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三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

「韓国の独立運動家・尹奉吉の追悼記念館 4月に金沢で開館」

2025年01月31日 | 抗日・反日闘争
「聯合ニュース」 2025.01.30 10:02
■韓国の独立運動家・尹奉吉の追悼記念館 4月に金沢で開館
【東京聯合ニュース】韓国が日本の植民地支配から解放されて今年で80年になるのに合わせ、独立運動家の尹奉吉(ユン・ボンギル)の業績を称える追悼記念館が4月29日に石川県金沢市内にオープンする。尹奉吉は1932年4月29日に中国・上海で日本軍首脳部に爆弾を投げつけて死刑判決を受け、同年、金沢市で銃殺された。
 元KBS客員研究員で記念館の設置を主導するキム・グァンマン氏が29日、聯合ニュースの取材に対し明らかにした。
 在日韓国人の協力を得て購入した金沢市内の中心にある3階建ての建物を記念館にするという。記念館には尹奉吉に関する資料などが展示される予定だ。
 尹奉吉は上海市内の虹口公園(現・魯迅公園)で行われた天皇誕生日の式典で爆弾を投げ、上海派遣軍司令官として出席した白川義則陸軍大将ら要人2人を殺害した。
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「日本から戻ってきた高麗仏像、対馬行きの前に100日間公開=韓国」

2025年01月29日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「The Hankyoreh」 2025-01-26 11:02
■日本から戻ってきた高麗仏像、対馬行きの前に100日間公開=韓国
 24日、仏に仏像が帰ってきたことを告げる告仏式を挙行 
 5月5日まで100日間の親見法会の後、対馬の観音寺に返還

【写真】瑞山浮石寺の説法殿で23日午後、金銅観音菩薩坐像の告仏式が開かれた=瑞山市提供//ハンギョレ新聞社

 瑞山(ソサン)の浮石寺(プソクサ)の金銅観音菩薩坐像が対馬の観音寺に返還されるのに先立ち、695年前に安置された浮石寺で100日間、一般公開される。
 24日午後2時ごろ、忠清南道瑞山市の浮石寺の説法殿で、金銅観音菩薩坐像の告仏式が開かれた。告仏式は仏像が帰ってきた事実を仏に伝える儀式だ。告仏式には曹渓宗のソルジョン元総務院長、チュギョン中央宗会議長など、仏教界の代表者らと、観音寺の田中節孝前住職、瑞山市のイ・ワンソプ市長や信徒が参加した。参加者たちは、仏像が説法殿にある特製のガラス棚に安置されると合掌し、「観音菩薩」を暗唱した。これに先立ち仏像は、保管されていた大田(テジョン)国立文化遺産研究院から無振動車両で浮石寺に移された。
 浮石寺がこの仏像を奉安して100日間の親見法会を開くのは、日本に返還される前に当初安置されていた浮石寺で1日でも過ごせるよう望む浮石寺側の要請を、日本の観音寺が受け入れたことで実現した。浮石寺は、毎日午前10時30分から1時間行われる祈祷の時間を除き、午前10時から午後5時までこの仏像を一般に公開する予定だ。浮石寺住職の円牛(ウォヌ)僧侶は「仏像はどれほどこちらに帰ってきたかっただろうかと思うと、万感が交差する。日本側と仏像を交流展示するなど、韓国と日本が相互に満足する結果を出せるように最善を尽くす」と述べた。
 この仏像は、5月5日まで浮石寺で公開された後、国立文化遺産研究院への返還過程を経て、5月11日より前に日本の観音寺に向かう。
 この仏像は高さ50.5センチメートル、重さ38.6キログラムで「1330年ごろ(高麗時代)徐州の浮石寺に奉安するため仏像を作った」という結縁文が記されており、2012年10月に文化財窃盗犯が対馬の観音寺から盗み、韓国内に密搬入して検挙され、文化財当局が回収した。浮石寺側は「この仏像は1378年9月に倭寇に略奪された」と主張したが、観音寺側は「仏像は正当に迎えられた」と反論した。韓国最高裁は2023年10月「取得時効が成立し、観音寺に所有権がある」との判決を下した。

ソン・インゴル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-24 18:29
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「身元不明の遺体56体が一度に…「闇の埋葬」、殺伐としたメキシコ」

2025年01月28日 | 国家・社会
「中央日報日本語版」2025.01.28 08:47
■身元不明の遺体56体が一度に…「闇の埋葬」、殺伐としたメキシコ
 メキシコ北部の米国との国境地帯で、遺体56体が多数発見された。

【写真】メキシコ・チワワ州の埋葬地の捜索現場

 メキシコ・チワワ州検察庁は25日(現地時間)に発表した報道資料で、「カサス・グランデス地域で標識のない38カ所の埋葬地が発見された」とし、「21日からこの日までの4日間捜索した結果、まだ身元が分かっていない遺体56体を発掘した」と発表した。
 チワワ検察庁は遺体を回収してシウダー・フアレス法医学チームに送り、犯罪の疑いを確認した場合、正式に捜査すると述べた。また、今回の作業は麻薬・武器密売関連犯罪と関連した情報を土台に軍警支援を受けて行われたと述べた。
 遺体が発見されたカサス・グランデス地域はユネスコ遺産に登録された古代都市パキメ遺跡地の近くで「エル・ウィリー」と呼ばれる。ここではシウダー・フアレス・カルテル内の武装ギャング団「ラ・リネア」が活動していることが知られている。
 人口370万人(2020年)のチワワ州はニューメキシコ・テキサス州地域の米国国境と接している。面積は韓国(10万平方キロメートル)の2.5倍に迫る24万7455平方キロメートルで、メキシコで最も広い。チワワ州の北側には米国に向かう麻薬と移住者の移動経路が多数あり、犯罪被害者と推定される遺体もしばしば報告される。
 メキシコでは麻薬カルテルに対し攻勢を始めた2006年から約10年間、全国的に45万人以上が死亡し、3000カ所余りの埋葬地が確認された。
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「韓国検察、尹大統領の勾留延長を再申請…「可能だが結果は断言できない」」

2025年01月27日 | 韓国で
「The Hankyoreh」 2025-01-25 13:22
■韓国検察、尹大統領の勾留延長を再申請…「可能だが結果は断言できない」

【写真】尹錫悦大統領が23日、ソウル鍾路区の憲法裁判所で開かれた弾劾審判第4回弁論に出席している=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 韓国検察は25日未明、内乱首謀の容疑で身柄を拘束された尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の勾留延長を裁判所に再申請した。裁判所内外では再申請自体は可能だという意見が多いが、結果は断言できないとみられている。勾留延長の申請が認められないことは珍しいため、延長を再申請することも前例を探すのが難しい。
 ある高裁判事は「検察が勾留延長を再申請することは可能だと思う。ただし裁判所がこれを認めるかどうかは別の問題」だと語った。また別の高裁判事も「もう一度勾留延長を申請するとはできても、それは新たな拘束令状の請求に匹敵するほど難しい問題といえる」とし、「正確に比較することは難しいが、事実上拘束適否審が認容されたのと同じ効果かもしれない」と語った。さらに「このような状況は初めて聞く」と付け加えた。
 24日、ソウル中央地裁のキム・ソクポム令状専担部長判事は、尹大統領に対する検察の勾留延長申請を認めなかった。キム部長判事は「捜査処(高位公職者犯罪捜査処)の検事が高位公職者犯罪に該当する事件を捜査した後、公訴提起要求書を付けてその書類と証拠物を検察庁検事に送付した事件で、これを送付され公訴提起の可否を判断する検察庁検事が捜査を継続する相当な理由があるとは見難い」とし、検察の申請を認めなかった理由を説明した。公捜処の設立趣旨が高位公職者に対する独立的な捜査保障であり、捜査の公正性を保つために捜査と起訴を分離をした側面があるため、公捜処が捜査した事件を検察が補完捜査することは公捜処の法立法趣旨に合わないということだ。検察は23日、公捜処から尹大統領事件を引き受けた。
 検察はこのような裁判所の決定に対し、もう一度判断を求めることに決めた。しかし、残された時間はそう多くない。検察が最大に伸ばした尹大統領の1次勾留満了期限は26日。検察としては再申請が再び認められない可能性を念頭に置かざるを得ない。
 このため検察は、裁判所に勾留延長を再申請すると同時に、尹大統領を1次勾留期間内に起訴する案も検討しているという。これに先立ち、検察の非常戒厳特別捜査本部(本部長・パク・セヒョン高等検察庁長)は、キム・ヨンヒョン前国防部長官を直接捜査し、起訴した。当時、キム前長官の控訴状は事実上「尹大統領の控訴状」と言われていたため、尹大統領を直ちに起訴すること自体が不可能な状況ではない。
 ただし、裁判所が捜査手続きに対する厳格な解釈を出したため、今後の裁判過程でも尹大統領を対象にした捜査手続きの適法性をめぐり、激しい攻防が繰り広げられるものとみられる。尹大統領側は、この事件を捜査した公捜処に内乱罪の捜査権限がないため、公捜処の捜査は「違法」だと主張してきた。

チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-25 07:55


「韓国経済新聞/中央日報日本語版」 2025.01.25 12:11
■沈黙していた韓国の20・30代男性、なぜデモに出てきたのか…弾劾反対より危機意識
 先月14日午後3時、ソウル汝矣島(ヨイド)国会前では多くのペンライトが揺れていた。「尹錫悦(ユン・ソクヨル)OUT」「尹錫悦弾劾」などと書かれたカードを持った若い女性たちはガールズグループ少女時代の「また巡り逢えた世界」を歌いながらペンライトを振った。この日のデモの雰囲気を主導したのは20・30代の女性だった。ろうそくの代わりにペンライトを持って路上に出てきた20・30代の女性がK-POPを歌いながら大統領の弾劾を要求する姿は海外メディアでも大きな話題になった。国会はこの日午後、尹大統領の弾劾訴追案を可決した。
 20・30代女性のデモ主導は統計でも確認された。ソウル市はKTと協業して毎日1時間単位で各地域に人がどれほどいるかを年齢別・性別に推定した生活人口データをホームページに公開する。これによると、14日午後3時に汝矣島に集まった市民は約44万5900人で、1カ月前の同じ時間帯(11月14日午後3時)の19万700人に比べて倍以上多かった。20代女性の比率が全体の15.6%で最も多く、次いで30代女性(11.5%)だった。集会参加者の4人に1人(27.1%)は20・30代女性だったということだ。半面、20代男性は3.9%、30代男性は6%にすぎなかった。20・30代男性の「政治的沈黙」をめぐり、「江南(カンナム)駅10番出口女性殺人事件」と#MeToo運動など「連帯する議題や空間が少なかった」という分析もあった。

◆弾劾局面で20・30代男性の与党支持率が上昇
 そうだろうか。1カ月後の状況は違った。尹大統領に対する拘束令状が執行された15日午前、ソウル漢南洞(ハンナムドン)にはペンライトでなく太極旗(韓国の国旗)と星条旗(米国の国旗)を持った20・30代男性の姿が確実に増えていた。20・30代男性に対する注目度が高まったのは19日未明の「ソウル西部地裁乱入」事態だった。この日、ユーチューブを通じて中継された裁判所内の暴力行為は社会に衝撃を与えた。警察が拘束令状を請求した66人のうち20・30代が43.9%を占めた。
 データはどうか。ソウル市生活人口データによると、15日午前10時に尹大統領の官邸があるソウル竜山区漢南洞(ヨンサング・ハンナムドン)には4万8300人が集まった。1カ月前(2万5600人)と比べて倍ほど多い。弾劾デモ当時とは違い、20代男性の比率が6.5%に増えた。30代男性(10.7%)も同じだ。合計(17.2%)は弾劾当時(9.9%)の倍近い。こうした傾向は19日未明の「ソウル西部地裁乱入」事態につながった。デモ隊が裁判所に乱入する直前の18日午後11時、同じデータ分析の結果で20代男性と30代男性はそれぞれ6.11%、9.4%だった。これも汝矣島弾劾デモと比較して増えた数値だ。国会前弾劾賛成デモで表れた20・30代女性の結集より強度は弱いが、当時反対デモでなく「沈黙」を選んだのとは明確に異なる動きだった。20・30代男性はなぜ「一歩遅れて」路上に出てきたのだろうか。
 尹大統領が弾劾審判3回目の弁論期日に出席した21日午後2時ごろ、ソウル鍾路区安国洞(アングクトン)の憲法裁判所付近の集会で、20・30代の青年は「弾劾反対」を叫んでいた。これを見ながら合流するかどうか悩んでいたチェさん(26)は「最初、戒厳ニュースを見た時は『やりすぎだ』と言って友達と尹大統領を批判していた」とし「しかしユーチューブチャンネルを見ると野党の過度な弾劾追求と憲法秩序破壊に対抗するためにやむを得ない非常措置だったということを理解した」と話した。チョンさん(22)は「大統領選挙で『女性家族部廃止』を主張した尹大統領を支持したが、約束を守らず撤回した」としながらも「しかし尹大統領が弾劾されるとフェミニストがここぞとばかりに動き出すのを見て、これは違うと思った」と語った。先月初め「戒厳歓迎」とインスタグラムに投稿して論議を呼んだミュージカル俳優チャ・カンソクさん(35)もいた。デモ現場でユーチューブライブ放送をしたチャさんは「今回の件で職(講師)も失ったが、国が共産化すれば私が芸術をしても何の意味があるだろうか」と反問した。
 韓国ギャラップによると、昨年12月、20代男性(国民の力22%、共に民主党25%)と30代男性(国民の力23%、民主党34%)の「国民の力」支持率は「共に民主党」より低かった。しかし1月には20代男性(国民の力37%、民主党18%)と30代男性(国民の力35%、民主党28%)の「国民の力」支持率が大幅に上昇した。
 専門家らはこの期間に「新男性連帯」「神の一手」など右派スピーカーの役割をするユーチューブチャンネルが少なからず影響を及ぼしたとみている。中でも戒厳事態以降に急浮上したのは「グラウンドC(Ground C)」だ。ペンシルベニア州立大卒という運営者キム・ソンウォンさんは12・3非常戒厳事態以降、尹大統領の不正選挙主張を後押し、民主党が内乱を助長するという内容の映像を繰り返し載せている。戒厳事態当日の12月3日基準で28万人だったグラウンドCの登録者数は24日現在72万5000人に増えた。
 14日と21日に会ったデモ隊は「保守新聞はすべて見なくなった」「米国留学組が運営するグラウンドCの方が信頼できる」とし、従来のメディアに不信感を表した。チャさんは「朴槿恵(パク・クネ)元大統領弾劾当時はろうそくデモに参加したが、従来のメディアがまともに伝えないことが多かった。今はユーチューブなど多様な通路から情報を得ている」と話した。
 一方、彼らは「18、19日の西部地裁事態当時も現場にいた」と暴力事態を一部認めたが、「外部勢力が助長した」と一線を画する態度を見せたりもした。
 憲法裁判所付近で「弾劾反対」と書かれたカードを持っていたチョさん(33)は「当時はデモ隊の中で扇動する『偽装活動家』が本当に多かった。集会を利用しようとする人たちがいる」と主張した。チャさんは「当時デモ隊は感情が激高したりした」としながらも「間違いなく前で(過激行動を)主導した勢力がいた。閉じられていた(裁判所の)鉄門(裏門)が簡単に開かれた部分についても調査が必要とみられる」と主張した。そして「南泰嶺(ナムテリョン)にトラクターを集合させるなど以前から武力示威をする極左派が多かった。少なくとも右派は西部地裁事件までは法の枠内で平和的に集会をしてきた」と強調した。チェさんは「李在明(イ・ジェミョン)民主党代表は『防御権保障』を理由に令状を棄却したが、職務も停止した大統領を『証拠隠滅のおそれがある』として拘束したのは納得できない。裁判所が国民の怒りを誘発した」と主張した。

◆裁判所乱入拘束令状の44%が20・30代男性
 専門家らは20・30代男性が路上に出てきたことに関連していくつか要因を挙げている。ジェンダーイシューのほか、民主党のカカオトーク検閲主張や李在明民主党代表の次期大統領選挙勝利の可能性などが、大統領選挙で尹大統領を支持した20・30代男性をまた結集させているということだ。
 新成長経済研究所のチェ・ビョンチョン所長は「弾劾局面と早期大統領選挙局面がともに開かれながら、支持率1位の李代表と過半議席の民主党が強者として映ることになった」とし「20・30代男性は弾劾に反対するというよりも、進歩・保守構図の効果が作動したことで集会に出てきた」と解釈した。エスティーアイのイ・ジュンホ代表も「戒厳事態で尹大統領が没落しながら軸が急激に野党圏に傾くと、反フェミニズム、反中国情緒などが強い20・30代男性の危機意識が爆発した」と分析した。
 東洋哲学者であり作家のイム・ゴンスン氏は「20・30代男性は軍服務などで同じ年齢の女性より損害を受けているという認識が支配的」とし「このような立場を代弁する人たちが民主党にはいないと見て、尹大統領や国民の力側に傾いている」と話した。
 一方、政界の責任を指摘する声もある。高麗大のキム・ユンテ社会学科教授は西部地裁事態に関連し「極右ユーチューバーだけでなく政治家がデモに出て彼らを支持して認めたことが力を与えることになった」と批判した。


「東亞日報」 January. 25, 2025 08:45
■検察、「政治家逮捕」メモなど尹大統領の主張に反する証拠を確保
 12・3非常戒厳宣布事件を高位公職者犯罪捜査処(公捜処)から引き継いだ検察が、憲法裁判所の弾劾審判での尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の発言に反論できる証拠や供述を確保し、対面での取り調べに備えていることが分かった。検察は23日、尹氏と金龍顕(キム・ヨンヒョン)前国防部長官が憲法裁で主張した「象徴的な次元での軍投入」とは180度異なる内容の捜査記録をもとに尹氏の取り調べを準備している。
 24日、東亜(トンア)日報の取材を総合すると、検察の非常戒厳特別捜査本部(本部長=朴世鉉ソウル高等検察庁検事長)は、金氏ら戒厳軍首脳部に対する供述や国軍防諜司令部、首都防衛司令部、特殊戦司令部などから押収した証拠物を多数確保した。
 検察はまず、防諜司令部の家宅捜索で、洪壮源(ホン・ジャンウォン)前国家情報院第1次長が提出した「政治家逮捕者名簿」と一致する防諜司令部内部のメモを確保したという。尹氏側は21日、憲法裁弁論期日で、「韓東勲(ハン・ドンフン)与党代表、禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長を逮捕するよう指示したことは全くない」と主張した。金氏も、「逮捕名簿ではなく、布告令違反の懸念対象者であり、動静を注視するように言っただけだ」と主張した。しかし、洪  氏らの証言に続き、検察が証拠まで確保したことで、逮捕を企図した疑いが明らかになったという見方もある。
 検察は、郭種根(クァク・ジョングン)前特殊戦司令官の取り調べで、金氏が戒厳解除議決後、郭氏に「もう一度(選挙管理委員会庁舎に)進入できないのか」と尋ねたという供述も確保したという。軍投入が「象徴的な措置」だったという尹氏側の主張とは異なり、「選管委の掌握」という明確な意図があったと、検察は判断している。
 検察は23日、来月6日まで尹氏の逮捕期間の延長を求める逮捕状延長許可をソウル中央地裁に申請した。週末中に尹氏に対する訪問取り調べを行うことも検討している。


「The Hankyoreh」 2025-01-24 07:27
■「尹大統領が闘うべき対象を正確に教えてくれた」韓国の極右青年らの政治不信
 同調から暴動へ 極右の先鋒となった20~30代 

 憲政秩序無視、一線を越える

【写真】内乱首謀容疑で逮捕された尹錫悦大統領が出席する中、拘束前被疑者尋問(令状実質審査)が行われた18日、ソウル麻浦区のソウル西部地裁で、尹大統領の支持者が裁判所の柵を越えようとしている=写真共同取材//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の拘束令状が発行された19日未明、ソウル西部地裁に乱入して暴動を起こし、現場で捕らえられた20代の青年A氏ら46人全員の拘束令状が21日に請求された。46人のうち、A氏と同じ20代は6人、30代は19人で、半数以上(54%)が青年だ。ソウル警察庁は、この日から順次、「彼らに対する拘束前被疑者尋問が行われるだろう」と説明した。法の解釈と審判を担う法治のとりで、司法府の権威を無惨におとしめた夜が過ぎ、青年A氏は拘束の審判台に立たされる立場となった。一線を越えてしまった。
 それから47日前、大統領尹錫悦は政治活動と市民の基本権全般を制限する非常戒厳を宣布し、戒厳軍は国会に乱入した。一線を越えて、立法機関の窓ガラスを粉々にした。それが原因で15日に逮捕される直前、大統領尹錫悦はある意味、青年A氏を思い浮かべながら語った。「青年たちが自由民主主義の大切さを本当に再認識するようになり、それに対する情熱を示してくださるのを見て…この国の未来には希望があると考えるようになりました」。
 青年A氏と大統領はどのように出会い、憲政秩序の一線を越える例のない悲劇に至ったのか。ハンギョレは、尹大統領がソウル漢南洞(ハンナムドン)の官邸に隠れて逮捕状の執行を拒否していた時期に官邸の前に集まっていた青年の声を集中的に聞いた。その際にインタビューに応じる意思を明らかにした3人の青年に、今月7~8日と20日に各々1時間にわたりインタビューを実施した。登場する青年の名前は、本人の要請により、いずれも仮名。

