ギリシア神話への誘い(2)

2010-11-25 00:00:51 | 歴史
2010年10月19日号ギリシア神話への誘い(1)に引き続き2回目の講義。一回目の講義では、愛とSEXの享楽にハマったギリシアの神々の失楽園モードだったのだが、受講者の大半が初老、団塊、熟年という「非日常的な刺激を求める世代」にはウケていたのだろうが、とりあえず、最年少の受講者は女子高校生だったことが判明したらしい(というか、学校帰りの制服なので・・)。だからといって、方針変更になったのもどういうものかと思うが、第二回目の講義は、一転して学術的になる。

とりあえず、オリュンポス12神を端から片付けていく。前回は、好色神ゼウスと嫉妬深いその妻であるヘラだったので、今回は、ポセイドンから。

ポセイドン(ネプチューン)は海の神、結構人気が高い。イルカが友達である。そしてオリオンの父。オリオンは狩りの名人で、美少年。ところがサソリに刺されて死んでしまう。そのため、霊界入りした後、サソリ退治を始めるのだが、なかなか捕まえることができない。オリオン座が冬の星座で、サソリ座が夏の星座だからだ。また、ペガサスとかトリトンの父。ペガサスは、どちらかというと動物だし、トリトンは半人半魚。一体、ポセイドンはどうやって子作りをしたのだろう。



このトリトンは、親の仕事の手伝いをして、やはり海神の仲間に入っているのだが、この海神トリトンを学校の校旗に借用しているのが、千葉県船橋市の海神中学。紫の校旗にトリトンが白抜きになっていて、持っているホラ貝を吹くと、白いあぶくが発生することにちなんで、校旗にも白い点がたくさん描かれている。実は、高校の同級生にこの中学出身者がいたが、どちらかというと、怪人という感じだった。

アレス(マース)は軍神。力はあるが、ちょっとIQが低い。青銅の壺に閉じ込められたこともあるし、究極の美人と言われるアフロディティとベッドで密通中に、上から網をかぶせられて、二人で見世物にされたこともある。見世物になっても美人と通じることの方が価値が上かな。

一方、最強の軍神はアテナ(ミネルヴァ)。こちらは処女神。知的な美女であり、巧妙な戦略をもって戦争と平和を操る。神々の中で、もっとも聡明と言われ、文化学芸一式すべてに一流だった。クリントン女史よりも一枚上手だ。ゼウスの娘であり、訳あって、なんとゼウスの額から出産した。彼女のお付きの動物が、「ふくろう」。この話は最後に。



絵画の世界では、アテナを描いたのがクリムト。前回のダナエ画もそうだが、彼の前衛は、どこからきたのだろう。西洋文明は、ギリシア文明とキリスト教の二つの源流を持つと言われるのだが、クリムトはギリシア文明を是とするのか非とするのか。アテナの右手にあるのが勝利の女神ニケ(NIKE)。ヌードにされてしまった。クリムトのことも知りたくなっているのだが、どこかでクリムト展でも開かないかな。

アポロン。太陽神なのに、なぜか月面征服計画(途中から月面到達計画に変更)の作戦コード名に使われる。理由不明。深い理由があるのだろう。予言が大好きな神様だが、易者にはならず少年愛にはまる。少年ヒャキントスと野原でフリスビーで遊んでいる時に西風の神の嫉妬心から、投げたフリスビーが少年の頭に命中し、絶命に至らせる。ヒヤシンスの花が折れやすいのはそのせいか。

アルテミス(ダイアナ)。処女神であるが性格はキツイ(だから処女神なのかもしれないが)。月の神、そして狩猟好き。ボディガードは犬。ある時、泉で入浴中を覗き見された男に怒り、泉全部を投げつける。そして、その男を鹿に変身させ、愛犬と鹿狩りを始め、犬に食わせてしまう。代理殺人だ。

ヘルメス(マーキュリー)。男神。エルメスである。名前を無断使用される。神々の案内者で、商業に強い。お買いもの相談に応じる。蛇のからまる神杖を使う。当時、女性に好まれたという証拠はないが、現代では金満女性に愛されている。

とりあえず12神のうち8神終了。

ところで、戦争と平和と文化一式に強いギリシア文明の生み出した最高の知性であるアテナ(ミネルヴァ)のペットだったのが、梟(ふくろう)。これについて、ヘーゲルは『法の哲学』の中で、こう書く。

ミネルヴァの梟は夕暮れを待って飛び立つ。

この意味は、「文明の夕暮れに時代を総括する思想が生まれる」ということだそうだ。文化の成熟、退廃、そして反文明主義の台頭、崩壊。そういうことだろう。江戸時代しかり、ギリシア文明しかり。そして・・