
キム・ナミル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-03-20 11:53
「The Hankyoreh」 2025-03-20 09:23
【写真】尹錫悦大統領の弾劾審判事件が憲法裁判所に提出されて95日目の19日午前、宣告日の決定を控えて警備が強化されているソウル鍾路区の憲法裁判所周辺=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社
憲法裁判所は19日にも尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の弾劾事件の評議をおこなったが、判決の言い渡し期日を指定できず、来週に持ち越される可能性が高まった。判決が遅れるにつれ、与党では「却下」決定を主張する声が高まっているが、法曹界からは「棄却を主張できないことから出てきている苦肉の策」だとの分析が示されている。
「却下」とは、訴訟手続きに明らかに欠陥があり、本案を検討する必要もないと判断された際に下される決定だ。与党「国民の力」の議員はここのところ、却下を主張して憲法裁の前でリレーデモをおこなってもいる。しかし、尹大統領の弾劾は憲法裁判の手続き上、却下されるほどの問題点は見当たらないというのが法曹界の大方の見方だ。
与党と尹大統領の支持者たちは、弾劾訴追事由から内乱罪が撤回されたことで弾劾訴追の同一性が失われたため、それが却下事由になると主張する。だが朴槿恵(パク・クネ)元大統領のケースでも、国会は収賄罪や強要罪も事由に含めて弾劾訴追案を可決したが、弾劾裁判はそれを除外して行われている。現在は国民の力の院内代表を務めるクォン・ソンドン議員が、当時は国会の弾劾訴追委員長を務めており、朴元大統領の弾劾を主導した。
また憲法裁は、訴追事由を議決書体系に拘束されずに職権で判断する。「憲政回復のための憲法学者会議」も先月、憲法裁に提出した意見書で、「憲法裁は請求人(国会)が主張した法規定以外の関連法の規定に則って、弾劾の原因となった事実関係を判断できる」と説明している。
非常戒厳の宣布は大統領の統治行為であるため、司法審査の対象ではないということも、却下主張の根拠とされる。尹大統領が非常戒厳の直後から強弁してきた内容だ。しかし、統治行為だという理由で違憲的行為が免責されるわけではない、というのが確固たる判例だ。憲法裁は1996年、金融実名制緊急命令の違憲確認事件で、「いわゆる統治行為を含め、すべての国家作用は国民の基本権的価値を実現するための手段だという限界を必ず守らなければならない」として、「この事件の緊急命令は統治行為であるため憲法裁判の対象にはなり得ないとの主張は受け入れられない」と判断を下している。
元憲法研究官の成均館大学法学専門大学院のイ・ファンヒ教授は、「盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の2004年のイラク派兵事件で憲法裁は統治行為を唯一認めているが、憲法上、法律上の手続きを守らなければならないという但し書きがあった」と説明した。また「たとえ戒厳宣布が統治行為だとしても、国会と選挙管理委員会に戒厳軍を投入した行為はその後続行為であるため、統治行為とはみなしがたい」と指摘した。
結局のところ却下を主張する流れは、尹大統領の弾劾が棄却される可能性が薄い中で与党が新たに取った戦略に過ぎない、というのが法曹界の見方だ。慶煕大法学専門大学院のチョン・テホ教授は、「すでに法曹界ですべて克服されている理論を引っ張りだしてきて却下を主張している」とし、「棄却理由が不十分だと考えられるものだから訴訟要件に言いがかりをつけよう、という意図があると読み取れる」と指摘した。
キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-03-20 05:00
「The Hankyoreh」 2025-03-20 09:16
■尹大統領弾劾審判の決定、来週に持ち越しか…野党代表「迅速に罷免、混乱終わらせよ」
