全米日系人博物館(JBNM)知ってますか?

2023-04-27 00:00:42 | 市民A
JANM(Japanese American National Museum)はロサンジェルスにある立派な博物館だ。



日系人博物館と言っても、日系人の剝製とか骨格標本とかならんでいるわけではない。縄文時代人の生活などを調べているうちに、妙な連想をしてしまった。

4月中旬に、都内の会場で開かれたシンポジウムで、博物館関係者のスピーチと、合わせてパネルディスカッションを聴いた。

日本人がアメリカに最初に移民に行ったのは明治元年。いわゆるハワイの元年組。その後、長い期間に次々に海を渡り、今、中心で活躍されている方々の多くは4世だそうだ。ほとんどの方は既に1/4、1/8ということで、社会に溶け込んではいるものの、コロナの時代の間にアジア人差別が横行し始めたということだそうだ。

手短に、日系米国人の歴史だが、日本より前に中国(大清帝国)から米国に流れ込んでいた。理由は南北戦争の結果、奴隷制が廃止になって農業や運送部門での人出不足になっていたからだ。そのため、米国内では黒人問題に加え中国人問題が起こり1900年代の初頭には日系人が重用されてきた。日本国内の数倍の賃金(今もそうだが)が稼げたわけだ。

その後、1920年代には排日運動が始まり、特に西海岸では激しい差別が、住宅や職業の制限といった形で起こっていた。

そして太平洋戦争がはじまり、日系人(主に1世、2世)はほぼ全員が荒野の中に作られた強制収容所へ送られ、バラックに住むことになる。その結果、戦争終結後は生活基盤ゼロからの再スタートになった。

この博物館は、特に今まで公式的には明らかになっていなかった強制収容所の歴史を無口になった当事者に代わって調査、展示をしている。

1世、2世が当時の状況について語らないため、3世、4世は自分のルーツを知ることなく漫然と生活していて、各種のデータベースによって先祖が強制収容されていたことを知るわけだ(基本的には日系人はほとんどが収容されたので、調べれば、当然そういうことになる)。


今回のスピーカーは、全米日系人博物館の館長のバロウズ女史(日系人ではなく南ア国民で反アパルトヘイトの闘士で投獄経験があるそうだ)、同博物館の渉外ディレクターの三木女史、日系4世で東京在住で日系企業の米国内での活動のアシストをしているサカナシ氏の三人とモデレーターはNHKの報道部長の飯田香織さん。

内容の詳細はいずれ報道されると思うので控えるが、アメリカは差別の国で、ますます国民が二極化しているので、もっと積極的に差別と闘わなければならないというような、まさに米国的な展開となる。オバマ政権時代に黒人大統領誕生で、差別が解消の方向に向かうと油断したのがトランピズムの台頭を招いた、というのが一致した意見だった。

強制収容所や日系人部隊(442連隊)の件は、日本でもTBS『99年の愛』、NHK『442連隊』で報道されたことがあるそうだ。442連隊は強制収容所の中から米国に忠実を誓う成年男子を集い、欧州戦線の最前線に送り、ファシストと戦わせたそうだ(関ヶ原の時の藤堂高虎軍のような話)。

なおパネリストの一人の4世のサカナシ氏は、熊本から渡米した1世までの米国内での足取りは資料を追跡してわかったものの、熊本でのもっと先祖代々のことは調べようがないと言っていたのだが、NHKの飯田さんは司会の仕事をすっかり忘れて、NHKには『ファミリーヒストリー』という番組があるから、と言い出してしまった。

1年以内に『ファミリーヒストリー』にサカナシ氏が登場したなら、「企画は経団連ビルから始まった」ということになる。