「The Hankyoreh」 2023-03-28 09:48
■韓国水産業界、福島原発汚染水放出に「言えない悩み」…その理由は?
【写真】日本の福島原発汚染水のタンク/聯合ニュース
日本政府の福島原発汚染水の海洋放出が秒読みに入り、韓国の水産業界の懸念が高まっている。太平洋沿岸国である米国と国際原子力機関(IAEA)も日本政府の方針をかばう状況で、韓日関係改善に必死な韓国政府まで緩い態度を取っているためだ。
27日の本紙の取材を総合すると、済州島(チェジュド)や南海(ナムヘ)など日本と接する水域の漁業者たちは、汚染水放出反対集会を計画するなど強く反対している。済州島の水産業界は「汚染水放出で済州の水産業界が被ることになる被害額は4483億ウォンと推定される」とし「これは済州地域の水産物の生産額9121億ウォンの49.4%にもなる規模」だと明らかにした。韓国の養殖業売上額の60%以上を占める南海岸の漁業者も9日、糾弾集会を開き、韓国政府の強い対応を求めた。
現地の漁業者の反発にもかかわらず、韓国の代表的な水産団体は意外にも静かだ。日本政府を糾弾し、政府の強い対応を求めた昨年とは全く違う雰囲気だ。韓日関係改善を最優先の外交目標に設定した政府が、汚染水放出に対しても一歩引いた態度を示しているからだ。韓国水産業経営人中央連合会のキム・ソンホ会長は、最近の本紙の電話取材で「すでに日本がこれを承認して放出を防ぐことができない状況に至り、海流上の汚染水が一番最初に到着する米国などでも反対する動きがないため、私たちが先に積極的に乗り出すのは難しい」と話した。
水協中央会のイム・ジュンテク前元会長も「(最近の水産団体長らとの懇談会で)汚染水を放出したら、我々が先制的に放射能検査を実施し、水産物の安全性を広報しなければならないという話だけが交わされた」とし「汚染水放出が水産物の安全には大きな問題を起こさないというので、ひとまず見守るべきではないかという雰囲気だ」と伝えた。イム前会長は今月24日に水協中央会長の任期を終えた。韓国水産貿易協会のペ・ギイル会長も先月24日の定期総会で「水産団体が汚染水放出に強く反対すれば、それがブーメランになって返ってくる。汚染水問題については専門家が話すべきであり、(我々が先に乗り出せば)韓国の水産物消費が減る」と述べ、言及を控えた方がいいという意見を明らかにした。
主な水産団体の反応の変化に、現場の水産業従事者たちは不満を吐露する。仁川地域のある韓国水産産業総連合会の会員は「昨年12月の臨時総会で2023年事業計画に『福島原発汚染水放出阻止』を明文化した」とし、「突然、今になって尻尾を下げる理由が理解できない」と強く不服を唱えた。実際、同協会は汚染水海洋放出阻止活動と関連して2千万ウォンの予算を立てた。仁川地域の他の会員たちも「水産団体の役員たちが突然、日本政府の論理に歩調を合わせはじめている。この調子では、今後の被害をそのまま韓国国民が被ることになるだろう」と警告した。
日本政府は、今年6月までに福島の事故原発の敷地に保管中の汚染水を海岸に運ぶ配管工事を終えた後、汚染水を海に捨てる計画だ。韓国海洋科学技術院と韓国原子力研究院が先月発表したシミュレーション結果によれば、福島原発汚染水は放出後3~4年たって韓国海域に到達することになる。
イ・スンウク、イ・ジョンハ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/area/capital/1085428.html
韓国語原文入力:2023-03-28 09:00
「中央日報日本語版」 2023.03.24 11:37
■日本原発汚染水の放流が間近に···韓国、放射能検査の拡大など安全性確保を強化
【写真】海洋環境公団が釜山沖に位置する定点で海洋放射能調査試料を採取している。[写真 海洋水産部]
韓国慶尚南道(キョンサンナムド)は24日、海洋港湾課に水産物安全担当を新設するなど、水産物安全性の確保と体系的な対応に集中すると発表した。
道は水産物安全管理センターに放射能分析装備を既存の1台から4台に拡大し、専門人材も1人から3人に増やした。
生産段階の水産物放射能検査量を年間300件から1000件に拡大し、その結果を道庁ホームページに掲載している。
日本の原発汚染水放流に対する国民的懸念が大きいだけに、海洋水産部と原子力安全委員会に道内海域の海洋放射性物質の定点調査の追加を申し立て、従来の5カ所から8カ所に拡大した。
出荷段階でも放射能検査を強化するため、今年初めて水協の委託販売先10カ所に携帯用放射能測定装備を支援する。
韓日海峡沿岸に位置する5市道〔慶南(キョンナム)・釜山(プサン)・蔚山(ウルサン)・全南(チョンナム)・済州(チェジュ)〕は実務協議会を設け、原発汚染水の放流に共同で対応している。今後、きめ細かい放射能監視網を構築するために海洋放射性物質の定点調査2カ所の追加と委託販売場・共販場の放射能検査装備支援事業の拡大を海洋水産部に申し立てる計画だ。
年中常時原産地表示地図の取り締まりで輸入水産物の流通管理を強化し、特に日本産水産物の特別点検を年4回に拡大する。
慶南道のソン・フンテク海洋港湾課長は「細かい放射能監視体系を構築し、水産物の食べ物に対する安全を確保し、放流に備えた水産物消費活性化、漁民被害対策も検討する計画」と話した。
「The Hankyoreh」 2023-03-22 10:22
■福島原発の汚染水放出前からトラブル…測定用タンクに別の水が8トン流入
重要な作業で問題生じたが
東電「放出時期への影響はない」
【写真】福島第一原発の敷地に放射性物質汚染水を入れたタンクが並んでいる/AP・聯合ニュース
日本が東京電力福島第一原発の汚染水の海洋放出のために主要な設備の稼動を始めた中、最初から問題が発生した。汚染水の汚染程度を測定するために保管していた水に他の水が混ざってしまったという。