◆「極右」の世代交代
 「『高齢層の集会』対『若者の集会』、こんな風にレッテルを貼らないでほしい」。子育て中の平凡な主婦、イ・ジミンさん(33)は大統領支持者集会の性格について語った。尹大統領を支持する新自由連帯の集会は先月24日から、大統領官邸から300メートルあまり離れた国際ルター教会の前で行われてきた。以前は政治集会に参加したことはないというイ・ジミンさんは今月1日、尹大統領の「みなさんと共に最後まで闘う」というメッセージを見てから、ほぼ毎日官邸前に出かけた。「私たちが闘うべき対象が何者なのかを正確に教えてくださいました」。
 依然として高齢層が大多数を占めるものの、2016~2017年の太極旗集会に比べて尹大統領支持集会に青年の占める割合は高まっている。主催者側の意図と実際の雰囲気が融合している。集会初期にチョン・グァンフン牧師が作った「清教徒霊性訓練院」の名が記されたチョッキを着た青年たちが、集会現場で道を案内したり間食を配ったりしている。反フェミニズム団体「新男性連帯」のペ・インギュ代表も、20~30代の男性に参加を呼びかけている。
 今月10日からは、司会者は完全に「青年」のみを舞台発言者として立たせている。13日には、集会は名前も「20~30尹錫悦弾劾無効」に変更された。舞台に立った青年たちは「これまでは年配の方々が闘ってくださったから、これからは私たちが闘う」として「世代交代」を誓った。発言者たちにはハンバーガーと「滅功棒」と呼ばれるペンライトが配られた。
 韓国ギャラップの調査では、尹大統領の弾劾に反対と答えた人の割合は20代で25%、30代では29%に達した。朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾訴追直前の2016年12月の弾劾反対世論が2%(20代)にとどまったことと比べると、顕著な変化だ。内乱時の国会侵奪が生中継までされ、直観的な衝撃を与えたこと、戒厳布告令が基本権を侵害し、日常の侵奪と直結していたことを考慮すると、なおさら理解し難い。
 イ・ジミンさんは言う。「8年前は疎外感を抱きました。あの時は報道される話だけを信じて極限にまで追い込んだとすれば、今はユーチューバーも活性化しているし、もう少し客観的に現実が見られますからね」。すでに偏向し、汚染されている「制度圏報道」と、政界が語らない「オルタナティブな世界観」を、2025年の官邸前とソウル西部地裁前の青年は持っているということだ。

【写真】14日、ソウル龍山区漢南洞の国際ルター教会前で行われた「弾劾無効」集会の舞台に「20~30尹錫悦弾劾無効」と記された大きな横断幕が掲げられている=コ・ナリン記者//ハンギョレ新聞社

◆「全員が大統領の敵」
 「一つの法案、一つの事件ではなく、もっと大きな青写真があって、それを動かすコントロールタワーが見えてきたから、これは本当に闘わなければと思いました」。理工系大学を休学中のカン・サンヒョクさん(26)は、内乱以前は「政治に完全に無関心だった」と語った。内乱は、彼を世の中のことに「目覚めさせる」契機となった。グラウンドCなどの極右系のユーチューブチャンネル、弾劾訴追案全文、法案や主張を総合して結論を下したという。大韓民国を共産化しようとしている「敵」は明らかに存在し、彼ら、中国-政界-司法-メディアなどは「カルテル」を形成して一体化している。彼らを処断するためには市民の基本権さえ「留保されうる」と主張する。
 支持者集会の舞台に立った青年たちは、「もともとは政治に関心がなかったか左派だったが、非常戒厳宣布後、不正選挙や反国家勢力などに対して目覚めた」という、いわゆる「啓蒙令(戒厳令の発音と類似)」の告白を果てしなく繰り返した。大統領を批判するすべての人に付けられた「反国家勢力」というレッテル、けん制し合うよう設計された各憲法機関も「同じ穴のムジナ」だという言葉が、自分が目覚めた内容として主に言及された。尹大統領が就任以来用いてきた「反国家勢力」と「カルテル」の入り混じった論理と類似している。カン・サンヒョクさんは「一つひとつ学んでいくことで、大統領がなぜあのような判断を下したのかが分かった」と話した。
 「代弁者」が見出せなかった疎外感を、大統領以外の機関に対する否定と不信の背景として語った青年もいる。地域で就職を準備しているチョン・ミンソンさん(33)は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の就任当初は共に民主党の党員だった。チョンさんは「結局、民主党もそうだし、国民の力も同じだ。20~30代の男性は政策的にも認識的にも社会的孤立があるが、そのようにしてしまったことに対していずれも責任がある」として、「進歩系メディアも保守系メディアも、ある瞬間から同じスタンスになった」と述べた。チョン・ミンソンさんにとって、だから大統領の戒厳宣布は「国会と大統領との対立」だ。戒厳宣布は「否定」と「不信」の対象である社会システム全般を覆す革命である。そう認識されたのだ。与党と野党、立法府と司法府、進歩メディアと保守メディア、すべてが「大統領の敵」、ゆえに「自由民主主義の敵」となったのだ。

◆暴動とその後
 青年A氏はこうして、「内乱罪容疑者」尹大統領の支持者となって、裁判所へと向かう道の一線を越えて暴徒となった。インタビューに応じてくれた3人は、幸いあの日の暴動現場にはいなかった。イ・ジミンさんはソウル西部地裁前に7時間近くいたが、18日の午後9時ごろに離れた。カン・サンヒョクさんとチョン・ミンソンさんはソウル西部地裁前には行っていない。ユーチューブの動画と解説で状況はリアルタイムで見守っていた。
 チョン・ミンソンさんは「暴力は正当性を得ることが難しい」と言いつつも、「国民の抵抗権の実行ではないかと思う。国民の抵抗権に当たるかどうかは、裁判所でもう少し判断を受けるべきだ」と述べた。やがて、改めて混乱に陥った。「でも、司法府が偏向しているので、尹大統領がおっしゃった司法府の正義が正された時にはじめて(判断が)実現する」と話した。イ・ジミンさんとカン・サンヒョクさんは「わざと西部地裁の門を開けてくれた警察」、「進歩メディアの記者の介入」、「警察の過剰鎮圧」など、過激な右派ユーチューブチャンネルなどで接した各種の疑惑を語った。「左寄りのメディアはこれだ!と思って飛びつくんですが、詳しく扱われるべき諸要素があるんですよ、今」(カンさん)。考えは変わっていない。
 「共に最後まで闘う」と述べた尹大統領は、すでに現行犯で逮捕されて拘束の危機あるA氏のような青年に対して、今月20日に弁護人を通じて獄中メッセージを伝えた。「青年たちが多数含まれているということをお聞きになって胸を痛めつつ、物理的な方法で解決しようとすることは、国家的にはもちろん、個人にとっても大きな傷になりうると懸念を表明された」。
 ソウル西部地裁の暴動について、警察は拘束捜査を原則とするなどの強硬対応方針を明らかにした。住居侵入、共用物破損、公務執行妨害、騒擾(そうじょう)などの容疑の適用が検討されている。警察は「最後まで確認し、厳正に処罰する」と述べている。1月19日の裁判所暴動の青年容疑者の数は、捜査が進むにつれて増えるとみられる。

コ・ナリン、チョン・ボンビ、イム・ジェヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-22 05:00


「The Hankyoreh」 2025-01-23 08:23
■韓国の捜査当局、大統領室・官邸の家宅捜索に失敗… 警護処が阻止

【写真】公捜処が尹錫悦大統領の盗聴防止機能付き電話のサーバを確保するため大統領室や官邸などに対する家宅捜索に着手した22日午後、ソウル市龍山区の大統領室の前で関係者が移動している=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の盗聴防止機能付き電話(秘話フォン)のサーバ記録などを確保するために家宅捜索に着手したが、大統領室の反対などによって失敗に終わった。
 公捜処は22日午前、尹大統領が戒厳に動員した軍司令官やチョ・ジホ警察庁長官などに国会封鎖や国会議員の逮捕を指示する際に使用した電話のサーバ記録などを確保するために、大統領室や官邸などに対する家宅捜索を試みた。
 しかし、大統領室の家宅捜索拒否によって失敗に終わった。 公捜処はこの日午後、「大統領室は午後3時ごろ、(家宅捜索令状の)執行を不承認し、本日の国政調査特別委員会の聴聞会の日程などを考慮して官邸の家宅捜索は午後4時50分ごろに執行中止」したことを明らかにした。 大統領官邸を管理する大統領警護処側は公捜処に「責任者であるキム・ソンフン警護処次長が聴聞会に出席しており、承認権者が不在のため、家宅捜索を承諾することは困難」だとする趣旨の意向を表明し、家宅捜索を阻止したことがわかった。

 チョン・ファンボン記者、クァク・チンサン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-22 18:07


「The Hankyoreh」 2025-01-23 07:55
■韓国の20~30代に「弾劾反対」増えたが、尹大統領支持層とみなすのは困難

【写真】内乱罪被疑者の尹錫悦大統領の令状実質審査が開かれた18日午後、ソウル市麻浦区のソウル西部地裁を取り囲む尹大統領支持者たちがシュプレヒコールを叫んでいる=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 大統領弾劾審判が8年ぶりに繰り返された。 これを眺める青年層の世論は、少なくとも指標については大きな違いを示している。 専門家らは、これをただちに尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対する「青年層の支持」と解釈することを警戒しながらも、今後発生しうる極端な政治的分裂を懸念している。
 韓国ギャラップが14~16日に調査した結果によると、尹錫悦大統領の弾劾に反対する20代は25%、30代は29%まで増加した。 12・3内乱事態の直後である先月10~12日と比べると、それぞれ17ポイント、14ポイント増えた。 これは、朴槿恵(パク・クネ)大統領(当時)が弾劾された2016年とは大きく異なる。 朴大統領弾劾訴追案の国会表決を控えた2016年12月、20代は93%、30代は94%が弾劾に賛成した。 事実上「全員」に近い青年が弾劾を求めたのだ。
 このような変化の背景には、一部の男性青年の反フェミニズム感情など、過去8年間に青年層が体験した問題が一時的に拡大したという解釈がまず出ている。 女性が主導する「ペンライト集会」(弾劾要求)の対称点として、尹大統領を支持する動きが男性青年の間で広がったということだ。 成均館大学のク・ジョンウ教授(社会学)は「MeToo運動を起点に、ジェンダー対立が韓国社会の亀裂の中心軸となった」とし、「若者層も男女ともに弾劾に賛成する雰囲気だったが、20~40代の女性たちがペンライトを持って弾劾賛成と社会変化を主導すると、男性たちの間で警戒する雰囲気が形成された。ふたたびジェンダー対立が表面化した状況」だとして、最近の雰囲気を指摘した。
 専門家らは、これを根拠に青年たちが「尹大統領の代表的な支持勢力になった」とみなすのは難しいと考えている。 8年前の弾劾局面とは違う政治地形の影響を無視できないためだ。 朴槿恵大統領弾劾の際にセヌリ党の重鎮議員らは、大統領弾劾を求める声を上げた。 「保守」派の有権者には朴大統領を支持しなくとも頼ることのできる制度圏内の勢力がいたからだ。 しかし、現在は与党政治家の大多数が尹大統領に同調する状況にある。 保守的な政治指向を持つ有権者が「尹大統領支持」以外に向かうところが減っており、これは青年層も同じだ。 実際の全世代の弾劾反対の割合(36%)と比べると、青年層の反対割合は20%台で、いまなお低い水準にある。
ただし、政治的な境界線を「憲政秩序に従わない」尹大統領で経験した青年層の今後の進む道に対する懸念は続く。 徳成女子大学のチョ・ジンマン教授(政治外交学)は「大統領は『不正選挙』『法治は崩れた』と言い、これをユーチューバーが拡散している」として、「尹大統領の罷免や大統領選挙後も、社会的対立のコストを払わなければならない可能性もある」と述べた。

イム・ジェヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-22 07:21


「The Hankyoreh」 2025-01-23 08:43
■イム・ドンウォン元統一部長官「北朝鮮との軍事衝突を誘導した内乱勢力… 許せない」
 「韓半島平和フォーラム」新年討論会 
 「分断体制の弱点を利用 
 民主主義を破壊しようとした」

【写真】イム・ドンウォン元統一部長官が昨年8月21日午前、ソウル中区の韓国プレスセンター国際会議場で行われた金大中生誕100周年フォーラム「荒波の朝鮮半島、大韓民国の道を問う」で基調演説をおこなっている=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 「韓半島平和フォーラム」のイム・ドンウォン名誉理事長(元統一部長官)は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領による12・3非常戒厳と内乱において「最も衝撃的なのは、内乱勢力が北朝鮮を挑発し、軍事的衝突を戒厳の大義名分にしようとしていたということ」だとして、「とうてい許せない」と批判した。
 イム・ドンウォン理事長は22日午後、ソウル鍾路区(チョンノグ)の「盧武鉉市民センター」で行われた韓半島平和フォーラムの新年討論会でのあいさつで、「大韓民国の安保と朝鮮半島の平和を守るべき政府が、分断体制の弱点を利用して民主主義を破壊しようとした」と指摘しつつ、このように述べた。
 イム理事長は「早急に憲政秩序を回復するとともに、民主主義が復元されることを、全国民と共に願う」として、「二度と分断状況を利用して民主主義を破壊する行為が再発しないようにしなければならない」と強調した。

【写真】「韓半島平和フォーラム」のイム・ドンウォン名誉理事長が22日午後、ソウル鍾路区の盧武鉉市民センターで行われた韓半島平和フォーラムの新年討論会であいさつしている=イ・ジェフン記者//ハンギョレ新聞社

 また「第2次トランプ政権」の発足については、「(米国の)トランプ大統領の帰還が世界秩序、特に朝鮮半島の秩序にどのような影響を及ぼすのか関心が高まっているが、変化は常に危機と機会の両面を持つ」とし、「私たちを取り囲む国際秩序の変化は重要だが、より重要なのは私たちがどのように対応するかだ」と強調した。 そして「金大中(キム・デジュン)大統領がクリントン大統領を説得して朝鮮半島平和プロセスを推進したこと、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が朝米を仲裁して歴史的な朝米首脳会談を成功させたことが思い出される」とし、韓国の積極的な「対米説得外交」を求めた。
 イム・ドンウォン理事長は1991年12月の南北基本合意書と朝鮮半島非核化共同宣言、2000年の6・15南北共同宣言の実現に貢献した南北関係史の代表的な重鎮。 同氏は1957年に陸軍士官学校を卒業後、軍人の道を歩んだ。 最初の韓国軍現代化計画である「栗谷(ユルゴク)事業」の立案にかかわり、陸軍少将時代に起きた全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領による軍事クーデターの後に強制的に予備役に編入された。 同氏は軍人時代に「民主国家における軍の役割」を研究するなど、軍の政治不介入を主張し、持論を堅持してきた。

イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-22 16:14


「The Hankyoreh」 2025-01-22 07:56
■「韓国・日本、1965年の基本条約の解釈を統一すべき」 日本の知識人らが声明

【写真】東京大学の和田春樹名誉教授(左から3番目)や月刊誌「世界」の岡本厚元編集長(同4番目)ら日本の知識人と市民社会の人たちが20日、東京の衆議院第二議員会館で記者会見を行っている//ハンギョレ新聞社

 東京大学の和田春樹名誉教授や月刊誌「世界」の岡本厚元編集長など、日本国内の知識人や市民社会の関係者らが、1965年の韓日国交正常化の際に締結した韓日基本条約について、両国の解釈の違いを狭める必要があると訴えた。 また、いまだ決着できていない北朝鮮と日本の国交正常化交渉の再開も要求した。
 和田教授ら学界や市民社会の関係者らは20日、東京の衆議院第二議員会館で声明を発表し、「2025年は、日本の敗戦80年、日韓条約締結60年に当たる。しかし、両国間には依然として植民地支配に根ざす深刻な問題が未解決なままに残っている」として、「日韓基本条約の条文解釈を統一しよう」と提案した。 今回の声名には、日本人と韓国人を含め、あわせて29人が名を連ねた。
 まず、韓日基本条約第2条の「1910年8月22日以前に大日本帝国と大韓帝国との間で締結されたすべての条約及び協定は、もはや無効であることが確認される」という文面の解釈問題を指摘した。 日本政府はこれまで、当時併合は「合意」によってなされたが、1948年に韓国が独立国家となり、現在の条約が「もはや無効」になったという主張を固持してきた。 1910年当時の韓日併合条約に「日本国皇帝陛下は、前条に掲げたる譲渡を受諾し、且全然韓国を日本帝国に併合することを承諾す」という文面があるからだ。 一方、韓国は1910年の条約自体が不法・強圧によって結ばれたものであり、そもそも成立自体がなされていないという立場だ。 昨年には外交部も「韓日強制併合条約は強圧的に締結されたものであり、したがって基本的に無効」だとする立場を明言している。
 これについて和田教授らは、「日本側は日韓基本条約締結時には朝鮮植民地支配を正当化し、謝罪を拒み、反省しなかったということだ。それが禍根を残した」として、「21世紀も4分の1を過ぎた今、前世紀の帝国主義時代の併合を正当化する意味はどこにあるのか」と述べた。 さらに、「(植民地支配に対する)痛切な反省の意」、「心からのお詫びの気持ち」、「民族の誇りを深く傷付けた」などに言及した1995年の村山談話や2010年の菅直人談話などに言及し、「日韓条約第2条の解釈において、日本側が韓国側に近づいた。これが日韓、日朝関係の基調とされるべきだった」と説明した。
 また、「大韓民国政府は、国際連合総会決議第195号(III)に明らかに示されているとおりの朝鮮にある唯一の合法的な政府であることが確認される」と定めた第3条も修正が必要だとする立場を明らかにした。 この条項について、韓国政府は「韓国が朝鮮半島全域における唯一の合法的な政府だと主張」しているが、日本は「韓国の統治権はあくまで国連監視下で選挙が実施された南半部に限定されると主張している」と説明した。 この問題について、「いまでは朝鮮半島に二つの国家が存在していることを誰も否定することはない」として、「日韓条約60年を迎えるに当たって、同条約の基本的条項をめぐるこのような両国間の解釈の相違は正されるべき」だと述べた。
さらに、日朝国交正常化交渉の再開の必要性も主張した。 「日朝国交正常化は、地域の緊張を和らげ、平和醸成に資するものとなる」とし、「韓国市民の運動からも、米朝、日朝の国交を望む声が上がっている」と説明。 また、「敵対から和解へ、対立から協力へ、対等で相互を尊重する精神こそが、真の、そして末永い友好を築く基礎になると私たちは信じる」と明言した。

東京/ホン・ソクジェ特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-20 18:0


「The Hankyoreh」 2025-01-22 07:34
■内乱をすべて否定した尹大統領、憲法裁の弁論を終えて病院に直行
 「物心ついてから、自由民主主義の信念は確固」 
 国会議員を引きずり出すよう指示したかについては「ありません」 
 非常立法機構のメモも「渡していない」

【写真】尹錫悦大統領が21日午後、ソウル鍾路区の憲法裁判所で開かれた弾劾審判の第3回弁論に出席している=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦大統領が21日、憲法裁判所で開かれた弾劾裁判に出席した。 現職の大統領が罷免の可否を審査する弾劾裁判に出て自ら弁論したのは憲政史上初めて。 しかし尹大統領は、国会の非常戒厳解除の議決を阻止するために国会議員を引きずり出せと指示したことはなく、不正選挙の主張は単なる陰謀論ではないと強弁した。
 同日午後12時48分頃、法務部の護送用ワゴン車に乗って京畿道儀旺市(ウィワンシ)のソウル拘置所を出発した尹大統領は、午後1時12分頃にソウル鍾路区斎洞(チョンノグ・チェドン)の憲法裁庁舎に到着し、午後1時58分頃に審判廷に入って座った。 15日に逮捕されてから、公の場に姿を現したのは6日ぶり。
 尹大統領は裁判の開始直後に発言の機会を得て「物心ついてから、これまで特に公職者として自由民主主義という信念一つを確実に持って生きてきた」としたうえで、「いろいろと詳しく検討してださるよう、裁判官の皆様にお願いしたい」と述べた。
尹大統領は同日の裁判で、国会の機能の無力化など内乱の核心となる情況を全面否定した。 「戒厳軍に国会議員を引きずり出せという指示をしたことがあるか」というムン・ヒョンベ憲法裁判所長権限代行の質問には、「ありません」と答えたうえ、チェ・サンモク企画財政部長官に国家非常立法機構に関する予算編成メモを渡したことがあるかという質問にも、「渡していない」と答えた。 また、「戒厳を宣布する前に、様々な選挙の公正性に対する信頼に疑問を感じることが多くあった。陰謀論を持ち上げたわけではなく、事実を確認するためだった」とし、不正選挙の主張が単なる陰謀論ではないと述べた。 憲法裁は、尹大統領側が申請した24人の証人の大半を棄却し、イ・サンミン前行政安全部長官とパク・チュンソプ大統領室経済首席秘書官を証人としてさらに採択した。
 一方、高位公職者犯罪捜査処はこの日の午後、尹大統領を取り調べるために強制拘引を再度試みたが、尹大統領が弁論を終えた後、三清洞の国軍ソウル地区病院に移動して診療を受けてから午後9時過ぎに拘置所に戻ったため、対面調査は失敗に終わった。
 同日、尹大統領の支持者4000人余りが憲法裁近くに集まったが、警察が憲法裁周辺を車壁で囲んで防護を強化し、暴力事態は起きなかった。 尹大統領側のユン・ガプグン弁護士は裁判が終わった後、「特別な問題がない限り、(次の裁判にも尹大統領が)出席するだろう」と述べた。 次の弁論は23日に開かれる。

