やっと夏期講習の前期が終わった。個人の講習は８月いっぱいやっているが、若手バイト講師と専任が交代で埋めている。契約講師はお休み。
父の２泊３日のショートステイが終わり１４時半に帰ってくるので、昼に近い時間帯が落着かないので、授業や巡回が入れられなかった。２泊３日といっても、実質的に休みを利用できるのは、２日目だけ。デイサービスといい、本当に家族に恩恵が少ない。
本校経由で連絡が入り、巡回先が１９時からの指導の時間繰上げを依頼してきた。１６時からになったので、父をベッドに運び込んで早々でかけることになた。
しかし、ことはうまく行かない。父が便意を催し失禁、ベッドに戻ってから、着替えさせたものも、その場で汚してしまった。油断していた。紙パンツのゆとりが無く、薬局まで買いにいくなどの大まわり。明らかに父は体調を後退させていた。ところが帰ってみると、訪問看護のOさんが来て採血していた。これを届けて主治医から薬をもらわなくてはならないことに。母は寝込んでいた。冗談のようだが、父の帰宅を考えたら（手術した）胃が痛くなって、逆流が始まっているという。Oさんが現場に立ち会っていた。
やむなく本校に電話。もとの１９時ではないと到着が間に合わないので、時間を元通り直してくれと頼んだ。一度承諾して３０分経っていたので、冷や汗ものだったが、幸いうまくいった。（と思っていた。）
主治医の待合室は混んでいた。検査の処理もあったので、処方箋薬局から薬を受け取るまで２時間。この間に母から、「父が便が出たいと言って困る。付き添ってくれ」と悲鳴のような電話が飛び込んでいた。父は便が出たくなると、１階のトイレに行こうとする習慣がある。萎えた足で階段を降りれば、いっぱつである。しかし見張りをしていては、仕事にならない。
いちかばちか、居室で部屋の出口を椅子ふたつと紙パンツの大袋を置いて、通路を妨害しろと指示した。ふだんの父なら片付けてしまう。しかし父は萎えていた。取り除けまいという賭けだった。
賭けは勝った。しかし便が少しでも出ると紙パンツを脱ぎ捨ててしまい、下半身裸でいる。そこに再度便意が襲えは、足が萎えているので間に合わない。通路は便で汚れてしまうのだった。馬鹿馬鹿しい。しかし認知症患者の介護は、格闘技のようだ。
ひとつネジがゆるむと、ことは破壊へと向かう。伝言ゲームの恐ろしさ。規則で直接交渉は禁じられているから仕方が無いが、１９時に先方に到着してみると、１６時がダメというので、１７時に待っていたとかんかんに怒っていた。連絡の行き違いと謝ってみても、「１９時からは遠方から親戚が来る」とのことで、何とか引きこもっている当人に事情を説明し、彼の部屋に入れてもらった。この辺が中高生と様子が違う。自分の城にはなかなか入れてもらえないが、２０代となると相手への配慮も多少効いてくる。
さすがに初対面の相手に、父の便の話をするわけにもいかず、導入は「神のいたずら」という「ずれ」の話に。
道に倒れていた人を介抱しようとしたところ、通行人に犯人と間違えられた。さてどうしようかというサスペンスドラマに良く出てくるシーン。このずれは視角の差異によってうまれている。「物事は多義的」と見るか、「観察者が意味を添付して見るか」のとらえ方の違いを追っていく。いずれにせよ、その視角の差異を知らぬことの修正されぬ悲劇と、知るが故の無力感を貫くものはないかという教科外の話が盛り上がって、さらには科学の抽象化という単純化は認識が一意的だと前提しがちだが、たとえば数学の解法の違いは見え方の違いが背景にあるという話へ。秋から担当する小＊さん、さて大変だと…。まあ、予定１５分延長で締めてきた。
彼の家はバスを使わないと鉄道の駅に出られない。終バスがすでに出てしまっていたので、逆方向のバスに乗り、大回りして帰ってきた。茅ヶ崎について、終バス終了後の道を歩いて帰る途中、夢たいカフェの出来るシャッターの閉まった家屋の前に出て、古ぼけた、しかし可能性を込めることができた建物をしばらく眺めていた。
帰り着いた玄関の扉の向こうは、のけぞるような糞尿の悪臭。積み上げられた椅子の向こうにパジャマズボンが見えた。案の定、床からベッドの上まですさまじい状態。入れ歯がはずれて口からはみ出したまま、下半身裸のまま、掛け布団を股に挟んで高いびきをかいて父は寝ていた。これからが戦いである。時計は０時になろうとしていた。
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＜『わーく』メモ０２＞
取材依頼チラシ作り＞とりあえずＡ４の２面構成１０部作業中
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映画「あした天気になる？」チェック中