同原発を運営する東京電力は、放射性物質汚染水の浄化濃度を確認するために(多核種除去設備(ALPS)で処理した)汚染水を入れておいたタンクに別のタンクの水が流入したことを発表したと、朝日新聞など日本メディアが21日付で報じた。東京電力は福島原発敷地内のタンクに保管している汚染水の放射性物質濃度を法的基準値以下に下げた後、今夏から30年かけて海に放出する予定だ。これに先立ち、汚染水に放射性物質がどれだけ残っているかを測定している。放出を進める上で最も重要な作業だ。
東電は汚染水タンクを10基ずつ、受け入れ・測定・放出の3つの群に分けて汚染水放出作業を進める計画だ。ところが、この過程で測定群ではないタンクから水が8トンほど流出したことが発見された。測定対象ではないタンクの汚染水が測定用のタンクに流入したのだ。タンクをつなぐ配管の電動弁が完全に閉まっていなかったことが原因とみられる。東電は朝日新聞に「その時に放出しようとする水だけを(放射性物質の汚染濃度を)分析することが大事で、混ざってしまうのは問題なので運用面の見直しを検討する。放出時期への影響はないと考えている」と述べた。
日本政府は、福島原発敷地内にあるタンクに保管している汚染水を海の近くまで運ぶ配管工事などを6月までに終える予定だ。この作業が終われば海への放出が始まる。
岸田文雄首相は16日の韓日首脳会談で、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対し、福島原発汚染水の放出に協力してほしいと述べたことが確認された。ある与党関係者は本紙に対し、「岸田首相が韓日首脳会談で尹大統領に『処理水放出施設の工事が終わったら(放出に)協力してほしい』と話した」とし、「尹大統領は『汚染水排出は国際規定を守らなければならず、これを確認する過程で韓国の専門家や機関が参加しなければならない』という趣旨で答えた」と伝えた。
チョ・ギウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1084607.html
韓国語原文入力:2023-03-22 09:28
「The Hankyoreh」 2023-03-21 08:04
■岸田首相、韓日首脳会談で福島原発汚染水放出への協力を要請
韓国与党関係者、岸田首相の発言伝え
「尹大統領、『国際規定を守るべき』との趣旨で答えた」
岸田文雄首相が16日の韓日首脳会談で、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に福島原発汚染水の放出に対する協力を要請したことが、20日に確認された。
ある韓国与党の関係者は同日、本紙の取材に対し「岸田首相が韓日首脳会談で尹大統領に『福島原発汚染水の放出施設の工事がまだ終わっていない。施設工事が終われば(汚染水の放出に)協力してほしい』と述べた」とし、これを受け「尹大統領は『汚染水の排出は国際規定を守らなければならず、これを確認する過程で韓国の専門家や機関の参加が必要だ』という趣旨で答えた」と伝えた。このような内容は19日の「国民の力」指導部にも共有されたという。
尹大統領は17日、菅義偉前首相が福島第一原発汚染水の海洋放出について韓国の理解を求める発言をした際も同様の趣旨で答えた。
大統領室は、韓日首脳会談で福島原発汚染水の放出が首脳会談の議題になったかどうかについては言葉を濁した。国家安保室のキム・テヒョ第1次長は18日、「YTN」に出演し、福島原発汚染水関連の話が交わされたかという質問に「首脳会談の対話は公開できない」と答えた。
ソ・ヨンジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1084401.html
国語原文入力:2023-03-2022:18
「聯合ニュース」 2023.02.28 17:38
■福島汚染水の海洋放出 韓国・釜山市がTF設置
【釜山聯合ニュース】韓国で東京電力福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出計画に対する懸念が高まっている中、南部の釜山市は28日、安炳ユン(アン・ビョンユン)副市長を団長とするタスクフォース(TF、特別チーム)を設置すると発表した。
【写真】ソウル中心部の光化門で、環境団体が日本政府に汚染水海洋放出計画の撤回を求めてパフォーマンスを行った=28日、ソウル(聯合ニュース)
海水や水産物に含まれる放射性物質を監視・分析する放射能評価班など4班、13課で構成されるTFは、汚染水の放出前には毎月1回、放出後には毎週1回会議を開いて対策を議論する計画だ。
状況が深刻な場合は朴亨埈(パク・ヒョンジュン)市長を本部長とする対策本部に格上げして全面的な対応に乗り出す。
また、釜山市は海水の放射性物質無人監視網と食品の放射性物質分析装置の設置費として5億7000万ウォン(約5860万円)を確保し、検査情報を同市のホームページやSNS(交流サイト)で公開する計画だ。
釜山市傘下の研究機関、釜山研究院が1月25日から2月3日まで市民1840人を対象に行ったアンケート調査の結果、回答者の87%が汚染水の海洋放出を危険と考えていると答えた。また、回答者の過半数が水産食品や海洋観光に影響を及ぼす可能性があると回答した。
「聯合ニュース」 2023.02.28 16:23
■福島原発汚染水の分析結果 3月中にIAEAへ提出=韓国の検証参加機関
【大田聯合ニュース】東京電力福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出を巡り、汚染水の放射性物質の検証に加わっている韓国原子力安全技術院は28日、最初の分析結果を3月中に国際原子力機関(IAEA)に提出する予定だと発表した。同院は昨年10月、米国、フランス、スイスなどとともに日本側から多核種除去設備(ALPS)で放射性物質を取り除いた処理済み汚染水を受け取り、分析を進めてきた。
【写真】東京電力福島第1原子力発電所に設置されているポンプ(資料写真)=(聯合ニュース)
福島第1原発では敷地に流入する地下水や雨水などにより汚染水が発生しており、東京電力はこれをALPSで処理した上で敷地内タンクに保管している。日本政府が2021年に汚染水の海洋放出方針を発表すると、IAEAは他国と共にタンク内の汚染水の放射性物質成分を検証することを決めた。
