三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

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「ディープフェイク「セルフ救済」に続き…各所で集会、力を合わせる女性たち=韓国」

2024年09月07日 | 韓国で
「The Hankyoreh」 2024-09-06 08:53
■ディープフェイク「セルフ救済」に続き…各所で集会、力を合わせる女性たち=韓国
 6日午後7時、ソウル普信閣で緊急集会

【写真】「#ディープフェイク性犯罪OUTスピーチ大会」の参加者たちが先月30日夕刻、ソウル江南駅10番出口前でスローガンを叫んでいる=チョン・ヨンイル先任記者//ハンギョレ新聞社

 ディープフェイク(画像・音声合成技術)を用いた性犯罪に対する政府の積極的な対策を求める緊急集会が6日午後7時、ソウル鍾路(チョンノ)の普信閣(ポシンガク)で行われる。ソーシャルメディアを中心に女性たちが自ら性犯罪チャットルームを見つけだし、行動規則を共有したりするなどの「自力救済」に乗り出したのに続き、オフライン空間でも集まって政府に対策を求めているのだ。
 全国の144の女性・人権・市民社会団体などは6日午後7時、ソウル普信閣で「不安と恐怖ではなく日常を勝ち取ろう!」をテーマに、テレグラムディープフェイク性暴力対応緊急集会を行うことを5日に明らかにした。彼らは「ソラネット、ウェブハードカルテル、テレグラムでの性搾取など、デジタル性犯罪が相次いでいるが、政府の対応は不備だっただけでなく、むしろ(尹錫悦大統領は)『構造的性差別はない』と主張した」として、「現政権の反女性人権的基調により、女性政策が深刻に退行した一方、オンライン男性文化はプラットフォームの収益構造とデジタル技術に乗って今回のテレグラムディープフェイク性暴力事態にまで至った」と批判した。
 ソウル在住の大学生を中心とした「女性嫌悪暴力糾弾共同行動」(以下共同行動)は今月21日午後3時、ソウル地下鉄4号線恵化(へファ)駅2番出口前で「ディープフェイク性搾取厳罰要求」デモを行う。「作った者、売った者、見た者をすべて処罰せよ」というスローガンの下、違法合成物をはじめとする性搾取物を作成、流布、販売、所持した者をすべて処罰する制度を政府と国会に求める計画だ。共同行動は「n番部屋事件当時、ディープフェイクだけでなく性搾取物を作成、流布する団体ルームが数百に達することを確認しながらも、国はその深刻さをわい小化し、被害を傍観した」として、「手段と方法を選ばずに加害者を厳罰に処すとともに、被害者を保護し、デジタル性犯罪を根絶するよう求める」と述べた。ソウル地下鉄4号線恵化駅は、2018年に違法撮影問題に抗議する数万人の女性たちが集まってデモをおこなった場所だ。
 ソウル女性会などが立ち上げた「ディープフェイク性犯罪OUT共同行動」は13日から27日まで毎週金曜日午後7時、江南(カンナム)駅10番出口前で、先月30日に開催した「#ディープフェイク性犯罪OUTスピーチ大会」を続ける。韓国サイバー性暴力対応センター、韓国性暴力相談所、韓国女性団体連合などは10日午後7時、ソウル麻浦区(マポグ)の中部女性発展センターで「日常を脅かすサイバー空間の女性主義的転換のために」と銘打った緊急討論会を行い、ディープフェイク性暴力事態に対する法制度的対応策などを模索する。
チョン・インソン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-09-05 19:34


「The Hankyoreh」 2024-09-06 07:44
■韓国で違法撮影・流布や性的メッセージなどデジタル性犯罪が急増
 女性家族部「2024統計で見る男女の暮らし」発表

【写真】ゲッティイメージズバンクより//ハンギョレ新聞社

 韓国でテレグラムやカカオトークのチャット相手に性的な目的のメッセージを送るなどのデジタル性犯罪が急増したことが分かった。
 女性家族部は5日、男女平等週間を迎え、このような内容が盛り込まれた報告書「2024統計で見る男女の暮らし」を発表した。人口や世帯、労働市場、ワーク・ライフ・バランス、経済状況、セーフティーネット、意思決定、女性への暴力、健康、社会認識など公表された44の統計を再分析した資料だ。
 2022年に発生した「通信媒体を利用したわいせつ犯罪」(カカオトーク、テレグラムなどのメッセンジャーやゲームチャットルームなどで性的な目的のメッセージや音声、写真を他人に送る行為)は1万563件で、前年の5067件の2倍(108%)となった。このような犯罪には、「性暴力犯罪の処罰などに関する特例法(性暴力処罰法)」第13条に基づき、2年以下の懲役や2000万ウォン(約214万円)以下の罰金を科せられる。
 同期間中、違法撮影および流布の犯罪は5541件から5876件へと約6%増えた。違法撮影物を利用した脅迫、強要などの犯罪は集計を始めた2020年120件から2021年に546件、2022年に821件で2年間で7倍近くになった。2022年の1年間に発生した性暴力犯罪全体は4万515件で、前年より26%増加した。
 一方、意思決定の権限を持つ女性管理者の割合は以前として伸び悩んでいる。昨年、4級以上の国家公務員のうち女性の割合は25.1%で、2022年に比べ1.9%ポイント増。同期間、公共機関、地方公社・公団および500人以上の民間企業の女性管理者の割合(22.1%)も0.9ポイント増に止まった。

チョン・インソン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-09-05 13:00
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ウェスティングハウスの抗議、尹大統領訪問間近…韓国政府のチェコ原発問題解決策は

2024年09月07日 | 
「The Hankyoreh」 2024-09-06 07:56
■ウェスティングハウスの抗議、尹大統領訪問間近…韓国政府のチェコ原発問題解決策は
 知的財産権を主張するウェスティングハウスと「設備供給で協力の余地」

【写真】チェコの新規原発の予定場所のドコバニ原発団地=韓国水力原子力提供//ハンギョレ新聞社

 韓国政府は、チェコへの原発輸出の障害物として浮上した米ウェスティングハウスとの知的財産権での対立を解決するために、アラブ首長国連邦(UAE)のバラカ原発を受注した際と同様に、ウェスティングハウスと「設備供給などで協力する余地」があると明らかにした。今月の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領のチェコ訪問を控えて、一部の部品や設備をウェスティングハウスから購入する方式で対立を解決する案を公式に提示したということだ。
 5日、最大野党「共に民主党」のシン・ヨンデ議員が産業通商資源部(産業部)から得た答弁書によると、「ウェスティングハウス対応過程および法的紛争に関する現況資料等」に対する要請に、産業部は「現在の韓国電力・韓国水力原子力とウェスティングハウス間の知的財産権については立場の違いがあるが、アラブ首長国連邦(UAE)のバラカ原発の事例のように、設備供給などで協力する余地もある」と明らかにした。韓国水力原子力(韓水原)は7月、チェコのドコバニ地域に1000メガワット級の新規大型原発2基を建設する事業の優先交渉対象者に選ばれた。しかし、来年3月の本契約締結を控え、源泉技術を保有するウェスティングハウスが「知的財産権侵害」だとして、既存の米国の地裁に続き、最近になりチェコの反独占規制機関にも法的対応と陳情を提起し、対立が深まっている状態だ。尹大統領は今月中に4大グループのオーナーらとともにチェコを訪問する予定だ。
 この渦中に政府が対立を解決する案として、韓水原がウェスティングハウスから「設備の供給を受ける案」に言及したのだ。これに先立ち2009年、バラカ原発の輸出の際に主契約者だった韓国電力は、知的財産権侵害を問題にしたウェスティングハウスと、原子炉冷却材ポンプやタービンなどの主要な部品を供給する方式で合意に至ったことがある。原発業界では、バラカ原発プロジェクトの予算規模の186億ドル(約2兆7000億円)のうち20億ドル(約2900億円)前後の機材・資材費用がウェスティングハウスに支払われたと予想している。
 韓国がチェコに輸出する原発のモデルである「APR-1000」の知的財産権について、韓国とウェスティングハウスの意見は対立している。ウェスティングハウスは、自社技術を基盤としているためAPR-1000の知的財産権は自社にあると主張するが、韓水原は当原発の設計の重要コード、冷却材ポンプ、原発計測制御システムなどの3大核心技術をすべて国産化したとして、輸出には問題ないとする立場だ。ただし、ウェスティングハウスの知的財産権の主張について、韓水原と政府側は「問題が生じないよう交渉する」と述べるにとどめた。
 同日、国会答弁書について産業部は「両国の企業が法的紛争の代わりに様々な分野での協力を通じて、相互にウィン・ウィンとなる余地もあるという原則的な回答だった」としたうえで、「チェコの原発の細部の設備供給案は、韓水原とチェコの発注側との間の最終契約が行われた後に決める事案であり、現時点では決まっていない」と付け加えて立場を明らかにした。
 一方、チェコの反独占規制機関は、ウェスティングハウスが先月27日にAPR-1000の知的財産権が自社にあるとして提起した陳情について3日(現地時間)、公式の行政手続(調査)に着手したことを明らかにした。
オク・キウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-09-05 14:55


「中央日報日本語版」 2024.08.21 11:15
■中国原発100基超える、11基の建設を承認…相当数が黄海沿岸
 中国が過去最大となる11基の新規原発建設計画を承認し、「原発崛起」を加速化している。国営中国中央テレビによると、中国国務院常務委員会は19日に李強首相主宰で開いた会議で、新規原発11基を作る合計5件のプロジェクトを承認した。
 中国経済メディアの第一財経によると、中国3大国営原発企業がプロジェクトを進める。中国核工業グループ(CNNC)による江蘇省徐圩の1基、中国広東原発グループ(CGNPG)による広東省陸豊の1基、山東省招遠の1基、浙江省三澳の2基、国家電力投資グループ(CPI)による広西チワン族自治区白竜の1基が主要プロジェクトだ。
 合計11基の原発建設には最小2200億元(約4兆4872億円)以上が投入され、完工まで約5年かかる見通しという現地報道も出てきた。
 ブルームバーグは「今回の新規原発建設承認は年間最大規模。中国が炭素排出量を減らすために原子力発電にさらに依存して起きたこと」と伝えた。その上で「中国が2030年までにフランスと米国を抜いて世界で最も多くの原発を保有することになるだろう」と付け加えた。
 中国核エネルギー産業協会(CNEA)によると、中国では現在56基の原発が稼動中だ。米国の93基に続きフランスの56基と並ぶ世界2位の原発稼動国だ。中国では昨年まで合計38基の新規原発が建設承認を受けたり建設中だ。今回の新規原発建設計画まで合わせれば中国では合計100基を超える原発が建設されることになる。
 日本経済新聞によると、中国は2011年に日本の福島第1原発事故が発生してからしばらく新規原発を推進していなかったが、2019年から建設を再開した。2019~2021年に年間4~5基の新規原発建設を許可し、2022年と昨年にはそれぞれ10基を許可した。中国中信証券は報告書を通じ中国が今後3~5年間に毎年約10基の新規原発を承認するものと予想した。現在原発設備容量が全電力生産で占める割合は5%水準だが、2035年までに10%まで高める目標だ。
 中国当局は原発建設の意志を公開的に強調している。中国共産党中央委員会と国務院は最近発表した「経済社会発展の包括的なグリーン転換加速化に関する意見」という文書で、「沿海原発などクリーンエネルギー基地建設を加速化しなければならない」と明らかにした。
 第一財経は「中国が公式文書で原発建設に『加速化』という単語を明確に使ったのは福島原発事故後初めて」と指摘した。その上で複数の中国原発関係者の話として「今後数年間で中国は原子力発電の黄金時代を迎えるだろう。原子力発電は無炭素クリーンエネルギーであり、安定した電力供給を保障できる特性上、(中国が推進する)全面グリーン転換に代えられない役割を担うだろう」と付け加えた。
 一部では中国の原発崛起が韓国に及ぼす影響に対し懸念する。既存の原発だけでなく新規原発の相当数が黄海沿岸に建設されているためだ。


「東亞日報」 August. 21, 2024 10:05
■中国「原発11基を追加建設」、2030年に最大保有国
 中国は今年、5つの新規原発プロジェクトを承認し、計11基の原発を追加で建設することにした。最近、中国はグリーンエネルギーへの転換を名分に原発建設に拍車をかけており、2030年には世界最大の原発保有国になるという見通しが出ている。
 20日、国営新華社通信によると、李强首相は前日、国務院常務委員会を開き、「江蘇徐偉第1段階」など5つの原発プロジェクトを承認した。今回の決定を受け、中国は少なくとも2200億人民元(約41兆ウォン)をかけて、原発11基を追加で建設する予定だ。これは最近、中国が承認した新規原発の中で最も多い数値だ。
 中国は先月31日、「経済・社会発展の加速化と全面的なグリーン転換に関する意見」を通じて、2030年までに太陽光・風力・原子力など非化石エネルギーの消費の割合を約25%までに増やすと発表している。原発の場合、現在56基が稼動中であり、これを通じて中国全体の電気需要の5%を賄っている。中国はすでに原発38基を承認したか、追加建設しているが、今後も毎年10基程度を追加承認するというのが地元メディアの分析だ。ブルームバーグ通信は、「中国は2030年までに、フランスと米国を抜いて世界で最も多くの原発を保有することになるだろう」と見込んだ。
 中国は2011年、日本の福島原発事故以降、新規原発の建設を中断したが、2019年に再開した。2019年に6基、2022年と2023年は10基など、新規承認の規模を増やしている。中国が原発建設を増やすのは、低炭素エネルギー政策の目標達成だけでなく、エネルギー安保の側面も考慮したものだという分析が出ている。「ウクライナ戦争」と「ガザ地区戦争」等の影響でエネルギー価格が大幅に上がったうえ、人工知能(AI)のブームで半導体電力需要が継続的に大きく増えるほかはないためだ。
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「浮島丸爆沈の79年後、岸田首相の訪韓前日に初めて返ってきた乗船者名簿」

2024年09月07日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「The Hankyoreh」 2024-09-07 07:20
■浮島丸爆沈の79年後、岸田首相の訪韓前日に初めて返ってきた乗船者名簿

【写真】1945年、朝鮮人強制動員被害者らを乗せて京都近海で爆沈した日本海軍の輸送船浮島丸=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 1945年8月24日、日本海軍の輸送船「浮島丸」が京都近海で爆発を起こして沈没した。船には、光復(解放)を迎えて故郷に帰ろうとしていた強制動員被害者など多くの朝鮮人が乗っていた。日本は船が海中の機雷に触れて爆発したとしたが、遺族たちは日本がわざと船を爆破したとして、真相究明を要求してきた。5日、悲劇から79年たって初めて日本が乗船者名簿の一部を韓国政府に渡した。
 日本はこの日、内部調査を終えた19件の資料を東京の駐日韓国大使館にまず提供し、他の乗船者名簿の資料も、内部調査が完了次第提供することにした。外交部が明らかにした。日本政府は、浮島丸の乗船名簿関連の資料は70種類ほどあると明らかにしてきたが、今回韓国政府が受け取った19件に何人の人的情報が含まれているかについては、現時点では伝えられていない。外交部当局者は「17年間、両国間で交渉が進められてきた」として、「現在の韓日関係は良い状況にあり、日本と緊密に協議できるため、このような結果を持ってくることができた」と述べた。同当局者は「今回受け取ったのは全員の名簿ではないが、さらなる協議を通じて継続して受け取る予定」だと述べた。
 遺族や関連団体の真相究明と名簿公開の要求に冷淡だった日本が、岸田文雄首相の訪韓前日に「プレゼント」のように名簿を出したことは苦々しい。日本政府はこれまで乗船者名簿の存在を隠してきたが、5月に初めて名簿が存在する事実を認めた。乗船者名簿は、旧日本海軍が持っていたものを厚生労働省が受け継いで保有していながらも、「沈没で流失した」と言い張っていたが、日本のフリージャーナリストの布施祐仁氏の粘り強い努力によってその存在が確認された。

