ライターの脳みそ

最近のマイブームはダム巡りと橋のユニークな親柱探し。ダムは目的地に過ぎず、ドライヴしたいだけ…。

3つの井堰の統合!…藤崎頭首工

2022-04-30 06:58:51 | 和歌山(ダム/堰堤)
どーも、ワシです。えー、今回は和歌山県紀の川市藤崎にある紀の川水系の藤崎頭首工を訪れます。ここは和歌山線の「粉河(こかわ)駅」と「名手(なて)駅」の中間に位置し、数日前に記事にした岩出頭首工から紀の川を遡っていったところにあります。

まずは紀の川の左岸を走る県道13号から頭首工へアクセスしてみます。あれれ、わかりますか? 藤崎頭首工は左岸と右岸の両方に頭首工があるんですね。



頭首工の左岸側の地名は紀の川市荒見(あらみ)で、ここから紀の川の河口までの距離は29.2km。



左岸側の頭首工は、こんな感じ。頭首工の内側(川側)には魚道も見えます。



川の真ん中にある床固工?は4段になっています。



左岸の頭首工の横に来ました。



頭首工本体には左岸側の水利使用標識が貼られています。こちらの使用者は荒見井土地改良区と安楽川土地改良区。



その上流側にあるのが取水設備で、



その下のところに取水口があります。



取水された水はこの水路を通って、左岸側の農地へ供給されるんですね。





左岸側の頭首工と水路の位置関係は、こんな感じ。



左岸のさらに上流側にある謎の建物。これは管理所なのでしょうか…。



左岸側から見た紀の川上流方向の様子。



一方、下流方向は、こんな景色です。



右岸側にも頭首工があるので確認しないわけにはいきません。で、今度は右岸にやってきました。まずは取水口からの水路と頭首工の位置関係をご覧ください。



取水量が多い時は、あちらへも流れていくんでしょうか…。



頭首工へ近づいていきます。これが取水口から流れ出るところ。



この水路出口の上には、やたらと目立つ祠があります。よく見るとそこには「右二つ巴(ともえ)」の家紋がありますね。巴は水が渦巻く様子を表したもので、神社や民家の屋根に巴の紋が見られるのは巴紋が水に通じているところから「火除け」の意味で使われているそうな。また、古代の勾玉が巴の形に似ていることから神霊の象徴としてこれを神社で用いるようになったとも言われます。さらに巴の形は武士が弓を射る際に弦から肘を守るために装着する鞆(とも)という武具に似ていることから武神とされる八幡神社系の神社ではよく見かけますね(参考)。では、この祠の家紋は何を意味するんでしょうか。おそらく水の神様といった意味なのかもしれません。たぶん。



取水設備と頭首工の位置関係は、こんな感じ。



そして、写真中央に見えるところが取水口です。



仲良し三人組ってな感じ。



頭首工本体に嵌め込まれた「藤崎頭首工」と記されたプレート。昭和31年(1956年)6月竣功の文字が見えます。



右岸側にも水利使用標識。こちらの使用者は藤崎井土地改良区。



右岸、頭首工の横には「藤崎井 頭首工災害復旧事業/幹線水路新設改良事業 竣工記念碑」と刻まれた石碑。昭和49年(1974年)2月とあります。



右岸側に見えるこれは魚道。上に書いたように複数の床固工があるのでお魚さんたちは川を遡ることができません。そのための通路が魚道なんです。お魚さんたちはここから遡って、



頭首工の外側を通り、



取水設備の脇のここまで遡ってきて、それから紀の川の上流へ向かうことができるんですね。



デ〜ンと構えた右岸の「三人衆」。



藤崎頭首工築造の経緯も岩出頭首工のケースと似ていて、1953年に発生した大水害により流出した藤崎、荒見、安楽川の3つの井堰(いせき)を統合するものとしてその工事は1957年12月に完成したそうな(参考)。両岸の水利使用標識の使用者が異なるのはそれぞれの土地改良区が担当しているからなんでしょうね。
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