IAEAは昨年3月、10月に検証参加機関の立ち会いの下で汚染水を採取し、分析を依頼した。昨年3月に採取した汚染水の検証には全ての機関が参加し、10月採取の汚染水の検証には韓国のみが第三者機関として参加する。
IAEAは機関ごとの分析結果をまとめた最終結果を公表する予定だが、公開日は未定。このため、日本の海洋放出開始が今年の春から夏ごろという当初の計画よりも遅くなる可能性も指摘されている。
原子力安全技術院の関係者は27日に開いたメディア向け説明会で、同院が加わっている検証は日本の分析結果が正しいのか間違っているのかを見極めるものだとし、IAEAの検証の進行ペースが計画よりも大幅に遅れていると伝
「中央日報日本語版」 2023.02.24 15:22
■原発汚染水放出、G7の承認を得ようとする日本…中国メディア「隣国に被害」
日本政府が福島第1原発の放射能汚染水を海に放出する案に関連し、主要7カ国(G7)の承認を得ようとしている。これに関連し中国国営グローバルタイムズは23日(現地時間)、自国の立場を代弁する専門家を引用し、環境と人間の健康に取り返しのつかない被害になると反発した。
共同通信など日本メディアによると、今年のG7議長国の日本は広島で開催されるG7の共同声明に、汚染水放出のための「透明性のあるプロセスを歓迎する」という表現を盛り込もうとしている。先月、日本政府と東京電力は今年の春または夏に汚染水の放出を始める計画を発表し、海底トンネルなど放出に必要な施設を設置する工事が進行中だ。
中国黒竜江省社会科学院北東アジア研究所のダ志剛研究員はグローバルタイムズのインタビューで「ウクライナ事態と朝鮮半島の緊張状況に対応し、日本は西側国家を(汚染水放出)計画に動員しようとしている」と主張した。
米国はすでに日本の汚染水放出計画を支持する意思を明らかにした。米国務省が声明を出し、「日本は世界的に通用する原子力安全基準に基づきプロセスを採択したとみられる」という意見を出した。
韓国政府は日本の汚染水が国際法と国際基準を満たす方式で処理されるよう持続的に検証するという立場を明らかにした。
福島汚染水の放出に関連して14日に開かれた国連安全保障理事会の会議では中国とロシアの代表が懸念を表明した。中国の張軍国連大使は「日本が原発汚染水を海に放出すれば、地球の海洋環境と生態系、すべての国の国民の生命と健康を深刻に脅かす」とし「日本政府は汚染水放出プログラムを強制的に承認させることに血眼になっている。そのような行動は極めて無責任だ」と非難した。
「中央日報日本語版」 2023.02.23 08:02
■韓国政府「福島原発汚染水の海洋放出、国民の安全ために引き続き検証する」
日本原子力規制委員会(NRA)が福島原発汚染水の海洋放出に関連し、測定対象を従来の64核種から30核種に減らす内容の修正案を承認したことに関連し、韓国政府は22日、「国民の健康と安全を最優先的な原則として、汚染水が科学的・客観的に安全かつ国際法・国際基準に符合する方式で処分されるように持続的に検証していく」と述べた。
この日韓国政府は、東京電力が昨年11月と今年2月に提出した「東京電力福島第一原子力発電所実施計画変更認可申請(ALPS処理水の海洋放出時の運用等)に係る審査書案」をNRAが受理したという事実を確認したと明らかにした。
韓国政府によると、昨年2月に国際原子力機関(IAEA)モニタリングTF(タスクフォース)は東京電力が予測中心に選ばれた64核種を実際に測定した結果などを反映して実測基盤で再選定する必要があると指摘し、東京電力はこれを反映して測定対象核種を従来の64核種から30核種に再選定した実施計画変更認可を申請し、NRAはこれを受理した。
NRAは修正案に対して核種選定方式の妥当性を確認し、これに基づく放射線影響評価の結果、汚染水の海洋放出がヒトや環境に及ぼす影響が十分に小さいということを確認したと政府側は説明した。
IAEAモニタリングTFは昨年11月の第3次訪日調査の際、東京電力の測定核種再選定などの修正事項に対して日本側と詳細に議論した。TFは現在、修正事項に対する適切性などを検討している。
韓国政府は東京電力が昨年11月に実施計画変更案を日本NRAに提出してから、核種再選定の根拠など関連の技術的な質問を日本側に事前に提示し、昨年12月に開かれた汚染水に関連する韓日局長級テレビ会議を通じて、日本側と技術的な事案について詳細に議論したことがあると明らかにした。
あわせて「引き続き関係の専門機関で検証していく計画」と付け加えた。
また「変更審査書案を含め、東京電力の実施計画などに対する科学的・技術的検討を積極的に進め、IAEAの汚染水分析などの検証結果と多核種除去設備(ALPS)など日本側の海洋放出施設の性能などを総合的に確認・評価していく考え」とした。
続けて「汚染水海洋放出の強行に備えて、韓国遠近海域の放射能調査ポイントの拡大、韓国水産物放射能検査および原産地取締強化、日本産水産物輸入規制の持続および日本船舶に対するバラスト水の管理など、我々の海と水産物の安全に対する管理・統制システムを徹底的に運営していく考え」と強調した。
「The Hankyoreh」 2023-02-23 07:43
■日本、福島原発汚染水の測定核種を64個から30個に大幅削減
22日、日本の原子力規制委員会で変更案が認可
韓国政府「汚染水が国際基準に合わせて処理されるか検証」
【写真】福島第1原発の内部にある原子炉建屋の外部の様子。銃弾に当たったようにあちこち破損している=福島共同取材団//ハンギョレ新聞社
日本の東京電力が海洋放出を試みている福島原発の汚染水の測定と評価の対象核種が、従来の64個から30個に大幅に縮小された。韓国政府は汚染水が国際基準に合わせて処理されるかどうかを検証するという立場を明らかにしたが、環境団体などは日本が提供した資料をそのまま受け入れてはならないとして、懸念を示した。