オ・ヨンソ、チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-21 22:08


「The Hankyoreh」 2025-01-22 10:22
■光復80年と尹錫悦流対日政策の岐路【コラム】

【写真】尹錫悦大統領が2023年8月15日、ソウル梨花女子大学の大講堂で開かれた第78年光復節記念式典で祝辞を述べている=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 毎年この時期、静岡県の温泉休養地の熱海にある「熱海梅園」では梅祭りが行われる。 樹齢100年を超える木が立ち並ぶ熱海梅園で咲き乱れる梅を見ながら歩いていると、懐かしいジャントクデ(甕置き台)が見えてくる。 甕置き台の奥には低い塀と韓国式の瓦などで飾られた「韓国庭園」がある。 韓国庭園は2000年9月、金大中(キム・デジュン)大統領と日本の森喜朗首相が熱海で首脳会談を行ったことをきっかけに梅園の中に作られたもので、韓日W杯が開かれた2002年夏に開園した。 春の日、梅園の中の韓国庭園を見ていると、韓日関係の春を思い出す。
 韓国庭園の開園の4年前である1998年10月、金大中大統領と小渕恵三首相は、金大中-小渕宣言と呼ばれる「韓日共同宣言-21世紀に向けた新たな韓日パートナーシップ」を発表した。 当時、日本は「過去の一時期韓国国民に対し植民地支配により多大の損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受けとめ、これに対し、痛切な反省と心からのお詫び」をすると述べており、韓国は日本の「歴史認識の表明を真摯に受けとめ、これを評価すると同時に、 両国が過去の不幸な歴史を乗り越えて和解と善隣友好協力に基づいた未来志向的な関係を発展させるためにお互いに努力することが時代の要請」だと答えた。 同宣言は、韓日関係の新しい1ページを開いた宣言と評価される。
 金大中-小渕宣言は、韓国最高裁の強制動員被害賠償判決をめぐり韓日が激しく対立した2018年、再び注目を浴びた。 金大中-小渕宣言30周年をきっかけにし、悪化した韓日関係を改善しようという動きが現れた。 金大中-小渕宣言をさらに発展させる新たな宣言作りに向けて論議しようという声もあがった。 ところが、このような議論にはそれほど大きな進展がなかった。 金大中-小渕宣言は歴史問題に対する日本の反省とこれに対する韓国の評価を基盤としていたが、強制動員被害賠償問題で対立する状況ではこのような基盤を確認することが難しかった。
 韓日外交関係の改善は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の開幕とともに訪れた。 2022年に就任した尹大統領は、文在寅(ムン・ジェイン)政権とは正反対の道を歩むことを心に決めたかのように、韓日外交関係を積極的に改善するために走り始めた。 韓日外交関係を改善する必要があることについてはほとんどが共感していたが、問題は尹政権が韓国の相次ぐ譲歩で関係改善を推し進めたことにあった。 金大中-小渕宣言の一軸である歴史問題に対する日本の反省は抜け落ち、「未来志向的な関係発展」という言葉が繰り返された。
 2023年3月、尹政権が日本の加害企業の代わりに韓国の財団が最高裁の確定判決を受けた被害者に判決金と遅延利子を支給する方式の第三者弁済案を発表すると、日本政府は喜んだ。 尹政権は日本の「誠意ある呼応」を望むとしたが、そのような呼応がないまま、外交関係の改善が進んだ。 大規模な朝鮮人強制動員が行われた佐渡鉱山をめぐり、日本が強制労働を認めなかったにもかかわらず、尹政権はユネスコ文化遺産の登録に賛成した。 日本のマスコミは韓日関係改善に向けた「尹大統領の勇気」を賞賛したが、尹政権の一方的譲歩に基づいた韓日外交関係の改善の土台は弱かった。
 今年は光復80年と韓日国交正常化60年を迎える節目の年で、韓日関係と関連した新しい宣言作りに向けた動きが再び現れている。 しかし、日本政府が太平洋戦争敗戦80年を迎える8月15日に発表するであろう談話は、過去より後退するかもしれないという懸念が大きい。 日本政府は戦後50年の1995年、日本の植民地支配と周辺国侵略に対する反省とお詫びを明示した「村山談話」を発表した。 歴代の日本政府は村山談話を継承してきたが、戦後70年を迎えた2015年に安倍晋三首相が発表した「安倍談話」では「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」とし、実質的に後退した。 岸田文雄首相も昨年4月の米国議会での演説で、歴代の日本首相とは違って、過去の反省について全く言及しなかった。
 尹大統領は19日、内乱首謀の容疑で拘束された。 尹大統領が推し進めた土台の弱い対日政策も、まもなく岐路に立たされるものとみられる。

チョ・ギウォン | 国際部長(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力: 2025-01-21 07:45


「The Hankyoreh」 2025-01-22 08:33
■【社説】捜査を拒否し、憲法裁でも極右の動きを煽った尹大統領

【写真】尹錫悦大統領が21日、憲法裁判所で開かれた弾劾審判の3回目の弁論期日に出席した=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は憲法裁判所の弾劾審判弁論期日に初めて出席し、12・3違法非常戒厳の正当性を主張しながら、「不正選挙陰謀論」を持ち出した。 でたらめな陰謀論を法廷でも堂々と展開したのだ。 高位公職者犯罪捜査処の調査は拒否し、弾劾審判に出席し続けようとする意図は、不正選挙を信じる極右勢力の蠢動(しゅんどう)を煽ろうとしているのではないかという疑念を抱かせる。
 21日、憲法裁で開かれた3回目の弁論期日に出席した尹大統領と代理人団は、極右ユーチューバーの主張をそのまま繰り返した。 「中央選挙管理委員会の電算システムのハッキング説」、「事前投票操作説」など、すでに事実無根であることが明らかになった様々な陰謀論をオウムのように繰り返した。 2回目の弁論期日にも代理人団が同じ主張をしたが、中央選挙管理委員会がすでに詳しく反論した。 にもかかわらず、尹大統領は同日、「不正選挙疑惑を確認するための非常戒厳令」を宣布したと、詭弁を並べ立てた。 妄想に囚われ、自分が信じたいものに陥り、合理的な判断ができないのだ。 かつて尹大統領と不正選挙論を巡り舌戦を繰り広げたユ・ギョンジュン元「国民の力」議員は最近、あるメディアのインタビューで、尹大統領が不正選挙の根拠として「5~10ポイント優位の事前予測より少ない0.73%ポイント差で勝った」ことを挙げたと伝えた。 話が通じない人だ。
 尹大統領は、自分が宣布した非常戒厳そのものが違憲的だという事実はさておき、むしろ国会の非常戒厳解除議決が違法だとも主張した。 ウ・ウォンシク国会議長が「国会法に合わない(非常戒厳解除)決議をした」という詭弁を並べた。 これは国会の戒厳解除要求決議案が通過した後にもイ・ジヌ前首都防衛司令官に「2回、3回戒厳令を宣言すれば良いから、引き続き進めろ」という指示を下した理由を示すものだ。 尹大統領はまた、軍将官たちの検察陳述をすべて「フェイクニュース」だと非難した。 チェ・サンモク副首相に「非常立法機構の予算を用意するよう」指示した内容が含まれたメモを渡した事実さえ否定した。 「手のひらで空を覆う」(浅はかな手段で過ちを隠すこと)とは正にこのことだ。
 その一方で、尹大統領は同日、「自由民主主義という信念一つをしっかり持って生きてきた」と述べた。 尹大統領の発言は、このように居直りの言葉で満ちており、でたらめや詭弁、そしてあまりにも明らかな事実に対する嘘が大半だ。 今後も憲法裁の弾劾審判弁論と捜査機関の捜査が続くだろう。 尹大統領が国民の前で最後に謝罪する道は、率直に事実を打ち明け、捜査に十分に協力することだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-21 18:42


「The Hankyoreh」 2025-01-22 10:01
■尹大統領、非常立法機関メモ「渡していない」と主張… 元検察総長の「1逃2否」

【写真】尹錫悦大統領が21日午後、ソウル鍾路区の憲法裁判所で行われた弾劾審判の3回目の弁論に出席し、チャ・ギファン弁護士と話している=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 21日午後、憲法裁判所の弾劾審判の3回目の弁論に出席した尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、内乱の最重要証拠の一つである「非常立法機関の予備費を確保せよ」という文書のことは知らないと主張した。 チェ・サンモク大統領権限代行副首相兼企画財政部長官は先月の国会で「12・3非常戒厳の宣布直後、尹大統領からこのメモを渡された」と証言している。 一般の刑事犯たちが見せる「第一に逃げ、第二に否認(1逃2否)」の様相を、元検察総長である大統領が示しているという批判があがっている。
 この日、ムン・ヒョンベ憲法裁判所長権限代行は、尹大統領に「国家非常立法機関の関連予算を編成せよというメモを(チェ・サンモク)企画財政部長官に渡したことがあるか」と質問した。
尹大統領は「私はそれを渡したこともなく、戒厳を解除してかなりたってから、報道でメモが出てきたということを記事で見た」と主張した。 そして「記事の内容も不正確で、それを作れる人は国防部長官しかいないが、長官はその時に拘束されていたため、具体的に確認できなかった」と答えた。
 尹大統領の主張を総合すると、非常立法機関に関する文書の存在は報道を通じて知り、文書はキム・ヨンヒョン前国防部長官(拘束起訴)が作成したのだろうというもの。 前日、キム前長官側は「その文書はキム前長官が作成した。しかし(非常立法機関は)国会代替とは無関係だ」と主張している。
 2人の主張は、チェ・サンモク権限代行の証言やメモの内容などからみて、共犯関係にある容疑者たちにみられる典型的な否認戦略だとみられる。
 チェ権限代行は先月、国会に出席し、尹大統領から非常立法機関に関する文書を受け取った時間とその際の状況を次のように説明している。
「(大統領が)戒厳を発表して出るときに、突然私に参考にしろとして折りたたんだ紙を渡した。大統領が自分で渡したのではないと記憶している。 大統領が退場する際に私の名を呼び、私を見て参考資料、これを参考にしろと言い、隣の誰かが私に折りたたまれている資料を一つ渡してきた」
 すなわち、昨年12月3日夜、非常戒厳を宣言し、龍山(ヨンサン)の大統領室の大接見室に改めて入ってきた尹大統領が「チェ・サンモクに文書を渡せ」と指示し、現場にいた誰かが事前に出力してあった文書を渡したということだ。
 「私が渡したことはない」という尹大統領の主張は、実状は「私が渡せと指示して、そばにいた別の人物が代わりに渡した」という事実を巧妙にねじ曲げたものだ。
尹大統領の主張が事実なら、チェ権限代行は国会で、大統領に容疑をなすりつける偽証をおこなったことになる。 企画財政部は尹大統領の主張について「既存の国会答弁などを参考にせよ」と述べている。 尹大統領の主張は事実ではないということだ。
 キム・ヨンヒョン前長官の起訴状では、尹大統領がチェ権限代行に渡したこの文書が特に重視されている。 起訴状に記されている文書の内容は、予備費を早急に十分に確保して報告すること▽国会関連の各種補助金や支援金、各種賃金など、現在運用中の資金を含めて完全遮断すること▽国家非常立法機関の関連予算を編成すること、などだ。
 国会の機能を全面停止させ、別の立法機関を設けるというもので、「国会代替とは関係ない」というキム前長官の主張とは真逆だ。
 検察は、この文書の内容などを根拠として「国会を無力化させた後、別の非常立法機関を創設して憲法上の国民主権制度、議会制度、政党制度などの自由民主的基本秩序を破壊するという国憲紊乱(びんらん)を目的として暴動を起こした」と述べている。
 18日にソウル西部地裁で行われた尹大統領の拘束前被疑者尋問では、判事に非常立法機関の創設の意図を問われ、尹大統領は「私が書いたのかキム・ヨンヒョンが書いたのか、はっきりと覚えていない」として、重大な容疑を転嫁するような回答をおこなっている。 それでも拘束令状が発行されたことから、今度は文書のことはまったく知らないとしらを切ったのだ。
 法曹界からは、例のない逮捕状執行拒否に続く、国憲紊乱が目的だったことを示す重大な証拠をひとまず全面否定する尹大統領の無理な弁論戦略は、「ひとまず逃げ、つかまったら否認し、それでもだめなら後ろ盾を使う」という刑事犯の「1逃2否3背」の拡張版だとの批判の声があがっている。 「元検察総長の大統領がメンツをすべてかなぐり捨てるほど切羽詰まっている」(元検察官の法曹人)ということだ。

キム・ナミル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-21 17:58


「The Hankyoreh」  2025-01-22 02:18
■尹大統領「不正選挙のファクトを確認するため戒厳… 陰謀論提起ではない」
 
【写真】尹錫悦大統領が21日午後、ソウル鍾路区斎洞の憲法裁判所で行われた弾劾審判の3回目の弁論に出席し、被請求人席に座っている=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 憲法裁判所の弾劾裁判に出席した尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が「不正選挙主張は陰謀論ではない」として、不正選挙を捜査する必要性があるため非常戒厳を宣布したのだと主張した。
 尹大統領は21日、憲法裁の大審判廷で行われた第3回弁論に出席。 裁判終了間際に発言の機会を自ら要請し、「(請求人代理人団は)不正選挙疑惑は陰謀論だ、戒厳を正当化したものだと、事後に作った論理だとおっしゃったが、すでに戒厳を宣布する前に、このような様々な選挙の公正性に対する信頼に疑問を抱く事項が多くあった」と述べた。
 続けて尹大統領は、「2023年10月に国家情報院が中央選挙管理委員会の電算装備のごく一部を点検したところ、問題が多かったため、不正選挙そのものを摘発しろというのではなく、選管の電算システムを全般的にスクリーンできるならやってみろ、どんな装備があり、どんなシステムが稼動しているのか。 そういうことなので、私たちは選挙が不正だから信じられないという陰謀論を提起しているのではなく、ファクトを確認せよという観点からのものだったということを理解してほしい」と語った。
尹大統領は、非常戒厳を宣布した直後に国会に戒厳軍を投入したのは、国会の戒厳解除要求決議案の採決を妨害しようとしたものではないと主張した。 尹大統領は「(国会のCCTVを見ると)軍人たちは本庁舎に進入したが、職員たちが抵抗するものだから自ら出て行っているではないか。いくらでももっと奥に入れるのに」と述べた。 国会制圧が失敗したのは市民の抵抗と戒厳軍の消極的な作戦遂行によるものであるにもかかわらず、結果論を持ち出して国会の権能を無力化する意図はなかったと主張しているのだ。
 尹大統領はまた、「戒厳解除要求決議は、実は私も放送を見ていたが、議員たちの間でも国会議長との関係で『早くしましょう』と言っており、ウ・ウォンシク国会議長は『手続きを踏まなければならないのではないか』と言いながら、国会法に合わないそのような迅速な決議をした」とも述べた。 何の根拠もなしに、国会の戒厳解除要求決議は「国会法に合わない」と主張したのだ。 尹大統領は国会による戒厳解除要求決議があがってからも、決議は違法だと主張して受け入れようとしなかったのではないか。 そう疑うに値する内容だ。
 この日、国会側の代理人団は、戒厳解除要求が決議されてからも国会議長公館の周囲に戒厳軍がとどまっている様子を撮影したCCTV映像を公開した。 これに対して尹大統領は、「まるで午前2時に(国会議長を)逮捕するかのように(請求人側は主張)していたが、私が思うに、おそらく退却する過程で起こっていることのようだ」とし、「それを当時は阻んだり延期したりしたからといって、阻まれるものではないということを申し上げたい」と述べた。
 23日の第4回弁論では、キム・ヨンヒョン前国防部長官の証人尋問が予定されている。 この日、国会側の代理人は、尹大統領が退廷した状態での証人尋問を裁判所に要請したが、尹大統領はこれに対して「弾劾裁判というのは刑事訴訟手続きに準じて行うものであり、私は職務停止されている状態なので(証人たちに)影響力も行使できない」、「そしてこの事件の内容を最もよく知る人間は、まさに被請求人である大統領、私自身だ。 そのような主張は理解できない」と反論した。
 現職大統領であるということから生じる影響力のせいで、証人が尹大統領の発言に反する証言に困難をきたす恐れがあるため「分離」を主張したものだが、尹大統領は受け入れられないと反発したのだ。

オ・ヨンソ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-21 16:14
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「韓国政府、日本外相の「独島は日本領土」発言に日本公使を呼んで抗議」

2025年01月25日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「The Hankyoreh」 2025-01-25 06:59
■韓国政府、日本外相の「独島は日本領土」発言に日本公使を呼んで抗議
 韓国政府は24日、日本の外相が独島(トクト)に対する不当な領有権主張を繰り返したことに対し、「日本のいかなる挑発にも断固として対応していく」として強く抗議した。外交部は同日、駐韓日本大使館の實生泰介総括公使を外交部庁舎に呼び、このような意思を伝え、即時撤回を強く求めた。
 外交部はこの日、報道官声明を発表し、「日本政府の不当な主張が独島に対する韓国の主権に何ら影響も及ぼさないという点を明確にし、日本のいかなる挑発にも断固として対応していく」と批判した。
 日本の岩屋毅外相がこの日、通常国会の外交演説で、「歴史的事実に照らしても、国際法上も、日本固有の領土であるとの基本的な立場に基づき、毅然と対応していく」と発言したことに対して抗議したのだ。岸田文雄前首相が外相だった2014年の外交演説で「我が国固有の領土である竹島」と言及して以来、日本の外相たちは12年間にわたり、外交演説で独島が日本の領土だという主張を繰り返している。
 外交部は「独島は歴史的・地理的・国際法的に明確に大韓民国固有の領土」だとし、「独島に対する不当な主張を繰り返すことが未来指向的な韓日関係の構築に何の助けにもならない点を明確に気づかなければならない」と述べた。
 また同日、キム・サンフン外交部アジア太平洋局長は、實生泰介駐韓日本大使館総括公使を外交部庁舍に呼んで、抗議の意を伝えた。マスクをつけて庁舎に入場した實生公使は「国交正常化60周年なのに前とは違うメッセージを出すつもりはないのか」と尋ねる取材陣の質問に何も答えなかった。
 一方、岩屋外相は不当な独島領有権を主張しながらも、韓国を「国際社会の様々な課題にパートナーとして協力すべき重要な隣国」と述べるなど、二重の姿勢を見せた。さらに「今般の韓国国内の一連の動きについては、引き続き特段かつ重大な関心をもって注視していくが、現下の戦略環境の下、日韓関係の重要性はいささかも変わらない」とし、韓国との意思疎通を続けていくと補足した。

シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓l国語原文入力:2025-01-24 17:41

「聯合ニュース」 2025.01.24 17:20
■日本外相の独島領有権主張 韓国政府が強く抗議
【ソウル聯合ニュース】韓国外交部は24日、報道官声明を出し、日本の岩屋毅外相が同日の衆院本会議で行った外交演説で独島を「日本の領土」と主張したことに対し強く抗議した。
 声明は「日本政府が独島に対し再び不当な主張をしたことに強く抗議する」とし、主張を直ちに撤回するよう求めた。
 その上で「日本政府の不当な主張は独島に対する韓国の主権に何ら影響を及ぼさないことを改めて明確にする」とし、「日本のいかなる挑発に対しても断固たる対応を取っていく」と強調した。
 また「日本政府は歴史的、地理的、国際法的に明白なわが固有の領土である独島に対する不当な主張を繰り返すことが、未来志向の韓日関係構築に何の役にも立たないという点を明確に自覚しなければならない」と表明した。
 外交部の金相勲(キム・サンフン)アジア太平洋局長は、在韓日本大使館の實生泰介総括公使を同部庁舎に呼び、抗議の意を伝えた。


「中央日報日本語版」 2025.01.23 15:38
■日本領土問題担当相「竹島に関する立場の発信強化」発言に徐坰徳教授「無礼」

【写真】徐坰徳(ソ・ギョンドク)教授。[写真 韓国文化財財]

 坂井学領土問題担当相が最近国内外に向けて独島(トクド、日本名・竹島)などに関連した日本の立場発信を強化していくと語ったことに対して誠信(ソンシン)女子大学の徐坰徳(ソ・ギョンドク)教授が「無礼だ」と指摘した。

