国立歴史民俗博物館へ

2023-04-02 00:00:12 | 美術館・博物館・工芸品
佐倉城の敷地内になぜ国立歴史民俗博物館が建てられたのか、色々な説明をみてもよくわからない。成田空港がなぜ今の場所になったかも諸説あるが合理的に考えてもよくわからない。千葉は不思議なことが多い県だが、旅行中の雨のおかげで佐倉城址の花見客がゼロになり、交通渋滞もなく国立歴史民俗博物館に辿り着いた。略称は「歴博」となっている。



同じような名前の国立民族学博物館というのは大阪の万博記念公園の中にある。こちらは「民博」と略される。高校の大先輩がかつて館長だったこともあり見学したことがある。どちらかというと「モノ」に拘りを持つ博物館だった。

佐倉の「歴博」だが、かなり広いのだが、印象は「縄文時代」に非常に詳しい。逆説的だが歴史博物館と「歴史」の文字が入っているが、縄文時代の記録は紙の上には存在しない。発掘されたわずかな遺跡や集落跡などから多くの学者が苦労して当時の生活を研究している。



自分のこどもの頃に教えられた歴史観では縄文時代は文明ではなく、採取文化として海岸でアサリを広い、イノシシやシカを捕まえて食べていたというように考えられ、すべての文化は朝鮮半島から米作を持ってきた新人類が持ってきたもので、西から東へどんどん縄文時代人を殺戮していたとされていた。インディアンを追い出した白人のイメージだ。



その後、様々な科学的研究の結果、現代日本人のDNAの60%が縄文系で40%が弥生系ということがあきらかになったり、三内丸山遺跡をはじめとする縄文遺跡の発掘により、まったく異なる歴史が描かれるようになった。それと同時に、文明の転換点には気候変動が最大の影響を与えていたことが明らかになってきた。

それで、縄文時代の祭礼や食生活、地域差などが数々展示されている。当時の食材を見てびっくりする。日本最高峰の高級料亭(行ったことはないが)の食材が並ぶ。



貝でいえばホタテ、サザエ、アワビ。ウニもみえる。魚介でいえば、鯛、サケ、ニシン、それとフグが並ぶ。肉は鹿とかイノシシ。穀物はトチの実を食べていたようだ。でんぷんの含有量が多いが調理法が複雑でアク抜きのために高度な加工法が用いられていた。

しかし、フグには毒がある。どの部位に毒があるかを調べる方法は、実験ということになる。人体実験だろうか、あるいは動物実験だったのだろうか。