【写真】浮島丸遺族会のハン・ヨンヨン会長が今年7月、日本の社民党から受け取った浮島丸乗船者名簿の一部の複写本=ハン・ヨンヨン会長提供//ハンギョレ新聞社

 浮島丸の乗船者数については、日本政府は約3700人、遺族側は1万2000人と主張している。浮島丸遺族会のハン・ヨンヨン会長(82)はこの日、ハンギョレの電話取材で「まだ(名簿の受け取りについて)外交部から何の連絡も来ていない」としたうえで、「その名簿は返してもらう必要があると大統領や外交部長官にも手紙を送った。政府はただちに受け取り、遺族に伝えるべきだ」と述べた。27歳のときに強制動員されたハン会長の父親の故ハン・ソクヒさんは、浮島丸に乗って帰国しようとしたが犠牲となった。当時3歳だったハン会長は、1970年からこんにちまで、真相究明を要求する活動を続けてきた。ハン会長は「私も父のもとに行く日が近づいている。それでも、父に名簿も遺骨も見つけてきたと言わなければ。政府はより積極的に取り組まなければならない」と切実に訴えた。
 政府はこの名簿を被害者救済や浮島丸事件の真相の把握などに活用する予定だ。根拠となる資料の不在などで慰労金申請を棄却・却下されてきた犠牲者遺族の再審議などにも活用されるという。ただし、外交部は資料全体を公開せず、国内法令によって情報を閲覧または提供される権利がある人にだけ提供する予定だ。犠牲者の個人情報が多数含まれているという理由によるものだ。強制動員被害者の補償訴訟を代理してきたチェ・ボンテ弁護士は「遺族たちは名簿に自分の家族の名前があるかどうかも分からないのだから、(そのような制限は)話にならない」とし、「名前はすべてを最大限迅速に公開し、遺族が確認できるようにすべきだ」と述べた。
 民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長は「岸田首相の訪韓に対する批判世論を鎮めようと恩着せがましく行うものだが、これで終わりにせず、資料の存在を隠してきたことについて必ず日本政府の謝罪を受け、真相究明が行われるよう努力しなければならない」と強調した。
パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
l韓国語原文入力:2024-09-05 21:21


「The Hankyoreh」 2024-09-05 07:42
■岸田首相、わざわざ韓国まで足運び佐渡鉱山の世界文化遺産登録への同意に謝意示すか
 任期最後の韓日首脳会談で功績を誇示

 日本の岸田文雄首相が6〜7日の訪韓で予定されている在任中最後の韓日首脳会談で、佐渡鉱山の世界文化遺産登録と関連して韓国政府に感謝の意を表する方向だと日本のメディアが報じた。
 産経新聞は4日付で、「首相は、新潟県の『佐渡島の金山』の世界文化遺産登録に関し、韓国政府の同意に謝意を示す方向」だと報じた。新潟県佐渡島にある佐渡鉱山は、日帝強占期(日本による植民地時代)に旧三菱鉱業が朝鮮人を強制動員した労働現場の一つ。1939年2月から1945年7月の間に少なくとも1500人の朝鮮人労働者が動員されたと知られている。
 しかし、日本政府は「(佐渡鉱山が)19世紀半ばまで日本の伝統的な手作業での金採掘の生産発展段階を示す珍しい文化遺産」だとし、2010年から世界文化遺産登録を進め、結局今年登録に成功した。当時、ユネスコ世界遺産委員会の第46回会議では、委員国の全会一致で佐渡鉱山の世界文化遺産登録を決定したが、委員国の中には韓国も含まれていた。全会一致が慣行である世界文化遺産の登録決定は韓国政府の同意なしには不可能だったが、日本政府が朝鮮人動員の強制性を認めない状況で登録に成功したことをめぐり、韓国では「低姿勢屈辱外交」だとして物議を醸した。これに先立ち、佐渡鉱山の世界文化遺産登録をめぐる交渉で、展示物の設置予定地である相川郷土博物館に朝鮮人労働者の動員過程において「強制」という言葉を明示するよう韓国政府が要請したが、日本政府はこれを受け入れなかった事実が後になって確認され、世論がさらに沸き起こった。
 当時外交部は、国会外交統一委員会所属のイ・ジェジョン(共に民主党)議員に提出した答弁書で、「佐渡鉱山の展示内容を協議する過程で『強制』という単語の入った日本の過去の史料および展示文案を日本側に要請したが、最終的に日本はそれを受け入れなかった」と明らかにした。一方、韓国政府は日本に「強制性を示す表現」を求め、日本政府が事実上それを受け入れた、という趣旨で説明してきた。
 今回の韓日首脳会談は、岸田首相が佐渡鉱山の世界文化遺産登録に対する韓国政府の同意に感謝の意を表し、「外交功績」を誇示するものになるという懸念の声があがっているのも似たような脈絡だ。これに先立ち、林芳正官房長官は3日の定例記者会見で、岸田首相の訪韓と関連して「二国間関係のさらなる進展等について議論する重要な機会となる」とし、「日韓両国の協力が、さらに堅固で幅広いものになるように、韓国側と緊密に疎通しつつ取り組んでいく」と述べた。
 また今回の首脳会談を控え、両国は第三国に居住する韓日の国民に危機状況が発生した場合、両国が相手国国民の保護に協力する相互協力文書を発表する方向で最終調整に入ったことが分かった。昨年4月、アフリカのスーダンで内戦が勃発した当時、韓国は在外国民を救出するために軍輸送機を送り、日本人も同乗させたことがある。また、同年10月、イスラエルとイスラム組織ハマスのガザ戦争開始時も、在外国民の退避を助けていた韓国軍輸送機に日本人45人を乗せて韓国まで移送したこともあった。これに対する見返りとして、日本政府も自衛隊の輸送機でイスラエルから撤収する際、韓国人33人を同乗させた。日本政府関係者は朝日新聞に「隣国どうし協力態勢を固めておくのは実務的にも重要だ」と語った。同紙は「(岸田)首相にとって在任中最後の訪韓となる中、安全保障や経済面での協力も確認し、日韓関係改善の流れを次期政権に引き継ぎたい考え」だと解説した。
 また、日本政府は日本に入国しようとする韓国人に対して、韓国の空港で「事前入国審査」を行う制度を来年導入する案を検討しており、今回の首脳会談の議題の一つにする可能性も取りざたされている。

東京/ホン・ソクチェ特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-09-04 10:3 
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「韓国軍、抗日運動関連内容を大幅に削除した精神教育教材で物議」

2024年09月07日 | 韓国で
「The Hankyoreh」 2024-09-06 07:14
■韓国軍、抗日運動関連内容を大幅に削除した精神教育教材で物議

【写真】2024年精神戦力教育基本教材=共に民主党のホン・ギウォン議員室提供//ハンギョレ新聞社

 韓国国防部が先月新たに補完した軍の精神戦力教育の教材で、抗日義兵運動と関連した内容を過去より大幅に縮小したことが確認された。特に、国権侵奪過程を説明する際、日本は「短期間に富国強兵を成し遂げた国」とする一方、朝鮮は「富国強兵どころか治安さえ維持できない国」と記述し、「自虐史観」という批判の声があがっている。
 野党「共に民主党」のホン・ギウォン議員室の要請で、国防部が5日に提出した「2024年最新精神戦力教育基本教材」を見てみると、3ページにわたり旧韓末から日帝強占期(日本による植民地時代)の歴史を扱った章に「植民地に転落した無力な国」というタイトルがついていた。
 国権侵奪の過程を紹介した同章で、教材は当時の日本を「明治維新という近代化を通じて短期間に富国強兵を成し遂げた」と紹介した。一方、朝鮮については「主導権を握るための列強の競争が激しくなり、各種利権を侵奪され、日本が清日戦争(1894~1895年)と露日戦争(1904~1905年)を起こしたことで、国土は列強の戦場となった」とし、「富国強兵どころか治安さえ維持できなかった朝鮮にはこれを止められる力がなかった」と書いた。
 さらに「自ら国を守ることができなかった結果、日本の浪人たちに明成皇后が殺害される乙未事変(1895年)、高宗が身の危険を感じ、ロシア公館に居所を移す亜関破天(1896年)のような前例のない事態が起きた」とも書いた。

【写真】2024年精神戦力教育基本教材=共に民主党のホン・ギウォン議員室提供//ハンギョレ新聞社

 このような内容は2019年に作られた過去の教材とは大きく異なる。5年前の教材は5ページにわたり同時期を取り上げ、「急変する国際情勢の中で危うい国家主権を守るために、皇帝権を媒介に上から近代的改革を通じて対外的に自主独立を強化し、内在的に国民が中心となる国家を建設することを目標にした」と記述した。大韓帝国が近代的改革と国権守護のために努力し、成果もあったという点を強調したのだ。
 最新の教材はまた、安重根(アン・ジュングン)義士のハルビン義挙と洪範図(ホン・ボムド)将軍を筆頭にした全国的な抗日義兵運動と関連した内容も削除した。
 2019年の教材は「1907年から1910年に至るまで義兵の交戦回数は3500回余りに達し、義兵戦争に参加した義兵は15万人に達する」、「義兵戦死者は1万7000人余り、負傷者は3万6000人余りに達し、義兵戦争の熾烈さを確認できる」という内容を二つの段落にかけて詳しく紹介したが、このような内容が今回の教材では全て抜けているのだ。
 教材が公開された後、「日本の顔色をうかがうために抗日独立運動を縮小したのではないか」という批判が出た。民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長は「教材のこのような記述は『私たちが弱小国だったため、植民地にならざるを得なかった』とし、韓国に対する日帝植民支配を正当化する典型的な植民主義史観」だと批判した。
 国防部は「決して同意できない」と反論した。国防部関係者は「基本教材は歴史書ではない」としたうえで、「以前の教材は個別事件と人物を共に記述したものだが、今回の教材は将兵たちが必ず知っておくべき核心内容を説明する形で執筆したもの」と釈明した。さらに「今回の教材も独立運動の歴史と大韓帝国、抗日義兵、独立軍、光復軍の活躍を将兵が十分に理解できるように記述しており、(抗日独立運動が)国軍の精神的な土台であることを明確にした」と述べた。

シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
韓国語原文入力:2024-09-05 20:49
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韓国裁判所、西松建設の「強制動員賠償責任」を初めて認める

2024年09月07日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「The Hankyoreh」 2024-09-06 07:00
■韓国裁判所、西松建設の「強制動員賠償責任」を初めて認める

【写真】遺族を代理したイ・ヒョンジュン弁護士(法務法人徳寿)と民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長が5日、ソウル中央地裁西館前で記者会見を行っている=チャン・ヒョヌン記者//ハンギョレ新聞社

 韓国裁判所が日帝強占領期(日本による植民地時代)に朝鮮人たちを強制労役に動員した戦犯企業「西松建設」の損害賠償責任を初めて認めた。
 ソウル高裁民事16部(キム・インギョム裁判長)は、強制動員被害者のK氏の遺族5人が西松建設を相手取って起こした損害賠償訴訟で、西松建設に7300万ウォン(約780万円)の支払いを命じ、原告一部勝訴の判決を言い渡した。
 K氏は日帝強占領期に強制動員され咸鏡北道扶寧郡(プリョングン)の西松の工事現場で働き、1944年5月に死亡しており、遺族たちは2019年に西松建設を相手に1億ウォン(約1070万円)を請求する訴訟を起こした。これに対し、1審裁判部は、損害賠償を請求できる権利時効(消滅時効)から3年が過ぎたとして、原告敗訴判決を言い渡したが、控訴審はこれを覆した。昨年12月、最高裁(大法院)が強制動員被害者と遺族たちが日本製鉄と三菱重工業を相手に起こした損害賠償請求訴訟で、原告勝訴判決を言い渡す際、消滅時効の計算基準を2018年10月30日と明示してから、この判例に従う判決が相次いでいる。裁判所は同日、「被告(西松建設)は原告のP氏(配偶者)に2000万ウォン(約210万円)、K氏など4人(子ども)にそれぞれ1333万ウォン(約140万円)を支給せよ」と判決を下した。
 西松建設は日本を代表する土木企業で、三菱建設や日本製鉄などとともに戦犯企業に挙げられる。最高裁が消滅時効をめぐる争点を整理した後、三菱建設と日本製鉄を相手取った損害賠償責任を認める判決は出たが、西松建設を相手にした勝訴判決は今回が初めて。西松建設は2007年、日本の最高裁判所が中国の強制動員労働者500人余りに和解を勧告したことを受け、謝罪し金銭的な補償を行った。
 遺族を代理したイ・ヒョンジュン弁護士(法務法人徳寿)は同日の判決後の記者会見で、「西松建設は2009年と2019年に中国の強制動員被害者には補償をしたにもかかわらず、韓国の被害者に対しては依然として法律上抗弁をしながら責任を回避している」とし、「西松建設に対する賠償責任が初めて認められたことに意味がある」と語った。民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長は「西松建設は日本の植民地時代、中国と北朝鮮地域の大規模土木工事で成長した企業だ。中国の被害者に和解を通じて謝罪し補償したように、韓国の被害者にも謝罪し賠償しなければならない」とし、「他の事件の被害者の方々の中には、企業側が控訴状の送達を故意に遅らせている事例もある。韓国政府は日本政府に抗議し、外交的保護権を行使しなければならない」と話した。
チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-09-05 14:28


「The Hankyoreh」 2024-09-01 22:51
■強制動員被害者の遺族、「佐渡鉱山」戦犯企業にまたも勝訴

【写真】日帝による強制動員期、炭坑に入る前に精神講話を聞いている朝鮮人労働者たち=三千里提供//ハンギョレ新聞社

 日帝強制動員の被害者の遺族たちが、佐渡鉱山などを経営していた日本の戦犯企業「三菱マテリアル(旧三菱鉱業)」を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で、一部勝訴した。昨年、最高裁が強制動員に対する損害賠償請求の消滅時効基準を2018年10月30日と明示してから、被害者側の勝訴判決が相次いでいる。
 ソウル中央地裁民事36単独のイ・ジェウン部長判事は30日、Hさん、Lさんら5人の被害者が起こした損害賠償請求訴訟で、Hさんに2727万ウォン(約298万円)あまり、Lさんら4人に1人当たり1818万ウォン(約198万円)を支払うよう被告に命じる原告一部勝訴の判決を下した。
 最高裁は強制労働の被害者と遺族たちが日本製鉄と三菱重工を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で昨年12月に原告勝訴判決を下した際、消滅時効の計算基準を、強制動員の被害者たちの慰謝料は1965年の韓日請求権協定に含まれていないとの結論が最高裁全員合議体によって下された2018年10月30日であると明示した。被害者が日本企業の不法行為に対する損害賠償を請求する権利が自身にあることを知ったのは、2018年の最高裁全員合議体判決によってであると判断したのだ。その後、下級審もこれを基準として判決を下している。ただし日本企業側は韓国の裁判所で被害者勝訴の判決が下されても賠償を拒否しており、実際に賠償が実現するかは未知数だ。
 今回の事件の被害者たちが訴訟を起こしたのは2019年3月で、消滅時効に関する最高裁の結論を待つために期日未定(追って指定)状態で2年間弁論が延期されていた。
 三菱グループは日帝強占期に軍需産業を足場に急成長し、その際に10万人あまりの朝鮮人を強制動員したと推定される、代表的な日本の戦犯企業だ。三菱グループに属する三菱鉱業はかつて日本現地で27カ所、朝鮮半島で37カ所の作業場などを経営していた。その中には軍艦島や佐渡鉱山なども含まれている。佐渡鉱山は今年7月にユネスコ世界遺産に登録されたが、韓国政府もこれに賛成し、物議を醸している。
キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-08-30 11:38 


「聯合ニュース」 2024.08.30 13:27
■徴用訴訟 また日本企業に賠償命じる判決=韓国地裁
【ソウル聯合ニュース】韓国のソウル中央地裁は30日、日本による植民地時代に強制徴用された韓国人被害者5人が三菱マテリアル(旧三菱鉱業)を相手取って起こした損害賠償訴訟で、原告のうち1人に約2700万ウォン(約290万円)、残りの4人にそれぞれ約1800万ウォンを支払うよう命じる判決を言い渡した。

【写真】徴用被害者が起こした訴訟で日本企業に損害賠償を命じる判決が言い渡された=(聯合ニュースTV)

