ギリシア・ローマの神話(吉田敦彦著)

2020-06-05 00:00:14 | 書評
ちくま文庫版の神話解説書。ギリシア神話の解説はこれで三冊目だが、実際に神話は膨大で、なかなか手が出せない。ギリシア悲劇(喜劇)もそうだ。登場人物の名前が覚えきれない。

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というのも、現代社会では人は姓と名を両方持っているのが普通なので、フルネームを覚えると、家族であることがわかるため、関係性があたまに入るが、ポセイドンとかアテネとかプシュケとか、それぞれ誰と誰の子かわからないし、ダブル不倫や近親婚とか日常茶飯事。気に入らないと子供を雲の上から突き落としたり、嫌いな人間は鹿に変えてしまって漁犬に食わせたりする。エロと暴力の極みだ。

神様は気儘だし自分勝手だし、なにしろ不滅だ。

人間も元は神様と一緒に雲の上に暮らしていたそうだが、何か重大な不始末をして神の怒りを買って、不滅の命を失い寿命が定められ、下界に突き落とされた。

ミケーネ文明の頃(紀元前1500年~紀元前1100年)の史跡と神話の類似性から、その頃、ギリシアで巨大な戦いがあったことは推論されるのだが、今のところその詳細は神話以上のことはわかっていない。

ところが、ギリシア衰退後はローマ人は、ローマ人はギリシア人の末裔だからギリシア神話はローマの神話でもあると、神話の乗っ取りをしてしまう。自らの神話はトロイア戦争から始まるわけで、それ以前はギリシア神話と同じというわけだ。

ところで、万能神であるゼウスだが、好色の上に横着だし、性格は不安定。精神的欠陥がある。彼は生きているのだろうか。そしてどこにいるのだろう。オリンピックは彼に捧げる儀式だったのだが、中止するには伺いを立てないといけない。

ギリシア文明を引き継いだローマだが、当初は神といえばゼウスだったのだが、ある時から神はキリストに変わった。永い眠りについていて、時々目から覚めている時に、世界各国の指導者の体内に宿り、コントロールする。北東アジアの多くのリーダーや米国のリーダーもゼウス的だ。