【写真】旭日旗退治キャンペーンを展開した徐坰徳教授

 徐教授は22日、自身のソーシャルメディア(SNS)を通じて「共同通信によると、坂井領土問題担当相は独島と尖閣(中国名・釣魚島)諸島などに関する日本の立場を紹介する巡回展に出席してこのような妄言を吐いた」と明らかにした。
 また「日本の閣僚が韓国の混乱に乗じてこのように発言するのは実に無礼なこと」としながら「独島は歴史的、地理的、国際法的に明白な大韓民国の領土のため」と強調した。
 続いて「展示館が4月に体感型展示物などを補充してリニューアルオープンすれば独島に関する誤った部分をまず把握した後に積極的に対応していく」と説明した。
 報道によると、坂井領土問題担当相は20日、国立展示施設「領土・主権展示館」が東京・丸の内の商業施設で開催中の巡回展を訪問して「領土の保全は日本が直面している大変重要な課題だ。内外発信を強化したい」と述べた。
 あわせて「国際情勢が厳しさを増す中、領土への理解を深め、取るべき対応を考える機会になってほしい」と付け加えた。


「The Hankyoreh」 2025-01-22 07:56
■「韓国・日本、1965年の基本条約の解釈を統一すべき」 日本の知識人らが声明

【写真】東京大学の和田春樹名誉教授(左から3番目)や月刊誌「世界」の岡本厚元編集長(同4番目)ら日本の知識人と市民社会の人たちが20日、東京の衆議院第二議員会館で記者会見を行っている//ハンギョレ新聞社

 東京大学の和田春樹名誉教授や月刊誌「世界」の岡本厚元編集長など、日本国内の知識人や市民社会の関係者らが、1965年の韓日国交正常化の際に締結した韓日基本条約について、両国の解釈の違いを狭める必要があると訴えた。また、いまだ決着できていない北朝鮮と日本の国交正常化交渉の再開も要求した。
 和田教授ら学界や市民社会の関係者らは20日、東京の衆議院第二議員会館で声明を発表し、「2025年は、日本の敗戦80年、日韓条約締結60年に当たる。しかし、両国間には依然として植民地支配に根ざす深刻な問題が未解決なままに残っている」として、「日韓基本条約の条文解釈を統一しよう」と提案した。今回の声名には、日本人と韓国人を含め、あわせて29人が名を連ねた。
 まず、韓日基本条約第2条の「1910年8月22日以前に大日本帝国と大韓帝国との間で締結されたすべての条約及び協定は、もはや無効であることが確認される」という文面の解釈問題を指摘した。日本政府はこれまで、当時併合は「合意」によってなされたが、1948年に韓国が独立国家となり、現在の条約が「もはや無効」になったという主張を固持してきた。1910年当時の韓日併合条約に「日本国皇帝陛下は、前条に掲げたる譲渡を受諾し、且全然韓国を日本帝国に併合することを承諾す」という文面があるからだ。一方、韓国は1910年の条約自体が不法・強圧によって結ばれたものであり、そもそも成立自体がなされていないという立場だ。昨年には外交部も「韓日強制併合条約は強圧的に締結されたものであり、したがって基本的に無効」だとする立場を明言している。
 これについて和田教授らは、「日本側は日韓基本条約締結時には朝鮮植民地支配を正当化し、謝罪を拒み、反省しなかったということだ。それが禍根を残した」として、「21世紀も4分の1を過ぎた今、前世紀の帝国主義時代の併合を正当化する意味はどこにあるのか」と述べた。さらに、「(植民地支配に対する)痛切な反省の意」、「心からのお詫びの気持ち」、「民族の誇りを深く傷付けた」などに言及した1995年の村山談話や2010年の菅直人談話などに言及し、「日韓条約第2条の解釈において、日本側が韓国側に近づいた。これが日韓、日朝関係の基調とされるべきだった」と説明した。
 また、「大韓民国政府は、国際連合総会決議第195号(III)に明らかに示されているとおりの朝鮮にある唯一の合法的な政府であることが確認される」と定めた第3条も修正が必要だとする立場を明らかにした。この条項について、韓国政府は「韓国が朝鮮半島全域における唯一の合法的な政府だと主張」しているが、日本は「韓国の統治権はあくまで国連監視下で選挙が実施された南半部に限定されると主張している」と説明した。この問題について、「いまでは朝鮮半島に二つの国家が存在していることを誰も否定することはない」として、「日韓条約60年を迎えるに当たって、同条約の基本的条項をめぐるこのような両国間の解釈の相違は正されるべき」だと述べた。
 さらに、日朝国交正常化交渉の再開の必要性も主張した。「日朝国交正常化は、地域の緊張を和らげ、平和醸成に資するものとなる」とし、「韓国市民の運動からも、米朝、日朝の国交を望む声が上がっている」と説明。また、「敵対から和解へ、対立から協力へ、対等で相互を尊重する精神こそが、真の、そして末永い友好を築く基礎になると私たちは信じる」と明言した。

東京/ホン・ソクジェ特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-20 18:02


「東亞日報」 January. 18, 2025 08:56
■光復80年、まだ閉じ込められた靖国の「囚人」たち
 林茂雄、沈相鳳、石岡俊植、海本順玉、豊原匡雄…。いずれも太平洋戦争当時、1945年2、3月の硫島戦闘で命を落とした朝鮮人の名前だ。日本によって強制動員された彼らの死因は、「玉砕」と記録されている。死亡当時の年齢はほとんどが20代前半から半ばで、18歳もいた。他民族の侵略戦争に強圧と懐柔で連れて行かれ、犬死にしなければならなかった青年たちの心境はいかばかりか。
 韓国が日本から解放されて80年が経ったにもかかわらず、故人はまだ靖国神社に囚われている。朝鮮人軍人と軍属は硫黄島に少なくとも200人いたが、死亡した137人が後に全員靖国神社に合祀された。霊というものが存在するなら、納得できるだろうか。自分たちを死に追いやった言葉、「天皇のために喜んで死んだ」人々の一部になっていることを。
 靖国神社の韓国人無断合祀の撤回を求める強制動員被害者遺族の訴訟が17日、またもや棄却された。靖国神社に韓国人約2万人が合祀されていることを知った遺族は、2001年、07年に日本の裁判所に合祀撤回訴訟を起こしたが、棄却された。13年、遺族27人が起こした3度目の訴訟も同日、最高裁判所で最終敗訴したのだ。
 遺族たちは、「侵略戦争の精神的支柱、侵略者たちが合祀された靖国神社に私の父と兄弟を合祀したのは、愚弄と侮辱と言わざるを得ない」と合祀撤回を求めた。「息子まで日本に奪われたと泣き叫んだ祖母の姿が鮮明に記憶に残っている。なぜ私の父を日本のために、『天皇』のために死んだ人として扱うのですか」(陸軍軍属として動員され、パラオで死亡したイ・ミョングさんの息子ナクホさん)。「家族がいるのに、死亡したことすら知らせず、合祀することも言わないなんて。今も植民地時代ですか」(海軍軍属として動員され、北太平洋で死亡したドン・ソンホンさんの息子ジョンナムさん)。
 裁判所は、「他者の信仰行為に対して寛容であるべき」という理由で請求を棄却してきた。歴史の加害者が被害者に「寛容」を求めたのだ。「合祀対象者の名前が外部に公表されず、名誉が毀損されたとはいえない」とも述べ、今回は「国が戦没者名簿を提供したことは違法ではない」という結論まで出した。いずれも核心を回避し、遺族を絶望させる言葉だ。
 日本側は最低限の一貫性もなかった。以前、裁判所は合祀された朝鮮人が、「日本人として死んだ」という靖国神社の主張を受け入れた。しかし、日本政府は韓国人に「日本人の遺族として」援護金を支給したことはない。「シベリア抑留者」給付金でも韓国人と台湾人は除外した。遺骨収拾問題でも知らんぷりで回避した。韓国人が自分たちの都合のいい時だけ日本人になれるのか。
 侵略戦争の中核だった靖国神社に植民地出身者を合祀しているのは、日本がいまだに誤った過去と断絶できていないことを示している。高橋哲哉東京大学名誉教授は、合祀された人々を「英霊という名の囚人」と言った。今年は韓日国交正常化60年だ。日本が一歩でも未来に進もうとするのなら、真っ先に解放しなければならないのは彼らだろう。


「東亞日報」 January. 13, 2025 08:47
■敗戦80年、日本の戦後歴史認識に注目する
 昨年12月、茨城県笠間市にあるかつて神風特攻隊が訓練した基地を訪れたのは偶然だった。特攻隊の特別展示を紹介するテレビ番組を見て、一瞬目が離せなかった。「特攻を命じた側(指揮官)と命じられた側(兵士)、双方から見た戦争の悲劇を想像してほしい」という展示担当者の呼びかけは、平均的な日本人の戦争認識を示しているのではないかと思った。
 現在、精神科病院があるこの場所は、80年前は特攻隊部隊だった海軍航空隊司令部だった。1944年に航空隊司令官に就任した岡村基春大佐は、特攻隊を指揮した。この部隊は太平洋戦争中、日本最大の地上戦だった沖縄戦で、世界史に類を見ない「自殺特攻」を強行した。にもかかわらず戦争を起こしたことに対する反省はほとんど見られない。戦争を美化しない普通の日本人も、「私たちが誤った」という反省ではなく「二度と戦争はあってはならない」という言葉だけを繰り返す。
 神風特攻は、単に米軍の空母に自国の戦闘機を突っ込んだ無謀な作戦ではない。日本という国家のために自国民と植民地民まで戦争の犠牲にした極端な戦争犯罪である。敗戦後、日本軍はかなりの数の戦争記録を焼却処分したが、韓国人が犠牲になった痕跡をすべて消すことはできなかった。80年前に韓国人を乗せて沈没した浮島丸の乗船者名簿、韓国人が強制徴用された佐渡金山の「朝鮮人煙草配給名簿」などに名前だけ残っている韓国人は、これまでにもどのように連れて行かれ、ひどい差別に苦しめられたのか真相が明らかにされていない。
 日本では今年、昭和100年、戦後80年を大々的に注目している。戦争の暴走と敗戦、経済復興につながる昭和の時代を振り返り、80年間続けてきた平和国家の歩みを続けるという決意だ。天皇は、日本で戦争を象徴する地域である沖縄、広島、長崎を回る「慰霊の旅」にも出る予定だ。
 しかし、「戦後の反省」については、責任ある日本の政治家は誰も積極的に発言しない。石破茂首相は年頭記者会見で、「戦後80年の節目を迎え、国際の平和と安全を維持するために、我が国としていかなる役割を果たすべきかを改めて考え、実践する1年にしたい」と述べただけだ。ここには過去がない。過去がないのだから、当然、反省もない。
 2000年代に入って日本は歴史に沈黙し、歪曲する国となった。特に2015年8月14日、安倍晋三元首相が「戦後70年談話」で、戦争とは何の関わりのない世代に「謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」と宣言して以降、このような傾向が強くなった。敗戦後に何度も謝罪したのだから、もう謝罪はしないということだった。その後の日本政府の右傾化は周知の通りだ。教科書から「従軍慰安婦」表現の削除を主導した菅義偉元首相、韓国政府の元徴用工賠償最高裁判決の解決策に「歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」とだけ明らかにした岸田文雄前首相などの行動は、変わらない日本政府の歴史認識を示している。
 敗戦80年であり、韓日国交正常化60年である今年は、韓日関係改善及び協力強化を飛躍的に図るべき時だ。しかし、これには真摯な日本の歴史認識が必須だ。今日の岩屋毅外相の訪韓は、韓国に対する日本の「戦後80年、国交正常化60年」政策を示す出発点だ。韓国の政治状況を言い訳に適当に曖昧にすれば、誰が大統領になったとしても、韓日関係の改善は期待できないだろう。
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「「不正選挙は嘘」米議会襲撃で有罪の女性、トランプ氏の恩赦を批判」

2025年01月25日 | 個人史・地域史・世界史
「東亞日報」 January. 24, 2025 08:26
■「不正選挙は嘘」米議会襲撃で有罪の女性、トランプ氏の恩赦を批判
 「あの日、私たちは間違っていた。恩赦を受け入れることは、議会警察官、法の支配、そして国に対する侮辱になる」
 2020年の米大統領選挙の結果に不満を抱き、翌年1月6日に連邦議会議事堂襲撃事件に加担して懲役刑を受けた70代の女性、パメラ・ヘムフィルさんが、襲撃事件で罪に問われた人たちに対してトランプ大統領が恩赦を与えることを批判した。
 22日(現地時間)、米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、襲撃事件に加わって懲役60日と保護観察3年を言い渡されたヘムフィルさんは、SNSで「MAGA(米国を再び偉大に)granny(おばあちゃん)」というニックネームでも有名になった。
 しかし、ヘムフィルさんは同日、「もうトランプ氏を支持しない」とし、「不正選挙があったというのも嘘だ」とし、「恩赦を受け入れることは、(トランプ氏側の)ガスライティングと虚偽の話に貢献することになる」とし、「トランプ政府が歴史を書き換えようとしているが、私はそのようなことの一部になりたくない」とトランプ氏の恩赦措置を批判した。
 ヘムフィルさんは、襲撃事件に加わったことについては、「当時、批判的な思考を失った」とし、「私は、自分がカルト集団にいたことを知った」と話した。ヘムフィルさんはカウンセラーが考えを変えるのに役立ったとも語った。
 トランプ氏は20年の大統領選敗北後、不正選挙疑惑を提起し、支持者らはバイデン氏の大統領就任を阻止するために連邦議会議事堂を襲撃した。トランプ氏は就任初日の20日、暴動の首謀者ら事件関係者約1500人に恩赦を与え、14人に減刑を命じて物議を醸している。
 キム・ボラ記者 purple@donga.com
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「「ウクライナの日本人義勇兵死亡」 東部前線近く、親ロ派主張」

2025年01月24日 | 朝鮮史
「時事通信」 2025年01月23日22時00分
■「ウクライナの日本人義勇兵死亡」 東部前線近く、親ロ派主張

【写真】ウクライナのザポロジエ州フリャイポレの前線近くに展開するウクライナ兵=2022年4月(EPA時事)

 ロシア国営メディアは23日、同国が侵攻するウクライナ南部ザポロジエ州で、ウクライナ軍の義勇兵として戦っていた日本人が死亡したと伝えた。同州の親ロシア派幹部を務めていたロゴフ氏が22日に通信アプリ「テレグラム」で明らかにした。現場はウクライナ軍が支配する同州フリャイポレ。前線に近く、20日にロシア軍の砲撃によって戦死したという。
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「西部地裁の極右暴動で7人の警察官が重傷…「損害賠償の請求を検討」=韓国」

2025年01月21日 | 韓国で
「The Hankyoreh」 2025-01-21 10:26
■西部地裁の極右暴動で7人の警察官が重傷…「損害賠償の請求を検討」=韓国
 51人負傷

【写真】18日、ソウル麻浦区のソウル西部地裁付近。尹錫悦大統領の乗った法務部の護送車と警護車両がソウル拘置所に向かっている/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の拘束に反発した支持者がソウル西部地裁に侵入して暴動を起こした過程で、51人の警察官が負傷した。うち7人は重傷。
 警察庁が野党「共に民主党」のヤン・ブナム議員室に29日に提出した資料によると、尹大統領の令状実質審査が行われていた18日夕刻に警官34人(重傷3人)、拘束令状が発行された19日未明に17人(重傷4人)が負傷した。指の骨折、靭帯(じんたい)損傷、頭や膝の裂傷などが主な被害だ。これについて警察は「損害賠償の請求を積極的に検討する」と表明した。
 警察が提出した資料によると、18日夕刻と夜、3万5000人あまりの弾劾反対派が麻浦(マポ)警察署前で未届け集会を行い、そのうち1300人あまりが翌日明け方までソウル西部地裁の正門と裏門で集会を続けた。この過程で警官に暴行したり、車を傷つけたりした疑いで40人が検挙された。
 令状発付が報じられた午前3時以降、裏門周辺に集結していた300人あまりがガラスびん、石などで出入り口を破壊したり柵を乗り越えたりして裁判所の敷地内に入ろうとした。うち100人あまりが1階の外壁とガラス窓を破って内部に侵入。そのうち43人が検挙された。午前4時30分ごろには、20人が裁判所周辺にあったバイクなどを裁判所の敷地内に運んでバリケードを築き、警察に暴力を振るって3人が検挙された。騒動は午前6時30分になってようやく完全鎮圧された。

コ・ギョンジュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-20 14:02


「The Hankyoreh」 2025-01-21 10:08
■「押し出された」と信じる人々の劣等感が「新極右連合」の動力=韓国
 韓国学中央研究院宗教学科のハン・スンフン教授インタビュー

【写真】尹錫悦大統領の支持者がソウル麻浦区のソウル西部地方裁判所に乱入した19日未明、同地裁前に太極旗が打ち捨てられている/聯合ニュース

 今月19日午前3時、ソウル麻浦区(マポグ)のソウル西部地方裁判所。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の拘束令状発付のニュースは、300人あまりの尹大統領支持者を刺激した。「判事を見つけ出す」と言いながら入口という入口をすべて破壊した大統領支持者らは、裁判所の中をめちゃくちゃにした。現行犯逮捕90人、半数を超える人々が20~30代の若者だった。
 同日午前、ソウル鍾路区(チョンノグ)の東和免税店前で行われた「全国主日(日曜)連合礼拝」には6千人(警察による非公式推計)が集まった。サラン第一教会のチョン・グァンフン牧師は「国民の抵抗権は憲法の上にある。我々は尹大統領を拘置所から連れ出すこともできる」と述べた。老年層が大半を占める参加者たちは盛大な拍手を送った。
 「70~80代の高齢者」と「20~30代の男性」、絶対につながりそうになかった2つの世界がつながった「新たな極右連合」の誕生をどうみつめるべきか。韓国学中央研究院のハン・スンフン教授(宗教学)は、「挫折感と劣等感」をキーワードにあげた。

以下は一問一答。

【写真】18日、柵を越えてソウル麻浦区のソウル西部地方裁判所に無断侵入した尹錫悦大統領の支持者が、警察に捕らえられている/聯合ニュース

-今回の「1・19暴動」では高齢層と若い男性が結合した「新たな極右連合」が登場したように思える。
 「そうだ。高齢層は反共主義教育を受け、その世界で一生を送ってきた。これらの人々は急激な社会の変化に直面することで、自分が生きてきた世界そのものが崩壊したと感じてきたはずだ。20~30代の男性は近年のフェミニズムの大衆化・制度化に強い抵抗を感じている。彼らはいずれも、変化する社会に対する挫折感と劣等感が強まっており、それが尹大統領の弾劾を起点として奇妙に結びついた。彼らは『誰が悪者なのか、誰がこの汚い世の中を作ったのか』について明確な答えをくれる人間を信じる準備ができている」。

-「宗教」の旗の下に集まるという点で、彼らは独特だ。
 「シカゴ大学のブルース・リンカーン教授(宗教学)は、宗教はそれが持つ3つの特徴のせいで『イデオロギー化』しやすいと述べている。第一に、宗教は人間の持つイデオロギーの中で最も古い。だから、それそのものの持つ力がある。第二に、宗教には象徴的な言説が豊富にある。『善と悪』というキーワードを投げかけておけば、誰を善または悪にするかという『象徴操作』がしやすい。第三に、宗教は総体論的だ。個人、社会、宇宙を貫く一貫したメッセージを与えてくれる。例えば、自分の抱える苦しみは、社会的には『アカ』たちが権力を握っているせいで生じているのであるという。それが『宇宙論的悪』にまでつながる」。

-そのような論理構造を提供するものこそ、まさにチョン・グァンフン牧師のような人々なのではないか。
 「現体制をひっくり返すことを望む人々には、代案となる規範、代案となる世界が必要だ。その時、いま述べた3つの理由で、宗教言説を持ってくるのは非常に便利だ。そして近代社会において、国家は最も最終的な権威を持つが、それをひっくり返すにはさらに超越的なものを持ってくるしかない。(国家の権威に制限を設けたものこそ)憲法だが、尹大統領がすでに憲法を否定した状況においては、頼るべきものは宗教しかないのだ。『国民の抵抗権は神の命令であり、それをチョン・グァンフンという予言者を通じて知ることができるということ』、このような論理は近代以降、宗教が革命に介入する際に常に用いられてきた」。

-「メディア」も極右の結集に大きな役割を果たしているように思える。
 「『信じる準備』ができている人々に『あなたたちが信じた世界は正しかった、その世界が崩壊しつつある』と語ってくれる人々こそ、まさにチョン牧師のような牧会者と極右ユーチューバーたちだ。メディア環境が変化したことで、このような『フィルターバブル』(選択的な情報にさらされることによる偏向)が強く作用するようになっている」。