 裁判所は、大法院(最高裁)の全員合議体による判決で徴用被害者の司法による救済が可能になった2018年10月30日を損害賠償請求権の消滅時効の起算点にすべきと判断したとみられる。
 大法院は昨年12月、18年の判決が言い渡されるまでは被害者が損害賠償の請求権を行使できない「障害理由」があったとする判断を示した。その後、徴用被害者の請求権を認めた判決が相次いで言い渡されている。


「The Hankyoreh」 2024-08-30 07:11
■強制動員の被害者と遺族、破産した戦犯企業を相手取った損害賠償訴訟で勝訴

【写真】日帝強占期に北海道炭礦汽船が北海道で経営していた夕張鉱業所に強制動員されたパク・キチュさんは、崩落事故で死亡。写真はその際に日本から送られてきた弔慰状=日帝強制動員市民の会提供//ハンギョレ新聞社

 日帝強占期に強制動員された被害者とその遺族たちが、戦争犯罪企業の北海道炭礦汽船を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で勝訴した。
 光州(クァンジュ)地方裁判所第14民事部(ナ・ギョン裁判長)は29日、日本による強制動員の被害者のチョ・ドンソンさん(99)とその他の13人の被害者の遺族に対して1200万~5000万ウォン(約130万~545万円)の賠償金を支払うよう北海道炭礦汽船に命ずる判決を下した。
 北海道炭礦汽船は北海道で夕張、平和、幌内、空知、天塩などの複数の炭鉱を経営し、3万3000人あまりの朝鮮人を強制動員した戦犯企業だ。
 原告被害者のうち5人は崩落事故などで現地で死亡し、残りの被害者も呼吸器疾患、関節疾患に生涯悩まされた。
 全羅南道麗川(ヨチョン)で農業を営んでいた故キム・ヨンイルさん(1898~1943)は、44歳だった1942年12月に4人の子どもを故郷に残して夕張鉱業所に強制徴用され、翌年7月に死亡した。死亡理由は分かっておらず、崩落事故と推定される。パク・キチュさんも1943年4月に夕張鉱業所で崩落事故で命を落とした。
 イ・ナムグォンさんは、1942年1月から1943年9月まで北海道の万字炭鉱で働かされ、目を負傷して視力を失うなど、日本から帰還した被害者も苦しみの中で生涯を送った。
 ただ、北海道炭礦汽船は石炭産業の衰退で1995年に会社更生法の適用を申請して事実上倒産しており、2005年に会社更生手続きが完了しているものの、企業名のみが名目上残っているに過ぎないため、原告が補償を受けるには困難が伴うとみられる。
 強制動員市民の会のイ・グゴン代表は、「原告は補償というより強制動員の被害を認めさせ、司法的記録を歴史に残すために訴訟を起こした」として、「強制動員被害者の切なる心情を韓国政府には読み取ってほしい」と話した。
キム・ヨンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-08-29 16:34


「The Hankyoreh」 2024-08-29 08:08
■強制動員被害者、国相手の「韓日請求権資金」訴訟で敗訴
 日本から受け取った資金のうち、被害者の分を請求する訴訟 
 韓国裁判所「日本相手の個人請求権は消滅していない」

【写真】日帝による強制動員で集められ、炭坑に入る前に精神講話を聞いている朝鮮人労働者たちの姿=三千里提供//ハンギョレ新聞社

 日帝強占期(日本による植民地時代)の強制動員被害者と遺族が、1965年の韓日請求権協定で日本から受け取った資金のうち、個人の分を求めて国を相手取って起こした訴訟で敗訴した。最高裁(大法院)が2018年、「強制動員被害者の損害賠償請求権は韓日請求権協定で消えていない」と判断したことを受け、賠償をめぐり日本と争うべきという趣旨だ。だが、現在日本の企業らは関連訴訟で敗訴したにもかかわらず、損害賠償金の支払いを拒否している。
 28日、ソウル中央地裁民事合議15部(チェ・ギュヨン裁判長)は、日帝強制動員被害者遺族のA氏など6人が大韓民国を相手取って起こした損害賠償訴訟で、原告敗訴の判決を言い渡した。
 強制動員被害真相究明などに関する特別法により強制動員被害者に認定された人の遺族であるA氏らは2017年、「韓国政府が1965年に韓日請求権協定を締結したことにより、原告らが直接日本または日本企業に対して強制動員被害に関する損害賠償請求ができなくなった。この協定により(日本から)請求権資金を支給されて以降は経済発展事業などに消費し、原告らに支給しなかった」と主張し、国に対し損害賠償訴訟を起こした。韓国は当時、無償援助3億ドルなどを受け取ったのだから、強制動員被害者の分として支給されるべき金を返してほしいという趣旨だ。
 しかし、裁判所は賠償をめぐり争う相手は日本企業だという理由で請求を棄却した。裁判所は「最高裁は2018年に全員合議体判決で、強制動員被害者の日本企業に対する慰謝料請求権は請求権協定適用対象に含まれないという法的見解を最終的に示した」とし、「原告らの(日本企業に対する)損害賠償請求権は消滅していない」と判決を下した。同日、同裁判所の民事合議45部(キム・ギョンス裁判長)も、被害者と遺族10人が国を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で、同じ趣旨で原告敗訴の判決を言い渡した。
 一方、2018年に最高裁の全員合議体の判断が出たにもかかわらず、日本企業は損害賠償金の支払いを拒否している。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は「第三者弁済」の形で被害者に賠償金を支給するという対策を出したが、被害者は強く反発し賠償金の受領を拒否している。
チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-08-28 20:46


「The Hankyoreh」 2024-08-28 07:52
■日帝強制労働被害者の遺族、三菱鉱業を相手取った損害賠償訴訟で一部勝訴

【絵】日帝強占期に三菱鉱業が運営する福岡県の上山田炭鉱に強制動員された故イ・サンオプさんが生前、被害状況を鉛筆で描いた絵=日帝強制動員市民の会提供//ハンギョレ新聞社

 最近、佐渡鉱山(佐渡島の金山)が「朝鮮人強制動員」を削除してユネスコ世界遺産に登録され物議を醸した中、佐渡鉱山を運営していた日本の戦犯企業による強制動員の被害者の遺族たちが損害賠償訴訟で一部勝訴した。
 光州(クァンジュ)地方裁判所11民事部(ユ・サンホ裁判長)は27日、被害者の9人の遺族が三菱マテリアル(旧三菱鉱業)を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で、原告一部勝訴の判決を下した。
 同地裁は、原告のうち6人については日本による強制動員の被害を認め、三菱マテリアルに対し、4人に各1億ウォン(約1080万円)、残る2人にそれぞれ1666万ウォン(約180万円)、7647万ウォン(約828万円)を支払うよう命ずる判決を下した。残る3人の遺族の請求は棄却した。
 今回の訴訟は2020年1月に起こされたが、公文書の送達遅延や三菱マテリアル側の頻繁な期日変更などで、判決までに4年7カ月かかった。
 被害者たちは日帝強占期に三菱鉱業が運営していた鉱山に強制動員され、賃金を受け取れないまま厳しい労役に苦しめられた。三菱鉱業は、日本政府が強制動員の内容を削除してユネスコ世界遺産に先日登録した佐渡鉱山をはじめ、日本各地で鉱山を運営していた。ただし、今回の訴訟の原告に佐渡鉱山の被害者の遺族はいない。
 訴訟で原告を支援してきた日帝強制動員市民の会のイ・グゴン理事長は、「佐渡鉱山が波紋を広げている状況で、韓国司法が三菱鉱業に対して司法判断を下したことは大きな意味がある」と話した。
キム・ヨンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-08-27 16:00


「The Hankyoreh」 2024-08-23 07:18
■韓国裁判所「日本製鉄は強制動員遺族に賠償せよ」…1審覆し責任認める
 消滅時効の開始点、最高裁判所の判例に従う

【写真】貝島大之浦炭鉱で働く朝鮮人鉱夫=行政安全部提供//ハンギョレ新聞社

 戦犯企業の日本製鉄を相手取った損害賠償訴訟で、韓国の裁判所が相次いで強制動員被害者遺族たちの主張を認めた。1審では消滅時効が過ぎたという理由で原告敗訴の判決が言い渡されたが、控訴審では異なる判断を示した。
 ソウル中央地裁民事控訴7-1部(キム・ヨンファ裁判長)は22日、新日鐵住金(現日本製鉄株式会社)に強制動員され死亡したMさんの遺族5人が会社を相手取って起こした損害賠償訴訟で、「日本製鉄は遺族に8000万ウォン(約870万円)を賠償せよ」と判決を下した。Mさんは1942年2月9日、釜石製鉄所に連れて行かれ強制労働に動員されたが、同年7月14日に逃げ出した。原告であるMさんの子どもたちは、1989年に亡くなったMさんに代わって2019年4月、日本製鉄を相手に損害賠償訴訟を提起した。
 1審の争点は、遺族が損害賠償を請求できる消滅時効がいつ始まったとみるべきかだった。民法は被害者が損害あるいは加害者を知った日から3年以内に損害賠償を請求しなければ請求権が消滅すると定めている。これに先立ち、強制労働被害者4人は日本製鉄を相手に2005年に国内の裁判所で訴訟を起こし、2審で敗訴したが、2012年5月に最高裁(大法院)で破棄差し戻されたのち、2018年10月の再上告審で勝訴が確定した。遺族たちはこの事件が確定した2018年の最高裁の全員合議体の判決を消滅時効の開始点だと主張。一方、日本製鉄側は最高裁が被害者勝訴の趣旨で事件を破棄差し戻した2012年を損害賠償請求権発生時点とみなすべきだと主張した。1審裁判所は日本製鉄の主張を認めた。ところが、控訴審裁判所はこの日、1審の消滅時効満了の主張を覆して原告勝訴を言い渡した。同日、同裁判所の民事控訴6-2部(裁判長チ・サンモク)も、強制労働被害者のCさんの子ども4人が、日本製鉄を相手取って起こした損害賠償訴訟で、日本製鉄に1億ウォン(約1090万円)の賠償金の支給を明示、1審の判断を覆した。

【写真】22日、ソウル中央地裁第1別館の前で、強制動員被害者訴訟代理人団と民族問題研究所が一緒に記者会見を行っている=チャン・ヒョヌン記者//ハンギョレ新聞社

 強制労働被害者と遺族たちが日本製鉄と三菱重工業を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で、昨年12月に最高裁が原告勝訴判決を言い渡す際、消滅時効の計算基準を2018年10月30日と明示してからは、最近裁判所はこのような趣旨で日本企業の賠償責任を認めている。原告を代理したイ・サンヒ弁護士(法務法人チヒャン)は同日、判決後の記者会見で、「被害者の方々が亡くなったため、具体的な被害内容を直接肉声で裁判所に伝えることができず、訴訟が難しかった。日本製鉄もやはりそのような点を利用して不法行為の事実そのものを否定してきた」とし、「製鉄所で働いた人たちが残した資料と、被害者が働いているうちに逃げ出したという記録などを総合して過酷行為を立証し、総合的に損害賠償責任が認められたと思う」と語った。さらに「両事件ともに1審で消滅時効に関して前向きな判断をしてほしいと求めたが認められず、幸いにも昨年末に最高裁で判決が出て、2審で勝訴判決を勝ち取ることができた」と付け加えた。民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長は「日本製鉄に対する強制動員の請求書が溜まっている。強制執行について話し合い、強制動員企業が最高裁の判決に従って謝罪し賠償するよう要求し続ける」とし、「政府はあたかも第三者弁済で(賠償問題が)終わったかのように語っているが、このような判決は続くだろう。政府は判決履行のために努力しなければならない」と述べた。

チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-08-22 20:37
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「「韓国国家人権委員長候補、宗教の自由と嫌悪を混同」候補辞退の要求広がる」

2024年09月07日 | 韓国で
「The Hankyoreh」 2024-09-05 10:24
■「韓国国家人権委員長候補、宗教の自由と嫌悪を混同」候補辞退の要求広がる
 聴聞会の後、宗教・学界から反対の声 
チェ・ヨンエ元人権委員長「資格不足」 
 人権委内部でも「虚脱、心配、怒り」

【写真】アン・チャンホ国家人権委員長候補が3日午前、ソウル汝矣島の国会で開かれた人事聴聞会に出席し、委員たちに向かって挨拶をしている=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 国家人権委員長候補であるアン・チャンホ氏に対する国会での人事聴聞会後、不適格な人物であることが確認されたとし、アン氏の辞退を求める声がさらに高まっている。保守プロテスタントの理念をもって嫌悪と差別を正当化しながら公職を遂行しようとしているという点で、大韓民国憲法が定めた政教分離の原則まで損なうという批判が強い。
 性的マイノリティの祝福祈祷をしたという理由でキリスト教メソジストから破門されたイ・ドンファン牧師は、アン候補者の人事聴聞会を見た後、「誰かの人権を抑圧する宗教の自由はありえない」ときっぱりと述べた。イ牧師は4日、ハンギョレとの電話インタビューで「(アン候補は)プロテスタント内でも非常に原理主義的で極右的で差別的な考えを持つごく少数の人物」だとし、「宗教の自由と嫌悪の境界を混同する人物が、マイノリティの人権について敏感な感覚を持たなければならない人権委員長に任命されるのは、深刻な問題」だと述べた。また、「宗教の論理において神は完璧な方だが、神が創造された性的マイノリティをどうして間違った存在だと言えるのか疑問だ。聖書を時代的流れに合わせて解釈しなければならないのに、(アン候補者のように)選択的に引用するのは悪意的」だと批判した。
 イ牧師は、アン候補が公職に挑むのを契機に「政教分離の境界を議論するタイミング」だと強調した。公的な場で宗教的偏向性を露骨に表わすアン候補の行動こそ「宗教の自由」という憲法の価値を害しうるという話だ。イ牧師は「宗教的信念が『宗教の自由』を装って公的な場に出てきて、世俗法の人権観念に悪影響を及ぼすのが受け入れられること自体が問題だ」と語った。
 建国大学法学専門大学院のハン・サンヒ教授も、アン候補を「民主共和国というアイデンティティを否定する人」だとし、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が好む表現で言えば『反国家勢力』だ」と述べた。ハン教授は人権委員長の公募に志願していたが、「人権委員会の存在自体のために闘う」として辞退した。ハン教授は、アン候補が進化論を否定し、性的マイノリティ問題を憲法・人権の論理ではなく一部の宗派の意見から眺め、「韓国を世俗国家ではなく宗教国家、神政国家にしようとする考え」を持っていると語った。また「(アン候補は)憲法に忠誠を尽くさなければならず、国民全体の利益に奉仕しなければならない公務員としての基本的な資質に欠けている人」だと述べた。
 人権委の初代事務総長(2002~2004)と常任委員(2004~2007)、8代委員長(2018~2021)を務めたチェ・ヨンエ元委員長は「(聴聞会での)発言の時、(アン候補の)表情を見たが、はばかることなく堂々としていた。あきれて絶望的だった。アン候補は資格不足だ」と述べた。チェ元委員長は「人権委では委員長の哲学と規範、価値が非常に重要だ。(それなのに)差別禁止法や性的マイノリティに対する考えはもちろん、女性の服装を性犯罪を起こす要因にあげるなど、韓国社会がこれまで克服するために努力してきた社会的基準をなにからなにまで全て後退させるようだ」と憂慮を示した。
 前日、人権委の内部掲示板には「マイノリティを非難する権利が表現の自由なのか疑問」「進化論・創造論、両方とも信仰の問題だという。どこからあんな人を連れてきたのか」「神が人間を創造したとすれば、韓国の出生率を心配せずに泥をどうやってうまく供給するかの問題だけを解決すればいいではないか」と投稿された。「人事聴聞会でまで加減なく発言するとは思わなかった」として当惑を越えて怒りを感じ、「アン・チャンホ人権委」体制を心配しているようすだ。特に、尹大統領に関連する人権侵害懸案に対してはアン候補者が口を閉ざしたことに、職員のAさんは「大統領や政権に対する顔色まで伺いそうでかなり心配だ」と言った。Bさんは「性的マイノリティの人権保護業務と平等法(包括的差別禁止法)業務が麻痺する可能性が大きく、政治的に敏感なイシューに対する人権的対応が縮小されると思われる」とし、「人権保護業務ではなく親政府擁護委員会に転落しかねない」と懸念を示した。Cさんは「職員たちの間では虚脱、あきらめ、心配、怒りの感情が入り混じっている。人権委が存在感の弱い行政機関のようになりそうだ」と述べた。
 市民社会はアン候補の指名撤回と辞退を要求した。35の人権・市民社会団体が参加した「国家人権委員会を正す改正共同行動」と「差別禁止法制定連帯」はこの日、国会前で記者会見を行い、「国会人事聴聞会は、アン候補が国家人権委員会の委員長としてふさわしい人物なのかに対する評価以前に、どうしてこのような観点を持った人が憲法裁判官まで務められたのかに対する疑問が生じるほど衝撃的だった」と評価した。続けて「アン候補は性的マイノリティや労働者をはじめとする私たちの社会的少数者の権利を無視し、人権委で人権を消すことの先頭に立つ人物」だとし、「アン候補に対する指名は直ちに撤回されるべきだ」と強調した。
コ・ギョンテ、イ・ジヘ、イム・ジェヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
韓国語原文入力:2024-09-05 07:12