【写真】共に民主党のイ・ジェミョン代表とパク・チャンデ院内代表が19日、ソウル鍾路区の景福宮駅そばの民主党の光化門テント座り込み現場で行われた現場最高委員会議で、「尹錫悦を罷免せよ!」と記されたプラカードを手にしてスローガンを叫んでいる=国会写真記者団//ハンギョレ新聞社
憲法裁判所による尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の弾劾審判の判決言い渡しが予想より遅れていることで、憲法裁に迅速な言い渡しを求める野党「共に民主党」の声も強まっている。憲法裁が19日にも言い渡し期日を公示しなかったため、尹大統領を罷免するかどうかの決定が来週に持ち越される可能性があるとの見通しが示され、民主党では不安も広がっている。
民主党のイ・ジェミョン代表はこの日午前、ソウルの光化門(クァンファムン)広場で行われた最高委員会議で、「12・3戒厳が国全体を破壊している。このすべての危機の本質は『国政混乱の持続』にある」とし、「今は大韓民国の正常化に誰もが力を合わせるべき時であり、憲法裁の迅速な判決を改めて求める」と述べた。民主党の「路上最高委員会議」は14日に続き2度目だが、イ代表は「テロの恐れがある」との情報提供があったため、この日が初めての出席となった。この日、イ代表はジャケットの中に防弾服を着用し、警察の身辺警護も受けた。
この日の会議に出席したイ代表以外の党指導部メンバーも、一斉に憲法裁に対して「一日も早く尹大統領に罷免を言い渡してほしい」と述べた。パク・チャンデ院内代表は、「(弾劾審判が)これほど引きずるべきことなのか、納得できる国民がどれほどいるのか非常に疑問だ。争点が複雑なわけでもなく、証拠も十分で、全国民が直に目撃し、事案も非常に重大だ」と指摘した。キム・ミンソク首席最高委員は「民主憲政を踏みにじった権力による親衛クーデターを審判するのに左顧右眄(さこうべん)し、国民の苦しみと不安の終息に断固とした態度が取れないなら、憲法裁判所に何の存在理由があるのか」と述べた。
早急な尹大統領の罷免を求める民主党の国会~光化門徒歩行進は、この日で8日連続となった。市民社会団体の主催する夕刻の光化門集会への参加後は、深夜に国会で非常議員総会が開催され、憲法裁の判決の遅れへの対応策などをめぐって激論が交わされた。
民主党などの野党5党はこの日、憲法裁に尹大統領の迅速な罷免言い渡しを求める書簡を手渡した。
民主党が憲法裁に総力戦で罷免を迫っているのは、言い渡しがいつになるかも分からずに遅れるにつれ、尹大統領弾劾の棄却の可能性まで取り沙汰されるなど、不安が高まっているからだ。尹大統領の弾劾審判の言い渡しが、今月26日に予定されているイ・ジェミョン代表の公職選挙法違反事件の控訴審判決より遅れる可能性もある、との懸念も高まっている。それぞれ早期大統領選挙の実施と、早期大統領選挙への対応策と関連しているため、敏感にならざるを得ない状況だ。首都圏のある再選議員は、「守旧・保守勢力は、尹大統領の弾劾訴追は認容されるにしても26日より後になるべきと考えているが、それを考慮して憲法裁が政務的判断を下す可能性がよりいっそう排除できなくなっている」と語った。
コ・ハンソル、コ・ギョンジュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-03-20 05:00
「The Hankyoreh」 2025-03-19 09:58
■元判事の教授「警護処の報復解任、尹大統領の釈放が原因…再拘束すべき」=韓国
【写真】ソウル市立大学法科大学院のチャ・ソンアン教授(中央)らが1月13日午後、ソウル龍山区漢南洞の官邸前で警護処関係者に不当指示拒否疎明書を渡そうとしている/聯合ニュース
「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が大統領官邸に戻らなかったとしてもこのような報復性の解任が行われたでしょうか」
ソウル市立大学法科大学院のチャ・ソンアン教授は、17日のハンギョレの電話インタビューでこう述べた。尹大統領に対する逮捕状執行の阻止に反対した警護処幹部が、13日の警護処懲戒委で解任が議決されたのは、尹大統領が釈放されたからこそ可能だったという指摘だ。警護処幹部のA氏は、尹大統領の1回目の逮捕状執行が失敗に終わった後、警察国家捜査本部の関係者と面談したとの理由で1月12日に職務から排除され、懲戒委に付された。解任が議決されたのは、それから2カ月が過ぎた尹大統領の拘束取り消しの直後のことだ。
