三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

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日本の教科書検定 韓国政府が「深い遺憾」表明=「強く抗議」

2023年03月28日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「聯合ニュース」 2023.03.28 15:50
■日本の教科書検定 韓国政府が「深い遺憾」表明=「強く抗議」
【ソウル聯合ニュース】日本政府が28日、日本による植民地時代の朝鮮半島出身者の徴兵関連記述の強制性を薄め、独島の領有権主張を強化した小学校教科書の検定結果を公表したことについて、韓国外交部は「日本政府が数十年間続けてきた無理な主張を踏襲した小学校教科書の検定を通過(合格)させたことに深い遺憾の意を表す」とする報道官声明を出した。

【写真】ソウル・永登浦にある「独島体験館」=28日、ソウル(聯合ニュース)

 声明は「歴史的・地理的・国際法的に明白な韓国固有の領土である独島に対する不当な主張が盛り込まれた教科書の検定を再び通過させたことに強く抗議し、独島に対する日本のいかなる主張も受け入れられない」と強調。「強制動員関連の表現と記述が強制性を薄める方向で変更されたことに強い遺憾を表明し、日本政府が自ら表明してきた歴史関連の謝罪と反省の精神を真摯(しんし)に実践していくことを促す」と求めた。
 また、「両国の建設的かつ未来志向の関係構築のためには、未来を担う世代の正しい歴史認識が土台にならなければならない」としたうえで、「日本政府は歴史を直視する中で、未来世代の教育により責任ある行動を示すべきだ」と促した。


「中央日報日本語版」2023.03.28 16:16
■「竹島は日本領」とする日本の教科書が検定通過…韓国政府「強く抗議」
 韓国政府は28日、日帝強占期の朝鮮人徴兵に関し強制性を薄める方向で記述された日本の小学校教科書が検定審査を通過したことに対し強い遺憾を表わした。
 韓国外交部はこの日報道官名義の声明を出し、「日本政府がこの数十年間受け継いできた無理な主張をそのまま踏襲した小学校教科書を検定通過させたことに対し深い遺憾を表明する」と明らかにした。
 続けて「歴史的・地理的・国際法的に明白な韓国固有の領土である独島(ドクト、日本名・竹島)に対する不当な主張が盛り込まれた教科書を再び検定を通過させたことに対し強く抗議し、独島に対する日本のいかなる主張も受け入れられないということを明確に明らかにする」と強調した。
 韓国政府はまた、「強制動員関連の表現と叙述が強制性を薄める方向に変更されたことに強い遺憾を表明し、日本政府が自ら明らかにした過去史関連の謝罪と反省の精神を真正性あるよう実践していくことを促す」とした。
 合わせて「韓日両国間の建設的で未来志向的な関係構築に向けては未来を担っていく世代の正しい歴史認識が基礎にならなければならない。日本政府は歴史を直視する中で未来世代の教育において、より責任ある行動を見せなければならないだろう」と付け加えた。
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「韓国水産業界、福島原発汚染水放出に「言えない悩み」…その理由は?」

2023年03月28日 | 
「The Hankyoreh」 2023-03-28 09:48
■韓国水産業界、福島原発汚染水放出に「言えない悩み」…その理由は?

【写真】日本の福島原発汚染水のタンク/聯合ニュース

 日本政府の福島原発汚染水の海洋放出が秒読みに入り、韓国の水産業界の懸念が高まっている。太平洋沿岸国である米国と国際原子力機関(IAEA)も日本政府の方針をかばう状況で、韓日関係改善に必死な韓国政府まで緩い態度を取っているためだ。
 27日の本紙の取材を総合すると、済州島(チェジュド)や南海(ナムヘ)など日本と接する水域の漁業者たちは、汚染水放出反対集会を計画するなど強く反対している。済州島の水産業界は「汚染水放出で済州の水産業界が被ることになる被害額は4483億ウォンと推定される」とし「これは済州地域の水産物の生産額9121億ウォンの49.4%にもなる規模」だと明らかにした。韓国の養殖業売上額の60%以上を占める南海岸の漁業者も9日、糾弾集会を開き、韓国政府の強い対応を求めた。
 現地の漁業者の反発にもかかわらず、韓国の代表的な水産団体は意外にも静かだ。日本政府を糾弾し、政府の強い対応を求めた昨年とは全く違う雰囲気だ。韓日関係改善を最優先の外交目標に設定した政府が、汚染水放出に対しても一歩引いた態度を示しているからだ。韓国水産業経営人中央連合会のキム・ソンホ会長は、最近の本紙の電話取材で「すでに日本がこれを承認して放出を防ぐことができない状況に至り、海流上の汚染水が一番最初に到着する米国などでも反対する動きがないため、私たちが先に積極的に乗り出すのは難しい」と話した。
 水協中央会のイム・ジュンテク前元会長も「(最近の水産団体長らとの懇談会で)汚染水を放出したら、我々が先制的に放射能検査を実施し、水産物の安全性を広報しなければならないという話だけが交わされた」とし「汚染水放出が水産物の安全には大きな問題を起こさないというので、ひとまず見守るべきではないかという雰囲気だ」と伝えた。イム前会長は今月24日に水協中央会長の任期を終えた。韓国水産貿易協会のペ・ギイル会長も先月24日の定期総会で「水産団体が汚染水放出に強く反対すれば、それがブーメランになって返ってくる。汚染水問題については専門家が話すべきであり、(我々が先に乗り出せば)韓国の水産物消費が減る」と述べ、言及を控えた方がいいという意見を明らかにした。
 主な水産団体の反応の変化に、現場の水産業従事者たちは不満を吐露する。仁川地域のある韓国水産産業総連合会の会員は「昨年12月の臨時総会で2023年事業計画に『福島原発汚染水放出阻止』を明文化した」とし、「突然、今になって尻尾を下げる理由が理解できない」と強く不服を唱えた。実際、同協会は汚染水海洋放出阻止活動と関連して2千万ウォンの予算を立てた。仁川地域の他の会員たちも「水産団体の役員たちが突然、日本政府の論理に歩調を合わせはじめている。この調子では、今後の被害をそのまま韓国国民が被ることになるだろう」と警告した。
 日本政府は、今年6月までに福島の事故原発の敷地に保管中の汚染水を海岸に運ぶ配管工事を終えた後、汚染水を海に捨てる計画だ。韓国海洋科学技術院と韓国原子力研究院が先月発表したシミュレーション結果によれば、福島原発汚染水は放出後3~4年たって韓国海域に到達することになる。
イ・スンウク、イ・ジョンハ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/area/capital/1085428.html
韓国語原文入力:2023-03-28 09:00


「中央日報日本語版」 2023.03.24 11:37
■日本原発汚染水の放流が間近に···韓国、放射能検査の拡大など安全性確保を強化

【写真】海洋環境公団が釜山沖に位置する定点で海洋放射能調査試料を採取している。[写真 海洋水産部]

 韓国慶尚南道(キョンサンナムド)は24日、海洋港湾課に水産物安全担当を新設するなど、水産物安全性の確保と体系的な対応に集中すると発表した。
 道は水産物安全管理センターに放射能分析装備を既存の1台から4台に拡大し、専門人材も1人から3人に増やした。
 生産段階の水産物放射能検査量を年間300件から1000件に拡大し、その結果を道庁ホームページに掲載している。
 日本の原発汚染水放流に対する国民的懸念が大きいだけに、海洋水産部と原子力安全委員会に道内海域の海洋放射性物質の定点調査の追加を申し立て、従来の5カ所から8カ所に拡大した。
 出荷段階でも放射能検査を強化するため、今年初めて水協の委託販売先10カ所に携帯用放射能測定装備を支援する。
 韓日海峡沿岸に位置する5市道〔慶南(キョンナム)・釜山(プサン)・蔚山(ウルサン)・全南(チョンナム)・済州(チェジュ)〕は実務協議会を設け、原発汚染水の放流に共同で対応している。今後、きめ細かい放射能監視網を構築するために海洋放射性物質の定点調査2カ所の追加と委託販売場・共販場の放射能検査装備支援事業の拡大を海洋水産部に申し立てる計画だ。
 年中常時原産地表示地図の取り締まりで輸入水産物の流通管理を強化し、特に日本産水産物の特別点検を年4回に拡大する。
 慶南道のソン・フンテク海洋港湾課長は「細かい放射能監視体系を構築し、水産物の食べ物に対する安全を確保し、放流に備えた水産物消費活性化、漁民被害対策も検討する計画」と話した。


「The Hankyoreh」 2023-03-22 10:22
■福島原発の汚染水放出前からトラブル…測定用タンクに別の水が8トン流入
 重要な作業で問題生じたが 
 東電「放出時期への影響はない」

【写真】福島第一原発の敷地に放射性物質汚染水を入れたタンクが並んでいる/AP・聯合ニュース

 日本が東京電力福島第一原発の汚染水の海洋放出のために主要な設備の稼動を始めた中、最初から問題が発生した。汚染水の汚染程度を測定するために保管していた水に他の水が混ざってしまったという。
 同原発を運営する東京電力は、放射性物質汚染水の浄化濃度を確認するために(多核種除去設備(ALPS)で処理した)汚染水を入れておいたタンクに別のタンクの水が流入したことを発表したと、朝日新聞など日本メディアが21日付で報じた。東京電力は福島原発敷地内のタンクに保管している汚染水の放射性物質濃度を法的基準値以下に下げた後、今夏から30年かけて海に放出する予定だ。これに先立ち、汚染水に放射性物質がどれだけ残っているかを測定している。放出を進める上で最も重要な作業だ。
 東電は汚染水タンクを10基ずつ、受け入れ・測定・放出の3つの群に分けて汚染水放出作業を進める計画だ。ところが、この過程で測定群ではないタンクから水が8トンほど流出したことが発見された。測定対象ではないタンクの汚染水が測定用のタンクに流入したのだ。タンクをつなぐ配管の電動弁が完全に閉まっていなかったことが原因とみられる。東電は朝日新聞に「その時に放出しようとする水だけを(放射性物質の汚染濃度を)分析することが大事で、混ざってしまうのは問題なので運用面の見直しを検討する。放出時期への影響はないと考えている」と述べた。
 日本政府は、福島原発敷地内にあるタンクに保管している汚染水を海の近くまで運ぶ配管工事などを6月までに終える予定だ。この作業が終われば海への放出が始まる。
 岸田文雄首相は16日の韓日首脳会談で、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対し、福島原発汚染水の放出に協力してほしいと述べたことが確認された。ある与党関係者は本紙に対し、「岸田首相が韓日首脳会談で尹大統領に『処理水放出施設の工事が終わったら(放出に)協力してほしい』と話した」とし、「尹大統領は『汚染水排出は国際規定を守らなければならず、これを確認する過程で韓国の専門家や機関が参加しなければならない』という趣旨で答えた」と伝えた。
チョ・ギウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1084607.html
韓国語原文入力:2023-03-22 09:28


「The Hankyoreh」 2023-03-21 08:04
■岸田首相、韓日首脳会談で福島原発汚染水放出への協力を要請
 韓国与党関係者、岸田首相の発言伝え 
 「尹大統領、『国際規定を守るべき』との趣旨で答えた」
 岸田文雄首相が16日の韓日首脳会談で、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に福島原発汚染水の放出に対する協力を要請したことが、20日に確認された。
 ある韓国与党の関係者は同日、本紙の取材に対し「岸田首相が韓日首脳会談で尹大統領に『福島原発汚染水の放出施設の工事がまだ終わっていない。施設工事が終われば(汚染水の放出に)協力してほしい』と述べた」とし、これを受け「尹大統領は『汚染水の排出は国際規定を守らなければならず、これを確認する過程で韓国の専門家や機関の参加が必要だ』という趣旨で答えた」と伝えた。このような内容は19日の「国民の力」指導部にも共有されたという。
 尹大統領は17日、菅義偉前首相が福島第一原発汚染水の海洋放出について韓国の理解を求める発言をした際も同様の趣旨で答えた。
 大統領室は、韓日首脳会談で福島原発汚染水の放出が首脳会談の議題になったかどうかについては言葉を濁した。国家安保室のキム・テヒョ第1次長は18日、「YTN」に出演し、福島原発汚染水関連の話が交わされたかという質問に「首脳会談の対話は公開できない」と答えた。
ソ・ヨンジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1084401.html
国語原文入力:2023-03-2022:18


「聯合ニュース」 2023.02.28 17:38
■福島汚染水の海洋放出 韓国・釜山市がTF設置
【釜山聯合ニュース】韓国で東京電力福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出計画に対する懸念が高まっている中、南部の釜山市は28日、安炳ユン(アン・ビョンユン)副市長を団長とするタスクフォース(TF、特別チーム)を設置すると発表した。

【写真】ソウル中心部の光化門で、環境団体が日本政府に汚染水海洋放出計画の撤回を求めてパフォーマンスを行った=28日、ソウル(聯合ニュース)

 海水や水産物に含まれる放射性物質を監視・分析する放射能評価班など4班、13課で構成されるTFは、汚染水の放出前には毎月1回、放出後には毎週1回会議を開いて対策を議論する計画だ。 
 状況が深刻な場合は朴亨埈(パク・ヒョンジュン)市長を本部長とする対策本部に格上げして全面的な対応に乗り出す。
 また、釜山市は海水の放射性物質無人監視網と食品の放射性物質分析装置の設置費として5億7000万ウォン(約5860万円)を確保し、検査情報を同市のホームページやSNS(交流サイト)で公開する計画だ。
 釜山市傘下の研究機関、釜山研究院が1月25日から2月3日まで市民1840人を対象に行ったアンケート調査の結果、回答者の87%が汚染水の海洋放出を危険と考えていると答えた。また、回答者の過半数が水産食品や海洋観光に影響を及ぼす可能性があると回答した。


「聯合ニュース」 2023.02.28 16:23
■福島原発汚染水の分析結果 3月中にIAEAへ提出=韓国の検証参加機関
【大田聯合ニュース】東京電力福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出を巡り、汚染水の放射性物質の検証に加わっている韓国原子力安全技術院は28日、最初の分析結果を3月中に国際原子力機関(IAEA)に提出する予定だと発表した。同院は昨年10月、米国、フランス、スイスなどとともに日本側から多核種除去設備(ALPS)で放射性物質を取り除いた処理済み汚染水を受け取り、分析を進めてきた。
 
【写真】東京電力福島第1原子力発電所に設置されているポンプ(資料写真)=(聯合ニュース)

 福島第1原発では敷地に流入する地下水や雨水などにより汚染水が発生しており、東京電力はこれをALPSで処理した上で敷地内タンクに保管している。日本政府が2021年に汚染水の海洋放出方針を発表すると、IAEAは他国と共にタンク内の汚染水の放射性物質成分を検証することを決めた。
 IAEAは昨年3月、10月に検証参加機関の立ち会いの下で汚染水を採取し、分析を依頼した。昨年3月に採取した汚染水の検証には全ての機関が参加し、10月採取の汚染水の検証には韓国のみが第三者機関として参加する。
 IAEAは機関ごとの分析結果をまとめた最終結果を公表する予定だが、公開日は未定。このため、日本の海洋放出開始が今年の春から夏ごろという当初の計画よりも遅くなる可能性も指摘されている。
 原子力安全技術院の関係者は27日に開いたメディア向け説明会で、同院が加わっている検証は日本の分析結果が正しいのか間違っているのかを見極めるものだとし、IAEAの検証の進行ペースが計画よりも大幅に遅れていると伝


「中央日報日本語版」 2023.02.24 15:22
■原発汚染水放出、G7の承認を得ようとする日本…中国メディア「隣国に被害」
 日本政府が福島第1原発の放射能汚染水を海に放出する案に関連し、主要7カ国(G7)の承認を得ようとしている。これに関連し中国国営グローバルタイムズは23日(現地時間)、自国の立場を代弁する専門家を引用し、環境と人間の健康に取り返しのつかない被害になると反発した。
 共同通信など日本メディアによると、今年のG7議長国の日本は広島で開催されるG7の共同声明に、汚染水放出のための「透明性のあるプロセスを歓迎する」という表現を盛り込もうとしている。先月、日本政府と東京電力は今年の春または夏に汚染水の放出を始める計画を発表し、海底トンネルなど放出に必要な施設を設置する工事が進行中だ。
 中国黒竜江省社会科学院北東アジア研究所のダ志剛研究員はグローバルタイムズのインタビューで「ウクライナ事態と朝鮮半島の緊張状況に対応し、日本は西側国家を(汚染水放出)計画に動員しようとしている」と主張した。
 米国はすでに日本の汚染水放出計画を支持する意思を明らかにした。米国務省が声明を出し、「日本は世界的に通用する原子力安全基準に基づきプロセスを採択したとみられる」という意見を出した。
 韓国政府は日本の汚染水が国際法と国際基準を満たす方式で処理されるよう持続的に検証するという立場を明らかにした。
 福島汚染水の放出に関連して14日に開かれた国連安全保障理事会の会議では中国とロシアの代表が懸念を表明した。中国の張軍国連大使は「日本が原発汚染水を海に放出すれば、地球の海洋環境と生態系、すべての国の国民の生命と健康を深刻に脅かす」とし「日本政府は汚染水放出プログラムを強制的に承認させることに血眼になっている。そのような行動は極めて無責任だ」と非難した。


「中央日報日本語版」 2023.02.23 08:02
■韓国政府「福島原発汚染水の海洋放出、国民の安全ために引き続き検証する」
 日本原子力規制委員会(NRA)が福島原発汚染水の海洋放出に関連し、測定対象を従来の64核種から30核種に減らす内容の修正案を承認したことに関連し、韓国政府は22日、「国民の健康と安全を最優先的な原則として、汚染水が科学的・客観的に安全かつ国際法・国際基準に符合する方式で処分されるように持続的に検証していく」と述べた。
 この日韓国政府は、東京電力が昨年11月と今年2月に提出した「東京電力福島第一原子力発電所実施計画変更認可申請(ALPS処理水の海洋放出時の運用等)に係る審査書案」をNRAが受理したという事実を確認したと明らかにした。
 韓国政府によると、昨年2月に国際原子力機関(IAEA)モニタリングTF(タスクフォース)は東京電力が予測中心に選ばれた64核種を実際に測定した結果などを反映して実測基盤で再選定する必要があると指摘し、東京電力はこれを反映して測定対象核種を従来の64核種から30核種に再選定した実施計画変更認可を申請し、NRAはこれを受理した。
 NRAは修正案に対して核種選定方式の妥当性を確認し、これに基づく放射線影響評価の結果、汚染水の海洋放出がヒトや環境に及ぼす影響が十分に小さいということを確認したと政府側は説明した。
 IAEAモニタリングTFは昨年11月の第3次訪日調査の際、東京電力の測定核種再選定などの修正事項に対して日本側と詳細に議論した。TFは現在、修正事項に対する適切性などを検討している。
 韓国政府は東京電力が昨年11月に実施計画変更案を日本NRAに提出してから、核種再選定の根拠など関連の技術的な質問を日本側に事前に提示し、昨年12月に開かれた汚染水に関連する韓日局長級テレビ会議を通じて、日本側と技術的な事案について詳細に議論したことがあると明らかにした。
 あわせて「引き続き関係の専門機関で検証していく計画」と付け加えた。
 また「変更審査書案を含め、東京電力の実施計画などに対する科学的・技術的検討を積極的に進め、IAEAの汚染水分析などの検証結果と多核種除去設備(ALPS)など日本側の海洋放出施設の性能などを総合的に確認・評価していく考え」とした。
 続けて「汚染水海洋放出の強行に備えて、韓国遠近海域の放射能調査ポイントの拡大、韓国水産物放射能検査および原産地取締強化、日本産水産物輸入規制の持続および日本船舶に対するバラスト水の管理など、我々の海と水産物の安全に対する管理・統制システムを徹底的に運営していく考え」と強調した。


「The Hankyoreh」 2023-02-23 07:43
■日本、福島原発汚染水の測定核種を64個から30個に大幅削減
 22日、日本の原子力規制委員会で変更案が認可 
 韓国政府「汚染水が国際基準に合わせて処理されるか検証」

【写真】福島第1原発の内部にある原子炉建屋の外部の様子。銃弾に当たったようにあちこち破損している=福島共同取材団//ハンギョレ新聞社

 日本の東京電力が海洋放出を試みている福島原発の汚染水の測定と評価の対象核種が、従来の64個から30個に大幅に縮小された。韓国政府は汚染水が国際基準に合わせて処理されるかどうかを検証するという立場を明らかにしたが、環境団体などは日本が提供した資料をそのまま受け入れてはならないとして、懸念を示した。
 国務調整室、原子力安全委員会、科学技術情報通信部、海洋水産部、食品医薬品安全処は22日、報道参考資料を通じて、日本の原子力規制委員会(NRA)がこの日、昨年11月と今年2月に東京電力が提出した「福島第一原子力発電所特定原子力施設に係る実施計画変更認可申請書」の一部補正を認可した事実を確認したことを明らかにした。
 国務調整室などは、日本の原子力規制委員会が今回の一部補正を認可しつつ「東京電力が測定対象とする放射性核種を従来の64個から30個に再選定したことについて、核種の選定方法の妥当性を確認し、それに基づく放射線の影響評価の結果、汚染水の海洋放出が人間と環境に及ぼす影響は十分に小さいことを確認したと明らかにした」と伝えた。
 韓国政府はこれについて、東京電力が昨年11月に提出した実施計画の修正案に関する技術的な質問を事前に提示し、昨年12月に開催された汚染水関連の韓日局長級テレビ会議で、韓国側の専門家が日本側と技術的な事案について詳細に議論したとし、「今後も韓国国民の健康と安全を最優先とする原則にしたがい、汚染水が科学的かつ客観的に安全であり、国際法と国際基準に合致する方式によって処分されるよう、検証を継続していく」と明らかにした。
 だが、環境団体側は、日本による福島原発の汚染水の測定と評価対象の核種再選定の基準に疑問を呈している。日本が半減期の短い放射性核種を測定対象から除外することについて、太平洋諸島フォーラム(PIF)の科学者パネルであるフェレン・ダルノキ・ベレス米国ミドルベリー国際大学院教授は「日本が半減期の短い同位元素を管理から除外し、寿命の長い同位元素だけをモニタリングするのであれば、問題がある場合もすべてを正常と仮定することが可能になる」とし、「その場合、福島でどのようなことが起きているのか知ることができる『窓』をなくすことになるだろう」と懸念した。
 環境運動連合の市民放射能監視センターの活動家であるチェ・ギョンスク氏はさらに、「福島原発汚染水には、これまで測定されていた64種以外の多くの放射性核種が含まれているが、日本はそのような放射性物質がどの程度あるのかについても明らかにしないまま、不十分な調査をもとに測定項目数を減らした」とし、「韓国政府が、日本の提供した信頼しがたい資料をそのまま受け入れ、いかなる外交的努力もまったく行わなくなっていることは問題」だと述べた。
ソ・ヨンジ記者、キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1080835.html
韓国語原文入力:2023-02-23 02:48


「聯合ニュース」 2023.02.22 21:03
■韓国政府「検証続ける」 汚染水海洋放出計画の一部補正認可で
【ソウル聯合ニュース】東京電力福島第1原発の処理済み汚染水海洋放出計画を巡り、日本の原子力規制委員会が同計画の一部補正を認可したことについて、韓国政府は22日、「国民の健康と安全を最優先原則とし、汚染水が科学的・客観的に安全であり、国際法・国際基準に合った方式で処分されるよう検証を続けていく」と発表した。

【写真】東京電力福島第1原子力発電所に設置されているポンプ(資料写真)=(聯合ニュース)

 また、東京電力の放出計画に対する科学的、技術的検討を積極的に進めるとし、「国際原子力機関(IAEA)の汚染水分析などの検証結果や多核種除去設備(ALPS)など日本側の設備の性能も総合的に確認する」と強調した。
 汚染水の安全性を検証しているIAEAの調査団は昨年2月の1回目の訪日で、東京電力が選定した64種類の測定対象の核種を推計値ではなく実測値にするよう要請。これを受け、東京電力は測定対象の核種を31種類に再選定する修正案をまとめて原子力規制委員会に認可を申請し、このほど認可された。
 韓国政府は東京電力が測定対象の核種を減らした根拠などについて日本側に問い合わせていた。昨年12月に開催された局長級によるテレビ会議でも、日本側と技術的内容について協議した。


「聯合ニュース」 2023.02.16 13:51
■福島汚染水の海洋放出 放射性物質濃度は10年で「10万分の1」上昇=韓国学会
【済州聯合ニュース】日本政府が早ければ今春からと見込む東京電力福島第1原子力発電所の処理済み汚染水の海洋放出を巡り、韓国海洋科学技術院と韓国原子力研究院は16日、放出されれば韓国海域における放射性物質トリチウムの濃度は従来の約10万分の1高くなるとの研究結果を発表した。
 両院の研究者が済州島で開催された韓国防災学会の学術大会で発表したシミュレーション結果によると、日本が10年間にわたり年間最大22テラベクレル(テラは1兆)のトリチウムが含まれた処理済み汚染水を放出すると仮定した場合、福島沖に放出されたトリチウムは10年後に北太平洋全体に拡散し、韓国海域に流れ込むトリチウムの濃度は10年後には1立方メートル当たり約0.001ベクレル前後になる。
 これは現在の韓国海域の平均トリチウム濃度である1立方メートル当たり172ベクレルの10万分の1の水準だ。
 研究陣によると、現在の分析機器では検出できない程度の濃度だという。


「中央日報日本語版」 2023.02.16 14:14
■「日本汚染水10年放出時、韓国海域のトリチウム『10万分の1』増す」
 日本が来月から10年かけて福島原発汚染水を放流する場合、韓国海域の放射性核種であるトリチウム(三重水素)の濃度は従来の10万分の1程度高まるという研究結果が出た。
 韓国海洋科学技術院(KIOST)と韓国原子力研究院(KAERI)の研究陣は16日、済州(チェジュ)ラマダホテルで開かれた韓国防災学会学術発表大会でこのような内容をまとめた「福島汚染水海洋拡散シミュレーション結果」を発表した。
 今回のシミュレーションは日本が10年間で年間最大22テラベクレルのトリチウムが含まれた汚染水を放出するという仮定の下で行われた。
 福島沖に放流されたトリチウムは10年後には北太平洋全体に拡散し、韓国管轄海域に流入するトリチウム濃度は10年後には約0.001ベクレル/立方メートル前後に収束されると研究者は明らかにした。
 0.001ベクレル/立方メートルは現在国内海域の平均トリチウム濃度172ベクレル/立方メートルの10万分の1水準だ。
 これは現在の分析機器では検出が難しい程度の濃度だと研究陣は伝えた。


「中央日報日本語版」 2023.02.15 08:08 
■韓国人の93%「汚染水放出で福島産食品は危険」…中国87% 日本36%
 日本政府が今年上半期に福島第1原発の汚染水を放出すると予告した中、韓国人の90%以上が福島産食品は危険だと認識しているという調査の結果が出てきた。
 14日の読売新聞によると、東京大の関谷直也准教授が昨年3月、日本、韓国、中国など10カ国・地域の大都市のインターネット利用者3000人を対象に実施したアンケート調査で、「海洋放出が行われた場合、福島県産食品の安全性をどう思うか」との質問に対し、韓国の回答者の93%が「危険だ」と答えた。
 同じ質問で「危険だ」という回答の比率は中国87%、ドイツ82%、フランス77%、台湾76%、米国74%などで、日本を除いた国・地域は60%を超えた。日本では回答者の36%が「危険だ」と回答した。
 日本政府は汚染水を多核種除去設備(ALPS)で浄化処理すればセシウムをはじめとする放射性物質の大部分が取り除かれると説明しているが、三重水素(トリチウム)は残るという。
 福島県で7日に水揚げされたスズキからは福島県漁連が設けた基準値を超えるセシウムが検出された。
 趙賢東(チョ・ヒョンドン)外交部第1次官は13日(現地時間)、米ワシントンで開かれた日韓外交次官会談で日本側に汚染水放出に対する懸念を表明した。
 趙次官は「国内の懸念、我々が提示する複数の科学的問題点をすべて指摘した」とし「問題点を解消するために日本がより一層の努力をしてほしいという話をした」と説明した。


「The Hankyoreh」 2023-02-11 09:32
■日本、福島原発汚染水の測定核種数を減らす…専門家「安全を懸念」

【写真】日本の福島第1原発の敷地内にある汚染水の貯蔵タンク。日本はこの貯蔵タンクに保管中の汚染水約130万トンを今春から海洋放出するための準備を進めている/聯合ニュース

 日本の東京電力が海洋放出しようとしている福島第1原子力発電所の汚染水の測定と評価の対象核種を大幅に減らす計画を立て、日本の原子力規制委員会の審査を受けている事実が遅れて分かり、安全に対する懸念が生じている。
 韓国政府は10日、これについて、日本が推進する測定・評価の対象となる核種の縮小は、国際原子力機関(IAEA)の要請により再選定した結果だとする立場を明らかにした。一部で指摘されているように日本が一方的に推進したものではないということだ。
 文化放送(MBC)は9日、ニュース番組「ニュースデスク」で、野党「共に民主党」のイ・ジェジョン議員室が入手した資料などをもとに、日本が福島原発汚染水に対して測定する核種の半分以上を対象外とする案を昨年末に韓国側に伝え、安全に対する懸念が強いと報じた。
 イ議員室が韓国の原子力安全委員会から得た資料によると、東京電力は現在測定している64種類の放射性核種のうち37種類を対象外にして4種類を新たに加え、測定する核種の数を31個に減らす案を設け、日本の原子力規制委員会の審査を受けている。
 これについて外交部は10日の会見で、福島第1原発の汚染水放出計画の安全性を検証しているIAEAのモニタリング特別チームが、昨年2月の1回目の訪日の際、64個の測定・評価対象の核種を予測ではなく実測をもとに調整するよう要請したためだと説明した。これにより東京電力は、実測データと核種ごとの半減期などを考慮し、測定・評価の対象となる核種をトリチウムを含む31個に再選定する修正案を設け、日本の原子力規制委員会に認可を申請したということだ。
 韓国の原子力安全委員会の資料によると、東京電力が測定・評価対象からはずした核種には、セシウムやストロンチウムの同位元素も含まれている。最も危険だといわれているセシウム(Cs)-137とストロンチウム(Sr)-90は残し、セシウム-136とストロンチウム-89を対象外としたのだ。これについて、ソウル大学原子核工学科のソ・ギュンリョル教授は本紙の取材に対し「福島原発汚染水のような場合は物量が多いので、高分解能で区別するのが難しく、ストロンチウム-89を対象外とすれば、ストロンチウム-90まで丸ごと漏れてしまうことになりうる」として懸念を示した。ストロンチウム-90は骨に蓄積され、血液ガンを誘発することが報告されている。
 ソ教授はさらに、「半減期を考慮して核種を選定することは、核分裂が終了したとすれば正しい。だが、沸騰水型原子炉である日本の原発では、地下水でも雨水でも水さえあれば核分裂するので、現在でも福島では放射性物質が生成されていることを考慮する場合、正しくない」と述べた。
 外交部関係者は「日本が一方的に行ったことではなく、IAEAがそうしたほうが良いと提案をしてなされたこと」だとし、「科学的かつ客観的に行うことであり、(測定)個数を増やせば正確だといえるものではないため、日本側の説明を理解している」と述べた。日本は昨年12月22日の韓日局長級協議で、測定・評価核種の再選定について韓国に説明した。
 外交部は「IAEAは、2~3月中に出すモニタリング特別チームの3回目の訪日の結果報告書に、これに関する検討意見を入れる予定」だとし、「韓国政府は国民の健康と安全を最優先にし、汚染水が科学的かつ客観的な観点で安全であり、国際法と国際基準に合致する方式で処理されなければならないという立場を堅持し、対応していくだろう」と明らかにした。
 原子力安全委員会の関係者は「東京電力はIAEAの要請により64種類から31種類に減らしたが、そこで対象外となったものも同水準でモニタリングすると明らかにしている」とし、「そうした点を具体的にどのようにするのかを引き続き確認している」と述べた。
キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1079255.html
韓国語原文入力:2023-02-10 22:39


「聯合ニュース」 2023.02.10 16:38
■韓国原子力安全委トップ 海洋放射能監視状況を点検
【ソウル聯合ニュース】日本の東京電力福島第1原子力発電所の処理済み汚染水の放出が迫る中、韓国の原子力安全規制を担う原子力安全委員会の劉国熙(ユ・グクヒ)委員長が10日、同委員会傘下機関の韓国原子力安全技術院(KINS)を訪れ、海洋環境放射能の監視状況などを点検した。

【写真】原子力安全委員会のロゴ(同委員会提供)=(聯合ニュース)

 原子力安全委は韓国の海岸周辺の40カ所で試料を採取し、セシウムやトリチウム(三重水素)の濃度を調べ、結果を海洋環境放射能監視網に公開する海洋モニタリングを行っている。
 劉氏は「放射能から国民の健康を守り、環境保全に向け環境放射能の監視をさらに徹底的に行う」と述べた。


「聯合ニュース」 2023.02.10 15:55
■福島汚染水 測定対象の縮小は「IAEAの要請」=韓国外交部
【ソウル聯合ニュース】日本政府が早ければ今春からと見込む東京電力福島第1原子力発電所の処理済み汚染水の海洋放出を巡り、測定対象の核種を大幅に減らしたとの報道について、韓国外交部は10日、国際原子力機関(IAEA)の要請を受け再選定した結果だと明らかにした。

【写真】東京電力福島第1原子力発電所に設置されているポンプ(資料写真)=(聯合ニュース)

 同部によると、汚染水の安全性を検証しているIAEAの調査団は昨年2月、1回目の訪日で東京電力が選定した64種類の測定対象の核種を推計値ではなく実測値にするよう要請。東京電力は測定対象の核種を放射性物質トリチウムを含む31種類に再選定する修正案をまとめ、昨年11月、原子力規制委員会(NRA)に認可を申請した。東京電力とIAEAは昨年11月に実施された3回目の訪日で修正案について協議したと発表。IAEAは今年2~3月に発表する3回目の訪日結果報告書で修正案に関する検討意見を盛り込む方針だ。
 これについて、韓国のメディアは学界の一部からは測定対象の縮小に懸念の声が上がっていると報じた。
 同部関係者は「日本側はこのような内容を昨年12月に開かれた韓日局長級協議で説明し、協議に出席したわれわれ側の専門家と技術的な問題を詳しく討議した」と説明。「国民の健康と安全を最優先とし、汚染水が科学的かつ客観的な観点から安全で、国際法と国際基準に沿う方式で取り扱われなければならないという立場を堅持し、対応していく」と述べた。


「聯合ニュース」 2023.02.10 06:00
【ソウル聯合ニュース】日本政府が早ければ今春からと見込む東京電力福島第1原子力発電所の処理済み汚染水の海洋放出を巡り、韓国海洋科学技術院と韓国原子力研究院の研究者が汚染水の拡散シミュレーションの結果を16日に公開する。
 韓国防災学会が15~17日に済州島で開催する学術大会の目録によると、両機関の研究者が大会2日目に結果を発表するという。放射性物質トリチウムの拡散に関する分析結果などが示されるもようだ。
 韓国政府は同シミュレーションの結果を関係官庁でつくるタスクフォース(TF)を通じて2月中に発表するとしていた。
 政府の公式発表ではなく、学会で発表されることについて、関係者の間では結果を政府の立場として公式化するのを避けたとの見方が出ている。


「聯合ニュース」 2023.02.02 15:57
■福島汚染水の放出 韓国・釜山の市民団体が日本に撤回要求
【釜山聯合ニュース】韓国南部・釜山の30の市民団体が2日、市内の日本総領事館近くにある「平和の少女像」前で記者会見を開き、日本に対し東京電力福島第1原子力発電所の処理済み汚染水を海洋に放出する計画の撤回を要求した。

共同で記者会見を開いた釜山の市民団体(釜山キョレハナ提供)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
 市民団体は「私たちの海は日本の放射能汚染水の下水溝ではない」と記した横断幕やプラカードを掲げた。汚染水の毒性は数多くの研究で明らかにされているとしながら「放出は世界中の海を地獄の海にする」と危険性を訴えた。
 団体側は「放射能汚染水の放出計画を強行する日本を糾弾し、放出計画を直ちに撤回するよう要求する」と声を張り上げた。
 日本政府は汚染水を浄化処理した後の水の放出開始時期を「春から夏ごろ」と見込む。放出計画には太平洋の島国や中国なども反対する立場を示している。


「The Hankyoreh」 2023-01-27 09:18
■「福島原発の汚染物質、貯蔵タンクに牡蠣を入れて処理する方法がある」
 太平洋諸島フォーラムの科学者パネルのフェレン・ダルノキ・ベレス教授 
 「トリチウムでコンクリートを作れば放出は測定されず 
 牡蠣の濾過機能を活用した生物学的除去も手段」 
 「汚染水のALPS処理の信頼性にかなりの疑い」

【写真】原子力工学者の米ミドルベリー大学のフェレン・ダルノキ・ベレス教授が25日、グリーンピースのソウル事務所で福島原発汚染水の海洋放出計画に対する太平洋諸島フォーラム(PIF)の科学者パネルの検討結果をテーマに報道機関のインタビューを受けている//ハンギョレ新聞社

 「日本が放出しようとしている福島原発事故の汚染水の中にどのようなものが入っているのかという質問に対し、私たちの答は『分からない』というものです。日本の東京電力の(汚染水測定)データは、不完全かつ不適合で一貫性がなく、ときに偏向しています」。
 原子力物理学者である米国ミドルベリー国際大学院のフェレン・ダルノキ・ベレス教授は25日、ソウル龍山区(ヨンサング)にあるグリーンピースのソウル事務所で行われた韓国の報道機関とのインタビューで、日本の福島原発汚染水の放出計画の問題点を圧縮して述べた。同教授は、ニュージーランドやフィジーなど太平洋の18の島国が参加する太平洋諸島フォーラム(PIF)が委嘱した5人の科学者からなるパネルに参加し、日本の福島原発汚染水の処理に関する資料を検討してきた。
 同教授は「私たちが知っているのは、福島原発の内部には毒性の強い放射性物質が今なお多く残っており、したがってそのうちの一部でも放出されれば処理が難しい作業になるだろうということだ。だが、日本ではトリチウムの希薄ばかりに集中している状況だ」として、日本の汚染水処理と放出計画を批判した。インタビュー内容およびインタビュー前に行われた同教授の発表をまとめ、一問一答で構成した。

-科学者パネルが日本の汚染水測定データを不完全とみる理由は。
 「まず、日本が私たちに共有していない別のデータが存在する可能性があるが、その場合、なぜ一部だけを共有したのか疑問だ。私たちが提供された資料を確認したところ、データの中間に空き部分が多い。貯蔵タンクの4分の1だけが測定されており、主に底に位置する高水準のスラッジ廃棄物の濃度についての情報がまったくない。データの代表性を確認するために必要なミキシング(混合)に対する言及もない。同じ放射性核種なのに別の単位を使ったケースまであり、情報の把握が難しい」。

-日本は多核種除去設備(ALPS)を活用し、64の放射性核種のうちトリチウムと炭素14を除く62の核種を基準値以下に処理するという。これについてはどう評価するか。
 「私たちは、ALPSの信頼性と一貫性にかなりの疑いを持っている。ALPS処理水のストロンチウム(Sr)90に対するセシウム(Cs)137の割合で、1万6000倍まで差が生じているものもある。この2つの核種は同じ半減期を有しており、通常の場合、割合でこれほどの違いが生じることはない。そうした結果から、ALPSシステムの偏差が大きいことが分かる。また、東電は高水準のスラッジ廃棄物に対してALPSがきちんと作動するのかについては、何の回答も提示されていない」。

-同じ方式で処理をしても、各貯蔵タンクの放射性核種の濃度が違う理由は何か。
 「汚染水には冷却水からくるものや、地下水からくるものがあるためだ。汚染水が何に触れて相互作用したのかによって変わるが、違いが非常に大きい場合、懸念する状況になりうる」。

-汚染水が海洋に放出された場合、最も懸念される点は。
 「多くのものに影響を及ぼすことになるが、特に水産業に対する影響が懸念される。太平洋諸島の国々は漁業から多くの経済的効果を享受しており、一般住民の暮らしにも多大な影響を及ぼすだろう。魚類の摂取が安全ではないと断定することにはならないが、魚類摂取の安全性を論じる前に、放射能にさらされることになる魚類に対して人々が感じる恐怖感が強まるだろう」。

