ローマ史1200年(木村凌二著)

2014-12-03 00:00:31 | 書評
rome知人から、「ローマ帝国衰亡史を読んだら」、というサジェッションがあり、「ただし、ローマが繁栄したあと崩壊していく過程について書かれた本だから」と念を押された。つまりナンバーワンになるまでの話は書かれていないで、ナンバーテンに落ちぶれる過程が書かれているということらしい。

平家物語みたいなものだろうか。あるいは、日本社会党の歴史。あるいは・・

というか、それなら帝国衰亡史に取りかかる前に、ローマ史を軽く読んでから、というように思ったわけだ。突然の総選挙ということで、投票に際して、なんらかの参考にならないかと考えてみる。なにしろ「地方創生」というのが怪しい。だいたい、地方の人口が都会に流れるのは、「都会に仕事がある」ということもあるだろうが、「都会に行きたい」ということではないだろうか。

ローマ時代だってそうだった。だからといって、それで国が潰れるわけではなく、国力がないから地方が寂れて、都会に集まるわけだ。今だって人口を地方に押し戻そうとすると、都心の地価は下がり、いつまでたっても景気は起爆しない。しかも、直下型地震対策と言いながら、いまだに首都機能の一部移転も進まない。

それで、最近の米国の黒人少年射殺事件をみても、米国ってローマにかなり似ている。奴隷制を緩和して、一応、自由民になる権利を与えながら、実際は差別を続けたりするわけだ。それでも黒人皇帝が登場するのだが、皇帝制がはじまってから黒人皇帝が現れるまでの期間と、大統領制が始まってから黒人大統領が登場するまでの期間はほぼ同じだったそうだ。

ということは、あと数百年すると、米国も再び南北に分裂して、カナダとメキシコに吸収されることになるのだろうかと歴史は教えるわけだ。

そういえば、日本も大化の改新から1200年後に黒船がやってきて、事実上別の国になってしまったわけだから、現在は東ローマ帝国の初期の時代にあたるわけだ。そうなると、結構長い。あと1000年は細々と生き延びるのだろうか。人口減少と領土の縮小、そして最後は、コンスタンチノープル陥落のように・・・