どーも、ワシです。今回は兵庫県神戸市北区山田町下谷上(やまだちょう しもたにがみ)に「鈴蘭砂防ダム」というのがグーグル先生の地図に出ていたので行ってみることにしました。アクセスは国道428号の「水呑」信号から県道52号(小部明石線)に入り、神戸電鉄有馬線の跨線橋の手前の「梅香園」の看板のところのT字路を左折して行くと到着します。
到着しました。これが「ご尊顔」。修復したのかな?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/7b/2a74bd6eb47b579fe17a906ac7d783e1.jpg)
近づいてみると本体には「鈴蘭堰堤」記されたプレートが嵌め込まれています。昭和27年(1952年)3月に完成し、平成19年(2007年)6月に補強工事が行なわれたようです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/5e/f973f35b3b2d3d6ad66624232ac16a05.jpg)
あれれ、築造物の名称が違いますね。でも場所は間違ってはいません。ということはグーグル先生の地図の表記が誤っていることがまたもや判明したわけです。それにしてもどこから「鈴蘭砂防ダム」という名称が出てきたんでしょうね。ちょっとこれについて考えてみましょう。鈴蘭というのはこの下流の地名「鈴蘭台南町」に由来するとして、問題は「砂防ダム」と「堰堤」の表記です。築造物の立地とその形状からすると砂防のために建設されたものであるのは間違いありません。だから「砂防」の表記は妥当であり、プレート表記の「鈴蘭堰堤」はむしろ「鈴蘭砂防堰堤」にすべきだったと言えるでしょう。いや、むしろグーグル先生の誤りは「ダム」と表記してしまったことです。もう一度プレートをご覧ください。「堤高10m」とありますね。これがポイントなんです。というのも、ダムの定義が記された河川法第44条によればダムとは高さが15.0m以上の築造物を指し、そして高さ15.0m未満のものは「堰堤」と明言しているんです(参考)。ということはこの築造物は「堰堤」と称すべきで、定義上はダムではないんですね。従ってグーグル先生の地図の表記は間違いで、正しくは「鈴蘭堰堤」あるいは「鈴蘭砂防堰堤」と表記すべきなのです。
それはさておき、堰堤に近づいたので左岸側から接写してみました。職人仕事を思わせる丁寧な「作り」。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/c1/779fb7a2772745658f9d0255ecf4750e.jpg)
そこから見た下流側の景色。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/14/b7cff4ecca40bc707f7cf7d8c0bbd522.jpg)
ふと見れば堰堤の横へ繋がる道があるので向かいました。これが左岸から見た堰堤の上です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/53/2143f76c9362f018f459400da2fc53f4.jpg)
しかしながら堰堤の上は立入禁止のようで、行くことはできません。でも、この看板、よく見てください。堰堤名は上に示した「鈴蘭堰堤」と同じですが、堰堤の高さ(12.0m)と長さ(57.7m)が変更されています。しかも平成の補修工事後、令和の時代(2020年11月28日)になって再び補修工事が施工されていたのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/6c/cdd6dc46ff197be5d963a83cc12f4e9a.jpg)
驚くのはまだ早かった…。この看板の隣にある表示板を見て、さらにビックリ。何がビックリって河川法を司っている国土交通省が堂々と「鈴蘭砂防ダム」と表記していることです。これじゃあ河川法の定義は関係ありませんと言っているようなもの。いいのか?それで。お役所は良い意味で頭が固くなければなりません。あ、グーグル先生の表記はこれと同じなので、ここだけを見て地図に記入したのかもしれませんね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/e1/2e1be925f6738cfe33853e443fb8bb8a.jpg)
ビックリなのはそれだけじゃありません。上に掲げた「鈴蘭堰堤」のプレートの数値と違っていることです。どちらも昭和27年3月完成とあるのに、その数値が異なるのは何故なんでしょうね。もしかすると「鈴蘭堰堤」のほうの数値は平成19年6月に補強した結果の数値なんでしょうか?仮にそれが事実ならばこの堰堤の高さと長さは次のような変遷を辿ることになります。
高さ 長さ
1952年3月完成時 :14.2m 57.7m
2007年6月補強時 :10.0m 60.0m
2020年11月28日改修時:12.0m 57.7m
いや〜、なんだか不自然じゃないですか?高さを下げたり上げたり。そして長さも伸ばしたり縮めたり…。うーむ、よくわからんなぁ。
それはさておき、左岸の堰堤横には「砂防工事の歴史と工夫」なる説明図があります。これは鈴蘭堰堤に限ったことではなく、砂防ダム(堰堤)の一般的な工事の歴史が記されています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/07/938ec3ad5b05aceb3d8bb3e921d3ca69.jpg)
ちなみに左岸側から当該堰堤の「背中」を見るとこんな感じ。堰堤の中央には流木などが流れぬように透過型の装置が付設されています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/29/7609cbeca45edf65b6de01240bdf5017.jpg)
鈴蘭(砂防)堰堤…。名称だけ見ると可愛らしいイメージですが、実物を見ると継ぎ接ぎだらけの、未だ工事の真っ最中という感じ。補強や改修工事はいいけど、もうちょっと美しく仕上げようよ。それに表記もね。