-日本は放出する福島原発汚染水に含まれるトリチウムの濃度に飲料水の基準を適用するというが。
 「飲料水は人間に合わせた基準であり、海洋生態系の基準とは違う。私たちは海水を飲みはしない。その代わり海洋生態系に吸収され、食物連鎖のような別の経路を通じて人間に影響を及ぼすことになるので、飲料水の基準は適切でない」。

-パネルで汚染水の海洋放出の代案として提案した、生物学的な汚染除去方法の事例を紹介してほしい。
 「太平洋に棲息する特定の種の牡蠣には、放射能物質を濾過できる機能がある。貯蔵タンク1棟あたり1000個の牡蠣を入れて汚染を除去させた後、牡蠣を安全に処理する方法がある」。

-ALPS処理水をコンクリート製造に活用する方法も提案したが。
 「トリチウムがコンクリートに吸収されると、測定はほとんどできない。そこで、人の接触がほぼない橋梁のような場所に使うことを提案した」。

 同教授は「このような代案は、すでに2016年から提案されているが、日本は様々な選択肢のうち最も費用が安い放出を選択した」とし、「日本は有能な科学者たちとともに、最も低価格で容易なオプションではなく別のオプションを選択しなければならない」と強調した。
文・写真 キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1077100.html
韓国語原文入力:2023-01-26 17:31


http://japan.hani.co.kr/arti/politics/45730.html
「The Hankyoreh」 2023-01-27 08:57
■今春、福島第一原発の汚染水放出…「日本、不完全な資料で決定」海外の科学者が指摘
 26日の韓国国会での専門家討論会で検討結果を発表 
 「放出のための日本の資料は不適切で偏向 
 汚染水『放出』ではなく『投棄』と言うべき」

【写真】日本の福島第一原発の敷地内にある汚染水貯蔵タンク。日本はこの貯蔵タンクに保管中の130万トンあまりの汚染水を今春から海に放出するための準備を進めている/聯合ニュース

 日本政府は不完全で偏向した資料を根拠に福島第一原子力発電所の放射能汚染水の海洋放出を決めたという科学者たちの分析が公表された。同原発を運営する東京電力が、かなりの数の放射性核種(物質)を測定せずに汚染水は安全だという結論を下したというのがその理由だ。福島第一原発の汚染水の海洋放出は、早ければ今春から実施される。科学者たちは「日本政府は原発汚染水の海洋放出推進をやめ、代案を模索すべきだ」と勧告した。
 ニュージーランドやフィジーなどの太平洋の18の島国が参加する太平洋諸島フォーラム(PIF)の科学者パネルは、26日に韓国の国会で行われた「福島汚染水放出に関する海外専門家招請討論会」で、東京電力の汚染水測定データは放出を決定する根拠とはなり得ないと指摘した。科学者パネルは、昨年3月にPIFが委任した原子力と海洋科学分野の5人の専門家で構成されている。PIFは汚染水放出の影響を受ける当事者として、日本に関連資料を要求し、受け取っている。日本政府は13日、福島第一原発の敷地内にある1000あまりの貯蔵タンクに保管中の約130万トンの汚染水を水で希釈し、今年の春か夏ごろに海に放出することを決めている。
 科学者パネルを代表してこの日の討論会に参加した米国ミドルベリー国際大学院のフェレン・ダルノキ・ベレス教授は「日本がPIFに提供したデータは不完全、不適切で一貫性もなく、偏向しているため、何らかの決定を下すには不適切だ」と述べた。さらに「正常稼動中の発電所から、計画され管理された形で汚染水を自然へと放出するわけでもないため、このケースでは汚染水の『放出』ではなく『投棄』という言葉を使うべきだ」と付け加えた。
 同パネルは東電の測定資料が偏向していると考えられる根拠として、まず東電が64種類の放射性物質のうちストロンチウム(Sr)90、セシウム(Cs)137などの9つの物質だけに焦点を絞り、残りの55の物質はほとんど測定せずに、常に同じ影響を及ぼす濃度で存在すると仮定していることをあげた。パネルはまた、多核種除去設備(ALPS)を経た汚染水の測定が行われるのは貯蔵タンクがいっぱいになる直前のたった一度に過ぎず、しかもそれは30リットルのサンプルに対するものであるため、汚染水の実際の構成と濃度を理解するには不十分だとも指摘した。
 パネルは検討結果報告書で「東電の測定資料には非正常で疑わしい測定値がいくつもある」と述べ、信頼性に対する根本的な疑問も提起している。その代表的な例として、半減期が9.4時間に過ぎない放射性核種であるテルル(Te)127がリットル当たり数十万未満から数百億ベクレル(Bq)まで記録されていることを指摘している。福島第一原発事故で放出されたものなら、半減期から考えてすでにかなり前に崩壊しているはずだからだ。報告書は「溶融した炉心が断続的に危険な状態になるのでないなら、この測定値は東京電力の測定とデータの品質管理手続きに問題があることを示す」と明らかにした。パネルはまた、汚染水に含まれるトリチウム(三重水素)が海の中で有機結合型トリチウム(OBT)に変化して海洋生態系に及ぼす影響、ストロンチウム90の生物濃縮の影響などをまともに検討していないことも重要な問題だと指摘した。
 パネルは「希釈が汚染の解決策だという仮定は、科学的に時代遅れで生態学的に不適切だ。放出措置は世代と国境を越えた事案であり、はるかに深い熟考が必要だ」と述べた。これらの科学者は海洋放出の代案として、汚染水を長期間貯蔵して放射線を減らしつつ、動植物と菌類を用いた生物学的方法で汚染を除去した後に、人間の接触が最小化される場所に使用されるコンクリートを製造する際の水として利用する方策を勧告した。
キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1077096.html
韓国語原文入力:2023-01-26 17:12


「中央日報日本語版」 2023.01.26 15:28
■米国核物理学者「福島汚染水放流は危険…コンクリート建てて使おう」

【写真】フェレン・ダルノキ・ベレス教授が25日午後、ソウル龍山区(ヨンサング)で中央日報のインタビューに答えている。チャン・ジニョン記者

「タンクの中にある水(汚染水)には何が入っているでしょうか。答えは『分からない』です」。
 米国ミドルベリー国際大学院のフェレン・ダルノキ・ベレス教授は福島第1原発事故以来、発生した汚染水の危険性についてこのように話した。核物理学者であるベレス氏はPIF(太平洋諸島フォーラム)科学者諮問団の委員として活動しながら、東京電力で約4年間調査した汚染水データを受け取ってこれを分析した。ベレス氏は「小型原子炉を研究している。原発を賛成したり反対したりする立場ではない」とし「科学者として偏りのない客観的見解を持とうと努力した」と強調した。
 フィジー・オーストラリア・ニュージーランドなど太平洋地域17の島国で構成されたPIFは最近、福島原発汚染水放流が魚類に悪影響を及ぼすだろうとし、安全性が立証されるまで放流を延期するよう求めた。だが、日本政府は処理過程を経た汚染水の放射能水準は海洋生物や人間に脅威にならないほど低いとし、今年の春か夏には放流を強行するだろうという立場だ。汚染水は日本政府の言葉通り、本当に安全なのか。直接汚染水データを分析したベレス氏を25日、インタビューした。

◇「汚染水情報、不完全で一貫性ない」
--福島原発汚染水データを直接分析したとのことだが。
 「タンク内に正確にどのような汚染水が入っているのか分からないというのが問題だ。我々は答えを探すために努力しているが正確な把握が難しい状況だ。東京電力の汚染水抽出データを分析した結果、不完全で不正確で一貫性がないと判断した」。

--東京電力の汚染水調査では安定性を立証するには不十分ということなのか。 
 「東京電力で測定したタンクの汚染水の情報が代表性を持つのは難しいと感じた。東京電力では64の放射性核種を測定していると明らかにしたが、共有された資料を見ると9つの核種しか検査していなかった。また、タンクの4分の1だけで測定したが、主にタンク底にある高水準のスラッジ(カス)廃棄物の濃度に対しては情報が一切ない」

◇「放流時、漁業に影響が懸念される…影響は急速に広がる」
--日本政府は米国と韓国でも原発運営過程で三重水素(トリチウム)が含まれた水を海に放流しているとし、基準値以下に薄めて放流すれば問題がないと主張しているが。
 「中国と米国、韓国の原発は正常運転中に放流しているが、福島の場合、事故後の放流なので正常な運転状況と見ることはできない。事故がまだ続いているのに放流するのは不必要な危険行動を行うことだ」。

--予定通りに汚染水を放流した時、最も憂慮される点は何か。
 「最も憂慮する点は漁業産業への影響だ。太平洋諸国は漁業に依存している。ところでセシウム-137が検出されたマグロが、福島事故後、まだ1年も経たない内に米サンディエゴ海域に到達した。魚類が放射能を吸収して動く速度は海流の移動速度よりも速いので急速に影響が広がるだろう」

◇放流の代わりに提示した3つの解決法は?
 べレス氏は海洋放流の代わりに3つの解決策を提案した。(1)耐震設備が施されたタンクに汚染水を長期保存し、放射性物質が崩壊する時まで待って(2)放射性物質ろ過能力を備えたカキなど生物学的方式で汚染を浄化して(3)コンクリートを製作するのに汚染水を活用しよう--というものだ。

--汚染水でコンクリートを作れば海洋放流よりも安全なのか。
 「(汚染水に含まれた)三重水素は測定するのが難しいほどコンクリート中に吸収される。これを人の接触がほぼない橋梁建築などに使おうというものだ。このようにすれば国境を越える問題を引き起こすこともないだろう。だが、日本は最も費用がかからない『放流』を選択した」。

--韓国政府は日本の汚染水放流に対してどのように対応するべきか。
 「汚染水を放流した時は日本だけでなく他の国々にも影響を及ぼすことになるため、日本にもっと積極的な姿勢で対処しなければならない。韓国政府側では東京電力に追加で多くの情報を要請して、そうでない場合なぜデータを提供しないのか、その理由を尋ねなければならない」。
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家族の悪行を暴露した全斗煥元韓国大統領の孫、入国直後に逮捕 「生まれて申し訳ない」

2023年03月28日 | 韓国で
「中央日報日本語版」 2023.03.28 10:06
■家族の悪行を暴露した全斗煥元韓国大統領の孫、入国直後に逮捕 「生まれて申し訳ない」

【写真】全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領一家に関する暴露性の発言をしてきた孫のチョン・ウウォン氏が28日午前、仁川国際空港でソウル警察庁麻薬犯罪捜査隊に麻薬投与の疑いで逮捕された。 ウ・サンジョ記者

 警察が家族をめぐる各種疑惑と自身の麻薬投与について暴露性の発言をしてきた全斗煥(チョン・ドゥファン)元韓国大統領の孫チョン・ウウォン氏(27)を逮捕した。
 ソウル警察庁麻薬犯罪捜査隊は28日午前6時、チョン氏が仁川(インチョン)国際空港で入国した直後に身柄を確保した。
 前日に裁判所から逮捕状と身体検査令状を受けた警察はチョン氏が麻薬類を投与したかどうか検査する一方、自身と知人が麻薬を投与したという発言の真偽を調べる計画だ。警察は麻薬検査と尋問の結果を総合し、逮捕時限が満了する前に拘束令状を申請するかどうかを決める方針だ。
 チョン氏は米ニューヨークJFK空港を出発して仁川空港に到着する大韓航空KE086便に乗って帰国した。チョン氏は入国直後、「心に傷を負った方々に謝罪する機会があり、祝福を受けたようだ。生まれてきて申し訳ない」と語ったと、聯合ニュースは伝えた。
 チョン氏は26日、「5・18記念文化センターを訪問し、(光州民主化運動の)遺族とこの事件で精神的被害を受けたすべての方々に謝罪したい」とし、SNSで帰国する航空便を知らせた。
 米ニューヨークで滞在していたチョン氏は14日からインスタグラムなどSNSを通じて一家の不正資金疑惑を暴露した。また本人と知人が麻薬を投与したと明らかにした。17日午前にはライブ放送中に麻薬を投与するような姿を見せた後、病院に運ばれた。


「中央日報日本語版」 2023.03.24 12:07
■「麻薬騒動」の全斗煥韓国元大統領の孫「3時間肺停止、神に救われた」

【写真】自身を全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領の孫と明らかにしたチョン・ウウォン氏(左)と、チョン氏がインスタグラムに載せた全斗煥元大統領と過去に撮った写真 [チョン氏 インスタグラム]

 全斗煥(チョン・ドゥファン)元韓国大統領一家の不正を暴露した孫のチョン・ウウォン氏が「麻薬騒動」の後、病院を退院したという近況を伝えた。
 チョン氏は24日、自身のインスタグラムに「神が私のような人間をまた救ってくれた」とし、ユーチューブ生放送での麻薬騒動から1週間ぶりに自身の情報を知らせた。
 チョン氏は「木曜日(16日)に人が家に入ってきて、すぐに気を失った。3時間以上の間、肺の作動が停止し、気道がふさがった」とし「挿管が私を助けた」と説明した。
 続いて「金曜日午後に目を開いた時、喉の深くまでチューブが入っていて呼吸が苦しく、全身が血だらけだった」とし「今日まで病院で非自発的に入院し、退院した」と明らかにした。
 チョン氏は生放送中に各種薬物を服用し、幻覚症状を見せたことについて謝罪した。チョン氏は「責任感のない行動で迷惑をかけて申し訳ない。心配しないでほしい。今後このようなことはないはず」とし「私の弱さのため恐怖心がしばらく私を支配した。薬物の使用も二度としない。みなさんの温かい手助け、愛情、関心に心から感謝している」と伝えた。
 チョン氏はツイッターでも似た内容のコメントを載せ、「きょう放送で詳細を伝える」と放送を予告した。チョン・ウウォン氏はインスタグラムに掲示物を載せながら全斗煥元大統領一家と知人の犯罪を暴露したが、24日基準で暴露の掲示物はすべて削除された状態だ。


「聯合ニュース」 2023.03.17 15:55
■暴露続ける全斗煥元大統領の孫 ライブ配信中に幻覚症状=麻薬使用か
【ソウル、ニューヨーク聯合ニュース】韓国の故全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領一家の不正について暴露を続けている全氏の孫のチョン・ウウォン氏が17日(日本時間)、動画投稿サイト「ユーチューブ」でライブ配信中に麻薬を投与するかのような姿を見せ、病院に運ばれた。

【写真】チョン・ウウォン氏(同氏のインスタグラムより)=(聯合ニュース)

 ウウォン氏は全元大統領の次男、全在庸(チョン・ジェヨン)氏の息子で、米ニューヨークに滞在している。同日午前5時ごろにインスタグラムで「全てを自首する」と予告した後、ユーチューブでライブ配信を始めた。
 ウウォン氏はライブ配信中に麻薬について言及し、麻薬と推定される薬物を飲んだ。その後、韓国語と英語で「すみません。怖い。助けてください」としどろもどろに話し、苦しい表情ですすり泣くなど幻覚症状を見せた。体が激しく震え、床に転がったりもした。
 通報を受けて出動した警察官がウウォン氏の自宅を訪れ、ライブ配信は終了した。映像は現在削除された状態だ。
 ライブ配信を見ていた視聴者の中にはウウォン氏が逮捕されたのではないかと推測する人もいたが、現地の韓国総領事館によると、ウウォン氏は逮捕されたのではなく、治療のため病院に運ばれた。ウウォン氏の兄が「弟が意識不明の状態」と明らかにしたという。危篤ではないが状態が非常に悪く帰国させることも考えているもようだ。
 ウウォン氏は今月13日から自身のSNS(交流サイト)に全元大統領一家の秘密資金疑惑などを暴露する投稿を続け関心を集めて


「The Hankyoreh」 2023-03-16 03:26
■全斗煥の孫 「私の祖父は虐殺者、すべての罪を公開」
 SNSに「家族・周囲の人間の犯罪を明らかにする」暴露が波紋 
 「25万ウォンしかないと言っていた全氏の家族、超豪華結婚式」 
 延ヒ洞の自宅のスクリーンゴルフ設備の写真をアップ

【写真】自身を元大統領の全斗煥氏の孫だと明らかにしたチョン・ウウォンさんが14日に公開した全氏と自身の幼い頃の写真。チョン・ウウォンさんのインスタグラムより//ハンギョレ新聞社

 自身のことを元大統領の全斗煥(チョン・ドゥファン)氏の孫だと明らかにしたチョン・ウウォンさんが「家族と周囲の人間の犯罪行為を明らかにする」としてSNSに暴露動画、文章、写真などを公開し、波紋が広がっている。チョンさんは「私は、祖父は虐殺者だと思う。彼は韓国を守った英雄ではなく犯罪者に過ぎない」と語った。チョンさんは自身のSNSに自身の身元を証明する各種書類を載せ、「全斗煥の孫」であると主張している。
 15日のチョンさんのインスタグラムとユーチューブでは、チョンさんがこの2日間に公開したチョンさん一家の写真や動画などが見られる。その中には元大統領夫人のイ・スンジャ氏と推定される人物がスクリーンゴルフをしている映像がある。チョンさんはこれについて「延ヒ洞(ヨンヒドン)の自宅に備えつけられているスクリーンゴルフ設備」だと語った。
 自身の父親であるチョン・ジェヨン氏については「韓国で自身が犯罪者ではないと書類を改ざんして、米国で市民権を得るために手続きを進めている」とし「法の監視網から逃れるために現在、韓国で伝道師という詐欺行為を働きながら過ごしている」と語った。また「私の父と継母は出所不明の汚い金を使いながら生活を営んでいる」としてチョン・ジェヨン、パク・サンア両氏を非難した。

【写真】自身のことを元大統領の全斗煥氏の孫だと明らかにしたチョン・ウウォンさんが14日に「延ヒ洞の自宅に備えつけられているスクリーンゴルフ設備」だとして公開した動画=チョン・ウウォンさんのインスタグラムより//ハンギョレ新聞社

 叔母にあたる元大統領の娘のチョン・ヒョソン氏の子の結婚式の写真には「超豪華結婚式写真。25万ウォンしかないと言っていた全斗煥氏の家族に、どこでこのような行事をする金ができたのか疑問だ」との説明をつけている。叔父であり全斗煥氏の三男のチョン・ジェマン氏の家族写真については「現在はカリフォルニア州のナパバレーでワイナリーを経営している。天文学的な金を持つ者でなければ参入できない事業分野だ。汚い金のにおいがする」と記している。他にも自身の知人の実名、写真、プロフィールを載せ、麻薬、性犯罪、不正入学などの罪を犯したと主張している。いくつかの投稿は通報されて削除されている。
 チョンさんは自らの身元を証明するとし、幼い頃に全斗煥氏と撮った家族写真、全斗煥氏が残した相続放棄に関する書類などを公開してもいる。また、動画の中で昨年1月にうつ、ADHDと診断されて治療を受けていたが、現在は正常だとして診療記録を示してもいる。そして、現在はニューヨークのある会計法人で働いていると語っている。
 同氏は複数の動画で「このように携帯電話を持っているのにインスタグラムがハッキングされたら、この社会にセキュリティーは存在しない」、「実兄の通報により今、私の自宅に10人の警察官がやって来て取り調べをして出ていったが、何の問題もないことを警察官も認めた」など、自身に圧力が加えられていると主張している。そして「全斗煥元大統領という恥ずべき人間の孫であり、チョン・ジェヨンという悪魔のような人間の息子だ。私も悪魔であり、私の罪を含めてすべての者たちの罪を世に知らしめる」と語っている。

イ・ウヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-03-15 09:53
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「国はどこにあるのか」…強制動員被害者イ・クムジュさんの闘争記

2023年03月27日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「The Hankyoreh」 2023-03-27 06:54
 日帝強制動員市民の会出版『イ・クムジュ評伝』 
 太平洋戦争犠牲者光州遺族会会長

【写真】『イ・クムジュ評伝―どこにもない国』図書出版ソニン提供//ハンギョレ新聞社

 日本の戦争犯罪被害者の名誉回復のために献身した故イ・クムジュ太平洋戦争犠牲者光州(クァンジュ)遺族会会長(1920~2021)の生涯を描いた本が出た。日帝強制動員市民の会は25日、イ・クムジュさんの評伝『どこにもない国』(ソニン)を出版した。
 344ページにわたる同書では、イさんの幸せだったが短かった新婚時代から1988年の太平洋戦争犠牲者光州遺族会の設立、日本での訴訟と韓国政府に対する失望、2018年の最高裁での勝訴、2021年死去後に残る話が描かれている。
 1920年に平安南道順川(スンチョン)で生まれたイさんは1940年10月に結婚。しかし、夫は1942年11月、8カ月の息子を残して日本海軍の軍務員として連れて行かれ、1943年11月25日に南太平洋タラワ島で米軍の大規模上陸作戦戦闘中に死亡した。イさんは軍事政権が崩壊した1988年、69歳の時に「光州遺族会」を立ち上げ、日帝時代の被害者の人権回復運動に飛び込んだ。

【写真】1990年代、光州の自宅で強制動員被害者の書類を整理している生前のイ・クムジュ会長=日帝強制動員市民の会提供//ハンギョレ新聞社

 1992年に原告1273人が参加した「光州千人」訴訟(太平洋戦争当時強制徴用された軍人や労務者、朝鮮女子勤労挺身隊被害者たちが日本政府を相手取って起こした訴訟)を皮切りに、同年の帰国船浮島丸沈没事件訴訟、日本軍「慰安婦」・女子勤労挺身隊被害者などが原告として参加した「関釜裁判」訴訟、1995年のBC級戦犯(捕虜監視員)訴訟、1999年の三菱勤労挺身隊訴訟、2006年の日本外務省を相手取った韓日会談文書公開訴訟など、計7件の損害賠償請求訴訟を日本の司法府に提起した。
 勝訴の可能性は極めて低かったが、日本政府を国際社会に告発し、反省を引き出すための「闘い」だった。実際、日本の法廷で17回棄却されたが、無駄な努力ではなかった。韓日協定文書が約40年ぶりに公開され、2004年には「日帝強占下強制動員被害真相究明などに関する特別法」が制定され、韓国政府レベルの真相究明が行われた。2018年には韓国最高裁(大法院)から賠償判決を引き出した。
 また、同書にはイさんの息子と嫁、孫娘まで3代が人権回復のために日本に立ち向かった知られざるエピソードも盛り込まれた。
 イさんと日本訴訟を主導した山本晴太弁護士は「被害者はただお金を求めているわけではない」とし、「同書を読んでイ・クムジュ会長の人生と心情が分かれば、加害者でもない者が代わりにお金を払うような『解決策』が決して成功できないことを理解できるだろう」と語った。
キム・ヨンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-03-27 02:34


「The Hankyoreh」 2023-03-27 08:32
■[コラム]尹大統領には人は見えず金ばかりが見えるのか
 チョン・ナムグ|論説委員

【写真】強制動員被害者ヤン・クムドクさんが3月13日午前、国会で行われた外交統一委員会全体会議に参考人として出席し、発言している=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 2002年8月、太平洋戦争犠牲者光州(クァンジュ)遺族会の会長のイ・クムジュさんの家でキム・ヘオクさんに会った。その日うかがった話は「ハンギョレ21」に「私は歩いた、彼らは泣いた」(421号)と題する記事として残っている。「キムさんは胸に刻まれた恨(ハン)を吐き出すように、速射砲のように言葉をあふれさせた」。
 「13歳の時だった。ある日、校長が生徒たちを集めて『日本に行けば金も稼げるし、女学校にも行ける』って言ったんだ。私は真っ先に手をあげたよ。両親は反対したけど、日本人を相手に商売していたうえに、私が言い張るもんだからどうにもできなかった。両親には泣いて見送られたけど、あの時はその理由が分からなかった」。
 13歳の少女は、名古屋の三菱重工の工場で飛行機の部品にペンキを塗る作業をして1年あまりを過ごした。いつもお腹を空かせていた。「半島人」と蔑視されるのも悲しかった。期待していた女学校はおろか月給すらもまともにもらえなかった。解放と同時に故郷に戻ったが、後遺症で結核を患った。勤労挺身隊を「日本軍慰安婦」と誤解する視線のせいでキムさんが体験した多くの苦しみを、私は記事に全てはどうしても記せなかった。あの日、私は胸の片隅にこみ上げてくる恥ずかしさで顔が上げられなかった。「57年もたった話を改めて引っ張り出して何になるのかという考えが脳裏の片隅に残っていたためだった。生きている現在をなぜ私は遠い過去だと思っていたのか」と私は反省した。
 強制動員被害賠償訴訟は1992年に日本政府を相手取って始まった。訴訟に参加したキム・ヘオクさんは遂に名誉回復されず、2009年に亡くなった。イ・クムジュさんは2021年に亡くなった。彼女たちはなぜ、こんなにも長い歳月を損害賠償訴訟にしがみついていたのか。私はその日、このような答えを聞いた。「私たちも人間じゃないか! 彼らが過ちを犯したことを認めてほしい、誤ってほしいからだ」。
 政府は強制動員を行った企業に賠償を命じた最高裁(大法院)判決を紙切れにしてしまい、韓国企業が参加する「第三者」による賠償方針を明らかにした。それは、被害者が闘ってきたのは単なる金のためだと言っているのと同じだ。キム・ヘオクさんと同じ工場で働いていたヤン・クムドクさんは「物乞いして渡されるような金は受け取らない」と言った。人を人として待遇することがどれほど大切かを分かっている人なら、その言葉の意味が理解できるはずだ。
 あちこちから引き止められ、懸念する人が多かったにもかかわらず、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は今回の決定を推し進めたという。これから起こることを考えると絶望的な気持ちになる。振り返ってみれば、尹大統領の言行からは、人間から尊厳を除去し、人間を単なる「市場価格で使える労働力」と見る視点が早くからにじみ出ていた。
 2021年7月に政界進出を宣言した彼は「毎日経済」とのインタビューで、スタートアップの青年たちの願いだとして次のように述べている。「ゲームをひとつ開発するためには週52時間ではなく週120時間であろうとしっかり働き、その後に思う存分休めるようにしなければならない」。状況によっては時にそのような選択を好む人はいたとしても、制度的にそれを望む労働者はいない。それは労働者にタイミング(1970~80年代に多く売れた眠気覚まし薬)を飲ませながら働かせていた昔の雇い主たちの郷愁に過ぎない。
 韓国は先進国というには労働時間が長すぎ、長時間の無理な労働の中で労災が途方もなく頻繁に起きる国だ。「週52時間上限」もまだ定着したとは考え難い。しかし尹大統領は最大週69時間働けるよう法を見直すと述べた。反発が強まると「60時間以上は無理」として自身の言葉を変え、世論の矢を雇用労働部に向けようとしている。2020年7月にはタイミング錠が27年ぶりに再発売されたが、大統領はその売り上げに貢献したいのだろうか。
 雰囲気が高揚してくると酔う人も出てくる。時代転換のチョ・ジョンフン議員は先日、外国人家事労働者への最低賃金の不適用を認める法案を代表発議した。以前ソウル市のオ・セフン市長が主張していたことだが、尹大統領の前でタンバリンを打っているのだと思う。同議員は「この法が実現すれば、シンガポールのように月100万ウォン(約10万1000円)水準の外国人家事ヘルパーの使用が可能になる」と述べた。シンガポールで行っているからといって「差別される身分の創出」を正当化することはできない。時間が逆に流れようとしている。共同発議者として署名した共に民主党のキム・ミンソク、イ・ジョンムン両議員は発議者から降りた。「実務上の混乱」だったというが、そうではないと思われる。
チョン・ナムグ|論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1085173.html
韓国語原文入力:2023-03-26 14:47


「The Hankyoreh」 2023-03-27 06:51
■強制動員被害者と遺族、三菱重工資産の差し押さえを申立て…2例目
  訴訟代理人「賠償金を確保するため」 
 ヤン・クムドクさんら2人の申立てに続き2例目

【写真】2018年10月31日午後、三菱重工を相手取った裁判の控訴審終了後、キム・ジェリムさんが感想を述べている=資料写真//ハンギョレ新聞社

 日帝強占期の強制動員被害者と遺族4人は、慰謝料請求訴訟で勝ち取った賠償金を確保するため、三菱重工の国内資産を強制執行するための法的手続きを開始した。ヤン・クムドクさんら4人が強制執行を申し立てたのに続き2例目となる。
 日帝強制動員市民の会は26日、強制動員被害者と遺族の4人が24日に訴訟代理人を通じ、三菱重工の韓国内の特許権に対する差し押さえを命ずるよう大田(テジョン)地方裁判所に申し立てたと明らかにした。訴訟代理人団は、差し押さえ命令が下されれば、特許権を強制売却して現金化する特別現金化命令を申し立てる方針だ。
 債権者は、三菱重工に強制動員されたにもかかわらず賃金を受け取れなかったため慰謝料請求訴訟を起こして一審と二審で勝訴したヤン・ヨンスさん、キム・ジェリムさんと故オ・ギレさんの遺族、故チェ・ジョンネさんの遺族の4人。差し押さえ対象は原告1人当たり三菱重工の特許権1件。賠償要求額は二審判決の示した1人当たり賠償額1億~1億5千万ウォンとこれまでの遅延利子、合わせて6億8000万ウォン(約6830万円)あまり。
 訴訟代理人のキム・ジョンヒ弁護士は「一審、二審判決後、2018年12月と2019年1月に最高裁に事件が受理されているが、確定判決を出していない」とし、「すでに一審で三菱重工の国内資産を仮執行できるとの判決が出ているため、法的権限がある」と述べた。

【写真】強制動員被害者ヤン・クムドクさんが3月13日午前、国会で行われた外交統一委員会全体会議に参考人として出席し、発言している=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 戦犯企業である三菱重工の資産を差し押さえて売却し、被害に対する賠償金を確保するための強制執行の手続き申立ては、今回が2例目。勤労挺身隊被害者訴訟代理人団は2019年3月、三菱重工の韓国内商標権2件と特許権6件の8件を差し押さえ、このうち原告2人(ヤン・クムドクさん、キム・ソンジュさん)については2021年9月に最高裁で差し押さえが最終確定し、売却が命じられた。しかし三菱重工が不服を申し立て、一度は抗告が棄却されたものの、最高裁に再抗告したため今も裁判は終わっていない。
 この過程で外交部は昨年7月26日、最高裁に「外交的解決のための時間をくれ」との趣旨の意見書を提出した。裁判が遅れている間に、日本企業が被害者に支給すべき賠償金を国内の財団に肩代わりさせる「第三者弁済案」が登場した。
 裁判所が開始を決定し、直ちに三菱重工の特許権が差し押さえられた場合、日帝強制動員の解決策をめぐる対立は別の局面を迎えるとみられる。日帝強制動員市民の会のイ・グゴン理事長は「政府の第三者弁済案に同意できず、三菱重工に直に賠償してほしくて権利を行使した」と述べた。
チョン・デハ、チェ・イェリン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-03-26 17:43


「中央日報日本語版」 2023.03.25 13:28
■韓国で「対日屈辱外交」糾弾大規模集会、都心に5万人
 25日、ソウル都心の数カ所で労働界と進歩・保守団体の大規模な集会が開かれる。計5万人が参加すると予想され、深刻な交通混雑が予想される。

 全国民主労働組合総連盟(民主労総)はこの日午後2時30分、ソウル鍾路区大学路(テハンノ)一帯で「尹錫悦(ユン・ソクヨル)審判!闘争宣言大会」を開く。「週最大69時間」で論議を呼ぶ政府の勤労時間制度改編案と労働組合会計資料提出要求、建設労働組合に対する警察の相次ぐ家宅捜索などを強く糾弾すると予想される。この行事には1万5000人(主催側予想)規模の組合員が参加し、大学路から鐘閣、乙支路入口駅などを行進する予定だ。
 その後、午後3時ごろソウル市庁広場に移り、最大野党・共に民主党と全国民衆行動などが開催する「対日外交」糾弾大規模場外集会に合流する。この集会には約1万8000人(主催側予想)が集まるという。
 李在明(イ・ジェミョン)民主党代表をはじめとする党指導部と、対日屈辱外交対策委員会の所属議員はこの集会で、尹錫悦大統領の韓日首脳会談結果を批判する一方、政府の強制動員「第三者弁済」賠償案の撤回を要求する予定だ。李代表は18日、ソウル市庁近隣で開かれた強制動員解決策および韓日首脳会談を糾弾する「第3次汎国民大会」に参加した。
 計3600人(主催側予想)が集まる進歩・保守団体の集会も開かれる。ろうそく転換行動は午後5時から太平路(テピョンノ)などで第32次政府糾弾集会を開催し、午後8時30分まで都心行進をする。この行事には約3000人が参加する。一方、保守性向の新自由連帯は三角地(サムガクチ)駅で600人規模の「ろうそく転換行動対抗集会」を開く。自由統一党も光化門(クァンファムン)東和免税店の前で「主思派剔抉国民大会」を行う。
 このほか午前11時に光化門広場と世宗大路付近では「国技テコンドーハンマウム大祝祭」が開催される。深刻な交通混雑が予想され、警察は光化門ロータリーから世宗ロータリーまで下位2車線を除いて双方向交通統制をする見通しだ。また大規模集会で発生するおそれがある不法行為などに積極的な対応することを予告した。
 尹熙根(ユン・ヒグン)警察庁長官は23日、週末都心集会点検会議を開き、「集会・行進の過程で申告範囲を逸脱してすべての車道を占拠したり、長時間の交通渋滞を誘発すれば、法と原則に基づき迅速に解散手続きに入る」と述べた。


「韓国経済新聞」、「中央日報日本語版」 2023.03.25 10:28
■韓日首脳会談の波紋…「関係改善」vs「徴用解決策問題」世論も割れる=韓国
 韓国政府が徴用解決策を発表し、韓日首脳会談後に韓日関係が正常化の道に入った中、これを眺める世論は依然として両極化していることが明らかになった。政界と外交界では、政府が積極的に国民と被害者を説得すべきという注文と同時に、日本も意味のある呼応措置を出せるよう政府全体レベルで外交力を発揮する必要があるという声が高まっている。
 韓国ギャラップが21-23日に全国満18歳以上の1001人を対象に実施し、24日に発表した世論調査の結果によると、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の職務遂行に対する肯定的な評価は34%、否定的な評価は58%だった。前週比で肯定的な評価は1ポイント上昇し、否定的な評価は2ポイント下落した。
 注目されるのは肯定・否定的評価の理由ともに韓日関係が関係している点だ。肯定的な評価の理由では「日本との関係改善」(18%)と「外交」(11%)が、否定的な評価の理由では「外交」(25%)と「日本との関係/強制動員賠償問題」(23%)が多かった。
 こうした傾向は1週間前の韓国ギャラップの同じ調査と比較するとさらに強まった。実際、前週の調査で韓日関係と外交を評価の主な理由とした比率は肯定的な評価が16%、否定的な評価が30%だったが、1週間にそれぞれ29%、48%に急増した。韓日関係イシューが尹大統領の支持率に直接的な影響を及ぼしているのだ。韓国ギャラップも「肯定・否定的評価の双方で日本・外交関係への言及が大きく増えたのは、政府の第三者弁済案発表と尹大統領の訪日および首脳会談の後に続いた反響とみられる」と分析した。
 大統領室と政府も尋常でない世論に積極的に対応している。尹大統領が21日の国務会議で23分も冒頭発言をしながら国民説得に注力し、これをテレビで生中継したのが象徴的な例だ。大統領室も北朝鮮の核・ミサイル脅威が強まる北東アジア情勢の中で韓日米の連携は選択でなく必須であり、このために韓日関係正常化の決断が避けられなかったという点を強調している。
 政府各部処も後続措置に着手した。秋慶鎬(チュ・ギョンホ)副首相兼企画財政部長官はこの日の非常経済長官会議で「龍仁(ヨンイン)に造成される半導体クラスターで韓日サプライチェーン協力を具体化するための関係部処協議体を稼働する」とし「両国間の航空便増便作業にも速やかに着手し、人的交流を関係悪化以前の水準に回復させる」と明らかにした。
 訪日中の権寧世(クォン・ヨンセ)統一部長官もこの日、特派員との懇談会で、前日の林芳正外相との会談結果を伝えながら、「北朝鮮情勢や拉致被害者の関連情報などを交換する政府間チャンネルを構築しようと提案し、林外相も前向きに検討するという立場を明らかにした」と話した。
 問題は、世論調査の推移で否定的な世論が弱まる兆しが見えない点だ。共に民主党の首都圏重鎮議員は「住民に会ってみると、一様に『韓国が日本から得たものは何か』という指摘と『どうして急いでするのか』という疑問を提起する」とし「これについて納得できる説明がなければ世論の変化は容易でないはず」と診断した。
 世宗研究所の陳昌洙(チン・チャンス)日本研究センター長は「徴用被害者に直接会って理解を求めるなど、国民が納得するまで努力する姿を見せる時」とし「日本も両国関係の発展を本当に望むのなら、経済協力などで言葉だけでなく顕著な後続措置を取らなければいけない」と注文した。


「聯合ニュース」 2023.03.22 19:52
■徴用被害者21.8万人のうち1200人生存 「補償案」準備中=韓国財団 
【ソウル聯合ニュース】韓国政府が発表した徴用賠償問題の解決策で、日本の被告企業の賠償を肩代わりする行政安全部傘下「日帝強制動員被害者支援財団」の沈揆先(シム・ギュソン)理事長は22日、日本による植民地時代の韓国人徴用被害者は約21万8000人で、このうち約1200人が生存しているとし、これら被害者への補償については、文喜相(ムン・ヒサン)元国会議長が提唱していた案より進展したものになるよう進めていると明らかにした。国会行政安全委員会の全体会議で述べた。文氏は、両国企業と国民(1プラス1プラスアルファ)からの自発的な寄付で基金をつくり、新たに設立する財団を通じて徴用被害者に賠償金を支給することを呼び掛けていた。
 沈氏によると、政府は今月6日、2018年に大法院(最高裁)で勝訴が確定した徴用被害者15人(原告は14人、訴訟3件)の判決金(賠償金)について、同財団が民間の自発的な寄付などで調達した資金で支払うとする徴用問題の解決策を発表したが、このほかに徴用問題に関連した係争中の訴訟67件で原告が約110人おり、この原告らが勝訴すれば同じ方法で補償する考えという。
 一方、沈氏は勝訴が確定した原告を除いた、徴用被害者として登録された21万8000人をどのように扱うかについて、文氏が提唱した案が取り沙汰されているが、財団は同氏の案よりも進展したものを用意するために努力しているなどと述べた。
 日帝強制動員被害者支援財団は徴用被害者問題を包括的に解決できる特別法の制定を推進する方針だ。
 沈氏は勝訴が確定した15人について、外交部関係者とともに面会して政府案を説明しており、政府案を支持する被害者も「相当数いる」と強調した。ただ勝訴が確定した原告のうち存命する3人は同解決策による賠償金の受け取りを拒否する意向を表明している。


「The Hankyoreh」 2023-03-23 07:47
■尹大統領の「国務会議発言」詳しく見てみると…「歴史を『都合よく』こじつけた」
 専門家ら、尹大統領の国務会議での発言を批判
 