チャ教授はこのような決定に尹大統領の意中が反映されていると指摘した。尹大統領に対する逮捕状が執行された1月当時、警護処関係者のための「不当な指示を拒否する方法」を作成してシェアしたチャ教授は、18日に「不当な指示を拒否した警護処職員の不当懲戒に関する10問10答」をフェイスブックに投稿した。チャ教授はこの投稿で、「不当な指示の拒否を理由にした懲戒は明白な報復人事」だとし、行政訴訟の手続き▽不法行為による損害賠償請求▽懲戒権乱用による職権乱用罪の告訴・告発など、法的救済の方法を詳しく書いた。
チャ教授は、尹大統領の拘束取り消しに続く検察の即時抗告放棄の決定を強く批判し、「検察は今からでも裁判所に裁判所による職権拘束意見書を提出すべきだ」と述べた。さらに「すべての人に同等であるべき法律が大統領という特定の人だけに適用されなかった時、検察が越えてはならない線を越えたのではないかと思った」とし、「検察は今からでも裁判所の職権再拘束を求める意見書を提出すべきだ」と語った。
チャ教授は、裁判所の拘束取り消しに検察が即時抗告で対応してきた先例は12件にのぼるとし、「裁判所事務総長(最高裁判事)も上級審の判断を仰ぐべきと発言しており、最高裁の判例まであるのに、なぜ尹大統領にだけ違う判断を下すのか分からない。大統領を在宅起訴の状態で裁判にかけようとする意志が込められているとしか考えられない」と指摘した。ソウル中央地裁・ソウル南部地裁判事、最高裁司法政策研究院研究委員などを務めたチャ教授は、裁判所の拘束取り消し決定についても「拘束取り消し自体もその重さに合わない理由を挙げており、道具的に使ったと思われる」とし、「責任という面で残念だ」と語った。
チャ教授は、警護処幹部の報復人事など、内乱勢力の反動的行動にブレーキをかけるためにも、検察は裁判所に職権再拘束を求めなければならないと強調した。「検察は即時抗告制度を問題視したのであって、拘束理由が消滅したと判断したわけではないのでは」としたうえで、「今回の報復解任も根拠になりうるだろうし、再拘束の必要性はさらに高まっている」と語った。
チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-03-18 16:59
「The Hankyoreh」 2025-03-19 09:02
■大統領警護処次長の拘束令状請求…盗聴防止機能付き電話押収の糸口となるか
キム・ソンフン4回目、イ・グァンウ3回目の申請が認められる
【写真】キム・ソンフン大統領警護処次長とイ・グァンウ警護本部長/聯合ニュース
検察がキム・ソンフン警護処次長とイ・グァンウ警護本部長の拘束令状を裁判所に請求した。これで、今年1月に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の逮捕状の執行を妨害した疑いで逮捕され、後に釈放されたキム次長らは、2カ月をへて初めて裁判所の拘束前被疑者尋問を受けることになった。
ソウル西部地検は18日、キム・ソンフン次長とイ・グァンウ本部長の拘束令状を請求したことを明らかにした。検察による拘束令状棄却を不服として、ソウル高等検察庁令状審議委員会から(令状の)発付勧告決定を引き出した警察庁非常戒厳特別捜査団(特捜団)は前日、キム次長については4度目、イ本部長については3度目の拘束令状申請をおこなっていた。
警察は当初、尹大統領の指示を受けて今年1月3日に高位公職者犯罪捜査処と警察による逮捕状執行を阻止した疑い(特殊公務執行妨害)で、キム次長の拘束令状を申請した。しかしソウル西部地検は「尹大統領が拘束されたため、再犯の懸念はない」としてこれを棄却した。続いて警察は、警護処の実務者に盗聴防止機能付き電話(秘話フォン)の情報の削除を指示した疑い(大統領警護法の職権乱用)を追加してキム次長の拘束令状を再申請したが、検察は補強捜査を要求しつつ差し戻した。さらに、キム次長らの事務所や自宅の家宅捜索を経て3回目の令状申請が行われたが、検察はまたも「犯罪に故意があったのか争いがある」との理由で棄却した。令状請求権を持つ検察が、拘束に対する裁判所の判断そのものを阻んだ格好だ。