「The Hankyoreh」 2024-09-04 11:11
■ニューライトの国家構想は実現するか=韓国【寄稿】
 尹錫悦政権は総体的退行の政治を最もあからさまに具現している。その理由は、最高権力者である大統領が指導者としての哲学と道徳的深さのない精神的真空状態で、右翼勢力が大統領の力を借りて彼らの国家構想をありのまま具現できるためだ。理念の「意味も分からない」のに、「最も重要なのは理念」だと主張する大統領の存在は、教祖的理念勢力にとって最高の政治的チャンスだ。 

 シン・ジヌク|中央大学社会学科教授

【写真】先月15日、大学生歴史サークル連合が政府の光復節慶祝式が行われたソウル鍾路区世宗文化会館前で「ニューライト系人物の登用、屈辱的歴史外交を拒否する大学生記者会見」を行っている=コ・ギョンジュ記者//ハンギョレ新聞社

 最近激しかったニューライト、親日(編集者注:附日行為。日本統治時代に日本帝国に加担・協力した反民族行為)をめぐる議論を機に、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権のこれまでの歩みと言説、人的構成を振り返ってみて、明らかになったことがある。この事案は単に独立記念館長や雇用労働部長官など数人の個人的な認識の問題ではなく、ニューライトをはじめとする韓国右翼勢力が夢見てきた国家構想が、尹錫悦政権を通じて現実化されるかどうかの問題であるということだ。
 ニューライトは広範な右翼運動であり、対外政策や政治、経済、労働、歴史解釈、教育など多くの議題で右派国家構想を確立し進めてきた。初期の団体の中ではのちに姿を消したものも多かったが、その核心勢力は多くの右翼団体で活動しており、社会の制度権力を握っている。
 一部ではニューライトを親日団体と同一視する見方もあるが、ニューライトは非常に多様な団体を含む。最大組織だったニューライト全国連合には地域組織と傘下機関、職能組織まで所属しており、一方で自由主義連帯、北朝鮮民主化ネットワーク、ニューライトシンクネット、教科書フォーラム、韓国キリスト教改革運動などとも連携している。また、正しい社会市民会議、自由企業院、韓半島先進化財団など多くの主要団体が今も活動している。
 ニューライトには保守の革新を模索し、中道保守を志向する流れもあったが、結局主導権を握ったのは極右派だった。彼らの理念と路線をまとめてみると、対外関係においては韓米日同盟と反北朝鮮・吸収統一論、政治においては自由民主主義を掲げた反共権威主義、経済においては親企業・反労働自由市場経済論、歴史においては植民地近代化論と李承晩(イ・スンマン)・朴正煕(パク・チョンヒ)再評価論に要約できる。この四本柱の枠組みに尹錫悦政権の2年半を重ねてみると、多くの部分が一致する。
 ならば、ニューライトは果たして「ニュー」なのか?
 「新しさ」を前面に掲げた名前からして、漠然と「オールドライト」と対比を成しているように思われるかもしれないが、実際には理念と談論、人的構成の面で共通点と連続性の方が多い。したがって、特定のニューライト団体だけを切り離して見るのではなく、ニュー・オールドライトを網羅する右翼勢力の人的、組織的つながりを総体的な観点から見なければならない。
 オールドライトの代表事例は保守プロテスタント団体と反共・反北朝鮮団体だ。ニューライトが成長した時期に韓国キリスト教総連合会、韓国自由総連盟、反核反金国民協議会、親北朝鮮左翼撲滅国民行動本部など「オールドライト」の団体も非常に活発で、海兵戦友会、在郷軍人会、枯葉剤戦友会など退役軍人組織も政治化された。多くのニューライト団体は、彼らと理念や談論の親和性が高いだけでなく、しばしば一緒に行動し、特に保守プロテスタントとは人的な面でも多く重なる。
 ニューライトとオールドライトを結ぶイデオロギーの中心概念は「自由民主主義」と「自由市場経済」であり、それと対になる概念の「北朝鮮追従、親北」、「反国家勢力」、「共産全体主義」などは反対勢力に対する暴力を鼓舞、正当化する言説だ。
 朝鮮半島の平和に言及しても、労働者権利、福祉拡大、企業規制、総合不動産税に触れても、全て「共産主義」、「自由民主主義の敵」となる。そのような形で資本の支配、政治的独裁、帝国主義と植民主義がつながる。
 このようにニューライト、オールドライトが共同のアイデンティティとイデオロギーを発展させ、共に活発に動き出した理由は何だろうか。
 その答えは、民主化による危機意識にある。1987年に韓国で独裁が崩壊した後、1997年に金大中(キム・デジュン)大統領が、2002年に盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が当選した。2004年には盧大統領の弾劾が失敗し、総選挙で開かれたウリ党が過半数の議席を獲得し、ハンナラ党が「テント政党」に転落した。右翼たちが立ち上がった背景だ。
 この状況が意味するのは、長い独裁の間、揺ぎなく続いてきた財閥、金持ち、官僚、軍部、宗教財団の特権と利益がもはや国家権力によって守られないということだ。彼らと同等な位置に立つことができなかった市民が民主的権利を享受して変化を起こし始めると、既得権層は彼らの利益のために自ら組織し、理念で武装し、政治に乗り出さざるを得なくなった。これら右翼団体の本質は、民主化後に脅かされる旧体制と既得権を守り抜く戦いにある。
 尹錫悦政権は総体的退行の政治を最もあからさまに具現している。その理由は、最高権力者である大統領が指導者としての哲学と道徳的深さのない精神的真空状態で、右翼勢力が大統領の力を借りて、彼らの国家構想をありのまま具現できるためだ。理念の「意味も分からない」のに、「最も重要なのは理念」だと主張する大統領の存在は、教祖的理念勢力にとって最高の政治的チャンスだ。
 実際、尹錫悦政権には発足当初から右翼団体の中心人物が権力の中心に布陣していた。尹大統領の側近中の側近であるチャン・ジェウォン前国民の力議員やクォン・ソンドン議員などは、いずれも影響力のあるニューライト組織の代表だった。キム・テヒョ国家安保室第1次長、キム・ヨンホ統一部長官、ハン・オソプ元政務首席秘書官も、ニューライトやその他右翼団体のメンバーだった。
 権力機関だけでなく、人々の意識に影響を及ぼす放送、歴史、教育分野の政府委員会の首長もニューライトの人々で埋め尽くされた。イ・ドングァン前放送通信委員長は「東亜日報」で「ニューライト」という用語を大衆化した人物であり、キム・ナクニョン韓国学中央研究院長、ホ・ドンヒョン国史編纂委員長、イ・ベヨン国家教育委員長などはいずれも植民地近代化論者であり、教科書フォーラムのメンバーだった。
 このような状況は、韓国の未来に甚大な影響を及ぼしかねない。国家は国全体に影響を及ぼす決定を下し、資源を配分する公的権限と権力を持つ唯一の組織だ。その組織のトップが反民族的、反民主的、反民衆的集団の手に入れば、彼らがたとえ少数であっても社会の制度とシステムが急速に緩み、歪曲される恐れがある。
 さらに深く懸念されるのは、社会の根本的価値に対する脅威だ。「慰安婦」は自発的売春であり、植民支配と独裁で豊かに暮らせるようになっており、民主化運動の背後に北朝鮮があり、ストライキする労働者は国家の敵であるという言説は、人間の尊厳に対する冒涜、主権と民主主義の蔑視、自由と平等の否定だ。それを何気なく言える状況こそが真の危機だ。
 極右の主流化で最も大きな危険は、私たちがそれに慣れてしまうことだ。最初は想像もできなかったことが、次第に一つの意見になり、時間が経てば常識になる。社会がそこに至ると、希望の光を見出すことは難しい。韓国社会はどこまで来ているのだろうか。
 もしあなたと私がこの現実に怒りと侮辱を感じるならば、私たちにはまだこの社会を守る力とプライドがあるのだ。

シン・ジヌク|中央大学社会学科教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-09-03 19:58


「The Hankyoreh」 2024-09-04 09:38
■【社説】ニューライトの執筆した韓国史教科書、歴史歪曲の懸念が強い

【写真】韓国学力評価院の高校の韓国史教科書に出てくる李承晩元大統領関連の部分。同教科書は「光復後、韓国の歴史に影響を与えた人物7人」を掲載したが、李承晩元大統領の写真を1番目に載せた/聯合ニュース

 来年3月から高校生が使用する韓国史の検定教科書のうち、ニューライト系の執筆陣が書いた教科書をめぐり、「歴史歪曲」だとして波紋が広がっている。日本軍「慰安婦」問題を縮小し、独裁政権を擁護しようとする意図が大いにあるためだ。しかも、イ・ジュホ教育部長官の青年補佐役がこの教科書の執筆陣に含まれていたとするメディア報道もなされた。教育部は沈黙で一貫している場合ではない。
 教育部は最近、新しい教育過程にともなう小中高の検定教科書の審査結果を官報に掲載した。問題になった教科書は、韓国学力評価院の韓国史の教科書だ。この出版社は今回初めて歴史教科書検定を通ったが、韓国近現代史の人物と事件を叙述した「韓国史2」の内容が他の教科書と大きな違いをみせている。日本軍「慰安婦」については、性搾取に関する具体的な言及の代わりに、「若い女性たちを中国や東南アジアなどの地に連れて行き、むごい生活をさせた」と記した。他の教科書に比べ「慰安婦」問題に関する説明を減らし、表現も可能な限り抽象的に書いている。また、李承晩(イ・スンマン)元大統領を大きく取り扱い、「独裁政権」という表現の代わりに「長期政権」についたと叙述するかと思えば、朴槿恵(パク・クネ)政権の国政壟断事件は「民間人の国政介入疑惑」と書き、その意味を希釈させた。
 特に執筆陣の偏向した歴史認識は、教科書の執筆を引き受けてはならないほどきわめて不適切な水準だ。彼らはかつて学術セミナーなどを通じて、「自由党政権と軍人政権の時期の政策によって、民間人が負傷・死亡することになった痛ましい過去を示すことができずもどかしかった」、「日本は強者であり悪漢国であり、朝鮮は弱くて善良な国だとする図式の二分法で書いた自己憐憫の叙述」だと主張するかたちで、既存の教科書を問題にした。韓国学力評価院の「韓国史1」の教科書は、過去の国定教科書の一部を盗作したという疑惑まであがった。これに先立ち、従業員が6人しかいない当出版社の執筆能力に疑問が提起されたことがあるが、実際に不十分な執筆だとする論議につながったのだ。
 教育部は、検定過程で政府が出版社に修正要求をした部分があるか、反映された部分があるかなどについては、公開しない方針だという。教育部長官の青年補佐役は、昨年教育部に提出する前の教科書の草稿にだけ関与したと釈明したことがあるが、先月21日に執筆陣から外れた事実も新たに判明した。教育部は今回の検定過程で提起された懸念と疑惑について、国民が納得できるように答えなければならない。
(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-09-03 06:49
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「韓国光復会長「病んでいる龍山…大改革しない限り、尹大統領の失言続く」」

2024年09月07日 | 韓国で
「The Hankyoreh」 2024-09-05 07:11
■韓国光復会長「病んでいる龍山…大改革しない限り、尹大統領の失言続く」

【写真】イ・ジョンチャン光復会長が先月15日、ソウル龍山区の白凡金九記念館で開かれた光復会主催の光復節記念式典で、記念演説をしている/聯合ニュース

 イ・ジョンチャン光復会長は3日、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が就任してからしょっちゅう不適切な発言をしてきたが、それは『龍山(ヨンサン・大統領室)』が病んでいるという意味」だと、「龍山に大々的に改革しない限り、これからも失言を続けるだろう」と述べた。
 イ会長はこの日、ソウル汝矣島(ヨイド)のある飲食店で行った記者懇談会で、先月29日に尹大統領が国政ブリーフィング後に開いた記者会見で「私たちが独立戦争をして解放を迎え光復を手に入れたわけではないのではないか」と述べたのは、「国家元首として失言をしたこと」だとし、このように語った。この発言をはじめ、尹大統領が最近「親日・歴史観」をめぐり物議を醸す発言をしているのは、大統領室の参謀たちがきちんと補佐できていないためだと指摘したのだ。
 イ会長はこれと関連し、「第二次世界大戦当時、ノルマンディー上陸作戦を連合国が行ったからとして、『連合国がフランスを解放させた』とは言わない。『シャルル・ド・ゴール大統領がフランスを解放した』という。一部では『泥棒のように解放が訪れた』という人もいるが、どうやって解放が泥棒のように訪れるのか。それはありえないことだ」とし、「(にもかかわらず)大統領がそのような話をするのをみると、補佐官たちがきちんと仕事をしていないようだ」とも述べた。
 イ会長は特に、チョン・ジンソク大統領秘書室長が国会運営委員会に出席し、キム・ムンス雇用部長官が「日帝時代の先祖の国籍は日本」だと発言したことに対して、「多様な歴史観があり得る」と擁護したことを取り上げ、「それは妄言であり、(チョン室長は)室長の資格がない人」だとも語った。
 これに先立ちイ会長は先月20日、光復節記念式典への出席を見送ってから起きた状況について所感を綴った7ページの文書で立場を表明し、「龍山に日本帝国時代の密偵の影が見える」として、大統領室の人的清算の必要性を訴えた。
 一方、イ会長は記者懇談会で李承晩(イ・スンマン)元大統領に対する保守陣営の見方についても苦言を呈した。イ会長は李元大統領が1948年8月15日に行った「大韓民国政府樹立国民祝賀式典」の演説を取り上げ、「李大統領は『東洋の古代国家の一つである大韓民国政府が(主権を)取り戻して』と述べた。大韓民国政府が新生共和国ではなく、5千年の歴史を持っているという意味」だとし、「だから1948年に大韓民国を建国したという話は李元大統領を軽蔑する論理だ。李承晩に対する侮辱だと思う」と語った。イ会長は1日、李承晩大統領記念財団理事長を務めるキム・ファンシク元首相宛てに「李承晩元大統領を建国大統領とみなしてはならない」という趣旨の手紙を送ったと伝えた。
シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-09-03 17:53