 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が21日の国会議で行った、「国民向け談話」を連想させる韓日首脳会談関連発言がさらなる波紋を広げている。尹大統領が対日外交政策の基調の裏付けるために言及した国内外の事例について、専門家たちは「常識的で論理的な整合性が必要だが、無理にこじつけた印象を拭えない」と評した。
 本紙の取材によると、韓国政府の強制動員解決策(第三者弁済案)と関連し、「1965年の韓日基本条約と請求権協定では、韓国政府が国民の個人請求権を一括代理して日本の支援金を受け取ることになっている」という前日の尹大統領の発言は事実と異なる。慶北大学法科大学院のキム・チャンロク教授は22日、「(当時)韓日会談の過程で、韓国人被害者個人に(支援金を)直接支給するという日本側の提案に対し、韓国側が後続措置は自国で行うという趣旨で対応した記録はあるが、基本条約と請求権協定のどこにもそのような文言はない。さらに重要なのは2018年に行われた最高裁(大法院)判決が明確に宣言したように、強制動員の慰謝料請求権は請求権協定の適用対象ではない点だ」とし、「全く関連性のない二つを結び付けた」と指摘した。
 尹大統領が中日国交正常化の過程で中国の周恩来首相が「戦争賠償要求を放棄する」と述べた点を強調したのも、論点とかけ離れた事例だ。聖公会大学のヤン・ギホ教授(日本学)は「中国は『戦争犠牲者が流した血に値段をつけることはできない』とし、日本政府を対象にした賠償権を放棄したものの、国交正常化以降30年以上にわたり、莫大な規模の円借款支援を受けた」と指摘した。さらに中国側は個人の賠償権まで放棄したわけではなかった。中国の強制動員被害者たちは日本の西松建設を相手取って損害賠償請求訴訟を起こし、2007年に日本最高裁で敗訴した。ところが、中国政府がこれに強く抗議し、中国内で反日世論が沸き上がったことで、加害企業が強制動員被害者に直接謝罪し「和解金」を支給した。
 尹大統領が「過去を乗り越えなければならない」根拠として示したドイツとフランスの「和解」も、韓日関係の現実に背を向けた発言だという批判が出ている。徹底した反省に基づいてナチスの残滓の清算に乗り出したドイツと、謝罪と反省を口にしながらも、ともすれば植民地支配の不法性まで否定する日本を一緒くたにすることはできないためだ。イ・スフン元駐日大使は「ドイツは首相が変わる度に謝罪やお詫び、反省の意を表明し、犠牲者たちのために参拝する。また『記憶・責任・未来』財団を作り天文学的な資金を費やして被害者に対する賠償と名誉回復事業などを行っている」と語った。
 イ元大使は「尹大統領が継承すると言う『金大中-小渕宣言(韓日パートナーシップ宣言)』(1998年)の核心は、日本が過去を直視し責任を認め謝罪したうえで、未来志向の韓日関係を築いていくこと」にあるとしたうえで、「今のように『過去の直視』という一軸を崩して、宣言を継承するというのは辻褄が合わない」と語った。キム・ジュンヒョン元国立外交院長は「尹大統領が自分の『決断』だと強調しし対日外交政策の方向を決めておきながら、いちいち説明を続けること自体が国民的共感を得られていないことを自ら認めたもの」だと指摘した。
チョン・インファン、シン・ヒョンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1084769.html
韓国語原文入力:2023-03-22 21:27


「The Hankyoreh」 2023-03-22 08:23
■韓国のカトリック司祭団体、「尹錫悦退陣」時局ミサ

【写真】カトリック正義具現全国司祭団主催で20日午後全北全州市豊南門広場で開かれた「検察独裁打倒と買弁売国独裁政権退陣促求」の時局ミサで、市民たちがろうそくを手にしている/聯合ニュース

 「買弁売国、屈辱屈従、検察独裁、尹錫悦(ユン・ソクヨル)退陣を命令する」。
 カトリック正義具現全国司祭団(正義具現司祭団)は20日午後7時、全羅北道全州市(チョンジュシ)の豊南門(プンナンムン)広場で民主主義回復と平和を願い、検察独裁打倒と買弁売国独裁政権退陣を要求する時局ミサを開いた。正義具現司祭団が政権退陣を要求する時局ミサを開いたのは、尹錫悦政権では今回が初めて。

【写真】20日午後、全羅北道全州市の豊南門広場で正義具現司祭団主催の「検察独裁打倒と買弁売国独裁政権退陣要求」時局ミサが開かれている/聯合ニュース
【写真】20日午後7時、全州市の豊南門広場で時局ミサが始まり、神父たちが壇上に上がっている=パク・イムグン記者//ハンギョレ新聞社

 この日のミサは神父、修道女、市民など主催者側推算1000人余り(警察推算500人余り)が参加する中で開かれた。全州教区のキム・ジンファ神父は説教を通して「私たちは惨憺たる思いで、しかし断固として、『憲法を踏みにじり国民の自尊心を踏み付けたためもうその座から下りるべし』と言わなければならない。私たちは、とにかく大統領に選ばれたのだから成功するよう祈ってきた。だが今、私たちは声を張り上げなければならない。私たちは国民を裏切って日本に平身低頭する土着倭寇を王とするわけにはいかない。正気に戻れと叫ぼう。神は私たちの側におられる」と述べた。

【写真】20日午後、全州市の豊南門広場で時局ミサが開かれている=パク・イムグン記者//ハンギョレ新聞社

 正義具現司祭団はこの日「絶体絶命の今、泣訴します」という声明書を通して「尹錫悦政権が歴史に永く輝くことを心より祈願し、梨泰院(イテウォン)惨事で退陣の声が高まった時も私たちの生活方式を作り直すのが先だとして期待を捨てずにいたが、今日、大統領の勇退を促す」と明らかにした。司祭団はさらに「新しい道が怖くて後戻りしようとするのは万民共通の慣性だ。だが、もはやそうしてはいられない。それでは明日を約束することができないからだ。もう慣性のままではいけなくなった世の中、これまでと同じように生きていては滅ぶ道しかないとして、根本から新たに出発しようとした三一精神をもって、今日の災いに立ち向かおう」と訴えた。

【写真】20日午後7時、全州市の豊南門広場で時局ミサが開かれ、市民たちがろうそくを持って歌っている=パク・イムグン記者//ハンギョレ新聞社

 正義具現司祭団のソン・ニョンホン総務神父は「彼が日本に行ってきて以来、私たちの大統領ではない、日本のための大統領だと考えるようになった。韓国人だと思ったのに、日本のために働く、国民と関係ない他の働きをする大統領だった。だからこそ私たちが立ち上がって退陣を要求するのだ。時は熟した。(この豊南門広場は) 朴槿惠(パク・クネ)元大統領の退陣を要求した場所だ。本当に国民による大統領、国民と共にする大統領、国民の生と共にする大統領が必要だ」と語った。
 正義具現司祭団は時局ミサに続き、 豊南門広場近くの殿洞聖堂で、福音的省察を通して司祭団の精神をどう実現するか意見を収㪘する非常時局会議も開いた。

【写真】20日午後7時、全州市の豊南門広場で時局ミサが開かれ、市民たちがろうそくを持って歌っている=パク・イムグン記者//ハンギョレ新聞社

パク・イムグン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-03-20 20:39 訳A.K


「The Hankyoreh」 2023-03-22 07:22
■韓国最大野党「新乙巳条約に匹敵する対日外交」…国政調査を本格的に検討

【写真】共に民主党のパク・ホングン院内代表が21日午前、ソウル汝矣島の国会で開かれた院内対策会議で発言している/聯合ニュース

 韓国の最大野党「共に民主党」が21日、韓日首脳会談に対する国会の国政調査を検討する方針を示し、与党に対する攻勢を強めた。首脳会談を対象にした国政調査は極めて異例のことだ。「屈辱外交」批判が相次いでいるにもかかわらず、大統領室が「成果」だけを強調し、まともに説明さえしていない中、民主党が強硬対応に乗り出した。
 同党のパク・ホングン院内代表は同日、国会で開かれた院内対策会議で「『新乙巳条約』(乙巳条約:通称は第二次日韓協約)に匹敵する対日屈辱外交を絶対容認できない」としたうえで、「国政調査の推進を本格的に検討する」と明らかにした。大統領室は、日本政府当局者の発言を引用した日本メディアの報道が連日続いているにもかかわらず、答弁を避けている。また、同日の国会運営委員会が民主党と正義党の要請で開いた全体会議にも出席せず、国会は業務報告さえ受けられなかった。
 パク院内代表は国政調査の対象として日帝強占期の強制動員被害者に対する「第三者弁済案」▽独島(トクト)の領有権▽「慰安婦」合意案▽福島産水産物の輸入問題などを挙げた。民主党幹部は本紙の取材に対し、「国会常任委で問い詰めるのにも限界があるが、大統領室はそれさえも全く出席せず、与党は会議開催そのものにも消極的なので、国政調査などを通じて国民的疑惑を解消するしかない」と述べた。
 国政調査要求書は国会在籍議員の4分の1以上(75人)の署名で提出可能であり、本会議で過半数が賛成すれば採択される。所属議員169人の民主党単独でも国政調査は始められるが、「野党の連携」を示すには正義党の協力も必要だ。ただし正義党は「責任者問責、決議案など国会レベルで様々な措置を共に視野に入れる」(キム・ヒソ報道担当)という態度だ。このため、民主党は時期を見極めるものとみられる。また別の民主党幹部は「単独で国政調査を進めた場合、与党が政争に持ち込む可能性もあるため、市民社会団体などの要求が噴出し、世論が高まれば進める計画」だと語った。
 与党の「国民の力」は国政調査に反対する意思を明確にした。同党のチャン・ドンヒョク院内報道担当は本紙の取材に対し、「外交を政争の種にして国益を無視しているのは民主党の方だ」と述べた。
チョ・ユニョン、ソ・ヨンジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1084586.html
韓国語原文入力:2023-03-222:42


「The Hankyoreh」 2023-03-22 07:53
■[寄稿]韓日関係正常化? 今後起きること
 イム・ジェソン|弁護士・社会学者

 「在韓日本大使館前の少女像が撤去されない現状で、日本の首相の韓国訪問を議論することは難しい」。
 日本政府がこのように要求すると仮定してみよう。実際、2018年の韓国大法院(最高裁)による強制動員判決以降の日本内部の雰囲気は、「韓国の間違った行いを正す」だった。現在、そのようになりつつあるのではないか。今後、どのようなことが展開されるのだろうか。
 韓国政府は6日、日本による謝罪も基金への参加もなしで、韓国側の財源によって強制動員被害者に判決金を支給すると発表した。韓国政府が一方的に自国の裁判所の判決を無力化する措置を取ったわけだ。2018年の大法院判決以降、一貫して「韓国自身が解決せよ」と主張してきた日本の非常識な要求は、目の前の現実になった。今後展開されることを、外交、国内政治、被害者の3つの側面でみてみよう。
 まず外交。大統領室は「韓日関係の新時代」だと広報するが、「手形」ではない「現金」は得ていない。もし日本が関係正常化に追加条件を加えるとすれば、韓国政府としては受け入れざるをえない。被害者が20年以上にわたり闘ってはじめて手にした強制動員判決を無力化させたが、韓日関係にまで再び冷たい風が吹くとすれば、それこそ国の品格の自殺行為だ。
 この状況をよく理解している日本は緻密だった。韓日首脳会談後、日本政府は首脳会談で言及された内容を一つずつメディアに流している。2015年の日本軍「慰安婦」合意の履行、レーダー・哨戒機問題、福島産水産物の輸入要求に、独島(トクト)への言及まで。日本メディアがこれを報道すると、韓国メディアは韓国政府に事実かどうかを尋ね、韓国政府は公開できないと述べたり、否定する場面が繰り返されている。首脳会談後、国の姿は本当に滑稽になった。
 日本軍「慰安婦」合意の履行は、日本が最も積極的に要求する争点だ。日本の岸田文雄現首相は、2015年には「慰安婦」合意文を直接朗読した外相だった。当時、韓国政府は「在韓日本大使館前の少女像問題を適切に解決するよう努力」すると公表した。外交的手段をすべて放棄して善意の呼応を期待し白旗投降した韓国政府を相手に、日本はこの機会に一つひとつ整理しようと意気込むだろう。
 次に国内政治。外交惨事を正当化するために、虚偽の事実の流布を含む総攻勢が続くだろう。与党「国民の力」のキム・ギヒョン代表は20日、「共に民主党の論理でいえば、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領は日本の手下になるのか」と批判した。盧武鉉政権時の2007年、「太平洋戦争前後の国外強制動員犠牲者等の支援に関する法律」が制定されたが、尹錫悦政権の案と同様に代位弁済が含まれているではないかという論理だ。事実と異なる。この法律は、被害者に対する政府レベルの人道的慰労金の支援を規定しただけだ。代位弁済は債務者に代わって第三者が債権を返済する手続きだ。慰労金支援と債務弁済は法的性格がまったく違う。
 朴槿恵(パク・クネ)政権時にセウォル号惨事の遺族らと支援団体を査察して追い詰めた局面が再現されることもありうる。大統領室のキム・テヒョ国家安保室第1次長は18日、メディアのインタビューで、「当事者でない他の人の話は、もう少し慎重にフィルタリングして聞く必要」があると述べた。反対する被害者を直接攻撃することは難しいため、その周囲を攻撃するかたちだ。おなじみの論理だ。2019年、もう一つの第三者弁済案である「ムン・ヒサン案」に対して反対が続き、当時、ムン・ヒサン国会議長室は「反対する団体のなかで、強制動員被害者が代表を務める団体はない」として、支援団体のアイデンィティを皮肉った。文在寅(ムン・ジェイン)政権でも尹錫悦政権でも、被害者側は一貫して日本の謝罪を要求したが、権力はその要求を「被害者でない人々の要求」として貶めようとした。大統領支持率が下がれば下がるほど、敵味方分けは激しくなるだろう。
 三つ目に被害者。政府案に反対し最後まで日本企業から賠償と謝罪を得ると明言された方々がいる。今後、この方々は、判決を奪おうと考える韓国政府に立ち向かい、判決を守る闘いをしなければならない。これまでとは比較にならないほど、孤立することになるだろう。未来志向的な国家発展に反する人々、大統領に負担を与える人々というレッテルを貼られるかもしれない。
 これが私たちの追求する韓日関係正常化なのか。被害者の権利を奪い、虚偽の事実で政治対立を最大化し、水平的・互恵的な外交ではなく一方的・従属的な関係のなかで作られる正常化というものは、誰にとっての正常化なのか。はたしてそれは正常化なのか。
イム・ジェソン|弁護士・社会学者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1084572.html
韓国語原文入力:2023-03-22 02:38


「The Hankyoreh」 2023-03-21 10:20
■[寄稿]日本好きな韓国の若者世代、強制動員解決策に対しては「別」だった
 イ・ムニョン|ソウル大学統一平和研究院副教授

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、今回の強制動員解決策は「未来」のためのものだと主張する。「未来世代」「未来志向」「未来基金」のような用語が前面に出てきた。韓国内の一部の日本専門家は、韓国のMZ世代(1980年代半ば~1990年代初頭生まれの「ミレニアル世代」と1990年代後半~2010年代初頭生まれの「Z世代」の2つの世代)の格別な日本への愛に、既成世代(現在の社会の主流である壮年層)の古い反感が邪魔になってはならないと語る。日本メディアも同調する。産経新聞は、反日世論にかかわらずに日本文化を楽しむ「イエス・ジャパン世代」が韓国に存在するとして、韓国の20代の51%が強制動員解決策を支持したとまで主張した。これらは事実なのか。統計を通じて確認してみよう。
 韓国の東アジア研究院と日本の「言論NPO」は、2013年から「韓日国民相互認識調査」を実施してきた。その結果によると、韓国のMZ世代が既成世代よりもはるかに日本を好きなのは事実だ。一例として、2021年の韓国人(平均)の日本への非好感度は63.6%、20代ではそれより20ポイントも低い43.1%、30代は59%だった。20代の場合、好感度(29.9%)も平均(20.4%)より10ポイントも高く、さらに2019年には、好感度(41.9%)が非好感度(33.9%)を超えてもいた。これは、調査期間全体の全世代をあわせて唯一の、きわめて異例の結果だ。韓国のMZ世代、特に20代の日本への好意は確実だ。
 ならば、歴史問題はどうだろうか。日本が好きだから歴史問題にも寛大になるのだろうか。あるいは、古い歴史問題には最初から関心がないのだろうか。2021年、韓国人の51.6%が韓日関係の発展のために解決しなければならない問題の第1位として「慰安婦、強制動員などの歴史問題」を挙げた。ならば、20~30代はどうだろうか。20代の51.5%、30代の51.9%が歴史問題の解決を同じく第1位に選んだ。歴史にまったく無関心なのではない。
 それどころか、歴史問題に対する彼ら彼女らの考えは、2017~18年の調査によると、2015年の韓日政府間の慰安婦合意に対する否定評価は20代で79.1%、30代で82.3%となり、韓国人平均の75%よりむしろ高かった。またその解決策について、「(2015年の合意廃棄と)再協議」という最も強硬かつ原則的な立場は、全世代をあわせて20代で最も高く現れた(平均48.2%、20代で55.1%)。
 強制動員問題も同じだ。2018年の日本企業の賠償責任を認めた大法院(韓国最高裁)判決以降、日本の輸出規制措置、韓国のGSOMIAによる正面対抗など、歴史・経済・安全保障に関する複合対立によって、韓日関係は最悪の危機を迎えた。次は、これについて実施したアンケート調査の結果を世代別に整理したものだ。

【図】2019~2020年の調査結果。選択した回答は上から「大法廷判決を肯定的に評価」「日本企業が賠償すべき」「歴史問題で日本側の誠意がなければ韓国政府の積極的な対応は不要」「(日本の経済措置に対して)韓国も対抗措置をすべき」。数字は平均、20代、30代の割合//ハンギョレ新聞社

 すべての項目で、韓国人の平均より20代は若干低く、30代は若干高い。すなわち、強制動員問題について、既成世代と20~30代の認識には大きな違いはなく、30代の場合はさらに強硬だ。今回の強制動員解決策に直結した質問項目も同じだ。関連する2020~2021年の調査の平均を出してみると、「韓国司法府の判決に従い、(被告企業による被害者への賠償の)強制執行が行われなければならない」に対する20代、30代、全世代の賛成比率は、それぞれ31.3%、33.4%、34.4%だった。20~30代が若干低いが、大きな差はなく、他の世代と同じように20~30代もこの案を解決策の第1位に選んだ。
 特に20代の場合、「最高裁判決は1965年の韓日協定に反するため、日本企業は従う必要はない」を選択した割合(10.2%)は平均(13.6%)より低く、「(日本企業でなく)韓国政府が補償する」の場合も同様だった(平均15.2%、20代14.0%)。
 統計が示す現実は、未来のためだとする今回の強制動員解決策が、本来の未来世代の認識といかにかけ離れているかを如実に示している。「若い韓国人」はいくら日本好きでも歴史問題は決して軽視しない。楽しむべきことは思う存分楽しむが、非難すべきことは同様に厳しく非難する。時には既成世代よりも厳しい。「慰安婦」や強制徴用で苦痛を受けた高齢の被害者の涙は、青年世代特有のジェンダーと人権の感受性に突き刺さる。歴史を越えて、人間の普遍的価値の問題だからだ。
 「文化は文化で、歴史は歴史だ」という軽快でクールな感覚は、これまでのすべての対日政策者がスローガンとして叫んできたが誰も成功できていない「(歴史・政治/文化・経済)ツートラック戦略」を20~30代がすでに日常で先取していることを示している。比類なく高まった国家の地位に、金九(キム・グ)先生があれほどまでに願った文化強国まで成し遂げた現在、韓国の青年たちは、それだけより堂々とした正しい歴史を望む。
 最近の世論調査がこれを端的に示している(イム・ソンヒョン、「毎日経済」2023年3月8付)。今回の強制動員解決策について、韓国人の57.9%が「間違った決定」だと答えた。20~30代はどうか。20代で60.1%、30代で59.7%。平均より高い。今回の解決策は、過去だけでなく未来も封印した惨事だということだ。前代未聞の外交惨事を、若者たちを盾に正当化してはならない。若者たちを犠牲にした惨事はもう十分だ。恥ずべきことではないか。
イ・ムニョン|ソウル大学統一平和研究院副教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/because/1084383.html
韓国語原文入力:2023-03-20 19:27


「The Hankyoreh」 2023-03-21 07:19
■拡大する対日外交惨事糾弾の声…「尹大統領と3人組の責任を問う」

【写真】キム・サンヒ委員長(右から5番目)をはじめとする共に民主党対日屈辱外交対策委員会の国会議員たちが17日午後、ソウル鍾路区世宗大路の光化門広場でプラカードを掲げ、政府の強制徴用賠償解決策、尹錫悦大統領の訪日外交について立場を表明している/聯合ニュース

 「最悪の屈辱外交」と批判されている韓日首脳会談の影響が各界へと広がっている。大学政策学会、全国教授労働組合など17の教授・研究者団体は20日、「史上最悪の外交惨事が発生した」として日帝強制労働被害者に対する第三者弁済案の撤回とパク・チン外交部長官の弾劾を要求し、カトリック正義具現司祭団は全羅北道全州(チョンジュ)で政権退陣を求める時局ミサを開催した。野党「共に民主党」も、パク・チン外交部長官、キム・ソンハン国家安保室長、キム・テヒョ国家安保室第1次長を外交惨事3人組と呼び、問責を要求した。野党は首脳会談の過程を問う国会運営委員会の招集はもちろん、国政調査の実施など、動員しうるあらゆるカードを動員するとの態度だ。
 大学政策学会などの17の教授・研究者団体は20日、国会議員の団体「日本の強制動員謝罪と戦犯企業の直接賠償履行を求める議員の会」所属の議員と国会疎通館で記者会見を行い、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は日本の不当な要求に対して完全に白旗をあげた」とし、「大韓民国のすべての絶対利益を譲歩した一方、ひとつの実益も得られなかった」と批判した。彼らは「新是日也放声大哭」と題する声明書で「韓日首脳会談で尹大統領が示した屈辱的な投降は、歴史の教訓を否定する大統領の浅薄な認識が招いた当然の帰結」とし「政府の解決策(第三者弁済案)を直ちに撤回し、尹大統領が自らどのような責任を取るのか、具体的に明らかにすべきだ」と述べた。国会に対しては「外交惨事の主務長官パク・チンを弾劾せよ」と述べた。声明には、社団法人外交広場などの外交・平和研究者の団体や全国教授研究者協議会などの全国の教授・研究者団体が名を連ねた。
 カトリック正義具現全国司祭団(司祭団)もこの日夜、全羅北道全州市の豊南門(プンナムムン)広場で「検察独裁打倒と買弁売国独裁政権退陣を求める時局ミサ」を開催した。尹大統領就任後、司祭団が政権退陣を要求したのは今回が初めて。正義記憶連帯も声明を発表し、その中で「被害者と市民団体の障害物扱い、『慰安婦』被害者に和解・癒やし財団の残余金を活用するという妄言を糾弾する」として「キム・テヒョ国家安保室第1次長は国民と被害者に謝罪し、辞任せよ」と述べた。

◆民主党は圧力を強めている。
 イ・ジェミョン代表は最高委員会で「尹錫悦政権の対日屈辱外交の真相を明らかにするために、国会は強力な措置を取るべき」だとし「我が党は取りうるあらゆる手段を動員して亡国的野合の責任を厳しく問う」と語った。パク・ホングン院内代表も「パク長官とキム・テヒョ次長は約束でもしたかのように報道で『具体的に申し上げるのは適切ではない』『首脳会談での対話はすべては公開できない』と急いで覆い隠そうとする姿ばかり」とし「責任を取って直ちに辞任すべき」と語った。民主党はこの日、正義党と共に国会運営委員会の招集を要求した。同党の院内指導部の関係者は「『新乙巳条約真相究明国政調査』の推進など、国会で動員しうるカードを総合的に検討している」と語った。
 民主党はこの日、同党の対日屈辱外交対策委員会の主催で「韓日首脳会談分析・評価緊急座談会」を開催した。座談会で民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長は、パク・チン長官とキム・ソンハン国家安保室長、キム・テヒョ国家安保室第1次長を名指ししつつ、「日本政府を尊重する気持ちのせめて100分の1でも被害者や韓国国民に示すべきではないか。このような方が政治的に重要な決定を下すのは到底許すことはできない」とし、彼らの弾劾と辞任を要求した。
 カン・チャンイル前駐日大使は首脳会談のことを「白旗投降」「物乞い」「屈辱外交」と表現した。同氏は日本のメディアが首脳会談で「慰安婦」合意の履行や福島産などの水産物の輸入問題などが議論されたと報じたことに触れ、「韓国政府は日本の外務省に、首相官邸に、なぜ議題にないことを話すのかと抗議すべきだったのではないか」、「(大統領室の説明どおり)論議しなかったというのは黙っていたということではないか。このように屈辱的な行いができるのか、これこそ売国だ」と語った。
オム・ジウォン、オ・ヨンソ、イム・ジェウ、パク・イムグン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-03-20 23:18


「The Hankyoreh」 2023-03-21 07:23
■韓国与党の政治家「日本は加害者…被害者がなぜ加害者の心を開かなければならぬのか」
 大統領室の「日本人の心を開くことに成功」自評に 
 「加害者こそ被害者の心を開くために努力しなければならない」

【写真】国民の力のユ・スンミン前議員が昨年9月、大邱北区の慶北大学で「無能な政治を変えるには」をテーマに特別講義を行っている/聯合ニュース

 国民の力のユ・スンミン前議員は20日、「屈辱外交」だとの批判を受けている尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の訪日外交について、「大韓民国大統領として対日外交で守らなければならない線はどこにあるのか、改めて考えてみるべき」と批判した。
 ユ前議員はこの日、フェイスブックに「できれば口を閉じていようと思ったが、情けないので一言述べる」としてこのように記した。ユ前議員は「大統領室が『日本人の心を開くことに成功した』と自慢している」とし「過去において日本は加害者、韓国は被害者だったという歴史の真実は変わりえない。被害者がなぜ加害者の心を開かなければならないのか。加害者こそ被害者の心を開くために心から努力すべきなのではないか」と問うた。
 続けて「日本は強制徴用、強制労働の『強制性』さえ否定している」とし、「加害者が被害者の心を開かなければならない状況を、被害者が加害者の心を開かなければならない状況に転倒させておいて、これを外交的成功だと自慢するのだからあきれる」と批判した。
 大統領室のイ・ドウン報道官は前日のブリーフィングで、尹大統領が訪日期間中に日本の市民から拍手されたことなどに言及し、「これほどであれば日本人の心を開くのにある程度成功したのではないかと思う」と述べている。
 ユ前議員は、対日外交を行う上で守るべき原則があることを強調した。同氏は「大韓民国が長いこと日本の謝罪と賠償にしがみついていることには私も賛成しないし、(強制動員被害者への賠償を命じた)2018年の最高裁判決が国際法と衝突するという問題も知っている」としつつも「しかし、だからといって歴史の真実まで否定しようとする日本に低姿勢を取るべき理由はない」と述べた。
 ユ前議員は「独島、慰安婦、強制徴用、佐渡鉱山のユネスコ登録などの主権と歴史の問題については、韓国の断固たる原則を守らなければならない」とし、「それが殉国烈士の魂に恥じない、慰安婦被害者、強制徴用被害者の無念を少しでも解消する道」だと述べた。
 ユ前議員は「大韓民国大統領として対日外交で守らなければならない線はどこにあるのか、改めて考えてみるよう願う」とし、「韓国がその線を守り、日本もその線を守ってはじめて韓日関係は『正常化』される」と助言した。
ソン・チェ・ギョンファ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1084337.html
韓国語原文入力:2023-03-20 15:52


「The Hankyoreh」 2023-03-21 08:24
■[コラム]日本のマスコミに心配される尹錫悦大統領
 韓国の大統領が日本の首相に要求でもすべきだったのではないか。会談を台無しにしろと言っているわけではない。譲歩せざるを得なかったのなら、せめて被害者と国民にきちんと説明すべきだったのではないか。読売新聞とは9面にわたるインタビューを行ったのに、その誠意の半分でも国内に注ぐべきだったのではないか。ホテルの職員数人に拍手を送られた程度を「歓待」と言い張るのを見ると、哀れとしか言いようがない。

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は岸田文雄首相との16日の東京首脳会談に「第三者弁済案」を持って行った。キム・テヒョ国家安保室第1次長がメディアとのインタビューで語ったところによると、日本側は「驚いた。韓国の国内政治において問題にならないかどうかは分からないが、我々(日本)としては待ちわびていた解決策だ」という反応を示したという。これに先立ち、尹大統領は読売新聞とのインタビューで、「求償権の行使を想定していない」として、2018年の最高裁(大法院)の判決を否定した。係留中の訴訟についても、今後確定判決が出ても「第三者弁済」を進めるつもりだから、日本の「心配には及ばない」と語った。行政府の首長が未来の司法府の判決を無視したのだ。これが尹大統領の言う「未来」なのか。
 「国内政治における波紋」を甘んじて受け入れてまで期待したのは「最小限の謝罪」と「加害企業の韓日・日韓未来パートナーシップ基金への参加」だった。しかし岸田首相は「歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいることを確認する」と曖昧に述べた。「金大中(キム・デジュン)-小渕共同宣言(日韓パートナーシップ宣言)」の代わりに「1998年10月に発表した日韓共同声明」という言葉を使った。「強制動員」も「旧朝鮮半島出身労働者問題」と表現した。「痛惜の念」(1990年、訪日した盧泰愚大統領を歓迎する夕食会で明仁天皇が述べた言葉)のレベルだ。キム次長は、日本の公式謝罪が20回を超えると語った。とりあえず謝罪して後に翻すのなら、前の謝罪が有効といえるだろうか。
 韓国は世界貿易機関(WTO)への提訴を撤回した。2018年10月の最高裁確定判決が出たことを受け、日本は2019年7月、フッ化水素など3品目を対象に輸出規制に乗り出し、8月にはホワイト国(輸出審査優待国・現グループA)から韓国を除外した。これに対し韓国は9月、WTOに提訴した。今回、日本は輸出規制を緩和しただけで、グループAへの復帰は「これから協議」すると発表した。韓国政府は今回の首脳会談を機に、日本が執拗に求めてきた韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)も完全正常化すると発表した。これが「国益」なのか。
 首脳会談後、共同通信など日本メディアは「当局者」の話として、首脳会談で韓日「慰安婦」合意の履行、竹島(独島)問題なども取り上げられたと報じた。もし事実ではないのなら、韓国政府は「議題として議論されたことはない」などと言葉を濁さず、韓国でそうしたように、日本メディアを相手取り訴訟を起こせばよいではないか。
 さらに佐渡鉱山(「佐渡島の金山」)の世界遺産登録、福島原発汚染水の海洋放出、福島産の海産物の輸入規制、2018年海上自衛隊哨戒機をめぐる対立など、様々な請求書が尹政権を待っている。低姿勢だからこそ、高圧的な態度を取られるのだ。これを俗に「カモ」という。日本のマスコミまでも尹大統領を心配し、日本政府にあまり窮地に追い込まないで「呼応」するよう促しているほどだ。
 冷え込んだ韓日関係を改善しなければならないという尹大統領の考えに同意しない国民はいないだろう。いつまでも日本を敵対視するわけにはいかない。しかし、だからといって、このようなやり方で関係改善を進めてはならない。なぜこんなに急いだのだろうか。おそらく、4月26日の訪米前に決着をつけて米国に称賛され、5月の広島主要7カ国首脳会議(G7サミット)にも招待されたかったのではないかと推察するだけだ。時間に追われると交渉力は低下するものだ。
 今回の「解決策」は、韓国社会の激しい反発に遭い、機能不全状態に陥った2015年12月の朴槿恵(パク・クネ)政権の韓日「慰安婦」合意よりもさらにひどい。当時、日本は「謝罪」し(「日本政府は責任を痛感している」、「安倍内閣総理大臣は~心からおわびと反省の気持ちを表明する」)、10億円の基金を拠出しており、当時外相だった岸田氏が韓国を訪れた。
 日本が今回、心から謝罪し賠償を行う意向を示すと期待した韓国人はほとんどいなかった。しかし、韓国の大統領ならば、日本の首相に要求でもすべきだったのではないか。協議を台無しにしろと言っているわけではない。譲歩せざるを得なかったのなら、せめて被害者と国民に説明でもきちんと行うべきだったのではないか。読売新聞と9面にわたる長いインタビューに応じたが、その誠意の半分でも国内に注ぐべきではなかったのか。首脳会談直前まで日本側の動きも予測できず、ただ「日本の誠意」に期待していただけなのに、今になってホテル職員数人に拍手されたことを「歓待」と言い張るのを見ていると、哀れとしか言いようがない。なぜ被害者である私たちが「日本人の心」を掴もうとやきもきしなければならないのか。
 高い「地位」に就くと、「力」と「情報」が集まる。すると、自分が下すすべての決定が正しいという錯覚に陥る。「地位」と「能力」を混同するためだ。ましてや権威的である人なら、周りが口を閉ざしてしまう。だから、傲慢な姿勢を捨て、専門家や自分に反対する人々の話に耳を傾けてこそ過ちを減らすことができる。尹大統領は13日、与党「国民の力」指導部との夕食会で、「誰かは負担を背負ってでも整理していかなければならない。非難を恐れて何もしなければ国益に役立たない」と述べた。このような発言は拍手する準備ができている与党幹部の前ではあえて言う必要もないだろう。「負担」ははっきりしているのに、いかなる「国益」を手に入れたのかは見えてこない。だから、少なくとも今回の事態を「成果」と言い張るのはやめてほしい。

クォン・テホ | 論説委員室長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1084395.html
韓国語原文入力:2023-03-21 02:42
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「徴用訴訟の原告4人 三菱重工の資産売却へ法的手続き=韓国」

2023年03月26日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「聯合ニュース」 2023.03.26 13:10
■徴用訴訟の原告4人 三菱重工の資産売却へ法的手続き=韓国
【光州聯合ニュース】日本企業を相手取った韓国の徴用被害者の訴訟で、一審と二審で勝訴して大法院(最高裁)判決を待つ被害者と遺族計4人が被告の三菱重工業の韓国内の資産を売却(現金化)するための法的手続きを開始した。被害者を支援する市民団体「日帝強制動員市民の集まり」が26日、明らかにした。

【写真】政府による賠償金の肩代わりに反対する徴用被害者(資料写真)=(聯合ニュース)

 同団体によると、4人は24日に訴訟代理人を通じて三菱重工業の特許権の差し押さえと現金化を認めるよう大田地裁に申請した。
 差し押さえ対象は計4件。被害者2人と遺族2人が1件ずつ申請した。一審で宣告された賠償金と遅延利息を合わせた計約6億8000万ウォン(約6900万円)に対する措置となる。
 被害者と遺族は2014年2月と15年5月に提訴。一審と二審でいずれも勝訴したが、大法院判決は3年以上引き延ばしになっている。原告4人は一審判決に関し現金化を強制執行する権利を確保しているが、さまざまな状況から実施されていない。
 原告4人は韓国政府の財団が被告企業の賠償を肩代わりする政府の解決策に反対している。4人は政府が今月6日に発表した解決策は日本の謝罪と責任を問うという訴訟の趣旨を歪曲(わいきょく)しており、これ以上、現金化の権利行使を引き延ばせないと判断。今回の申請に踏み切った。
 これに先立ち、三菱重工業を相手取った訴訟を巡り大法院判決で勝訴が確定した原告のうち存命中の2人が財団による肩代わりを拒否する内容証明を財団に送っている。


「中央日報日本語版」 2023.03.27 07:02
■韓国憲法裁判官候補者「強制徴用、被害者の意思が最も重要」

【写真】キム・ヒョンドゥ憲法裁判官候補者(左)が裁判所行政処次長を務めていた昨年4月、国会法司委法案審査小委員会会議に出席した様子。キム・サンソン記者

 憲法裁判官候補者のキム・ヒョンドゥ氏(58、司法研修院第19期)は政府が出した第3者弁済方式の日帝強制徴用被害者賠償案に対して「最も重要なのは当事者である被害者の見解を尊重すること」と明らかにした。
 26日法曹界と政界によると、キム氏は国会法制司法委員会に提出した人事聴聞会の書面質疑答弁書で「わが国は日帝による35年間の支配で多くの損失を被り、強制徴用被害者は直接損害を受けた方々なので被害に填補が必要だ」と述べた。
 キム氏は「国民の意見を十分に収れんして慎重かつ合理的に決定されなければならないと考える」とし、「憲法裁判官候補者として強制徴用被害者に賠償する方法に関連し、さらに詳細な見解を明らかにするのは適切でないことを了承していただきたい」と付け加えた。
 最近、チョン・スンシン弁護士が国家捜査本部長から落馬した原因となった子どもの校内暴力事件に関連しては、加害生徒が訴訟を起こし、被害生徒の被害を加重させないように学校内で措置を取る必要があると明らかにした。
 また「裁判請求権の保障という観点から加害生徒の行政争訟を防ぐことは難しい」としつつも「争訟で被害生徒の被害救済期間が長くなる恐れがあれば、学校内で最善の措置を取る必要がある」と話した。
 最近、憲法裁判所で効力を維持した「検察捜査権の完全剥奪」法案については「警察と検察の利害関係とは別に、専門家と国民の意見を十分に収集して合理的に決定されなければならず、国民のコンセンサスを形成する十分な討議を経る必要がある」という原論的な立場を明らかにした。
 同時に「最近、憲法裁が権限争議事件を宣告し、憲法裁判官候補者としてすでに決定した事案に対してより詳細な見解を明らかにするのは適切ではないということを了承してほしい」と話した。
 キム氏は、「充実した裁判のためには判事を今より増やす必要がある」という見解も明らかにした。また「十分な数の裁判官増員が必要だ」とし「裁判官がいくら頑張りたくても事件が多ければうまくできない」と話した。
 また「裁判官は国家公務員の中で最も熱心に働く職群に該当すると言え、増員にかかる予算は最も価値のある予算になるだろう」とし「国会が裁判官増員に関する法律案を速かに審査していただくようお願いしたい」と付け加えた。
 ロウソク集会に対しては「国民が平和的な方法で主権者としての意志を表現する方法として評価される」とし「大統領弾劾ロウソク集会は主権者の意思で弾劾議決と審判に至らせた集会であり、国民の意思が最も大事であることを明確に示した事件」と話した。
 母親に利子なしでお金を貸したことに対しては「母親所有のマンションが再建されることで負担することになった約6億3000万ウォン(約6300万円)の追加分担金、それによる貸出利子や元金償還額、財産税、総合不動産税などを母親が負担する経済的余裕がなく貸した」とし「利子を受け取れなかった部分は贈与税の納付を検討している。申し訳ない」と述べた。
 キム氏は教師だった配偶者が1997年育児休職し、今後ソウルの学校に配分されるためにキム氏の姉が住むソウルの家に転入届を出したが、配偶者が実際に復職せず2001年に退職したとし「理由がどうであれ申し訳ない」と述べた。
 また、2001年にソウル松坡区(ソンパグ)のマンションを1億6000万ウォンで購入した時、売り手が減税目的なのか8800万ウォンで申告してほしいと要求して受け入れたとし、「事情上やむを得ず要求に応じたが、売買価格を低く申告した点を申し訳なく思う」と述べた。
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「パルテノン神殿の破片、ギリシャに返還 バチカン」

2023年03月25日 | 国家・社会
「AFP」 2023年3月25日 14:39 発信地:アテネ/ギリシャ
■パルテノン神殿の破片、ギリシャに返還 バチカン

【写真】バチカンがギリシャに返還したパルテノン神殿の破片の一部。ギリシャ・アテネのアクロポリス博物館で(2023年3月24日撮影)。(c)Angelos Tzortzinis / AFP
【写真】バチカンがギリシャに返還したパルテノン神殿の破片。ギリシャ・アテネのアクロポリス博物館で(2023年3月24日撮影)。(c)Angelos Tzortzinis / AFP
【写真】バチカンがギリシャに返還したパルテノン神殿の破片の一部を手にする学芸員。ギリシャ・アテネのアクロポリス博物館で(2023年3月24日撮影)。(c)Angelos Tzortzinis / AFP  
【写真】ギリシャ・アテネのアクロポリス博物館で、バチカンがギリシャにパルテノン神殿の破片を返還する式典の様子(2023年3月24日撮影)。(c)Angelos Tzortzinis / AFP
【写真】ギリシャ・アテネのアクロポリス博物館で、バチカンがギリシャにパルテノン神殿の破片を返還する式典に出席したブライアン・ファレル司教(前列中央、2023年3月24日撮影)。(c)Angelos Tzortzinis / AFP 
【写真】ギリシャ・アテネのアクロポリス博物館で、バチカンがギリシャにパルテノン神殿の破片を返還する式典でスピーチを行うブライアン・ファレル司教(2023年3月24日撮影)。(c)Angelos Tzortzinis / AFP 