国務調整室、原子力安全委員会、科学技術情報通信部、海洋水産部、食品医薬品安全処は22日、報道参考資料を通じて、日本の原子力規制委員会(NRA)がこの日、昨年11月と今年2月に東京電力が提出した「福島第一原子力発電所特定原子力施設に係る実施計画変更認可申請書」の一部補正を認可した事実を確認したことを明らかにした。
国務調整室などは、日本の原子力規制委員会が今回の一部補正を認可しつつ「東京電力が測定対象とする放射性核種を従来の64個から30個に再選定したことについて、核種の選定方法の妥当性を確認し、それに基づく放射線の影響評価の結果、汚染水の海洋放出が人間と環境に及ぼす影響は十分に小さいことを確認したと明らかにした」と伝えた。
韓国政府はこれについて、東京電力が昨年11月に提出した実施計画の修正案に関する技術的な質問を事前に提示し、昨年12月に開催された汚染水関連の韓日局長級テレビ会議で、韓国側の専門家が日本側と技術的な事案について詳細に議論したとし、「今後も韓国国民の健康と安全を最優先とする原則にしたがい、汚染水が科学的かつ客観的に安全であり、国際法と国際基準に合致する方式によって処分されるよう、検証を継続していく」と明らかにした。
だが、環境団体側は、日本による福島原発の汚染水の測定と評価対象の核種再選定の基準に疑問を呈している。日本が半減期の短い放射性核種を測定対象から除外することについて、太平洋諸島フォーラム(PIF)の科学者パネルであるフェレン・ダルノキ・ベレス米国ミドルベリー国際大学院教授は「日本が半減期の短い同位元素を管理から除外し、寿命の長い同位元素だけをモニタリングするのであれば、問題がある場合もすべてを正常と仮定することが可能になる」とし、「その場合、福島でどのようなことが起きているのか知ることができる『窓』をなくすことになるだろう」と懸念した。
環境運動連合の市民放射能監視センターの活動家であるチェ・ギョンスク氏はさらに、「福島原発汚染水には、これまで測定されていた64種以外の多くの放射性核種が含まれているが、日本はそのような放射性物質がどの程度あるのかについても明らかにしないまま、不十分な調査をもとに測定項目数を減らした」とし、「韓国政府が、日本の提供した信頼しがたい資料をそのまま受け入れ、いかなる外交的努力もまったく行わなくなっていることは問題」だと述べた。
ソ・ヨンジ記者、キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1080835.html
韓国語原文入力:2023-02-23 02:48
「聯合ニュース」 2023.02.22 21:03
■韓国政府「検証続ける」 汚染水海洋放出計画の一部補正認可で
【ソウル聯合ニュース】東京電力福島第1原発の処理済み汚染水海洋放出計画を巡り、日本の原子力規制委員会が同計画の一部補正を認可したことについて、韓国政府は22日、「国民の健康と安全を最優先原則とし、汚染水が科学的・客観的に安全であり、国際法・国際基準に合った方式で処分されるよう検証を続けていく」と発表した。
【写真】東京電力福島第1原子力発電所に設置されているポンプ(資料写真)=(聯合ニュース)
また、東京電力の放出計画に対する科学的、技術的検討を積極的に進めるとし、「国際原子力機関(IAEA)の汚染水分析などの検証結果や多核種除去設備(ALPS)など日本側の設備の性能も総合的に確認する」と強調した。
汚染水の安全性を検証しているIAEAの調査団は昨年2月の1回目の訪日で、東京電力が選定した64種類の測定対象の核種を推計値ではなく実測値にするよう要請。これを受け、東京電力は測定対象の核種を31種類に再選定する修正案をまとめて原子力規制委員会に認可を申請し、このほど認可された。
韓国政府は東京電力が測定対象の核種を減らした根拠などについて日本側に問い合わせていた。昨年12月に開催された局長級によるテレビ会議でも、日本側と技術的内容について協議した。
「聯合ニュース」 2023.02.16 13:51
■福島汚染水の海洋放出 放射性物質濃度は10年で「10万分の1」上昇=韓国学会
【済州聯合ニュース】日本政府が早ければ今春からと見込む東京電力福島第1原子力発電所の処理済み汚染水の海洋放出を巡り、韓国海洋科学技術院と韓国原子力研究院は16日、放出されれば韓国海域における放射性物質トリチウムの濃度は従来の約10万分の1高くなるとの研究結果を発表した。
両院の研究者が済州島で開催された韓国防災学会の学術大会で発表したシミュレーション結果によると、日本が10年間にわたり年間最大22テラベクレル(テラは1兆)のトリチウムが含まれた処理済み汚染水を放出すると仮定した場合、福島沖に放出されたトリチウムは10年後に北太平洋全体に拡散し、韓国海域に流れ込むトリチウムの濃度は10年後には1立方メートル当たり約0.001ベクレル前後になる。
これは現在の韓国海域の平均トリチウム濃度である1立方メートル当たり172ベクレルの10万分の1の水準だ。
研究陣によると、現在の分析機器では検出できない程度の濃度だという。
「中央日報日本語版」 2023.02.16 14:14
■「日本汚染水10年放出時、韓国海域のトリチウム『10万分の1』増す」
日本が来月から10年かけて福島原発汚染水を放流する場合、韓国海域の放射性核種であるトリチウム(三重水素)の濃度は従来の10万分の1程度高まるという研究結果が出た。
韓国海洋科学技術院(KIOST)と韓国原子力研究院(KAERI)の研究陣は16日、済州(チェジュ)ラマダホテルで開かれた韓国防災学会学術発表大会でこのような内容をまとめた「福島汚染水海洋拡散シミュレーション結果」を発表した。
今回のシミュレーションは日本が10年間で年間最大22テラベクレルのトリチウムが含まれた汚染水を放出するという仮定の下で行われた。
福島沖に放流されたトリチウムは10年後には北太平洋全体に拡散し、韓国管轄海域に流入するトリチウム濃度は10年後には約0.001ベクレル/立方メートル前後に収束されると研究者は明らかにした。
0.001ベクレル/立方メートルは現在国内海域の平均トリチウム濃度172ベクレル/立方メートルの10万分の1水準だ。
これは現在の分析機器では検出が難しい程度の濃度だと研究陣は伝えた。
