空と大地の歴史館/唯一無二の闘争展示か

2023-04-23 00:00:26 | あじ
東総方面の小旅行の最終稿は、成田空港の南側にある『空と大地の歴史館』。国内唯一の航空科学博物館とは駐車場をはさんだ位置関係だ。



外観は、きわめて目立たない建物だが、一歩、室内に入ると赤色と黒色の展示物があふれている、傷ついたヘルメットや火炎瓶、凄惨をきわめた三里塚闘争の写真展示などが広がる。

歴史館であることを失念すれば、そこは1960年代後半に各地で勃発していた全共闘と日帝の走狗といわれた機動隊の戦場が再現されている。

今なお、空港の運営に影響を与えている「建設派」と「反対派」の抗争の歴史を残そうということで、展示内容は「FACT中心」になっている。

つまり、「History」の中の「FACT」はあっても「Story」は書かれていない。関係者によってさまざまなストーリーがあるはず。もともと、「国際空港」そのものに反対の人もいれば「騒音」に反対の人もいれば、「候補地の中で、突然にここに決まったこと」に反対の人もいる。養鶏場を持っている人は、飛行機の機影が鷹などの猛禽のように見えることで鶏が卵を産まなくなったことを怒る人もいる。

10年少し前に、空港関係の仕事をしていて、報道されていないが地元ではよく知られている実態などを関係者から聞いているが、解決困難な問題が色々あるようだ。

成田空港建設の後、人口の集積地にある空港の新設や拡張は、関空、中部、羽田第四滑走路と海上に人工島を作る方法に移っていく。

ところで、50年前には確実に全国各地にあっただろう各セクトのアジト的な展示だが、ここにしかないのではないだろうか。鉄道とバスで行けば都内からでも半日。合わせて航空科学博物館も隣接している。どちらの館も、激しく刺激的だ。

なお、館内は撮影禁止。おそらく人物写真も多く、それらの方の多くは今や次の人生を選んでいるだろうからだろう。ただ、撮影禁止の掲示は目立たないので、かなりの数の人がネット上に貼り付けているようだ。