【3月25日 AFP】ローマ教皇庁(バチカン)は24日、200年以上保管していたギリシャ・アテネのパルテノン神殿(Parthenon Temple)の破片3点を同国に返還した。ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇(Pope Francis)は友好の証しだとしている。
 バチカンのブライアン・ファレル(Brian Farrell)司教は、アテネのアクロポリス博物館(Acropolis Museum)で行われた式典で、「バチカン美術館(Vatican Museums)に200年以上にわたって保管されていたパルテノン神殿の破片を贈るのは、バチカン側からギリシャの人々との友好と連帯を示す文化的・社会的な証しだ」と述べた。
 バチカン美術館のウェブサイトによると、大理石の破片3点にはそれぞれ、ギリシャ神話の馬車を引く馬の頭部、アテネ建設の記念行事に参加しているとみられる少年の頭部、半人半馬のケンタウロスとラピテス族の戦いを描いた神殿側面の男性の頭部が彫られている。
 パルテノン神殿は、紀元前5世紀にアテネの守護神である女神アテナ(Athena)を祭るためにアクロポリスに建てられた。1687年にベネチア共和国軍の攻撃で一部が損壊して略奪を受けた。神殿の破片は現在、さまざまな博物館に収蔵されている。 
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「慰安婦」被害者イ・ヨンスさんの叫び「歴史問題解決の約束は嘘なのか」

2023年03月24日 | 日本軍隊性奴隷
「The Hankyoreh」 2023-03-23 07:54
■[フォト]「慰安婦」被害者イ・ヨンスさんの叫び「歴史問題解決の約束は嘘なのか」

【写真】日本軍「慰安婦」被害者であり人権運動家のイ・ヨンスさんが第88回水曜デモに参加し発言している=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓日首脳会談後初めて開かれた水曜デモで、参加者たちは日帝強占期(日本による植民地時代)強制動員賠償に関する解決策の撤回を求めた。
 正義記憶連帯と市民団体、進歩党は22日昼、ソウル鍾路区(チョンノグ)の旧日本大使館近くで第1588回日本軍性奴隷制問題解決のための水曜デモを開き、韓日首脳会談を批判した。
 水曜デモに参加した日本軍「慰安婦」の被害者であり、人権運動家のイ・ヨンスさんは、日本が和解・癒やし財団に拠出した10億円をすべて返還するよう政府に求めたうえで、「尹大統領が大統領選候補時代に大邱(テグ)を訪れて歴史問題を解決すると述べ、大統領にならなくても解決すると約束したが、それは嘘だったのかと聞きたい」と語った。
 参加者たちは独島(トクト)問題、福島産水産物の輸入、「慰安婦」合意の履行などに関する韓日首脳会談の内容を明らかにするよう求めた。また、戦争犯罪に対する日本政府の公式謝罪と法的賠償も要求した。
第1588回水曜デモの参加者たちが強制動員解決策を直ちに撤回するよう求めている=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

【写真】参加者たちが公式謝罪と法的賠償を求めるプラカードを持っている=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社
【写真】第1588回水曜デモを主管した正義記憶連帯と進歩党は、韓日首脳会談の結果を批判した=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

カン・チャングァン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-03-22 16:18
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「「韓国軍ベトナム民間人虐殺」被害者への賠償命じる一審判決に韓国政府が控訴」

2023年03月23日 | 韓国で
「The Hankyoreh」 2023-03-23 09:41
■「韓国軍ベトナム民間人虐殺」被害者への賠償命じる一審判決に韓国政府が控訴
 ベトナム外務省「歴史的事実を正しく認識してほしい」

【写真】ベトナム戦争中の韓国軍による民間人虐殺の被害者に対して「加害国韓国」に法的責任を取るよう命じた判決が先月7日に下された。同日午後、ソウル中央地裁前で弁護人たちが原告のグエン・ティ・タンさんとオンラインでつないで記者会見を行っている=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 韓国政府は、ベトナム戦争中の韓国軍による民間人虐殺被害に対する国の損害賠償責任を認めた一審判決を不服として控訴した。ベトナム外務省は「韓国政府が控訴したことを非常に遺憾に思う」と述べた。
 韓国政府は9日、ソウル中央地裁民事68単独に控訴状を提出した。先月7日、裁判部はベトナム人グエン・ティ・タンさん(63)が韓国政府を相手取って起こした損害賠償訴訟で原告勝訴の判決を下した。裁判所は「被告大韓民国は原告に3千万100ウォンと、これに対する遅延損害金を支給せよ」と命じた。ベトナム民間人虐殺事件が発生してから55年にして下された、韓国政府の賠償責任を認めた初の司法判断だった。
 1968年2月、当時8歳だったグエン・ティ・タンさんはベトナムのクアンナム省ディエンバン市ディエンアン区フォンニィ・フォンニャット村の自宅近くで、韓国軍青龍部隊所属の兵士たちに左脇腹を銃撃されて重傷を負った。手術で命はとりとめたものの、今も後遺症に苦しんでいる。この事件で家族5人が命を奪われ、14歳だった兄は大けがをした。グエン・ティ・タンさんは「民間人虐殺を韓国政府が認めることのみが、被害者の苦しみを和らげられる。私をはじめ多くの被害者の名誉が回復されることを願う」として2020年4月に韓国政府を提訴した。
 裁判の過程で政府は、韓国軍が加害者だという事実は認められないと主張した。また政府は、ゲリラ戦が展開されたベトナム戦争の特性上、民間人とベトコンの兵士が区別できなかったために発生した正当な行為だったとも主張したが、裁判所はベトナム戦争参戦軍人、当時の村の民兵隊員などの証言や様々な証拠をもとに、韓国軍によるベトナム民間人虐殺を事実と認めた。この判決はベトナム民間人虐殺に対する韓国政府の賠償責任を認めた初の司法判断だった。
 この日、ベトナム外務省のファム・トゥ・ハン副報道官は午後の定例記者会見で、韓国政府の控訴について「非常に遺憾」だとし「包括的戦略的パートナー関係の精神に則り、ベトナムは韓国に歴史的事実を正しく認識し、尊重することを要請する」と述べた。また「ベトナムは、過去は閉じて未来へと向かおうという方針だが、それは真実を否定するという意味ではない」と強調した。
チョン・グァンジュン、シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-03-09 23:01


「The Hankyoreh」 2023-02-23 02:39
■[コラム]韓国軍のベトナム民間人虐殺、なぜ恥じることは国民の役割なのか
 パク・チャンス|大記者

【写真】ベトナムの「フォンニィ・フォンニャットの虐殺」の生存者グエン・ティ・タンさん(中央左)とグエン・ドゥク・チョイさんが12日、ベトナムのダナンの自宅で韓国裁判所での勝訴を祝う花束を贈られて喜んでいる=ダナン/シン・ダウン「ハンギョレ21」記者//ハンギョレ新聞社

 「あの日の午前、フォンニィ・フォンニャット村のグエン・ティ・タンさん(8)の自宅にはグエンさん、兄(15)、姉(11)、弟(6)、叔母(32)、従弟(生後8カ月)、近所の子(13)がいた。銃声が近づいてきた時、叔母とグエン・ティ・タンさんをはじめとする7人は怖くなって避難ごうに隠れた。米軍の爆撃に備えて掘っておいた深さ1メートル、幅4メートルの小さな空間だった。自宅に押し寄せた韓国兵は避難ごうを発見し、出てこいという手振りをした。叔母は出るなと言った。韓国兵は手りゅう弾を投げるまねをした。子どもたちは恐怖に耐えられなかった。…記憶から消し去りたい時が流れた。グエン・ティ・タンさんは腹を撃たれながらも素早く別の家に逃げた。腹と尻を銃撃されて立ち上がることのできない兄だけが隣にいた。後に米軍と南ベトナムの民兵隊に発見され、兄と共にヘリコプターで運ばれた。あの日、自宅にいた7人のうち5人が死亡した」(『ベトナム戦争1968年2月12日、ベトナムのフォンニィ・フォンニャットの虐殺、そして世界』(コ・ギョンテ著)に掲載されたグエン・ティ・タンさんの証言)
 消し去ることのできないつらい記憶は、ようやく少しの慰めを得た。7日、ソウル中央地裁はベトナム戦争派兵韓国軍によるフォンニィ・フォンニャットの虐殺を認め、韓国政府にグエン・ティ・タンさんへの賠償を命じる判決を下した。リ・ヨンヒ先生の『転換の時代の論理』がベトナム戦争に対する韓国社会の認識を変え始めたのは、1970年代半ばのことだった。ベトナム国民に対する暴力と加害を公に認めるには、さらに半世紀かかったわけだ。
 だが、韓国政府は判決を直ちに否定した。イ・ジョンソプ国防部長官は17日の国会国防委で、「様々な資料を確認し、証人も確認してみたが、韓国将兵による虐殺は全くなかった。ベトナム派遣将兵の名誉を考えても、この部分を重く見ている」と述べた。イ長官の国会答弁は龍山(ヨンサン)の大統領室と綿密に調整したものであるはずだ。1960年代のベトナム戦争の拡大を主導した米国のロバート・マクナマラ元国防長官は回顧録で、「完全に誤っていた。後代に説明する方法がない」と吐露している。もちろんベトナム戦争は「米国の戦争」であって「韓国の戦争」ではない。しかし、20世紀の最も誤った戦争の最も残酷な場面の一つを21世紀の大韓民国の国防部長官が依然として無視し、「何も誤っていない」と強弁するのは穏当なのか。このような長官の答弁を容認する尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の「自由と人権」とは、いかなる意味と価値を持つのか。
 尹錫悦政権は「戦争当事者である米国もベトナム人に対して公式に謝罪したことはない」と言うかもしれない。いわんや米国の要請で参戦した韓国が謝罪できるか、という論理だ。少なくとも58万人以上のベトナムの民間人を死に追いやり、南ベトナムの面積の12%に枯葉剤などの化学薬品をまき散らした米国に比べれば、フォンニィ・フォンニャットの虐殺は「極限の戦争状況においてはいつでも起こりうる些細なこと」のように見えるかもしれない。それでも米国防総省は、1970年代初めのベトナムにおける米軍の故意の民間人虐殺と残虐行為をそれなりに徹底して調査し、9千ページにのぼる報告書を残している。機密とされたこの報告書は、30年が過ぎた2006年にようやく公開されている。
 最も残虐なミライ村大虐殺を除いて、少なくとも137人の民間人が殺された7件の虐殺など、数百件の米軍による残虐行為が報告書には記録されている。一方、フォンニィ・フォンニャットの虐殺については、韓国政府のきちんとした調査報告書があるのかも明確に確認されたことがない。虐殺翌年の1969年に中央情報部(現国情院)が現場にいた将校・下士官を南山(ナムサン)に呼んで調査したといわれるが、その内容はいまだ公開されていない。そういう点で、グエン・ティ・タンさんの苦しみは歴代の進歩・保守政権が責任を共有している。
 違いはある。ベトナム国民への正式な謝罪ではないが、少なくとも「遺憾表明」した歴代大統領は3人。すなわち金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)、文在寅(ムン・ジェイン)だ。金大統領は「不本意ながらベトナム国民を苦しめ、申し訳なく思う」と述べ、盧大統領は「韓国国民には心の負債がある」と述べた。文大統領は「私たちの心に残っている両国間の不幸な歴史に遺憾の意を表する」と語った。仮に尹錫悦大統領がベトナムを訪問するとしたら、ベトナム国民に何を語りかけるのだろうか。イ・ジョンソプ長官の発言に照らしてみれば、まったく言及せずにやり過ごすのはほぼ確実だ。
 グエン・ティ・タンさんが受け取ることになる賠償金は3000万100ウォン。国家賠償訴訟の最小額である3000万ウォンに100ウォンを加えた金額だ。グエンさんは判決直後、「金には関心がない。韓国政府に認めてもらいたい、謝罪してもらいたい、それだけ」だと述べた。家族を失い、辛うじて生き残った8歳の子どもは、半世紀ものあいだ苦しんできたにもかかわらず「謝罪が欲しいだけで、金はいらない」と言う。一方、依然として「ベトナム派遣将兵の名誉」ばかりを強調する大韓民国政府を見ると、私は言葉では言い尽くせない恥ずかしさを感じる。
パク・チャンス|大記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1080745.html
韓国語原文入力:2023-02-22 15:17


「The Hankyoreh」 2023-02-22 07:45
■[寄稿] ベトナム戦争の民間人虐殺と加害者の立場に立つことの意味
 イム・ジェソン|弁護士・社会学者

【写真】ベトナムの河南省フォンニィ村の自宅にいたグエン・ティ・タンさんが7日の勝訴判決後、弁護団とテレビ電話で感想を述べている=ベトナム戦争問題の公正な解決のための市民社会ネットワーク提供//ハンギョレ新聞社

 平和とは何だろうか。平和であるという状態とは何だろうか。哲学者のエマニュエル・レヴィナスの「非暴力」に対する説明に少し修正を加えて定義してみると、次のようである。「自分が誰かから暴力を加えられるかもしれないという恐れ」(被害者としての不安)と「自分が誰かに暴力を加えるかもしれないという恐れ」(加害者としての不安)の間の緊張状態。一見平和と全く関係なさそうな、この不都合な恐れを同時に抱き、その狭間で葛藤する時、初めて「平和」という状態が維持される。
 被害者になるかも知れないという恐れだけが圧倒的に大きい社会は暴力へと進む。2011年5月、米国の若者たちは街頭に飛び出して抱き合って歓声を上げ、W杯の応援で登場した「ブブゼラ」を吹き鳴らした。ウサマ・ビンラディンが射殺されたという知らせを聞いたからだ。3千人余りが犠牲になった2001年の同時多発テロ以後、米国社会は更なるテロの恐怖に満ちていた。米国は直ちに「テロとの戦い」の名のもとに他国への爆撃を開始し、同時多発テロとは関係のないイラクまで侵攻した。結局、10年余りの戦争の末、テロの主犯を殺した。人々は「もう(テロで)殺されることはない」と喜んだ。
 米国はこれ以上被害者になるわけにはいかないと言いながら、何人を殺したのだろう。米ブラウン大学の研究によると、テロとの戦いで死亡したイラクやアフガニスタン、イエメンなどの人々は90万人前後と推算される。ブブゼラを吹き鳴らしていた米国人たちには、被害者としての恐れと拮抗し、暴力という選択をためらわせる加害者としての不安など存在しなかった。
 テロとの戦いの初期、「まず、共に悲しもう。だが、みんなで一緒に愚か者になる必要はない」(スーザン・ソンタグ)という声もあった。無差別の軍事対応には数多くの民間人の被害が伴い、テロにテロで立ち向かおうとする格好だという加害者としての恐れからの声。しかし、米国社会の圧倒的多数はこの声に「テロ擁護」という軽蔑のレッテルを貼り、議論の場から追い出した。ある社会が暴力に突き進む過程だった。
 今月7日、ソウル中央地裁はベトナム戦争民間人虐殺被害者に対する国家賠償を求める訴訟で、韓国軍による民間人虐殺を認め、被告「大韓民国」の法的責任も存在すると判断した。この判決は何よりも長い間苦しんできたベトナムの被害者の権利を初めて認めた歴史的な判決だ。同時に、韓国という共同体のための判決でもある。「加害者の立場」を生み出した判決であるからだ。
 韓国社会は加害者としての恐れが希薄な社会だ。韓国は植民地と戦争という極端な暴力の真ん中で形成された。国家アイデンティティの一つである反共主義は「アカたちが私たちを殺す」という恐怖に支えられて作動してきた。その恐怖の中で、韓国現代史の数多くの暴力が正当化された。後から暴力の真実が明らかになった後も、韓国社会の人々はすぐに自らを被害者と同一視した。済州4・3事件を、5・18光州抗争を忘れてはならないと叫びながらも、誰も陸地から済州島(チェジュド)に渡った討伐隊、全羅南道庁に突進する空輸部隊員の立場には立たなかった。日本へ、米国へ、軍事独裁へと加害の主体を他者化するだけだった。
 ところが、ベトナム戦争の問題は違う。被害者は私たちと国籍も言語も異なり、遠く離れたところで暮らしているため、彼らと自分を同一視し、罪悪感なしに歴史的な悲劇を考えることは不可能だ。過去のことだと目を背けることも難しい。ベトナム戦争に対する韓国の公式的な評価は「戦争特需で稼いだ外貨で目覚ましい経済成長を成し遂げた」というものだ。韓国社会がいま享受している成果の裏には、少なくともベトナムの虐殺被害者の死と苦しみがある程度は存在する。
 今回の判決によって、これまでなかった加害者としての立場が生み出されたが、その立場に立つということはまた別の問題だ。誰かがその立場に立てば、この質問を避けては通れないだろう。「私たちはなぜ、どのように、どのくらい彼らを殺したのか」。この受け入れがたく恐ろしい質問から目を背けずに問いかけ続けるほどに、私たちは平和に向かって前進できるだろう。この質問は「引き金にかけた指を下ろすために、いま必要なものが何か」につながるからだ。
 歴史学者の藤井たけしは「加害者になるというのは主権者になるということ」だと述べた。加害者は自分の行動を自分の決定と責任として認めなければならない。加害者は自分が引く引き金の重さを感じざるを得ない。だからこそ、止めることも、心からの謝罪をすることもできる。このように、止めて反省する力を身につけ、忘れず記憶し続ける限り、韓国社会は簡単には暴力と戦争へと向かわないだろう。どうか多くの人が加害者の立場に立つ勇気を出してほしい。
イム・ジェソン|弁護士・社会学者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1080627.html
韓国語原文入力:2023-02-22 02:37


「The Hankyoreh」 2023-02-18 08:17
■ベトナム戦争虐殺被害者の弁護士「民間人攻撃のような不法行為、公式に記載されない」
 イ・ジョンソプ国防部長官、司法判決に反論 
 「ベトナム戦争での民間人虐殺は全くなかった」 
 元軍幹部のハン・ギホ「国防部は控訴すべき」 
 イム・ジェソン弁護士「国防部も事実関係については慎重であるべき」

【写真】イ・ジョンソプ国防部長官が17日午前に行われた国会国防委員会全体会議で発言している/聯合ニュース

 イ・ジョンソプ国防部長官は17日、ベトナム派兵韓国軍による民間人虐殺を認めた7日の司法判決について、「国防部が確認したところによると、韓国将兵による虐殺は全くなかった。判決にも同意しない」と述べた。
 イ長官はこの日の国会国防委員会全体会議に出席し、共に民主党のユン・フドク議員に「ベトナム戦争派兵韓国軍の民間人虐殺を認めた司法判決をどう思うか」と問われ、「当時の状況は非常に複雑だ。韓国軍の服装だったとしても(韓国軍では)ないケースが非常に多かった」とし、このように述べた。
 ソウル中央地裁は7日、1968年2月にベトナムのクアンナム省フォンニィ・フォンニャット村で韓国軍に銃撃されて家族を失ったとして、ベトナム人のグエン・ティ・タンさんが2020年に大韓民国を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で、原告勝訴の判決を下した。裁判所は「大韓民国海兵第2旅団第1中隊(青龍部隊)所属の軍人が作戦を遂行中、原告(グエンさん)の母親を他の人と共に一カ所に強制的に集め、銃で射殺した事実が認められる」とし、被告である大韓民国に対し、原告への3000万100ウォンおよび遅延損害金の支払いを命じる判決を下した。
 軍の元将官で国民の力所属のハン・ギホ国会国防委員長もこの日の会議で、「今回の判決でベトナム戦争派兵勇士の名誉が失墜し、罵倒されることを非常に遺憾に思う」とし、国防部は直ちに控訴すべきだと述べた。国防部はこの日も「控訴するかどうかは関連機関同士の協議、および法務部の指揮を経て決定される予定」だとの立場を繰り返したが、イ長官の発言は控訴を示唆したものと分析される。
 これに対し、ベトナム被害者訴訟の代理人を務めるイム・ジェソン弁護士はフェイスブックで「公式の戦史や戦闘日誌に民間人に対する攻撃のような不法行為が記載されているだろうか」、「いくら国防部でも事実関係については慎重であるべきだ」と批判した。
 この日の会議では、巫俗人の天供(チョンゴン)による昨年3月のソウル漢南洞(ハンナムドン)にある陸軍参謀総長公館訪問と大統領官邸選定への介入疑惑も取り上げられた。イ長官は正義党のペ・ジンギョ議員に「疑惑に関する事実確認は指示したのか」と問われ、「(官邸に)勤務していた当事者に確認したところ、『そのような事実はない』との報告を受けた」と述べた。イ長官は、北朝鮮の無人機への対応に失敗した将官級と左官級に口頭・書面で警告したことについては、「指揮責任の範囲を過去より狭めた」と述べた。
イ・ジェフン、キム・ヘジョン、クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1080172.html
韓国語原文入力:2023-02-17 17:06


「AFP」 2023年2月18日 11:18 発信地:ソウル/韓国
■韓国軍のベトナム民間人虐殺「一切なかった」 国防相

【写真】韓国の李鍾燮(イ・ジョンソプ)国防相(2023年1月31日撮影)。(c)JEON HEON-KYUN / POOL / AFP

【2月18日 AFP】韓国のソウル中央地裁が先週、ベトナム戦争(Vietnam War)での韓国軍による民間人虐殺について同国政府の責任を認める判決を出したのを受け、李鍾燮(イ・ジョンソプ、Lee Jong-sup)国防相は17日、民間人虐殺は「一切なかった」と主張し、上訴する意向を示した。
 原告のベトナム人女性は、韓国海兵隊が1968年2月に民間人約70人を殺害したとして提訴。地裁は、韓国軍が加害者だと証明するのは困難だとの政府側の主張を退け、政府に約3000万ウォン(約310万円)の賠償の支払いを命じた。
 しかし、李氏は議会の委員会で、国防省は「韓国兵による虐殺は一切なかった」と確信していると主張。判決を不服として上訴する意向を示した。
 さらに、ベトナム戦争の戦況は「極めて複雑」で、原告女性の主張を立証するのは不可能に近いとし、「韓国兵以外の人物が韓国の軍服を着ているケースも非常に多かった」と述べた。

「The Hankyoreh」 2023-02-18 06:41
■韓国国防相「ベトナム戦争での民間人虐殺は全くなかった」…判決に真っ向から反論
 国防部長官、政府の賠償責任認めた司法判断に「同意しない」 
 「ベトナム派兵韓国軍による民間人虐殺は全くなかった」

【写真】イ・ジョンソプ国防部長官が17日午前に行われた国会国防委員会全体会議で業務報告を行っている/聯合ニュース

 イ・ジョンソプ国防部長官は、ベトナム派兵韓国軍による民間人虐殺について「国防部が確認したところによると、韓国将兵による虐殺は全くなかった」、「判決にも同意しない」と述べた。この発言は、ベトナム戦争に派兵された韓国軍による民間人虐殺と韓国政府の賠償責任を認めた7日の判決を否定したもの。
 イ長官は17日の国会国防委員会全体会議に出席し、ベトナム派兵韓国軍による民間人虐殺について認めた地裁判決に対する見解を共に民主党のユン・フドク議員に問われ、このように答えた。イ長官は「当時の状況は非常に複雑だ。韓国軍の服装だったとしても(韓国軍では)ないケースが非常に多かった」とし「米軍の調査でも韓国軍による民間人虐殺はなかったという結論が出ている」と語った。また「裁判の過程で様々な資料を確認し、証人も確認してみたが、私たちが確認したところでは民間人虐殺はなかった」と付け加えた。イ長官はさらに、「当時、駐ベトナム韓国軍のチェ・ミョンシン司令官も民間人虐殺は絶対にするなと真っ先に強調していた」とし、「ベトナムに派兵された将兵の名誉を考えてもそうだし、この部分を重く考えている」と述べた。
 ソウル中央地裁は7日、1968年2月にベトナムのクアンナム省フォンニィ・フォンニャット村で韓国軍が70人あまりの民間人を虐殺した事件で家族を失い、自身も重傷を負ったとして、当時8歳だったベトナム人グエン・ティ・タンさんが大韓民国を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で、原告勝訴の判決を下した。裁判所は「被告大韓民国は原告に3000万100ウォンと、これに対する遅延損害金を支給せよ」と命じた。裁判所はベトナム戦争参戦軍人や現地の民兵らの証言をはじめとする様々な証拠を審査し、グエン・ティ・タンさんの主張をおおかた認めるとともに、「このような行為は明白な不法行為に当たる」と述べた。判決後、国防部は「控訴するかどうかについては法務部と議論して決める」と述べている。
 韓国軍によるベトナム戦争での民間人虐殺問題は、1999年初めの「ハンギョレ21」による報道で本格的に提起され、その後、具体的な事実が明らかになり、市民団体が事実を認め賠償するよう求めていたが、政府は全面否定してきた。2020年にグエンさんが訴訟を起こしてからも、「証拠がない」「当時のゲリラ戦の特性上、正当な行為だった」などの理由をあげて責任を否定している。
イ・ジェフン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1080125.html
韓国語原文入力:2023-02-17 11:05


「The Hankyoreh」 2023-02-15 07:13
■[寄稿]韓国軍によるベトナム民間人虐殺国家賠償訴訟、加害と向き合う方法
 パン・ヘリン|元軍人権センター活動家、予備役大尉

【写真】フォンニィ・フォンニャット村の民間人虐殺の被害者であるグエン・ティ・タンさんが7日午後、韓国政府を相手取った国家賠償訴訟の一審で勝訴し、弁護団とオンラインでつないで明るく笑っている=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 「幾度も侵略されても、一度も他国を侵略したことのない国と民族」。
 韓国を説明する時によくこのような言い方をする。ここで言う国と民族が具体的にどの時期の、どこまでを指すのか、その内容は歴史的事実なのかどうかは別として、この文は韓国と韓民族を「犠牲者」と位置づける上で良い大義名分を提供してきた。
 西江大学のイム・ジヒョン教授はその著書『犠牲者意識民族主義』(2021年)で、タイトルでもある「犠牲者意識民族主義」を次のように定義する。「後続世代が前の世代の体験した犠牲者としての経験と地位を世襲し、世襲された犠牲者意識によって現在の自分たちの民族主義に道徳的正当性と政治的アリバイを得る記憶の語り」。さらに次のように言う。「『世襲的犠牲者』という意識から抜け出し、自分も加害者となりうるという歴史的省察が21世紀の文化的記憶の語りの枠組みにならなければならない」。
 韓国人は世襲的な犠牲者となる条件を備えている。日帝強占期を直接・間接的に経験した世代が解放とそれに続く朝鮮戦争を経験しており、朝鮮戦争を直接・間接的に経験した世代のかなりの数が依然として生存している。さらに日帝強占期は日帝による強制徴用と慰安婦の問題として、朝鮮戦争は分断と休戦というかたちで、解決されないまま今も続いている。現在進行形のこのような諸問題は、記憶と経験の伝達を通じて現在に生きる韓国人にも犠牲者の位置に立ちうる一つの集合的な口実を提供する。韓国は「純粋な被害者になること」を選択し、ある程度成功した。解放後、大韓民国の建国という優先課題の中で植民地支配の過ちはきちんと清算されず、朝鮮戦争後は反共の名のもとに戦争中に発生した民間人の被害と戦後処理は後回しになった。
 だから、ベトナム戦争での民間人虐殺事件の国家賠償訴訟の一審の結果は、韓国人にとっては非常に馴染みのないものだ。2月7日、韓国裁判所は韓国軍による「フォンニィ・フォンニャット事件」の生存者グエン・ティ・タンさんが起こした損害賠償請求訴訟で、ベトナム戦争での民間人虐殺に対する大韓民国の責任を初めて認めた。韓国政府もベトナム政府も無視してきたが、フォンニィ・フォンニャット村の生存者たちと韓国の市民社会が先頭に立って虐殺の真相を世に伝えてきた。加害の法的責任を問うために起こした訴訟だった。訴訟が起こされたのは2020年だが、以前の報道と市民法廷での証言や活動まで加えれば、問題提起から認められるまでに20年以上かかった闘いだった。
 訴訟が進められていた昨年夏、韓国放送(KBS)の番組「時事メンタリー追跡」の「顔たち、虐殺と記憶編」は、フォンニィ・フォンニャット村をはじめとするベトナム戦争での民間人虐殺問題を深層取材し、放映した。放送後の波紋は大きかった。KBS社屋前ではベトナム参戦軍人たちが連日デモを行い、パク・ミンシク国家報勲処長は個人のフェイスブックに「大韓民国の32万5千人の国民を虐殺者におとしめる現実」、「参戦勇士たちも戦争の英雄である前に被害者です!」と記した。村全体がゲリラ戦を展開中のベトコン(南ベトナム民族解放戦線)の軍事基地であったし、命令に従って作戦を遂行しただけなのに、なぜ韓国軍人に極悪非道な民間人虐殺者のレッテルを貼るのかというのだ。
 戦争の被害者も戦時暴力の加害者となりうる。私たちは全員に対して常に善人ではないし、同時に誰に対しても悪人というわけでもないからだ。世襲的被害者意識から抜け出し、状況と脈絡によっては加害者になりうると省察することは、加害と向き合い、次へと一歩を踏み出す可能性を提供する。加害者になるということは加害を認めることにとどまらず、事件後の被害者の人生を理解し、ひいてはそのような加害が繰り返されないようにするためのあらゆる努力に最善を尽くすことを宣言する過程の第一歩だからだ。
 今回の判決が私たちみなにとって加害と向き合う方法を学ぶ契機となればと思う。純粋な被害者ではなく完全な加害者になるとしても、その責任に向き合い、より良い未来を想像しうる潔い大韓民国となってくれることを願う。
パン・ヘリン|元軍人権センター活動家、予備役大尉 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1079535.html
韓国語原文入力:2023-02-13 18:28


「The Hankyoreh」 2023-02-14 10:35
■「勝った!」韓国軍ベトナム民間人虐殺の生存者、真実の前でついに叫んだ
 [ベトナム戦争民間人虐殺生存者 グエン・ティ・タンさんインタビュー] 
 韓国軍によって家族を失い銃傷を負い… 
 被害事実を知らせ法的闘争 
 「一緒に真実を明らかにした人たちを思い出して 
 私だけの勝利で終わらないように」

【写真】ベトナム民間人虐殺生存者のグエン・ティ・タンさんが2月12日、韓国の青年たちが渡したお祝いの花束を手に喜んでいる。7日、ソウル中央地裁はタンさんが「韓国軍の虐殺被害を補償せよ」として韓国を相手取り起こした損害賠償訴訟で原告勝訴を言い渡した=シン・ダウン記者//ハンギョレ新聞社

 その日は朝から時間がなかなか進まなかった。朝早く目が覚めたが、「とてもじゃないが気持ちに余裕がなかった」。ベトナムのダナンに住むグエン・ティ・タンさん(63)は、菜園に水をやり、市場に立ち寄って食材を買い、家に帰って料理を準備した。午後12時(現地時間)からは何も手につかなかった。
 2月7日のその時刻、韓国のソウル中央地裁では、韓国軍が犯したベトナム民間人虐殺事件の生存者のグエン・ティ・タンさんが韓国政府を相手取って起こした損害賠償請求訴訟に対する判決公判が進められていた。1968年2月12日、当時8才だった彼女は、フォンニィ・フォンニャット村で起きた民間人虐殺によって家族5人を失い、自身も銃に撃たれて病院に運ばれた。
 じりじりと携帯電話ばかりを眺めて1時間30分余り。静かだった携帯電話の着信音が鳴った。「タン・ライ!タン・ライ!( 勝った!勝った!)」 韓ベ平和財団のクォン・ヒョヌ事務処長が叫んだ。タンさんは思わず「タン・ライ!」と叫んだ。「言葉では表せない喜びが押し寄せてきた」からだ。あちこちからお祝いの電話が寄せられた。
 この日、ソウル中央地裁民事68単独のパク・ジンス部長判事は、大韓民国がタンさんに3000万100ウォン(約310万円)を支払うよう判決を下した。韓国軍がベトナム民間人を虐殺した責任を負わなければならないと認めた最初の判決だった。事件発生から55年たって返ってきた、韓国裁判所の回答だった。
 「これまでの法廷闘争が真実と認められて嬉しい」。2月12日、ダナンの自宅で会ったタンさんは語った。裁判所の判決後、ベトナム現地で行われた韓国メディアとの最初のインタビューだった。この日ここを訪れた韓ベ平和財団平和紀行団所属の韓国の青年たちは、彼女にお祝いの花束を手渡した。
 タンさんは2015年、ベトナム民間人虐殺被害者として初めて韓国の地を踏んだ。これに先立ち、「ハンギョレ21」のインタビューなどを通じてフォンニィ・フォンニャット村で起きた韓国軍による民間人虐殺被害を先頭に立って知らせてきた人だ。2015年以降、韓国を4回行き来して市民平和法廷と記者会見などに参加し、虐殺被害の事実を知らせ続けた。
 「最初は(韓国政府が)当然謝罪するものと期待していた。ところが参戦軍人たちが、(虐殺当時)8歳だった子どもに何がわかるのかといって、私の言葉を認めなかった。私が望むのは『申し訳なかった』という一言なのに、それを聞くことができず、暗たんとした思いだった」。韓国訪問のたびにタンさんの心の中には期待と失望が数え切れないほど交錯した。
 2018年、韓国の市民社会団体が主催した民間模擬法廷である「市民平和法廷」では勝訴判決を受け、飛び跳ねるほど嬉しかった。しかし、実際に法廷で行われた裁判ではなかった。2020年4月に損害賠償訴訟を始めた後は、新型コロナ拡散のために韓国訪問の道が閉ざされ、やきもきした。韓国で続いた弁護士との面談、記者会見、法廷証言などに疲労を感じる時もあった。「法廷証言を終えると力が完全に抜けた。『もうここまでにしよう』とも思った」。
 そんな時、真実を明らかにしてくれた人たちを思い出した。2019年、ベトナム戦争参戦軍人のハン・ギジュンさんは、タンさんの前にひざまずいて謝罪した。フォンニィ・フォンニャット村作戦に参加した参戦軍人のリュ・ジンソンさんは、当時国道沿いに犠牲者の遺体が横たわっている様子を見たとし、2022年に「あなたの言葉は全て真実だ」と言ってくれた。タンさんにとっては、「2人の心からの謝罪は感動的で、言葉で表現できないくらい慰めになった」。そして2015年に韓国を訪れた時、日本軍「慰安婦」被害者であるキル・ウォノクさんとキム・ボクトンさんが、タンさんを抱きしめて「戦争の苦痛に共感する」と言ってくれた。この2人の抱擁を、タンさんは今でも忘れることができない。
 このようにタンさんは自分を助けてくれた人たちの名前を次々とあげた。「私はこの事件が私一人だけの勝訴ではないことをよく知っています。私と同行してくれたすべての人たちと韓国の市民社会の力でここまで来ることができました」

【写真】ベトナム民間人虐殺生存者のグエン・ティ・タンさん(中央)と虐殺目撃者のグエン・ドゥク・チョイさん(グレーのシャツを着た人)が2月12日、ベトナムの自宅で勝訴祝いの花束を渡され喜んでいる=シン・ダウン記者//ハンギョレ新聞社

 韓国裁判所が大韓民国政府に賠償するよう言い渡した金額は3000万100ウォン。韓ベ平和財団のクォン・ヒョヌ事務処長は「国家賠償訴訟の最小申立て金額が3000万ウォンなので、そこに100ウォンだけ加えたもの」だとし「被害者が望むのは(お金ではなく)韓国政府が認めることだという意味」と説明した。タンさんも「私は(損害賠償で受け取ることになる)お金には関心がない」とし「韓国政府が認め、謝罪を受けたいだけ」だと話した。
 これまでベトナム政府との会談の際、韓国大統領らは民間人虐殺事件に対する負債の念を遠まわしに表現してきた。「韓国国民は(ベトナムに)心の借りがある」(2004年10月、盧武鉉元大統領)、「両国間の不幸な歴史について遺憾の意を表する」(2018年3月、文在寅前大統領)。「韓国大統領の謝罪を聞いた時は、『韓国軍が過ちを犯したことは知っても、個別の事件を詳しくは知らないのだな』と思いました。でも今回の判決を聞いて、『裁判官が被害者の声を聞いてくれたんだ』と思ったんです」
 タンさんは一人だけの喜びで今回の判決が終わらないことを願っているという。韓ベ平和財団が推算する韓国軍民間人虐殺の被害者は1万人余り。「フォンニィ・フォンニャット村の他にも、ハミ、クアンガイ省なども(韓国軍による)民間人虐殺事件がたくさん起きたけれど、依然として真実究明がなされていません。韓国政府が一日も早くこれらの事件を調査し、被害者に謝罪することを望んでいます。それで犠牲者たちが慰めを受けられればと心から思います」。

ダナン(ベトナム)/文・写真 シン・ダウン「ハンギョレ21」記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1079565.html
韓国語原文入力:2023-02-14 8:32
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「強制動員、日本企業は被害者と和解し、日本政府は阻止してはならない」

2023年03月22日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「The Hankyoreh」 2023-03-06 07:43
■「強制動員、日本企業は被害者と和解し、日本政府は阻止してはならない」
 [インタビュー]矢野秀喜「強制動員問題解決と過去清算のための共同行動」事務局長 
 
 日本企業の謝罪・基金出資が必要 
 旧新日鉄、日本鋼管、不二越の3社は 
 1997~2000年、慰労金を渡して被害者と和解 
 当時、日本政府も「協定違反」を言わなかった

【写真】「強制動員問題解決と過去清算のための共同行動」事務局長の矢野秀喜さん=東京/キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社

 「これまで韓国の強制動員被害者と日本企業の間に3回の和解があった。当時、日本政府は請求権協定に違反するからやめろと言わなかった」。
 行き詰まった韓日関係を改善するためにはどうすればいいのか。30年近く韓国人被害者・遺族の進めてきた戦後補償訴訟を支援してきた日本人活動家が口を開いた。

 「強制動員問題解決と過去清算のための共同行動」事務局長の矢野秀喜さん(71)は6日、本紙とのインタビューで、関係改善のために越えなければならない大きな山である強制動員被害者問題に関して、「1965年の請求権協定で歴史問題がすべて解決されたということは話にならない」と述べ、日本の誠意ある対応を重ねて訴えた。
 矢野さんは「協定に、請求権と関連して『最終的で完全な解決』と書かれてはいるが、実際はそうではなかった」とし「原爆被爆者、サハリン残留者、日本軍『慰安婦』被害者など、日本政府自ら様々な措置を講じてきた。また、韓国の被害者から訴訟を起こされた日本企業のうち3社は和解を選択した」と述べた。韓国政府がこの問題を解決するために苦心していることについても「被害者が納得できる方案として解決されることが最も重要だ。被告企業の謝罪と基金出資が必要だ」と強調した。

-韓国政府が主導した官民協議会が第4回会議を最後に議論を終えた。まだ具体的な解決策は公開されていないが、「第三者による代位弁済」(債権者の同意の有無と関係なくひとまず第三者が債務者と約定を結び一旦債務を返済すること)が有力視されている。
 「『現金化』を回避するためだけの代位弁済は意味がない。2回にわたって官民協議会に参加した原告側の弁護士たちが主張した通り、被告企業の謝罪と基金出資が必要だ。20~30年にわたる法廷闘争を通じて最高裁判決を受けた。被害者が納得できる方案として解決されることが最も重要だ。三菱重工業強制動員被害者のヤン・クムドクさんも最近、パク・チン外交部長官に会い、『日本の謝罪を望む』という内容の手紙を伝えたと聞いている」。

-この問題を解決するためには、日本企業の謝罪と基金への参加が必要だ。岸田政権が受け入れる可能性はあるか。
 「率直に言って悲観的だ。ただ、岸田首相も大局的に考えなければならないのが、今の東アジア情勢だ。米中対立、ロシアのウクライナ侵攻、北朝鮮の核・ミサイル開発など東アジアは非常に不安定な状況だ。日米韓が協力することは重要だが、中国・ロシア・北朝鮮に対する対抗を固着化させるより(緊張緩和のために)仲裁をしなければならない。このような役割を果たせる国は日本と韓国しかない。日韓関係を緊密にするためには、強制動員被害者などの懸案を解決しなければならない。岸田首相も真剣に考えるしかないだろう」。

-日本の世論はどうか。
 「日本のマスコミや世論も、今のような悪化した日韓関係が良いとは思っていない。しかし、日本が譲歩して関係を改善していくことには否定的だ。1965年の日韓請求権協定で強制動員被害者など歴史問題が解決されたという考えが強い。また、2015年に日韓慰安婦合意を韓国が一方的に覆したとみているため、韓国が先に解決策を提示しなければならないという意見が多い。特に2015年の慰安婦合意が事実上破棄され不信が大きくなった。請求権協定は遠い昔だからよく分からないが、2015年(の慰安婦合意)は国民がよく知っている。日本政府の対応も大きな問題だったが、韓国政府も適切な対応ではなかったと思う」。