【写真】19日午前、ソウル鍾路区の東和免税店そばの世宗大路で、「全国昼日連合礼拝」が行われている/聯合ニュース

-全世界的に宗教的信仰心が減退する「世俗化」現象が拡大しているのに、なぜ同時に宗教原理主義を基盤とする極右勢力も拡大しているのか。
 「統計的には、全世界のいわゆる『制度圏宗教』への参加率は下落し続けてきた。その代わり、制度の外から自分たちの影響力を社会全般へと広げようとする、ごく少数の結集力の強い信徒たちの動きが表面化している。2021年に米国の議事堂占拠暴動を引き起こした『Qアノン』(トランプ支持者集団の一つ)がそうであり、今回のソウル西部地裁での事態もそれをモデルにしたものにみえる。『トランプのように我々も耐えてさえいれば再び権力を握ることができ、いま捕らえられた人々もいつしか殉教者として戻ってくるだろう』という宗教的イデオロギーが彼らの確信を育んでいる」。

-自分は社会から押し出されたと「信じる」人々の反発が今回の「1・19暴動」の原因だといわれる。繰り返されないようにするには、どうすればよいのだろうか。
 「米国の極右がトランプの再選を引き出したのは、民主党の政治家たちのせいでもある。自分は疎外されていると感じる人々を『あの変ないかれた人々』としきりに他者化するものだから、反感ばかりが高まったのだ。私たちも彼らを対象化するのではなく、一人ひとりの話を聞いてみる必要がある。あの人々が何を見てこのような世界観を持つに至ったのかを収集すべきなのだ。正常な保守主義の中で彼らの要求が反映され、制度的代案を示すことができれば、極右勢力も自然に弱体化する」。

キム・チェウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-21 06:00

【写真】ハン・スンフン教授(宗教学)|韓国学中央研究院=同研究院のウェブサイトより//ハンギョレ新聞社


「The Hankyoreh」 2025-01-21 08:43
■「逮捕された友人、会社をクビになる」裁判所暴動を擁護する書き込みに批判殺到=韓国
 逮捕不当の主張にネットユーザーが批判 
 「裁判所職員の職場は関係ないのか」

【写真】内乱罪被疑者の尹錫悦大統領の拘束令状が発付された19日早朝、ソウル市麻浦区のソウル西部地裁で尹大統領支持者が侵入し、ガラス窓や備品を破壊している=ユーチューブ「ロックTV」より//ハンギョレ新聞社

 内乱首謀の容疑者である尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の拘束に興奮してソウル西部地裁に乱入し、警察に捕まった尹大統領支持者側が、ネット上に助けを求める投稿を掲載した。
 20日、オンライン・コミュニティ「DCインサイド」の「(与党)国民の力非常対策委員会マイナーギャラリー」には「逮捕された友人たちに関心を持ってください。私の友人も逮捕されました」というタイトルで弁護を要請する投稿が掲載された。
 前日早朝に警察に捕まった尹大統領支持者の友人だと明らかにした作成者は、「(友人は)出勤できなかったら会社をクビになる。こんなふうに捕まえておくなんておかしい」として、逮捕は不当だと主張した。
 続けて、「凶悪犯罪者でもなかなか拘束されないのに、(友人は)ただついて行っただけ」だとして、憲法機関である裁判所を攻撃した初の事例である「白色テロ」行為を、凶悪犯罪に比べて大したことではないかのように述べもした。さらに、「いつ釈放されるかわからず、こうして拘束するのは間違っていると思う」として、ネットユーザーに関心を持ってほしいと述べた。「国民の力非常対策委員会マイナーギャラリー」は尹大統領支持者が主に利用するコミュニティ。

【写真】内乱罪被疑者である尹錫悦大統領の拘束令状が発付された19日早朝、ソウル市麻浦区のソウル西部地裁に尹大統領支持者が侵入する様子=ユーチューブ「ロックTV」より//ハンギョレ新聞社

 逮捕された尹大統領支持者側がこのような反応を示した背景には、警察の厳しい捜査方針がある。警察は、西部地裁に侵入して器物を破損し、令状を発付した裁判官を探すなどして暴れた46人▽西部地裁から出てきた高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の車両を止めるなどして公務執行妨害した10人▽警察官を暴行したり西部地裁の塀を乗り越えたりした者のうち容疑が重い10人など、現行犯で逮捕された66人に対する拘束令状を順に請求している。警察は事件が重大であるだけに、違法行為者全員を拘束捜査する方針を明らかにした状態だ。
 オンライン・コミュニティやSNSなどにこの投稿をキャプチャーした画像が拡散されているなか、ネットユーザーたちは冷淡な反応を示している。あるネットユーザーは「(国民の力の議員の)ユン・サンヒョンに連絡すれば」と皮肉を言い、別のネットユーザーは「本人の会社は心配でも裁判所職員の職場はどうでもいいんですね」と述べた。「ついて行っただけ」だとして責任を回避した発言にも、「誰かに背負われて行ったのか」「刑務所にもついて行くことになったな」と、否定的な反応が相次いだ。

シム・ウサム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-20 21:13


「The Hankyoreh」 2025-01-21 09:54
■「保守の暴力」に寛大すぎる国、韓国【コラム】
 裁判所襲撃・暴動の核心は「過激な一部の群衆の逸脱」ではない。一国の大統領が国の分裂と内戦を扇動し、政権与党の国会議員たちは「過去の総選挙は不正選挙だった」というデマを公然とまき散らしたにもかかわらず、これを黙認し幇助する保守の卑怯さだ。彼らには「左派の暴力は国家転覆だが、右派の暴力は統制されていない少数の過剰行動に過ぎない」という考えが深く根付いているようだ。

【写真】19日未明、ソウル麻浦区のソウル西部地裁の裏門付近で、尹錫悦大統領の釈放を求める極右デモ隊と警察が対峙している。尹大統領が内乱首謀の容疑で拘束されると、一部のデモ隊は裁判所を襲撃し暴動を起こした/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は先週、ソウル漢南洞(ハンナムドン)の官邸で逮捕される直前、「国が従北(北朝鮮追従)左派でいっぱいなのに、これから(任期を)2年半続けたところで、何の意味があるだろうか」と述べた。与党「国民の力」は最大野党「共に民主党」の内乱罪特検法を「従北と利敵、違憲と売国、独裁を混ぜ合わせて作った怪物」だと非難した。ある保守メディアは「尹大統領が従北勢力についてあまりにも知らなかった」と嘆いた。やり方こそ適切ではなかったが、大統領の心境は分かるというニュアンスだ。
 韓国の保守勢力の頭の中には「左派を清算してこそ国が正しく成り立つ」という堅固な信念があるようにみえる。過去の「アカ」という言葉が「従北」に変わっただけで、世の中に対する見方は、数十年前も今もあまり変わらない。保守に比較的幅広く広がっているこのような認識が、尹大統領のあきれた戒厳令の発動と法治否定、極右デモ隊の裁判所襲撃事態を招いた根本的な要因ではないかと思う。「世界で最もダイナミックに発展する民主主義国家の一つ」(ニューヨーク・タイムズの報道)である大韓民国を、「バナナ共和国」に墜落させたのは、従北左派ではなく、極右ファシスト勢力だ。また、彼らを密かにかばう「国民の力」と保守メディア、一部キリスト教集団の責任も大きい。尹大統領の扇動とこれに呼応したデモ隊の無法行動は、大韓民国で危険な「反国家勢力」が本当に誰なのかを逆説的に現わした。
 韓国社会が進む方向と方式に対しては多様な意見があり得る。激しく論争し、時には衝突することもあるかもしれない。それでも「大韓民国は民主共和国だ」という憲法第1条に対する同意と信頼は、政派にかかわらず同じだと思っていた。対立を最終判定する機関が司法府であることは皆が認めるものと信じていた。極右デモ隊の暴動は、民主主義に関するコンセンサス(合意)と共同体を優先する共和的価値に対する尊重を崩した。少なくとも大統領たる人は誰よりも国家統合と共同体の安全のために献身するという信頼を、尹錫悦大統領は完全に破壊した。裁判所襲撃のニュースを聞いた大統領のメッセージが「無念で、憤る心情は十分わかるが、平和的な方法で意思を表現してほしい」とは。これはむしろ暴動を煽るものではないか。
 今回の事態の核心は「過激な一部の群衆の逸脱」ではない。一国の大統領が国の分裂と内戦を扇動し、政権与党の国会議員たちは「過去の総選挙は不正選挙だった」というデマを公然とまき散らしているにもかかわらず、これを黙認し幇助する保守の卑怯さだ。 彼らには「左派の暴力は国家転覆だが、右派の暴力は統制されていない少数の過剰行動に過ぎない」という考えが深く根付いているようだ。
 大統領は反国家勢力として実体も曖昧な「従北左派」を名指しした。しかし、韓国の現代史を振り返ると、内乱を試みたのはいつも保守勢力だった。1961年5・16クーデターと1972年の10月維新、1980年5・17クーデターに続き、今回は12・3非常戒厳と1・19裁判所襲撃で内乱状況が続いている。それに比べれば、左派の内乱の試みとされた事件、1971年のソウル大学生内乱陰謀事件や1974年の民青学連事件、1980年の金大中(キム・デジュン)内乱陰謀事件は、後になってすべて捏造であることが明らかになった。2013年、統合進歩党のイ・ソッキ議員が内乱を試みたとの理由で拘束されたが、2審で内乱陰謀の容疑については無罪が言い渡された。にもかかわらず、イ議員は「朝鮮半島の戦争に備えてさまざまな物質技術的な準備策を準備しようという趣旨の抽象的な講演を行った」という理由で、内乱扇動と国家保安法違反疑惑で8年以上服役した。直接・間接的に街頭のデモ隊を煽る尹大統領と国民の力所属議員たちの行動は、発言だけで重刑を言い渡されたイ議員とは比べものにならない。
 これは理念の問題ではない。韓国社会の足を引っ張る、時代遅れで古臭く偏狭な退行の方がより大きな問題だ。尹大統領の誕生日に警護処の要員が大統領夫妻のために歌ったというお祝いソングの歌詞を見ると、21世紀にこのような歌が権力の中心部で堂々と歌われことに唖然とする。「84万5280分の貴重な時間、ひたすら国民だけを考えたあなた」、「新たな大韓民国のために天から私たちに贈られた大統領」という歌詞で、世襲体制を称賛する北朝鮮の宣伝歌謡を思い浮かべるのは当然のことだ。反民主的で前近代的という点で、尹大統領と彼をかばう保守陣営は時代に逆らっている。
 今、国を危うくするのはファシズムに突き進む極右勢力の暴走と、野党が政権を握るのが怖くてこれを放置する保守勢力の軟弱さだ。保守が尹大統領と彼を支持する一部の政治勢力と断固として線を引かない限り、韓国社会の深刻な混乱は簡単には終わらないだろう。

パク・チャンス大記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1178843.html
韓国語原文入力:2025-01-2019:39


「The Hankyoreh」 2025-01-21 09:16
■【独自】大統領警護処次長「大統領の指示に従って通話記録を削除しろ」証拠隠滅の試み
 キム次長、「秘話フォン」のサーバー管理者に 
 「国軍防諜司令官、首都防衛司令官、陸軍特殊戦司令官の通話記録を削除しろ」

【写真】キム・ソンフン大統領警護処次長が17日、警察国家捜査本部非常戒厳特別捜査団に取り調べを受けるため出頭している=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の非常戒厳に対する捜査が本格化したことを受け、キム・ソンフン大統領警護処次長が大統領室の秘話機能搭載フォンのサーバー管理者に連絡し、「大統領の指示」だとして「ヨ・インヒョン防諜司令官などとの通話記録を削除しろ」と指示したという供述を警察が確保した。非常戒厳後に証拠隠滅を試みた情況が明確であるにもかかわらず、検察は「証拠隠滅および逃走の恐れがない」として、警察が申請したキム次長の拘束令状を差し戻した。
 20日にハンギョレが警護処と警察などを取材したところによると、警察国家捜査本部特別捜査団(特捜団)は大統領室関係者などを取り調べる過程で、非常戒厳から数日後の昨年12月中旬ごろ、キム次長が大統領室の秘話機能搭載フォンのサーバー管理者に連絡し、「国軍防諜司令官、首都防衛司令官、陸軍特殊戦司令官などの通話記録を削除しろ」と指示したという供述を確保した。 当時、サーバー管理者は「誰の指示か」と聞き、キム次長は「大統領の指示」だと答えたという。ただし、サーバー管理者はキム次長の指示が違法だと考え通話記録を削除しなかったという。
 特捜団はキム次長がこのように証拠隠滅を試みた情況を確認し、18日にソウル西部地検に特殊公務執行妨害などの疑いで拘束令状を申請した。ところが、検察はキム次長に対する拘束令状を差し戻した。検察は3日、尹大統領の1回目の逮捕を試みた際、警察が採証した動画に特殊公務執行妨害の証拠が残っており、キム次長が17日に自ら出頭した点を挙げ、証拠隠滅と逃走の恐れがないと判断を下したという。
 キム次長は拘束令状が差し戻された19日に釈放され、直ちに尹大統領のいるソウル拘置所に移動し、警護業務に復帰した。キム次長は現在、パク・チョンジュン前警護処長の辞任により警護処長職務代理を務めている。大統領官邸と執務室などは捜査機関によって押収捜索が行われたことがなく、さらなる証拠隠滅の可能性があるが、すでに証拠隠滅を試みた情況があるキム次長が再び大統領警護処のトップに復帰したということだ。
 ソウル西部地検関係者は、キム次長の拘束令状を棄却した理由を尋ねるハンギョレの質問に、「法と手続きにより棄却したもの」と回答した。

イ・ジヘ、キム・ガユン、チョン・ファンボン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-2020:16


「The Hankyoreh」 2025-01-21 07:09
■在韓米軍、「中国スパイ99人逮捕」報道に「全く事実ではない」
 選挙管理委員会も「明らかな虚偽事実」 
 「スカイデイリー」と記者らを告発
 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の非常戒厳当日、在韓米軍が中国人スパイ99人を逮捕し、日本に押送したというインターネットメディア「スカイデイリー」の報道に対し、在韓米軍側が「全く事実ではない」と述べた。
 在韓米軍は20日、立場を表明し、「韓国メディアの記事で言及された米軍に対する描写と主張は全く事実ではない(entirely false)」と明らかにした。さらに「われわれは韓米相互防衛条約に基づき朝鮮半島の安定と安保を維持する任務に専念している」とし、「公共の信頼を損ねかねない虚偽情報の拡散を防止するため、責任ある報道と事実確認を求める」と強調した。
 在韓米軍が問題視した報道は、インターネットメディア「スカイデイリー」が16日に報道した「(中央選挙管理委員会付設の)選挙研修院で逮捕された中国人99人が在日米軍基地に押送された」という見出しの記事。同メディアは「昨年12月3日の戒厳当日、韓国戒厳軍が米軍と共同作戦で選挙研修院を急襲し、中国国籍者99人を逮捕した。彼らは平沢(ピョンテク)港を通じて日本の沖縄米軍基地に移送された」と主張した。
 この日、中央選挙管理委員会も「スカイデイリー」の報道を「明らかな虚偽事実」だとし、強力な対応に乗り出した。選管委は報道資料を発表し、同メディアと記者を名誉毀損および公務執行妨害の疑いで告発し、言論仲裁委員会に訂正報道を申し立てたと明らかにした。
 選管委は「この報道で選管委職員が深刻な名誉毀損を受け、業務が妨害された」とし、「今後も悪意のある虚偽報道に対して強力に対応する方針」だと述べた。

【写真】「スカイデイリー」が16日に報道した「選挙研修院で逮捕された中国人99人が在日米軍基地に押送された」という見出しの記事=スカイデイリーの記事をキャプチャー//ハンギョレ新聞社

シン・ヒョンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力: 2025-01-2018:40


「The Hankyoreh」 2025-01-21 07:55
■大統領警護処、尹大統領逮捕前に機関銃・実弾を官邸に配置

【写真】12・3内乱事態を捜査中の共助捜査本部が尹錫悦大統領の逮捕状執行を試みた15日午前、ソウル龍山区の大統領官邸区域に進入した逮捕チームが、2次阻止線を越えて官邸方向に移動している=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の逮捕状の再執行を控え、大統領警護処の短機関銃2丁と実弾80発が官邸に配置され、警護処の指揮部が「阻止線が突破されたら銃を持って行け」と指示したという供述を警察が確保した。検察の拘束令状の差し戻しで、キム・ソンフン警護処次長が処長職務代理に復帰した中、警察非常戒厳特別捜査団(特捜団)の大統領安全家屋の家宅捜索は警護処の拒否で実現しなかった。
 ハンギョレが20日、警護処と警察などを取材したところによると、警察特捜団は尹大統領の逮捕状の再執行が迫った今月中旬、イ・グァンウ警護本部長が官邸の武器庫から短機関銃の「MP7」2丁と実弾80発を官邸内の家族警護部に移すよう指示したという供述を確保した。実際に実弾が官邸に配置された後、イ本部長は官邸に勤める警護官たちに「(官邸の建物に近い)第2の正門が突破された場合、短機関銃を持って飛び出せ」と指示していたことが分かった。警察特捜団は、尹大統領の指示でイ本部長が武器庫から銃と実弾を取り出してきたと疑っている。尹大統領が今月10日から12日ごろ、大統領警護処の部長団との昼食会で、逮捕状の執行の際に「銃を撃てないか」と述べており、キム・ソンフン警護次長が「はい、分かりました」と答えたという供述も確保したためだ。
 警察はまた、キム次長が12・3非常戒厳宣言の数日後、秘話機能搭載フォンのサーバー管理担当者に「尹大統領と首都防衛司令官、防諜司令官、特殊戦司令官との通話記録を削除しろ」と指示したという事実も把握した。キム次長が尹大統領の逮捕状の執行を阻止しただけではなく、内乱容疑の証拠隠滅にも加担したという供述を警察が確保したのだ。キム次長は17日に警察特捜団に出頭する際、普段使っていた携帯電話3台をいずれも持参しなかった。警察はキム次長を逮捕し拘束令状を請求したが、ソウル西部地検は「再犯の恐れはない」と差し戻し、キム次長は釈放された。
 警察特捜団は同日、ソウル鍾路区三清洞(チョンノグ・サムチョンドン)の大統領安全家屋の監視カメラ(CCTV)の押収を試みたが、警護処が執行不能理由書を提出して阻止したため、撤収した。検察の拘束令状の差し戻しで職務に復帰したキム次長が、内乱事件に対する警察の捜査を妨害している様子だ。キム次長とイ本部長など警護処指揮部によるさらなる犯行が明らかになっており、警察は検察に拘束令状を再申請する案を積極的に検討している。

イ・ジヘ、キム・ガユン、チョン・ファンボン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力: 2025-01-21 00:28


「The Hankyoreh」 2025-01-21 09:04
■【社説】二度と起きてはならない韓国裁判所襲撃、背後まで明らかにして厳罰を

【写真】内乱首魁の被疑者である尹錫悦大統領を支持する暴徒が19日早朝、ソウル市麻浦区のソウル西部地裁を襲撃し、ガラス窓や外壁などを破壊した=チョン・ヨンイル先任記者//ハンギョレ新聞社

 19日早朝にソウル西部地裁を襲撃した暴徒は、警察や記者、一般市民まで暴行し、裁判所の入口やガラス窓、事務室の備品や外壁を無差別に破壊した。特に、内乱被疑者である尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の拘束令状を発付した裁判官を探し出し、集団で攻撃しようと試みた。
 裁判所行政処のチョン・デヨプ処長は、20日の国会での緊急懸案質疑で、「(暴徒がソウル西部地裁の)7階まで上がっていったことが確認されており、7階の裁判官室のうち、令状裁判官の部屋だけが意図的に破壊され、その内部に入った形跡があることから、この場所(令状裁判官事務室)を知って来たのではないかと推測している」と述べた。 令状発付の直後に退勤したチャ・ウンギョン裁判官が、もし事務室にもう少し留まっていたとすれば、どのような事態が発生したか、考えただけでも恐ろしい。
 この日の襲撃は、表面だけをみると、令状発付に興奮した一部のデモ隊が群衆を刺激して偶発的に起きたかのようにみえる。 しかし、現場で誰かが指揮をしているかのような場面が確認されており、何人かがすぐに管制室に走っていき、監視カメラのサーバーに水をかけたりLANケーブルを引き抜くなど証拠隠滅行為を行った点から、計画的かつ組織的な行動だったのではないかという疑惑を提起する人が多い。 60~70代が多い通常の弾劾反対集会とは違い、この日に暴力を主導したのは20~30代の青年たちだった。 警察は、彼らが誰の指示を受け、どのような経緯で暴動に加担することになったのか、その背後まで徹底的に解明しなければならない。 「国民の抵抗権」だと言って暴力を扇動したサラン第一教会のチョン・グァンフン牧師らも、法に則って厳罰に処されなければならない。
 憲法機関である裁判所に対する直接的かつ明白な集団暴力事件についても、与党「国民の力」は両成敗論と焦点ぼかしで暴徒らを事実上擁護している。 国民の力のクォン・ヨンセ非常対策委員長は「(最大野党)共に民主党と一部メディアは、市民の怒りの原因には見向きもせず、暴徒という烙印を押し、厳罰すべきだと脅している」と主張し、クォン・ソンドン院内代表は「警察にも警告する。(裁判所乱入)現場は、暴力の責任をデモ隊に一方的に求めることはできない状況だった」と述べた。 政治的目的で内乱を犯した尹大統領を擁護するだけでも飽き足らず、司法府に集団テロを加えた暴徒まで擁護しているのだ。
 司法システムを認めないのであれば、韓国社会を支える法治と民主主義はただちに崩壊してしまう。 アルベール・カミュは「昨日の犯罪を罰しないのは、明日の犯罪に勇気を与えるに等しい愚かなこと」だと言った。 司法府襲撃に対して、絶対に寛容を施してはならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-20 18:44


