江戸から東京へ、浮世絵にみる「時」の移り変わり

2020-06-21 00:00:15 | 美術館・博物館・工芸品
川崎市の浮世絵コレクター斎藤文夫氏のコレクションを展示する小型の美術館が昨年12月に新装なったのだが、運悪く開館のすぐあとにコロナ禍となり臨時閉館を余儀なくされ、当初の予定より2ヶ月間延長されることになり、足を運んだ。(6月14日に展示終了)。

斎藤氏は参議院議員を二期務めるなど、市政、県政でも活躍され、一方で集めた浮世絵コレクションは4000点、時価7億円ということで、91歳にもなり寄託先として川崎駅そばのリバークビルに川崎浮世絵ギャラリーが新設された。

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幕末(1840年ごろ)から明治維新をはさんで明治中期までの代表的絵師の作品を鑑賞できる。

国芳、北斎、国貞、広重などが江戸の街を美しく描いている。実際、今の東京と幕末の江戸、どちらが美しい町だったのだろう。

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特に気に入ったのが、歌川広重『東都名所 駿河町之図』。三越の前からは富士山と江戸城が見えたそうだ。付け加えると江戸城の天守閣は1600年台に焼失したままになったので、江戸城の矢倉とかが見えたということだろう。江戸城再建計画は宙に浮いたままになっているのだが、都知事選挙では誰も触れていない。都庁が立派過ぎるから江戸城を作る気にはならないのだろうか。(江戸城に住んでいたのは将軍で、都知事にあたるのは、南北の町奉行)

ところで、広重だが、以前は安藤広重と呼ばれていたが、現在は歌川広重と呼ばれる。そもそも本名が安藤重右衛門、号が広重で師匠が歌川豊広なので、歌川広重が正しいということになる。安藤広重では本名と雅号が混ざっている。

北斎の描く富士もいいが、広重の富士もいい。較べるようなものではない。