「The Hankyoreh」 2024-09-05 08:03
■韓国人権委員長候補、聴聞会で「創造論は信仰の問題」…内部掲示板では非難殺到

【写真】アン・チャンホ国家人権委員長候補が3日、国会人事聴聞会に出席し、発言している=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 「『熟考して民主的な手続きに則って決定する』→しないという話を何であんな風に。元憲法裁判官らしい。いやらしく高尚に言う」。
 「『マイノリティーの権利を保障することによってマジョリティーが人権を侵害される状況は認められないとの立場』→一見合理的発言のようだが、『マジョリティーの人権が侵害される状況』というのが何を意味するのか分からない。表現の自由の話をしているようだが、マイノリティーを非難する権利が表現の自由なのかは疑問だ」
 「進化論・創造論はどちらも信仰の問題だという。どこからあんな人を連れてきたのか」。
 「神が人間を創造したのなら、韓国の出生率の心配などせず、泥をどのようにうまく供給するかの問題さえ解決すればいいんじゃないか」。
 これらは、国家人権委員会(人権委)の委員長候補、アン・チャンホ氏に対する3日の国会人事聴聞会を見た人権委の職員たちによる内部の自由掲示板への投稿だ。アン候補の発言は自身の宗教的確信と公的な責任を区分できておらず、不適切だとの評価が相次いだ。
 ハンギョレが4日に電話とショートメッセージで接触した人権委の職員たちは、「アン候補が保守的な見解を表明してきた元憲法裁判官で、これまで著述や講演で極端な主張をしてきたこともよく知っていたが、人事聴聞会でもあのようにあけすけに発言するとは思わなかった」、「少なからず当惑した」との反応を示した。
 人権委職員のAさんは、「何が最も当惑したか」との質問に「『同性愛は病気か』という質問に『様々な議論がある』と答えたこと、進化論と創造論がいずれも信仰の対象だと言ったこと、身体の露出が性犯罪を増加させるという主張がなぜ性犯罪者を擁護するものなのかと反問したこと、同性愛は共産革命の核心の手段だと言ったこと」などをあげた。
 Aさんは、「差別禁止法の推進と性的マイノリティーを含むジェンダー問題への対応に消極的になるだろうということは当然懸念していたが、昨日の様子では大統領や政権の顔色までうかがいそうで、非常に心配」だと話した。アン候補は聴聞会で差別禁止法に反対するなど、反人権的認識をはばかることなくあらわにしたが、大統領を風刺する映像に対する大統領室の強力対応方針など、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に関連する最近の人権侵害懸案には口を閉ざした。
 Bさんも、「アン・チャンホ人権委」体制が成立すると「性的マイノリティーの人権保護業務と平等法(包括的差別禁止法)業務がまひする可能性が高く、政治的に敏感な問題に対する人権的対応が縮小されると思う」との懸念を示した。Bさんは、「ちょっと極端に言えば人権保護業務ではなく政府擁護委員会へと転落するかもしれない。そのような過程で実務を担う職員に対する圧力とパワハラが増加すると思う」と述べた。
 Cさんは、「差別禁止法、学校での携帯電話許容問題など、いくつかの争点については現行の決定例を維持するのが容易ではないように思われるため、懸念している。職員はできる限り人権委の決定の維持に努めるつもり」だと述べた。
 Dさんは、「職員の間では虚脱、あきらめ、心配、怒りの感情が入り混じっている。人権委が存在感の薄い行政機関のようになっていきそうだ」と述べた。
コ・ギョンテ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-09-04 15:30


「The Hankyoreh」 2024-09-04 11:00
■韓国の保守勢力が他国とは異なる理由【寄稿】
 ハ・ジョンガン|聖公会大学労働アカデミー主任教授

【写真】8月29日午後、ソウル中区の旧統監官邸跡で民族問題研究所の主催で行われた庚戌国恥114年記憶行事で、尹錫悦政権の「親日・売国7大罪状」が発表されている/聯合ニュース

 そもそも「保守」は悪い人たちを指す概念ではない。国ごとに様々な条件に従って様々なかたちがあるが、伝統を重視し、知識を尊重し、品位を備え、礼儀作法を守り、愛国心に燃える、というのが保守勢力の特徴であり共通点だ。
 西洋映画を見るとたまに、巨大な邸宅のロビーの壁に家門を象徴する先祖の肖像画が並んでおり、主が訪問客に誇らしげに説明する場面が出てくる。戦争に行って命をささげたり、身体の一部を失ったりした経歴を持つ人が多い。国が危機に直面した時、真っ先に駆けつけて自らを犠牲にするというのが、他国の保守家門の誇りだ。
 韓国の保守は少々異なる。今は大きく変化したが、イラク戦争への国軍派遣同意案が可決された第16代国会などは、国会議員の息子らの兵役免除率は23.5%で、一般人の2.5%の9.4倍にも達した。当時、国会国防委に所属していたチャン・ヨンダル議員の主張によると、韓国を代表する4つの財閥グループの2世の兵役免除率は56.5%で、一般人の実に22倍だった。
 韓国の保守勢力の形成過程は、他国と大きく異なっていた。日帝強占期には朝鮮人にも巡査や判事や検事になった人々がいた。日本人に劣らず独立運動家たちを逮捕し、捜査で厳しく拷問し、重刑を宣告した。実は、よりひどく事に当たったケースも多かった。だから「同族の方が悪辣だった」と言われるのだ。
 朝鮮人の巡査の方が日本人巡査より独立運動家とその家族を苦しめたのは、「よりよく知っていたから」だとよく言われるが、それは言い訳に過ぎない。そうせざるを得ない構造がある。すでにその人々は同族との距離感が生じていた存在だが、かといって支配勢力内では日本人として認められていたわけではなかった。何倍も忠誠を尽くしてはじめて、自らの競争力が維持できた。そのような現象は、学生運動や労働運動を経て保守政党に入った政治家の態度を見れば、容易に見当がつく。もともとの保守政党の政治家よりはるかに極右的な発言をする。それでも、政党内部での支持勢力はあまり多くない。その発言はますます過激にならざるを得ない。
 植民地とされていた他の国々は、解放された後にそのような人々の大半を監獄送りにしたり処刑したりした。第2次世界大戦時、フランスはドイツに4年あまり占領されていたが、戦後、ナチスの協力者をあぶり出して6700人あまりに死刑を宣告し、2万6千人あまりを懲役刑に処した。政治家、ジャーナリスト、文人などにはより重い処罰を科した。にもかかわらず、欧州の他の国々からは「過去清算が穏健すぎる」という厳しい視線が向けられた。
 韓国は日本に40年く占領されていたが、解放された後、そのような人々をただの1人としてまともに処罰できなかった。解放されるやいなや分断されたため、過去を清算すべき重要な時期に戦争をしていた。戦争が終わってからは軍事政権が30年あまりも支配していたため、植民地時代の過ちを正す過去の清算の機会をほぼ完璧に失った。同族を裏切って占領勢力に協力して出世した人々が、解放後もそっくりそのまま生き残り、富と権力を蓄積し、社会の支配勢力を形成した例は、大韓民国の他に見出すのは難しい。
 映画「ザ・キング」では、先輩の部長検事(チョン・ウソン)が後輩の新任検事(チョ・インソン)に次のように言い聞かせている。「プライドや正義、そんなダサいものは捨てようぜ。歴史的に流れるように進め! ただ権力のそばにいろ! プライドを捨てて捕まえろよ…。それを逃したり、闘ったりしてうまくいった奴はいない。韓国の歴史にそんな奴はいない。親日派とか、あいつらはどうだ? みんな財閥だし、長官や次官やってるし、韓国は。独立軍だった人たちは、一月60万ウォンの年金でかろうじて暮らしてる。最近の子どもたちはどうして歴史を学ばない? 学ぶべきだろう、歴史を!」
 韓国社会では、そのようにして成功した社会支配勢力が自らを「保守」と称するケースが多い。韓国の「保守」が他国の「保守」と異なる理由はここにある。他国では道徳的優越性を誇ることは「保守」の徳目だが、韓国社会では保守勢力の道徳性が弱いということを否定するのは難しい。
 他国においても、保守勢力は既存の体制の変化を追求する労働運動を非常に否定的な視線で眺める。労働者の力が強まると自分たちの分け前が減るという浅はかな打算も一役買っている。だが、韓国の保守勢力はその形成過程からして異なる。韓国の被雇用者の会社員、すなわち労働者が他国では見られない苛酷な弾圧に苦しめられる理由はここにある。

ハ・ジョンガン|聖公会大学労働アカデミー主任教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-09-04 07:00
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「文前大統領の捜査にも「被疑事実リーク」の手口を使うのか」

2024年09月07日 | 韓国で
2024-09-05 09:02
■【社説】文前大統領の捜査にも「被疑事実リーク」の手口を使うのか
 文在寅(ムン・ジェイン)前大統領に向けた検察の捜査が行われている中、「検察発」の捜査情報がマスコミに報道されている。過去、検察が捜査に有利な世論を作るために被疑事実をマスコミに流して発生した悲劇的な事件を思い出させる。ちょうど「(大統領夫人)キム・ゴンヒ女史ブランドバッグ受け取り」をめぐる検察の捜査が終了し、文前大統領に対する捜査の意図に疑念の声があがっている中、「被疑事実の公表」で物議を醸し、捜査に対する不信感を自ら招こうとしているのか。
 「朝鮮日報」は2日付で、文前大統領の娘の元夫であるS氏の「タイ・イースター航空不正採用疑惑」に対する検察の捜査内容を報道し、口座追跡内訳と関連者の陳述などを詳細に取り上げた。全州(チョンジュ)地検が誰の口座をどのようなきっかけで追跡し、どのような供述を得たのか、出所が疑われる金額はいくらで、その理由は何なのかなどを、まるで検察の捜査記録を直接見たかのように詳しく報じた記事だった。検察は、記事の内容が事実かどうかについては明らかにしていない。しかし、検察ではなく周辺の取材だけでは到底確認できない内容であり、検察側から捜査情報が漏れたとしか考えられない。検察または権力機関が文前大統領に恥をかかせるため、わざと捜査情報をリークしているのではないかという疑念を抱かせる。
 野党「共に民主党」のユン・ゴニョン議員は「朝鮮日報」の記事について、「(文大統領夫人の)キム・ジョンスク女史が娘にこのお金を振り込んだ時期は、2022年に(文大統領が)退任した後で、娘の元夫が就職した2018年とは全く関係がない」と反論した。この釈明が正しいかどうかを確認するのが、今回の検察捜査の目的だろう。これを確認する前に後ろに隠れて断片的な情報だけをマスコミに流し、まるで大きな不正があるかのような印象を与えるのは非常に不適切だ。そのようにして導き出された検察の捜査結果が、果たして国民の信頼を得られるだろうか。
 被疑事実の公表は厳然たる犯罪行為だ。起訴権を独占した検察が起訴せず、実際に処罰が行われないだけだ。被疑事実の公表は捜査対象者に甚大な圧力を加える。さらに、このように一面の情報がリークされた場合、大抵の人はまともに釈明すらできない。たとえ後で無罪判決を勝ち取ったとしても、すでに大衆に刻まれた印象はそのまま残る。これまでもマスコミを通じた検察をはじめとする捜査機関の世論操作で、多くの悲劇的な出来事があった。「あぜ時計」(故盧武鉉元大統領が検察の取り調べで、夫人がもらった時計を田んぼに捨てたと供述したことに由来。検察の捜査情報リークが、盧元大統領が自ら命を絶った原因とされている)が代表的な事例だ。政権の利害に従って、(盧武鉉)元大統領に恥をかかせることで、社会全体に大きな傷を残した。検察は文前大統領関連捜査で客観的証拠を通じて確認された容疑だけを起訴し、速やかに裁判所の判断を受けるようにすべきだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力: 2024-09-04 18:26
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「韓国の元統一部長官「尹錫悦政権の北朝鮮崩壊論は滑稽な主張」」

2024年09月07日 | 韓国で
2024-09-05 09:57
■韓国の元統一部長官「尹錫悦政権の北朝鮮崩壊論は滑稽な主張」

【写真】イ・ジョンソク元統一部長官=イ・ジェフン記者//ハンギョレ新聞社

 「2012年の金正恩(キム・ジョンウン)委員長就任以来、今回が3度目の大型洪水被害復旧作業だ。今回は国家資源が以前より体系的に復旧作業に動員されている印象を受けた。朝中国境の大都市と農村の再開発事業も途切れることなく続いている」
 イ・ジョンソク元統一部長官が8月下旬、北朝鮮と中国の間の1334キロメートルにわたる国境地域を視察した後、ハンギョレに示した暫定的な結論だ。イ元長官は2023年9月下旬にも国境地域を視察しており、この11カ月の変化と継続を踏まえた意見だ。イ前長官は「新義州(シンウィジュ)と恵山(ヘサン)などの物流の増加傾向は朝中貿易が以前より活発になっていることを示している」とし、「水害復旧と農村の住宅建設は、国境地域全般で観察される現象」だと説明した。それとともに「かなりの資源の動員が必要であり、北朝鮮当局の危機管理能力と行政遂行能力が向上したと思われる」とし、「今、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権を含む一部の北朝鮮崩壊論は滑稽な主張だ」と力を入れて語った。
 イ元長官は1996年から、公職に就いている時を除いて1年に1、2回、朝中国境地域を視察してきた国境踏査の開拓者であり生き証人だ。国境での観察と時系列の比較分析は、2018年12月以後、南北当局対話が途絶え民間の訪朝さえ不可能になった状況で、事実上唯一残された「北朝鮮の実情をうかがえる」方法だ。
 「北朝鮮崩壊論は叶うことのない希望という名の拷問」だと語ったイ元長官は、このような説明を付け加えた。「(尹錫悦)政府の北朝鮮政策は、北朝鮮体制が弱体化しており充分倒せるという主観的な信念に基づいている。そのような認識は数十年間、現実となっていない。そのうえ、北朝鮮はロシアと軍事同盟を復元し、朝中関係も微妙な局面ではあるが、もう少し拡大する可能性がある。この30年余りの脱冷戦の歴史の中で、北朝鮮は今が経済と外交安全保障の面で最も良い戦略的環境にある」
 イ元長官の自宅には、義父が書いてくれた「実事求是」(事実に基づいて真理を求めること)の扁額が飾られている。イ元長官が研究者としてはもちろん、公職にいる時も決して忘れず心に刻んでいたことだ。「事実」に基づかない生半可な判断はしないという態度だ。「今の北朝鮮崩壊論は滑稽な主張」という意見も、長い間続けてきた境界地域の視察から得た「多くの事実」に支えられている。
 イ元長官が11カ月ぶりの朝中国境地域訪問で何よりも細心の注意を払ったのは、鴨緑江(アムノッカン)沿いの水害規模と復旧作業▽都市建設と農村住宅改良の幅と速度▽朝中交易・交流の行方の3つだ。
 「金正恩体制」については「昨年に比べて今年は国家主導の開発と発展がある程度進んでいる印象を受けており、全体的に不安定な姿は見られなかった」と語った。スピードが速いわけではないが、「右肩上がり」の傾向にあるという。例えば「北側で最も奥地である鴨緑江上流の両江道の農村再開発事業は、昨年には5カ所に1カ所の割合だったが、今年は少なくとも半分または5カ所に3カ所の割合で観察された」とし、「約3~4年後には国境地域の農村の姿が完全に変わる可能性がある」と予想を示した。

イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力: 2024-09-04 08:48
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「「デジタルネイティブ」と韓国での漢字教育」

2024年09月07日 | 韓国で
「The Hankyoreh」 2024-09-05 08:23
■「デジタルネイティブ」と韓国での漢字教育【寄稿】
 ロバート・ファウザー|言語学者