「ハンギョレ」 2025-01-21 08:44
■ソウル西部地裁で暴動に及んだ66人に拘束令状… 現行犯の51%が20~30代

【写真】尹錫悦大統領が内乱首謀容疑で拘束されたことに怒った一部の支持者が、ソウル麻浦区のソウル西部地方裁判所に乱入し、破壊行為に及んだ/聯合ニュース

尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の拘束に反発してソウル西部地裁に乱入するなど、違法行為に及んだ尹大統領の支持者らの拘束令状が申請された。 事件時に現場で捕らえられ、拘束の岐路に立たされている容疑者の半数以上が20~30代の若者だ。
ソウル警察庁は20日、「ソウル西部地裁および憲法裁判所の内部と外部で発生した集団違法行為で計90人を現行犯逮捕し、19の警察署で捜査している」と発表した。 逮捕者らは尹大統領の拘束前被疑者尋問(令状実質審査)と令状発行が行われた18日から19日にかけてソウル西部地裁に侵入し、器物を破損したりして暴れる一方、高位公職者犯罪捜査処の車の破損などの疑い(建造物侵入、特殊公務執行妨害、共用物破壊)が持たれている。 憲法裁判所前で19日に「命が惜しければ中立的な弾劾審判をしろ」と叫びながら憲法裁の塀を乗り越えようとした3人の容疑者も警察に捕らえられた。
警察は、現行犯で逮捕した90人の容疑者の51%(46人)が20代と30代だったと発表した。 半数以上が青年層だということだ。 19日未明にソウル西部地裁に乱入した46人に限っても、半数を超える25人が20~30代だ。 現行犯の中には3人のユーチューバーも含まれている。
警察は、彼らの大半に対し拘束令状を申請する方針だ。 この日午後の時点で警察は、西部地裁に侵入した46人▽公捜処の車の進路を塞ぐなど、公務の執行を妨害した10人▽警察官に暴行を加えたり、西部地裁の柵を越えたりした容疑者のうち、容疑が重い10人の、66人の拘束令状を申請した。 この日午前には5人が令状実質審査を受けた。 警察の関係者は「基本的な原則は拘束しての捜査」だと語った。 採取した資料、防犯カメラ(CCTV)の映像、事件時の放送の映像などをもとに、加担者はもちろん教唆、ほう助した者も追跡しているため、今後、捜査および拘束の対象はさらに増えるとみられる。

キム・ガユン、パン・ジュンホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-20 12:21
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「戦争の恐怖の中でも国にとどまるウクライナの人たちから希望を見た」

2025年01月21日 | 個人史・地域史・世界史
「The Hankyoreh」 2025-01-20 14:33
■「戦争の恐怖の中でも国にとどまるウクライナの人たちから希望を見た」
 ウクライナの日本人ジャーナリスト、平野高志さん

【写真】ウクライナで16年あまり暮らしてきた日本のジャーナリストの平野高志さんが、17日午後、ソウル鍾路区のカフェで自分が経験したウクライナ戦争についてインタビューに答えている//ハンギョレ新聞社

 2022年2月24日、ロシアのウクライナ侵攻が始まった時、日本のジャーナリストの平野高志さんは「ウクライナから出国するか、残るか」の岐路に立った。何としてでも国を守るというウクライナの人々を見て、自分も残り、取材を通して知らせることを決心した。この3年間戦争を経験した平野さんは、昨年11月、日本で「キーウで見たロシア・ウクライナ戦争ー戦争のある日常を生きる」という本も出した。
 平野さんはもう16年以上ウクライナに住んでいる。地理の教師である両親の本で、はじめて聞くウクライナという国を見つけて関心を持つようになり、大学でウクライナ語を学んだ。2008年に日本語講師としてウクライナに行き、日本大使館で専門調査員としても働いた。2018年からウクライナ国営通信「ウクルインフォルム(Ukrinform)」の日本語版編集者を務めている。
 17日午後、しばしソウルを訪れた平野さんとソウル市鍾路(チョンノ)のカフェで会った。戦争の中のウクライナの日常、北朝鮮軍の参戦、終戦の可能性などを尋ねる質問にじっくり考えながら話す様子から、ウクライナに対する深い愛情が感じられた。平野さんは「大国の被害国だった韓国はウクライナの人々の境遇にもっと共感できるのでは」と願った。

-なぜ戦争の中でもウクライナを離れないのか。
 「ロシアの侵攻が始まった日、ウクライナの友人たちと会って話を交わした。みんな絶対に(国から)出ないと言った。私は外国人だから出る選択肢もあったが、とどまることをその時決めた。もちろん戦争は怖かったが、友人、職場、同僚まで、私の人生の全てがそこにある。私はジャーナリストだから、ここで戦争を知らせなければならないと決心した。戦争が始まった2022年2月24日は午前5時から翌午前2時まで休まずにニュースを書き続けた。侵攻初日からキーウにロシアの工作員が入ってきて装甲車を奪取することもあった。死に対する恐怖は、最初の日が一番大きかった」。

-直に経験した今回の戦争についての本も出した。その本で伝えたかった話は。
 「ウクライナの人々がどんな生活を送っているかについて書いた。前線で戦っている人もいるが、99%は戦闘がない地域で生活を続けている。心の中は非常に複雑で不安だが、空襲警報の中でも人々は日常を生きている。デートをしたり、カフェに行ったり、映画館に行ったりする。だが、明日や一週間後の予定を立てることはできても、1年後、3年後はどうなっているか、未来を考えることができない。ウクライナで子どもを生んで育てることができるのか、どこかに引っ越しをしても何年後かにそこにロシア軍人がくるのではないか、わからない。友だちが突然戦争に出て戦死することもある。見た目は同じでも違う日常、そんな不安と複雑な中で生きていく日常を伝えたかった」。

-ウクライナは領土の20%を奪われた状態だが、米国のトランプ大統領は就任後にウクライナに対する支援を断ち、短時間で終戦させると言っている。これに対してウクライナの人々はどう感じているのか。
 「戦争で生活が苦しくなった人々が増え、もうこれ以上は耐えられないから何とか戦争が終わってほしいという人が増えているのは事実。だが、いま終戦してもロシアが軍備を再編してまた侵略してくるかもしれないと心配する人も多い。ロシアはそもそもウクライナを滅ぼすか完全にコントロールするという目的で侵攻したのだから、人と兵器と莫大な金をこれだけかけてウクライナの領土のほんの一部を占領しただけでは退かないと思う。最近、10人のウクライナの軍人ともこれについて話を聞いた。塹壕の中にいる人と連絡を取り合ったり、足が切断されて病院にいる兵士とも話した。そのうち8人は、終戦は意味がないと言った。2人は、戦争が終わってほしいが結局はロシアが利益を得るだけだろうと言った。世論調査を見ると、2022年と2023年には領土も安全保障も譲歩できないという意見が大多数だったが、いまは、領土は譲歩できるがロシアの次の侵攻を止めるための安全保障は譲歩できないという方向に変わっている。この場合も、その領土は今後外交の力を使って取り戻すという意味(での譲歩)であって、ロシアの領土にしてもよいという意味ではない」。

【写真】ウクライナ戦争について書いた自分の著書を掲げる日本のジャーナリストの平野高志さん//ハンギョレ新聞社

-韓国人にとって最近のウクライナ戦争と関連して最も大きな関心事は北朝鮮軍の派遣だ。北朝鮮軍兵士に対してウクライナ人はどう考えているのか。
 「北朝鮮兵がクルスクでロシア軍の歩兵の役割で前線に投入され、3000~4000人くらいの死傷者が出たと聞いている。北朝鮮軍の参戦に対してウクライナの人たちは、北朝鮮が兵器を提供した上に兵士まで送り、さらに派兵もする可能性があるので、この戦争がもっと複雑になり苦しくなるだろうと恐れている。ただ北朝鮮兵が前線に投入されたからといってこれまではクルスクの戦況が特に悪くなったわけではなかったが、北朝鮮の軍人が戦闘を経験しながらいろいろな戦争のノウハウを身に付け、戦闘技術を高め、北朝鮮軍がだんだん強くなることへの心配がある。特にドローンのような現代戦の最新技術を習得していけば、結局は韓国や日本をはじめ東アジアの安全保障にも深刻な影響を与えると思う」。

-この3年の戦争を経験しながら一番印象的だった部分は。
 「最も印象的なのはウクライナの人だ。500万人以上が国外に避難したが、数千万人もの人が残って国を守るために何かをしなければならないと思って暮らしている。軍に志願入隊した人もいるし、ジャーナリストは一生懸命ニュースを書き、ボランティアに取りくむ人もたくさんいる。戦争から3年近く経った今も、多くの人が諦めずに努力し続けていることに何よりも感動を受けた。新しい人と知り合いになると、戦争が始まった日にお互い何をしていたかから話を始めることがよくある。泣き出して何もできなかったと語る人もいれば、すぐに入隊しようと連絡をしたという20代の女性もいた。多くの人々が恐怖の中でもウクライナに残ってできることを探し、共通体験が作られた。自分が住んでいる町やウクライナがもっと好きになったという話をよくする。私は外国人だけど、そんな気持ちを共有できているし、今はキーウが世界で一番素晴らしい町だと思う。戦争が起こった時もウクライナに残ってよかったと思っている」。

-戦争の中で希望を感じたりもするのか。
 「戦争が始まった時は、ウクライナが本当になくなるかもしれないという絶望を感じた。それでも、ウクライナの人たちが何とかして国を守ろうと努力する姿を見たのが最初の希望だった。加えて、世界の国々がウクライナを支援したことがより大きな希望になった。特に、日本と韓国の支援はウクライナにとって米国と欧州の支援とはまた違った意味を持っている。そのように遠い国々が関心を持って支援しているということが非常に大きな希望になった」。

 平野さんはウクライナ戦争を経験して大国と国際秩序について深く悩むようになり、大国に囲まれて生きてきた韓国人たちがウクライナ戦争をどう思うのかとても気になったという。話を交わした韓国の人たちがウクライナに非常に冷淡だと感じた語った。筆者は平野さんに、韓国とウクライナはいずれも大国の間で苦しんだ国という認識が韓国人にもあるが、韓国は分断と北朝鮮の核問題など安全保障問題を考慮すると、ロシアと完全に対立するのは難しい点があると説明した。また、ウクライナに対する殺傷兵器の支援まで主張した尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が非常戒厳を宣布して内乱を試み、世論がさらに冷淡になった側面もあるとも伝えた。
 これを聞いた平野さんは、「韓国の国内政治についてはよくわからないので、韓国がウクライナにどのような支援をするかは全面的に韓国の人たちが決める問題」だとしつつも、ウクライナと韓国の人たちの気持ちの共感を期待すると話した。「大国の間に挟まれたウクライナと韓国は地政学的に似ている。かつて日本は韓国を植民地にし、ウクライナもドイツやロシアという大国の間でどう生き延びるか苦しんできた。いまロシアがウクライナにしていることは、かつて大日本帝国時代に日本がしていたことと同じことだ。日本では時々、ロシア人とウクライナ人が仲良く手を結んで戦争が終わればいいと言う人もいるが、それは非常にグロテスクだと感じる。侵略されて多くの人々が命を奪われ、拷問され強姦され拉致された。そのようなことがきちんと裁かれて戦争が正しく終わってこそ共存という言葉も言える。過去、日本は侵略の加害者であって、犠牲者の経験がないからか、日本にはウクライナの人々の気持ちを正しく理解していない人がいると思う。韓国は被害者の経験があるからこそウクライナの人々の気持ちにもっと共感できるのではないか」。

文・写真/パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
韓国語原文入力:2025-01-19 18:36
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「韓国警察 大統領警護処と秘密施設の家宅捜索に再着手=戒厳関連の資料押収へ」

2025年01月20日 | 韓国で
「聯合ニュース」 2025.01.20 15:03
■韓国警察 大統領警護処と秘密施設の家宅捜索に再着手=戒厳関連の資料押収へ
【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の「非常戒厳」宣言について捜査する警察の特別捜査団は20日、ソウル・竜山の大統領警護処と三清洞にある大統領の秘密施設「安全家屋(安家)」に対する家宅捜索に再び乗り出した。

三清洞の安全家屋(資料写真)=(聯合ニュース)
 警察関係者によると、特別捜査団の捜査官は同日午後1時35分ごろ、安全家屋の防犯カメラの映像を押収するため、三清洞に向かい令状を提示した。
 また、大統領室庁舎にある警護処の家宅捜索にも着手した。同処には安全家屋の防犯カメラ関連サーバーがある。
 当初、大統領室も家宅捜索の対象と伝えられたが、大統領室とは令状執行のための協議を行っているという。
 特別捜査団は先月27日、安全家屋と大統領室に捜査官を送り、捜索令状を提示したが、警護処が敷地内への進入を認めず執行はできなかった。当時、同処は公務上・軍事上の機密などを理由に捜索を拒否した。
 警察は防犯カメラの映像を入手し、非常戒厳宣言の前後に安全家屋に出入りした人や尹大統領からどのような指示を受けたかなどを確認する方針だ。全国警察組織トップの趙志浩(チョ・ジホ)警察庁長と金峰埴(キム・ボンシク)ソウル警察庁長は先月3日の戒厳宣言の約3時間前、安全家屋で尹大統領と面会し、戒厳関連の指示が記された文書を受け取った。戒厳が解除された同月4日には朴性載(パク・ソンジェ)法務部長官や李祥敏(イ・サンミン)前行政安全部長官ら4人が尹大統領と面会した。


「The Hankyoreh」 2025-01-20 12:24
■尹大統領「公捜処にこれ以上言うことはない」…取り調べ拒否
 拘束後の最初の取り調べも拒否する見込み
 高位公職者犯罪捜査処(公捜処)は19日、内乱首謀の容疑で拘束された尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に出頭を要求したが、尹大統領は応じないものとみられる。
 尹大統領の弁護団のユン・ガプクン弁護士はこの日、「公捜処には出頭できない」として、「公捜処ではこれ以上言うことはない」と述べた。弁護団はこの日、京畿道義王市(ウィワンシ)のソウル拘置所に収監されている尹大統領に接見し、本人の意思を反映してこの決定を下したという。公捜処は尹大統領側に「19日午後2時に出頭し取り調べを受けよ」と通告していた。
 公捜処は、尹大統領が引き続き取り調べに応じない場合は、引致(連行)や拘置所での取り調べなどを検討する方針だ。公捜処の関係者はこの日、「引致は法の規定にはなく、判例で認められているだけであるため、精緻な検討が必要な問題」だとして、「まだ措置を取るかどうかを申し上げるのは難しい」と語った。
 ソウル西部地裁はこの日午前2時50分ごろ、「証拠隠滅の恐れがある」との理由で、内乱首謀および職権乱用・権利行使妨害の容疑がかけられている尹大統領の拘束令状を発行した。これにより、未決収容者だった尹大統領は、ソウル拘置所の収容棟の10平米(3坪)あまりの独房に移動するなど、正式な拘置所入所手続きを踏んだものとされている。

ペ・ジヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-19 13:21


「The Hankyoreh」 2025-01-20 12:27
■尹大統領、非常立法機関メモ「自分が書いたかはっきり覚えていない」
 12・3戒厳時にチェ・サンモク副首相が受け取ったメモ 
 18日の拘束前被疑者審問で答える

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が18日の拘束前被疑者尋問で、12・3非常戒厳時にチェ・サンモク経済副首相が受け取ったという「非常立法機関設置」メモについて「自分が書いたのかキム・ヨンヒョン(前国防部長官)が書いたのか、はっきりと覚えていない」と答えたことが、19日に伝えられた。

【写真】ソウル麻浦区のソウル西部地裁は19日午前3時頃に尹錫悦大統領の拘束令状を発行した。写真は同日午前の同地裁の様子=チョン・ヨンイル先任記者//ハンギョレ新聞社

 18日にソウル西部地裁で拘束前被疑者尋問を行った令状当直のチャ・ウンギョン部長判事は、尹大統領に「非常立法機関とは具体的に何なのか。戒厳宣布後に非常立法機関を創設する意図があったのか」を尋ねたという。調査によると、尹大統領は12・3非常戒厳宣布の直前に行われた国務会議で、チェ権限代行に「非常立法機関の関連予算を準備せよ」などの「非常戒厳宣布後の措置事項」が記されたメモを渡したという。検察はこのメモを根拠に、尹大統領には国会に代わる「非常立法機関を創設する意図」があると判断した。これは憲法機関である国会の権能を無力化しようとしていたことを示す、内乱の重要な証拠となる。
 この質問に対して尹大統領は、「(メモは)キム・ヨンヒョンが書いたものか、私が書いたものか、はっきり覚えていない。非常立法機関をきちんとやるつもりはなかった」と答えたという。チャ部長判事は再度「非常立法機関とは正確にはどのような性格のものなのか」と問いつめたが、尹大統領は「正確には覚えていない」と述べて返答を避けたという。

チョン・ヘミン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-19 16:26


「The Hankyoreh」 2025-01-20 07:38
■「異常な目つきに恐怖を感じた」…尹大統領支持者が襲撃した韓国裁判所、混沌の3時間
 警察の安易な対処に批判も

【写真】内乱首謀の疑いが持たれている尹錫悦大統領が拘束された中、19日午前、ソウル麻浦区のソウル西部地方裁判所の看板が落ちている/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対する拘束令状が発行された直後、興奮した支持者たちがソウル西部地裁に乱入し、3時間にわたり乱暴を働いたのは、司法府を対象にした史上初の「白色テロ」だった。裁判所の窓と外壁を壊し、令状を発付した判事を探し出すために歩き回っていた支持者たちを避けて、裁判所の職員たちは屋上に待避した。
 尹大統領の逮捕適否審が棄却された16日夕方からソウル麻浦区(マポグ)のソウル西部地裁前に集まり始めた尹大統領の支持者たちは、休日の18日には4万4千人(午後4時40分基準で警察非公式推算)まで膨れ上がった。尹大統領が方針を変え、同日午後2時から開かれる令状実質審査に出席するというニュースが流れると、支持者の数は急速に増えた。
尹錫悦大統領が内乱首謀の容疑で拘束されたことを受け、一部の尹大統領支持者たちがソウル西部地裁の内部に乱入し、違法の暴力事態を起こした19日午後、破損された西部地裁の内部の様子/聯合ニュース

 支持者たちの望みとは異なり尹大統領の拘束令状が発付されたというニュースが19日午前3時ごろに流れると、興奮した支持者300人余りが暴徒と化した。数十人の支持者が先に裁判所の裏門で警察の阻止を突破し、「裏門が突破された」という叫び声と共に、自信を得た残りの支持者たちが裁判所の塀を乗り越えた。警察のバリケードは成すすべもなく崩れ、極度に興奮した彼らの襲撃を受けた裁判所はあっという間に修羅場となった。
 午前3時21分頃、100人余りが裁判所の外壁とガラス窓を壊し、西部地裁本館に進入した。彼らは「尹錫悦大統領」と「令状棄却」を叫び、庁舎内部で消火器やモニター、植木鉢、案内板など、目につくものは何でも投げ捨てた。
 傘や鉄パイプを持った人たちが、令状を発付した「チャ・ウンギョン判事を探し出す」と言いながら興奮した様子で判事室のある7〜9階まで上がった。彼らは法廷と判事室のドアを次々と蹴って開き、「どこにいる」、「いない」と大声を上げながら捜索した。
ソウル西部地裁が19日午前3時頃に尹錫悦大統領の拘束令状を発付した中、過激な支持者らによって壊された同日午前の西部地裁の様子=チョン・ヨンイル先任記者//ハンギョレ新聞社