夜間傾聴：中延君（仮名）
（校正１回目済み）
父の２泊３日のショートステイが終わり１４時半に帰ってくるので、昼に近い時間帯が落着かないので、授業や巡回が入れられなかった。２泊３日といっても、実質的に休みを利用できるのは、２日目だけ。デイサービスといい、本当に家族に恩恵が少ない。
本校経由で連絡が入り、巡回先が１９時からの指導の時間繰上げを依頼してきた。１６時からになったので、父をベッドに運び込んで早々でかけることになた。
しかし、ことはうまく行かない。父が便意を催し失禁、ベッドに戻ってから、着替えさせたものも、その場で汚してしまった。油断していた。紙パンツのゆとりが無く、薬局まで買いにいくなどの大まわり。明らかに父は体調を後退させていた。ところが帰ってみると、訪問看護のOさんが来て採血していた。これを届けて主治医から薬をもらわなくてはならないことに。母は寝込んでいた。冗談のようだが、父の帰宅を考えたら（手術した）胃が痛くなって、逆流が始まっているという。Oさんが現場に立ち会っていた。
やむなく本校に電話。もとの１９時ではないと到着が間に合わないので、時間を元通り直してくれと頼んだ。一度承諾して３０分経っていたので、冷や汗ものだったが、幸いうまくいった。（と思っていた。）
主治医の待合室は混んでいた。検査の処理もあったので、処方箋薬局から薬を受け取るまで２時間。この間に母から、「父が便が出たいと言って困る。付き添ってくれ」と悲鳴のような電話が飛び込んでいた。父は便が出たくなると、１階のトイレに行こうとする習慣がある。萎えた足で階段を降りれば、いっぱつである。しかし見張りをしていては、仕事にならない。
いちかばちか、居室で部屋の出口を椅子ふたつと紙パンツの大袋を置いて、通路を妨害しろと指示した。ふだんの父なら片付けてしまう。しかし父は萎えていた。取り除けまいという賭けだった。
賭けは勝った。しかし便が少しでも出ると紙パンツを脱ぎ捨ててしまい、下半身裸でいる。そこに再度便意が襲えは、足が萎えているので間に合わない。通路は便で汚れてしまうのだった。馬鹿馬鹿しい。しかし認知症患者の介護は、格闘技のようだ。
ひとつネジがゆるむと、ことは破壊へと向かう。伝言ゲームの恐ろしさ。規則で直接交渉は禁じられているから仕方が無いが、１９時に先方に到着してみると、１６時がダメというので、１７時に待っていたとかんかんに怒っていた。連絡の行き違いと謝ってみても、「１９時からは遠方から親戚が来る」とのことで、何とか引きこもっている当人に事情を説明し、彼の部屋に入れてもらった。この辺が中高生と様子が違う。自分の城にはなかなか入れてもらえないが、２０代となると相手への配慮も多少効いてくる。
さすがに初対面の相手に、父の便の話をするわけにもいかず、導入は「神のいたずら」という「ずれ」の話に。
道に倒れていた人を介抱しようとしたところ、通行人に犯人と間違えられた。さてどうしようかというサスペンスドラマに良く出てくるシーン。このずれは視角の差異によってうまれている。「物事は多義的」と見るか、「観察者が意味を添付して見るか」のとらえ方の違いを追っていく。いずれにせよ、その視角の差異を知らぬことの修正されぬ悲劇と、知るが故の無力感を貫くものはないかという教科外の話が盛り上がって、さらには科学の抽象化という単純化は認識が一意的だと前提しがちだが、たとえば数学の解法の違いは見え方の違いが背景にあるという話へ。秋から担当する小＊さん、さて大変だと…。まあ、予定１５分延長で締めてきた。
彼の家はバスを使わないと鉄道の駅に出られない。終バスがすでに出てしまっていたので、逆方向のバスに乗り、大回りして帰ってきた。茅ヶ崎について、終バス終了後の道を歩いて帰る途中、夢たいカフェの出来るシャッターの閉まった家屋の前に出て、古ぼけた、しかし可能性を込めることができた建物をしばらく眺めていた。
帰り着いた玄関の扉の向こうは、のけぞるような糞尿の悪臭。積み上げられた椅子の向こうにパジャマズボンが見えた。案の定、床からベッドの上まですさまじい状態。入れ歯がはずれて口からはみ出したまま、下半身裸のまま、掛け布団を股に挟んで高いびきをかいて父は寝ていた。これからが戦いである。時計は０時になろうとしていた。
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＜『わーく』メモ０２＞
取材依頼チラシ作り＞とりあえずＡ４の２面構成１０部作業中
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映画「あした天気になる？」チェック中
夜間傾聴：中延君（仮名）
（校正１回目済み）