【写真】子どもたちがタブレットを利用して漢字の勉強をしている/聯合ニュース

 秋の新学期を控え、米国メディアでは教育関連の記事をよく目にする。教育関連の記事のキーワードは毎年違っており、今年は「教師の不満」だ。2018年までは教師の70%が職業に満足すると答えていたが、今年は40%にすぎないという調査結果が出た。満足度が低い理由として、低い給与と生徒たちの態度を主な理由に挙げた。何より、生徒たちの授業中の携帯電話の使用が問題視され始め、このため実際、多くの学校が授業中に生徒たちの携帯電話の使用を禁止したりもしている。
 これとは別に、Z世代(1990年代半ば~2000年代後半生まれ)のなかには、コンピューターのキーボードで文字をうまく入力できない人が多いという記事も目につき、教育現場では昔とは違い筆記体を教えないという記事も関心を持って読んだ。携帯電話、キーボード、筆記体などの単語を聞くと、かつて韓国で激しかった漢字と漢文教育の論争を思い出す。
 漢字と漢文はハングルと韓国語のように別の概念だ。漢字とハングルは文字であり、漢文と韓国語は言語だ。韓国語は朝鮮半島を中心に、いつのまにか全世界で8100万人が使用するようになった言語だが、漢文はラテン語のように古典の文語だ。韓国ではこの2つの言葉が混用される。1970年代以降、漢字は国語教育の課程から消えたが、論争が続いた末に国語とは別に「漢文」という選択科目を開設した。
 漢文を習うためには漢字の習得が必要なため、この授業では漢字を教えたが、選択科目であるため、「第2外国語」のように教育課程で無視されがちだった。しかし、漢字は第2外国語とは違い、韓国の言語、文化と深い関連があるため、このような処遇に対する論争が絶えなかった。
 漢字教育を強調する人たちの要点は、ほぼ次のように整理できる。一つ目は、漢字を知れば、ほとんどが漢字語で構成される専門用語が理解しやすくなり、表現の能力も広がる。二つ目は、韓国の伝統文化や思想と深い関係がある漢字を知らなければ、伝統と断絶する。三つ目は、漢字を知れば、漢字を使う中国と日本の言語をもっと学びやすくなる。このような主張は説得力を認められ、2022年の教育過程改正に反映された。一般選択科目の「漢文」に加え、進路選択科目に「漢文古典読解」、融合選択科目に「言語生活と漢字」の科目が登場した。
 これだけをみると、漢字を習わない理由はない。しかし、現実はどうだろうか。国語から分離した後、漢字を習おうとする生徒は減り続けている。教育課程と入学制度の変化が影響を及ぼしもしたが、その背景には、漢字は習得に時間がかかり難しいという認識と、他の科目のほうが重要だという社会的共感がある。2024学年度の大学修学能力試験で、第2外国語「漢文I」の試験を受験した生徒は全体の2.3%に過ぎなかったという点が現実を示している。
 このような現実は、教育制度と生徒たちの認識の変化のためだけではない。こんにちの生徒たちの言語処理方法はきわめて大きく変わった。生徒たちは、コンピューター、インターネット、携帯電話が日常に深く入り込んだ2000年代以降に生まれて育った「デジタルネイティブ」だ。2010年代以降に生まれた人たちは、最初から紙と鉛筆はもちろん、さらには、キーボードより携帯電話からの入力に慣れている。彼らにとって学校は、それ自体が非常に奇妙なアナログな空間だ。そのため、授業時間に教室に座って日常生活でほとんど使うことのない漢字を習うことには、関心があっても難しく、関心がなければ苦しいことだ。漢文はさらに言うまでもないだろう。
 では、今後の漢字教育はどうすべきだろうか。「デジタルネイティブ」が多数になることは自明だ。学校も必要に迫られ、世代の変化に合わせて変わることになるだろう。そう考えると、いまは携帯電話を妨害者と規定するより、友人にする方向に進む必要がある。このような基本方針の変化に合わせ、漢字も同様に、生徒たちの興味を引く方法を考えなければならない。漢字教育関連の論争は、もはや名目より方法に切り替える必要があるという意味だ。韓国語の特性上、無視するわけにはいかない漢字教育に、21世紀半ばに合う新たな魅力を付与する方法を積極的に探さなければならないときがきた。

ロバート・ファウザー|言語学者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-09-04 20:04
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「「悲惨な歴史から逃げ回るのは恥ずかしいこと」…関東大震災101年追悼式典」

2024年09月06日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「The Hankyoreh」 2024-09-02 08:02
■「悲惨な歴史から逃げ回るのは恥ずかしいこと」…関東大震災101年追悼式典
 小池知事、今年も横網町公園追悼式典への追悼文の送付を拒否 
 市民団体「ほうせんか」の理事「日本政府、加害認めるつもりがないようだ」 

【写真】韓国政府も真相究明を積極的ではない
東京都墨田区の都立横網町公園で開かれた関東大震災101年朝鮮人犠牲者追悼式典で韓日市民が犠牲者を追悼している=ホン・ソクチェ特派員//ハンギョレ新聞社

 「過去に悲惨な歴史があったのは恥ずかしいことだが、そこから逃げ回ることはもっと恥ずかしいこと」。
 関東大震災で朝鮮人虐殺が行われてから101年を迎える1日、東京都墨田区の都立横網町公園。「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典実行委員会」(実行委)の宮川泰彦委員長は同日開かれた朝鮮人犠牲者追悼式で、「過ちを繰り返さないために、子や孫、周りの人に(正しい歴史を)語り継ぐことが我々の責務ではないか」と訴えた。

【写真】東京都墨田区の都立横網町公園で開かれた関東大震災101年朝鮮人犠牲者追悼式典で韓日市民が犠牲者を追悼している=ホン・ソクチェ特派員//ハンギョレ新聞社

 関東大震災における朝鮮人虐殺事件は、1923年9月1日に起きたマグニチュード7・9以上と推定される関東大震災の際、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」といったデマが広がり、自警団が朝鮮人を虐殺し、軍と警察も加担した事件だ。
 当時、日本全域で死亡した朝鮮人は数千人にのぼるものと推定されるが、日本政府がきちんとした調査をしなかったため、正確な犠牲者数は明らかになっていない。台風10号の影響で時々雨が降る中で開かれた同日の行事では、韓国と日本の市民数百人が会場を埋め尽くした。
 東京都慰霊協会は毎年、横網町公園で東京大空襲(3月10日)と関東大震災(9月1日)の時に犠牲になった日本人のために追悼行事(大法要)を開くが、1974年から日本の市民団体が東京都議会の許可を得て、同公園の片隅で関東大虐殺における朝鮮人犠牲者のための追悼式典も行っている。
 悲劇は依然として終わっていない。最近3期目の当選に成功した小池百合子東京都知事は、今年も横網町公園追悼式に対する追悼文の送付を拒否した。小池知事は関東大震災の朝鮮人虐殺に関して「様々な研究が行われていると承知している。都慰霊協会の大法要の中で、大震災の極度の混乱の中の事情で犠牲になられたすべての方々に哀悼の意を表す」として、8年連続で追悼文を送らなかった。
 朝鮮人虐殺は自然災害で亡くなった人々とは性格が異なる。このため、石原慎太郎のような極右とされる政治家を含め、歴代の東京都知事は「日朝協会」など日本の市民団体が開いているこの追悼式典に1974年から追悼文を送ってきたが、小池知事は拒否し続けている。
 日本政府もまた「政府として調査した限り、事実関係を把握できる記録が見当たらない」として、事実関係さえまともに認めていない。4月には立憲民主党議員が、関東大震災当時に朝鮮人殺害に加担した日本人4人が懲役1年6月を宣告された判決文が発見されたとし、文書を根拠に具体的に質疑したが、林芳正官房長官(当時)は「政府としては一般論を前提に裁判所の事実認定が正しいかどうか評価する立場にはない」として、答弁を避けた。
 日本政府の真相調査と謝罪が先延ばしにされる間に、日本社会の一角では嫌悪と差別が広がっている。この日も横網町公園では、日本の右翼団体のメンバーたちが朝鮮人犠牲者追悼碑に近づき、「(追悼碑に書かれた)朝鮮人6千人が死んだという嘘が認められてはならない」と騒ぎを起こした。追悼式典に出席した市民は彼らに「嘘をつくのはあなたたちだ」、「ヘイトスピーチをするのが恥ずかしくないのか」として彼らに反論する場面もあった。
 毎年9月には、横網町公園だけでなく、東京や横浜を含む関東地方のあちこちで、朝鮮人虐殺追悼祭が開かれる。墨田区荒川の近くで行われる追悼行事もその一つだ。荒川堤防は関東大震災当時、地震を避けてきた朝鮮人が虐殺された代表的な場所の一つで、残酷な「血の歴史」が流れる場所だ。
 当時、東京都墨田区付近で働いていた朝鮮人労働者たちは、地震の余波で起きた大型火災から逃れるために橋を渡ろうとしたが、反対側の橋の入口で地域在郷軍人会や青年団などで構成された自警団が朝鮮人などを見つけ、無残にも虐殺した。
 今は撤去されたが、荒川を結んでいた「旧四ツ木橋」付近で多くの朝鮮人が犠牲になった事実が後になって知られ、1982年に市民の有志で初めての追悼行事が開かれた。
 追悼行事を行っている「関東大震災時に虐殺された朝鮮人の遺骨を発掘し追悼する会」と市民グループ「ほうせんか」の事務所が荒川の堤防の向こう側の住宅街にある。ほうせんかの事務室の横には、ホウセンカが植えられている小さな石碑がある。「悼」と刻まれた追悼碑の側面には「関東大震災時 韓国・朝鮮人殉難者追悼之碑」、裏面には「1923年関東大震災時の日本の軍隊、警察、デマを信じた民衆によって多くの韓国・朝鮮人が殺害された。 東京の庶民住居地でも、植民地だった故郷を離れ、日本に来ていた人々が名も知れず貴重な命を奪われた」という碑文が刻まれている。
 「ほうせんか」の慎民子(シン・ミンジャ)理事は30日、「惨事が起きて100年が過ぎたが、日本政府などは加害者として痛ましい過去を認めるつもりがないようだ」とし、「未来世代のために市民社会でも誤った過去を反省し、政府に謝罪を求めることを止めてはならない」と語った。
 日本政府は回避しているが、当時の惨劇を伝える記録と証言は溢れている。 虐殺を生き延びた生存者のチョ・インスンさんは「消防隊員4人に綱で縛られ『綱を切ったら殺してやる』と言われた。荒川駅(現在八尋駅)側の堤防で騒ぎが起きているようだったが、まさかそれが朝鮮人を殺すことだとは思わなかった」とし、「遺体が橋いっぱいになり、堤防にも薪のように積まれていた」と当時を振り返った。
 日本人生存者だったアサオカシゲゾウさんも、墨田区の川辺で朝鮮人を10人ずつ縛り、機関銃で撃って殺したと証言した記録が残っている。千葉、栃木、群馬などでも、何の過ちもない朝鮮人たちが銃、日本刀、竹槍などで殺害されたことが各種の文書と証言で確認されている。

【写真】東京都墨田区荒川付近には、101年前の関東大震災当時、罪のない朝鮮人が無残に虐殺された悲しい歴史が残っている=ホン・ソクチェ記者//ハンギョレ新聞社

 韓国政府も朝鮮人虐殺の真相究明に積極的な態度を示さないまま、101年が過ぎている。歴史問題には目をつぶり韓日関係の改善に「全賭け」している尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は「虐殺から100年」という重要な契機があったにもかかわらず、真相究明と謝罪についていかなる要求もせず再び1年が流れた。国会では、2014年に関東大震災の真相究明などに関する法案が提出されたが、その後、提出と廃棄が繰り返されている。

【写真】関東大震災の朝鮮人虐殺問題を日本社会に知らせてきた市民団体「関東大震災時に虐殺された朝鮮人の遺骨を発掘し追悼する会」と「ほうせんか」の事務所の隣には犠牲になった朝鮮人を追悼する小さな碑が建てられている=ホン・ソクチェ記者//ハンギョレ新聞社

 第22代国会では7月に野党「共に民主党」のユン・ゴニョン議員が代表発議した「関東大虐殺事件真相究明および被害者の名誉回復に関する特別法案」が、行政安全委員会小委で審査を待っている。
 法案では「1923年に日本の関東地方で起きた大震災当時、デマと戒厳令の宣布で日本の軍人、官憲および民間人によって6千人余りが無念にも濡れ衣を着せられ大虐殺されたが、日本政府は事件に対する真相調査や被害者に対する賠償、遺族に対する補償などを明らかにしていない」とし、「2013年に被害者名簿が発見された後も、遺族に対する調査や罪もなく殺された朝鮮人の名誉回復のための措置がない」と指摘されている。
 法案が国会で可決されれば、関東大虐殺真相究明および被害者名誉回復委員会を通じて真相調査と責任究明、被害遺族審査と名誉回復、追悼空間作りなどが行われるとされる。

東京/ホン・ソクチェ特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-09-01 19:19
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「ヒズボラ、イスラエルにロケット65発発射…「人命被害はなし」」

2024年09月06日 | 国家・社会
「中央日報日本語版」 2024.09.05 07:27
■ヒズボラ、イスラエルにロケット65発発射…「人命被害はなし」
 小康状態に入ったイスラエルとレバノンの武装勢力ヒズボラ間の衝突が、局地的に続いている模様だ。
 4日(現地時間)、タイムズ・オブ・イスラエルによると、イスラエル軍(IDF)は同日正午、レバノン南部からイスラエルにロケット65発が飛んできたと明らかにした。先月25日、イスラエルの先制攻撃で互いに大規模な空襲を行ってから10日後のことだ。
 IDFによると、ロケットの相当数は撃墜されたが、一部のロケットや破片がイスラエル北部のキリアット・シモナに落ち、住宅などで火災が発生した。人命被害は報告されていない。
 ヒズボラは「イスラエルの軍事目標物を爆撃した」と攻撃の背後にいたことを認めた。これに対応し、IDFはレバノン南部のヒズボラ施設を空襲したと発表した。
 ヒズボラの今回の攻撃は、先月25日のイスラエルの先制攻撃後に約320発のロケットを発射して以来、最大規模だ。ヒズボラはイスラエル北部に一日100発以上のロケットを発射してきたが、25日に双方が正面衝突した後、小康状態に入っていた。




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「「親日美化」で物議の新しい韓国歴史教科書、旧国定教科書からの盗用疑惑」

2024年09月05日 | 韓国で
「The Hankyoreh」 2024-09-03 20:51
■「親日美化」で物議の新しい韓国歴史教科書、旧国定教科書からの盗用疑惑
 韓国学力評価院の韓国史教科書、旧国定教科書と一部記述が同じ 
 「編制そのものが昔の教科書の通り」

【写真】新しい教育課程(2022改正教育課程)の適用で、来年から学校現場で使用する新しい中学歴史教科書、高校韓国史教科書の検定結果が先月30日に公開された/聯合ニュース

 最近、親日(附日行為。日本統治時代に日本帝国に加担・協力した反民族行為)美化、李承晩(イ・スンマン)独裁擁護などで物議を醸した韓国学力評価院刊行の高校向け韓国史教科書が、盗用疑惑まで提起された。韓国学力評価院の教科書「韓国史1」には、2002年に初版が出版された第7次教育課程の韓国史の国定教科書と同じ部分、あるいは似たような文章が多数あることが確認された。
 2日に同教科書を確認したところによると、「日本に伝播された三国の文化」という表題で高句麗・百済・新羅が日本に多様な文化を伝えたとの内容が書かれている。第7次国定教科書では「三国文化の日本への伝播」という題だ。両教科書は、百済の阿直岐が日本の太子に漢字を教えたという内容、高句麗の曇徴が法隆寺の金堂壁画を描いたという内容などの叙述の順序が同じで、5つほどの文章がほぼ一致する。例えば、第7次国定教科書には「阿直岐は日本の太子に漢字を教え、続いて日本に渡った王仁は千字文と論語を伝え教えた」と書かれており、韓国学力評価院の教科書には「阿直岐は日本の太子に漢字を教え、王仁は論語・千字文を伝えた」と書かれている。

【写真】第7次教育課程の高校の国定韓国史教科書(左、「三国文化の日本への伝播」)と、最近検定を通過した韓国学力評価院の高校教科書「韓国史1」(「日本に伝播された三国の文化」)の内容の一部//ハンギョレ新聞社

 朝鮮の軍事制度を説明した「地方行政制度と軍事制度」の部分は、一段落の半分ほどを第7次国定教科書からそのまま持ってきたものとみられる。韓国学力評価院の教科書の「朝鮮は建国初期から軍役制度を整備し、16歳以上60歳以下のすべての良人男性は軍役を受けさせた。これにより、すべての良人は現役軍人である正軍と、正軍の費用を負担する保人(奉足)に編成された」という文章は、数文字を除いて国定教科書と酷似している。
 ハンギョレが今回検定を通った他の教科書を検討してみたところ、他の教科書では上の2つの部分と似たような叙述は見当たらない。これを確認した京畿道のある高校の歴史教員のAさんは「特に朝鮮の軍事制度の部分は、盗用疑惑も問題だが、現在の高校の韓国史教科ではほとんど扱わない内容」だとし「現在、中学校では朝鮮時代まで詳しく学び、高校は近現代史を中心に取り上げるかたちで『系列化』されているが、この教科書は編制自体が以前の国定教科書に沿ったものとみられる」と指摘した。