-韓国では請求権協定で歴史問題が解決されたとは考えていない。
 「1965年の協定で歴史問題がすべて解決されたということは話にならない。協定に請求権と関連して『最終的で完全な解決』と書かれてはいるが、実際はそうではなかった。代表的なのが原爆被爆者問題だ。1978年、日本の最高裁判所は原爆症治療を受けるために韓国から日本に密航したソン・ジンドゥ氏に対して治療を受けられるよう認めた。原爆被害者だけでなくサハリン残留者、日本軍『慰安婦』被害者など、日本政府自ら様々な措置を講じてきた。また、韓国の被害者から訴訟を起こされた日本企業のうち3社は和解を選択した」。

-実際、1997年(旧新日鉄)、1999年(日本鋼管)、2000年(不二越)、日本企業と韓国の強制動員被害者の間で慰労金を支給する和解が3回実現した。どうやって可能だったのか。
 「いくつかの要因があった。被害者たちは日本の裁判所で敗訴したが、企業が犯した不法行為は認められた。例えば裁判所は、不二越(現在強制執行手続きが進行中)に対して『学校に通える』などの言葉で10代少女たちをだまして強制連行したと判断した。これを根拠に被害者と支援団体などが企業に責任をとるよう求めた。企業に社会的な厳しい目が注がれた。1995年の『村山談話』や1998年の日韓パートナーシップ共同宣言(金大中-小渕宣言)などから分かるように、当時は日本政府が侵略戦争や植民地支配に対して反省し、謝罪を表明した時期でもある。このような社会的雰囲気により、企業も“安心して”和解することができたのだと思う。 当時、日本政府は請求権協定に違反するからやめろとは言わなかった。2012年には新日鉄の株主総会でも、経営陣は強制動員被害者裁判と関連して『法を守るべきだ。判決が下されれば従わなければならない』と述べた。ところが、いざ韓国最高裁の判決が下されると、1965年の協定で請求権は最終的に解決されているというふうに言葉を変えた」。

【写真】2018年11月、韓日の市民団体活動家と強制動員被害者訴訟弁護人たちが、韓国最高裁の損害賠償判決履行を求める要請書と被害者4人の写真を持ち、東京の日本製鉄本社に向かっている。左端が矢野秀喜さん=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

-日本の態度が変わった理由は何か。
 「安倍晋三元首相の影響が大きいと思う。安倍元首相は歴史修正主義の立場に立って、村山談話、日韓パートナーシップ宣言を実質的に反古にしようとした。7年8カ月にわたる長期政権が成立し、その間、日本社会の空気が大きく変わった。経済的に韓国が非常に発展したことも、日本が譲歩しない雰囲気に影響を与えたようだ。先に述べたとおり、2015年の日韓慰安婦合意を韓国政府が事実上破棄したことも世論に悪影響を与えた」。

-日本政府が呼応せず、韓国でも解決策づくりが難航すれば、結局「現金化」と結論が出る可能性が高い。
 「現金化が強行された場合、いずれにせよその責任は韓国最高裁の判決を履行しなかった日本企業と、これを妨害した日本政府にある。ただ、個人的には現金化が良い結論だとは思わない。原告たちは被告企業と日本政府に謝罪と賠償を要求してきた。強制執行される現金化は、謝罪や賠償の意味よりもただお金が支払われるにすぎない。1990年代~2000年に3つの和解事例があっただけに、日本企業と被害者が直接会って対話し、解決法を模索するのも良い方法だ。当時は企業の自主的な判断が認められた。日本政府に対し、かつては容認されたのになぜ今では請求権協定を掲げてだめだと言うのか、理由を追及する予定だ」。

-27年にわたり強制動員被害者を支援しこの問題の解決に努めてきたので、誰よりも複雑な気持ちなのではないか。
 「2018年10月、最高裁で勝訴した時、飛びあがるほど嬉しかった。その一方で涙が出た。1997年から闘い始め、最高裁判所の判決まで21年かかった。ヨ・ウンテクさん、シン・チョンスさん、キム・ギュスさんが亡くなった。とても悔しかった。ヨ・ウンテクさんは新日本製鉄から受け取れなかった賃金、貯蓄について『あれは私が青春をかけて働いた証拠だ。あのお金があれば牛を何頭か買うことができた』とよく話していた。被害者たちは強制労働を強要されただけでなく、解放後にも大きな傷が残ったのだ。韓国の最高裁判決で長い闘いが終わると思ったが、それからすでに4年も過ぎている。一人で残されたイ・チュンシクさんが解決の日を見られるよう闘い続ける」。

矢野秀喜さん|「強制動員問題解決と過去清算のための共同行動」事務局長。27年にわたって強制動員被害者の訴訟を支援し、日本政府・企業に謝罪と賠償・補償を要求する日本の活動家。1995年、東京の地方公務員として働きながら労働運動に取り組んでいた頃、日本製鉄釜石製鉄所の強制動員被害者遺族が起こした訴訟を支援してほしいという要請を受け、「日本人として申し訳ない気持ち」からこの問題に飛び込んだ。以後、日本国内の訴訟だけでなく韓日を行き来しながら、集会、記者会見、シンポジウムなどを主導し強制動員被害者問題解決に努めている。韓日強制併合100年だった2010年には、親日清算の先頭に立った故イム・ジョングク氏(1929~1989)の意志を称える第4回イム・ジョングク賞を受賞した。当時「強制併合100年共同行動日本実行委員会」で活動し、日本の植民地支配と侵略戦争に対する反省を促した。

東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
韓国語原文入力:2022-09-13 19:26
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「これが「克日」という保守の甚だしい勘違い」

2023年03月21日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「The Hankyoreh」 2023-03-11 08:41
■[コラム]これが「克日」という保守の甚だしい勘違い
 一部保守層はこのような「大乗的決断」が「竹槍歌」式の反日とは異なり、先進国となった韓国の真の「克日」であり、未来志向的なものだと考えているようだ。歪んだ歴史認識がもたらした甚だしい勘違いだ。歴史問題をめぐる韓日間の軋轢は常に存在したが、本格的な懸案に浮上したのは、両国が垂直的な関係から抜け出し、水平的な関係に変わってからだ。

【写真】6日午後、光州東区錦南路5・18民主広場で開かれた尹錫悦政権の強制動員被害者解決策の発表を批判する記者会見に参加した強制徴用被害者、ヤン・クムドクさんの姿=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 # 毎年6月30日、秋田県大館市(旧花岡)では中国人生存者と遺族が出席する中、「花岡事件」の犠牲者慰霊式が執り行われる。1945年6月30日、花岡鉱山で鹿島組(現鹿島建設)の水路変更工事に強制動員された中国人たちが、日本人監督などを殺して脱出した。1年間にわたりここに連れてこられた中国人986人のうち死亡者が418人という記録からも分かるように、劣悪な労働条件と苛酷な虐待が原因だった。「蜂起」はたちまち鎮圧された。逮捕された全員が厳しい拷問を受けた。数十年後、強制動員被害者が鹿島建設を相手取って起こした損害賠償訴訟は、紆余曲折の末、東京高等裁判所の勧告を通じて2000年の「花岡和解」へとつながった。鹿島建設は責任を認め謝罪し、中国赤十字会に5億円を信託することで、強制動員被害者全員に「和解金」が届くようにした。尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権をめぐる紛争で中日関係が最悪の時も、市が主催する慰霊式は行われた。日本市民の募金で花岡平和記念館も建てられた。

 #一方、花岡事件の約1年前の1944年5月29日、同和鉱業が管理していた花岡鉱山坑道で起きた「七ツ館事件」の現住所はみすぼらしい。強制動員された朝鮮人11人と日本人11人が炭鉱事故で坑内に生き埋めになった。避難場所も把握され、1週間以上生存者がいることが分かったが、「採掘作業の遅延」を理由に上級官庁は避難者を「殉職」として処理し、埋没することを許可した。このような事実は、日本の作家と地域市民団体の粘り強い努力によってようやく明らかになった。朝鮮人を含む被害者たちの遺骨はまだ見つかっていない。保養施設の開発のために共同墓地の隅に移された弔魂碑には説明もなく、創氏改名された名前だけが刻まれている。

 数十年前の歴史を改めて思い出したのは、元日本弁護士会会長の宇都宮健児さんと最近電話で話し合ったからだ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が発表した日帝強占期の強制動員の「解決策」に対し、宇都宮氏は「強制動員の本質が人権侵害であることを無視した、じつにおかしな解決策」だと何度も語った。「国家間条約で放棄するのは『外交的保護権』であり、個人の請求権が消滅していないのは日本政府も、日本の最高裁も認めてきた。1972年の日中共同声明でも賠償請求権は放棄されたが、中国人強制動員に対しては企業が謝罪してお金を出しており、日本政府はそれを妨害しなかった。日本が『ダブルスタンダード』を適用しているわけだ」。花岡和解以後、日本企業の中国人強制動員問題の解決策には、企業の責任認定と謝罪▽訴訟原告だけでなく被害者全員に「和解金」の支給▽歴史教育などがほとんど含まれるようになった。

 韓日外交で完勝、完敗という評価は望ましくないと考えてきた。善悪の対決だけが増幅され、被害者が尊厳性を回復する道はさらに遠のく歴史を見てきたためだ。尹錫悦政権と保守系のメディアが批判してきたように、文在寅(ムン・ジェイン) 政権が最高裁(大法院)判決以後、被害者と日本政府・企業を向き合わせる努力を放棄したこともまた事実だ。しかし、だからこそ、今回の方案が「大乗的決断」だとか「世界全体の自由、平和、繁栄を守る」という韓国政府と大統領の主張は詭弁としか言いようがない。日本政府や企業の謝罪もなく、賠償どころか和解金もない解決策のどこに被害者の人権があるのか。日本の「ダブルスタンダード」を認め、煽っているのは誰なのか。

【写真】林芳正外相が6日、記者会見で、韓国政府の強制動員「解決策」発表について「韓日関係を健全な関係に戻すもの」だと評価した後、会見場を後にしている=東京/AP・聯合ニュース

 一部保守層はこのような「大乗的決断」が、「竹槍歌」式の反日とは異なり、先進国となった韓国の真の「克日」であり、未来志向的なものだと考えているようだ。「植民地支配を受けた国の中で今も謝罪や賠償をしろと叫び続ける国は韓国以外にはどこにもない」というソク・ドンヒョン民主平和統一諮問会議事務処長の妄言もそのような脈絡から出たものかもしれない。歪んだ歴史認識がもたらした甚だしい勘違いだ。日本にきちんとした謝罪と反省を求めるのは決して「劣等感」によるものではない。歴史問題をめぐる韓日間の軋轢は常に存在したが、それが本格的な懸案に浮上したのは両国が垂直的な関係から抜け出し、水平的な関係に変わってからだ。たとえ「条約の壁」があるとしても、中国の事例からも分かるように被害者の人権を中心にした解決策を模索するのは不可能なことではない。
 何より、人権と被害者の権利に対する認識の進展は、歴史問題においても新しい課題を投げかけるものだ。それこそが自由民主主義社会である韓日が共有すべき普遍的な価値である。にもかかわらず、予め我々の手の内を見せて性急に日本にしがみついたのは、両国関係を再び過去の「垂直的」な関係に戻すという発想に他ならない。
 日本の弁護士の内田雅敏さんの著書『元徴用工 和解への道』には、2016年に三菱マテリアルが中国人強制動員に対して謝罪した一節が紹介されている。「過ちを改めざる、是を過ちという」。韓国の発表がこのような省察を引き出すはずがない。尹大統領個人は米国政府の露骨な称賛と日本政府の歓待を受けるかも知れないが、大韓民国の大統領としては屈辱的な「悪手中の悪手」を打った。

キム・ヨンヒ|編集者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1082789.html
韓国語原文入力::2023-03-11 01:32
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「「尹錫悦政権、亡国外交で国民傷つけた」1万人あまりの韓国市民が集会」

2023年03月20日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「The Hankyoreh」 2023-03-20 07:59
■「尹錫悦政権、亡国外交で国民傷つけた」1万人あまりの韓国市民が集会
 市庁広場で集会、韓日首脳会談を糾弾 
 1万人あまりの市民が日本大使館まで行進

【写真】18日午後、「強制動員解決策および韓日首脳会談糾弾第3回汎国民大会」の参加者たちがソウル市庁広場を出発し、日本大使館へと向かっている=パク・チョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と岸田文雄首相との韓日首脳会談が終わった翌日の18日、広場に集まった市民たちは「尹錫悦政権の亡国外交を審判しよう」と叫んで糾弾集会を行った。
 18日昼、610の市民社会団体からなる韓日歴史正義平和行動の主催で、ソウル市庁広場で開催された汎国民大会には、主催者側の推計で約1万人(警察推計1万3千人)の市民が集まった。首都圏、慶尚北道、済州道など各地からやって来た共に民主党の地域委員会、民主労総などの労働・青年団体の旗が翻った。
 今回の汎国民大会は、政府が公式発表した「第三者弁済案」という強制動員解決策と、その10日後の16日に開催された韓日首脳会談の結果を批判するためのもの。この日の集会に参加した共に民主党のイ・ジェミョン代表は「尹錫悦政権は(日本に)贈り物を山のように持って行ったが、帰りは手ぶらではなく請求書ばかりを山盛り持って戻ってきた。強制動員の被害者の賠償請求権は何人も侵害できない人権」だとし「(現政権は)朝鮮半島にとって恒久的脅威となる日本の軍事大国化と平和憲法の無力化に同調しているようだ。朝鮮半島を陣営対決の中心へと追い込む屈辱的な野合を主権者の力で阻止しよう」と叫んだ。

【写真】共に民主党のイ・ジェミョン代表(左)とパク・ホングン院内代表が18日午後、ソウル中区のソウル広場で行われた「対日屈辱外交糾弾汎国民大会」に参加し、集会開始を待っている=パク・チョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 正義党のイ・ジョンミ代表も、「日本の望む通りにすべてをささげる外交を、朝貢外交と言えない理由はあるのか」とし、「なぜ韓国大統領は日本の首相に、福島第一原発の放射能汚染水で韓国国民の生存権と安全を踏みにじってはならない、という一言すら言わずに戻ってきたのか。『竹島(独島の日本式名称)の日』、歴史教科書の歪曲、日本の再武装化(の問題が)残っている。このような時に日本に頭を下げ続けておいて、どこの国の大統領になろうとしているのか」と問うた。
 日本の謝罪と賠償のいずれもなかった今回の会談結果と尹大統領の歴史認識を批判し、政権に審判を下そうとの声もあがった。韓日歴史正義平和行動は集会決議で、「韓日首脳会談は歴史的な惨事だ。歴史と正義、経済、軍事安保、被害者の人権のすべてを売り渡し、国民を深く傷つけた」とし「果ては2015年の韓日『慰安婦』合意の履行と独島問題の解決という新たな宿題も持たされてきた。謝罪、賠償を拒否し、領土主権すら脅かす日本政府にすべてを与える尹大統領に、もはや資格はない。退陣せよ」と述べた。建国大学のチェ・ベグン教授は「戦争犯罪者によって被った人権じゅうりんを無視し、日本軍国主義の犯罪をほう助する韓国人を、国民は売国奴と呼ぶ」とし、「司法府の最高決定も守れない尹大統領にどうして大統領の資格があろうか」と述べた。
 広場で集会を終えた市民たちは、列をなして光化門(クァンファムン)広場のそばにある外交部を経て、日本大使館まで行進した。車道を埋め尽くした参加者たちは、しばらく外交部の前で立ち止まって歓声をあげ、「政府の亡国外交を審判しよう」、「日本に強制動員に対する謝罪と賠償を請求する」などのスローガンを叫んだ。30分以上行進して到着した日本大使館の前では、日の丸に向かって声をあげつつ、「強制動員賠償せよ」と要求した。この日の集会に参加した聖公会大学の学生コ・ウンギョルさんは「国は国民を守るという責任を守らず、日本を代弁した。歴史問題の解決は尹錫悦政権の責任であり、そのような歴史を忘れずに守ることが青年の役割」だと話した。

【写真】韓日歴史正義平和行動の関係者、共に民主党のイ・ジェミョン代表ら参加者たちが18日午前、ソウル中区のソウル広場で行われた「対日屈辱外交糾弾汎国民大会」でスローガンを叫んでいる=パク・チョンシク記者//ハンギョレ新聞社

チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-03-18 18:43
訳D.K


「The Hankyoreh」 2023-03-20 08:12
■日本の「慰安婦合意履行」要求…改めて争点化か
 16日の東京での首脳会談で、日本の岸田文雄首相が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に2015年の韓日「慰安婦」合意の「着実な履行」を求めたと日本メディアが報道したことで、この問題が韓日関係の新たな争点として浮上している。とりわけ合意当時に日本政府が「和解・癒やし財団」に拠出した10億円(当時のレートで約103億ウォン)の残りの基金の活用案などが問題化することが予想される。
 政府は一貫して「2015年の韓日合意の有効性を認め、尊重する」との立場を維持しており、これは尹錫悦政権も同じだ。
 ただし、当時の合意にもとづいて日本が和解・癒やし財団に拠出した10億円の残余金額をどのように処理するかという問題が残っている。日本政府は2015年の韓日「慰安婦」合意にもとづいて10億円を和解・癒やし財団に拠出しているが、そこから被害者に47億ウォンが支給され、財団には56億ウォンが残っている。また、政府は財団の解散を決めた後の2018年、和解・癒やし財団に日本が拠出した10億円を代替することを目的として、予備費103億ウォンを編成し、女性家族部が運用する両性平等基金に拠出している。結局、56億ウォンの財団残余基金と103億ウォンの両性平等基金の活用問題が残されている格好だ。
 国家安保室のキム・テヒョ第1次長は18日のYTNとのインタビューで「日本が慰安婦合意の履行を要求してきた場合、どのように対応する計画か」と問われ、「今後両国がさらに行うべき措置は残っていない。和解・癒やし財団の残額を適切に韓国が未来志向的に使えば良い」と述べた。
 だが、日本政府は残された基金56億ウォンを必ず「慰労金」名目で使うべきだと主張しており、残る被害者は慰労金を受領していないため、これといった解決策は見当たらない状況だ。
 また文在寅(ムン・ジェイン)政権時代の2017年に外交部直属のタスクフォースが調査したところ、日本政府が朴槿恵(パク・クネ)政権に、少女像の移転▽「性奴隷」という用語の使用禁止▽関連市民団体の説得などを要求し、朴槿恵政権はこれを受け入れていたことが明らかになった。日本政府が「慰安婦」合意の履行を要求してきた場合、これらも問題視する可能性が高い。
シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-03-19 18:45


「The Hankyoreh」 2023-03-18 07:57
■「先週、韓国与党幹部がひそかに訪日…岸田首相に『謝罪』の言及を要請」
 日本メディア、韓国の否定的世論に、「合理不履行」神経尖らせ

【写真】青年学生団体のメンバーたちが16日午後、ソウル龍山区の大統領室近くで強制動員賠償に代わる「韓日・日韓未来パートナーシップ基金」を拒否する記者会見後、パフォーマンスを行っている=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 日本のマスコミは、韓日首脳が16日の会談を通じて「関係正常化」に同意したと肯定的な評価をしながらも、韓国内の否定的な世論のため、日本にとって有利な合意の履行が危ぶまれるのではないかと神経を尖らせている。
 読売新聞は17日、「韓国では日本の被告企業の代わりに、自国政府傘下の財団が弁済する案を日本に譲歩したという見方が多い」とし、「(今回の首脳会談の結果で)韓国内の反対世論を抑えられるかは不透明だ」と報じた。韓国では今回の首脳会談を通じて日本の「謝罪」と被告企業の「賠償参加」のような「誠意ある呼応」が出てくると期待する声もあったが、結局実現しなかった。
 日本経済新聞も「韓国政府はすでに『元徴用工問題は国交正常化時に解決済み』との日本の立場に配慮した解決策を示している。(これを)最終的な解決策とするには、韓国世論の支持が欠かせない」と報じた。しかし、同紙は韓国の世論状況を説明し、「韓国では尹大統領の決断を肯定的に評価する声が多くない。 日韓関係で支持率を極端に落とせば尹政権の求心力が落ち、懸案の処理を完結させる力を失いかねない」と懸念を示した。それと共に「賠償を求めた多くの原告にも受け入れられるよう尹政権に引き続き国民への丁寧な説明を求めたい」と強調した。
 時事通信も「韓日首脳がシャトル外交の再開に合意した。大統領選挙時からの主張を実現させたのは大きな成果。しかし『屈辱外交』という批判は依然強く、思惑通りに世論の反発を抑えられるかは不透明なままだ」と報じた。同通信はさらに、首脳会談の過程で知られていない裏話も伝えた。尹大統領に近い与党(国民の力)幹部が先週、ひそかに日本を訪問し、自民党有力者らと接触したということだ。同通信はその与党幹部が「韓国の世論の雰囲気を伝え、首脳会談で岸田首相の口から直接『痛切な反省と心からのおわび』という過去の談話の文言に言及してほしいと働きかけた」と報じた。しかし、岸田首相は結局それを受け入れなかった。
 尹政権が韓国の否定的な世論を静めるため、首脳会談を利用したという主張も出た。朝日新聞は「世論調査で(6日発表した)『解決策』への反対が6割に上る状況の中で今後、世論の支持を高めていくために(韓国が)重視したのは『日本の協力』」だとし、「韓国政府は『早期の単独での訪日』にこだわった」と報じた。韓国政府が譲歩案を出した後(6日)、「異例の速さと言える10日後の訪日(16日)を実現させたのは、早くから関係改善の動きを目に見える形で具体化させ、日本との間に協力関係が築かれていることを国民に見せるためだ」と付け加えた。同紙はさらに「徴用工問題の解決策をめぐっては韓国国内で反対意見も目立つ。韓国政府と(日帝強制動員被害者支援)財団は、ねばり強く説得を続けてもらいたい」としたうえで、「日本側の建設的な関与も欠かせない。被告企業を含む日本企業の柔軟な対応を望む」と提言した。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1084069.html
韓国語原文入力:2023-03-18 01:17 


「The Hankyoreh」 2023-03-18 05:09
■「傷と羞恥心」「日本の手先」…市民団体、野党から怒り噴出
「尹大統領、慶応講演で韓国蔑視論者を引用」批判

【写真】共に民主党対日屈辱外交対策委員会の国会議員たちが17日午後、ソウル鍾路区世宗大路の光化門広場で、政府の強制徴用賠償解決策、尹錫悦大統領の訪日外交を批判するプラカードを掲げてスローガンを叫んでいる/聯合ニュース

 「日本の謝罪と対応措置」のない一方的な韓日首脳会談の結果に対し、市民社会団体と野党が激しい批判を浴びせている。与党は積極的に援護に当たっているが、世論調査では尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の国政評価を「評価しない」と答えた人の割合が3カ月ぶりに60%台を記録するなど、世論は冷ややかだ。
 市民社会団体は、強制動員解決策に続いて2015年の「慰安婦」合意の履行まで要求された韓日首脳会談を「外交惨事」と規定し、強く糾弾した。正義記憶連帯は声明を発表し、その中で「経済、軍事安保、歴史正義、被害者の人権のすべてを差し出し、日本から得たものは何か」とし、「最高裁判決を否定し、加害者の謝罪も必要ないと宣言した尹大統領の態度は、国民にあまりにも深い傷と羞恥心を抱かせた」と批判した。民族問題研究所も「尹大統領が歴史を放棄した代価として得た成果だと強調した韓日軍事協力の強化は、東アジアを戦争の危機へと追いやりうる危険千万な発想だということを明確にしつつ、強く反対する」との立場を明らかにした。
 韓神大学のハ・ジョンムン教授(日本学)は、尹大統領がこの日の慶応大学での演説で韓国を蔑視していた岡倉天心の発言(「勇気こそが命の鍵」)を引用したとして批判した。ハ教授はハンギョレに対し、「岡倉天心は典型的な韓国蔑視論と侵略論の持ち主であり、植民地支配に積極的に賛成した人物」だとし、「大統領と補佐陣の歴史認識と日本の視覚の問題点を克明に示した事例として批判されて当然だ」と語った。
 野党も激しく反発した。共に民主党のイ・ジェミョン代表は17日に国会で行われた最高委員会議で「尹錫悦政権は結局、日本の手先になる道を選択した」とし、「韓国外交史で最も恥ずかしく情けない瞬間だった」と語った。イ代表をはじめとする民主党議員は18日にソウル市庁前で予定されている「対日屈辱外交糾弾汎国民大会」に参加し、「世論戦」を続けていくことを表明した。正義党もキム・ヒソ首席報道担当の論評で「日本に白紙の小切手を渡し、すっからかんになってしまった会談だった」と批判した。いっぽう国民の力はチュ・ホヨン院内代表が「韓日関係正常化は複合危機にさらされている韓国経済に新たな機会と活力を与えるだろう」と評価した。
 この日発表された韓国ギャラップの世論調査(14~16日実施、対象者:全国成人1003人、信頼水準95%、標本誤差±3.1ポイント)の結果によると、尹大統領の職務遂行を「支持しない」と答えた人の割合は昨年12月第1週以降で初めて60%を記録した。「評価する」は33%にとどまった。支持しない理由としては、強制動員賠償と外交の問題の割合が30%に達した。
イム・ジェウ、ソ・ヨンジ、ソ・ヘミ記者、カン・ソンマン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-03-17 17:18


「The Hankyoreh」 2023-03-18 05:06
■韓国野党第一党代表、韓日首脳会談について「日本に貢物をささげる降伏式」
 「韓国外交史で最も恥ずべき瞬間」

【写真】共に民主党のイ・ジェミョン代表が17日午前、ソウル汝矣島の国会で行われた最高委員会議で発言している/聯合ニュース

 共に民主党のイ・ジェミョン代表は、韓日首脳会談について「日本に貢物をささげて和解を懇願する、それこそ降伏式のような嘆かわしい姿」だと批判した。
 イ代表は17日に国会で行われた最高委員会議で、「(前日の韓日首脳会談で)最大懸案である強制動員問題について、日本の謝罪や反省は全くなかった。韓国政府が公言していた日本の対応措置については言及すらなかった」とし、このように述べた。
 イ代表は、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は結局、日本の手先となる道を選んだ」とし、「昨日の韓日首脳会談は、韓国外交史上最も恥ずべき、情けない瞬間だ」とも述べた。また「『オムライス一杯で国のプライドと被害者の人権、歴史正義のすべてを交換した』という国民の嘆く声、『営業社員が結局国を売ったのではないか』という指摘が間違っているようには思えない」とも語った。
 またイ代表は、「(日本の加害企業に対して)求償権を行使しない」と述べた尹大統領と読売新聞のインタビュー内容に触れ、「大統領の任期は5年で、5年後の国家政策の最高決定権者は別の人間となる。その時のこの問題に対する回答を、今誰が確実になしえるのか」と語った。
 パク・ホングン院内代表もこの日の会議で、日本の岸田文雄首相が2015年の韓日「慰安婦」合意の履行を求めたとする共同通信の報道に言及しつつ、尹大統領を批判した。パク院内代表は「大統領候補として出馬した時だけ独立運動家を語り、大統領になった途端に強制徴用問題での屈服に続き慰安婦問題まで国民のプライドと歴史認識を安売りして日本政府の側に立てば、大韓民国大統領の資格はないと言えるだろう」と語った。
イム・ジェウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/1084036.html
韓国語原文入力:2023-03-17 10:28


「The Hankyoreh」 2023-03-17 07:31
■急ごしらえの韓日未来パートナーシップ基金…日本企業の参加「ゼロ」
 全経連、経団連がそれぞれ1億円拠出 
 日本の主な呼応措置だが「何をするかはこれから」

【写真】全経連のキム・ビョンジュン会長職務代行(左)と経団連の十倉雅和会長が16日午後1時30分、東京都千代田区の経団連で記者会見を行い、「韓日・日韓未来パートナーシップ基金」を創設すると発表した=キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社

 韓日財界を代表する全国経済人連合会(全経連)と日本経済団体連合会(経団連)が16日、それぞれ10億ウォン(1億円)を拠出し、20億ウォン(2億円)規模の「韓日・日韓未来パートナーシップ基金」を創設すると発表した。両国首脳会談に合わせて急いで基金の設立が行われ、具体的な事業や参加企業が全く決まっていないまま発足した。
 全経連のキム・ビョンジュン会長職務代行と経団連の十倉雅和会長は同日午後1時30分、東京都千代田区の経団連で記者会見を行い、「未来指向の韓日・日韓関係構築に向けた道筋を確固たるものにするため、両団体は共同事業を実施することにした」とし、「それぞれ韓日・日韓未来パートナーシップ基金を創設することで一致した」と明らかにした。基金は全経連と経団連がそれぞれ1億円を拠出し、その財源で共同事業を行う構造だ。
 未来基金は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が6日に強制動員被害者賠償と関連して譲歩案を発表したことに対する日本側の主な呼応措置として用意されたものだ。2018年の韓国最高裁(大法院)で敗訴した三菱重工業と日本製鉄など被告企業が、被害者に対し第三者弁済に乗り出す韓国の日帝強制動員被害者支援財団への自発的な寄付さえ拒否したからだ。このため、被告企業を含め日本企業がどれだけ多く基金に参加するかに大きな関心が集まった。ところが、急ごしらえの未来基金は、日本企業の参加なしに全経連と経団連だけで運営を開始することになった。
 十倉会長は尹政権の譲歩案に言及し、「これは韓日関係の健全化に向けた大きな一歩だ。このような動きに支えられ、経団連と全経連は共同事業を実施するための基金を創設することで意見が一致した」と述べた。被告企業の参加については「経団連と全経連が基金を設立して始める。何をするかが決まれば、必要に応じて個別企業に参加を呼び掛けることもあり得る」と述べた。それと共に「三菱重工業や日本製鉄は特に意識していない。事業によって変わるだろう」と付け加えた。被告企業を含め日本企業が参加するかも不透明で、何をするかもこれから考えるという答弁だった。
 キム・ビョンジュン会長職務代行は「グローバルサプライチェーンやレアアースの確保、第3国への共同進出、未来世代の相互文化交流など韓日が進めていくべきことがあまりにも多い。両団体が運営委員会を作って事業を議論することになるだろう」と述べた。両団体が配布した資料には「政治・経済・文化等の分野における未来志向の日韓関係の構築に向けた研究ならびに事業を実施する」との文言が入っているものの、具体的な事業に関する内容は記されていない。
 今回の基金がどれほど急ごしらえのものなのかは、記者会見の様子を見ても容易に推察できる。韓日首脳会談当日の同日午前10時過ぎに突然記者会見の知らせが入り、記者会見現場には机と椅子が用意されておらず、床に座るか立って取材をしなければならなかった。全経連関係者は「基金創設に合意した共同文書の内容を調整するのに時間がかかった」と語った。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1083919.html
韓国語原文入力:2023-03-17 02:30


「The Hankyoreh」 2023-03-17 07:55
■[社説]謝罪しない日本に「求償権行使しない」と約束した尹大統領
 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は16日、日本の岸田文雄首相との首脳会談で「GSOMIA(軍事情報包括保護協定)の完全正常化」を宣言した。強制動員被害者らに対し日本企業に代わり韓国政府傘下の財団が賠償金を支払う政府案を発表したわずか10日後に迅速に進められた今回の訪日では、日本の強制動員への謝罪はなかった。岸田首相は「歴代内閣の歴史認識の継承」に軽く言及しただけだ。
 尹大統領は会談後の記者会見で、韓日関係の悪化について、2018年の韓国大法院(最高裁)の判決に原因があるとして、日本企業に求償権を請求しないと約束する“免罪符”を乱発した。韓国の財団が被害者に賠償金を支払った後、日本企業に「求償権が行使される場合、再度すべての問題を元の位置に戻すことになるため、求償権の行使は考えていない」と断言した。その一方で、尹大統領がこの日、「金大中-小渕宣言(韓日パートナシップ宣言)の発展的継承」に言及したことは理解しがたい。この宣言には日本の「痛切な反省と心からのおわび」が含まれていることを考えてみたことはあったのか。
 両首脳は、韓米日の安全保障協力強化には非常に積極的だった。尹大統領は「さきほどの(韓日)首脳会談で、我々のGSOMIAの完全正常化を宣言した」として、「北朝鮮の核とミサイル発射と飛翔経路に関する情報を、両国が共有して対応できるようにしなければならない」と明言した。この日の会談前、北朝鮮は東海(トンヘ)に向け「火星17型」と推定される大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射し武力示威を行った。両首脳はこれを繰り返し糾弾し、「共助をよりいっそう強化」するとして声を合わせた。韓国が強制動員「第三者弁済案」を出す前から、韓米と韓米日は軍事協力を強化してきた。今回の首脳会談を契機に、中国をけん制しようとする米国のインド太平洋戦略において、韓日の軍事協力が急進展されることを予告したのだ。
 日本がこの日、相応措置であるかのように出した措置には曖昧な点が多い。日本政府は2019年に実施した半導体の主要な材料3品目の韓国への輸出規制をこの日解除したが、完全な原状復旧でなく、手続き緩和とみなさなければならない。現時点では、韓国をグループA(輸出管理優遇措置対象国リスト、旧「ホワイト国」)に再度加えてはいない。にもかかわらず、韓国政府は、世界貿易機関(WTO)への提訴を先に取り下げるというきわめて性急な譲歩をした。韓国と日本の二大経済団体はこの日、それぞれ10億ウォン(約1億円)ずつ拠出し「韓日・日韓未来パートナーシップ基金」を創設すると発表したが、強制動員加害企業が自発的な寄付さえ拒否している状況を隠すための急ごしらえの措置であることは明らかだ。
 両首脳はこの日、12年ぶりに韓日「シャトル外交」を復活することにしたとして、両国関係の「新たな出発」を強調した。そのスタートラインとして、日本は過去の歴史に対する謝罪の責任から抜けだし、GSOMIA復活など具体的な成果を確保した。日本の外交的圧勝だ。この日、尹大統領は「韓国の国益は日本の国益とウィンウィン」だと断言した。この言葉に同意する韓国人は多くないだろう。
(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1083980.html
韓国語原文入力:2023-03-17 02:40


「The Hankyoreh」 2023-03-17 07:48
■「第三者弁済拒否」強制動員被害者、三菱重工国内資産取り立て訴訟
 三菱重工の孫会社に当たる国内法人を相手取って訴訟 
 株や特許権とは異なり、現金化が早い金銭債権を取り立て

 2018年に韓国最高裁(大法院)で勝訴判決が確定している強制動員被害者が、政府の提案した第三者弁済を受け入れず、三菱重工業の韓国内資産を取り立てることを目指して提訴した。
 強制動員裁判で勝訴が確定している被害者の代理人団は16日、「三菱重工に勝訴した原告のうち1人の生存者と亡くなった1人の被害者の遺族が、三菱重工の国内資産の取り立て訴訟を15日にソウル中央地裁で起こした」と明らかにした。被害者側が提訴した相手は、三菱重工の孫会社に当たる韓国内法人「MHパワーシステムズコリア」。現在、この事件はソウル中央地裁に訴状が提出されたものの、まだどの法廷が担当するかなどは決まっていない。
 代理人団は「韓国企業の財源で行われる第三者弁済案を拒否する被害者については、彼らの意思に沿って日本企業の国内資産を迅速に現金化し、被害者が望むあり方の賠償がなされるよう努める」とし、「今回の訴訟はその努力の一環」だと訴訟の目的を語った。そして「三菱重工の国内法人に対する金銭債権に関しての訴訟であるだけに、現金化手続きが必要だったこれまでの株や特許権とは異なり、競売などの手続きがなくても一審判決で原告が勝訴し、仮執行判決まで得られれば、直ちに債権を回収できるとみられる」と説明した。
 強制動員被害者が日本企業から受け取るべき賠償金を韓国の財団が肩代わりする第三者弁済案を6日に政府が発表した後、勝訴が確定している被害者のヤン・クムドクさん、キム・ソンジュさん、イ・チュンシクさんは第三者弁済を受け入れない考えを明らかにしている。最高裁で敗訴が確定している日本の加害企業が損害賠償義務を事実上無視している中、韓国政府が肩代わりしてしまえば、それは彼らの司法的責任を免除することに他ならないとの理由からだ。政府の解決策を拒否する被害者たちは、日本企業の国内財産を現金化するための訴訟を続けている。
チェ・ミニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-03-16 11:08


「The Hankyoreh」 2023-03-17 04:36
■「史上最悪の屈辱外交…尹大統領、日本の立てた総督のような態度」
 市民社会団体、全国各地で「強制動員解決策」反対集会

【写真】2015韓日合意破棄のための大学生共同行動、キョレハナ、平和ナビネットワークなどの青年学生団体の会員たちが16日午後、大統領室のそばで強制動員賠償の代わりとされる「韓日未来青年基金」の拒否を表明する記者会見を終え、寸劇を演じている=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 韓日首脳会談が行われた16日、全国各地で政府の強制動員解決策に反対する集会が開催された。集会参加者たちは、今回の韓日首脳会談は強制動員被害者の権利を踏みにじって行われたものだと批判した。
 市民団体「ギョレハナ」は16日午後、龍山(ヨンサン)の大統領執務室前で「親日売国外交で得た韓日首脳会談反対、強制動員屈辱解決策の廃棄要求、日本の戦犯企業に代わって賠償する経済団体糾弾」と題して記者会見を行った。彼らは記者会見文で「史上最悪の屈辱外交、親日売国、物乞いするようにして得た韓日首脳会談、いかなる単語を付けても足りないほど屈辱と危機を感じている」とし「大韓民国の大統領ではなく日本の戦犯企業の法律代理人のような、岸田政権が代理として立てた総督のような態度で疾走している」と批判した。

【写真】「平和と統一を開く人々」の会員たちが16日午前、ソウル龍山区の大統領室のそばで日帝強占と戦犯企業の賠償責任を免罪する韓日首脳会談を糾弾する記者会見を行っている=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 青年諸団体は一斉に、強制動員解決策は「国民の非難を避けるための小細工」だと批判した。全国89の青年学生団体はこの日午後、龍山の大統領執務室前で記者会見を行い、日本の「誠意ある呼応措置」のひとつとして言及されている「未来パートナーシップ基金」について「未来を放棄した売国的決断であり、青年に対する侮辱」だと批判した。全国経済人連合会(全経連)と日本経済団体連合会(経団連)は同日、東京の経団連会館で共同記者会見を行い、政治・経済・文化などの研究・事業に使われる「未来パートナーシップ基金」を造成することを発表した。
 大学生の連合団体「平和ナビネットワーク」と30の大学生団体が発足させた「2023韓日首脳会談糾弾大学生行動」もこの日午前、ソウルの龍山駅の強制動員労働者像前で韓日首脳会談糾弾記者会見を行った。50人あまりの大学生たちは「親日首脳会談」、「日本の1号営業社員」、「拙速合意」、「国民無視」、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)糾弾」などのプラカードを掲げて「拙速的強制徴用解決策を撤回せよ」、「日本政府は歴史問題に対する責任を認めろ」などのスローガンを叫んだ。
 進歩系の56の団体からなる「平和ナビ大田行動」はこの日、大田(テジョン)市役所前で記者会見を行い、「強制動員被害に対する政府の第三者弁済方針は2018年の最高裁判決を無視し、司法主権を放棄する屈辱的解決策であり、戦犯国家と戦犯企業に免罪符を与える親日売国解決策」だとし、「17日まで日本を訪問する尹大統領と岸田文雄首相との首脳会談に反対する」と述べた。
シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-03-16 17:08


「The Hankyoreh」 2023-03-16 13:37
■「三権分立」に反する尹大統領の発言…日本の論理で司法府の最終判断を否定
 「強制動員賠償は韓日請求権協定の適用外」とした最高裁判決を否定 
 憲法的価値を損なうと指摘する批判相次ぐ