「中央日報日本語版」 2023.02.15 08:08
■韓国人の93%「汚染水放出で福島産食品は危険」…中国87% 日本36%
日本政府が今年上半期に福島第1原発の汚染水を放出すると予告した中、韓国人の90%以上が福島産食品は危険だと認識しているという調査の結果が出てきた。
14日の読売新聞によると、東京大の関谷直也准教授が昨年3月、日本、韓国、中国など10カ国・地域の大都市のインターネット利用者3000人を対象に実施したアンケート調査で、「海洋放出が行われた場合、福島県産食品の安全性をどう思うか」との質問に対し、韓国の回答者の93%が「危険だ」と答えた。
同じ質問で「危険だ」という回答の比率は中国87%、ドイツ82%、フランス77%、台湾76%、米国74%などで、日本を除いた国・地域は60%を超えた。日本では回答者の36%が「危険だ」と回答した。
日本政府は汚染水を多核種除去設備(ALPS)で浄化処理すればセシウムをはじめとする放射性物質の大部分が取り除かれると説明しているが、三重水素(トリチウム)は残るという。
福島県で7日に水揚げされたスズキからは福島県漁連が設けた基準値を超えるセシウムが検出された。
趙賢東(チョ・ヒョンドン)外交部第1次官は13日(現地時間)、米ワシントンで開かれた日韓外交次官会談で日本側に汚染水放出に対する懸念を表明した。
趙次官は「国内の懸念、我々が提示する複数の科学的問題点をすべて指摘した」とし「問題点を解消するために日本がより一層の努力をしてほしいという話をした」と説明した。
「The Hankyoreh」 2023-02-11 09:32
■日本、福島原発汚染水の測定核種数を減らす…専門家「安全を懸念」
【写真】日本の福島第1原発の敷地内にある汚染水の貯蔵タンク。日本はこの貯蔵タンクに保管中の汚染水約130万トンを今春から海洋放出するための準備を進めている/聯合ニュース
日本の東京電力が海洋放出しようとしている福島第1原子力発電所の汚染水の測定と評価の対象核種を大幅に減らす計画を立て、日本の原子力規制委員会の審査を受けている事実が遅れて分かり、安全に対する懸念が生じている。
韓国政府は10日、これについて、日本が推進する測定・評価の対象となる核種の縮小は、国際原子力機関(IAEA)の要請により再選定した結果だとする立場を明らかにした。一部で指摘されているように日本が一方的に推進したものではないということだ。
文化放送(MBC)は9日、ニュース番組「ニュースデスク」で、野党「共に民主党」のイ・ジェジョン議員室が入手した資料などをもとに、日本が福島原発汚染水に対して測定する核種の半分以上を対象外とする案を昨年末に韓国側に伝え、安全に対する懸念が強いと報じた。
イ議員室が韓国の原子力安全委員会から得た資料によると、東京電力は現在測定している64種類の放射性核種のうち37種類を対象外にして4種類を新たに加え、測定する核種の数を31個に減らす案を設け、日本の原子力規制委員会の審査を受けている。
これについて外交部は10日の会見で、福島第1原発の汚染水放出計画の安全性を検証しているIAEAのモニタリング特別チームが、昨年2月の1回目の訪日の際、64個の測定・評価対象の核種を予測ではなく実測をもとに調整するよう要請したためだと説明した。これにより東京電力は、実測データと核種ごとの半減期などを考慮し、測定・評価の対象となる核種をトリチウムを含む31個に再選定する修正案を設け、日本の原子力規制委員会に認可を申請したということだ。
韓国の原子力安全委員会の資料によると、東京電力が測定・評価対象からはずした核種には、セシウムやストロンチウムの同位元素も含まれている。最も危険だといわれているセシウム(Cs)-137とストロンチウム(Sr)-90は残し、セシウム-136とストロンチウム-89を対象外としたのだ。これについて、ソウル大学原子核工学科のソ・ギュンリョル教授は本紙の取材に対し「福島原発汚染水のような場合は物量が多いので、高分解能で区別するのが難しく、ストロンチウム-89を対象外とすれば、ストロンチウム-90まで丸ごと漏れてしまうことになりうる」として懸念を示した。ストロンチウム-90は骨に蓄積され、血液ガンを誘発することが報告されている。
ソ教授はさらに、「半減期を考慮して核種を選定することは、核分裂が終了したとすれば正しい。だが、沸騰水型原子炉である日本の原発では、地下水でも雨水でも水さえあれば核分裂するので、現在でも福島では放射性物質が生成されていることを考慮する場合、正しくない」と述べた。
外交部関係者は「日本が一方的に行ったことではなく、IAEAがそうしたほうが良いと提案をしてなされたこと」だとし、「科学的かつ客観的に行うことであり、(測定)個数を増やせば正確だといえるものではないため、日本側の説明を理解している」と述べた。日本は昨年12月22日の韓日局長級協議で、測定・評価核種の再選定について韓国に説明した。
外交部は「IAEAは、2~3月中に出すモニタリング特別チームの3回目の訪日の結果報告書に、これに関する検討意見を入れる予定」だとし、「韓国政府は国民の健康と安全を最優先にし、汚染水が科学的かつ客観的な観点で安全であり、国際法と国際基準に合致する方式で処理されなければならないという立場を堅持し、対応していくだろう」と明らかにした。
原子力安全委員会の関係者は「東京電力はIAEAの要請により64種類から31種類に減らしたが、そこで対象外となったものも同水準でモニタリングすると明らかにしている」とし、「そうした点を具体的にどのようにするのかを引き続き確認している」と述べた。
キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1079255.html
韓国語原文入力:2023-02-10 22:39
「聯合ニュース」 2023.02.10 16:38
■韓国原子力安全委トップ 海洋放射能監視状況を点検
【ソウル聯合ニュース】日本の東京電力福島第1原子力発電所の処理済み汚染水の放出が迫る中、韓国の原子力安全規制を担う原子力安全委員会の劉国熙(ユ・グクヒ)委員長が10日、同委員会傘下機関の韓国原子力安全技術院(KINS)を訪れ、海洋環境放射能の監視状況などを点検した。