【写真】第7次教育課程の高校の国定韓国史教科書(左、「軍役制度と軍事組織」)と、最近検定を通過した韓国学力評価院の高校教科書「韓国史1」の内容の一部//ハンギョレ新聞社

 韓国学力評価院の教科書「韓国史2」には、2013年に歴史歪曲議論があった教学社の「韓国史」と似た叙述方式も登場する。韓国学力評価院の教科書には、詩人の尹東柱(ユン・ドンジュ)と徐廷柱(ソ・ジョンジュ)を並べて比較する「人物探求」活動が載っている。この内容の最後には「詩人・徐廷柱をどのように評価すべきか討論してみよう」と書かれている。これはかつて教学社の教科書が、申采浩(シン・チェホ)と崔南善(チェ・ナムソン)を並べて「崔南善は功罪いずれもあるが、一緒に論じるならどちらが大きいか」と問いかけたのと似ている。
 これに対し、元歴史教師のある大学教授は、「過去の教科書の叙述方式を人物だけ変えて書いたのも問題だが、叙述方式自体が危険だ」とし、「日帝と独裁政権で権力の日向にすり寄って生きた人物を、作品性だけを切り取って持ち出し、あたかも中立的なことを提案するような態度は適切でない」と指摘した。
シン・ソユン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
韓国語原文入力:2024-09-03 07:30


「The Hankyoreh」 2024-09-02 08:50
■李承晩政権から「独裁」消した韓国の新しい歴史教科書…「歪曲された授業を懸念」
 高校の「韓国史2」の教科書9種類を比較 
 初出版の韓国学力評価院の教科書、「慰安婦」の比重も相対的に小さい

【写真】新しい教育課程の適用を受け来年から学校現場で使用される高校の韓国史の教科書/聯合ニュース

 最近の歴史論争で執筆方針に対して関心が集まった新しい歴史教科書の検定結果が公開された。教科書のうち、高校の韓国史の教科書を初めて出版した韓国学力評価院(評価院)の教科書は、必須学習要素である日本軍「慰安婦」関連の説明が不十分で、李承晩(イ・スンマン)政権を独裁政権ではなく「長期政権」と表現したとする指摘が出てきた。
 新教育課程(2022年改正教育課程)の適用にしたがって検定を通過した歴史教科書は、中学の歴史が7種類、高校の韓国史が9種類で、来年3月から学校現場で使われる。8月30日にハンギョレは、高校の「韓国史2」の教科書を全種類入手し、評価院の教科書と比較した。
 教育部が提示した中学・高校の歴史教科書の検定基準によると、日本軍「慰安婦」についての説明は、韓国史の教科書に必ず含めなければならない「成就基準別学習要素」のうちの一つだ。
 評価院の教科書は「慰安婦」について、「若い女性たちを中国や東南アジアなどの地に連れて行き、むごい生活をさせた」と記している。参考資料として、「日本軍『慰安婦』問題を忘れず記憶しなければならない理由を話してみよう」などの練習問題を提示したが、2ページにわたり日本軍「慰安婦」の概念、関連した主要人物、日本政府の立場の変化や歴史否定の世界化などを扱った東亜出版社の教科書と比較すると、比重が低い。リベルスクールの教科書は「強制動員の実状」の活動資料を通じて、日本軍「慰安婦」に対する歴代の日本首相の歴史歪曲発言などを含めて声明書を作成してみようと提示している。
 これについて、京畿道地域の高校の歴史教師のAさんは「子どもたちが読む本なので、他の本もおおむね性搾取に関する具体的な叙述はしていないが、活動資料などで『慰安婦』について扱う分量は比較的少ないようにみえる」と評した。
 李承晩元大統領については、光復(解放)後の韓国の歴史に影響を及ぼした人物7人を紹介するページで、李元大統領の写真を一番前に掲載した。ここで同教科書は「光復後に独立促成中央協議会を結成し、信託統治反対と韓国単独臨時政府の樹立を主張した」と記した。また、テーマ探求と題して、李承晩の「井邑(チョンウプ)発言」(1946年6月3日に全羅北道井邑で李承晩が行った「南側だけでも臨時政府または委員会のようなものを組織する」という発言)の歴史的背景を調べてみるよう叙述し、「もし、李承晩が韓国単独政府論を主張しなかったとすれば、その後の状況はどのように展開しただろうか」「李承晩が統一政府ではなく、韓国だけの単独政府樹立を主張した理由を調べてみる」などの質問と指示文を加えた。また、李承晩政権について「長期政権」と表現したが、「独裁政権」(ヘネムエデュ)、「独裁権力構築」(ミレエン)、「長期独裁体制」(シーマス)と記した他の教科書との違いが際立った。
 大韓民国政府樹立に関する叙述で、「民主主義」の代わりに「自由民主主義」という表現を用いたのは、他の教科書も同じだ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権になって設けられた2022年教育課程改正案に従ったものだ。当時、歴史科教育課程の開発研究チームは、教育部が「自由民主主義」という表現を同意なしに追加すると、「民主主義が内包する多様性と包容的価値を狭めてしまう結果を生んだ」と反発した。
 評価院の教科書について、ある高校の歴史教師のBさんは「物議を醸すような内容を『テーマ探求』『歴史探求』などの活動資料に入れた。その内容を歴史教師がどのように活用して誘導するかによって、生徒たちが歪曲された歴史認識を持つようになる可能性があり、懸念される」と指摘した。
シン・ソユン記者、イ・ウヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-08-30 


「The Hankyoreh」 2024-08-20 11:38
■【社説】歴史機関を掌握した「ニューライト」、歴史歪曲の整地作業なのか=韓国

【写真】光復会のイ・ジョンチャン会長が2023年9月25日、ソウル市汝矣島にある光復会館で「1948年建国論は大韓民国憲法に反する反憲法的主張」だと発言している=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 光復会のイ・ジョンチャン会長が7日、「人事がこのようなやり方で進められるのは、龍山(大統領室)のどこかに日帝時代の密偵のような存在の影があるのではないか」と述べた。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が前日、日帝の植民地支配を正当化してきた「ニューライト」といわれるキム・ヒョンソク「大韓民国歴史と未来」理事長を独立記念館の館長に任命したことについての発言だ。イ会長は5日に「憲法精神と歴史的正義に反する館長任命を中止せよ」と要求したが、尹大統領は翌日、任命を強行した。2月には独立記念館の理事に、日帝強制支配を美化した落星台経済研究所のパク・イテク所長を就かせた。独立記念館を日帝強占記念館にしようということなのか。ここまでくると、イ会長の「密偵」発言が誇張だとも言い難い。
 キム新館長の任命を尹大統領に推薦した国家報勲部は「キム館長は、1919年の大韓民国臨時政府と1948年の建国節はいずれも重要だと主張してきた人物で、ニューライトではない」と主張した。しかし、キム館長は候補者面接で「日帝時代には国がなかったため、当時の韓国国民は日本臣民だった」とする趣旨の発言をしたと、当然職(充て職)候補の審査委員だったイ会長が明らかにした。イ会長はキム館長が「大韓民国は1919年の臨時政府によって建国されたのではなく、1948年に建国された」という主張を展開したことも明らかにした。韓国憲法で規定された臨時政府の法統と主権を否定し、日帝強制支配に正当性を与えたのだ。このような人がニューライトではないというなら何なのか。
 尹大統領はすでに、歴史関連の機関のトップにニューライトの人物たちを相次いで任命している。先月30日に韓国学中央研究院長に就任した東国大学のキム・ナンニョン名誉教授は、強制動員と「慰安婦」の強制性を公然と否定する主張を繰り広げた。3月に東北アジア歴史財団理事長に就任したパク・チヒャン氏は、就任記者懇談会で「日本が過去に対して謝罪していないという古い世代の認識を、若い世代に強要してはならない」という歴史の流れを無視した発言をした。国史編纂委員会のホ・ドンヒョン委員長と韓国学中央研究院のキム・ジュソン理事長もそれぞれ、朴槿恵(パク・クネ)政権の国定歴史教科書の編纂審議委員とニューライト系列の「教科書フォーラム」の運営委員として活動した人物だ。
 尹大統領の対日外交は、国益と国民の自尊心を捨てたまま、日本の過去の歴史に対する責任を率先して払い落す自害外交の連続だった。今や歴史機関のトップまですべてニューライトで埋めている。いったい何をしようとしているのか。国民と歴史戦争でも行おうというのか。尹大統領は憲法精神を否定する行動をただちにやめよ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-08-07 18:35
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「韓国全国に「平和の少女像」約150体 政府が実態調査」

2024年09月03日 | 日本軍隊性奴隷
「聯合ニュース」 2024.09.02 16:00
■韓国全国に「平和の少女像」約150体 政府が実態調査
【ソウル聯合ニュース】韓国女性家族部は2日、全国の広域自治体(17市・道)を対象に、旧日本軍の慰安婦被害者を象徴する「平和の少女像」の実態調査を実施中だと発表した。

【写真】ソウルの日本大使館付近に設置された平和の少女像(資料写真)=(聯合ニュース)

 実態調査は、被害者に関する虚偽情報の流布を処罰する規定が盛り込まれた法案が提出されたことを受け、関連情報を把握するために実施された。少女像の損壊を防ぐ目的もある。調査の範囲には中央官庁と地方自治体の主導で設置された少女像だけでなく民間団体が建てた少女像も含まれる。
 同部は「政府レベルで少女像の状況を把握するのは今回が初めて。正確ではないが、全国に設置された少女像は150体余りと推定される」と説明した。


「聯合ニュース」 2024.08.23 16:31
■少女像周辺で座り込み 大学生らに二審も罰金刑=韓国
【ソウル聯合ニュース】韓国のソウル中央地裁は23日、在韓日本大使館近くに設置された旧日本軍の慰安婦被害者を象徴する「平和の少女像」の周辺で座り込みを行った罪などに問われた大学生ら6人の控訴審で一審と同じくそれぞれ30万~200万ウォン(約3万2600~21万7000円)の罰金刑を言い渡した。

2020年6月、少女像の周辺で集会を行う学生団体=(聯合ニュース)
 6人の被告のうち4人は革新系の学生団体「反日行動」のメンバーで、2020年6月、警察が少女像の周囲に設置した規制線の内側に入って少女像をひもで縛ったりスローガンを叫んだりしたとして集会およびデモに関する法律違反などの罪に問われた。
 裁判所は「被告人らは少女像を保存するために集会を開いたと主張するが、目的を勘案しても正当な行為と判断するのは難しい」と説明した。
 4人は20年7月、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためにソウル市鍾路区が設定した集会制限区域内でイベントを開催したとして感染症予防法違反の罪にも問われた。
 残りの2人はイベントや別の集会に参加した罪に問われた。


「The Hankyoreh」 2024-08-31 16:18
■「ドイツ帝国」の道と平和の少女像【特派員コラム】

【写真】23日(現地時間)ドイツのベルリン・ミッテ区の「アフリカ地区」で、19世紀にドイツ植民地を占領したカール・ペータースにちなんだ「ペータース通り」の名称を変えるイベントに参加した人たち=市民団体Decolonize BerlinのXより//ハンギョレ新聞社

 都市全体が「記憶の空間」と呼ばれるドイツのベルリンには、ドイツ帝国時代が垣間見られる空間もある。ベルリンのミッテ区のベディング地区にある「アフリカ地区」だ。そこには、植民地の人たちを「人間博物館」に展示しようという企画を作りだしたドイツ帝国の記憶が埋め込まれていた。19世紀にドイツ領東アフリカ(タンザニア・ブルンジ・ルワンダなど)の植民地管理を総括したカール・ペータースによる苛酷な統治によって「血の手」「絞首刑執行人ペータース」と呼ばれたが、ドイツでは帝国のために献身した人物として評価された。彼の名前にちなんだ通りの名前である「ペータース通り」(Petersalle)がアフリカ地区を通っていた。
 アフリカ諸国とドイツ植民地の「開拓英雄」たちの名前は、アフリカ地区のいたる所で通りの名称として名が刻まれている。ここに根を下ろしたアフリカ系移民たちは、平穏を甘受すべき空間の前で、常に「加害者の歴史」に直面することになる。
 ところが、8月23日にペータース通りの前で小さな祭りが開かれた。カール・ペータースの名を消し、2つの新たな表示板を取り付けるためだった。ドイツの植民地支配に対抗したタンザニア人の抵抗運動の名前から取った「マジマジアルレ」(Maji-Maji-Alle)と、同じくドイツの植民地だったナミビアのアパルトヘイト(「分離」を意味する人種差別政策)に反対した女性活動家のアンナ・ムングンダの名前からとった表示板だ。脱植民主義の活動家たちの長きにわたる要求とミッテ区議会の決定、法廷闘争の末に勝ち取った成果でもあった。
 植民地主義の歴史を示す通りの名称は、次々と新たな名前に置き換えられてきた。ある活動家はドイツメディアのインタビューで「アフリカ地区は、今や反植民地の空間に変わった」と自負を示した。しかし、72歳のタンザニア出身の活動家のムンヤカ・スルル・ムボロさんは、このようになるまで「40年の時間がかかった」と語った。
 都市は変わっているのだろうか。カール・ペータースが消えたこの町角から約3キロメートル離れたところには、日本軍「慰安婦」被害を象徴する平和の少女像が撤去の危機に直面している。そこでは「アリ」という名で呼ばれる少女像は、4年前にミッテ区の公共の敷地に建てられ、日本政府の圧力にもかかわらずその場所を守っていたが、ミッテ区庁は「これ以上の期間延長は不可」として、少女像を設置した市民団体に9月末までに撤去するよう要求している。この決定を撤回するよう請願したミッテ区民の数は、いまや3000人を超えた。あるアフリカ系男性は少女像の前で、旧ドイツ軍による性的暴行を受けて妊娠した自分の祖母の話をしたという。彼はアリが自分の妹のように感じられると語った。少女像を建てたコリア協議会は、昨年もベルリンの地域社会の学校や青少年団体で子どもたちに会い、日本を越えてドイツやルワンダなどで発生した植民地時代の戦時性暴力問題を話した。
 この場所で少女像が単なる韓日関係や歴史的対立の手段として片付けられない理由は、ミッテ区のドイツ人たちが語っている。ミッテ区のシュテファニー・レムリンガー区長は、カール・ペータースの名が町から消えたことは「正しくて良いこと」だとしながらも、市民社会に感謝を示しながら「非常に長くかかったことを後悔する」と述べたという。少女像に向けられた区長の最後の返事が気になる。

チャン・イェジ|ベルリン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-08-29 19:42


「The Hankyoreh」 2024-08-05 07:22
■【社説】佐渡鉱山の「外交惨事」に続き、「慰安婦消し去り」も黙認するのか

【写真】ドイツ・ベルリンのミッテ区に設置された「平和の少女像」=ベルリン/チャン・イェジ特派員//ハンギョレ新聞社

 日本軍「慰安婦」問題の真実を伝えるために韓独の市民社会団体がおこなってきた様々な事業を中止させることを狙った日本政府の攻勢が、一つ二つと効果をあげつつある。4年前にベルリンのミッテ区に設置された「平和の少女像」を来月末までに撤去せよとの決定を引き出したのに続き、最近では4月に韓国系人権団体がおこなった慰安婦教育事業に対する支援の中止決定の過程に深く介入していたことが確認された。佐渡鉱山で大きな「外交惨事」を引き起こした尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、戦時に女性に加えられた残酷な「戦争犯罪」である慰安婦問題に対してだけは、明確な立場をもって日本に反対しなければならない。
 ドイツの公共放送であるベルリン=ブランデンブルク放送(RBB)は3日(現地時間)、在ドイツ市民団体「コリア協議会」の申請した8万7000ユーロ(約1390万円)規模の「慰安婦」教育プログラムに対する支援が今年4月に不許可とされたことに、ベルリンのカイ・ウェグナー市長が影響を及ぼしたと報道した。RBBは消息筋の話を引用して、ウェグナー市長は市のプログラムに対する支援の可否を最終決定する諮問委員会のある委員に連絡し、「日本政府との対立が生じる恐れがある」として、同団体の申請を不許可とするよう要求したと伝えた。日本政府がドイツの自治体に圧力をかけ、慰安婦問題の真実を伝えようとする現地の市民団体の活動を中止させたわけだ。
 日本政府はこれまで、2020年9月に韓独の市民社会団体の協力によって同市ミッテ区に設置された少女像を、執ように撤去させようとしてきた。日本の岸田文雄首相が2022年4月にドイツのオラフ・ショルツ首相との会談の際に撤去を要求したほか、ベグナー市長は今年5月の上川陽子外相との会談で、「物議を醸しているベルリンの少女像問題に対する解決策を提示した」として撤去の可能性を強く示唆した。NHKは先月12日、ベルリン市が9月28日以降に少女像を撤去するよう同団体に求めたと報じた。コリア協議会のハン・ジョンファ代表はハンギョレに「日本政府が教育事業まで妨害するとは思わなかった」と語った。
 産経新聞などの日本メディアは2014年ごろから、慰安婦問題について「歴史戦」という表現を使って政府の積極的な対応を求めてきた。だが尹錫悦政権は、2015年12月の「慰安婦合意」の際に「第三国内での少女像設置を支援しない」とした、いわゆる「裏合意」を口実として、日本の「歴史歪曲」を沈黙をもってほう助している。尹政権は、戦争犯罪の真実を伝えようとする世界市民の側に立ち、歴史の真実を隠そうとする日本の動きを阻止しなければならない。
(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
勧告後韓国語原文入力:2024-08-04 19:00