【写真】尹錫悦大統領が日本訪問を翌日に控えた15日、ソウル龍山の大統領室庁舎で、元駐日大使など韓日関係に関わりの深い人たちと昼食懇談会を行っている/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が15日付で報じられた読売新聞のインタビューで、1965年の韓日請求権協定と2018年の韓国最高裁(大法廷)の強制動員被害者賠償判決の間に「矛盾したり食い違ったりする部分(があっても、調和するようにするのが政府の役割)」だとし、日本側の論理をそのまま繰り返した。これは司法府の最終判断を否定する発言であるとともに、行政行為で司法府の決定を覆すことができるという論理であり、「三権分立」という憲法価値に正面から反する。
 2018年10月30日、最高裁の全員合議体は確定判決で、日帝による朝鮮半島の植民地支配は憲法前文が規定した「3・1独立運動で建設された大韓民国臨時政府の法統」に照らせば不法な強制占領であり▽強制動員は不法強占と侵略戦争遂行に直結した反人道的不法行為であり▽韓日両国間の財政的・民事的債権・債務関係解決のために締結された請求権協定の適用対象ではなく▽したがって加害戦犯企業(三菱重工業、日本製鉄)は被害者に賠償しなければならないと明らかにした。
 慶北大学法学専門大学院のキム・チャンノク教授は「条約と法令に対する最終解釈の権限は最高裁にある」として「国会が新しい国民的合意を形成して立法した場合でない限り、行政府が行政行為によってこれを覆すことは明らかに憲法的価値に反する」と述べた。
 これまで日本側は、植民地支配は不法ではなく▽強制動員は存在せず▽請求権協定ですべての賠償問題が解消されたため▽韓国最高裁の判決は国際法違反だと主張してきた。韓国政府が日本側の謝罪と賠償参加のない「強制徴用最高裁判決に関する政府の立場」(第三者弁済)を6日に発表した直後、「白旗投降」という批判があふれたのも、このような日本側の主張が全て貫徹されたためだ。
 「第三者弁済案」のまた別の問題は、すでに最高裁が確定判決を下した訴訟の他に、現在係争中の訴訟に対しても今後確定判決が出れば同じ方式を適用すると明らかにした点だ。司法府の最終判断が下される前に行政府がこれを覆すと予告したわけで、「司法府の権限侵害」という違憲的行動を繰り返し、継続するという話に他ならない。
 尹大統領はまた、「第三者弁済案」に対する日本側の疑念を払拭しようとするかのように、日本の被告企業に対する求償権行使の可能性を排除し、「心配に及ばない」と読売新聞に語った。民法上、求償権行使の時効は10年であり、尹大統領の退任後に再び争点になる可能性があるにもかかわらず、日本をなだめるために強引な論を展開したとみられる。2015年に拙速に推進された「慰安婦合意」当時、問題になった「最終的かつ不可逆的な解決」という文言を思い出させる。
 大統領室からは日本側に傾倒した主張が繰り返されてきた。大統領室の高位関係者は6日、「盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権が下した結論も、結局は1965年に政府がすべての国民への賠償責任を負うことにしたということ」と述べた。しかし、盧武鉉政権時代の2005年に活動した官民委員会は、最高裁の確定判決と同様に強制動員被害者の損害賠償請求権は消滅していないと判断した。当時委員会に所属していたチョン・ジョンフン神父は、本紙との通話で「当時の議論の基本は日本の謝罪と賠償を受けなければならないということだった」と話した。匿名を求めた別の委員は「日本の賠償責任をこれで完全に終結させるとか、そのような話は一切していない」と話した。
チョン・インファン、シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1083814.html
韓国語原文入力:2023-03-16 08:41





「中央日報日本語版」 2023.03.16 10:16
■韓国強制徴用被害者、三菱重工業の韓国資産取り立て求め訴訟
 
【写真】三菱重工業朝鮮女子勤労挺身隊被害者の梁錦徳(ヤン・クムドク)さん(左から3人目)と「名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会」関係者が2020年1月17日、東京丸の内にある三菱重工業本社に要請書を伝達した後、外に出てきた様子。ユン・ソルヨン特派員。

 2018年に韓国大法院(最高裁)で勝訴判決の確定を受けた日帝強制徴用被害者が、韓国政府が提案した第三者賠償を受け入れず三菱重工業の韓国内資産を取り立てたいとして訴訟を提起した。
 強制徴用確定判決の代理人団は16日、「三菱重工業を相手に勝訴した原告のうち生存者1人と死去した被害者1人の遺族が三菱重工業の韓国内資産に対する取り立て訴訟を15日にソウル中央地裁に起こした」と明らかにした。
 被害者は三菱重工業の孫会社である韓国内法人MHパワーシステムズコリアの資産を取り立てられるようにしてほしいと請求した。
 代理人団は「三菱重工業が持っている韓国国内法人に対する金銭債権に対する訴訟であるだけにこれまでの現金化手続きが必要だった株式や特許権と違い競売などの手続きなく1審判決で原告が勝訴し仮執行判決まで出ればすぐに債権を回収できるものとみられる」と説明した。
 また「代理人団は韓国企業の財源で行われる第三者弁済案を拒否する被害者の場合、彼らの意思に基づいて日本企業の韓国国内資産を速やかに現金化し被害者が望む方式の賠償を受けられるよう努力するだろう。今回の訴訟はその努力の一環」と付け加えた。


「聯合ニュース」 2023.03.15 16:36
■16日に韓日首脳会談 ソウルで賛成派・反対派が集会
【ソウル聯合ニュース】韓日首脳会談を翌日に控えた15日、韓国・ソウルの日本大使館付近に設置された旧日本軍の慰安婦被害者を象徴する「平和の少女像」のそばで会談開催の賛成派、反対派が同時に集会を開いた。

【写真】日本の謝罪や賠償を訴える紙を掲げる水曜集会の参加者=15日、ソウル(聯合ニュース)

 市民団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)」は同日正午、少女像の向かい側で慰安婦問題の解決を求める定例の「水曜集会」を開き、韓国政府による韓日首脳会談の開催推進を非難した。
 参加した市民団体「キョレハナ」のイ・ヨンヒ事務総長は、今回の首脳会談は「6日に強制動員解決策を発表した見返りとして開催されるもの」だとし、「政府は歴史問題を犠牲にして日本と手を組んだ」と批判した。韓国政府は6日、大法院(最高裁)で勝訴が確定した徴用被害者への日本企業の賠償を政府傘下の財団が肩代わりするという徴用問題の解決策を発表した。
 正義連の李娜栄(イ・ナヨン)理事長も政府に対し「相互互恵的で未来志向的な韓日関係に向けた条件が何なのかを熟考し、国民にこれ以上の恥辱を与えないよう願う」と求め、「犯罪事実を否定し、謝罪、賠償を拒む岸田文雄首相と尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が再び歴史に罪を犯すことを繰り返すなら、国民の審判が下されると警告する」と述べた。
 同じころ、市民団体「反日行動」のメンバーら10人余りが少女像の前で集会を開き、「尹錫悦政権の屈辱外交審判」などと書いたプラカードを掲げて政府の徴用問題の解決策に反対した。
 一方、水曜集会の会場から40~50メートルほど離れた場所では、「新自由連帯」など政府の解決策を支持する団体の約70人が集会を開いた。参加者は「正義連解散」「慰安婦詐欺を調査せよ」などと叫び、「尹錫悦政権の韓日徴用合意を積極支持する」と記した横断幕を掲げた。日本の国旗を手にする参加者の姿もあった。

【写真】政府の徴用問題の解決策を支持する団体が開いた集会の様子=15日、ソウル(聯合ニュース)


「The Hankyoreh」 2023-03-14 12:51
■強制動員生存被害者3人「同意のない第三者弁済、許容しない」

【写真】強制動員被害者のヤン・グムドクさんが13日午前、ソウル汝矣島の国会で、与党が不参加のなか開かれた外交統一委員会全体会議で緊急懸案質疑の参考人として出席し発言している/聯合ニュース

 韓国最高裁(大法院)の賠償確定判決を勝ち取った日帝強占期の強制動員生存被害者3人全員が、韓国政府の推進する「第三者弁済」を拒否するという意思を13日に公に明らかにした。16日の韓日首脳会談を前にしても強制動員問題に対する日本側の態度変化が見られない中、韓国の反発世論はより一層高まっている。
 強制動員生存被害者のヤン・グムドクさん(94)、キム・ソンジュさん(95)、イ・チュンシクさん(99)の代理人団と被害者支援団体は同日、「第三者弁済を許容しない」という政府案拒否の意思を記した内容証明を日帝強制動員被害者支援財団(財団)に渡した。これに先立つ6日、政府は強制動員被害賠償解決策の最終案として、日本の戦犯企業の参加のない「第三者弁済案」を発表した。行政安全部傘下の財団が最高裁で判決の確定している被害者に対し、日本の戦犯企業を肩代わりして賠償金を支給する方式だ。
 しかし、代理人団と被害者支援団体はこの日財団に渡した内容証明で、被害当事者の同意なしには第三者が債務を弁済できないという点を強調した。民法第469条1項によると、第三者の債務弁済は可能だが、当事者の意思表示によっては第三者弁済を許容しないと規定している。代理人団と被害者支援団体は「依頼人の意思に反して弁済しないようにしてほしい」と要請した。
 ヤン・グムドクさんもこの日、共に民主党単独で招集された国会外交統一委員会全体会議に参考人として出席し、「飢え死にすることがあっても、そのような金は受け取らない」として政府の強制動員解決策に反発した。また「大統領に服を脱げ(辞任せよ)と言いたい」とし、尹錫悦大(ユン・ソクヨル)大統領も批判した。国会外統委で民主党は政府案を糾弾し、日本側の謝罪と賠償を求める決議をあげた。民主党は今週を政府の対日外交を批判する集中行動週間に指定し、週末の18日にも市民団体と共同でソウル市庁前で糾弾大会を開くことにした。
 日帝強制動員市民の会のイ・グゴン理事長は、この日国会議員会館で開かれた「強制動員政府解決策に関する緊急国会討論会」で、被害者が日本の裁判所で訴訟を進めた2011年12月、三菱重工業が作成した合意文修正案を公開した。当時の修正案では、三菱重工業が被害者に「心より遺憾の意を表わす」という内容は盛り込まれたが、「強制動員・強制連行」という文言がなく、合意は決裂した。日本政府と被告企業のいかなる遺憾表明もなしに紛争をまとめようとする尹錫悦政権の解決策は、12年前に三菱重工業が提示した修正案よりもはるかに後退したもの。イ理事長は「約10年前に出して取り下げた案を再び使いまわそうとしている」とし「(尹錫悦政権は)『日本の謝罪を要求するのは不可能だ』と言っているが、自ら自分の無能さを告白している」と批判した。
 一方、この日現代日本学会主催でソウル中区(チュング)のプレスセンターにて開かれた討論会では、政府案を支持する意見が出た。世宗研究所のチン・チャンス日本研究センター長は「韓日関係改善を文在寅(ムン・ジェイン)政権が放置したため、これを解決しなければならない時期が来た」と述べた。
シン・ヒョンチョル、チャン・イェジ、オム・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1083449.html
韓国語原文入力:2023-03-14 08:34


「The Hankyoreh」 2023-03-14 08:34
■[コラム]韓国大統領室高官の辞任を要求する
 キル・ユンヒョン|国際部長

【写真】11日午後、ソウル中区の市庁広場の東側で開かれた「強制動員屈辱解決策強行糾弾および日本の謝罪賠償要求第2回汎国民大会」で参加者たちがプラカードを持ちシュプレヒコールを叫んでいる=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の「白旗投降」で終わったこの4年間の韓日対立を思い起こすと、実に様々な複雑な思いに陥る。
 4年間続いた対立の前半部といえる文在寅(ムン・ジェイン)政権時の韓日対立について、2021年7月に『新冷戦韓日戦』と題する本を出した。その本で当時、この戦いは両国間の単純な歴史対立ではなく、朝鮮半島と東アジアの未来像をめぐる巨大な世界観の衝突だったとする分析を提示した。すなわち、北朝鮮核問題を解決して南北関係を改善し、東アジアの冷戦秩序を打破しようとする文在寅政権の「現状変更」戦略と、韓国政府のそのような試みを打ち破り、韓米日の3角同盟を強化し、北朝鮮と中国を抑制しようとする日本の「現状維持」戦略が正面で衝突し、大きな破裂音を立てたということだ。
 両国間の対立がピークに達した2019年8月、慶南大学極東問題研究所で討論会が開かれた。その時、当時の与党「共に民主党」のキム・ミンソク議員(当時は議員就任前)が吐露した発言が胸に残っている。「この問題に国家の命運がかかっており、国家の名誉を担ってこの問題を解決できるかどうかに政権の命運がかかっている」
 当時その討論会の席でこの話を聞き、「大げさな発言ではないか」と思ったが、事態の本質を見抜いた発言だったと遅ればせながら認めざるをえない。あの殺伐とした闘争で韓国は敗れ(2019年2月末、ハノイでの朝米首脳会談の失敗)、文在寅政権は任期を終えた。だからこそ、その後登場した尹錫悦政権が前政権の遺産を全面的に否定し、韓米日3カ国協力の強化に「全賭け」するのは、別の見方をすれば残酷だが当然の論理的帰結だと考える。
 それでも、新たに登場した尹錫悦政権に一抹の期待を持たずにはいられなかった。私の所見では、世界はすでに新冷戦の入り口に差し掛かっており、北朝鮮の核の脅威が現実化した状況においては韓米日の3カ国協力自体を否定できなかった。だから、両国が最大の懸案である強制動員被害者への賠償問題に合理的な妥協案を引き出せるよう心から願った。だが結果は、原告の二つの要求事項である日本の「謝罪」と「賠償参加」のうちの一つも勝ち取れなかった白旗投降になってしまった。
 なぜそうしなければならなかったのだろうか。大統領室高官(知っている人は誰のことなのか皆知っているが、実名公開は不可だという)の6日の会見録を読んでみたが、すべての分析が無意味だと感じられた。「我々が大法院(韓国最高裁)判決を否定する理由は何もないが、とにかく国際法的に、そして1965年の韓日両政府の約束に照らしてみると、2018年の大法院判決は、日本としては『韓国が合意を破ったものだ』という結論になったのです」。これまで日本を含む数多くの外国政府の当局者の会見を見てきたが、公開の席上で自国の最高裁の判決を蔑視し相手国の立場を擁護する姿は、見たことも聞いたこともない。
 戦争はなぜ発生するのか。これに関する最も印象的な洞察を、東京大学の加藤陽子教授の『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』という本で読んだことがある。その本で著者は、戦争を「相手国の権力を正当化する根本原理である憲法を攻撃目標にすること」と定義した。大韓民国が今の大韓民国たらしめている二つの前提は、憲法の中に含まれている。大韓民国は「3・1独立運動で建立された大韓民国臨時政府の法統」と「不正に抵抗した4・19(李承晩大統領を辞任に追い込んだ民主化運動)の民主理念を継承」した民主共和国だ。この高官が、日本の立場を擁護し返す手で非難した2012年5月の大法院判決(破棄差戻し)と、それに続く2018年10月の大法院全員合議体の判決の核心は、次のようなものだ。原告敗訴を決めた日本の先の判決は、過去の植民地支配が合法であることを前提としたものであり、これは、「大韓民国の善良な風俗」すなわち憲法の価値に反するものであるため受け入れることはできず、原告が要求する慰謝料は「不法な植民地支配と侵略戦争の実行に直結した反人道的な不法行為」に対するものであるため、1965年の請求権協定で解決されなかった、ということだ。
 国家であれば、この価値を擁護するために戦わなければならない。時には妥協も必要だが、政府当局者には言うべき言葉と言ってはならない言葉がある。政府高官が自ら自国に恥をかかせるのであれば、世界のどの国が韓国を尊重するだろうか。過去にも様々な論議を引き起こしたこの高官には、辞任して「学問と思想の自由」がある大学教授に復帰してもらいたい。
キル・ユンヒョン|国際部長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1083415.html
韓国語原文入力:2023-03-14 02:38


「The Hankyoreh」 2023-03-14 06:52
■「飢え死にしてもそんな金は受け取らない」強制動員被害者ヤン・クムドクさんの怒り
 国民の力「韓日首脳会談を前に政府の中傷ばかり考えている」 
 民主党、強制動員解決策撤回決議

【写真】強制徴用被害者のヤン・クムドクさんが13日午前、ソウル汝矣島の国会で与党の不参加の中で行われた外交統一委員会全体会議で緊急懸案質疑の参考人として出席し、発言している/聯合ニュース

 日帝強占期の強制動員の生存被害者であるヤン・クムドクさん(94)は13日、国会外交統一委員会全体会議に出席し、「第三者弁済案」を提案した尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権に対して「非道な政府」、「大統領に服を脱げ(辞任せよ)と言いたい」と声を強めた。この日の会議は「尹錫悦大統領の韓日首脳会談に影響を与えるという意図が疑われる」と主張する与党「国民の力」の議員たちのボイコットの中で、共に民主党などの野党のみで行われた。
 ヤンさんはこの日の国会外統委全体会議に参考人として出席し、政府の日帝強制動員解決策について「飢え死にしたとしてもそのような金は受け取らない」と拒否した。ヤンさんは「誰一人として今のこんな私の気持ちを分かってくれる人はいない」、「本当に国ではなくかたきどもです、かたきども」と述べながら苛立ったように机をたたいた。1時間半ほどの会議の終了間際、ヤンさんは「何の恩恵もなく家に帰れというのですか。96も間近なのに、今まで待っていたのは何のためだったのか…」と言葉をつまらせた。
 民主党議員たちはこの日の会議で、政府の提示した第三者弁済案について「屈辱的解決策」だとして強く非難した。チョ・ジョンシク議員は、「1910年に日帝によって韓国が国権を奪われた庚戌国恥以降、最悪の国家的恥辱であり、屈辱外交」だと述べた。パク・ホングン議員は「大統領であれ外交部長官であれ、三権分立を否定し、立法的治癒なしに強行することに対しては厳しく責任を問わなければならない」と批判した。
 一方、国民の力は、民主党単独での外統委開催に対して、16日に予定される韓日首脳会談に悪影響を与えることを意図したものだとして会議に参加しなかった。チュ・ホヨン院内代表はこの日の最高委員会議で「民主党は首脳会談を前に協力はおろか、常任委員会にヤン・クムドクさんまで連れてきて政争を引き起こし、政府の方針を中傷することばかり考えている」と述べた。
 この日の会議では、民主党のイ・ウォヌク議員が代表発議して「尹錫悦政権の屈辱的反歴史的強制動員解決策の撤回、および日本政府と企業の謝罪と賠償を求める決議」があがった。同決議は、政府の提示した案を屈辱的、反歴史的交渉案と規定し、即時撤回を求めるものだ。
キム・ヘジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-03-13 17:41


「The Hankyoreh」 2023-03-14 07:00
■強制動員被害者が望まない「第三者弁済」は可能か

【写真】取材陣に内容証明受領確認を示す強制動員被害者/聯合ニュース

 強制動員の生存被害者が政府の提示した「第三者弁済」を受け入れないという意思を公式に表明したことで、政府の強制動員解決策は新たな局面を迎えた。政府は第三者である「日帝強制動員被害者支援財団(財団)」が日本の加害企業の賠償責任を肩代わりする方策を打ち出しているが、法曹界では被害者の同意なしに現行法上この方策が履行されうるのかについて意見が分かれている。
 三菱重工業に強制動員された被害者のヤン・クムドクさん(94)とキム・ソンジュさん(95)、日本製鉄に強制動員された被害者のイ・チュンシクさん(100)は13日、「2018年の最高裁判決で確定した強制動員慰謝料の債権について、第三者弁済は認めない」という趣旨の内容証明を財団側に送った。
 政府は6日、日本企業が強制動員の被害者に支払うべき賠償金を韓国の財団が肩代わりするとする「第三者弁済」案を発表した。勝訴が確定した被害者が日本企業から賠償を受け取るまでの「執行過程」に介入することで、権利救済のための訴訟そのものには介入しない仲裁案を提示したかたちだ。しかし、最高裁で勝訴が確定している3件の事件のうち2件の原告は、日本の加害企業から直に賠償を受け取るとの立場を守っている。加害企業が損害賠償の義務を事実上無視している中で、韓国政府が弁済を肩代わりしてしまえば、それは彼らの司法的責任を免除することに他ならないと判断したのだ。
 韓国民法第469条は、第三者も債務を弁済できると規定している。しかし、債務の性質または当事者の意思がこれを許さない場合はその限りでないとの但し書きがついている。民法がこの規定を設けたのは、金銭債権の一般的な特性を考慮したからだ。金には「荷札」がついていない以上、債権者としては誰が弁済しようが約束の金額が受け取れればそれで済むというわけだ。ただし、この事件のように債権者(被害者)が特定の債務者による弁済を求めている場合には、どのように解決すべきかが問題になった事例はない。債権者も債務者も望まない弁済を第三者が行う事例は極めて珍しいからだ。
 そのため債権者たちは民法第469条1項の但し書き条項を根拠に、第三者弁済の適法性を争うものとみられる。強制動員訴訟の原告代理人を務めるカン・ギル弁護士は「民法の原則は『第三者弁済』を無制限に許すものではないというものなので、現行法上、原告である被害者が望まない場合には、第三者弁済は不可能だと考えられる」と説明した。被害者側は財団側の弁済を拒否し、日本の加害企業の資産に対する現金化手続きを引き続き進めるとみられる。
 被害者が拒否しているにもかかわらず財団側が第三者弁済を強行すれば、供託の適法性を争う手続きが行われるとみられる。供託とは、債権者が受領を拒否した場合に、金銭を裁判所の供託所に預けて債務を免れる制度だ。強制動員被害者の代理人を務めるイム・ジェソン弁護士は「現在進められている日本企業の国内資産の現金化訴訟で、供託の無効を争うつもり」だと明らかにした。第三者弁済の受領を拒否していて日本企業に対する債権がそのまま残っているため、現金化手続きを継続するよう要請する計画だ。先に外交部は、最高裁が審理している日本企業の国内財産の現金化命令に対する再抗告事件について、「多角的な外交努力を傾注している」として裁判の先送りを要請する意見書を提出してる。これに対し被害者側は「裁判への介入」だとして強く反発している。

チョン・ヘミン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-03-13 17:00
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刻みつけられた強制動員の傷…済州の「アルトゥル飛行場」、平和の地とするには

2023年03月19日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「The Hankyoreh」 2023-03-02 08:59
■刻みつけられた強制動員の傷…済州の「アルトゥル飛行場」、平和の地とするには
 日帝が1933年に済州で飛行場建設に着手 
 中国侵略の前進基地として利用することを目的に 
 「強制動員の痕跡を示す象徴的な場所」

【写真】済州道西帰浦市大静邑伊橋洞で畑仕事をしていたキム・スンジャさんが、畑にある旧日本軍の通信施設を指差している=ホ・ホジュン記者//ハンギョレ新聞社

 「うちの義父の土地にあんな施設を作っちゃんたんだよ。日本の人たちが。すぐ隣の田畑から土を掘って小山のように積み上げて、その上に」。
 27日午前、済州道西帰浦市大静邑伊橋洞(ソグィポシ・テジョンウプ・イギョドン)で畑仕事をしていたキム・スンジャさん(87)が、コンクリートの構造物を指差しながら言った。キムさんの畑は大静邑のアルトゥル飛行場へと向かう道の途中にある。キムさんが指差した構造物は、流れた月日を示すように生い茂った木のつるが絡まっていた。コの字型のコンクリート擁壁の上に煙突型の柱が立っているこの構造物は、日帝強占期(日本による植民地時代)に作られた軍の通信施設と推定される。朝鮮戦争では弾薬庫として使われた。キムさんの話は続いた。「あれが作られる時、義父がすごく苦労してね。義母は、日本軍がいるから夜は歩き回るなと必死に頼んでたよ」。

【写真】済州道西帰浦市大静邑のアルトゥル飛行場一帯に点在する旧日本軍の飛行機の格納庫(有蓋掩体)=ホ・ホジュン記者//ハンギョレ新聞社

 澄み渡る春の陽気となったこの日、アルトゥル飛行場一帯は耕起の真っ最中だった。この地には旧日本軍の格納庫が10棟あまり点在しているが、周辺が全て畑なので、農機具などを保管する倉庫として格納庫を使っている農家もある。数台のトラクターがせっせと畑を耕している間に、農作業用トラックが狭い道路を慌ただしく行き来する。オルレ(遊歩道)10コースを歩く旅行客も見える。
 アルトゥル飛行場の位置する松岳山(ソンアクサン)一帯は、日本軍国主義の大陸侵略と朝鮮人強制動員の赤裸々な痕跡が残る野外博物館だ。日帝は済州を中国侵略の前進基地として利用するため、1933年にアルトゥル飛行場の建設に着手した。この飛行場は、日中戦争が勃発した1937年からは南京と上海に対する爆撃の発進基地として利用された。敗戦直前の1945年3月には日本本土死守のための「決7号作戦」が樹立され、満州駐留の関東軍や日本本土の守備兵力などから6万5000人あまり(朝鮮人徴兵者1万5000人あまりを含む)が済州道に配置転換され、航空機と重火器を備えて連合軍との戦闘を準備した。

【写真】観光客が旧日本軍の飛行機の模型を展示した格納庫を見学している=ホ・ホジュン記者//ハンギョレ新聞社

 この過程で日本軍はアルトゥル飛行場一帯を軍事要塞化した。海軍の特攻基地と迷路のように入り組んだ坑道陣地が地下に作られ、飛行場の防衛のための高射砲陣地も設置された。それは済州道民を常時動員したからこそ可能だった。敗戦間際には済州道のすべての村から、小学校を終える年齢の子どもたちが数十人ずつの団体で軍事施設造成工事に動員された。
 済州道民には当時の強制動員の記憶が依然として強烈に残っていた。ハンギョレは済州道内の日本軍の軍事施設の構築に動員された済州道民に、生前にインタビューを行ったことがある。
 「大東亜戦争(太平洋戦争)が勃発し、アルトゥル飛行場で3年働かされた。初めて行ったのは飛行場を拡張する時で、村から何人か出せと言われたら行って数日働かされた。飛行場の工事も全部シャベルとつるはしでやるんだよ。飛行場一帯にレールを敷設して平坦化作業をするんだけど、トロッコに土を積み込んだりした」

【写真】1945年10月1日、米軍がアルトゥル飛行場一帯に設置された高射砲を破壊した。格納庫や各種の建物が見える//ハンギョレ新聞社

 農繁期には村で50人の組を組んで交代で働いた。松岳山の斜面への防衛線構築作業に動員されたムン・サンジンさんは言う。
 「松岳山近くの山伊水洞(サニスドン)にテントを張って30数人が働いていた。日本軍が1人配置されて監視していて、私たちは斜面を回って防衛線を掘った。米軍の戦車が防衛線より上には登れないようにしようとしていると聞いた」。

【写真】済州道西帰浦市大静邑のアルトゥル飛行場一帯にある坑道陣地=ホ・ホジュン記者//ハンギョレ新聞社

 小学校を卒業したばかりの子どもが父親の代わりに動員されたり、作業中に怪我をしたりすることもしばしばあった。西帰浦市安徳面倉川里(アンドクミョン・チャンチョンリ)で小学校を卒業した直後に労務動員されたカン・ヒギョンさんは、「私たちはコドモブタイ(子ども部隊)と呼ばれた。1945年5月に父が病気なので代わりに行ったのだが、地理を知らなかったので母が連れて行ってくれた。私たちは1カ月そこにとどまって高射砲陣地の下の洞窟を掘った」と話した。
 済州市翰林邑月林里(ハルリムウプ・ウォルリムリ)のキム・ソンバンさんも、15歳の時に父親や兄とともにアルトゥル飛行場近くの坑道陣地の構築に動員された。つるはしで地面を掘っている時に大けがをしたというキムさんは「父、兄と一緒に動員されたため、家には農作業をする人がいなくて苦労した。父親と同じハンバ(飯場)に寝泊まりし、つるはしでトンネルを掘ってから地面に鉄路を敷き、トロッコに土を積んで運ぶ仕事をした」と語った。
 日本兵として徴集され済州道で勤務した済州出身の徴兵者たちも労働を強いられた。朝鮮人徴兵1期生のコ・ソクトンさんは、アルトゥル飛行場の横の簞山(タンサン)の坑道掘りに動員された。コさんは「発破作業につかされたが、作業場から出てくる前に爆薬が爆発したせいで一度死にそうになったこともある。怠けると、日本の軍人たちに歯を食いしばれと言われ、そのあと頬を殴られた」と話した。

【写真】1945年10月3日、米軍が日本軍の武装解除の一環として飛行機を爆破した//ハンギョレ新聞社

 この日、大静邑の敬老堂で出会ったムン・ジョンソンさん(94)は、「アルトゥル飛行場に芝生を供出した。1軒当たりいくらと芝の供出が割り当てられた時は、村の住民たちはそれを用意するのに苦労した。そうやってアルトゥル飛行場に芝を敷いた」と振り返った。学校には通わなかったというムンさんの口からは「空襲警報」や「大日本帝国の臣民」という日本語がよく飛び出した。
 朝鮮戦争では、飛行場跡は陸軍第1訓練所と中国兵の捕虜収容所として使われた。解放後に所有権が国防部に移された結果だった。1980年代後半には米国の軍事施設が設置されるとのうわさが飛び交ったため「松岳山軍事基地反対闘争」が激しく繰り広げられた。1990年代後半には宇宙センター建設計画のうわさが流れ、住民たちが反発している。
 休暇で家族とオルレ道を歩いているというキム・ギュチョルさん(47、京畿道在住)は格納庫を見て回りながら、「済州道にこんなに胸の痛む歴史があるとは思わなかった。記念館もよいが、このまま保存した方がよいと思う」と話した。

【写真】1945年10月1日、米国が日本軍の戦車を爆破している//ハンギョレ新聞社

 済州道は2008年に、このような歴史的な意味のあるアルトゥル飛行場一帯の184万9000平方メートルあまりの土地に格納庫と坑道陣地を整備し、展示館や追悼館などを作るとする平和大公園造成案を策定している。しかし、計画面積の91%に当たる168万平方メートルが国防部の所有地であるため、15年が過ぎた今も事業に進展はみられない。
 現在、大静地域の農民たちは国防部の土地を借りて農業を営んでいる。オートバイでジャガイモ畑から帰る途中に取材に応じたチョン・チュノクさん(83)は「50年間ここで農業をしている。400坪(1200平方メートル)を借りていて、1年に7万~8万ウォン(約7280~8320円)ほど払っている。平和公園だとか何だとか、いろいろな計画が出ているようだが、何もできていない」と話した。
 済州道のオ・ヨンフン知事は2月15日に西帰浦市を訪れた際に「松岳山遊園地内の私有地を買収し、アルトゥル飛行場一帯に推進する平和大公園造成事業をベルト化する」と表明した。オ知事のこのような構想は、済州研究院が研究事業を受託、遂行し、最近済州道に報告した内容と通底する。済州研究院は「持続可能な松岳山の管理および地域共生の方策」と題する報告書で、松岳山周辺の馬羅(マラ)海洋道立公園や済州オルレなどの観光資源、アルトゥル飛行場などの日帝の軍事施設、済州4・3事件関連遺跡などを連係させて「松岳山平和大公園」を造成しようという意見を提示している。
 日帝強占期の研究者たちは「アルトゥル飛行場一帯は日帝強占期の朝鮮人たちの強制動員受難史を示す象徴的な空間であり、4・3や朝鮮戦争をも網羅する歴史的な場所」だとし、「建物中心の公園造成ではなく、強制動員された労働者とその後の歴史的過程を記憶し、平和を考えることのできる記念物の設置こそ、考慮する価値がある」と語った。

ホ・ホジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/jeju/1081725.html
韓国語原文入力:2023-03-01 15:10
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「自由が撤去された」…消えた少女像に怒ったドイツの学生たち[現地ルポ]

2023年03月18日 | 日本軍隊性奴隷
「The Hankyoreh」 2023-03-18 10:01
■「自由が撤去された」…消えた少女像に怒ったドイツの学生たち[現地ルポ]
 カッセル大学、学生の自治空間の少女像が奇襲撤去 
 学生自治会、糾弾集会で「歴史的なシンボルが失われた」 
 州議会議員も「少女像を戻さなければならない」と加勢 
 現地の日本外交当局の圧力があったと推定

【写真】15日(現地時間)カッセル大学の学生会館前庭。大学当局が9日そこにあった「平和の少女像」を奇襲撤去した後、学生と市民が「少女像を戻せ」として設置したプラカードが代わりに置かれている=カッセル/ノ・ジウォン特派員//ハンギョレ新聞社
【写真】15日(現地時間)カッセル大学の学生会館前庭。大学当局が9日にそこにあった「平和の少女像」を奇襲撤去した後、同日午後に開かれた大学の奇襲撤去糾弾集会に参加した市民が少女像の場所を眺めている=カッセル/ノ・ジウォン特派員//ハンギョレ新聞社

 暖かい日差しが差し込む構内に座っていなければならない少女は、影も形もなかった。日本軍性奴隷として連れられた素足の少女が消えた場所には、「自由が撤去された」「記憶をなくすことは加害者に勝利をもたらすこと」と書かれたプラカードが置かれているだけだった。かつてそこに「平和の少女像」が設置されていたという事実は、彼女を守ろうとした学生と市民が描いた少女の絵だけから察することができた。
 世界女性デー(8日)の翌日の9日(現地時間)、ドイツ中部ヘッセン州カッセル市にあるカッセル大学は、学生の自治空間の前庭に設置された「平和の少女像」を奇襲撤去した。同大学の学生自治会が昨年7月、韓国およびドイツの市民団体であるコリア協議会に要請し、学生会館の前に建てた像だった。
 この少女像には「ヌジン」(NÛZÎN)という名前が付けられた。クルド語で「新しい人生」という意味だ。「慰安婦」被害者を象徴する少女像の名前をクルド語で付けた理由は、戦時性暴力が韓日両国関係を越える普遍的かつ国際的な人権と植民地主義の問題であることを強調して表示するためだった。少女像が片づけられた場所に置かれていた案内文に、第2次世界大戦時、ナチス・ドイツ軍が運営した慰安所に関する内容がより多く含まれていたことも同じ理由だ。
 15日午後4時、カッセル大学学生会館前の少女像があった空地で、カッセル大学の学生とドイツ市民ら100人が集まった。ベルリンの少女像をずっと見守ってきたというゲッチンゲン市民のザハさん(26)とカッセル大学の学生のリジャさん(24)は、「少女像を本来の場所に戻せ」というシュプレヒコールに声を合わせた。カッセル現地はもちろん、ベルリン、フランクフルト、ハンブルグなどドイツ全域から来た人々は、正式な説明なしに、少女像を突然なくした大学を糾弾するための集会を開いた。
 「日が昇る前に少女像を撤去したからか、誰も見た人がいません。げんこつで顔を殴られたようです。まるで犯罪のように、盗まれたように感じられます」。
 カッセル大学学生自治会の幹部であるラルス・セフォさん(25)は、まだ少女像が今どこにあるのか行方は分からないと語った。大学は、学生たちの対話要請を無視し、今なお撤去に関する公式の説明をしないでいる。大学当局は、オンラインのウェブサイトに少女像の設置は「一時的」であり、「許可はすでに満了した」という立場だけを出した状態だ。セフォさんは「学生自治会は少女像を取り戻したいし守りたい」と述べた。

【写真】15日(現地時間)カッセル大学の学生会館前庭。大学が9日、そこにあった「平和の少女像」を奇襲撤去した後、学生と市民が「少女像を戻せ」として設置したプラカードが代わりに置かれている=カッセル/ノ・ジウォン特派員//ハンギョレ新聞社
【写真】15日(現地時間)カッセル大学の学生会館前で開かれた大学の「平和の少女像」奇襲撤去糾弾集会でトビアス・シュノア前学生自治会長が発言している=カッセル/ノ・ジウォン特派員//ハンギョレ新聞社

 昨年、学生自治会長として少女像の設置を主導したトビアス・シュノアさんは、この日の集会で「(戦時性暴力は)日本だけでなくドイツでも起きたことだ。ウクライナ戦争でも同じことが起きている」と語った。「そのような歴史を象徴するものが少女像なのに、大学がそれをなくそうとしている。学生自治の共間に建てられた少女像を撤去したのは話にならないことだ」。この日の集会には、ドイツ左翼党に所属のハイデ・ショイヒパシュケビツ・ヘッセン州議会議員も参加し、「日本政府は、自分たちの植民地主義的な歴史を再確認したくないので、少女像がそこに建てられていることを好まなかった」として「大学は少女像を本来の場所に戻しておきなさい」といった。
 カッセル大学が学生との連絡・協議の代わりに奇襲撤去という「無理な方法」を取った背景には、現地の日本外交当局の圧力があったものと推定される。カッセル大学の元職・現職の学生自治会とコリア協議会の説明によれば、昨年7月8日に少女像が設置された後、日本の在フランクフルト総領事をはじめ、日本の右翼と市民らが大学総長と副総長など総長団に様々な方式で「少女像をなくせ」という荒々しい圧力を加えたとみられる。シュノア前学生自治会長は、直接受けたことがあるのかと問う質問に「私には日本の教授2人が直接手紙を送ってきた」として「返事をしなかったので、さらに攻撃的に行動した」と答えた。

【写真】15日(現地時間)ドイツ・ヘッセン州カッセル大学の学生会館前で開かれた大学の「平和の少女像」奇襲撤去糾弾集会で、ゼバスティアン・エルロス学生自治会長が発言している=カッセル/ノ・ジウォン特派員//ハンギョレ新聞社

 昨年、学生自治会がコリア協議会と少女像の永久賃貸契約を締結した際に副会長を務め、現在は会長を担当しているゼバスティアン・エルロスさんはこの日、本紙に「大学が学生会と協議会の永久賃貸契約の内容をすべて理解した後、構内の公共の場所に少女像を設置できるよう許可した」と述べた。だが、大学総長団は2月末、学生自治会に少女像の撤去を公式に要求した後、9日に一方的に撤去を決めた。学生たちは、少女像が物理的に消えて空いた場所を見て、この事実を知った。
 集会現場に出てきたある海外在住の韓人は「大学の奇襲的な少女像の撤去を見て、過去に女性たちが『慰安婦』として強制的に連れていかれた歴史が思い浮かび、いっそう胸が痛む」と述べた。だが、学生と市民が少女像を本来の場所に戻すことができるかどうかは未知数だ。法的には、大学が構内の公共の敷地の使用に関する許可の権限を有しているためだ。ベルリンのミッテ区に設置された少女像が、市民の世論に力づけられ、撤去の危機から脱したように、カッセル大学の少女像の運命は、今後はどれだけ多くの学生と市民が存続を要求するかどうかにかかっている。現地の市民と学生たちは「少女像守り」という名前で今後、毎週水曜日に少女像があった場所でデモを続ける計画だ。
カッセル/ノ・ジウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/europe/1083870.html
韓国語原文入力:2023-03-17 02:31


「The Hankyoreh」 2023-03-13 06:27
■独カッセル大学、「平和の少女像」撤去…日本政府は執拗だった
 日本の首相、外交官、極右勢力まで 
 「第3国の少女像」揺さぶりに乗り出す 
 歴史問題で「白旗」揚げた尹政権、積極的な対応は難しい見込み