これに対し、ソウル高等検察庁令状審議委員会(審議委)は今月6日、キム次長らの拘束令状を請求すべきとする判断を下した。西部地検は、容疑の疎明が成り立つか、拘束理由があるかなどを総合的に検討し、この日、拘束令状を請求した。
ソウル西部地裁は近く、キム次長に対する拘束前被疑者尋問(令状実質審査)を行い、拘束するかどうかを決定する。キム次長は、釈放された尹大統領に密着随行しなければならないとして「不拘束捜査」を主張するものとみられる。裁判所が拘束令状を発行すれば、「盗聴防止機能付き電話のサーバ」の確保などによって内乱事件の捜査にも突破口が開けるとの見通しが示されている。検察による令状棄却でこれまで職位を維持してきたキム次長は、刑事訴訟法の条項(軍事上の秘密を要する場所は、その責任者の承諾なしには押収または捜索できない)を根拠として、警察特捜団によるサーバ押収も拒否してきた。尹大統領は非常戒厳宣布時に軍の司令官たちと盗聴防止機能付き電話でやりとりしていたため、警察がサーバを確保すれば、通話の内訳から当時の状況を再構成できるとみられる。
キム・ガユン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-03-18 18:35
「The Hankyoreh」 2025-03-19 07:08
■ハンファグループ、豪の防産企業オースタルの持分買収へ…米艦艇市場進出の布石=韓国
【写真】オースタルの米国内造船所の全景=ハンファ提供//ハンギョレ新聞社
ハンファグループがオーストラリアの造船・防衛産業企業であるオースタルの持分を買収した。米国に造船所を保有しているオースタルの筆頭株主になり、米国の艦艇市場に進出する戦略だ。
ハンファは17日にオーストラリア証券取引所の場外取引を通じてオースタルの持分9.9%を直接買収したと明らかにした。また、オーストラリア現地の証券会社を通じてさらに9.9%の持分に対しても総収益スワップ(TRS・株式を直接保有せずに資産に連動した収益・損失だけを受け取る)契約を締結したと明らかにした。ハンファはこの二つの取引でオースタルに対して直接・間接的に19.8%の持分を確保することになった。現在、筆頭株主のタッタラン・ベンチャーズ(Tattarang ventures 17.09%)より多い持分だ。
ただし、オーストラリアでは国外投資家が10%以上の持分を確保するためには、外国人投資審議委員会(FIRB)の承認を受けなければならない。これを受けてハンファは同日、豪州の外国人投資審議委員会に持分買収に関する承認を要請した。
ハンファのオースタル持分買収は、豪州現地法人(AA No.1 PTY LTD)を通じて行われた。前日、ハンファシステムとハンファ・エアロスペースは、オーストラリア現地法人の第3者割当有償増資に参加し、それぞれ2027億ウォン(約209億円)、642億ウォン(約66億円)の資金を投入すると公示した。オーストラリア現地法人は、調達された資金を全てオースタル持分の買収に投入する計画だ。
ハンファのオースタル買収は再挑戦だ。昨年4月、オースタルに約8千億ウォン台の買収価格を提案したが、オースタルの理事会が買収提案を断った経緯がある。これを受けて場外株式市場で持分を集めた。
オースタルは、米海軍に艦艇を供給する4大主要企業のうちの1社だ。米アラバマ州モービルとカリフォルニア州サンディエゴに造船所を持ち、米国内の小型水上艦と軍需支援艦市場でシェア1位を占めている。オーストラリアは2021年に米国・英国とオーカス(AUKUS)を結成するなど重要な安保同盟国だ。
ハンファは、オースタルの買収を通じて米艦艇市場への進出を狙っている。トランプ政権が米国艦艇維持・保守・整備(MRO)や艦艇建造などと関連して韓国との協力を言及しているためだ。現在、米国艦艇は自国内の造船所でのみ建造が可能だ。米議会が同盟国でも建造できるように法改正を推進しているが、それまでは米国内に造船所があることが有利にならざるを得ない。
チョン・スルギ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-03-18 18:57