コーヒーが冷めないうちに(2018年 映画)

2020-06-03 00:00:13 | 映画・演劇・Video
舞台は、ある下町の喫茶店。店内のある席に座ると、いくつかの厳しい条件付きで、希望する時間に戻ることができる。

ただし、タイムマシン小説と同じで、いくらそこで何が起きても現在は変わらないというルールがある。また有効時間は、テーブルに置かれたコーヒーが冷めるまで、という絶対的ルールがあって時間切れになると、現在に戻ることができず、幽霊になるという恐ろしい条件がある。

coffee


実際に一人の女性幽霊がいつも席に座っていて、彼女がトイレに行っている間に、順番待ちの希望者がすかさず席に座ってタイムトラベルをする。

短い時間なので、過去に行って会いたい人と会話するのも手短にしないといけないし、そもそも本題を先に話してあとで理由を説明するというのは日本的習慣では例が少ない。一部の裁判でそういう例があるだけだ。

実際に過去に戻って、言い忘れたことを、目的の人物に話しても現在が変わるわけではないが、言えなかった一言を伝えたということで、未来が変わるという主旨のシナリオ(原作は小説)なのだ。

映画には、大きくわけて、シナリオと監督がすばらしいというタイプと、出演者の熱演がすばらしいというタイプがあるが、本作は前者だと思う。出演者も二流はいないのだが、こういう非現実型は熱演だけでは空回りすることもある。

評判を読むと、かなり感動している人も多いので、意外にも「過去のあの瞬間に言い忘れたことがある人」は大勢いるのだろうということが推定できる。

もっとも、未来から来た人が突然現れて、暗い将来を宣告されたらちょっとめげるだろうと思うが、現在、テレビのワイドショーで活躍している「感染症専門家」というのも、未来からきた預言者のようにみえてしまう。


ところで主演の有村架純さんだが、本作で熱演した結果、酷評が多数沸き上がったようだ。日本特有の「ねたみ」ということなのだろう。おそらく、デビューした時から大女優とか、いつまでも大根という場合はねたみの対象にはならなくて、大根のはずが、徐々に大木になって桃や桜の蕾をつけたりすると、ねたまれるわけだ。