【写真】9日(現地時間)、ドイツのカッセル大学が大学内に設置された平和の少女像を急遽撤去した後、在ドイツ市民社会団体「コリア協議会」が掲載した請願文= 請願ウェブサイトよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 ドイツ中部のヘッセン州にあるカッセル大学が9日、総学生会主導で大学に設置された平和の少女像を急遽撤去したことを受け、現地の韓国人団体が「原状復旧」を要求するなど、強く対応する方針を示した。6日に韓国政府が敏感な韓日間の「歴史懸案」である強制動員賠償判決について一方的な譲歩案を発表するなどの態度を示したことを機に、撤去を求める日本政府から圧力を受けてきた大学側が撤去に踏み切ったものとみられる。
 ドイツ・ベルリンの「コリア協議会」(以下協議会)は11日、2日前に行われた少女像の撤去事件と関連して緊急声明を発表し、「世界女性の日(8日)の翌日未明、あり得ないことが起きた。反ファシズム精神を称えるというカッセル大学総長団が平和の少女像を協議会と総学生会に何の通知もなく撤去した」と糾弾した。彼らはカッセル大学側が「学生議会の民主的な手続きにより議決された少女像の永久存置決定を無視した」として少女像を元の場所に戻すことと、女性への性暴行問題に警鐘を鳴らそうとした学生たちの意志を尊重することを要求した。また、今回の事態の背後にある日本政府には、「第3国にある少女像の撤去を促さず、日本軍『慰安婦』問題の正当な解決に乗り出すこと」を求めた。
 カッセル大学総学生会は9日、公式インスタグラムのアカウントに「早朝、私たちも知らないうちに、平和の少女像が大学から撤去された」と明らかにした。大学当局も同日、公式ウェブサイトに「2022年、カッセル大学総学生会が学生会館前に建てた平和の少女像に対し、大学が期限付きで(設置を)許可したが、すでに数カ月が延長され、期限満了となった」とし、所有者の協議会が少女像を持っていくまで学校が保管する方針を示した。芸術品の永久展示は該当するプロジェクトが教育・学術研究と共に行われ、設置場所もプロジェクトと内容的に関連性がある場合に限るというのが大学側の主張だ。
 カッセル大学の少女像は昨年7月、同大学総学生会の主導でドイツの大学の中では初めてキャンパス内に設置された。学生会は「カッセル・ドクメンタ」という国際現代美術祭に合わせて設置を企画し、協議会が少女像の彫刻家であるキム・ウンソン、キム・ソギョン夫妻からの寄贈を受け、カッセル大学総学生会に少女像を永久レンタルした。少女像は大学の公式許可を経て7月8日に建てられた。
 危機に陥った少女像はこれだけではない。ドイツ・ベルリンのミッテ区に2020年9月末に設置された少女像もやはり撤去を求める圧力を受けてきた。同少女像の建立を受け、昨年4月、日本の岸田文雄首相まで乗り出して「設置が続いているのは残念だ」として撤去を要求した。にもかかわらず、少女像が本来の位置を守ることができたのは、現地の女性・人権団体の抵抗と韓国政府の見えない外交的支援があったからだ。
 しかし、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が韓日間の敏感な歴史問題に一方的に白旗を掲げた中、将来を断言できなくなった。日本政府は2015年12月、「慰安婦合意」を通じて、慰安婦問題は「多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」だとしたうえで、「日本政府は責任を痛感している」と宣言したが、世界各地に建てられた少女像の撤去に奔走している。慰安婦問題を二度と繰り返してはならない普遍的人権問題ではなく、韓日間の歴史戦争の種とみなしているからだ。
 正義記憶連帯は10日、報道資料を出し、これまで行われた日本政府の「圧力」を詳細に説明した。少女像が設置されてから3日後にドイツ・フランクフルトの日本総領事がカッセル大学総長と面会し、「少女像が反日感情を助長し、カッセル地域の平和を危険にさらす恐れがある」と主張し撤去を要請しており、その後も大学の業務に支障をきたすほど訪問を繰り返した。また、大学側は日本の極右勢力からの悪質な手紙とメールにも悩まされてきた。協議会は今回の撤去に抗議し、近いうちにカッセル大学で大規模な糾弾行事に乗り出す計画だ。
ベルリン/ノ・ジウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/europe/1083235.html
韓国語原文入力:2023-03-13 02:30


「中央日報日本語版」 2023.03.11 11:12
■独カッセル大 「平和の少女像」奇襲撤去…「日本側の圧力は明らか」
 ドイツのカッセル州立大学が9日(現地時間)、学生が建てた平和の少女像を奇襲撤去した。撤去の背景に日本政府の圧力があったと推定される中、大学側は「銅像は永久設置対象でない」と伝えた。
 カッセル大総学生会はこの日、SNSを通じて「平和の少女像が今日未明、私たちが知らないうちに大学側に撤去された」とし「これについて間もなく立場を表す予定」と明らかにした。
 コリア協議会のハン・ヨンファ代表は「少女像撤去を要求する総長側とこれに反対する総学生会側が対立し、関連交渉が続いていたが、一方的に奇襲撤去をしたのは衝撃的」とし「日本側の持続的な撤去圧力があった状況は明確だ」と述べた。
 少女像彫刻家夫婦のキム・ウンソンさんとキム・ソギョンさんから少女像の寄贈を受け、カッセル大総学生会側に少女像を永久貸与した在独市民社会団体コリア協議会はこれに関連し、来週カッセル大で大規模な糾弾集会に開く予定だ。
 正義記憶連帯はこの日、声明を出し、「カッセル大の少女像設置の3日後、フランクフルトの日本総領事がカッセル大の総長に会い『少女像は反日感情を助長してカッセル地域の平和を脅かしかねない』と主張しながら撤去要請をした」とし「その後(大学は)業務に支障が生じるほど持続的な日本総領事の訪問と極右および日本市民の悪性メールに苦しみ、結局、日本政府側の多様な圧力に勝てなかったとみられる」と明らかにした。続いて「カッセル大の少女像撤去は日本政府の傲慢で厚かましい歴史否定と歪曲の代表的な事例であり、平和の少女像撤去圧力を加えた日本政府を強く糾弾する」と伝えた。
 カッセル大はこの日、ウェブサイトで少女像について「コリア協議会の貸与展示品が9日、専門家らによって撤去された」とし「協議会側がこれを引き取りに来るまで保護の下、倉庫に保存される予定」と明らかにした。さらに「カッセル大で芸術品の永久展示は、教育と学術研究プロジェクトが持続的に並行され、設置場所に対する内容上の関連性が立証される場合に限り、教授陣と総長団との共同決定を通じて行われる」とし「今回の銅像(少女像)はこれに該当しない」と説明した。
 これに先立ちカッセル大総学生会は昨年7月、学生会本館前の新築公園に平和の少女像を永久設置した。ドイツの大学のキャンパス内に初めて設置された事例であり、総学生会は敷地使用に対する大学側の許可を受け、学生議会は少女像永久存続決議案を通過させた。


「The Hankyoreh」 2023-03-11 09:34
■独カッセル大学、「平和の少女像」を奇襲撤去…「日本政府の絶え間ない圧力のため」

【写真】9日(現地時間)、ドイツのカッセル大学の構内に設置された「平和の少女像」が奇襲撤去された後、在ドイツ市民社会団体「コリア協議会」が掲載した請願文=請願ウェブサイトよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 ドイツのヘッセン州にあるカッセル大学が、総学生会の主導で大学に設置された「平和の少女像」を奇襲撤去した。 撤去の背景には、日本政府の撤去を求める絶え間ない圧力があったとする主張が出ている。
 カッセル総学生会は9日(現地時間)、インスタグラムの公式アカウントに「私たちにも知らせることなく、平和の少女像が早朝に大学から撤去された。学生会はただちに声明を出す予定」だと明らかにした。 カッセル大学は同日、公式ウェブサイトに「2022年にカッセル大学総学生会が学生会館の前に建てた平和の少女像に対する大学の許可は、一時的に締結され、さらに数カ月延長されたが満了した」として、少女像を撤去し、所有者であるコリア協議会が受け取りにくるまで大学が保管する予定だと明らかにした。 芸術品を永久展示するには、当プロジェクトが教育・学術研究と並行され続けなければならず、設置場所はプロジェクトと内容的に関連性がなければならないというのが大学側の主張だ。
 この少女像は昨年7月、カッセル大学総学生会の主導で設置された。 少女像がドイツの大学構内に設置されたのは初めてだった。 学生会は「カッセル・ドクメンタ」という国際的な現代美術の祭典に合わせて設置を企画し、在ドイツ市民社会団体のコリア協議会が少女像の彫刻家のキム・ウンソン氏とキム・ソギョン氏から寄贈され、カッセル大学総学生会に少女像を永久レンタルした。 少女像は大学の公式許可を経て7月8日に建てられた。
 10日、正義記憶連帯は報道資料を出し、少女像の撤去の背景には日本政府の「圧力」があったと主張し「日本政府を糾弾する」という立場を示した。 正義記憶連帯は「学生会が少女像の永久存続決議案まで通過させたが、設置直後に日本の撤去の圧力があった」とし、「少女像の設置後、わずか3日でドイツの在フランクフルト日本総領事がカッセル大学総長と面会し、『少女像が反日感情を助長し、カッセル地域の平和を危険にさらしかねない』と主張して撤去を要請したという。 当時、大学は日本の懸念を総学生会に伝えた程度で対応したが、その後、業務に支障をきたすほど続いた日本総領事の訪問と、極右と日本市民の悪性メールに苦しめられたという。 結局、(カッセル大学は)日本政府の様々な圧力に打ち勝つことはできないとみられる」と主張した。 コリア協議会は、突然の少女像の撤去に抗議するため、近くカッセル大学で大規模な糾弾イベントを行う計画だ。
ベルリン/ノ・ジウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )


「聯合ニュース」 2023.03.08 15:51
■慰安婦支援団体前理事長の議員 3年ぶり「水曜集会」に=韓国
【ソウル聯合ニュース】国際女性デーの8日、韓国の市民団体が旧日本軍の慰安婦問題の解決を求めソウルの日本大使館付近で開いている定例の「水曜集会」に、尹美香(ユン・ミヒャン)国会議員(無所属)が3年ぶりに参加した。 同氏は集会を主催する「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)」の前理事長で、正義連への寄付金を私的に流用した罪などで公判中だ。

【写真】水曜集会に参加した尹議員(右)=8日、ソウル(聯合ニュース)

 尹氏は「この3年間とてもつらかった」と述べ、「仲間(慰安婦被害者)が死にゆくのを見ながら何もできなかった。この運動と活動家たちを守るため、口をつむぐしかなかった」と語った。
韓日の両政府が慰安婦問題に関する合意を発表した2015年12月28日を振り返り、「寒い冬の日に(被害者の)ハルモニ(おばあさん)たちがこの通りで要求したのは、お金でなく謝罪と賠償」と声を強めた。 被害者の声が反映されてこそ正義になると強調した。
尹氏の水曜集会参加は、正義連理事長だった20年3月25日以来。 同年5月に慰安婦被害者の李容洙(イ・ヨンス)さんが正義連の会計の不透明性を指摘し、続いて市民団体も告発。 検察が捜査に乗り出し、9月に尹氏は補助金管理に関する法律違反や詐欺、業務上横領、背任など八つの罪で在宅起訴された。
先月の一審判決は、横領罪のうち一部を認定して罰金1500万ウォン(約156万円)を言い渡し、それ以外の罪については全て無罪とした。 検察と被告の双方が控訴した。
尹氏は水曜集会終了後、報道陣に「この事件があり、3年ぶりに集会参加となった。本当は毎週出てくるべきだった」と語り、活動を続けてきた人たちに謝った。 横領罪に関しては「控訴審で争う」とだけ答えた。


「The Hankyoreh」  2023-03-01 08:17
■「慰安婦」被害生存者 「16歳で連れて行かれたが、手が曲がるほど懸命に生きてきた」
 [フォト]95歳のパク・ピルグンさんの人生 
 「日本人に謝ってほしいし、賠償もしてもらいたい」 
  240人の「慰安婦」被害者のうち生存者は10人のみ

【写真】パク・ピルグンさんが大邱市中区のヒウム日本軍慰安婦歴史館を離れる際に手を振っている=パク・チョンシク記者//ハンギョレ新聞社

◆「私はもう死期が近い」
慶尚北道地域で唯一の「慰安婦」被害生存者であるパク・ピルグンさん(95)には、人生の終わりが近づいている。 16歳で強制的に日本に連れて行かれて工場で働かされ、慰安所生活まで強いられた記憶は、80年が過ぎた今もパクさんを苦しめている。 脱出を試みて捕まり、殴られてできた足の傷は今も鮮明に残っている。
命をかけた2度目の脱出で在日同胞の夫婦に助けられ、1945年2月ごろに故郷に帰ることができたパクさんは、帰国後結婚したものの、夫とは早くに死別した。 7人の子をもうけたものの、5人に先立たれた。 残った男の子と女の子を育てるためにパクさんは、指の関節の骨が曲がって飛び出るほど懸命に働いた。

【写真】パク・ピルグンさんが慶尚北道浦項市北区竹長面の自宅で、訪ねてきた人たちのためにお茶の支度をしている=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社
【写真】体の不自由なパクさんは、ひとりでいる時は花札をして暇をつぶす。 慶尚北道浦項市北区竹長面のパクさんの自宅に訪ねてきた人たちは、必ず1回は花札をしなければならない。 パクさんの素朴な愛情表現だ=浦項/ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社
【写真】指の関節が曲がり、やせ細ったパクさんの手=パク・チョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 日本軍「慰安婦」被害者の金学順(キム・ハクスン)さんによる1991年の公開証言に力を得て、パクさんは1993年に慰安婦被害者として登録した。 子どもたちの支持もパクさんが勇気を振り絞るきっかけとなった。 被害者登録後は、パクさんを応援する人々がパクさんの傷を癒している。 浦項(ポハン)女性会と大邱(テグ)の挺身隊ハルモニと共にする市民の会は、随時パクさんのもとを訪ねて話し相手になっている。
 現在、政府に登録されている240人の日本軍「慰安婦」被害者の中で、生存者は10人。 10人の平均年齢は93.6歳だ。 日本との関係回復に積極的な尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の成立後の、「慰安婦」問題の解決に向けた韓日両政府の動きは非常に遅い。 パクさんの息子の妻は「カン・ギョンファ外交部長官、チョン・ヨンエ女性家族部長官は何度か訪ねてきたが、政権が変わってからは訪ねてくる人はいない」と話す。

【写真】パク・ピルグンさんが大邱中区のヒウム日本軍慰安婦歴史館で、挺身隊ハルモニと共にする市民の会のソ・ヒョクス代表と話している=パク・チョンシク記者//ハンギョレ新聞社
【写真】パク・ピルグンさんが大邱中区のヒウム日本軍慰安婦歴史館の壁にかけられている大邱・慶尚北道地域の日本軍「慰安婦」被害たちの写真を眺めている=パク・チョンシク記者//ハンギョレ新聞社
【写真】ヒウム日本軍慰安婦歴史館の壁にかけられている大邱・慶尚北道地域の日本軍「慰安婦」被害の写真を眺めるパクさん。 同地域の被害者は高齢のためほとんどがこの世を去り、現在は大邱にイ・ヨンスさん、慶尚北道にパクさんが生存している=パク・チョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 「日本人に謝ってほしいし、賠償もしてもらいたい」。 パクさんの願いは生きているうちにかなうだろうか。

パク・チョンシク、ペク・ソア記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1081554.html
韓国語原文入力:2023-02-28 13:48


「聯合ニュース」 2023.03.01 16:13
■慰安婦被害者 尹大統領に「問題解決の約束を守って」
【ソウル聯合ニュース】韓国の独立運動記念日「三・一節」を迎えた1日、ソウルの日本大使館付近で旧日本軍の慰安婦問題の解決を求める定例の「水曜集会」が開かれ、慰安婦被害者の李容洙(イ・ヨンス)さんが参加した。 李さんは尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対し、慰安婦問題を解決するという約束を果たすよう促した。

【写真】水曜集会で発言する李容洙さん=1日、ソウル(聯合ニュース)

 また、慰安婦問題を国連拷問禁止委員会(CAT)に付託するよう改めて要求した。 李さんは慰安婦問題の国際司法裁判所(ICJ)への付託を目指す市民団体「日本軍慰安婦問題ICJ付託推進委員会」の委員長を務めている。
 李さんはさらに、慰安婦被害者が自身の被害を初めて公の場で証言した1991年から32年にわたり賠償や謝罪などの問題を解決していない日本は悪辣(あくらつ)だとし、「日本は韓国に解決策を出せと言うが、なぜわれわれが出さなければならないのか」と批判した。
 李さんが水曜集会の現場に足を運んだのは約3年ぶり。 かつて李さんは水曜集会に頻繁に出席していたが、2020年5月の記者会見で、会を主催する「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)」が集めた慰安婦被害者への寄付金の使途などが不透明と非難。 その後はメッセージを送るなどの形で集会にかかわってきた。
 一方、この日、同じ場所で保守系団体による水曜集会に反対する集会が開かれ、参加者は日本の国旗を振りながら拡声器で「正義連解体」などと声を上げた。


「中央日報日本語版」 2023.03.01 15:58
■3年ぶりに水曜デモに参加した慰安婦被害者の李容洙さん「尹大統領、約束守って」
 日本軍「慰安婦」被害者の李容洙(ヨンス)さんが尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対して慰安婦問題を国連拷問等禁止委員会(CAT)に回付するように1日、求めた。
 李さんは三一節(独立運動記念日)であるこの日、正義記憶連帯が主催した「第1585回定期水曜デモ」に出席し、「尹錫悦大統領が候補時代に安重根(アン・ジュングン)義士、金九(キム・グ)先生に続いて私を3人目に訪ねてくださった(候補時代当時)、大統領にならなくても慰安婦問題を解決すると言ってくれてとても感動した」と話した。
 李さんは「大統領になったので『やってくれるだろう』という気持ちだった。ところがとてもお忙しいようだ」とし「仕事が多すぎてできなかったのだと考える。 今日は『必ずやってください』と言うために思い切ってやってきた」と話した。
あわせて「今でも尹大統領の約束を嘘だとは思っていない。信じている」とし「国連拷問等禁止委員会に慰安婦問題を回付してくれるよう丁寧にお願いする」と話した。 この過程で李さんは涙を光らせた。
 李さんはまた「32年間(賠償、謝罪などの)問題を解決しないでいる日本が悪辣すぎる」とし「日本は韓国に解決策を出せといったが、自分たちが出すべきであり、なぜ私たちが出さなくてはならないのか。とんでもない」と批判した。
李さんの水曜デモ現場への参加は約3年ぶりだ。 李さんは2020年5月の記者会見で正義連後援金使用内訳などを公開した後、現場に出る代わりに応援の手紙を送るなど間接的に水曜デモに参加してきた。


「The Hankyoreh」 2023-02-28 13:51
■[インタビュー]「日本軍の日誌で『慰安所は軍の附属施設』を論証した」
 韓信大学日本学科のハ・ジョンムン教授 

 1937年日中戦争~45年の敗戦まで 
 2008年から夏休みと冬休みに「日誌」読み漁る 
 『陣中日誌にみる日本軍慰安所』を発表 
 日本陸軍省からコンドーム100万個空輸 
 「慰安所の許可から休業規定まで 
 日本軍が直接統制した記録数多く発見」
 
【写真】日本軍「慰安所」に関する研究書を最近出版したハ・ジョンムン韓信大学教授が21日午後、ソウル麻浦区孔徳洞にあるハンギョレ新聞社で、インタビューに応じている=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 「日中戦争と太平洋戦争当時、日本軍部隊が残した陣中日誌(以下日誌)を探し出して、ほとんど目を通しました。日誌を検索し本を書くのに15年もかかりました。 これまで読んできた日誌だけで数万ページを超えています」。
 日本史が専門のハ・ジョンムン韓信大学日本学科教授は2008年頃から、日本が日中戦争を起こした1937年から敗戦した1945年まで侵略のために編成した軍部隊の陣中日誌を見つけては、その中から慰安所に関する内容を抜粋する単純で機械的な作業を繰り返した。 主に大学の夏休みと冬休みに、日本が2001年に開設したアジア歴史資料センターで日誌を検索した。 日誌は日本軍中隊(独立小隊含む)以上の部隊が義務的に作成した記録物で、今は米軍からの鹵獲品(ろかくひん。 戦争で敵から奪ってきた兵器や補給品など)を中心に約10%未満のみ残っている。
 ハ教授が明らかにしたこの作業の目標は「日本軍が設置・管理した慰安所が今も存在する軍基地付近の売買春施設とは異なり、日本軍の組織体系と作戦に深く結びついた軍事施設だったことを論証すること」だった。 「日本は河野談話で慰安婦問題に日本軍が直接・間接的に関与した点は認めましたが、慰安所を軍施設として認めていません。軍医が慰安婦の性病の検診を行った事実程度を認めただけです」。
 これまで15年間にわたる研究結果をまとめた分厚い著書『陣中日誌にみる日本軍慰安所―日本軍「慰安婦」問題解決の突破口を開く』(ヒューマニスト)を発表したハ教授に、21日、ソウル孔徳洞(コンドクドン)のハンギョレ新聞社で会った。
ハ教授は、日本軍が慰安所の設置と運用に関与した痕跡をよく示す日誌として、1938年1月10日、中国江蘇省の省都、鎮江市に進入した上海派遣軍隷下第4師団第68連隊第3大隊が残した記録を挙げた。 第3大隊は駐留2日後の12日、第3師団参謀部より「慰安規定ノ件」について電話連絡を受け、約1カ月半後の2月28日、「戦場慰安所規定」を作って兵士たちに配布した。 最初の慰安所出入りは2月1日に行われたが、日誌にこのように記録されている。 「本日本部機関銃中隊大隊砲小隊ノ外出ヲ許可シ慰安所ヲ利用セシム 」。 慰安所開設の許可および監視監督は、戦場駐屯地司令官の方針によって憲兵隊が務め、慰安所は毎月15日と金曜日は午後5時まで休業だった。
 「日誌には日本軍が慰安所の承認など大きな権限を持つことはもちろん、慰安所の休日や営業内容も統制していたことを示す記録が数多く残されています。慰安所は日本軍部隊の規定と連係して設置され運営された『日本軍施設に近い附属施設』というのが私の結論です」。 研究目的を成し遂げたのかという質問に、ハ教授はこう答えた。
 ハ教授は著書で、上海派遣軍が1937年末、中国南京の陥落を控えて慰安所の開設を進め、陸軍省にコンドーム100万個を要請して届けてもらった事実も初めて明らかにした。 「コンドームの空輸は陸軍省が慰安所の開設に積極的だったことを示す決定的証拠です」。
 日本軍の「慰安婦」は「性奴隷」だったというのが国際社会の一般的な認識だが、日本はこれを認めていない。 「1940年、中国湖北省唐陽に駐留した部隊慰安所配置図を見ると、慰安所を囲んで鉄条網の表示があり、この周辺を歩哨が守るようにしていました。慰安婦たちは鉄条網の中だけ歩き回ることができました。 部隊の給料日には一日数十人を相手にしなければならず、彼女たちには『お客さん』を拒否する権利もありませんでした。 (慰安婦は)戦争遂行のために企画された日本軍システムで稼動した『性奴隷』でした」。

【写真】ハ・ジョンムン教授の著書『陣中日誌にみる日本軍慰安所―日本軍「慰安婦」問題解決の突破口を開く』//ハンギョレ新聞社

 ハ教授は著書で、日本軍が慰安婦たちを軍属と見なしていたことを示す資料もいくつか提示した。 1943年にビルマ(現ミャンマー)の首都ヤンゴンに駐留する日本軍慰安所管理人が、軍組織の野戦郵便局を通じて自分と「慰安婦」の貯金を送金したのがその例だ。 また、沖縄県東南の沖大東島の慰安所の「慰安婦」たちは、1945年初めに米軍の艦砲射撃が予想される瞬間にも島の外に出ることができなかった。 民間人は全員島を離れろという連隊本部の指示にもかかわらず、「慰安婦」は民間人に含まれなかったためだ。 「ビルマでも日本軍が英国軍と戦闘を繰り広げる激戦地に慰安婦はそのまま残っていました。資料がないので確認はできませんが、沖縄の事例にその答えがあるでしょう」。
 ハ教授は1937年12月、日本の中支那方面軍が南京陥落を控えて司令部レベルで慰安所の設置を急いだことについて「慰安所設置の『ビッグバン』だった」と表現した。 「日中戦争前にも慰安所がありましたが、性格が大きく異なります。以前は売春施設を通じた軍人の性病拡散の統制に注力しましたが、日中戦争後には軍が本格的にシステム的に慰安所の設置と運用に関与しました」とし、「民間の売買春施設従事者の性病検診の予防などを規定した『娼妓取締規則』が、日中戦争以後には日本軍の文書などで全く言及されないのも、 慰安所に対する軍の直接的な関与を裏付けている」と説明した。
 1938年11月15日、日本軍第2師団第3兵站輜重(しちょう)兵中隊の日誌によると、中国武漢近くの應城駐屯軍部隊に「まもなく慰安所が開設される」という知らせが来る。 日本軍の「應城掌握」から15日後のことだった。 まだ戦場の整理がついておらず、敗残兵が出没するので、部隊員の日曜日の外出は認められていなかったが、慰安所の出入りの際は許可証を交付したという。 日本軍はなぜ慰安所の設置を急いだのだろうか。 「戦闘が終わったばかりなので、部隊員の統制が容易ではなかったのでしょう。殺気立った部隊員を反抗をなだめる意図があったと思います。 (慰安所を)戦闘直後に日本軍兵士に唯一許された安全な場所であり、『娯楽』とみなしたのです」
 ハ教授はソウル大学人類学科を卒業した後、日本史に専門を変えて東京大学日本史学科で「戦時労働力政策の展開」をテーマに博士号を取得した。 日本史に関心を持つようになったのには、祖父と伯父が日本で移住労働をした家族史も影響を及ぼしたという。
 ハ教授は慰安所研究の意味をこのように指摘した。 「慰安婦問題で被害者のハルモニ(おばあさん)たちの存在と証言が最も強力な武器だったのに、多くのハルモニたちが亡くなっていっています。私は『慰安所研究』が新たに慰安婦研究と活動を続けていく迂回路だと思います。 慰安所の記録を新たに発掘し、その実体を明らかにすれば、ハルモ二たちの証言も歴史性を保つことができるでしょう」
 ハ教授は「今後はこれ以上慰安所研究をする計画はないが、他の研究者の要請があれば集めた資料を共有する」と語った。 「今後、慰安婦がどのように船に乗ったのかを明らかにする『渡航研究』が必要です。慰安婦が日本軍とどのような従属関係で渡航証を手に入れたのかを明らかにする必要があります」
 ハ教授は3年前に出した本『なぜ日本は韓国を征服したがるのか』で、「朝鮮半島の中立化」を「韓国の生存と東アジアの安定を生み出し保障する唯一無二の戦略」だと強調した。
 インタビューの終盤に、なぜ朝鮮半島の中立化なのかと尋ねた。 「日本が朝鮮半島を自分たちの影響力のもとに置こうとしたのは、日本に敵対的な勢力が朝鮮半島を支配すれば、自分たちにとって脅威になると考えるからです。 もちろん、そこには自分たちの勢力権を拡張しようという意図もあったはずです。 私は、日本が前面に押し出すこのような侵略の口実を与えないためにも、朝鮮半島の中立化が必要だと思います。 朝鮮半島によって東アジアの安全保障バランスが揺るがされることを防ぎ、中国や日本と同時に良い関係を保つための道は中立化しかありません」。

カン・ソンマン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/religion/1081453.html
韓国語原文入力:2023-02-28 02:33
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「韓日両政府は法治を踏みにじるのをやめよ」

2023年03月17日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「The Hankyoreh」 2023-03-14 08:56
■[寄稿]韓日両政府は法治を踏みにじるのをやめよ
 キム・チャンノク|慶北大学法学専門大学院教授 
 強制動員解決策、どうみるか(3) 

【写真】11日午後、ソウル中区の市庁広場の東側で開かれた「強制動員屈辱解決策強行糾弾および日本の謝罪賠償要求第2回汎国民大会」で参加者たちがプラカードを持ちシュプレヒコールを叫んでいる=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 パク・チン外交部長官は3月6日に強制動員問題に関する政府の「解決策」を発表した際に、日本が「法治という普遍的価値を共有する最も近い隣国」だということを、解決策を打ち出した根拠のひとつとしてあげた。日本政府も、韓国最高裁(大法院)の強制動員賠償判決は国際「法」に違反していると主張してきた。韓日両国政府が「法治」というスローガンの下に「大同団結」した格好だ。
 2018年10月30日に大韓民国最高裁で日本の戦犯企業の損害賠償責任を認めた判決が下された直後から、日本政府はこの判決のことを「国際法違反」だと非難してきた。日本の言う国際法とは、1965年に締結された韓日請求権協定という二国間条約だ。しかし最高裁判決は、条約の解釈に関する基本原則を定めた国際法である「条約法に関するウィーン条約」を根拠に、請求権協定の条文を詳細かつ妥当に解釈したものだ。にもかかわらず日本政府は、一切の根拠の提示もなしに請求権協定の条文だけを掲げて判決を攻撃した。
 日本政府こそ請求権協定を不当に動員して韓国の司法主権を侵害しており、主権の相互尊重という国際社会の最も基本的な規範を破っているのだ。「1965年の国交正常化以降で最悪」と言われる韓日対立は、国際法に従った最高裁判決のせいではなく、国際法に違反している日本政府の不当な攻撃のせいで生じたものであり、それこそが事態の核心だ。
 韓国政府の「解決策」も「反法治」であるのは変わらない。「第三者弁済」などの固い法律用語で飾り立ててはいるものの、「解決策」の核心は判決が宣告した日本企業の損害賠償責任を免除することだ。最高裁は、日帝の朝鮮半島支配は憲法前文の規定する「3・1独立運動で建立された大韓民国臨時政府の法統」に照らして不法な強制占領であり、強制動員は不法な強制占領に直結した反人道的不法行為であるため、請求権協定の適用対象ではないと判示した。韓国政府の「解決策」はこれを否定したものであり、憲法違反だ。
 韓国政府は北朝鮮の核などの安保状況を前面に掲げているが、それがこのように日本政府に全面投降しなければならない根拠にはなりえない。「高齢の被害者のために速やかに」とも主張するが、「外交交渉を行っているから売却命令に関する再抗告事件は決定を先送りしてほしい」という意見書を最高裁に提出し、決定を遅延させているのは、他ならぬ韓国政府だ。
 韓国政府は高齢の被害者のためだと言いながら、すでに最高裁で勝訴が確定している被害者と、現在進行中の60件あまりの訴訟で将来勝訴が確定する被害者のみに金を支給するという。「最高裁まで行って勝訴すれば、日本企業に代わって金を与える」というのが、どうして高齢の被害者のための迅速な解決なのか。これは日本企業の責任を免除することこそ「解決策」の絶対的な目的だという事実を自認しているに過ぎない。
 政府が提示した解決策は、日帝強制動員被害者支援財団が日本企業を肩代わりして強制動員被害者に金を支給するというものだが、財団設置の根拠法たる「強制動員特別法」によれば、日本企業の責任を免除するという、請求権協定とは関係のないことは、法律の目的の範囲を逸脱している。
 くわえて、財源は請求権協定で得た経済協力資金の恩恵を受けた韓国企業の「自発的寄与」で作るというが、最高裁判決によれば強制動員は請求権協定の適用対象ではない。したがって、請求権協定によって日本政府から受け取った無償3億ドルは強制動員と関係がなく、その無償3億ドルから支援を受けたポスコなどの韓国企業は強制動員問題に対する責任がない。したがって、韓国企業が日本企業の債務を肩代わりするために日帝強制動員被害者支援財団に金を拠出することは背任となりうる。
 韓日両国の政府は「法治」というスローガンを掲げつつ、実は「反法治」へと向かっている。
 それは韓国と日本の目指すべき未来の姿とはなりえない。日本政府は韓国最高裁の判決に対する不当な攻撃をやめるべきだ。韓国政府は最高裁の判決を否定する「解決策」を直ちに撤回すべきだ。最高裁は最終決定を迅速に執行することで、人権を守る最後のとりでの役割を果たすべきだ。
キム・チャンノク|慶北大学法学専門大学院教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1083438.html
韓国語原文入力:2023-03-13 21:02


「聯合ニュース」 2023.03.13 14:50
■韓国最大野党が国会外交委を単独開催 政府の徴用解決策批判=原告も出席
【ソウル聯合ニュース】韓国の最大野党「共に民主党」は13日、国会外交統一委員会を単独で開き、政府が発表した徴用賠償問題の解決策を批判した。同委員会の与党「国民の力」所属の国会議員は合意されていない議事日程であり、16日に予定された尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の訪日に影響を与える意図があるとして欠席した。
 
【写真】国会外交統一委員会に出席する徴用被害者の梁錦徳さん=13日、ソウル(聯合ニュース)

 同委の共に民主党の幹事を務める李在汀(イ・ジェジョン)国会議員は「被害者と国民の意見を黙殺したまま一方的に解決策が発表され、首脳外交に乗り出す状況で国会が黙っているわけにはいかない」として、「被害者の声を聞く今日の会議をこれ以上遅らせることはできない」と述べた。
 委員会に出席した共に民主党の趙正湜(チョ・ジョンシク)議員は「1910年に日帝によって国権を失って以来、最悪の国家的な恥であり屈辱外交」として、「大法院(最高裁)判決を政府自ら無力化した司法主権の放棄行為であり、尹政権のゆがんだ歴史認識から出た惨憺(さんたん)たる屈辱的な解決策」と批判。同党の院内代表の朴洪根(パク・ホングン)議員は「国会で強力に糾弾決議案を推進しなければならない」とし、「大統領であれ外交部長官であれ厳重に責任を問うべきだ」と主張した。金大中(キム・デジュン)元大統領の三男で無所属の金弘傑(キム・ホンゴル)議員は「韓国外交の底を見せた」と批判した。
 委員会には国民の力の議員だけでなく、朴振(パク・ジン)外交部長官ら外交当局者も出席しなかった。
 一方、委員会には大法院判決で勝訴が確定した原告の梁錦徳(ヤン・グムドク)さんが出席し、「大統領を辞めてと言いたい」として、「ずっと苦痛を受けながら生きている。このことを考えれば(韓国は)国ではなく敵」だと批判した。韓国の財団が日本企業に代わって支払う賠償金を受け取るかどうかに関しては、「飢えて死ぬことがあっても絶対に受け取らない」と語った。


「聯合ニュース」 2023.03.13 11:45
■徴用訴訟 存命の原告3人が財団に「第三者弁済」認めない意思伝達=韓国
【ソウル聯合ニュース】韓国の大法院(最高裁)が日本企業に徴用被害者への賠償を命じたことを巡り、勝訴が確定した原告のうち存命中の3人の代理人が13日、賠償を肩代わりする韓国政府傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」に「第三者弁済」を拒否する意思を記した内容証明を届けた。

【写真】日帝強制動員被害者支援財団の関係者に内容証明を手渡す徴用被害者の代理人=13日、ソウル(聯合ニュース)

 三菱重工業を相手取った訴訟で勝訴が確定した梁錦徳(ヤン・グムドク)さんと金性珠(キム・ソンジュ)さんの代理人が届けた内容証明には「受取人は依頼人の意思に反し弁済しないことを求める」との内容が盛り込まれた。2人の債権は日本の違法な植民支配による企業の反人道的な違法行為を前提に慰謝料の請求権を行使したものとして、「第三者が債権者の意思に反し、勝手に弁済して消滅させられる債権ではない」と明らかにした。
 新日鉄住金(現・日本製鉄)を相手取った訴訟で勝訴した李春植(イ・チュンシク)さんの代理人も同日、同じ趣旨の内容証明を財団に送った。
 民法では債務の弁済は第三者もすることができるが、「当事者の意思表示により第三者の弁済を認めない場合」はできないと定めている。
 韓国政府は今月6日、大法院で勝訴が確定した徴用被害者15人(原告は14人)の判決金(賠償金)と遅延利息について、財団が民間の自発的な寄付などで調達した資金で支払うことを発表した。

【写真】7日にソウルの国会議員会館で記者会見を開き、政府が発表した徴用問題の解決策を批判する徴用被害者の梁錦徳さん(左)と金性珠さん=(聯合ニュース)


「The Hankyoreh」 2023-03-14 08:56
■[寄稿]強制動員解決策、誤った認識と選択が招いた「惨事」
 強制動員解決策、どうみるか(2) 
 ナム・ギジョン|ソウル大学日本研究所教授

 6日に韓国政府が発表した「最高裁判決に関する解決策」には、最高裁(大法院)判決がない。この日提示された政府の解決策の内容は、植民地支配の不法性を前提として被害者に「慰謝料」を支払うことを命じた最高裁判決を無力化するものだ。惨事だ。日本政府が「韓国の司法府が犯した国際法違反状態は韓国政府が自ら解決せよ」と強要したフレームにすっかりはまっている。したがって対日交渉の内容もない。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領自らが問題の解決策として提示した「グランドバーゲン」にさえなり得ていない内容だ。だからこれは外交惨事ですらなく、単なる惨事だ。
 なぜこうなってしまったのか。誤った認識と選択のせいだ。尹錫悦大統領は、韓日関係悪化のすべての責任は文在寅(ムン・ジェイン)前政権にあるとの認識を示してきた。輸出規制措置で韓国人の経済的生存権を脅かした日本の安倍晋三政権の責任については一言もなかった。「竹槍歌」ばかり歌っていて日本にやられたという認識だった。つじつまが合わない。
 輸出規制措置が最高裁判決のせいだというのか。それはひとまず日本政府自らが否定する論理だ。最高裁判決が誤っているというのか。最高裁判決は、韓国憲法の精神と1965年の韓日基本条約に対する韓国政府の立場にもとづいて下された当然の法理的判断だった。それもすでに李明博(イ・ミョンバク)政権時代の2012年に下された判断を確定したに過ぎない。司法壟断が断罪されたことで、当然の結論が当然にも下されたのだ。司法壟断の主役であるヤン・スンテ元最高裁長官を拘束したのは、当時のソウル中央地検長として、そして第3次長検事として捜査を指揮した尹大統領とハン・ドンフン法務部長官だ。現政権与党の前身である自由韓国党は最高裁の判決を歓迎し、植民地支配の不法性が確認されたと述べつつ、日本の態度変化を期待すると表明している。最高裁判決は党派を問わず、大韓民国の国家アイデンティティーの発露だった。どこが誤っていたというのか。
 韓国の誤ったがゆえに韓日関係を台無しにしたという認識は、今年の三一節記念演説でそのまま表現された。事実関係が合わないうえ、非常に政略的だ。文在寅政権が反日感情によって韓日関係を台無しにしたのではなく、尹錫悦政権が「反祖国感情」に乗って韓日関係をひっくり返してしまったのだ。政治を対日外交に利用しているのは誰か。
 尹錫悦政権は前政権で推進された朝鮮半島平和プロセスも失敗と規定し、それに代えて韓米日安保協力の強化を選択した。日米同盟の下位同盟として編入される韓米同盟の現実の中で、韓国政府の地位と交渉力は弱まった。朝鮮半島平和プロセスに介入しようとしていた日本が韓国政府に国際法違反のレッテルを貼り、現状変更勢力へと転落させてしまった。米国を日本に対するテコにしようという計算が尹政権にはあったのかも知れないが、米国の圧力はむしろ韓国へと向かった。
 誤った認識の下で対日交渉カードをすべて捨て去り、誤った選択によって米国というテコが逆に作用したことで、3月6日の惨事は予見されていた。
 兆しはあった。昨年9月27日、安倍晋三元首相の国葬が行われた日、それに参加したハン・ドクス首相の記者懇談会での発言は不吉だった。彼は「国際法的に見れば一般的に理解しがたいことが起きたのは事実」だとして、日本側の認識をそのまま受け入れた。その日の国葬では、菅前首相は伊藤博文の死を思う山県有朋の悲痛な心情になぞらえて追悼の辞を読み上げた。山県は主権線・利益線の概念で構成される日本の地政学を創案し、伊藤は安重根(アン・ジュングン)義士に狙撃されるまでそれを実行に移した当事者だ。国際法は、彼らが韓国を手なずけるための有効な手段だった。そして、その侵略的行動を国際法で覆い隠した。
 山県と伊藤の認識は戦後日本の朝鮮半島認識に綿々と受け継がれる。「平和憲法」を重視し、戦後日本の基礎を築いたと評価される吉田茂は、最も尊敬する政治家として伊藤博文をあげ、清やロシアなどの大陸勢力から日本の安全を守るために朝鮮半島を掌握しようとした彼の見識を称賛した。吉田にとって朝鮮戦争は天祐(てんゆう)であり、朝鮮半島の現状を維持するために韓日国交正常化を背後から支援した。
 尹錫悦大統領は前回の大統領選挙中の討論で「有事の際に(自衛隊が)入ってくることもありうる」のではないかと発言した。有事の際には自衛隊が朝鮮半島にやって来るのを防ぐことはできず、そのために韓米日軍事同盟も検討しうるという発言だった。そこまで発言する候補は今までいなかった。そして彼が大統領になった。三一節の記念演説では日本の植民地支配を免責し、協力パートナーになったと述べた。保守か進歩かを問わず、このような大統領は今までいなかった。ニューライトのあがめる李承晩(イ・スンマン)大統領でさえ、1951年1月に中国共産軍の大々的な攻撃で押されている中、米国が日本軍の国連軍への編入の可能性を検討した際、日本軍が参戦するなら韓国軍はまず日本軍を撃退してから共産軍と戦うだろうと述べている。
 今、日本では明治初期を彷彿とさせる勢いで地政学が流行している。明治地政学によって侵略戦争に打って出た日本では、敗戦後は長くタブー視されていた単語だ。ついには「極東1905年体制」論が登場している。日露戦争の結果、朝鮮半島と台湾が日本と共に力で維持される一つの陣営にまとめられて東アジア勢力均衡体制を形成し、日本の敗北によって流動化していたこの体制は、朝鮮戦争以降に米国を中心として再編され今に至っている、というものだ。この論によれば「極東1905年体制」は過去の歴史ではなく、日米同盟と韓米同盟が事実上一つの制度として作動している実体だ。そこにおいては、日本が朝鮮半島を植民地とした事実は「やむを得ないこと」として処理される。最高裁判決に関する韓国政府の解決策が登場した後には、朝鮮半島有事の際の指揮統制機関の再編が公然と論じられている。現在の韓米連合司令部体制では日本が関与する余地はないとし、有事の際に日本が甘受するリスクを考慮して、計画立案の場に日本が関わる余地を設けるというものだ。
 過去にこだわっていないで振り払い未来へと向かって行こうという言葉を、聞き流すことができない状況だ。危ない。気をつけなければならない。
ナム・ギジョン|ソウル大学日本研究所教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-03-12 17:49