【写真】原子力安全委員会のロゴ(同委員会提供)=(聯合ニュース)
原子力安全委は韓国の海岸周辺の40カ所で試料を採取し、セシウムやトリチウム(三重水素)の濃度を調べ、結果を海洋環境放射能監視網に公開する海洋モニタリングを行っている。
劉氏は「放射能から国民の健康を守り、環境保全に向け環境放射能の監視をさらに徹底的に行う」と述べた。
「聯合ニュース」 2023.02.10 15:55
■福島汚染水 測定対象の縮小は「IAEAの要請」=韓国外交部
【ソウル聯合ニュース】日本政府が早ければ今春からと見込む東京電力福島第1原子力発電所の処理済み汚染水の海洋放出を巡り、測定対象の核種を大幅に減らしたとの報道について、韓国外交部は10日、国際原子力機関(IAEA)の要請を受け再選定した結果だと明らかにした。
【写真】東京電力福島第1原子力発電所に設置されているポンプ(資料写真)=(聯合ニュース)
同部によると、汚染水の安全性を検証しているIAEAの調査団は昨年2月、1回目の訪日で東京電力が選定した64種類の測定対象の核種を推計値ではなく実測値にするよう要請。東京電力は測定対象の核種を放射性物質トリチウムを含む31種類に再選定する修正案をまとめ、昨年11月、原子力規制委員会(NRA)に認可を申請した。東京電力とIAEAは昨年11月に実施された3回目の訪日で修正案について協議したと発表。IAEAは今年2~3月に発表する3回目の訪日結果報告書で修正案に関する検討意見を盛り込む方針だ。
これについて、韓国のメディアは学界の一部からは測定対象の縮小に懸念の声が上がっていると報じた。
同部関係者は「日本側はこのような内容を昨年12月に開かれた韓日局長級協議で説明し、協議に出席したわれわれ側の専門家と技術的な問題を詳しく討議した」と説明。「国民の健康と安全を最優先とし、汚染水が科学的かつ客観的な観点から安全で、国際法と国際基準に沿う方式で取り扱われなければならないという立場を堅持し、対応していく」と述べた。
「聯合ニュース」 2023.02.10 06:00
【ソウル聯合ニュース】日本政府が早ければ今春からと見込む東京電力福島第1原子力発電所の処理済み汚染水の海洋放出を巡り、韓国海洋科学技術院と韓国原子力研究院の研究者が汚染水の拡散シミュレーションの結果を16日に公開する。
韓国防災学会が15~17日に済州島で開催する学術大会の目録によると、両機関の研究者が大会2日目に結果を発表するという。放射性物質トリチウムの拡散に関する分析結果などが示されるもようだ。
韓国政府は同シミュレーションの結果を関係官庁でつくるタスクフォース(TF)を通じて2月中に発表するとしていた。
政府の公式発表ではなく、学会で発表されることについて、関係者の間では結果を政府の立場として公式化するのを避けたとの見方が出ている。
「聯合ニュース」 2023.02.02 15:57
■福島汚染水の放出 韓国・釜山の市民団体が日本に撤回要求
【釜山聯合ニュース】韓国南部・釜山の30の市民団体が2日、市内の日本総領事館近くにある「平和の少女像」前で記者会見を開き、日本に対し東京電力福島第1原子力発電所の処理済み汚染水を海洋に放出する計画の撤回を要求した。
共同で記者会見を開いた釜山の市民団体(釜山キョレハナ提供)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
市民団体は「私たちの海は日本の放射能汚染水の下水溝ではない」と記した横断幕やプラカードを掲げた。汚染水の毒性は数多くの研究で明らかにされているとしながら「放出は世界中の海を地獄の海にする」と危険性を訴えた。
団体側は「放射能汚染水の放出計画を強行する日本を糾弾し、放出計画を直ちに撤回するよう要求する」と声を張り上げた。
日本政府は汚染水を浄化処理した後の水の放出開始時期を「春から夏ごろ」と見込む。放出計画には太平洋の島国や中国なども反対する立場を示している。
「The Hankyoreh」 2023-01-27 09:18
■「福島原発の汚染物質、貯蔵タンクに牡蠣を入れて処理する方法がある」
太平洋諸島フォーラムの科学者パネルのフェレン・ダルノキ・ベレス教授
「トリチウムでコンクリートを作れば放出は測定されず
牡蠣の濾過機能を活用した生物学的除去も手段」
「汚染水のALPS処理の信頼性にかなりの疑い」
【写真】原子力工学者の米ミドルベリー大学のフェレン・ダルノキ・ベレス教授が25日、グリーンピースのソウル事務所で福島原発汚染水の海洋放出計画に対する太平洋諸島フォーラム(PIF)の科学者パネルの検討結果をテーマに報道機関のインタビューを受けている//ハンギョレ新聞社
「日本が放出しようとしている福島原発事故の汚染水の中にどのようなものが入っているのかという質問に対し、私たちの答は『分からない』というものです。日本の東京電力の(汚染水測定)データは、不完全かつ不適合で一貫性がなく、ときに偏向しています」。
原子力物理学者である米国ミドルベリー国際大学院のフェレン・ダルノキ・ベレス教授は25日、ソウル龍山区(ヨンサング)にあるグリーンピースのソウル事務所で行われた韓国の報道機関とのインタビューで、日本の福島原発汚染水の放出計画の問題点を圧縮して述べた。同教授は、ニュージーランドやフィジーなど太平洋の18の島国が参加する太平洋諸島フォーラム(PIF)が委嘱した5人の科学者からなるパネルに参加し、日本の福島原発汚染水の処理に関する資料を検討してきた。
同教授は「私たちが知っているのは、福島原発の内部には毒性の強い放射性物質が今なお多く残っており、したがってそのうちの一部でも放出されれば処理が難しい作業になるだろうということだ。だが、日本ではトリチウムの希薄ばかりに集中している状況だ」として、日本の汚染水処理と放出計画を批判した。インタビュー内容およびインタビュー前に行われた同教授の発表をまとめ、一問一答で構成した。
-科学者パネルが日本の汚染水測定データを不完全とみる理由は。
