グラシン紙とパラフィン紙のこと

2014-12-02 00:00:23 | 書評
父親が残した岩波新書がたくさんあって、少しずつ読んでいる。もちろん、50年も前の書籍なのだから、現在の学界では、間違っているとされている内容も多いのだが、そういうこと自体が人類の進歩であり歴史だ、とも言える。

で、今後、読むだろう本や読まないだろう本もあるのだが、とにかく保存状態がよくなく、特に古い時代の岩波新書は、半透明で薄い表紙があったのだが、これが劣化したり破損したりしている。内容はともかく、まず外装をどうしようかと思っていて、この半透明の紙を探すことにしたのだが、なんとなくその周辺情報にたどり着くも、ここで捜査の闇が現れる。

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まず、紙の名称だが、「パラフィン紙」とか「グラシン紙」とかいうらしい。問題は、ここから。パラフィン紙とグラシン紙は違うもののようだが、便宜的に同じように使う場合が多いらしい。では、ほぼ同じものなのか、というとそうではないらしい。また、どちらかの意味が広義でもう一つが狭義ということでもない。

どうも、パラフィン紙は加工方法を示し、グラシン紙は原料を示すらしい。だからグラシンで作ったパラフィン紙というのが、最適らしいのだけど、AMAZON他で、いかにさがしても「グラシンで作ったパラフィン紙」というような商品は見つからない。あくまでもパラフィン紙かグラシン紙だ。そして、パラフィン紙の最大の用途はケーキ作りらしく、どうも品質的に本のカバーには向いていないような気がする(厚い)。一方、グラシン紙の最大用途は、薬の分包に使うらしく、個人でこんなものを買うと疑われるのではないかと感じる。早い話が、消滅寸前商品なのだろう。

ということで、パラフィン紙かどうかわからないグラシン紙というのを箱詰めで買う。どうみても多過ぎる枚数なのだが、枚数と単価が逆等比級数的なので。薬の小分けと思われないように、大きなサイズだ。

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次に、紙をカットしなければならないのだが、幅35.0CM、高さ17.2CMである。裁断機に合わせてみると、17.2CMのところに、「バイブル」と書かれている。バイブルサイズという言葉は知っていたが、岩波新書はバイブルと同じだ、ということになっていたわけだ。

で、とりあえず表紙交換をしてみる。

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元のカバーよりも透明度が落ちるように感じる。これが現代の限界なのだろう。

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ところで、購入した商品名だが、グラシン紙 <20> 8才、とある。「8才」の意味がまったくわからない。紹興酒のように8年間の熟成が必要なものなのだろうか。