「The Hankyoreh」 2023-03-13 09:14
■[寄稿]植民地支配の被害者の人権踏みにじる「1965年体制」を民主化しよう
 強制動員解決法、どうみるか(1) 
 吉澤文寿|新潟国際情報大学教授

 2018年10月30日および同年11月29日に下された一連の大法院(韓国最高裁)判決は、韓国人強制動員被害者と日本企業との紛争を解決するものである。判決は日本政府による不法な植民地支配および侵略戦争の遂行に直結した反人道的な不法行為として、日本企業が朝鮮人を強制労働させたことを認め、原告が訴えてきた慰謝料請求権を認めた。被告である日本企業はこの事実を重く受け止めなければならない。
 日本の中国侵略およびアジア太平洋戦争遂行のために、多くの朝鮮人が強制動員の被害者になった事実は、日本の法廷でも認定されている。しかしながら、被害者の慰謝料請求権を認定し、日本企業に賠償を命じたのは、今回の判決が初めてである。被害者は被害を受けてから70年以上かけて、ようやくこの判決を勝ち取った。この画期的な判決に被害者とその支援者は国境を越えて歓びを分かち合った。
 韓国人被害者と日本の民間企業との紛争は、大法院判決の通りに解決するのが最善である。原告側の説明によれば、現在までに日本企業の財産差し押さえは着実に進行しており、早ければ1年以内に債権が回収できる見通しだという。日本企業からの謝罪は必要不可欠だが、このまま誰からも妨害されることなく、差押財産の現金化まで一直線に進行することがもっとも望ましい。
 ところが、この判決が出た直後に、日本政府は「あり得ない判決」であり、「国際法違反」であると論難して、即座に介入した。その主張の核心は、この判決が1965年に締結された日韓請求権協定に違反するというものである。今回の大法院判決は、日本政府が植民地支配の不法性を認めていないため、強制動員慰謝料請求権が協定の適用対象に含まれないとしている。これに対して、日本の外務省は、協定第2条1および3の条文を示して、被害者の慰謝料請求権が「完全かつ最終的に」解決されたと主張する。しかし、日本政府は大法院判決の協定解釈を反証するための十分な論拠をまったく公表していない。
 大法院が日本政府と異なる条約の解釈をしていると指摘するのであれば、その問題を日韓間で協議するというのが本筋である。だが、日本政府は今回の判決を「日韓関係の法的基盤を覆すのみならず、戦後の国際秩序への重大な挑戦」であると一方的に決めつけ、協定第3条に即した対応を独断的に進めたのである。日本政府は韓国政府に対して極めて高圧的な態度をとり、相手側からの提案を一蹴するとともに、ひたすら「国際法違反」の状態の是正を求めた。
 つまり、民間の紛争の非当事者である日本政府はこれを暴力的に外交問題にすり替えて、エスカレートさせてきた。民間の紛争を国家間の紛争にすり替えたのは日本政府である。日本ではこのすり替えの是非が何ら問われないまま、政府ばかりでなく、マスコミもこぞって「韓国(人)は法を守らない」という偏見ばかりを広めている。韓国人は野蛮であるというあからさまな蔑視から、「韓国では法よりも正義を優先する」というもっともらしい「学識」までさまざまだが、いずれも偏見である。
 なぜ2018年の大法院判決が出されたのか、その歴史的背景が十分に理解されないまま、いつの間にか韓国政府がいかに対応すべきかというところに焦点が定まってしまった。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府が示した「賠償肩代わり案」なるものは、2015年12月の日本軍「慰安婦」をめぐる日韓合意と同様に、朝鮮民主主義人民共和国に対抗するために日韓関係を修復するという安保優先の論理で人権問題を債権問題にすり替えて「解決」しようとするものである。大法院判決は加害者である日本企業に対して、被害者の要求に向き合う真摯な姿勢を求めた。しかしながら、「賠償肩代わり案」に日本企業が協力する可能性がないのだから、韓国政府の不当な介入により、日本企業は被害者への謝罪および賠償支払いの履行を免れるだろう。
こうして被害者および支援者が長年苦労を重ねてようやくつかみ取った今回の判決は、日韓の国家権力によって反故にされようとしている。この国家権力の振る舞いを暴力といわずして何と言うべきだろうか。
 1965年の日韓国交正常化によって成立した「1965年体制」は、米国のアジア冷戦戦略に沿って、日韓両国が共産主義に対抗するために実現した。それは南北分断体制を強化するとともに、日本の朝鮮植民地支配責任を不問に付すものであった。
それゆえに、「1965年体制」は植民地主義体制である。軍事政権期に被害者たちが日本の責任を問うことは利敵行為と見なされ取締の対象とされた。民主化以後、強制動員をめぐる訴訟の結果、韓国人被害者と日本企業との間で和解が成立したこともある。しかしながら、日本政府は植民地支配に対する「道義的責任」を認めるにとどまっており、その不法性や加害事実を認定したことはない。
 日韓両国は民主主義を掲げる国家である。しかしながら、手続き的民主化以後の民主主義という課題は、「8.15」(日本の敗戦)以後の日本でも、「6.29」(韓国の民主化)以後の韓国でも抱えている。「1965年体制」が植民地主義体制である根本的な原因は、日韓両国が未だに民主主義社会を実現していないところにある。「1965年体制」は植民地支配の被害者を抑圧し、疎外し続けていることで維持されている。このことは、民間の紛争にさえ暴力的に介入した日韓両国の政府の言動から改めて明らかになった。
 植民地支配の問題は、民主主義の問題である。現在の日韓関係が植民地支配の被害者の人権を抑圧し続けるなら、それを民主的と呼ぶことはできない。むしろ不当な暴力を野放しにするなら、「野蛮」の誹りを免れまい。植民地支配責任を問わないままの「未来志向」に未来はない。この野蛮な日韓関係こそ「戦後最悪」と呼ぶべきである。私たちにとって、「1965年体制」の民主化は喫緊の課題である。
吉澤文寿|新潟国際情報大学教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1082987.html
韓国語記事入力:2023-03-10 09:31


「The Hankyoreh」 2023-03-13 06:37
■日本大使館100メートル以内の「集会禁止維持」…韓国裁判所、執行停止申立を棄却
 「円滑な業務保障を制限」

【写真】ソウル鍾路区にある旧日本大使館前の平和の少女像/聯合ニュース

 在韓日本大使館近くでの大規模な集会を禁止した警察の処分が不当だとして、市民団体が行った執行停止申立が裁判所で棄却された。
 ソウル行政裁判所行政3部(チェ・スジン裁判長)は12日、革新系の市民団体「ろうそく勝利転換行動」が、警察の屋外集会禁止通告処分を不服として申し立てた執行停止を棄却したと明らかにした。
 同団体は3月11日~4月1日の間、毎週土曜日、5万人が太平路(テピョンロ)から出発し光化門(クァンファムン)と平和の少女像を通り国税庁方向に行進すると申告した。これに対し、警察はこの集会が外交機関の100メートル以内の場所で開かれ、5万人が日本大使館を取り囲んだ場合、「機能侵害」の恐れがあるとして、集会禁止を通告した。また「狭い道にある少女像方面に行進する過程でボトルネック現象にともなう安全事故が発生した場合、交通に深刻な悪影響を及ぼす恐れがある」と理由を説明した。
 警察の決定を不服としたろうそく勝利転換行動は、外交機関の機能や安寧を侵害する恐れがないとし、集会禁止通告の効力停止を裁判所に申し立てた。
 ところが、裁判所は「行進により公館員の出入りおよび円滑な業務の保障が制限される恐れがある」と判断し、同申立てを棄却した。3月16~17日の2日間、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の訪日が予定されており、日本大使館職員たちが土曜日にも関連業務を遂行するものとみられる点などが考慮された。
 また、ろうそく勝利転換行動は日本大使館近隣だけでなく鍾路(チョンノ)と乙支路(ウルチロ)、市庁駅一帯を行進する2回目の集会を申告しており、警察がこれを許可したが、裁判所は「1回目の集会が禁止されたとしても、2回目の集会でデモの目的をかなり達成できると思われる」と判断した。
チョン・ヘミン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1083180.html
韓国語原文入力:2023-03-12 13:33


「The Hankyoreh」 2023-03-11 09:12
■韓国国民の59%が強制動員解決策に「反対」… 尹大統領の「対日外交」試験台に
 「第三者弁済、日本側の謝罪・賠償なし」 
 「関係改善は急ぐ必要ない」も64% 
 尹大統領の支持率、34%に低下 
 首脳会談を控え、政治的負担に

【写真】尹錫悦大統領が10日、慶尚南道昌原市の海軍士官学校で開かれた第77期士官生徒卒業および任官式で祝辞を述べている=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 韓国政府が最近「第三者弁済」による日帝強占期(日本による植民地時代)の強制動員被害問題の解決策を発表したことに対し、韓国国民の10人中6人が反対するという世論調査結果が10日に発表された。 国民的批判世論が高まる中、先手を打って強制動員解決策を発表することで、16日の「韓日首脳会談」につなげ、硬直した韓日関係の改善に乗り出すという尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の対日外交政策が試験台に上がった。
 韓国ギャラップが8~9日、全国の成人1002人を対象に調査した結果(信頼水準95%、標本誤差±3.1ポイント)、韓国の財団が日本の加害企業(三菱重工業・日本製鉄)の賠償金を肩代わりする「第三者弁済案」を政府が示したことに対し、回答者の59%が「日本の謝罪と賠償がないため反対する」と答えた。 一方、「韓日関係と国益のために賛成する」という意見は35%にとどまった。
 「もし日本の加害企業が未来世代を対象に寄付するなら、賠償とみなすか」という質問にも「賠償とはみなせない」という回答(64%)が「賠償とみなす」という回答(27%)の倍以上だった。
 韓日関係の方向についても、回答者の64%は「日本の態度変化がなければ急いで改善する必要はない」と答えた。 これも「韓国が一部譲歩しても、できるだけ早く改善すべき」という意見(31%)より2倍以上高い数値だ。
 政府の強制動員被害者への賠償案に対する国民の否定的世論は、尹大統領の支持率にも影響を及ぼした。 「尹大統領の国政遂行を評価する」という意見は1週間前より2ポイント下がった34%だった。 一方、評価しないという意見は3ポイント上がった58%を記録した。 「評価しない」と答えた回答者は「日本との関係、強制動員賠償問題」(16%)と「外交」(13%)を主な理由に挙げた。
 否定的な世論が高まり、来週の韓日首脳会談のために1泊2日の日程で日本を訪問する尹大統領の政治的負担はさらに大きくなるものとみられる。 尹大統領が今回の訪日期間中に日本政府の歴史問題に対する謝罪表明や日本企業の賠償参加など「誠意ある呼応」を引き出せなかった場合、「先手を打って」強制動員の解決策を発表したことが、かえって逆風となる可能性もある。
 しかし、日本政府と被告企業側がどれほど誠意ある呼応を見せるかは不透明だ。 韓国外交部の高官は同日、ソウル中区のプレスセンターで外信記者団に対し、日帝強制動員被害者支援財団の基金作りと関連して「今すぐ短期間で被告企業の寄与があるとは予想していない」と述べた。 同高官は「ただし、(日本の被告企業が財団に参加するための)扉は開いており、日本政府も民間企業の寄付には反対しない立場を示した」とし、「韓日関係の進展に伴い、開いている扉を通じて寄与できる可能性は閉ざしていないため、長期的な期待と理解していただければと思う」と付け加えた。
 大統領室側でも「未来志向的」な観点からみるべきだという立場を強調している。 大統領室関係者は「(韓日関係の改善は)国益がかかっている問題であり、世論によって決められる問題ではない」とし、「被害者と国民を説得するため、さらなる努力を傾ける」と述べた。
キム・ミナ、シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力::2023-03-11 01:32


「The Hankyoreh」  2023-03-11 10:04
■韓国外交部「日本企業の当面の強制動員財団への寄与は予想していない」

【写真】外交部のチョ・ヒョンドン第1次官が10日、ソウル中区の韓国プレスセンター外信記者クラブで行われた記者懇談会に出席し、発言している/聯合ニュース

 政府による日帝強占期の強制動員被害者に対する賠償の解決策の発表後、日本の被告企業(三菱重工業、日本製鉄)の参加問題をめぐり波紋が広がる中、外交部の高官が日本の被告企業は日帝強制動員被害者支援財団の基金造成に参加しないだろうとの見通しを示した。
 外交部の高官は10日、ソウル中区(チュング)のプレスセンターでのソウル外信記者クラブの記者との懇談会で「財団への参加は今すぐ短期間内に被告企業の寄与があるとは予想していない」と語った。 また「ただし、日本政府も民間企業の寄付には反対しないと表明しているし、韓日関係が進展することで開かれている扉を通じて(今後)寄与する可能性は閉ざしていないので、長期的な期待と理解していただければ良いと思う」と付け加えた。
 この高官は、全国経済人連合会(全経連)と日本の経団連(日本経済団体連合会)が「未来青年基金」(仮称:未来基金)を共同で造成することについては、「両国の経済界で議論されている未来基金には被告企業の参加があるものと予想している」と述べた。 未来基金は全経連と経団連が共同で基金を造成して留学生支援などに使う事業で、強制動員賠償とは関係がない。 しかし、経団連には強制動員賠償訴訟の被告企業である三菱重工業と日本製鉄が会員企業として加盟しているため、一部では未来基金の造成が日本側の「誠意ある呼応措置」のひとつだと主張してる。
 この高官は「今、被害者が政府発表に反対しているという話が出ている」という質問に対しては、「判決金を第三者である財団が支給しても法律的に問題はないという国内の権威ある専門家の助言を受けて解決策を用意しただけに、この問題も法律的訴訟が提起されればそれに合わせて対応していく予定」だと述べた。 財団が代わりに返済する判決金を被害者が受け取らない場合は政府が「対応」するということだが、この当局者が述べる対応とは、支援財団が日本の被告企業から債務を引き受ける供託手続きのことだとみられる。 6日には外交部の高官が「法理的には(被害者が)判決金(賠償金)を最後まで受け取らなければ供託が可能だと認識している」と述べている。 被害者側は財団が供託を強行すれば無効訴訟に打って出るとしているため、財団と被害者とが法廷で争うことになる可能性は高い。
 外交部は、第三者弁済が終われば、被告企業は請求に対する異議を最高裁判所に申し立てるというやり方で強制執行の手続きから脱するだろうと明らかにした。 外交部の高官は「被告企業が裁判所に申し立て、判決金が支給されたのでもはや債務はないと裁判所が請求異議申し立てを認めれば、それをもって日本の被告企業は法律的な意味から解除されると予想している」と語った。
シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1083097.html
韓国語原文入力:2023-03-10 17:52


「The Hankyoreh」 2023-03-11 08:17
■「強制動員に背を向ける日本が恥ずかしい」…521回目の「良心の叫び」

【写真】名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会、三菱前で「金曜行動」
日本の市民団体「名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会」が10日午前11時30分、東京都千代田区の三菱商事前で、521回目の「金曜行動」を行った=東京/キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社

 「強制動員被害者に背を向ける日本がとても恥ずかしいです」。
 10日午前11時30分、東京千代田区の三菱商事前で日本市民団体である「名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会」の521回目の「金曜行動」が行われた。体調が万全ではない中で集会に参加した寺尾光身共同代表(87)は「今が恥ずかしい日本、恥ずかしい企業から抜け出せる最後のチャンス」だとし、「被告企業である三菱重工業と日本製鉄は強制動員被害者に謝罪し賠償しなければならない」と語った。
 韓国政府が6日、2018年の韓国最高裁(大法廷)賠償判決を形骸化させる譲歩案を一方的に発表し、強制動員被害者たちが強く反発している中、日本の良心的市民もこれを支持した。韓国政府は日本の被告企業の代わりに韓国の日帝強制動員被害者支援財団が賠償する「第三者弁済」案を発表した。
 名古屋から上京した「名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会」のメンバー、林安沢さんは拡声器を持って「被害者たちが望むのは被告企業の心からのお詫びと反省だ。これがない限り、韓日関係は絶対に改善できない」と叫んだ。
 「強制動員問題解決と過去清算のための共同行動」の矢野秀喜事務局長も「韓国政府の発表に対し、日本政府は『良し』と言い、被告企業は完全に『傍観者』のように振る舞っている」と批判した。矢野局長は「このようなやり方では強制動員問題を解決できない」とし、「強制動員という歴史的事実と向き合わなければならない。肩にのしかかる歴史的負債を下ろすためにも、謝罪と賠償に乗り出さなければならない」と訴えた。

【写真】日本の市民団体「名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会」が10日午前11時30分、東京都千代田区の三菱商事前で、521回目の「金曜行動」を行った=東京/キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社

 同日の「金曜行動」には、連帯を示すため、東京や神奈川県川崎などからも市民が参加し、11人が集まった。彼らは午後12時から近くの三菱重工業本社前に移動しチラシを配り、「名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊員に支給しなかった賃金を支給し、謝罪と賠償をせよ」などと書かれた横断幕を持って問題解決を求めた。
 「名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会」は1998年、三菱重工業の名古屋航空機製作所で強制動員された被害者の損害賠償訴訟提起を支援するために発足した。日本の高等裁判所での敗訴の後、同会は2007年7月から三菱重工業前で毎週「金曜行動」を始めたが、コロナ禍の中、しばらく中断したこともあった。昨年7月からは第2金曜日だけ「金曜行動」を行っている。同会の関係者は「三菱の関連会社の社長たちは毎月第2金曜日に昼食会を開く。彼らが私たちの要求を認めてくれることを願う気持ちを込めてこの日に金曜行動を行っている」と話した。メンバーはこのために往復720キロを行き来している。
 同会の高橋信共同代表は、強制動員被害者たちと直接連帯するために韓国光州(クァンジュ)を訪れ、9日に記者会見などを行った。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-03-10 21:16


「The Hankyoreh」 2023-03-10 12:15
■岸田首相、訪韓するか…「韓日首脳会談で『シャトル外交』再開合意の予定」
 実現すれば約12年ぶりに復元 
 16~17日、東京での会談を最終調整
 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と岸田文雄首相が16~17日に最終調整されている首脳会談で、互いの国を定期的に行き来する「シャトル外交」の再開に合意する予定だと伝えられた。 最終決定すれば、約12年ぶりの韓日首脳間の「シャトル外交」復元になる。
 読売新聞は複数の政府関係者の話として「来週後半にも東京で開催する岸田首相と尹錫悦大統領との首脳会談で、『シャトル外交』の再開を確認する方向で調整に入った」とし、「シャトル外交の再開で一致すれば、岸田首相も初訪韓に向けて調整に入る」と報じた。
 国際会議に合わせた会談を除き、両国首脳が互いの国を行き来する「シャトル外交」は、2011年12月を最後に途絶えていた。 当時、李明博(イ・ミョンバク)大統領が両国間で領有権紛争のある独島(トクト)を訪問した後、韓日関係が急激に悪化したためだ。
 同紙は「(韓日政府は)元徴用工問題の政治決着から間を置かずにシャトル外交の復活を打ち出し、関係改善の流れを確かなものにしたい考え」だと報道した。 首脳会談では、北朝鮮の核・ミサイル脅威について韓日、韓米日安保協力の強化に合意する見通し。 両国の経済協力と人的交流の拡大も話し合われる。 日本政府は5月に広島で開かれる主要7カ国(G7)首脳会議への尹大統領の招待を検討している。
 2018年の韓国最高裁(大法院)の強制動員被害者賠償判決で派生した韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)問題も決着がつくものとみられる。読売新聞は同日付の記事で、韓国政府関係者の話として「韓国の尹錫悦政権は、GSOMIAの正常化を表明する方針を固めた」と報じた。
 GSOMIAは、2級以下の軍事機密を共有する上でセキュリティをどのように担保するかについての具体的な事項を盛り込んだ協定で、2016年11月に締結された。強制動員被害者賠償判決後、日本が事実上の報復措置として2019年7月に韓国に対する輸出規制を断行したことを受け、韓国政府が対応措置として8月にGSOMIA終了を日本側に通知した。以後、韓国側は国際情勢などの影響でGSOMIA終了通知の効力を停止した。これに伴い、GSOMIAによる軍事情報交換は今もなされているが、「終了通知効力停止」に留まっているなど、協定の法的地位は不安定な状態だ。
 読売新聞は「日韓首脳会談で、両首脳はGSOMIAの重要性を確認する見通しだ。最終的に正常化を発表する時期は、(日本の韓国に対する)輸出管理の厳格化措置解除の進展をみて決定するという」と伝えた。
東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1082829.html
韓国語原文入力:2023-03-10 02:31


「The Hankyoreh」 2023-03-10 07:12
尹大統領、16~17日に訪日し首脳会談…「韓日関係改善の重要な道しるべ」
 尹錫悦(ユン・ソクヨル) 大統領が16日から1泊2日の日程で日本を訪問し、岸田文雄首相と韓日首脳会談を行う。日本企業の参加と謝罪が抜けた強制動員被害者への「セルフ賠償」で韓国での批判世論が収まらない中、対日外交の速度戦に乗り出している。
 大統領室は9日、報道資料を出し「日本政府の招請により尹大統領と夫人のキム・ゴンヒ女史が16~17日、日本を訪問する」と明らかにした。日本政府報道官の松野博一官房長官も定例会見で同じ内容を発表した。
 尹大統領の訪日日程は、6日に韓国政府が強制動員被害者支援財団を通じて強制動員被害者に賠償する「第三者弁済」案を発表してから3日後に確定・発表された。
 大統領室は韓日間の「首脳シャトル外交」が再開されることを強調した。大統領室は「12年間中断されていた韓日両国首脳の交流が再開され、韓日関係の改善と発展に重要な道しるべになるだろう」とし、「今回の訪日を通じて、韓日両国が過去の不幸な歴史を乗り越え、未来に向けて進むために安全保障、経済、社会文化の多岐にわたる協力が広がるとともに、両国国民間の交流が一層活性化することを期待している」と述べた。
 首脳会談の議題としては、日本の半導体材料の輸出規制と輸出管理優待国(旧ホワイト国、現グループA)からの排除措置の解除、韓国の韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)条件付き終了猶予状態の解消などが取りざたされている。首脳会談後には両国の未来志向的な協力基調を示す新たな韓日関係宣言が発表されるものとみられる。尹大統領が訪日した後は、慣例に従って岸田首相の韓国訪問も行われると予想される。
 尹大統領と岸田首相が会談するのは、昨年11月のカンボジアのプノンペンでの会談以来4カ月ぶり。これに先立ち、両首脳は昨年9月、国連総会出席のために訪れた米ニューヨークで会い、約30分間にわたり会話を交わしたが、韓国政府は当時、これを「略式会談」に位置付けた一方、日本政府は「懇談」と称した。韓国大統領が訪日するのは、2019年6月、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席するため大阪を訪れて以来約4年ぶりで、日本で韓日首脳会談が開かれるのは2011年12月の李明博(イ・ミョンバク)大統領と野田佳彦首相の会談以来11年3カ月ぶりのことだ。
 大統領室高官は、今回の尹大統領の訪日を機に両国の企業家間の会合が実現する可能性について「まだ発表する段階に至っていない」としながらも、可能性を残した。訪日期間中、キム・ゴンヒ女史は岸田裕子首相夫人と親交行事を行う予定だと、大統領室は付け加えた。
キム・ミナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1082933.html
韓国語原文入力: 2023-03-10 02:42


「The Hankyoreh」 2023-03-10 07:33
■日本も韓日首脳会談を発表…「日韓関係のさらなる発展を期待」
 麻生副総裁「予定通り進んでいくようにすべき」
 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と日本の岸田文雄首相が16~17日に東京で首脳会談を行うと、日本政府も公式発表した。
 松野博一松官房長官は9日午後の定例記者会見で、「3月16日から17日まで、韓国の尹大統領および同令夫人(キム・ゴンヒ女史)が訪日する予定だ。滞在中、岸田文雄内閣総理大臣は尹大統領と会談し、夕食会を実施する予定だ」と明らかにした。松野長官は「韓国は国際社会における様々な課題への対応に協力すべき重要な隣国」だとしたうえで、「今回の訪日を通じて(1965年)国交正常化以来の友好協力関係に基づき、日韓関係がさらに発展することを期待する」と強調した。松野長官は尹大統領の訪日が「実務訪問」になると伝えた。大統領訪問は形式上、国賓訪問、公式訪問、実務訪問、私的訪問に分けられる。訪日まで期間が短いことから、「実務訪問」に決まったものとみられる。
 松野長官は強制動員被害者問題、シャトル外交の再開、対韓国輸出規制など会談議題と関連した質問に対し、「現状において何ら決まったものはない」と答えた。その一方で「尹政権の発足以降、日韓間では首脳間を含め緊密な意思疎通が行われている」と述べた。
 今回の首脳会談は尹政権が6日、韓日関係での最大争点である強制動員被害者賠償問題と関連し、被告企業の謝罪・賠償のない「第三者弁済」など大きく譲歩する案を発表した後、日本がこれに呼応する形で実現したものだ。日本側は韓国の「譲歩案」が実行に移されるようにすることが重要だと考えている。韓国による譲歩案の発表から3日後に首脳会談を公式化することで、韓日関係改善の流れを確固たるものにする構えだ。麻生太郎自民党副総裁は同日、自身が会長を務める麻生派(志公会)の会合で、「(韓国の譲歩案は)両国関係を健全に戻していくために、非常に大きな一歩だった。事が予定通り進んでいくようにするのが、残された課題だ」と述べた。
 根本匠前厚生労働相は岸田派(宏池会)の会合で「岸田首相が決断力を発揮し立派な成果を出した。歴史的な実績になる」と強調した。
東京/キム・ソヨン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1082926.html
韓国語原文入力:2023-03-10 02:41


「The Hankyoreh」 2023-03-10 08:03
■「白旗投降」直後の韓日首脳会談…日本の「呼応措置」が成否分ける

【写真】尹錫悦大統領と日本の岸田文雄首相が昨年11月、カンボジアのプノンペンで開かれた韓日首脳会談で記念撮影をしている=プノンペン/聯合ニュース

 大統領室は9日、16~17日の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の訪日と韓日首脳会談の日程を発表し、「韓日関係の改善と発展の重要な道しるべになるだろう」と明らかにした。2018年の韓国最高裁(大法院)による日帝強占期(日本による植民地時代)の強制動員被害者への補償の確定判決以降、日本側の激しい対応のもとで最悪となった両国関係の復元に期待感を示した。政府が6日に強制動員被害者に対する「第三者弁済」案を発表し、その10日後に開かれる今回の首脳会談は、日本側がどれほどの誠意ある「呼応措置」を打ちだせるかによって成否が分かれることになる。
 尹大統領の訪日は1泊2日だが、17日にはドイツのオラフ・ショルツ首相が訪日するため、尹大統領と岸田文雄首相との日程は16日に集中する見込みだ。
 尹大統領の訪日による首脳会談で「国交正常化以来最悪」になった韓日関係は、ひとまず復元の手順に入るものとみられる。大統領室関係者は「今回の訪問によって、12年間中断された韓国と日本の2国間の正常な交流が再開される」と述べた。韓国と日本の首脳が相手側の国を相互訪問する「シャトル外交」は、2011年12月を最後に中断した状態だ。読売新聞も複数の日本政府当局者の話を引用し、「岸田首相と尹錫悦大統領との首脳会談で、両国首脳が互いの国を定期的に行き来する『シャトル外交』の再開を確認する方向で調整に入った」とし「シャトル外交の再開で一致すれば、岸田首相も初訪韓に向けて調整に入る」と報じた。 
 今回の韓日首脳会談は、今後予想される「4月のワシントンでの韓米首脳会談」と「5月の広島での主要7カ国首脳会議(G7サミット)を機に行なわれる韓米日首脳会議」へとつながる3国協力強化に向けた首脳外交の始まりだ。尹大統領は、強制動員に対する日本側の主張をそのまま受け入れてまで韓日関係復元を急ぐ理由として、北朝鮮の核の脅威と世界的な複合危機を挙げている。
 韓日首脳会談でも、北朝鮮の核・ミサイルと中国の脅威への対応のための韓日、韓米日の協力拡大案が集中議論されるものとみられる。そのような流れから、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の正常化に対する合意がなされる見通しだ。2級以下の軍事機密の共有に関する協定であるGSOMIAは、韓国最高裁の強制動員被害者への賠償判決(2018年10~11月)に対する日本の半導体材料の輸出規制による報復(2019年7月)、それに対する韓国のGSOMIA終了通知(2019年8月)を経て、現在は「終了通知の効力停止」という曖昧な状態が維持されている。日本が韓国に課した半導体材料の輸出規制と輸出管理優遇国(ホワイト国、現在はグループA)排除措置の解除問題も、今回あわせて議論されるものとみられる。
 会談後、両首脳が共同声明を出すかどうかも関心の的だ。これに先立ち、パク・チン外交部長官は6日、強制動員被害賠償の「譲歩案」を発表し、「コップに水が半分以上満たされたと考える。今後の日本の誠意ある呼応によって、コップがさらに満たされると期待する」と述べたことがある。さらに、「過去の(謝罪の)談話を継承する」という程度の態度を維持している岸田首相がどのような態度を示すかが、今回の首脳会談の成否を分けるものとみられる。
 キム・ジュンヒョン元国立外交院長は「国内の抵抗を押し切って強制動員問題で合意したからには、効果をいい形で見せなければならず、その場合は良く見せるために『復旧』『回復』『連結』などをキーワードにした話を出すと思われる」としたうえで、「日本は否定するだろうが、それらを強制動員に対する日本の呼応措置だと韓国側は主張するだろう」と見通した。
チョン・インファン記者、シン・ヒョンチョル記者、東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ (お問い合わせ japan@hani.co.kr ) )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1082963.html
韓国語原文入力:2023-03-10 02:43


「東亞日報」 March. 11, 2023 08:10
■在日経済人ら「徴用工財団に寄付」
 在日韓国人らが10日、経済人を中心に政府の元徴用工賠償問題の解決を歓迎し、政府傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」の活動に寄与する意向を明らかにした。日本の被告企業(三菱重工業と日本製鐵)の賠償金を肩代わりする財団に「在日」レベルで財団基金に参加すると明らかにしたのは初めて。彼らは17日の韓日首脳会談後、東京で寄付の意向を発表する計画だ。
 在日2世である金田ホールディングスの金徳吉(キム・ドクギル)会長は10日、東亜(トンア)日報の電話取材に対して、「新大久保(東京都内のコリアタウン)で事業する在日韓国人らが、『韓日関係の改善に向けて、私たちも寄付して行動すべきではないか』と意気投合した」と話した。在日本大韓民国民団(民団)の集計によると、11、12人が参加の意思を明らかにしており、17日の公式発表後、その規模はさらに増えるものと見込まれる。
 金氏は、「両国の関係が良くなれば恩恵を受けることになる。賠償問題に貢献するのは当然だ」と話した。さらに、「韓国内の一部の世論が良くないことに驚いた」とし、「当初27日頃に発表しようとしたが、韓日関係の改善に貢献しなければならないと考え、日程を早めた」と語った。
 外交部当局者は同日、外国人記者クラブの記者会見で、「両国の経済界で議論されている韓日の財界による『未来基金』(仮称)に日本の被告企業が参加すると予想している」と明らかにした。また、「財団への被告企業の参加は短期間内には予想していないが、韓日関係が進展することで貢献する可能性を閉じてはいない」と述べた。
      申나리 journari@donga.com


「中央日報日本語版」 2023.03.10 15:58
■「日本被告企業、徴用賠償に寄与しないようだ」…「現金化命令」は訴訟で防ぐ

【写真】三菱重工業朝鮮女子勤労挺身隊被害者の梁錦徳(ヤン・クムドク)さん(左から3人目)と「名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会」関係者が2020年1月17日、東京丸の内にある三菱重工業本社に要請書を伝達した後、外に出てきた様子。ユン・ソルヨン特派員。

 趙賢東(チョ・ヒョンドン)外交部第1次官が10日、韓国政府の徴用問題解決策である第三者弁済案について「長いあいだ無関心の中で埋もれていた高齢被害者と遺族の痛みを政府が責任感を持って積極的に抱えていくという意志の表明」と述べた。趙次官はこの日、ソウル中区(チュング)プレスセンターで行った会見で「(解決策の)不十分な点に対する指摘に留意しながら、解決策の履行過程で被害者と遺族の意見にさらに耳を傾けていく」とし、このように明らかにした。
 6日の政府の徴用問題解決策発表以降、「余震」が続いている。梁錦徳(ヤン・クムドク)さんら一部の被害者と野党は今回の解決策を日本側に免罪符を与えた解決策だと批判した。国民の6割は解決策の核心内容に反対するという世論調査の結果もあった。韓国ギャラップが8、9日、1002人を対象にアンケート調査をした結果、回答者の59%は政府が発表した徴用解決策について「日本の謝罪と賠償がなく、反対する」と答えた。
 政府は第三者の日帝強制動員被害者支援財団が日本被告企業(三菱重工業・日本製鉄)の代わりに強制徴用被害者に賠償金を支払うための財源を「韓日企業の自発的寄与」を通じて確保すると明らかにした。しかし2018年の大法院(最高裁)判決に基づき損害賠償金を支払う義務がある日本被告企業は第三者弁済過程に一切参加しないと予想される。外交部当局者はこの日、「開かれた門を通って(被告企業が)寄与する可能性は閉じていない」としながらも「短期間内に被告企業の寄与があるとは予想していない」と話した。


「The Hankyoreh」 2023-03-09 06:58
■[社説]被害者を障害物扱いしてどうやって「世界平和」を実現するのか

【写真】第1586回日本軍性奴隷制問題解決のための定期水曜デモが8日午後、ソウル鍾路区の旧駐韓日本大使館近隣で開かれ、参加者たちが「慰安婦」被害者たちの名誉と人権回復、「強制動員セルフ賠償」の撤回などを求めている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 8日、ソウル鍾路区(チョンノグ)の旧日本大使館前で、「第1586回日本軍性奴隷制問題解決のための定期水曜デモ」が開かれた。同日の集会は6日、外交部が発表した日帝強占期(日本による植民地時代)の強制動員被害者賠償案を糾弾するものになった。被害者に同意も求めずに一方的に「第三者弁済」方式を強要するのは明白な「二次加害」だ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は今からでも日本側の謝罪と賠償を引き出すための方策を講じなければならない。
 同日の集会に参加した人たちは「被害者の人権と尊厳を無視した屈辱的な強制動員『解決策』を直ちに撤回せよ」と求めた。7日、国会本庁前で開かれた「緊急時局宣言」で、強制動員被害生存者のヤン・クムドクさんとキム・ソンジュさんも賠償案を撤回せよと声を高めた。ヤン・クムドクさんは「今回のように悔しいのは初めて」だとし、「あんな汚いお金は飢え死にしても受け取らない」と語った。30年以上にわたり法的闘争をしてきた94歳の2人のお年寄りの叫びは、彼らが尹錫悦政権の賠償案で測り切れないほど大きく、また深い侮辱感を味わっていることを示している。
 同日、尹大統領は賠償案について「これまで政府が被害者の立場を尊重しながら韓日両国の共同利益と未来の発展に合致する案を模索してきた結果」だと述べた。この発言は尹大統領が強制動員被害者をどのように認識しているのを如実に表している。日本側の「謝罪」と「賠償」への参加さえない第三者弁済方式を被害者の立場尊重と主張するのは、被害者の闘いをほかでもなくお金の要求だみなしたという意味だ。また、被害者を自分の外交戦略の前に置かれた障害物と捉えていると言っても過言ではない。
 尹大統領は「韓日間の未来志向的協力は、韓日両国はもちろん、世界全体の自由、平和、繁栄を守ってくれるだろう」とも述べた。たとえ尹大統領が掲げた大義名分を認めるとしても、帝国主義における暴力の被害者の人権と尊厳はもちろん、被害事実まで無視して、どうやって「自由、平和、繁栄」を守るというのか。国家人権委員会が7日、声明を発表し「日本企業と政府が不法行為を認め被害者と家族に謝罪するのは、韓日両国の未来指向的な協力関係の設定のために必ず必要なこと」だと強調したのもそのためだ。
 2015年の慰安婦「解決策」と2023年の強制動員「解決策」は、被害者中心主義を捨て被害者に二次加害をしたという点で、根本的に同じだ。被害者を消して未来に進むことができないことを、私たちは再びどれほど高い授業料を払って学ばなければならないのか。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1082748.html
韓国語原文入力:2023-03-09 02:40
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「大牟田市の徴用慰霊碑」

2023年03月16日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「中央日報日本語版」 2023.03.03 10:03
■【グローバルアイ】大牟田市の徴用慰霊碑

【写真】先月21日、福岡県大牟田市甘木公園にある徴用犠牲者慰霊碑を訪れた尹徳敏(ユン・ドクミン)駐日韓国大使 [写真 在日韓国大使館]

 「私は韓国語があまりできない…日本語を話せますか」。受話器の向こう側から澄んだ声が聞こえた。在日本大韓民国民団福岡県大牟田支部の禹判根(ウ・パングン)支団長(85)だ。日本で在日と呼ばれる在日同胞であり、4歳の時に巨済島(コジェド)から家族と共に日本に渡った。高校3年の時、就職戦線に飛び込んだ。面接も順調に終えて就職が決まるだろうと思っていたが、結果は不採用。朝鮮人だったからだ。涙があふれた。不採用を知らせた彼を日本人の担任先生が抱きしめた。「負けるな。こういうことに絶対に負けてはいけない」。
 20代前半のある日、ある酒場で会った高齢者が彼の人生を変えた。一人で酒を飲んでいた高齢の男性が涙を流した。共に炭鉱に連れられてきた同僚が死んで一人で生き残ったということだった。帰宅してからも忘れられなかった。徴用工の遺骨はどこにあるのか。この人たちはどこから来たのか。気になることが多かった。50代になって民団幹部になると、慰霊碑を建立しようという目標を立てた。炭鉱会社の名簿を調べ、当時の韓国「村役場」に連絡して犠牲者の足跡を追った。約10年間にわたる調査を終え、徴用労働者が働いた会社3社と交渉を始めた。
 不可能だと思っていたことが奇跡のように進み始めた。慰霊碑は徴用労働者の多数の故郷である京畿道驪州(ヨジュ)が作って送ることにした。慰霊碑の敷地は大牟田市が無償で提供することになった。三井石炭鉱業、三井東圧化学、電気化学工業の3社が建設費を出すことにした。
 1995年、大牟田市甘木公園の慰霊碑はこのように建てられた。慰霊碑には「第二次世界大戦時下、この地に徴用され、労苦の果て亡くなられた方々の御霊に対し、深甚なる哀悼の意を表する」と書かれている。追悼式も毎年開き始めたが、市長、地域議員、企業関係者が毎回出席している。禹判根氏は「韓日関係がいくら悪化しても追悼式を欠かすことは一度もない」と語った。最近ここを訪問した尹徳敏(ユン・ドクミン)駐日韓国大使が「真の和解の象徴」と述べた理由はここにある。
 「日本はパートナー」という三一節(独立運動記念日)の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の発言が日本で注目を受けている。松野博一官房長官はこの発言を「よく知っている」とし「韓国は重要な隣国」という言葉を繰り返したが、一部のメディアは強制徴用賠償問題に対して「日本首相が指導力を発揮すべき」という社説まで掲載した。人口10万6000人の大牟田市が28年間続けているこの和解を日本政府ができないことはないはずだ。
     キム・ヒョンイェ/東京特派員
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