「The Hankyoreh」 2024-08-05 07:27
■「少女像撤去の危機」のベルリン、「慰安婦」教育プログラムにも支援中断

【写真】ドイツ・ベルリンのミッテ区に設置された「平和の少女像」=チャン・イェジ特派員//ハンギョレ新聞社

 ドイツのベルリンに設置された「平和の少女像」(以下少女像)が撤去の危機に直面した中、ベルリン市長が日本政府との軋轢(あつれき)を懸念し、市民団体の「慰安婦」教育プログラムに対する支援も中断するために圧力を加えたというドイツ現地メディアの報道が出た。結局このプログラムは支援が途絶え、この過程で日本大使館が影響力を行使しようとしたという疑惑も持ち上がった。
 ドイツの公共放送である「ベルリン=ブランデンブルク放送(RBB)」は3日(現地時間)、ベルリンのカイ・ウェグナー市長がドイツの市民団体「コリア協議会」が申請した8万7000ユーロ(約1390万円)規模の「慰安婦」教育プログラムへの支援を許可しないよう影響を及ぼしたと報道した。同放送はある消息筋の話として、ウェグナー市長が市のプログラムへの支援の可否を最終決定する諮問委員会のある委員に連絡し、日本政府と軋轢が生まれかねないとして、コリア協議会の申請を断るよう求めたと報じた。同放送はこのような内容が匿名を要求した「複数の消息筋」によって確認されたとも付け加えた。
 コリア協議会は、ベルリン市が支援する文化教育のための基金を申請したが、4月に脱落した。基金は芸術家と教育者で構成された審査団の評価を経て、これをもとに11人で構成された諮問委員会が決めて支給する構造だ。諮問委員会はベルリン市上院など市政府の内部委員と外部委員で構成される。評価過程で審査団はコリア協議会プロジェクトへの支援を推薦したという。
 しかし、ウェグナー市長が諮問委員会に連絡した後に行われた表決で、コリア協議会のプロジェクトは支援対象から除外された。ベルリン市上院はこれに対するRBBの質問に対し、「プロジェクト(支援するかどうか)の決定は共同で、多数決によって行われる。委員会は一般に公開されないため、決定に関する内容については答えられない」と述べた。ただし、ハンギョレが確認した文書によると、ベルリン市は先月26日、社会民主党(SPD)のマルセル・ホープ議員が今回のプロジェクトが支援対象に含まれなかった理由を尋ねる質疑に「(プロジェクトに対する)多様な観点をめぐり議論が交わされた。ベルリンは女性に対する性暴力イシューを重要視しているため、この事案は慎重に扱われた」と答えたと明らかにしている。
 コリア協議会が基金支援対象から除外された後の5月、ウェグナー市長は日本の上川陽子外相と面会した際、「変化を作ることが重要だ」として少女像の撤去を示唆する発言をし、少女像撤去を求める主張を後押しした。
 諮問委員会の決定に日本大使館も影響を及ぼそうとした情況も報道で明らかになった。日本大使館がベルリン中心部のポツダム広場にある5つ星ホテルに諮問委員数人を招待し食事をしたということだ。この内容を伝えた消息筋は、「当時、大使館の文化分野担当官が、最初は諮問委員の活動に関心を示していたが、話題を変えてコリア協議会のプロジェクトに反対票を投じるよう説得した」と語った。
 この夕食会に招待された委員らは、実際の表決ではコリア協議会の支援に賛成したが、ベルリン市政府と関係のある委員らが反対票を投じたため、コリア協議会は支援の対象から外されたと、RBBは報じた。
 日本大使館側は夕食会への招待について答弁しなかった。しかし「(コリア協議会の)プロジェクトは少女像を一方の話だけを伝える用途に使われている」とし、「アジアに対する知識が多くない若いドイツ人に反日感情を植え付けている」とRBBに述べた。
 コリア協議会がベルリン市に予算支援を申請したプログラムは「私の隣りに座って」という名前のプロジェクトで、すでに2021年から今年上半期までベルリン市の補助金を受けて進めてきたプロジェクトの延長だった。このプロジェクトは、性暴力被害女性たちが自ら声を上げた「慰安婦」被害の歴史を、青少年に教育することから始まる。コリア協議会がミッテ区に設置した少女像を見学し、芸術家とコラボして戦時性暴力問題と関連した作品を作る活動を支援する。市民の後援を通じて主に運営されるコリア協議会は、財政難の解消および歴史教育のためにベルリン市の支援を受けており、今回は6区で8つの青少年団体とともに活動する計画もあった。
 同プロジェクトを主導したコリア協議会のハン・ジョンファ代表はハンギョレに「日本政府の少女像(撤去)圧力は承知していたが、教育事業まで妨害するとは思わなかった」とし、「ドイツの政治家たちもまた日本の(要求に)同調者になったわけで、その点にさらに失望した」と語った。
ベルリン/チャン・イェジ特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-08-04 19:41


「中央日報日本語版」 2024.08.01 17:57
■韓国最高裁「ナヌムの家、後援金払い戻すべき」…返還訴訟終盤で覆す
 慰安婦被害者支援施設である「ナヌムの家」の後援者に返すべきという最終判断が出された。韓国大法院(最高裁)は1日、慰安婦被害者後援金返還訴訟対策会がナヌムの家の運営者である社会福祉法人大韓仏教曹渓宗ナヌムの家を相手に起こした後援金返還訴訟で、原告敗訴と判断した原審を破棄し事件をソウル中央地裁に差し戻した。

◇「慰安婦被害者後援目的と使用が不一致…取り消しの理由」
 大法院は「ナヌムの家が表示し後援者が認識した後援契約の目的と後援金の実際の使用現況の間に錯誤と評価できるほどの不一致が存在する。後援者が錯誤に陥らなかったならば後援契約締結に至らなかっただろう」と指摘した。「法律行為内容の重要部分に錯誤がある時には取り消すことができる」という民法第109条に該当するという趣旨だ。
 裁判所が指摘した錯誤は「後援の目的」だ。ナヌムの家は後援金を受けながら、①慰安婦被害者福祉②慰安婦歴史館建設③国際平和人権センター建設――などそれぞれの目的に使われる口座を別々に記載し、原告は①慰安婦被害者福祉口座に後援した。だが「多くの後援金が特定建物の建設用途として法人に留保されている。原告の認識と一致しない」と判断した。
 訴訟は2020年に尹美香(ユン・ミヒャン)元議員が理事長を務めていた正義記憶連帯の会計不正議論から始まった。ナヌムの家は正義連とともに日本軍慰安婦被害者を支援する2大団体のひとつだ。正義連問題の直後にナヌムの家の職員が国民権益委員会などにナヌムの家運営陣の不正運営疑惑を提起し事件が公論化した。
 事件を調査した京畿道(キョンギド)官民合同調査団は2020年8月、「2015~2019年の後援金89億ウォンのうち慰安婦被害者が生活しているナヌムの家に送られた金額は2.3%の2億ウォンにすぎなかった。法人と施設の会計処理と運営が分離できていなかった」と発表した。国家人権委も同年10月、「ナヌムの家で多くの人権侵害事実を確認した」と明らかにした。
 こうした状況を基に対策会所属の50人ほどがナヌムの家と正義連を相手に「被害者のために使用しないのに後援者をあざむいて後援金を募集した」として9000万ウォンの返還を求める訴訟を提起した。ただ正義連に対する訴訟は1審の途中で尹元議員の刑事事件(横領・背任容疑)裁判が別に進行中である関係から分離し、ナヌムの家を相手取った原告23人だけが残った。
 2022年12月の1審で裁判所は「ナヌムの家が後援金を慰安婦被害者支援に使う意思がなかったのに原告をあざむいたり錯誤させて後援契約を締結させたとは見がたい」として原告敗訴の判決を下した。「後援者がナヌムの家という施設にだけ使われるよう目的を限定して後援したものと断定しがたい」という理由からだ。「ナヌムの家ではない所で生活する慰安婦被害者支援も社会福祉活動領域に該当する」という次元だ。
 また、裁判所は「後援金89億ウォンのうち2億ウォンだけ施設に支出した」という事実は認めながらも、「ナヌムの家は留保された後援金を必要な場合いつでも慰安婦被害者のために使う計画であることを明らかにした」点も指摘した。昨年11月の2審で裁判所はやはり「1審判決は正当だ」としてこれを維持した。
 大法院関係者はこうした原審を覆した最終判断に対し、「後援者が認識した契約の目的と後援金の実際の使用現況の間に錯誤と評価できるほどの程度の不一致が存在する場合、契約を取り消すことができると判断したもの。行為当時の将来に対する認識が実際の事実と違うならば錯誤に該当するとみたもの」と説明した。


「 中央日報 日本語版」 2024.08.01 11:05
■ドイツ市民2216人「ベルリンの少女像を守ってほしい」請願
 ドイツ・ベルリン市民約2000人が撤去の危機に置かれた平和の少女像を存置してほしいと請願した。
 在独市民団体コリア協議会は31日(現地時間)、少女像があるベルリン・ミッテ区の住民2216人が署名した請願を区議会に提出した。
 住民たちは「少女像は特に若者たちに生きている記憶と学びの場所」とし「学生や研究者、芸術家たちが性暴力と植民主義、記憶文化について討論している。このような意味と参加を尊重し、少女像を永久に存置しなければならない」と求めた。
 ミッテ区役所と区議会は規定上、地域問題に対して1000人以上の住民が請願すれば正式案件として扱わなければならない。
 ベルリンの少女像は2020年9月の設置直後、日本側の問題提起で区役所が撤去を命令したが、コリア協議会が裁判所に仮処分を申請して保留された。
 その後、1年ずつ2回にわたって特別許可を得て席を守った。区役所は許可期間が終わった2022年9月以降には裁量で容認してきたという立場だ。
 区議会はこれまで少女像の永久存置を求める決議案を数回採択してきた。しかし区役所は少女像を設置したコリア協議会に過怠金を課するとして、9月28日までに自主撤去を求めた。


「聯合ニュース」 2024.07.12 13:49
■慰安婦被害者が暮らす「ナヌムの家」 記念館への転換模索=入居者全員が施設離れる
【広州聯合ニュース】旧日本軍の慰安婦被害者が共同生活を送る韓国・ソウル近郊の施設「ナヌムの家」(京畿道広州市)の入居者全員が施設を離れたことが、12日分かった。

「ナヌムの家」に故人となった被害者の胸像が設置されている=(聯合ニュース)
 施設側と広州市によると、2022年12月に入居者の一人、李玉先(イ・オクソン)さんが死去した後は3人が施設に残っていたが、今年2月に相次いで健康状態が悪化。翌月にかけて全員が療養施設に移された。今後施設に戻る可能性は薄いという。
 施設を運営する社会福祉法人「大韓仏教曹渓宗ナヌムの家」は、施設全体を「慰安婦記念歴史館」に転換する計画だ。ナヌムの家の代表理事を務める性華(ソンファ)僧侶は「生活施設の一部はそのまま残して展示室として使用し、食堂などは用途変更工事を行って施設全体を記念歴史館にすることを検討している」と述べた。
 現在、ナヌムの家は療養施設として登録されているが、記念歴史館の運営は社会福祉事業法で規定された事業に該当せず、社会福祉法人が運営することはできなくなる。性華僧侶は、国または地方自治体が運営するか、ナヌムの家と他の特殊法人が共同で運営する方式のいずれかになるだろうとして、近く曹渓宗内部で会議を行って決定すると説明した。
 また、これまでは宗教的観点からつらい経験をした慰安婦被害者を支援することに集中してきたが、今後は戦争を知らない世代に歴史の痛みと弱小国の苦痛を伝え、国の大切さを知らせる施設として生まれ変わると強調した。

【写真】昨年8月、「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」の記念式典に出席した被害者(中央)=(聯合ニュース)
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「北朝鮮の国際私立大 外国人教授陣が一部復帰=コロナ禍経て4年ぶり」

2024年09月03日 | 北部朝鮮
「聯合ニュース」 2024.09.02 10:08
■北朝鮮の国際私立大 外国人教授陣が一部復帰=コロナ禍経て4年ぶり
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮唯一の国際私立大、平壌科学技術大の外国人教授陣が、新型コロナウイルス感染症の世界的流行(パンデミック)により北朝鮮を離れて以来、4年ぶりに復帰したことが分かった。複数の韓国政府筋が2日、伝えた。

【写真】2011年の平壌科学技術大での授業の様子(東北アジア教育文化協力財団提供)=(聯合ニュース)

 韓国の南北統一政策に関する大統領諮問機関、民主平和統一諮問会議の太永浩(テ・ヨンホ)事務処長(次官級)は聯合ニュースの取材に対し、「先月末、ジュネーブ側の消息筋から北が平壌科学技術大の教授陣に入国ビザ(査証)を発給したという話を聞いた」と明らかにした。
 ビザが発給された人数は分かっていない。
 平壌科学技術大は理工系に特化した国際私立大で、2010年に韓国の民間団体と北朝鮮教育省が開校した。教授陣は韓国系米国人など主に米国・欧州国籍を持つ人物で構成され、授業は全て英語で行われる。
 2020年に新型コロナのパンデミックにより北朝鮮が国境を封鎖したことを受け、平壌科学技術大の教授陣も他の外国人とともに北朝鮮を離れた。これ以降はオンライン授業となり、十分な教育が行われなかった。
 教授陣が今年3月の開講を前に北朝鮮当局に申請したビザは発給されなかったが、先月末に一部が入国許可を受けたとされる。
 太氏は「北の当局がビザを発給したということは、外国人教授陣の安全を保障するという意味」とし、北朝鮮滞在に問題はないだろうと説明した。
 政府筋によると、ビザの発給を受けた教授陣は既に平壌に到着したという。

【写真】2011年の平壌科学技術大での授業の様子(東北アジア教育文化協力財団提供)=(聯合ニュース)

 北朝鮮が昨年後半に国境を一部開放してから、西側諸国の国籍を持つ外国人に長期滞在ビザを発給したのは事実上初めて。西側諸国の公館や国際機関のスタッフは現在も北朝鮮に復帰できていない。
 今年2月末に英国、ドイツなど北朝鮮に公館を置く欧州諸国の代表団が訪朝したが、これは公館の再開に必要な「技術的点検」のための一時的な訪問だった。
 北朝鮮はこのところ、社会主義国以外に対しても少しずつ門戸を開く動きをみせている。
 先月27日には在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)系列の朝鮮大学校の学生が団体で訪朝した。
 韓国政府によると、正確な時期は不明だが在北朝鮮スウェーデン大使館の運営再開も決まった。
 崔善姫(チェ・ソンヒ)外相が9月下旬に米国で開かれる国連総会への出席を調整しているという日本メディアの報道も出ている。
 政府筋は「北が西側諸国に向けて少しずつ接点を持とうとする動きが見える」として「11月の米大統領選後に交渉の局面が展開される際に備えた動きの可能性があり、注視している」と述べた。
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