 幸い、チャ判事は拘束令状を発付した直後、車に乗って裁判所を後にしたという。
 この日未明、ソウル西部地裁で万一の事態に備えて待機中だった保安管理隊は、最高裁・ソウル高裁の派遣人員まで合わせて計15人だった。しかし、1階で警察の阻止線が突破され、保安管理隊と総務課の職員など20人余りは8階と11階の屋上に急いで避難したという。
 当時、裁判所内部で避難した職員は「目つきがあまりにも異常だったので、到底太刀打ちできないという恐怖を感じた」、「デモ隊の無法地帯のように歩き回るが姿があまりにも凄惨で、脳裏から離れない」と全国公務員労組を通じてハンギョレに伝えた。
 暴徒らが裁判所を襲撃して11分後の午前3時32分頃、警察が大規模で投入され鎮圧が始まった。この時も裁判所の裏門側で塀を越える人々が続出し、警察に激しく抵抗する人も少なくなかった。
 1時間後の4時30分まで、支持者たちは警察の盾や警光棒を奪って警察官に暴行を加えたり、レンガを投げたり、消火器を乱射しながら対峙を続けた。警察は5時30分になってようやく完全鎮圧服を着た機動隊1400人余りを投入した。30分で裁判所内外の支持者をほとんど鎮圧したが、すでに裁判所は荒れ果てた後だった。
 警察の対応があまりにも安易だったという指摘もある。尹大統領の逮捕適否審が棄却された直後から、すでに集会の雰囲気は過熱していた。尹大統領の令状発付による騒乱も十分予想できる状況だったが、警察は同日未明、西部地裁近くに少数の警察官を配置しただけで、暴動を初期に阻止できなかった。
 同日の鎮圧過程で支持者46人が建造物侵入、器物破損などの疑いで逮捕され、警察署に連行された。前日、高位公職者犯罪捜査処の車を妨害した容疑などで連行された40人を加えれば、2日間で計86人にのぼる。逮捕者数はさらに増える見通しだ。
 警察の負傷者も出た。5人は軽傷、4人は額や指が切れ、指の骨が折れるなど重傷を負った。ソウル西部地裁はこの日午後「まだ被害額は推算ができない」としながらも、「明日は正常に業務が行われる」と述べた。

パク・コウン、パク・テウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-19 22:36


「The Hankyoreh」 2025-01-20 03:14
■【社説】裁判所襲撃・乱暴、尹錫悦大統領の度重なる不服・扇動が引き起こした
 法治の根幹を崩しており、背後まで処罰が必要

【写真】内乱罪被疑者である尹錫悦大統領に対する拘束令状が発付された19日早朝、ソウル市麻浦区のソウル西部地方裁判所に尹大統領の支持者たちが侵入し、ガラス窓や器物を破壊している=ユーチューブ「ロックTV」より//ハンギョレ新聞社

 限度を超えた。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は軍を動員して国会(立法府)を侵略し、尹大統領を擁護する極右デモ隊は裁判所(司法府)を襲撃した。裁判所の決定が気に入らないからといって暴力を使うのは、韓国社会を支える「法治」と「民主主義」を完全に破壊する行為であり、反社会的だ。韓国社会を支えるためにも、絶対に容認してはならない。尹大統領や与党「国民の力」など、事態に責任のある者は深く反省し、自省しなければならない。「12・3内乱」以降、韓国社会は岐路に立っている。
 19日午前3時ごろ、尹大統領に対する拘束令状が発付されたという一報が伝わると、ソウル西部地裁の前に集まっていた支持者数百人が裁判所に乱入した。支持者たちは窓を壊し、什器を投げて、令状を発付した裁判官をみつけようと、裁判所内を歩き回った。無法地帯の暴徒だ。デモ隊86人が公務執行妨害や器物破損などの容疑で連行された。チェ・サンモク大統領権限代行は「法と原則に従い、厳正に捜査せよ」と警察庁に指示し、イ・ホヨン警察庁長官職務代行も「暴力デモの背後まで徹底して捜査する」と明言した。これまでデモ隊がデモの過程で警察と衝突したことはあったが、このように裁判所を襲撃したことは、大韓民国の建国以来は初めてのことだ。適切に処罰しないならば、繰り返される可能性がある。韓国社会の根幹を守るためにも、徹底的に捜査し、厳罰に処さなければならない。
 今回の事態に対する最大の責任が尹大統領側にあることは、当然のことだ。尹大統領は「12・3内乱」後も捜査機関の調査に応じず、裁判所の合法的な令状も「不法」だと言い張り、「官邸座り込み」を行うなど、「司法府無視」の戦略で一貫している。さらに極右デモ隊に対しては「ユーチューブでみている」と言って励まし、「最後まで戦う」として煽った。「法治」を無視する行為だ。
 暴力事態で世論が悪化する兆しをみせると、尹大統領は遅ればせながら立場文を出し、「平和的な方法で意思を表現する」よう求める態度を示すことはあった。しかし、「悔しさと怒りの心情は十分に理解」「警察も寛容の姿勢で事態を解決していく」と言うなど、暴力デモ隊に肩入れする姿勢をみせた。何より、この事態が自身によって触発されたという責任感をまったく感じていない。国民の力も同様に、この日開かれた緊急非常対策委員会の会議で、「暴力はいけない」としながらも、逆に「警察の過剰対応を真相究明せよ」という荒唐無稽な主張を展開した。国民の力が極右暴力デモ隊と手を切ることができないのであれば、どのようにして、これ以上、民主的な大衆政党のふりをすることができるのだろうか。
 加えて、極右ユーチューバーたちが、デモ隊の裁判所乱入に至るまで、主導的な役割を果たしてきた。「漢南洞(ハンナムドン)官邸前デモ」を中継放送して扇動し、発言内容が過激化していき、最終的には裁判所乱入にまで至った。極右ユーチューバーは、いまや韓国社会にとっての物理的脅威になっている。暴力扇動に対する捜査も厳正に行われなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-19 18:54


「The Hankyoreh」 2025-01-20 01:11
■尹大統領、現職として初の拘束…裁判所「証拠隠滅の恐れ」
 裁判所「証拠隠滅の恐れあり」

【写真】内乱首謀容疑で逮捕された尹錫悦大統領の拘束前被疑者尋問(令状実質審査)が終了した18日、ソウル麻浦区のソウル西部地裁近く。尹大統領を乗せた法務部の護送車と警護車両がソウル拘置所に向かっている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 内乱の容疑がかけられている尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が拘束された。現職大統領の拘束は憲政史上初。
 ソウル西部地裁のチャ・ウンギョン令状当番部長判事は19日、内乱首謀および職権乱用・権利行使妨害の疑いが持たれている尹大統領の拘束令状を発行し、その際、「容疑者が証拠を隠滅する恐れがある」と述べた。尹大統領の拘束令状実質審査は、令状の当番となっていたチャ部長判事の審理で、前日午後2時から午後6時50分まで、休憩時間を除いて4時間30分間にわたって行われた。
 尹大統領は当初、ソウル西部地裁に拘束令状が請求されたら令状実質審査に出席しないとの立場だったが、弁護団の説得で翻意して出席し、法廷で40分ほど自ら釈明したという。
 令状実質審査では、公捜処の複数の検事がまず拘束の必要性を強調した。公捜処は拘束令状でも、尹大統領は「典型的な確信犯」だと指摘していた。公捜処の検事は令状実質審査でも、尹大統領は不正選挙疑惑に確信を持って非常戒厳を宣布したため、いつでも極端な行為を繰り返す可能性があると主張したという。また、尹大統領が釈放さた場合の、自らに不利な供述や行動をした人物に報復する危険性も懸念したという。公捜処のプレゼンテーションは70分間にわたって行われた。
 尹大統領側はキム・ホンイル、ソン・ヘウンの2人の弁護士が弁護にあたった。尹大統領の弁護団は、非常戒厳宣布などは罪にならないだけでなく、公捜処には内乱罪の捜査権がないうえ、ソウル西部地裁には公捜処が請求した拘束令状を発行する管轄権がないと反論したという。また、15日の公捜処による尹大統領の逮捕は、軍事上の秘密を要する場所はその責任者の承諾なしには捜索できないと規定した刑事訴訟法110条に違反しているため違法だと主張したという。尹大統領側の反論も公捜処と同様、70分間にわたって行われた。
 その後は、尹大統領が自ら釈明した。尹大統領は、非常戒厳を宣布せざるを得なかった理由と、非常大権の行使は内乱罪で処罰できないという主張を主に展開したという。尹大統領の発言後、20分間の休廷をはさんで再開された審査は、午後6時50分まで続いた。尹大統領は審査終了前にも5分間、最後の陳述をおこなったという。
 公捜処側からは、15日の尹大統領の逮捕当日に取り調べを担当した捜査4部のチャ・ジョンヒョン部長検事ら6人の検事が出席した。尹大統領側の弁護人はキム・ホンイル、ユン・ガプクン、ソン・ヘウン、ソク・トンヒョン、チャ・ギファン、ペ・ジンハン、イ・ドンチャン、キム・ゲリの8人が出席した。
 尹大統領の弁護団のユン・ガプクン弁護士は令状実質審査後、記者団に対し、「(尹大統領は)事実関係や証拠関係、法理の問題について誠実に説明し、答えた」とし、公捜処が主張する再犯の危険性については、「話にならないと明確に説明した」と述べた。公捜処の検事は、記者団の質問には何も答えなかった。
 拘束期間は逮捕の時点から最長20日であるため、この期間内に起訴が実現する見通しだ。15日から20日目に当たるのは来月3日だが、逮捕適否審に要した期間を除かなければならず、尹大統領側が拘束の適切さを争う拘束適否審を申し立てる可能性もあるため、起訴日はそれより遅れる可能性もある。
 公捜処は大統領の起訴権がないため、起訴のためには事件を検察に移牒しなければならない。検察と公捜処はすでに、裁判所に拘束期間の延長を申請しなければならない拘束10日目以前に、事件を検察に送付することで合意している。そのため、公捜処は旧正月連休前に尹大統領を検察に移牒するとみられる。

チョン・ヘミン、キム・ガユン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-19 03:03


「The Hankyoreh」 2025-01-20 01:10
■尹錫悦支持者の度を越した裁判官攻撃… 裁判所「法治主義を否定するもの」

【写真】チョン・デヨプ裁判所行政処長が19日午前、ソウル麻浦区の西部地裁で、尹錫悦大統領の支持者が同地裁で起こした集団暴力事態の現場点検を終え、取材陣の質問に答えている/聯合ニュース

 ソウル西部地裁に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の支持者が乱入するという史上初の事態について、裁判所は「法治主義を全面否定する行為」だとして厳正な対応を強調した。 尹大統領の支持者たちの度を越した裁判官攻撃に対し、警察は身辺保護などに着手した。
 チョン・デヨプ裁判所行政処長は19日午前、ソウル麻浦区(マポグ)のソウル西部地裁を訪れ、現場の状況を点検した。 チョン処長は「テレビで見たよりも10倍、20倍残酷な現場の状況を確認した」と語った。 続けて「(デモ隊のこのような行為は)法治主義を全面否定する行為であり、刑事上でみても深刻な重犯罪にあたる」として、「すべてのことは韓国憲法の定める司法手続きの中で解決されてはじめて、韓国を守ることができる」と強調した。
 12・3内乱から47日を経てようやく尹錫悦大統領は拘束されたが、強制捜査の過程での司法府に対する尹大統領の支持者の攻撃はやんでいない。 すでに尹大統領の1回目の逮捕・捜索令状を発行したソウル西部地裁のイ・スンヒョン部長判事の個人情報がオンラインに公開され、中傷の標的になっている。 逮捕適否審を棄却したソウル中央地裁刑事32単独のソ・ジュンソプ判事に対しては、「逮捕適否審を棄却したソ・ジュンソプ、出退勤途中に捕まれば斬首する」という殺害予告がオンラインコミュニティーに投稿されている。
 尹大統領の弾劾裁判を審理する憲法裁判官に対する攻撃も同様だ。 ソウル鍾路区(チョンノグ)の憲法裁判所の周辺には、「違法な証拠採択したイ・ミソン、アウト(OUT)」など、特定の裁判官を攻撃するステッカーが貼られている。 尹大統領弾劾反対集会では、内乱罪捜査記録謄本の送付を決めたイ・ミソン裁判官らに対する中傷が極に達している。
 チョン・デヨプ処長はこの日、「判事が身辺に対する脅威なく裁判を信念に従って独立的に行うことができてはじめて、法治主義はまともに作動する。身辺に支障がないよう、様々な措置を講じている」と述べた。 ソウル西部地裁を管轄するソウル麻浦警察署も、身辺保護審査委員会の審査を経て、20日午前から尹大統領の拘束令状を発行したチャ・ウンギョン部長判事の身辺保護にあたることを決めている。

チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-19 18:17


「聯合ニュース」 2025.01.19 16:43
■地裁で暴動の尹氏支持者ら86人 厳しい刑事処罰の見通し
【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の逮捕に反発して、逮捕状の発付を決めたソウル西部地裁に押し入って暴動を起こした尹氏の支持者らは厳しい刑事処罰を受けることになりそうだ。 支持者らは同地裁が19日未明に逮捕状を発付したことを受け、敷地内に侵入しガラスを割るなどした。

ソウル西部地裁が19日未明に尹大統領に対する逮捕状を発付したことを受け、尹氏の支持者らが同地裁の敷地内に押し入り、ガラスを割るなどした=(聯合ニュース)
今回の事態で身柄を拘束されたのは86人。 法曹界はまず、刑法上の建造物侵入容疑と器物損壊容疑が適用されるとみる。
建造物侵入罪は3年以下の懲役または500万ウォン(約53万円)以下の罰金に処せられる。 器物損壊罪は7年以下の懲役または1000万ウォン以下の罰金刑となる。
 団体や集団での威力などと認められれば、刑罰はさらに重くなる。
地裁に侵入した尹氏の支持者らは警察官と裁判所の職員を威嚇したため、公務執行妨害容疑なども適用される可能性がある。 さらに、警察官らにけがを負わせれば、公務執行妨害致傷容疑も成立する。


「聯合ニュース」 2025.01.19 11:19
■逮捕の尹大統領 2月に起訴・8月に一審判決の見通し
【ソウル聯合ニュース】内乱を首謀した容疑などで19日に逮捕された韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は約20日間の取り調べを受けてから、来月初めに起訴される見通しだ。 逮捕状は独立捜査機関「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)」が請求したものの、同機関は法令上、起訴する権限を持たないため検察の特別捜査本部が起訴するとみられる。 一審判決は、被告人を最大6カ月間拘束できることなどから、8月初めに出ると予想される。

捜査当局に出頭する尹大統領=(聯合ニュース)
 同期間内に一審判決が出なければ、尹大統領は釈放された状態で裁判を受けることになる。
 このため、裁判所も期間内に判決を出すとみられる。ただ尹大統領側が、捜査機関が確保した証拠に同意せず、証拠採用のため関連者すべての証言を聞くことになると、裁判は遅れることもあり得る。
 裁判で内乱を首謀した罪に対し有罪が認められれば、尹大統領は無期懲役か死刑を言い渡される可能性がある。減刑の理由があれば、有期懲役刑か有期禁固刑になることもあり得る。


「The Hankyoreh」 2025-01-18 08:54
■【社説】内乱・逮捕後も詭弁、言いがかり…国民を愚弄するのはやめよ

【写真】内乱を首謀した容疑で高位公職者犯罪捜査処に逮捕された尹錫悦大統領が15日午後、京畿道果川市の公捜処での取り調べを終え、義王のソウル拘置所に移動している=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が高位公職者犯罪捜査処(公捜処)による逮捕は不当だとしてソウル中央地裁に申し立てていた逮捕適否審が16日、棄却された。尹大統領は、ソウル西部地裁が発行した逮捕状は「違法な令状」であり、公捜処には内乱罪の捜査権がない、などと言いがかりをつけたが、裁判所はすべて適法と判断した。にもかかわらず尹大統領は公捜処の調査に応じず、逆にオ・ドンウン公捜処長とウ・ジョンス国家捜査本部長を内乱容疑で告発した。何とか司法の混乱を助長して支持者を最大限集結させることを意図したものとみられ、嘆かわしい。
 尹大統領は、逮捕され、公捜処に護送された15日を除けばソウル拘置所にとどまっており、公捜処の取り調べに一切応じていない。公捜処においても、非常戒厳の正当性や内乱罪が成立しない理由などを一方的に述べ、その後、すべての供述を拒否したという。彼は自身の逮捕を指揮したオ処長らを「法治主義を破壊する公権力の行使であり、憲政秩序を乱す重大犯罪」だとして検察に告発した。「後にであっても違法行為が発見されれば、最後まで闘って責任を問う」と脅しをかけた。盗人猛々しいにもほどがある。名こそ「元検事総長の大統領」だが、このような無茶苦茶が許されるのか。
 尹大統領も、このような態度が刑事裁判はもとより弾劾審判にも不利に働くことは、よく分かっていることだろう。にもかかわらずこのような態度を取っているのは、捜査と裁判、そして憲法裁判所の弾劾審判に至るまで、すべての司法手続きに対する不信を助長することを意図したものだと考えられる。法治主義の根幹を傷つけてでも、ひとまず危機を免れようというのだ。時代錯誤的な非常戒厳で国に恥をかかせておきながら、最後まで自分だけは生き残ろうという態度だ。尹大統領に同調して司法の混乱をあおる国民の力と保守メディアの態度も嘆かわしい。公捜処の捜査権と逮捕状に対する裁判所の一貫した判断にもかかわらず、やみくもに司法府を揺さぶっている。軍事独裁政権の非常戒厳に同調した彼らの恥にまみれた過去を想起させるほどだ。
 このような扇動のせいで、極右勢力の蠢動(しゅんどう)はますます猛威を振るっている。漢南洞(ハンナムドン)の官邸前に集結し、尹大統領の逮捕状執行を妨害していた熱烈な支持者たちは、今度は公捜処とソウル拘置所に押しかけている。あげくの果てに17日には、尹大統領の逮捕適否審を棄却した判事の身辺を脅かす投稿がオンラインコミュニティに掲載され、警察が捜査に乗り出した。法を尊重する気持ちなどみじんもない内乱罪容疑者と同調勢力によって、法治主義が脅かされている。公捜処は尹大統領の拘束令状を請求した。司法府は、内乱勢力の法治主義に対する嘲笑を断固として処罰すべきだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-17 18:33


「中央日報日本語版」 2025.01.19 11:06
■韓国警察、ソウル西部地裁乱入の尹大統領支持者40人現行犯逮捕…2日間で86人

【写真】19日午前2時53分、尹錫悦大統領に対する拘束令状が発付されると、支持者がソウル西部地裁に乱入し暴れ回った。デモ隊が壊したソウル西部地裁の看板が踏みにじられている。イ・ヨングン記者

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対する拘束令状が発付された19日明け方に支持者がソウル西部地裁に侵入し、窓を割って建物内に侵入するなど暴れ回った。警察は機動隊など1400人を投じてデモ隊を鎮圧した。この過程でデモ隊40人が現行犯で逮捕された。警察は今回の暴動と関連し捜査専従チームを設置する方針だ。
 警察によると、この日午前5時基準でソウル西部地裁周辺の秩序は完全に回復した。ソウル西部地裁前の麻浦大路(マポデロ)の通行も一部再開された。
 警察関係者は「現在まで建造物侵入容疑と公務執行妨害容疑などでデモ隊40人以上を現行犯で逮捕した」と明らかにした。デモ関連連行者は前日からの2日間で86人に達する。
 18日にも拘束審査が行われたソウル西部地裁では尹大統領支持者のうち少なくとも40人が逮捕された。当時彼らは裁判所のフェンスを乗り越えたり、警察官に暴行したりして警察の統制に応じず逃走した容疑などを受けている。
 ソウル西部地裁は19日午前3時ごろに内乱首謀、職権乱用などの容疑を受ける尹大統領に対し拘束前被疑者尋問(令状実質審査)をした後、「被疑者が証拠を隠滅する恐れがある」として拘束令状を発付した。
 こうした知らせが伝えられると裁判所前に集まっていた数百人の尹大統領支持者は憤怒して裁判所内への進入を試みた。その後午前3時20分ごろに裁判所の裏門に集まっていた一部デモ隊はガラス窓とガラスドアを割り建物のシャッターを上げて裁判所内部に入った。彼らはテレビや現金自動預払機(ATM)などを壊し暴れ回った。
 デモ隊は午前3時32分ごろから投入された警察により外部に連れ出され始めた。支持者らはソウル市内の警察署に分散して連行された。


「中央日報日本語版」 2025.01.19 09:21
■尹大統領支持者がソウル西部地裁に侵入し暴れる…「みんな殺す」警察に暴行も

【写真】ソウル西部地裁で18日、内乱首謀容疑を受ける尹錫悦大統領が拘束前被疑者尋問(令状実質審査)を受けている中で支持者が裁判所の塀を挟んでデモをしている。イム・ヒョンドン記者

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が19日明け方に内乱首謀容疑で拘束(逮捕)されると、支持者がソウル西部地裁に侵入して暴れ回った。
 この日午前3時ごろ、尹大統領に対する拘束令状が発付されると、西部地裁を囲んでデモを行っていた支持者らは極度に興奮し裁判所の裏門で警察の阻止を突破した。彼らは「みんな殺してしまえ」と警察を威嚇し消火器も噴射した。
 警察から盾などを奪い裁判所の正門とガラス窓を破壊して3時21分ごろに裁判所内部に乱入した後も什器破壊を継続した。令状を発付した判事を探すかと思えば、警察に向かってプラスチック製のいすや灰皿を投げつける支持者もいた。一部は「大統領が望んだのはこうしたことではない」「このようになってどうするのか」として口論したりもした。
 警察は午前3時32分ごろに大規模人材を投じてデモ隊を鎮圧し始めた。彼らは全員現行犯で逮捕されている。警察は「建造物侵入、退去拒絶、未申告不法集会を継続している。ただちに退去せよ」と警告放送をし自主解散を要請している。


