黒楽

2018-09-30 00:00:08 | 美術館・博物館・工芸品
先日の台風の大雨の後、京都本能寺に行った際、境内の樹木の根元の土が流され、土の中から瀬戸物のようなものが見えた。少しだけ掘り返してみたところ、茶碗のようだった。慎重にこっそり取り出し、持ち帰ってから泥を洗い流すと黒楽だった。黒い楽焼。

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知人に鑑定してもらったところ、本能寺であるところから、ここで明智光秀に討たれた織田信長が愛用していた黒楽(黒い楽焼)であり、信長に寄贈したのは、歴史上は千利休ということになっているとのこと。創作者は樂家創始者である長次郎。もちろん鑑定額は、200,000,000円。

ここまでの話が本当ならば、うれしいが、一から十まで嘘だ。京都に行ってないし、今の本能寺は信長の時代の本能寺とは別の場所。長次郎は、本能寺の前年に楽焼を発明したばかりで、まだ寄贈するほどの腕ではなく、さらに長次郎の楽焼を持っていたのは千利休で、秀吉とは当時は親しかったが、誇り高い男がプレゼントなんかするわけがない。鑑定額だけは、本物。と言いたいが、願望である。

箱が桐箱ではなく段ボールとはとはいえ、一樂、二萩、三唐津というように楽焼は人気だ。特徴は楽焼らしく歪んだ形状。まず上面は平ではなく5つの凸凹があるのが決めごとである。あまり凹凸は大きくないところが奥ゆかしい。製法は手捏ね(てぐすね)である。サイドにはやっとこ跡が残る。火中よりやっとこでつまんで取り出すため、跡が付く。

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手でこねただけなのだが、外から見ても本体に横向きに溝が二本あるが、茶を点てる時に都合がいいらしい。カップの目盛りのようなものだろうか。

裏返すと大きな陶印が見える。裏から見ると安物風の感じが漂う。茶に代えて何を入れて飲もうかな。確か「黒丸」という芋焼酎があったような・・