ちょっとガッカリちゃん。
今年も飽きずにご覧いただき、ありがとうございました。来年もポンコツジジイはダム巡りを続けます(笑)
到着しました。これが「ご尊顔」。修復したのかな?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/7b/2a74bd6eb47b579fe17a906ac7d783e1.jpg)
近づいてみると本体には「鈴蘭堰堤」記されたプレートが嵌め込まれています。昭和27年(1952年)3月に完成し、平成19年(2007年)6月に補強工事が行なわれたようです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/5e/f973f35b3b2d3d6ad66624232ac16a05.jpg)
あれれ、築造物の名称が違いますね。でも場所は間違ってはいません。ということはグーグル先生の地図の表記が誤っていることがまたもや判明したわけです。それにしてもどこから「鈴蘭砂防ダム」という名称が出てきたんでしょうね。ちょっとこれについて考えてみましょう。鈴蘭というのはこの下流の地名「鈴蘭台南町」に由来するとして、問題は「砂防ダム」と「堰堤」の表記です。築造物の立地とその形状からすると砂防のために建設されたものであるのは間違いありません。だから「砂防」の表記は妥当であり、プレート表記の「鈴蘭堰堤」はむしろ「鈴蘭砂防堰堤」にすべきだったと言えるでしょう。いや、むしろグーグル先生の誤りは「ダム」と表記してしまったことです。もう一度プレートをご覧ください。「堤高10m」とありますね。これがポイントなんです。というのも、ダムの定義が記された河川法第44条によればダムとは高さが15.0m以上の築造物を指し、そして高さ15.0m未満のものは「堰堤」と明言しているんです(参考)。ということはこの築造物は「堰堤」と称すべきで、定義上はダムではないんですね。従ってグーグル先生の地図の表記は間違いで、正しくは「鈴蘭堰堤」あるいは「鈴蘭砂防堰堤」と表記すべきなのです。
それはさておき、堰堤に近づいたので左岸側から接写してみました。職人仕事を思わせる丁寧な「作り」。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/c1/779fb7a2772745658f9d0255ecf4750e.jpg)
そこから見た下流側の景色。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/14/b7cff4ecca40bc707f7cf7d8c0bbd522.jpg)
ふと見れば堰堤の横へ繋がる道があるので向かいました。これが左岸から見た堰堤の上です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/53/2143f76c9362f018f459400da2fc53f4.jpg)
しかしながら堰堤の上は立入禁止のようで、行くことはできません。でも、この看板、よく見てください。堰堤名は上に示した「鈴蘭堰堤」と同じですが、堰堤の高さ(12.0m)と長さ(57.7m)が変更されています。しかも平成の補修工事後、令和の時代(2020年11月28日)になって再び補修工事が施工されていたのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/6c/cdd6dc46ff197be5d963a83cc12f4e9a.jpg)
驚くのはまだ早かった…。この看板の隣にある表示板を見て、さらにビックリ。何がビックリって河川法を司っている国土交通省が堂々と「鈴蘭砂防ダム」と表記していることです。これじゃあ河川法の定義は関係ありませんと言っているようなもの。いいのか?それで。お役所は良い意味で頭が固くなければなりません。あ、グーグル先生の表記はこれと同じなので、ここだけを見て地図に記入したのかもしれませんね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/e1/2e1be925f6738cfe33853e443fb8bb8a.jpg)
ビックリなのはそれだけじゃありません。上に掲げた「鈴蘭堰堤」のプレートの数値と違っていることです。どちらも昭和27年3月完成とあるのに、その数値が異なるのは何故なんでしょうね。もしかすると「鈴蘭堰堤」のほうの数値は平成19年6月に補強した結果の数値なんでしょうか?仮にそれが事実ならばこの堰堤の高さと長さは次のような変遷を辿ることになります。
高さ 長さ
1952年3月完成時 :14.2m 57.7m
2007年6月補強時 :10.0m 60.0m
2020年11月28日改修時:12.0m 57.7m
いや〜、なんだか不自然じゃないですか?高さを下げたり上げたり。そして長さも伸ばしたり縮めたり…。うーむ、よくわからんなぁ。
それはさておき、左岸の堰堤横には「砂防工事の歴史と工夫」なる説明図があります。これは鈴蘭堰堤に限ったことではなく、砂防ダム(堰堤)の一般的な工事の歴史が記されています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/07/938ec3ad5b05aceb3d8bb3e921d3ca69.jpg)
ちなみに左岸側から当該堰堤の「背中」を見るとこんな感じ。堰堤の中央には流木などが流れぬように透過型の装置が付設されています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/29/7609cbeca45edf65b6de01240bdf5017.jpg)
鈴蘭(砂防)堰堤…。名称だけ見ると可愛らしいイメージですが、実物を見ると継ぎ接ぎだらけの、未だ工事の真っ最中という感じ。補強や改修工事はいいけど、もうちょっと美しく仕上げようよ。それに表記もね。
ちょっとガッカリちゃん。
今年も飽きずにご覧いただき、ありがとうございました。来年もポンコツジジイはダム巡りを続けます(笑)