バンクーバーの朝日(2014年 映画)

2018-09-24 00:00:55 | 市民A
前から、野球映画のことであることは知っていたが、それ以上のことは知らなかった。大恐慌のあとの世界的景気後退の中、第二次大戦が近づいていることも知らないカナダ移民の二世たちが、日本とカナダという文化の違う両国のどちらを意識して生きていたかということが、テーマなのだろう。そう考えると、一世の世代の人たちの考え方は簡単だ。出稼ぎ感覚でカナダに渡ったわけだ。ところが安い労働力として使われるだけ。

二世は複雑で、日本にはもはや根がなくカナダとうまくやるしかないということで、社会とだけではなく親との対立も発生する。

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その中で、価値観の異なる日系社会を一つにまとめるのが「バンクーバー朝日」という野球チーム。実話では白人選手も入っていて弱くはなかったが、映画の中では最弱チームになっている。

弱いチームが強くなるというのは、まったくよくある筋で、ある意味惰性感があるのだが、普通に考えれば、異国の中で苦労する日本人が日本人会を通じて団結を深めるという、あまりよろしくない方向性も見える。モンゴル人力士会と同根のようにも思える。言いたいことがよくわからないとも言える。

そして幸せな時間は短く不幸な時間は長い。真珠湾攻撃の後、日系人は、その多くがカナダ国籍だったにもかかわらず、うむも言わせず強制収容所に送られることになる。米国の収容所は日本敗戦後、比較的短期で開放されたのだが、カナダは長く解放せず、最後の釈放まで終戦後5年かかっている。

キャストは、妻夫木聡がショート、亀梨和也がピッチャー。今やドコモのCMでXJAPANの「紅」をアカペラで唱っている高畑充希が妻夫木聡の妹役で、アカペラで「Take me out to the baseball game」を唱っている。やはりヘタなのかウマいのか判別できないように聞こえる。

そして、本映画の上映から3年後、2017年2月に日本のテレビ局が、メンバーの一人だった上西功一氏(ケイ上西)と対面している。その時点でチームの存命者は95歳の彼だけだったそうだ。