「まず、日本が私たちに共有していない別のデータが存在する可能性があるが、その場合、なぜ一部だけを共有したのか疑問だ。私たちが提供された資料を確認したところ、データの中間に空き部分が多い。貯蔵タンクの4分の1だけが測定されており、主に底に位置する高水準のスラッジ廃棄物の濃度についての情報がまったくない。データの代表性を確認するために必要なミキシング(混合)に対する言及もない。同じ放射性核種なのに別の単位を使ったケースまであり、情報の把握が難しい」。
-日本は多核種除去設備(ALPS)を活用し、64の放射性核種のうちトリチウムと炭素14を除く62の核種を基準値以下に処理するという。これについてはどう評価するか。
「私たちは、ALPSの信頼性と一貫性にかなりの疑いを持っている。ALPS処理水のストロンチウム(Sr)90に対するセシウム(Cs)137の割合で、1万6000倍まで差が生じているものもある。この2つの核種は同じ半減期を有しており、通常の場合、割合でこれほどの違いが生じることはない。そうした結果から、ALPSシステムの偏差が大きいことが分かる。また、東電は高水準のスラッジ廃棄物に対してALPSがきちんと作動するのかについては、何の回答も提示されていない」。
-同じ方式で処理をしても、各貯蔵タンクの放射性核種の濃度が違う理由は何か。
「汚染水には冷却水からくるものや、地下水からくるものがあるためだ。汚染水が何に触れて相互作用したのかによって変わるが、違いが非常に大きい場合、懸念する状況になりうる」。
-汚染水が海洋に放出された場合、最も懸念される点は。
「多くのものに影響を及ぼすことになるが、特に水産業に対する影響が懸念される。太平洋諸島の国々は漁業から多くの経済的効果を享受しており、一般住民の暮らしにも多大な影響を及ぼすだろう。魚類の摂取が安全ではないと断定することにはならないが、魚類摂取の安全性を論じる前に、放射能にさらされることになる魚類に対して人々が感じる恐怖感が強まるだろう」。
-日本は放出する福島原発汚染水に含まれるトリチウムの濃度に飲料水の基準を適用するというが。
「飲料水は人間に合わせた基準であり、海洋生態系の基準とは違う。私たちは海水を飲みはしない。その代わり海洋生態系に吸収され、食物連鎖のような別の経路を通じて人間に影響を及ぼすことになるので、飲料水の基準は適切でない」。
-パネルで汚染水の海洋放出の代案として提案した、生物学的な汚染除去方法の事例を紹介してほしい。
「太平洋に棲息する特定の種の牡蠣には、放射能物質を濾過できる機能がある。貯蔵タンク1棟あたり1000個の牡蠣を入れて汚染を除去させた後、牡蠣を安全に処理する方法がある」。
-ALPS処理水をコンクリート製造に活用する方法も提案したが。
「トリチウムがコンクリートに吸収されると、測定はほとんどできない。そこで、人の接触がほぼない橋梁のような場所に使うことを提案した」。
同教授は「このような代案は、すでに2016年から提案されているが、日本は様々な選択肢のうち最も費用が安い放出を選択した」とし、「日本は有能な科学者たちとともに、最も低価格で容易なオプションではなく別のオプションを選択しなければならない」と強調した。
文・写真 キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1077100.html
韓国語原文入力:2023-01-26 17:31
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/45730.html
「The Hankyoreh」 2023-01-27 08:57
■今春、福島第一原発の汚染水放出…「日本、不完全な資料で決定」海外の科学者が指摘
26日の韓国国会での専門家討論会で検討結果を発表
「放出のための日本の資料は不適切で偏向
汚染水『放出』ではなく『投棄』と言うべき」
【写真】日本の福島第一原発の敷地内にある汚染水貯蔵タンク。日本はこの貯蔵タンクに保管中の130万トンあまりの汚染水を今春から海に放出するための準備を進めている/聯合ニュース
日本政府は不完全で偏向した資料を根拠に福島第一原子力発電所の放射能汚染水の海洋放出を決めたという科学者たちの分析が公表された。同原発を運営する東京電力が、かなりの数の放射性核種(物質)を測定せずに汚染水は安全だという結論を下したというのがその理由だ。福島第一原発の汚染水の海洋放出は、早ければ今春から実施される。科学者たちは「日本政府は原発汚染水の海洋放出推進をやめ、代案を模索すべきだ」と勧告した。
ニュージーランドやフィジーなどの太平洋の18の島国が参加する太平洋諸島フォーラム(PIF)の科学者パネルは、26日に韓国の国会で行われた「福島汚染水放出に関する海外専門家招請討論会」で、東京電力の汚染水測定データは放出を決定する根拠とはなり得ないと指摘した。科学者パネルは、昨年3月にPIFが委任した原子力と海洋科学分野の5人の専門家で構成されている。PIFは汚染水放出の影響を受ける当事者として、日本に関連資料を要求し、受け取っている。日本政府は13日、福島第一原発の敷地内にある1000あまりの貯蔵タンクに保管中の約130万トンの汚染水を水で希釈し、今年の春か夏ごろに海に放出することを決めている。
科学者パネルを代表してこの日の討論会に参加した米国ミドルベリー国際大学院のフェレン・ダルノキ・ベレス教授は「日本がPIFに提供したデータは不完全、不適切で一貫性もなく、偏向しているため、何らかの決定を下すには不適切だ」と述べた。さらに「正常稼動中の発電所から、計画され管理された形で汚染水を自然へと放出するわけでもないため、このケースでは汚染水の『放出』ではなく『投棄』という言葉を使うべきだ」と付け加えた。
同パネルは東電の測定資料が偏向していると考えられる根拠として、まず東電が64種類の放射性物質のうちストロンチウム(Sr)90、セシウム(Cs)137などの9つの物質だけに焦点を絞り、残りの55の物質はほとんど測定せずに、常に同じ影響を及ぼす濃度で存在すると仮定していることをあげた。パネルはまた、多核種除去設備(ALPS)を経た汚染水の測定が行われるのは貯蔵タンクがいっぱいになる直前のたった一度に過ぎず、しかもそれは30リットルのサンプルに対するものであるため、汚染水の実際の構成と濃度を理解するには不十分だとも指摘した。