「The Hankyoreh」 2025-01-17 09:20
■尹大統領による43日間の「卑しい政治」【寄稿】
 パク・ロクサム|ジャーナリスト

【写真】内乱首謀の容疑で高位公職者犯罪捜査処に逮捕された尹錫悦大統領が15日午後、京畿道果川市の公捜処での取り調べを終え、ソウル拘置所に移動している=写真共同取材//ハンギョレ新聞社

 12月3日の大統領による非常戒厳令の宣布と内乱暴動は、43日後の1月15日午前の逮捕令状の執行で一段落した。扉を破壊して銃を撃ってでも封鎖しようとした国会で自身の弾劾訴追案が可決されてから見せた大統領の姿は、「目も当てられない」、それこそ目を開いて見ることすらできなかった。漢南洞(ハンナムドン)の家の中でとぐろを巻き、適法な法の執行を前にして三重四重に車壁を作り、有刺鉄線で遮り、警護処の公務員たちを盾にした。憲政史上類を見ない、法と秩序を形骸化させた大統領の姿であり、大韓民国は大きな混沌の渦から一歩も抜け出せずにいた。
 振り返ってみると、このすべての混沌は、政治をすべき時に政治をせず、歪んだ法を強調してきたという過ちからはじまり、法秩序を正すべき時にむしろ卑しい政治をしたという過ちによって膨らんだ。
 総選挙を通じて野党が議会の最大会派になったのは、政府与党に対する民意による審判だった。苦しかっただろうが、少数与党国会は大統領として彼が直面した現実だった。置かれた立場と実情に合わせて野党を説得し、協力を求めつつ、自身の国政目標と課題を履行するために政治的努力を尽くすことが、彼に与えられた責務だった。
 にもかかわらず、彼は政治の責務を投げ捨てた。野党との対話そのものを拒否し、野党の有力な大統領候補を司法的に責め立て、自身の家族を守るために法案拒否権を乱発した。そして、第22代国会の開会式を欠席したかと思えば、国会での施政方針演説まで拒否した。代わりに選挙不正、「議会独裁」、反国家勢力という独善と妄想の世界を着々と構築しつつ、憲法と法律を破壊し、憲政秩序そのものを打倒するという計画を立てた。政治と政治家を冷笑し嘲笑する人は多いが、代議民主制政治には明確な役割がある。確執や対立を調整したり仲裁したりしつつ、多様な社会的利害が衝突する状況にあって妥協を作り出さなければならない。それにもとづいて政策を立案し、国家の究極的な課題を設定しなければならない。大統領はその中で最も大きな役割を果たす政治家であることは明らかだ。
 しかし、憲法と法律が打ち捨てられた状況に至っているため、必要なのは中途半端な旧態依然の政治ではない。立法府、司法府、行政府をはじめとする社会全体が憲政秩序の回復に努めることが求められている。しかし皮肉だ。政治をしてはならない時に政治が横行した。それも政治家でもない首相と副首相、官僚たちが、司法システムを否定しつつ政治をした。大統領権限代行を任された首相は、憲法裁判官の任命において法にもない与野党合意を要求した末に弾劾訴追された。続いて権限代行を任された経済副首相は、無責任なけんか両成敗論を掲げ、法の執行を無力化する勢力に沈黙をもって同調した。ついに大統領は、逮捕される瞬間まで、一部の極右支持者に対して「法はすべて崩壊した」という詭弁(きべん)の映像メッセージを残し、滑稽で卑しい政治形態をやめなかった。
 政治の役割を放棄し、やせ細った法治を掲げていた大統領が、今度は法秩序を真っ向から傷つけ、退行と反動の政治的役割の裏に隠れているのだから、韓国社会の対立と確執が泥沼へと転げ落ちていくのは当然のことだった。自らがばらまいた非常識と不公正、違憲と違法の痕跡の活躍を眺めながら、大統領は漢南洞の家を要塞化し、武装した警護員を私兵とし、一部の極右支持者を世論戦の使い走りにした。このようにして「南米の麻薬ギャング団」よろしく公権力に対抗した。このような袋小路の対立や確執の助長は戒厳令による内乱暴動よりも大きな傷を残し、韓国社会をたやすくは回復しないところにまで追い込んだことは明らかだ。
 政治権力を私有化したまま酔生夢死の日々を送った人間の末路は、容易に見当がつく。逮捕後、拘束と弾劾を免れることはできないだろう。それによって憲法と法律の厳しさを確認することは、それほど難しくない。しかし、真の問題は現在進行形であり、今後も残る。崩壊した政治の役割と責任を回復し、韓国社会の構造的な確執と対立を解消するのは容易ではないが、決してあきらめてはならないことでもある。
 先日見た映画「シビル・ウォー」のように、国内で互いに軍隊を作って戦争する場面が私たちの現実にならなくて幸いだ。ただし、銃を手に取らなかっただけで、漢南洞でペンライト、星条旗、太極旗を手に「弾劾の賛否」で対立した姿が今後も見られ、それに便乗する政治が続けば、韓国社会は依然として内乱の混沌の中にとどまるかもしれない。

パク・ロクサム|ジャーナリスト (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-16 18:57


「The Hankyoreh」 2025-01-17 08:56
■裁判所、尹錫悦大統領の逮捕適否審を棄却…逮捕状態維持
 ソウル中央地裁「請求理由なし」 
 高位公職者犯罪捜査処、17日に拘束令状請求の方針 

【写真】内乱首謀の容疑で高位公職者犯罪捜査処に逮捕された尹錫悦大統領が15日午後、京畿道果川市の公捜処での取り調べを終え、ソウル拘置所に移動している=写真共同取材//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領がソウル中央地裁に請求していた逮捕適否審が棄却された。
 ソウル中央地裁刑事32単独のソ・ジュンソプ判事は16日午後11時10分ごろ、「この事件の請求は理由がない」として、尹大統領の請求していた逮捕適否審を棄却した。逮捕適否審は、捜査機関の逮捕が適法か否かを裁判所が審査し、釈放するかどうかを決める制度。
 ソ判事はこの日午後5時から約2時間にわたり、尹大統領に対する逮捕適否審の審問をおこなった。尹大統領は裁判所に来ず、尹大統領の弁護人を務めるペ・ジンハン、キム・ゲリ、ソク・トンヒョンの各弁護士が出席した。尹大統領側は「内乱罪の捜査権がない公捜処が違法に捜査をおこなっている」とする主張を展開した。いっぽう公捜処は、適法な手続きに則って尹大統領を捜査し、その後、裁判所から逮捕令状を取って執行したと反論した。
 この日、逮捕適否審が棄却されたことで、尹大統領は逮捕状態で引き続き取り調べを受けることになった。逮捕適否審の審査が行われる時間は、最大48時間の逮捕時間に含まれない。公捜処は17日に尹大統領の拘束令状を請求する方針だという。

チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-16 23:14


「The Hankyoreh」 2025-01-17 09:39
■【社説】逮捕されても法を無視の尹錫悦、「布告令を誤って書き写した」と詭弁

【写真】内乱首魁容疑で逮捕された尹錫悦大統領が15日、調査を終えた後、公捜処を出てソウル拘置所に向かっている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 内乱首魁の容疑者である尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が、逮捕後も変わることなく、捜査の正当性を否定する法の無視の態度を続けている。さらに、12・3非常戒厳布告令については「キム・ヨンヒョン国防部長官(当時)が間違って書き写した」という荒唐無稽な主張を展開している。民主・法治国家の市民とは言えない非常識さと強引さの連続だ。このような人物に大統領という国政の最高責任を任せていたことに、恐ろしさしか感じない。
 尹大統領は15日の逮捕後、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)で8時間20分間にわたり調査を受けたが、「非常戒厳は大統領の固有権限」という一方的な主張以外には、始終一貫して返答を拒否したという。16日には公捜処の調査自体を拒否して欠席した。憲法裁判所の弾劾審判の裁判にも出廷しなかった。一方、尹大統領は、逮捕は不当だとして、ソウル中央地裁に逮捕適法可否の審理を申請した。逮捕された被疑者が陳述を拒否し、逮捕適法可否審理を申請することは、法が保障した権利であり、責めるべきものではない。しかし、尹大統領は、公捜処の捜査や裁判所の令状発付など、捜査そのものの正当性を根本から否定している点が問題だ。憲法と法律を守護する最大の責任を持つ大統領が、自身の身の安全のために司法体系を全面否定し、国家全体に悪影響を及ぼしているのだ。
 さらに、憲政を破壊した内乱罪を犯したことについて一抹の反省もないことには、あきれるしかない。尹大統領は14日に憲法裁判所に提出した答弁書で、12・3非常戒厳布告令1号について、「キム・ヨンヒョン前長官が、軍事政権時代の例文をそのまま書き写したものを見落とした」とする趣旨で弁解したという。布告令1号は、非常戒厳時でも国会活動を侵害できなくした憲法を正面から破るものだ。違憲判定を避けられないことをよく知っている尹大統領は、キム前長官に責任を転嫁する卑怯な策略を使っている。しかし、キム前長官の弁護人は16日、「キム前長官が草案を書き、大統領が検討した」と明らかにした。キム前長官が尹大統領の嘘に反論したわけだ。さらに、尹大統領は憲法裁判所への答弁書で、非常戒厳の際に戒厳軍が国会のガラス窓を破壊したのは、「興奮した群衆を防ぐためのもの」だとする主張までした。まったくもって、解読不可能な詭弁だ。
 尹大統領はいまでも、法と常識をもてあそぶことができるという妄想に陥っているようだ。しかし、憲政史上初の現職大統領の逮捕で立証されたように、韓国の法治は堅固たるものだ。民主主義と法治を破壊した内乱犯は、法により断罪されるのが当然だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-16 18:43


「The Hankyoreh」 2025-01-17 08:24
■【独自】「威力を誇示せよ」…警護処の「短機関銃」武装警戒は尹錫悦大統領の指示

【写真】尹錫悦大統領に対する2回目の逮捕状の執行が迫った13日午後、ソウル龍山区漢南洞の大統領官邸区域で、ある警護要員がK1小銃を手に持って歩いている=ザ・ファクト提供//ハンギョレ新聞社

 内乱を首謀した容疑で逮捕された尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、2回目の逮捕状執行を控え大統領警護処の幹部らに「対外的に威力を誇示せよ」と指示していたことが明らかになった。
 警護処の現職幹部は16日、ハンギョレの電話インタビューで、「逮捕執行が近づくにつれ漢南洞(ハンナムドン)官邸前に短機関銃などを持った職員の姿が見えたのは、尹大統領の指示に従ったもの」だと語った。尹大統領が11日、キム・ソンフン警護処次長(処長職務代理)、イ・グァンウ警護本部長をはじめとする幹部らとの昼食会で、「高位公職者犯罪捜査処が逮捕を試みた場合、武力を使用することを検討せよ」と指示しただけでなく、外部にもそのような姿を見せて武力を誇示するよう指示したという。捜査機関と警護処の物理的衝突の可能性が提起された中、危機感を高めることで強制捜査の試みの阻止を試みたものとみられる。

【写真】尹錫悦大統領が逮捕された15日、ソウル漢南洞の官邸前の様子=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 同幹部は「その場でイ・グァンウ本部長が(尹大統領の)指示を受け、職員たちに銃ケースも持ち歩いて威力を示すよう指示したという。 VIP(尹大統領)が直接指示したと聞いた」と話した。実際、尹大統領の逮捕が迫った13日、ソウル龍山区(ヨンサング)漢南洞の大統領官邸で、警護処の職員がK1短機関銃で武装した状態で警戒に当たる姿がカメラに捉えられた。これに先立ち、野党「共に民主党」のユン・ゴニョン議員は「キム・ソンフン次長が、マスコミに見られるよう巡察すること、戦術服・ヘルメットなどの服装を着用すること、実弾を含む火器はケースに入れて見えないように携帯すること」を指示したと言ったが、尹大統領本人の意中が反映された「誇示行為」であることが明らかになったわけだ。
 「キム・ヨンヒョン(元警護処長で前国防長官)‐キム・ゴンヒ(尹大統領夫人)派」と呼ばれるこれら警護処首脳部が、職員たちの反発にもかかわらず、逮捕が予告された15日未明、叱咤と泣き落としを繰り返し、逮捕の妨害を強要した事実も明らかになった。当時、警護処の職員たちは一致した反対の動きはなかったが、心を一つにして公捜処に道を開けた。
 その日の明け方、キム・ソンフン次長は国防部長官公館で待機し、現場出動を拒否する職員たちに「今に見てろ」と脅したり、「どうか出てきてバスの後ろにでも立っていてほしい」と訴えたという。同幹部は「尹大統領の目につく現場に出動してほしいという話だった」と語った。
 その後、キム次長が状況室を訪れ、全職員の出勤を指示する非常同報(組織に属するすべての人の携帯電話に命令を下すシステム)を命令したりもした。しかしこの業務を担当する職員がこれを拒否したという。この職員は非常同報の実行を拒否したという理由で、待機発令が予告されたという。
 同幹部は「キム次長とイ本部長に対する逮捕状執行が先送りされ、警護処内部は依然として混乱している状況だ。万が一にでも(尹大統領やキム次長らが)戻ってくるかもしれないという懸念もある」とし、「皆、尹大統領の拘束とキム次長らの逮捕状執行だけを待っている」と伝えた。

オム・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-01-16 22:11


「The Hankyoreh」 2025-01-17 06:32
■一人の栄光と5千万人の恥【特派員コラム】
 イ・ボニョン|ワシントン特派員

【写真】高位公職者犯罪捜査処と警察が、尹錫悦大統領に対する2回目の逮捕状の執行に乗り出した15日午前、ソウル駅で市民たちが関連ニュースを見ている/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は後日、大韓民国の最高指導者として忘れられない場面として何を思い浮かべるだろうか。2023年4月27日の米上下院合同会議での演説も、栄光の場面の一つとして記憶されるのではないかと思う。当時、演説後に議員席に降りてきた尹大統領と「自撮り(セルフィ)」を撮ろうとする米国の議員たちが列を成した。人気スターになった韓国大統領は、浮かれているように見えた。筆者は尹大統領の訪米を高く評価するわけではなかったが、その場面だけは少し嬉しい気持ちで見守った。韓国人の努力と成果が作り出した場面に思えたからだ。
 今日で特派員を終える筆者は3年間、米国人の韓国に対する評価と関心が以前とはあまりにも違うことを実感した。数十年前に移民して白髪になった韓国人たちは感慨もひとしおだろう。「大変な思いをして太平洋を渡らなくても良かったかも」というニュアンスで話す人もいる。彼らの母国が以前には到底想像できなかった評価を受ける国になったためだ。
 韓国の民主主義、経済、文化などに対する外国人たちの称賛は、韓国人が実感する以上の側面もあるようだ。韓国をほめちぎる米国の当局者たちの言葉には「こんなに立派な国に私たちが育てあげた」という自負ないしは自画自賛もにじみ出ている。「育ててもらったなら、何か差し出さなければ」という意味も込められている。自分たちが腰を折ってしまった朝鮮半島の片側に住む人々が苦労して成し遂げた成果に対する傲慢な態度と言わざるを得ない。
 とにかく称賛自体はいいことだ。富国で生まれれば個人的努力と関係なく、貧国の人が享受できない経済的利益を得るという「市民権レント(rent)」という言葉もある。韓国人は文化的な市民権レントも、国家的な評判の上昇による市民権レントも享受できるようになったのだ。
 国を代表する大統領はこのような変化の大きな恩恵を受けるものだ。尹大統領は歴代のどの大統領よりも手厚いもてなしを受けていただろう。もう一度言っておきたいが、尹大統領が素晴らしいからではない。尹錫悦を大統領に仕立て上げた人たちとその人々の先代が血と汗を流した結果だ。
 尹大統領の12・3親衛クーデターは多くを変えた。韓国のイメージは急転直下に墜落した。韓国民主主義のレジリエンス(復元力)を称賛する声もある。しかし、強烈ながらも後進的な場面は、世界の人々の脳裏から簡単に離れられないだろう。多くの人々の心の中で韓国は30年、40年前に戻っただろう。韓国大統領は米国の国務長官でもなく副長官に「深刻な誤判断」を犯したと叱られるはめになった。韓国外交部長官は、夜中に米国大使の電話に出なかったと叱責された。好意と尊重はあっという間に冷淡と軽蔑へと変わった。韓国の外交官が気を張って米国を相手にすることは、さらに難しいだろう。
 大統領は国の地位と評判を少しでも改善して守るのに最も大きな責任がある人だ。そのような人が5千万人の韓国人の顔にここまで泥を塗れるだろうか。指導者は一瞬の過ちで多くの人を不幸に陥れやすい。ところが、尹大統領は単なる無能と過ちではなく、故意と悪意でクーデターを起こした。そうしておきながら、歴史に残る「現職大統領による座り込み」を行ったあげく、逮捕されると、「望ましくない流血事態」を防ぐために自ら出頭したと主張した。
 5千万人の名誉を踏みにじっても、自分の名誉は守りたいのだろう。茫然自失というのはこんな時に使うためにある言葉なのかもしれない。


「The Hankyoreh」 2025-01-17 07:59
■尹錫悦大統領、実益のない逮捕適否審請求…支持層の結集と裁判遅延狙った布石
 「違法捜査」を争点化し、調査に応じず 
 裁判を引き延ばし、6カ月後の釈放狙うか

【写真】内乱首謀と職権乱用権利行使妨害の疑いが持たれている尹錫悦大統領が15日午後、高位公職者犯罪捜査処の調査を終えた後、車に乗って京畿道儀旺市のソウル拘置所に向かっている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が逮捕当日、直ちに逮捕適否審を請求し、翌日の高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の調査にも応じず、「違法捜査」という主張を続けている。 認容(受け入れ)の可能性は低く、逮捕時間を延ばすだけの適否審まで請求するのは、違法捜査という主張で支持層を結集させ、裁判を遅延させることで、6カ月後に釈放される状況を狙っているのではないかという分析もある。
 尹大統領の逮捕適否審請求は、公捜処の1次調査が終わった後の15日夜に公開されたが、尹大統領弁護団が適否審を請求したのは逮捕直後の15日午前だった。弁護団は、公捜処は大統領内乱容疑に対する捜査権がなく▽専属管轄のソウル中央地裁ではなくソウル西部地裁に逮捕令状を請求したため、公捜処の捜査および逮捕状の請求が「違法捜査」であり、逮捕状の発付も無効だと主張した。捜査機関が被疑者を逮捕すると、48時間以内に拘束令状を請求したり釈放しなければならないが、逮捕適否審を請求すれば、関連手続きが行われる間は身柄を拘束できる時間が増える。15日午後、尹大統領側のソク・トンヒョン弁護士は記者懇談会で、「(逮捕適否審の請求を)考慮しない」と述べたほど、尹大統領側としては意外な選択であるわけだ。
 このように逮捕適否審請求の実益が少ないにもかかわらず、尹大統領側がこのカードを持ち出したのは、政治的目的が隠れているものとみられる。高裁部長出身の弁護士は「逮捕適否審の請求がソウル中央地裁で認容される確率は0%」だとし、「『違法捜査』フレームで政治的なショーをするのが狙いとみられる。実際、支持率の上昇効果をあげているのではないか」と語った。「違法捜査」を争点化し、今後の裁判の段階での遅延戦略まで念頭に置いているという分析もある。また別の判事出身の弁護士は「後で裁判で違法逮捕・起訴を抗弁するだろう。このように裁判を遅延させ(1審拘束期間の)6カ月前に釈放されることを考えているのではないか」と話した。
 尹大統領が15日の公捜処の調査で陳述をせず、調書閲覧・捺印を拒否したのに続き、逮捕状態でも2日目の調査まで拒否したのも、「違法捜査」という主張の延長線上にある。内乱容疑を全面否定している状況で、生半可な陳述が自分にとって「毒」になるかもしれないという計算もあり得るが、拘束捜査の必要性も大きくなる。ある現職の部長検事は、「最小限の調査にも応じていないのに、逃走や証拠隠滅の恐れがないと判断するのは難しいだろう。拘束の可能性を高める行為」だとし、「捜査手続きについて納得できない理由を挙げながら捜査に応じないことも拘束の理由になりうる」と語った。また別の検事は、「内乱罪は警察にのみ捜査権があるという主張で公捜処の調査に応じていないが、(起訴のために)検察に事件が移牒された後もそのような主張を続け、供述を拒否するものとみられる」とし、「供述拒否も憲法上の権利であるため、捜査機関ではどうしようもできない」と話した。
 しかし、供述拒否は検事時代の尹大統領の態度とは矛盾している。尹大統領は国政壟断特検捜査チーム長の時期、アン・ジョンボム元大統領府政策調整首席が拘束状態でも特検の取り調べに応じなかったことについて、怒りをあらわにし、「明日まで来て陳述しなければ、家族について捜査すると伝えろ」と言ったというエピソードもある。当時、アン元首席は裁判で「覚えている通りに陳述したにもかかわらず、特検が関連陳述を強く要求した。特検が家族のすべての問題を暴くと言い、妻を拘束すると脅し、起訴しないという懐柔も受けた」と主張した。

チョン・ヘミン、ペ・ジヒョン、クァク・チンサン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1178345.html
韓国語原文入力:2025-01-16 22:12
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