こどもが震え上がる話

2018-09-15 00:00:31 | しょうぎ
数日前に、「かたき討ち」の話を書いた。41年かけて父の仇を討った武士の話だが、元はといえば、将棋の助言。もちろん江戸時代の後半の武士というのは地方公務員であり、役所すなわち城中で書類仕事をするのが一般的で、要するに暇だった。

城中で武士同士が将棋を指して、まわりに観戦者がいるというのは日常的だったのだろう。対局中に負けている方に横から助言があって、そのせいで負けるということは、常識で考えればよくあることではないだろうか。ところが、負けた方が逆上して、助言した武士に切りつけ、殺してしまった。思うに、金でも賭けていたのだろうか。

そして、将棋界の常識では、助言した方が悪いのだから殺されてもしかたない、ということになるのだろうが、武士の世界ではそうはいかない。殺された方が格上の家柄であったこともあり、切腹となるはずだったが、遁走した。

逃げるというのは天性の才能が必要で、一度、網から逃げ出すと現代でも捕まえるのは大変なのはご存知の通り。新潟から日本海を経て九州に逃げた後、再び北上し宮城県で僧侶に成りすましていたものの、ついに斬られて記念碑まで建てられる。

簡単に言うと、「助言をすると、殺されることもある」。


こども将棋教室で教えていると、他人の対局に口を出す小学1年の男児がいたので、まず、有名な話として「将棋盤の足がクチナシをデザインしたのは助言なしということで、盤の裏のくぼみは、助言者の首を切り落としてのせた時の血だまりのためだ」という話をしたうえで、全国を逃げ回った末に、斬られた武士の話をする。面倒なので、助言をしたため全国を逃げ回ったけれど、見つかって斬られたということにしてしまう。それの方が、話が簡単だからだ。

すると、「ヒエー」と泣きそうな顔になり、手で首の周りを抑えて震え上がる。

2年経った今でも、目が合うと、首の周りに手を回す。癖になってしまったようだ。


さて、9月1日出題作の解答。

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答えを見ればいたって簡単。短編というのはそういうものだろうか。

動く将棋盤は、こちら


今週の問題。

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双玉問題である。途中で合駒選択がありややこしいかな。本手順と同手数の後手の変化もあるが駒が余る。

ヒントは1〇手詰。
申し訳ありませんが、余詰め筋が発覚しました(玉方変化同手数駒余りなし)。
以下修正版です


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わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数を記していただければ正誤判定します。