パネルは検討結果報告書で「東電の測定資料には非正常で疑わしい測定値がいくつもある」と述べ、信頼性に対する根本的な疑問も提起している。その代表的な例として、半減期が9.4時間に過ぎない放射性核種であるテルル(Te)127がリットル当たり数十万未満から数百億ベクレル(Bq)まで記録されていることを指摘している。福島第一原発事故で放出されたものなら、半減期から考えてすでにかなり前に崩壊しているはずだからだ。報告書は「溶融した炉心が断続的に危険な状態になるのでないなら、この測定値は東京電力の測定とデータの品質管理手続きに問題があることを示す」と明らかにした。パネルはまた、汚染水に含まれるトリチウム(三重水素)が海の中で有機結合型トリチウム(OBT)に変化して海洋生態系に及ぼす影響、ストロンチウム90の生物濃縮の影響などをまともに検討していないことも重要な問題だと指摘した。
パネルは「希釈が汚染の解決策だという仮定は、科学的に時代遅れで生態学的に不適切だ。放出措置は世代と国境を越えた事案であり、はるかに深い熟考が必要だ」と述べた。これらの科学者は海洋放出の代案として、汚染水を長期間貯蔵して放射線を減らしつつ、動植物と菌類を用いた生物学的方法で汚染を除去した後に、人間の接触が最小化される場所に使用されるコンクリートを製造する際の水として利用する方策を勧告した。
キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1077096.html
韓国語原文入力:2023-01-26 17:12
「中央日報日本語版」 2023.01.26 15:28
■米国核物理学者「福島汚染水放流は危険…コンクリート建てて使おう」
【写真】フェレン・ダルノキ・ベレス教授が25日午後、ソウル龍山区(ヨンサング)で中央日報のインタビューに答えている。チャン・ジニョン記者
「タンクの中にある水(汚染水)には何が入っているでしょうか。答えは『分からない』です」。
米国ミドルベリー国際大学院のフェレン・ダルノキ・ベレス教授は福島第1原発事故以来、発生した汚染水の危険性についてこのように話した。核物理学者であるベレス氏はPIF(太平洋諸島フォーラム)科学者諮問団の委員として活動しながら、東京電力で約4年間調査した汚染水データを受け取ってこれを分析した。ベレス氏は「小型原子炉を研究している。原発を賛成したり反対したりする立場ではない」とし「科学者として偏りのない客観的見解を持とうと努力した」と強調した。
フィジー・オーストラリア・ニュージーランドなど太平洋地域17の島国で構成されたPIFは最近、福島原発汚染水放流が魚類に悪影響を及ぼすだろうとし、安全性が立証されるまで放流を延期するよう求めた。だが、日本政府は処理過程を経た汚染水の放射能水準は海洋生物や人間に脅威にならないほど低いとし、今年の春か夏には放流を強行するだろうという立場だ。汚染水は日本政府の言葉通り、本当に安全なのか。直接汚染水データを分析したベレス氏を25日、インタビューした。
◇「汚染水情報、不完全で一貫性ない」
--福島原発汚染水データを直接分析したとのことだが。
「タンク内に正確にどのような汚染水が入っているのか分からないというのが問題だ。我々は答えを探すために努力しているが正確な把握が難しい状況だ。東京電力の汚染水抽出データを分析した結果、不完全で不正確で一貫性がないと判断した」。
--東京電力の汚染水調査では安定性を立証するには不十分ということなのか。
「東京電力で測定したタンクの汚染水の情報が代表性を持つのは難しいと感じた。東京電力では64の放射性核種を測定していると明らかにしたが、共有された資料を見ると9つの核種しか検査していなかった。また、タンクの4分の1だけで測定したが、主にタンク底にある高水準のスラッジ(カス)廃棄物の濃度に対しては情報が一切ない」
◇「放流時、漁業に影響が懸念される…影響は急速に広がる」
--日本政府は米国と韓国でも原発運営過程で三重水素(トリチウム)が含まれた水を海に放流しているとし、基準値以下に薄めて放流すれば問題がないと主張しているが。
「中国と米国、韓国の原発は正常運転中に放流しているが、福島の場合、事故後の放流なので正常な運転状況と見ることはできない。事故がまだ続いているのに放流するのは不必要な危険行動を行うことだ」。
--予定通りに汚染水を放流した時、最も憂慮される点は何か。
「最も憂慮する点は漁業産業への影響だ。太平洋諸国は漁業に依存している。ところでセシウム-137が検出されたマグロが、福島事故後、まだ1年も経たない内に米サンディエゴ海域に到達した。魚類が放射能を吸収して動く速度は海流の移動速度よりも速いので急速に影響が広がるだろう」
◇放流の代わりに提示した3つの解決法は?
べレス氏は海洋放流の代わりに3つの解決策を提案した。(1)耐震設備が施されたタンクに汚染水を長期保存し、放射性物質が崩壊する時まで待って(2)放射性物質ろ過能力を備えたカキなど生物学的方式で汚染を浄化して(3)コンクリートを製作するのに汚染水を活用しよう--というものだ。
--汚染水でコンクリートを作れば海洋放流よりも安全なのか。
「(汚染水に含まれた)三重水素は測定するのが難しいほどコンクリート中に吸収される。これを人の接触がほぼない橋梁建築などに使おうというものだ。このようにすれば国境を越える問題を引き起こすこともないだろう。だが、日本は最も費用がかからない『放流』を選択した」。
--韓国政府は日本の汚染水放流に対してどのように対応するべきか。
「汚染水を放流した時は日本だけでなく他の国々にも影響を及ぼすことになるため、日本にもっと積極的な姿勢で対処しなければならない。韓国政府側では東京電力に追加で多くの情報を要請して、そうでない場合なぜデータを提供しないのか、その理由を尋ねなければならない」。